2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
提供:NEC
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福田浩一氏(以下、福田):みなさん、おはようございます。NECの福田浩一と申します。みなさんの学校の目の前にロケットみたいな高いビルが建ってると思うんですけど、そこに勤めています。今日は、みなさんにNEC未来創造会議の内容をお伝えするために伺いました。今日はよろしくお願いします。
一同:よろしくお願いします。
福田:東京女子学園様では、2020年から未来創造コースと国際教養コースという新しいコースを立ち上げられて、私たちNEC未来創造会議が9月から授業を提供させていただくことになりました。その前に、まず「NEC未来創造会議って何?」というところを、ご説明させていただければなと思っています。
今はまさに新型コロナウイルス感染症の危機が来ていて、私たちの当たり前が変わりつつあります。みなさんも普通だったら、平日もちゃんと登校して授業を受けたり部活動をしたりして帰ると思うんですけれども、今はそうしたことが難しくなってきていますよね。
僕も4月以降で出社した回数は、まだ1回しかなくてですね(笑)。今まで当たり前のように毎朝通勤電車に乗る生活をしていたんですけど、それももうぜんぜん違う。
ただ、こうしたできごとは、ちょっと過去を振り返ってみても、いろいろ起きています。それは過去だけじゃなく、今後も起きるんじゃないかなということを、けっこうみんなが予測していたりもします。いろいろな変動が起きているんだよ、ということを少し説明させていただければなと思います。
福田:例えば、2001年にアメリカで同時多発テロが起きました。2001年なので、みなさんは生まれていないですね。いろいろ政治的な絡みがあるんですけれども、そのようなことが起きて世の中が少し変わったかなと思っています。
次に、2008年にリーマンショックが起きました。世界同時的に株価というものが大暴落して、例えばNECのような数万人が働く大企業も危ないよ、と言われるくらいに危機に陥ったときでした。
それから、2011年に起きた東日本大震災は、社会に非常に影響を与えました。津波などの要因が重なったんですけれども、大きな被害が出てしまったということだと思います。ちなみに、2011年の東日本大震災のことを覚えている方は、手を挙げてくださいますか?
(数人挙手)
けっこう覚えてますね。ありがとうございます。僕も東京でご飯が買えなくなったり、当時住んでいたところは電気が通わなくなったりして、けっこう大変だったなと思っています。
もう1つ、これは明るい話題でもあるんですけれども、iPhoneというものが出てきました。こういった科学技術で、みなさんの周りの環境をガラリと変えてしまったできごともあったかと思います。
そして、今はまさに新型コロナウイルス感染症が来ている2020年ということですね。
一方、少し先を見てみると、みなさんは中学校のときにSDGsについての教育を受けているという話を聞いたんですけれども。2030年に向けて、こういったものを解決していくことで、一人ひとりをちゃんと救っていこうという動きがあったり。
また、2045年にはAIが人間よりも賢くなる「シンギュラリティ」と呼ばれるタイミングが来るのではないかと言われていて、先ほどのiPhoneではないですけど、技術が世の中に大きな変革を起こすと考えられています。これまでにもいろいろなことが起きているし、今後も世の中で起きていくのかなと思っています。
福田:では、今まさに何が起きているのかということに焦点を当ててみますと、「STOP OCEAN Pollution」と書いてあるんですけれども。クジラなどが海の中の廃プラスティックやゴミを食べてしまうなど、自然界に害を及ぼしている。2040年か2050年くらいには、分量としては海の中の生物よりもゴミの方が多くなってしまうといった問題が取り上げられたりしています。
我々のような大人の世代の負の側面が、子どもたちの時代に影響を及ぼすのではないかということで、海外ではみなさんよりもちょっと年上の環境活動家の方が声を上げていたり。そういった動きもありながら、みんなで地球を守っていこうという動きが高まってきているのかなぁというところです。
日本では人口が減っているという話があるんですけれども、世界全体では非常に人の数も増えていて、使うエネルギーであったり資源も、この地球1個分では足りなくなるんじゃないかと言われているところです。今まさに地球環境を守っていくために、みんなで動いているのが今現在かなと思っています。
福田:そんな中でNECがやっていることの1つが、NEC未来創造会議です。我々は2050年に向けて、人が豊かに生きる未来を目標に活動しています。
例えば、NEC未来創造会議の最初の段階では、いろいろな専門家の方々と、「どんな未来が創りたいんだろう」「未来に向かうために、どうやって課題を解決していけばいいんだろう」という話をしました。
お話をお聞きしたのは、東京女子学園様でも力を入れられているData(データ)、Science(サイエンス)、Design(デザイン)、Arts(アーツ)領域の専門家の方々です。データの研究を通して、世の中にどんなものを作れるんだろうということを考えている、東大の松尾先生方であったり。
サイエンスでは、2100年はどうなるかを考えているミチオ・カクさんという物理学者の方。デザインで言うと、デザインを通じて世の中に問いかけをしているアンソニー・ダンさんや、アートでいろいろな表現に取り組んでいるスプツニ子!さん。
こうした方々の話を聞きながら、未来をどういうふうに創っていくのか、技術だけじゃなくて人の意識にどんな影響を与えていけばいいのかを考えています。NECの社内にも「未来創造プロジェクト」という10人くらいのチームを作って、未来を創るためにやるべきことを考え、実行しようとしている人たちがいます。
このチームの中で、実際にどういうことをすべきかというアイデアを出して、有識者のみなさんに尋ねて、有識者の方々にアドバイスをいただく。このやり取りを繰り返しながら、未来のアイデアを作っていくことが、未来創造プロジェクトの内容です。
ここで少しムービーをご覧ください。
福田:3分くらいのムービーなんですけれども、僕のほうで補足しつつ説明させていただきますね。このムービーでは、すごくたくさんの大人たちが2050年に向けてどんな世界を創って、みなさんのような次の世代に託していけばいいのかを真剣に議論しています。
最初に出ていたケヴィン・ケリーさんは、先進的なテクノロジーを紹介する『WIRED』誌の創刊編集長で、「新たな技術が新たな天才を生み出す」と言っていました。
例えば、もし画材ができる前にゴッホが生まれていたら、画家としてのゴッホの才能は埋もれてしまったという動画があります。また、楽器が作られる前にベートーベンが生まれていたら、作曲家になることはなかったでしょう。
みなさんもYouTuberをご存知だと思うんですけれども、誰もが世界に向けて発信できるYouTubeのようなメディアがなかったら、そうした仕事も生まれなかったのかなと。技術は新たな可能性を広げるきっかけになり、AIもまた人の可能性を広げるのかなと思っています。
また、スプツニ子!さんは30代の女性なんですけど、検索やFacebookの広告が結婚に関するものばかりになってしまって、性別や年代などのデータでAIがおすすめをすることで、人々にステレオタイプなイメージが植え付けられてしまう危険性を指摘しています。
また、ゴリラの研究をしている京都大学の山極さんという方のお話では、ゴリラもサルもチンパンジーも黒目しかなくて、白目があるのは人間だけです、と。白目があると感情が伝わるので、人間だけが白目を持っているのは、進化の過程で感情を伝えるためにできたのではないかという話をされていたそうです。
つまり感情を伝えたいのは人間の本質であり、今後テクノロジーが進化していく世の中でも重要じゃないかということで、松村圭一郎先生が「感情さらけ出し社会」についてお話をしてくださっていました。
福田:そういったものを踏まえて、NECが持つ技術力と技術がもたらすプラス面とマイナス面の両方を考えながら、人々が活躍できる世の中を創るためにはどうしたらいいんだろうと、この3年間考えてきました。
これで出した答えの1つが、「意志共鳴型社会」というものです。これは、一人ひとりが他者の理解を通じて、自分が好きなものや伸ばしたいものといった可能性を見つけられること。そして、社会でいろいろな人と関わりながら、やりたいことと世の中にとっていいことの両方を大切にしながら、未来を創っていくことがコンセプトになっています。
ただ、そうした未来をどう創っていくかと考えたときに、現時点でできていないことがあるのかなと思っています。
インターネットやソーシャルメディアの可能性と限界ということで、みなさんが家族や友達と連絡を取る中で、うまく自分の思いを伝えられているでしょうか? 相手の思いをちゃんと理解できているでしょうか? みなさんがスマホで連絡を取り合うときに、うまく伝わらなかった経験があれば教えてもらえますか?
YUIさん(以下、YUI):前にダンスの先生とやりとりをしていたときに、私が送った文章が絵文字も何もつけない堅い言葉遣いだったので、思ったように伝わらなくて。発表会の衣装の色や形で食い違いが起きてしまって、現物を見せたときにすごく困ったことがあります。
福田:ありがとうございます。やっぱり絵文字などを使って、感情表現したり伝えたいことを伝えている感じですよね。なるほど。
MAYUさん(以下、MAYU):私が母とLINEをしていて「今日帰り遅くなるね」って送ったら、母から「別にいいよ」と返事が来て。文字だけだと声のトーンがわからないので、怒っているのかわからなかった(笑)。結局、普通のオッケーという意味だったので、よかったんですけど。
福田:なるほど。ありがとうございます。まさにそうですね。確かに「別にいいよ」だと怒ってるような感じもしますよね。では、次。SAKIさん。
SAKIさん(以下、SAKI):私も友人とLINEで他愛ない話をしていたときに、急に連絡が途絶えちゃって。携帯の電源が切れちゃってたんですけど、顔を見ているわけでもないし、その場で何をしてるかもわからないので怒らせちゃったかなとか。なにもなかったんですけど、すごく心配したことがありましたね。
福田:急に電源が切れたら伝えられないですもんね。それはちょっと難しい(笑)。けっこういろいろ意見が出てきました。ありがとうございます。
まさにインターネットですごく便利になって、文字情報を使っていろいろな人とコミュニケーションが取れるけれども、やっぱり伝えられる内容に少し限界があったりして、マイナスの側面が出てきてしまっているのかなと思います。
福田:NECが「意志共鳴型社会」を創っていきたいと想像(イマジネーション)していった中で、具体的に何を創っていくのかというと「体験社会」ですね。
今はみなさんも、ムービーや文字などの情報を目で見て理解していると思うんですけれども。今後は目だけじゃなくて、耳、口、鼻、五感やもっと違う表現で人に伝えられるようになれば、伝えたいことがより伝わりやすくなって、どんどん人々がつながれるようになるんじゃないかと。
NECでは、そういう体験社会というものを創るために、インターネットの次に来るネットワークとして、「エクスペリエンスネット」というものを創っていけばいいんじゃないかと考えています。
未来を想像するイマジネーションと、それをもとに未来を創っていくクリエーション。この2つがとても大切かなと思っています。NEC未来創造会議では、想像する「意志共鳴型社会」を創り、「エクスペリエンスネット」というものを創って、みなさんとのコミュニケーションをより活発化させたいと考えています。
今回9月以降に、NECが東京女子学園様に提供させていただく授業の内容の1つとしては、さっきのムービーに出てきた方以外にも、いろいろな有識者の方々の発言をもとに、「こういう未来になるよね」ということが書かれた20数枚のカードを作りました。このカードを使いながら、未来についてみなさんに想像していただく授業にできればなと思っています。
私からは、NEC未来創造会議の取り組みと、東京女子学園様の高校1年生のみなさんに提供する授業についてご紹介させていただきました。ありがとうございました。
一同:ありがとうございます。
立原寿亮氏(以下、立原):東京女子学園では、昨年からNECさんとの取り組みをやらせていただいているんですが、新しい授業をいろいろとご提供いただきまして、ありがとうございます。結局「とにかくおもしろいことをやりたいな」というのがまず前提にあるわけですね。
学校の価値観も変わってきていて、何か1つのことを正確に理解して、それを再生産すればいい時代ではなくなってくるだろうと。生徒のみなさんが社会で活躍していくために、教科書にないことをどうやって学んでもらおうかと考えているわけなんですよね。
そこで今一度、「何のために学校があるのか」とか「学校で何を学ばせなきゃいけないのか」と。地域連携ということもあると思うんですけれども、とにかく決まり切った過去の知識を教えるだけだったら、もうAIがやってくれるんですよね。我々教員の存在はもう必要ない(笑)。
そうじゃなくて、あくまでも卒業したあとに、どういうスキルやものの見方を身につけられればいいのか。そういうことを生徒と一緒に考えていきたいなということがあります。昨年の取り組みをNECさんに記事にまとめていただいたり、とにかく多様な経験を積んでもらいたいということなんですね。
先ほど「エクスペリエンスネット」というお話もありましたけれども、教育においては、体験と経験という言葉は違うものだろうと思っています。つまり共通の体験ができても、それを自分の言葉にすることで、意味付けが伴うんですね。いろんな体験を積み重ねて、自分にとってどんな意味があるのか。これからの自分にどういう方向付けを与えたのかということが、経験という言葉なんじゃないのかなと思うわけですね。
私は英語の教員なので、辞書を引けば、experienceで体験も経験もどちらも出てくるんですけど。日本語のおもしろさはそういうことだと思うんですね。「体験」の先にある、自分なりの意味づけの伴った「経験」に自分で引き上げてもらわなきゃ困るわけです。
ソウゾウもたまたま想像と創造という言葉がありますけれども、最終的には生徒が自分の思い描いた人生をちゃんと創れるような人になってほしいなと思っています。生徒の前でこんなまじめな話をしたことはないんですけど(笑)。
福田:今の僕や先生の話を聞いて、みなさんはどう思ったかを聞かせてもらえますか?
立原:じゃあKARENさん、どうぞ。
福田:質問でもなんでもいいですよ。
KARENさん(以下、KAREN):9月から私も体験したことない授業をしていただくので、素直に楽しみだなと思いました。
福田:ちょっとジーンとくる感じですね。一番インパクトのある一言でした。ありがとうございます。
立原:もう1人、MAKOさんどうぞ。
MAKOさん(以下、MAKO):福田さんのスライドに出てきてた方々が、けっこうテクノロジー化を進めようとされている方だったじゃないですか。これからどんどんAIが働く時代になっていって、もしかしたら将来の職業がなくなってるかもしれないじゃないですか。高校生としては、それがちょっと首を締められている気分になって(笑)。
福田:そうですね。まさに僕も20年後におじいさんになって、仕事がなくなっちゃったらどうするんだろうなって、不安でもあるんです。過去にも、例えば蒸気機関車ができたり、人の手作業が機械に移っていくことは起きていますね。
そういうときに、偶然もあるかもしれないんですが、なにかしら新しい仕事も生まれているんです。それは、今まで人間の手でやっていたことよりも、もっと新しい価値のある仕事が生まれていったりするんですね。
そういった意味で言うと、今の僕たちがやっていることをAIに置き換えさせていって、そのあと新しい仕事、人に与える価値をどう作っていくかを、みんなで考えていけたらなと思っています。すごくよく考えていますね。ありがとうございます。一緒にがんばりましょう。
NEC
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