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「エンゲージメントを高めるには、今何が必要か?」(全3記事)

2020.07.22

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ダメなところは言えても「どうしたいか」は言えない NEWONE・上林氏が語る、主体性のない組織の変え方

提供:NEWONE

新型コロナウイルスの影響で、多くの企業がテレワークを実施している、昨今。「働き方の多様化」が加速し、ビジネスパーソンの「労働観」も大きく変わっていくことが予想されます。そんな状況下において、組織力を高めていくために必要となる新しいコンセプトであり、組織の課題解決のセンターピンとなる考え方が「エンゲージメント」です。NEWONE主催の本イベントではエンゲージメントの専門家が集結し、学術・組織サーベイ・コミュニケーションツール・組織開発など様々な観点から「従業員のエンゲージメントを高めるためには、今、何が必要か」に迫りました。こちらの記事では5名の識者が討論を交わします。

「可視化」した結果、なにが良くなる?

田口光氏(以下、田口):ただここで、もう1個命題があるなと思ってるんです。今のような「可視化しましょう」とか「目的を共有化しましょう」。それはなんとなく、やっぱりポジティブなワードです。でもそれをやって「何がどう良くなるんですか」というのが、視聴者のみなさんも知りたいところなのではなかろうかと。

みんなね、これに反対する人はいないと思うんですよ。でも「エンゲージメントを高めるのだ」ということをやるとき、決裁を取るとき「お前、それはナンボ儲かんねん?」って会話に(笑)。どうしてもなりがちなところもあるのではないか。これをみなさんにうかがってみたい。「wevox」キリコミ隊長としては、何が良くなると思いますか? 可視化して何が良くなるの? という。

(一同笑)

川本周氏(以下、川本):難しいところですけど、究極的には人生が豊かになりますよね。人生の大半の時間を仕事に投資していて、その仕事をやってる時間が楽しくない、生き生きできない。こんなに不幸なことはないんで。普通に「人生が楽しくなります」以外でないかなと思いますけどね。

田口:おぉ、なるほど。ありがとうございます。

川本:要はお金とかじゃなくて、人生自体を投資してるんで、仕事に対して。それが生き生きできないって、そんなに不幸なことないんで。

で、僕のさっきのまとめ方でちょっとアレだなというのは、管理職にも求めすぎだなと思っていて。管理職も、もっと役割を切れると思ってて。1つのチームとか若手とかの同期内でもいいと思うんで「なんか俺らの人生もっと楽しくできひんかな」って、そういうところで始めてもいいと思うんですよね。

「エンゲージメント=管理職」って固定にしちゃうのも、ちょっと落とし方として違うなという部分もあって。別に関係性の話なんで、関係性においての共通言語はエンゲージメントであるだけ。そこを良くしようよという、ただそれだけな気がするんですけどね。そういうふうにしていきたいなと思ってます。

田口:なるほどね、ありがとうございます。確かに、人生のほとんどの時間は仕事に投資していると言っても、過言ではないですよね。そこの時間が楽しくなるということは、代えがたいことなのではないか。これは比較するところではないと思いますよね。ありがとうございます。

エンゲージメントが高い状態とは?

田口:ここからは3人、経営者なので。どういう目線で捉えていったらいいんでしょう。

斉藤知明氏(以下、斉藤):経営者としてやらせていただいていると、すごくつらいなと思うのが「組織として方向変えよう」と言ったときに、誰も「うぉー!」ってなってくれないことがあるんです。

(一同笑)

語り方悪かったのかな、とか(笑)。すっごいワクワクすること伝えたはずなのに、ぜんぜんついて来てくれないというところが。たぶん伝え方が悪いんですけどね(笑)。

そういうときに、エンゲージメントが高い状態って、さっき川本さんのすごくいい視点だなと思ったんですけど。「管理職が自分の言葉で語る」じゃないんですね。「各々が自分の言葉で何をしたいかを語れて、それに対して生き生きしてる状態」と、一つ定義してもいいのかなと思います。

それに対して、かつ生き生きしてるだけじゃなくて、能動的に行動できる状態ですね。じゃあもう、けっこう答えはシンプルで。これがビジョンです。それは例えばみんなで作り上げました。そのために「こういうふうにやれば勝てるよね」といったときに、100人が100人「よっしゃ、やっていこう」という組織と、10人ぐらいが「やっていこう」という中で90人が「えー……」って言いながらついてくる組織だったら、どっちのほうが生産性上がりますか? という話だと思うんです。

田口:なるほど、生産性というところにヒットするんだと。

斉藤:します。で、さっきの川本さんの話でも「一人ひとりの人生が豊かになる」。これはもちろんイエスなんですけど、経営者側の目線から見たときにも、豊かになりながら働いてる人と嫌々やってる人だったら、それはもう前者のほうがいいよと。それに対して、しかも変化にも適応できるというところになるかなと。ただこれはどこまであがいても、パラメータライズしづらい。機能的にしか、つまり統計的にしかパラメータ化しづらくて「今から取り組んだら倍上がります」とは言えないです。

たださっきもありましたけど、キャッシュ・カウのビジネスがあるなら回るかもしれないですけど、こういう変化があったときに「なにくそ」と踏ん張れるのは、エンゲージメントが高い組織だけなんじゃないかと思ってます。

ダメなところは言えても「どうしたいか」は言えない

田口:ありがとうございます。上林さん、いかがでしょう。

上林周平氏(以下、上林):そうですね。一つ前のことに触れますけども、やっぱり管理職だけじゃなくてメンバーの一人ひとりが主体的になれることが、同じくすごく大事だと思っていまして。

ちょっとズレますけども、以前に研修をやらせていただいててびっくりしたのは……中堅リーダーぐらいの方々と「会社の問題は何か」ってワークショップしたら、すごい盛り上がったんですよ。問題いっぱい書き出して、すごい盛り上がって、活気あるなと思ったんですけども。

そのあと「じゃあ、うちの部署とかうちの会社の、ありたい姿ってどんな感じですかね?」という議論になったら「しーん……」としてなにも意見が出てこない、みたいなことがあって。すごいな、と思ったんですけども。

よくよく考えると、日本企業というのはけっこうこういうことが多いなと、ワークショップをして感じていて。ダメなところを見るのは得意なんですけど、自分がどうしたいのかを言っちゃダメだと思っていたり、言えてなかったりすることが多いなと。そう思ったときに、先ほどの話じゃないですけど、やっぱり一人ひとりが「こうしたい」と言えることが、すごく大事なことかなと思います。

その上でですが、やっぱり「メンバーが一人ひとり生き生きしてたら」とか「主体的であったらうれしいですか?」という問いに対して、経営者の大半はイエスって言うわけだし、そこに進めていくわけなんですけど。

ただ、人のビジネスが難しいのは、見えないところや定量化しづらいところなので。やっぱりまず、経営者を説得していく上では小さくても成功事例を作っていくということが、大事かなと思います。

田口:なるほど、まずはもう成功を1個、小さいのを作っちゃうんだと。

上林:そうですね。なので、例えばある部署で活気が出てきて「ああいうのを展開したいな」と思ってもらえるような仕組みを作っていくということです。もちろん、いきなり全部やることがハッピーですけども、なかなか抵抗感のある組織だったら、そういうふうにやっていくのが定石かなと思います。

田口:なるほど。何が良くなるということの前にある、例えば主体的になるとか、どうしたいって言えるようになるという、我々のパフォーマンスの源泉となるような部分が育つのだと。

上林:そうですね。

ふだんから「背景説明や目的共有」がされているか

田口:ありがとうございます。和田さん、いかがでしょう。

和田郁未氏(以下、和田):私は「エンゲージメントが上がると」というよりかは、目的だったりが明確になって、やることがクリアになるんじゃないかなと思ってるんですよね。

田口:なるほど。

和田:なのでスピード感だったりとか、迷う時間が減る。で、結果的には生産性が上がるんじゃないかなと思うんです。実際にお客様で「ここは本当にみなさん、エンゲージメント高そうだな」とか「会社を好きな社員の方も多くてすごいな」と思う会社さんって、例えばアンケート一つとってもパッと(回答が)揃う、みたいな感じなんですよね。

そうじゃないところって、出さない人がいたりとか、一つひとつに動機づけしないといけなくなってきたりして(笑)。なので常々、背景説明だったり目的を共有している会社は、一つのことをやることに対しても、取り掛かりがすごく早かったりとか。さっきの斉藤さんもおっしゃっていたようなことと、すごい近いなと思っていて。「やるぞー!」ってなりやすい状態が常にできている状態が、エンゲージメントの高い状態だなと私は思ってます。

田口:ありがとうございます。意思決定に際して一人ひとりが行動を起こすにしても、そこのタイムロス、迷う時間がないということは、確かにビジネスにおいてはかなり有利な状態ですよね。ありがとうございます。

なんでこれをうかがったかというと、冒頭で「学術的には従業員エンゲージメントの定義がない」と言ったじゃないですか。それがなにか業績にインパクトがあるというような、多読付きの論文はまだないんですよ。

ただそういう状態でもこれだけポジティブに語られてるということは、何かあるだろうと思ってたんですね(笑)。ただ、今まだ明らかになってないだけで。それをこの場でヒントになるものを導き出せたら、これはとても今日の会としては有意義だな、なんて思ってうかがわせていただいた次第です。

経営者をいかに説得するか

田口:最後に聞いていきたいことがあるんですけど。ここまででも「こういうことをやっていくのがエンゲージメントだ」というのは、なんとなくわかってきた感じはあります。それはポジティブなことだというのも、ちょっとわかってきた。

じゃあそれを進めたいと。おそらく今日、視聴いただいているみなさんも、この「エンゲージメント」ということになんらかの興味があって聞いてくださってると思うんですね。今みなさんのお話を聞いて「そういう取り組みを、うちなりにやっていきたい」と思うと思うんです。さて、それを上司にどうやって持っていきます(提案します)か、という(笑)。

「部長、部長! 今日こういう話を聞きました、うちにはこれが必要です!」……社内で意思決定を進めるうえで、どういう持っていき方がスムーズなのか。さっきの上林さんの「小さな成功」というのは、黙って始めちゃうということだと思うんですけど。それ以外でいい方法があったら、うかがいたいなと思うんです。

みなさんは、どう進めてこられているのか。じゃあ今度は逆に、上林さんのほうから聞いていってもいいですか。

上林:はい、経営者を説得するという話ですよね。まぁでもさっきあったように、いかに成功体験にスポットを当ててちゃんと実績を作るかというのは、やっぱり定石かなとは思うんです。その上でですが、やっぱり推進者の方がエンゲージメントが高くないとダメですよね。

先ほど(第一部)の島津先生の「エンゲージメントが高いところの部下は、エンゲージメントが高い」じゃないですけども、こういうのって推進していくとき、伝播があるので。やはりそこが大事なんじゃないかなと思います。そこに対するフォロワーをちゃんとつけて、ちょっとずつのムーブメントを作っていくことが、そもそも大きい進め方としては大事なところなんじゃないかなと思いますね。

あとは最近、弊社のワークショップとかで、いわゆるDXと呼ばれている領域のリーダーシップ研修というオーダーがすごく多くてですね。DXも推進していこうと思ったら、みんな反対するんですよ(笑)。

田口:そうなんですか!?(笑)。

上林:基本的にはやっぱり、自分の仕事がなくなる可能性があったりとか、説得が大変みたいなところがあって。そのときのテーマも結局、すごく細かなスキルをつけていって、人をどうやって説得するのかというオーダーがやっぱり来るんですけど。そういう小さなスキル開発も意外と大事だなというのは、最近すごく感じるところでもありますよね(笑)。

田口:なるほど、ありがとうございます。成功体験のスポットに加えて、推進する人がエンゲージメント高くないと。おそらくやろうと思う方は、高い状態にあるんじゃないかなとは思うものの。あと、ムーブメントを作るというところで「フォロワーを作る」というのが、1個大事なポイントですね。

上林:大事ですね。

田口:1人目の仲間を作るっていう。

上林:そうですね。

田口:そして小さなスキル開発。具体的にはどんなスキル開発をすればいいんでしょう。

上林:すごくベーシックな話になりますけど、やっぱり人と人との関係性なので。相手の背景をどれくらい理解できているか、とか。これだけ今、オンラインで論理的で効率的になりつつありますけど。結局、人は感情の生き物なので。相手側の感情にどれだけ配慮するかとか、そのあたりを一つひとつ伸ばしていくことが大事だというのはありますね。

田口:ありがとうございます。これだったら日々、ちょっと意識をするだけでできますもんね。

上林:そうですね、はい。

田口:あとはEQとかいう感情トレーニングとか、そういうのもいいかもしれませんね。

上林:そうですね。でも意外とそこは配慮できずに、巻き込もうとしてる方もけっこういらっしゃいます。

田口:確かに。「俺はやりたいのだ」というベクトル1本しかない(笑)。

上林:そうなんですよ。ベクトル1本しかない、みたいなところがあったりしますし。結局、関係性の問題だと思いますので。やっぱり誤解みたいなのがすごい強いので、そこを突破するのは大事ですよね。

田口:ありがとうございます。斉藤さん、いかがでしょう。斉藤さんも言ってみれば、日本では新しいプロダクトなわけで。けっこうご苦労されてるところがあるんじゃないのかなと思うんですけど。

斉藤:私、250人いるFringe81グループの執行役員でもありまして。経営陣で人事の制度とか、そういういわゆるROIが明確じゃないところへの投資ってどうやって決めてるかなというのも、上場企業のいろんな経営者のみなさんとお話させていただいてて聞いていると「これほど合理的じゃない領域はないな」と(笑)。

田口:なるほど。

斉藤:川本さんもめっちゃ笑ってらっしゃいますけど(笑)。本当にそうだと思っていて。「これを入れたらこれだけコストカットできるから入れよう」と意思決定できるものって、正直、誰でもできるんですよ。それをするのは経営者の仕事じゃないんで。非合理をちゃんと自分の意思を込めて決定するというのが、経営者の仕事です。

51対49で、51をがんばって選ぶ。で、それを100にするというのが経営者の仕事なので。それをデータ出して意思決定するだけって、正直、仕事してないようなものだと思ってます。じゃあ非合理な中で意思決定するとなったとき「自分たちの組織ってこうあるべきだよね」というところに、いかに則してるかなんですよね。

こういう課題があるという合意、その課題ってクリティカルだよね、大変だよね、もっとこうしていきたいよねというのを語れれば。意外とこねくり回していろんな数字集めるより、そこの理想が合意できているということが、一番大事だなと思っています。で、理想が合意できると、確かにこの手段でいけそうだとなったら、スルッと通るケースが多いなと。

2つポイントがありまして、1つは上司の意思決定する地位の人。例えばスモールスタートだとしたら、部署でもいいですね。100人ぐらいの部署だったら部長と。「うちの組織って今、こういうの大変じゃないですか。例えば〇〇さんと〇〇さん、あんまり仲良くないじゃないですか。その結果、こういうことが進み遅くなってます。どうしていったらいいんですかね、うちの組織って」と、まず理想を語ってみる。

それに対して「せっかくこういうチームとチームがあって同じ成果出してるんだから、こうやって共同していけるといいよね」「なんでそれってできてないんでしょうね」「たぶんね、ここが大変なのとここが大変なの、知らないんですよお互い」「あっ、じゃあ知り合えるといいんですかね……。ところで『Unipos』ってあるんですけど」っていう(笑)。

(一同笑)

こう持っていくと、理想と手段の合意をしやすいというのは正直あります。その中でじゃあもっと大きなレイヤー、100人ではなくて1万人とか2万人で合意するとなると、それだけでは絶対合意できなくて、ファクトが大事になります。1回100人とかで入れてみたときに、心理的安全性が上がりました、エンゲージメントが……と、なんらかのサーベイと照らし合わせて。ないし高い組織と低い組織だったら、高い組織のほうが上がってる。

これは、エンゲージメントのいろんなサーベイありますけど、わりと如実に出ます。なのでそこを上げていくという合意をとって、スモールサクセスが3部署ぐらいで起こると、やっと全社に入れようかという話になるというのは、正直なところですかね。

なので、理想を語ろう、一緒に。で、それを自分の言葉で語らせてみる。自分が語るだけじゃないですね、語らせてみるというところが1個。で、スモールサクセスを周辺の仲間を捕まえて作っていくという、さっきの上林さんの話もそうですけど。この2つが合わさると合意は起こりやすいし……まぁ、合理的な意思決定はされないと(笑)。

(一同笑)

というところなんじゃないかなと。

田口:ありがとうございます。「データがあることは誰でもできる」というの、シビれるお言葉ですね。

(一同笑)

言うなれば判断ではなくて、決断が経営なのだということですよね。それを迫っていくということだったり、その前にはまずどうあるべきか、どうありたいかの理想を「語らせる」という。語るじゃなくて、語らせるという部分がポイントなんですね。

斉藤:ちょっと抽象度の高い話になっちゃって、アレなんですけども(笑)。

田口:いやいや、ありがとうございます。和田さん、いかがでしょう。和田さんもご苦労されること、けっこうあったんじゃないかなと。

和田:そうですね(笑)。正直、トップの方が本当に重要性に気付いていただけないと。導入はできたとしても、うまくいかないケースが非常に多くてですね。だからトップの方にどうやって、理想とのギャップだったりとか、今どういうことが問題で、そこが解決するとどれだけの効果があるとかというのを、どう見せるかということをすごく研究しまして(笑)。

結論として、絶対これだっていうのが出てるわけではないんですけれども、でもやっぱり今、従業員満足度とか取られてる会社さんってけっこう多いので。そこが高くないことによってどれだけのロスが出てるかということを、まざまざと。そこでのロスがどれだけあるかが見えると、やっぱりそこになにかしようという視点にはなるかなとは思いますね。

田口:なるほど、ロスを見せる。

和田:それをトップが気付いて自らやっていくというのが一番早いんですけれども、トップじゃない方が上申してやるというのもあるので、なかなか難しいなと思います。それでうまくいかなくてしょんぼりする担当者の方とか、何人も見てきたので。すごくやっぱり難しいことだなって。

自社の中で考えても、本当にさっきおっしゃってたみたいに、数字で表れる「これがこうなればこうなる」というロジックが、明確に組めるものではなかったりするので。それはやっぱり難しかったりする。なのでそういう良い取り組みをされてる会社さんを紹介したりですとか、やっぱりそういう会社さんとの付き合いがある会社さんは、どんどんそういうふうな流れになっていくな、と感じますけど。

あんまり答えになってないんですけれども(笑)。やっぱりトップの意識はすごく重要だなって思いますね。

田口:ありがとうございます。僕もお仕事を受けるときに、トップがコミットしない限りは受けないんです(笑)。絶対うまくいかないです。

「ロスを見せる」というのは、効果あるなと思いました。行動経済学のプロスペクトセオリーが転用できるなと思いました。経済学でもこれは実証できますよね。じゃあ川本さん、いかがでございましょう。

川本:お腹いっぱいなぐらい、もうみなさんにいただいてるんで(笑)。

(一同笑)

今さらというのはあるんですけど。メンバー目線であえて言うんだったら、もう無視してやっちゃうというのがまず一番ですね。で、2つ目が「蒸気機関車の一両目であり続ける」のが大事だと思っていて。やっぱり蒸気機関車、一両目しか動いてなくて、あと二両目以下はついてきてるだけなんで。一両目で自分があり続ける。もしくはなれないんだったら、なれる人を探す、お願いする。で、自分が二両目になる。これをやり続けるかどうかと。あと決して折れない、ですね。

で、4つ目。これウルトラCなんですけど、それでもムリなら辞めちゃったらいいんじゃないかと思いますね(笑)。違うところで、またエンゲージメントの高い組織を作ればいいんじゃないかな、と思います。

田口:ありがとうございます。個人的には「まずやっちゃう」って大好きです(笑)。

川本:スタートラインなんで、とにかくやっちゃわないと始まらないですし、永続的な取り組みなんで。さっさとやればいいのにな、ってすごく思いますね。

田口:まずやっちゃうっていうのは、スモールサクセスにつながるところでもありますもんね。

斉藤:人事・経営側からすると、そういう文化を作っていきたいです。この間も別のカンファレンスでも話させていただいた、社内のポリシーがあるんですけど。「『良い会社に入る』ではなく、『素晴らしい会社を作る』にしませんか」というのを、入ってくれるみなさんには言っていて。

そうすると、会社は作ってもらえるもんじゃなくて、自分たちで作るものなんだというマインドセットになる。プラスそれを受け入れる経営側の度量というものが組み合わさると、さっきおっしゃっていたみたいにスモールサクセスがしやすい組織になるし、いわゆる変化に適応できるチーム作りができていくんじゃないかなと。

各社のキーワード

田口:ありがとうございます。さて、あっという間にお時間が近づいてまいりました。今日のところを振り返っていこうかなと思います。キーワードの抜粋になりますけども、冒頭ですね。みなさんが何をやっておられるのかというところから、紐解いてまいりました。

川本さんからは「ムダなストレスをなくしている」のだと。で、役職ではなくてロールで区切っているのだと。これはみなさんも同じでした。信頼関係の大前提があるのはそこであったと。

斉藤さんから「小さな関係性を埋めていくことから作っていく」のだと。これは、任せるとか任されるというところから始まっていく。

それから和田さんからは「想いをどうやって伝えていくのか」と。背景がわかっていること、相互理解というのが大事なことなのだ。べつにフラットだとかトップダウンがダメだとか、そういうことではないのだと。

上林さんからは「管理職が要である」ということだったり「気付きをもたらす」という部分、ここから始まっていくのだ。そんなお話をいただきました。

それがどういう良いことがあるんだ、ということであったら、まず「人生が楽しくなる」という軸であったり、これはもう疑いようがないですよね。本当そう思います。あと数字に見えるところであれば、生産性が高くなるということは、これは疑いようがないだろう。あとはその根っこになる「どうしたいか」とかが言えるようになると。これもあるだろう。

あと、どうやって進めていくか。「スモールサクセス」とか「まずはやっちゃう」ことだとか。あとは「こうあるべき、ということを語らせる」というだったり。あとはそれがないことによって失う「ロスを見せる」ということ。

こんなことをみなさまから、お話としていただきました。ということでお時間になってまいりました。4社の方々、大変どうもありがとうございました。以上で第二部のパネルを終わりたいと思います、ありがとうございました。

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