CLOSE

Mercari のグローバルプロダクトへの挑戦(全2記事)

2020.12.23

Brand Topics

PR

鈴木健×山田進太郎「背景にはあの世界一周旅行があった」 メルカリがグローバルなプロダクトを目指した理由

提供:スマートニュース株式会社

SmartNews Online Meetup#14は「日本発グローバルプロダクトの挑戦」がテーマです。SmartNews CEOの鈴木氏とメルカリCEOの山田氏の2人が、前半は昔の話を遡りながら、グローバルなプロダクトとなったメルカリの誕生について話しました。

アメリカに一緒に挑戦している同志

鈴木健氏(以下、鈴木):それでは『Mercariのグローバルプロダクトへの挑戦』という内容のセッションを、メルカリの創業者兼CEOである山田進太郎さんと、Fireside Chatという形式でやりたいと思います。

さっそくご紹介します。メルカリの創業者、代表取締役 CEO(社長)の山田進太郎さんです!

山田進太郎氏(以下、山田):よろしくお願いします。

鈴木:いきなりなのですが、実は僕、去年までメルカリの取締役をしていまして。あんまり役に立っていなかったんじゃないかなと思うのですが(笑)。

山田:いやいや(笑)。そんなことはないですよ。

鈴木:アメリカに一緒に挑戦している同志として、取締役会でもアメリカ事業をしっかり応援できるように、いろいろとコメントくらいはした気はするのですが。本当に日本発でグローバル展開していくのは、今そこまで本気でやっているスタートアップが多くない中で、なんとかこの2社で切り開いていけたらなとに思っていました。

そういった中で、ここ3ヶ月~半年くらいで、急激にスマートニュースもメルカリも、アメリカで成長していて。メルカリはちょうど先週決算があったんですよね。通期の決算ですが、四半期ベースの売上がものすごく伸びましてね。アメリカ事業が急成長のうなぎのぼりで、かなりいい決算を出したようです。

今まで株式市場からも、厳しい声とかあったと思うのですが、それを見返すようなかなり痛快な数字が出てきているので、本当に期待したいと思います。このあともそういった話とかもぜひうかがっていければ。

モントレー・ドライブ 2006

鈴木:というところで、注目のメルカリのストーリーですが、まず最近の話ではなくて、昔の話に遡って聞きたいと思います。

(スライドを見ながら)出ました、モントレードライブ2006。今から14年前ですね。相当昔ですね。僕は写真に写っていて進太郎は写っていないのですが、このメンバーで一緒にサンフランシスコからモントレーまでドライブしましたよね。進太郎は写真を撮っているので写っていないっていうことなんだよね(笑)。

山田:たまたま昨日見つけました(笑)。

鈴木:これ一番正面に写っているのは元はてなCTOの田中さんで、実は今メルカリのVPをやっている人なので、けっこう熱いよね(笑)。

このモントレーのドライブのときのテーマが、実はブレストドライブで、モントレー行くまでの間に2台の車に分乗しましたが、1000万ユーザーを超えるようなサービスを作るとしたら、どんなサービスを作ったらおもしろいかをブレストしましたよね。覚えています?

山田:覚えていますよ。2006年は景気もそれほどよくなくて、YouTubeがたぶん買収されたくらいで。CGMみたいなのが出てきていて。ちょっと今に近いかもしれないですが、次のビッグシーズは何なんだろうね……あんまりないよねみたいな感じになっていて。

僕がそのとき提案していたのが、ハードウェアとネットを組み合わせたというか、ハードウェアをインターネットで変えるみたいなアイデアです。それがのちに、岩佐さんが社長をやっていたCerevoがネットワークのカメラを作って、アイデアにつながったかなぁっていう感じなので。すごくおもしろい、ある意味印象に残っている旅行ですね。

鈴木:そうですね。進太郎はあのときのドライブがきっかけで新しいハードウェアの会社を作ったりとかして、Web2.0のブームの中でいろいろなサービスが出ていく中で、ハードウェアでそこを攻めていくっていうのが熱いなと思って話を聞いてたんだけど。本当にあのときのドライブで会社になるとは思っていなかったけど(笑)。

本当にいい思い出で、こういった話があって、けっこうシリコンバレーに行くと、制限が外れるというか、リミットが外れるというか。そういうのがあるよね。発想の幅が広がるみたいな。

山田:モントレーはシリコンバレーから車でどれくらいかな? 2、3時間くらい? 

鈴木:それくらい。

山田:田中さんは当時はてなで、まだCTOじゃなかったかもしれないけれど、近藤さんとね、それこそはてながアメリカでなんとかやろうって言っていた時期でした。

鈴木:そう、はてなも3人で行っていたね。

山田:僕はやっぱりシリコンバレーでやりたいってすごく思って、前の会社の時代でしたが、やっていました。健さんも、そのときは起業していましたっけ?

鈴木:起業した直後くらいかな。たぶん。

山田:みんなで世界を見よう、みたいな感じで。懐かしいですよね。

鈴木:懐かしいよね。

「映画生活」から「まちつく!」まで

鈴木:知っている人は知っていると思いますが、進太郎は実はプロダクト愛に溢れた人だっていうことを、改めて僕から紹介しようかなと思ってこのスライドを作りました。遡るところ2000年、映画生活というサイト。このときは、実は進太郎が自分でプログラムを書いていたっていう話だよね。これは自分で作った?

山田:自分で作りましたね。たぶん今から見たらセキュリティは穴だらけだと思う(笑)。

鈴木:言語は何だったの?

山田:PHPですね。PostgreSQLみたいな。

鈴木:はいはい。いや~、僕も書いたな(笑)。進太郎は映画が好きだからレビューサイトを自分で作ったけれど、これは後にぴあに売却されて、ぴあのサービスとして今でも継続しているサービスだよね。

山田:そうですね。

鈴木:そのあと、ウノウとしてフォト蔵という、写真のアーカイブを取るサービスを2005年に作って。さっきのモントレードライブが2006年だから、それでハードウェアの写真を撮るようなサービスを作っていたと思うんだけれど。

フォト蔵があって、そのあと2009年に『まちつく!』、これは本当に大ヒットして。ソーシャルゲームの最初のヒット作と言えば『まちつく!』って言われるほどのメガヒットを出しましたね。このへんはどうですか?

山田:このフォト蔵から『まちつく!』の間に屍のような(笑)、うまくいかなかったサービスが散々あって。昨日このスライドを見たときに、ロゴを載せたらおもしろいかなと思って探したんですが、もはやGoogleにもアーカイブされちゃったくらいマイナーで、消え去っています(笑)。プレスリリースとかは残っているんですが。本当にうまくいかなくて、どうやったらうまくいくんだろうって、もう悩みまくっていて。

『まちつく!』が、ある意味オープン化みたいな時代の流れもあって……オープン化というのは、ソーシャルネットワークのオープン化ですね。その上でソーシャルゲームが生まれて、その波に乗ってというところでした。

鈴木:『まちつく!』を含めてZyngaに買収されて、Zynga Japanの経営時も務めてっていうことがあってですね。そのあと世界一周旅行をして、メルカリを創業し、アメリカ版も作ることになるんですけど。このへんは、ちょっとこれから詳しく話を聞いていこうと思っています。

今ポッドキャストがおもしろい

鈴木:進太郎がすごくプロダクト大好き人間だということは、みなさんおわかりいただけたと思うので、次の質問にいきます。最近好きなプロダクトは何?

山田:これね、なかなか難しい質問だなと思っているんですよ。一番使っているのがいいのかなと思ったので、今何を使っているかと言うと、ぜんぜん古いというかベーシックなんですけど、ポッドキャストを使っています(笑)。

鈴木:あ、そうなんだ。

山田:僕は英語の勉強をしているので、それも兼ねてというところではあるのですが。最近ポッドキャストがおもしろくなってきていると思っているんですよね。とくに、インターネット系のCEOがゲストで出るようなポッドキャストが増えてきています。

それはやっぱり今、みんなWork From Homeじゃないですか。会社で、もちろんいろいろ情報発信を増やしたりしていると思うのですが、自らの発信をより多くの人に、というのもあって、半分は社内向けというところもあるかもしれませんが、いろいろなゲストがポッドキャストに出ているんですよね。

ポッドキャストは、日本だとぜんぜんそういうイメージはないんですけど、めちゃくちゃ稼げるメディアになっているんですよね。リード・ホフマンのポッドキャストは年間売上が何十億あるみたいな。

鈴木:そうなんだ。

山田:すごくクオリティが高くて。ネット系だけじゃなくて、デルタの社長や銀行の頭取みたいな有名な人たちが、普通にしゃべっていたりするのでおもしろいなと思います。プロダクトというよりはコンテンツになっちゃうんですが、わりと毎日使っていますね。

鈴木:進太郎はイチユーザーとして、普通にたくさんのプロダクトを触っていて、けっこう僕らもオッサン化している年代ではありますが、けっこう若い人が使うサービスとかもガンガン使っているから、すごいなと思っていつも見ているんだけど(笑)。かなりいろいろなサービスを触って、そういった中で経験を活かして、プロダクトを作っている感じがします。

メルカリが作られる背景には世界一周旅行があった

鈴木:じゃあ次ですね。2013年。コウゾウ設立ですね。コウゾウは、たぶんウノウのあとだからコウゾウだったんじゃないかなって、みんな思っていたと思うのですが(笑)。

山田:ははは(笑)。

鈴木:これはのちのメルカリですね。コウゾウを設立したときは、どんな気持ちでやっていたんですか?

山田:僕は世界一周旅行をしていて、帰国して起業することは決めていたのですが、何をやろうかなという感じでした。世界一周中で新興国ばかり行ってたので、インターネットとかめちゃくちゃ遅いんですね。

なので、浦島太郎みたいな状態になっていて、いろいろなサービスを試したりとかいろいろな人に話を聞きに行ったりとかしていました。あと2012年の末といえば、非常に重要なプロダクトが出ましたよね。健さん?

鈴木:スマートニュースかな?(笑)。

山田:そうですね(笑)。スマートニュースが出てきて、バーンと一気にApp Storeのランキング1位と、とんでもない人気になっていて。やっぱりそれも、スマホのプロダクトやろうと思った1つの大きな理由だったと思うんですよね。

鈴木:あ、そうなんだ。

山田:LINEが2011年だと思うのですが、震災とともに生まれて。僕が世界一周から帰ってきたら、周りの人がみんなスマートフォンになっていて、その前はガラケーだったんですよ。それがLINEで、グループで、とかなっていて。スマートニュースもすごくきていて、プロダクトをスマホでやろうという中で、日本でいろいろなアプリが出てきていましたが、その中の1つとして、フリマアプリもあって。

いろいろ調べていくうちに、僕が周ってきたような新興国のことを考えると資源をもっと大切に使っていく必要もあるなと思っていたし、究極的にはこれを使えばそういう人たちが豊かになれるんじゃないかなっていうのがありました。このフリマというアイデアを選んでやろうと思って、起業しました。

ただ作った瞬間は、これはホームランか三振かみたいなアイデアかなとは思っていました。まあ失敗したら次何かやんなきゃな、くらいの気持ちではありましたけどね。これに一生かけてやろうとは思っていなかったです。

鈴木:懐かしいね。スマートニュースもね、リリースしたのは12月だったんだけど、そのとき進太郎がすごくツイートしてくれて。それが流行った理由なんじゃないかって密かに思っているんだけど(笑)。

山田:そんなことはない(笑)。

鈴木:メルカリが作られる背景に、世界一周旅行があったっていうのはすごくいいなと思います。旅をして、なにかを作るっていうことを目的にしないで、フローみたいな感じでいろいろな経験をすると、そこから気づいていくものってあるじゃない? これを作ろうとか思っていない感じのほうが、すごく大事な時期だったりするよね。

山田:そうですね。僕なんかは帰ってきて、だいぶあとになってうちの役員の人に言われたんですが、進太郎さんはずっと旅行していたから、その間が抜けているじゃないですかと。急に帰ってきたから、スマートフォンがすごくポピュラーになりつつあるということに気づいたんですよ、みたいな。ずっと日本にいたら……。

鈴木:じわじわ浸透しているからね。

山田:茹でガエルみたい話で(笑)。帰ってきて、僕はすごく驚いたんですよね。みんなLINEを使っているし、スマートニュースみたいなのを使い始めて。これはなにかすごいことが起きているなっていう感覚がありましたね。

鈴木:僕もね、実はスマートフォンを買うのがけっこう遅かったんだよね、たぶん。2007年にiPhoneが出たけれど、最初に買ったのは2010か2011かみたいな感じで。あんまり早くやりすぎると、感覚がわかんなくなっちゃうんだよね。

メルカリは最初からアメリカでやるっていうのを決めていた

鈴木:じゃあ次いきましょうか。そういった中で、日本ではサービスが順調にヒットして、次の年、いきなり1年後にサンフランシスコでメルカリを設立して、9月よりUS版提供開始。しかも実は、アメリカ版のヘッドクオーターの創業の地が同じオフィスで、Digital Garageの717のオフィスだったんだよね。となりの机みたいなところでやっていたよね。

山田:そうね。

鈴木:このときはどうでした?

山田:もう何もわからずやっていたっていう感じですかね。僕も前の会社のZyngaがサンフランシスコにあったので、なんとなく……2004年くらいにもちょっと住んでたこともあったので、一応土地勘あるようなつもりでいたんだけれど、何もわかんなくて。いろいろなプロダクトを作るところでも、採用でもマネジメントでも、とにかくわけがわかっていなかったなというイメージですかね(笑)。

でも、やるしかないっていうか、これをやるために、ある意味メルカリを作ったとも思っていて。もともと最初作ったときからアメリカでやるのを決めていたので。もういっぺん日本でやっていることを再現するイメージで行きましたけど。

鈴木:相当な覚悟でやっているなみたいな感じがしましたよね。小泉さんとかね、日本にお金残さないとかTechCrunchのイベントで発言していて、僕となりのセッションにいて、え!? みたいな(笑)。全部突っ込むみたいなことを言っていたから。相当な覚悟だなと思って見ていたけどね。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
著者フォローや記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

会員の方はこちら

スマートニュース株式会社

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

  • ランサムウェア攻撃後、わずか2日半でシステム復旧 名古屋港コンテナターミナルが早期復旧できた理由 

人気の記事

新着イベント

ログミーBusinessに
記事掲載しませんか?

イベント・インタビュー・対談 etc.

“編集しない編集”で、
スピーカーの「意図をそのまま」お届け!