2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
KYOTO STARTUP PITCH2020 summer Ghoonuts/BioLab-coto(全1記事)
提供:京都リサーチパーク株式会社
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都志宣裕氏(以下、都志):よろしくお願いいたします。僕らはGhoonutsというチームでやらせていただいております。我々は「脳刺激のデバイスの事業化」というテーマで進めております。
先にビジョンの説明をさせていただきたいんですけれども。僕らは、技術を通して不可能や限界を超えた世界を創りたいという目標があります。10年20年かけて、もしくはさらに時間をかけて不可能を超える世界を創っていくことが僕らの大きなビジョンとなっています。
例えば脳からインターネットに直接アクセスするとか、脳を通していろいろな世界を感じるというところがテーマとなっております。
メンバーは3名です。僕はもともと京大でベンチャーをやっていて、そういったところの管理運営をやっております。研究者としては、脳波や生体信号の研究をしており、ソフトウェアのプログラミングができる松本。あとは、小さいころからずっとサッカーを経験している村田でやらせていただいております。
なぜサッカーかというところなんですけれども。僕らの課題がサッカーに関するもので、これはスペイン代表のシャビ選手とスペインリーグの一般的な選手の空間認知能力をテストしたものになります。
目をつぶってピッチに立ってもらい、目を開けて10秒以内に周りの選手がどういう状況になっているかを把握してもらうテストです。シャビ選手の場合は周りで15人がどういう配置になっているかを正確に理解でき、スペインリーグ選手の場合は把握できたのが6人だったという結果がありました。そういったところがパフォーマンスにも出ているということで、空間認知能力の重要性が最近言われ始めています。
ただ、空間認知能力は重要なんですけれども、トレーニング方法としてはまったく確立されていない未知の分野です。こういった能力を高めていくことが必要だと言われております。
都志:我々はそれに対して、どういうふうにサービスを提供していくかというところなんですけれども。脳の外から電気刺激を与えるヘッドフォンを開発して、それを毎日20分、トレーニングをする前に頭部にあてて能力を上げていく。そういったデバイスを提供していきたいなと思っております。
「そんなこと本当にできるの?」というところなんですけれども。先行研究などでも、刺激をあてた場合とあてていない場合で、研究上の認知能力のテストでも差が優位に出ていると報告されています。
「それって大丈夫なの?」というところなんですけれども。安全性に関しても、もちろんほぼ全員が電気刺激をあてたあとも健康状態を保っているということでございます。
実際にどういったビジネスをやっていくかというところです。僕らは実際のデバイスの提供と、デバイスを通して行うトレーニングなどのサポート。あとはトレーニング前後の刺激のデータ解析などのサービスを、月額利用料をもらうかたちで提供していきたいなと思っております。
導入したときにどういった効果、メリットがあるか。冒頭でお話ししたように選手それぞれの空間認知能力があがります。それによって、いろいろなプレーのバリエーションが増えて、チームとしてもパフォーマンスが上がるというところですね。
あとは筋持久力アップの報告もされておりまして、これに限らずいろいろな能力を上げることができます。既存の選手の強さを上げるものなので、海外や外部から必要な選手を獲得していく必要がなく、人件費なども抑制できるかなと思っております。
最近はスポーツとITを掛け合わせたスポーツテックも注目されています。市場としても、どんどん広がっていっている分野です。年平均で20パーセント成長していますし、2024年には、グローバルで3兆円を超えると予想されております。
最後に、今クリニックとも連携しておりますが、スポーツチームや外部アドバイザーとも連携して、どんどん強みを伸ばすであるとか、弱みをなくしていきたいなと思っております。
僕らはテクノロジーを通して、ありとあらゆる可能性を実現していきたいなと思っておりますので、ご支援ご協力のほどよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
司会者:都志さんありがとうございました。それでは、ゲストメンターの方からの質疑応答に移らせていただきたいと思います。服部さんいかがでしょうか?
服部将大氏(以下、服部):ありがとうございました。
都志:ありがとうございました。
服部:これはまずサッカーから始めていくものなんですか?
都志:はい。サッカーから始めていきたいなと思っております。
服部:具体的な効果や効能について、もうちょっと聞きたかったなと思いまして。これをやることによって、具体的にどんな効果が出るのかが知りたいのと、これに代わるものがこれまで何かあったのかどうかを聞かせてもらえますか?
都志:ありがとうございます。(画面を共有して)例えばこういったところですね。これは認知能力のテストなんですけれども、瞬時にどういったものを把握できるか、動きや短期的な記憶力も上がるので、選手がどう動いているかという予測ができるようになります。
実際にこういった空間認知能力が上がることによって、瞬時の周りを把握する能力が上がるので、それぞれの選手が今どこでどういうふうに動いているか、誰がどこにいるかが分かることでパフォーマンスが上がるかなと思っております。
服部:これに代わるほかのトレーニングって、たぶんこれまでもあったと思うんですけど。御社の技術を使うことによって、その市場を取りにいけるということなんですかね?
都志:空間認知能力をどういうふうに上げられるのかというのは、やっぱりなかなか難しいところです。わりと最近出てきた分野でもあるので。
本田圭佑選手がTwitterで「空間認知能力はこうやったら上げられます」というトレーニングの仕方を最近ツイートしていたりはするんですけれども。それで実際に能力が上がるかというのは、むしろこれから証明されていくところなので、みなさんも試行錯誤というかたちですね。
服部:どちらかと言うと新しい市場というか、新しいトレーニングの方法なんですね。
都志:はい。
服部:なるほど。これは月額で、まずはスポーツクラブから販売……少しずつクリニックなどと提携して取っていくということだと思うんですけれど。だいたい単価はどれくらいを設定されているんですか?
都志:我々はスポーツチームを想定しておりまして。実際にはトレーナーといったところも含まれているので、僕らはチームとして支援していくというところです。だいたい月額100万円前後を想定しております。
服部:すみません、どこまで質問していいのかな。100万円だと、これまでの価格設定のようなところは、すでにほかのサッカーチームからすり合わせをしたり、だいたいこれくらい取れるよというのは見えているんですか?
都志:そうですね。えっと……。
服部:どのくらいの規模のサッカーチームかがわからないんですけど、100万円というとどれくらいの相場感なのかなと。これから月額で取られていくということなので、取れるのかどうかというのが。
都志:けっこう有名なトレーナーの方、それこそチームに付いているような専属のトレーナーの方ですと、平気で数百万円いくというのが相場です。我々も全部のトレーナーはできないので、空間認知能力や筋持久力といった、僕らができるところにフォーカスしています。ただ、その代わり僕らが伸ばせるパフォーマンスがあるので、そういったものをチームでサポートしながら、解析などを含めて月額100万円前後。チームとして派遣するというイメージです。
服部:それはレポーティングしてあげたり、個々の選手に対して、1人ずつ「こういう状況だよ」という結果を共有していくんですか?
都志:そうですね。ゴールキーパーの方もいらっしゃるんですけど、ピッチに立つのはだいたい10人と想定しておりますので。まずは10人の方を対象に考えております。
服部:今どこまで進んでいらっしゃるんですか? 実際にどれくらい売れそうなのかどうか。テスト中なのか。
都志:公知な研究ではあるんですけれども、我々として少しトレース実験のようなものもしております。そういったところが今クリニックさんと少し協力をさせていただいているところなんですけれども。
クリニックさんやお医者さんと連携しながら、まず僕らのほうで確認しつつ、実際にどこまで上げられるかという再現性のようなところをやらせていただいています。
あとは実際にスポーツチームの方にお話をしたり、空間認知能力がどこまで重要かというところとか、実際にどうかというヒアリングプラス、簡単な「どうですか」というところを今お話させていただいている状況です。
司会者:ありがとうございました。廣澤さんはいかがですかね?
廣澤太紀氏(以下、廣澤):そうですね。僕も聞きたかったところはほとんど聞いていただいたような感じではあるんですけど。2、3点追加で聞きたいのは、このサービスは「誰のどんな課題を解決するか」もう一度伺ってもよろしいでしょうか?
都志:あ、すみません。まず「誰の」というのは端的に言うとサッカー選手です。誰がどういうところにいるかを空間的に把握できているかがわからないことによって、結果的に瞬時にパスしたりセンタリングを上げるところのチョイスが限られてしまうことが潜在的な課題です。
要は、視野が広く見えることによって、その選手ができることが増えるというのが前提にあります。そういった視野の広さであるとか、瞬時の判定の精度を上げることによって、その人の成果が上がるというところが一本柱になります。
廣澤:これはサッカー選手にとっては、課題として認識されているものなんでしょうか?
都志:そうですね。ヒアリングなどもさせていただいていて、そこはもう大前提というようなかたちである反面、「でも、それって上げられないよね」というような認識がけっこうありまして。
「必要に決まってるじゃん」という感じなんですけれども、「どうやって上げるの?」というところは、「ひたすら試合を見てやるしかない」「慣れだよ」という状況ですね。
廣澤:ありがとうございます。もう1つ伺いたかったのは、ソリューションです。実際に提供するものは、ハードのデバイスとなんらかのソフトウェアを提供するかたちになるんですよね?
都志:はい。おっしゃるとおりです。
廣澤:プロトタイプなどはありますか? まだ開発段階でしょうか?
都志:まだ今はなくて、ヘッドフォンのようなものを想定しています。この選手の方が着けているようなイメージを想定していただければいいのかなと。実際に頭部を刺激して、そのあとにやりたいトレーニングをやっていただくかたちになっております。
それでどれくらい上がったか、もともとのパフォーマンスの判定や解析というものを我々は提供していきたいなと思っております。
廣澤:最後にもう1点だけ質問させてください。今回創業された会社で目指しているゴールなどはありますか?
都志:ありがとうございます。おそらくその先みたいなところですよね。僕らがこの刺激を与えることによって、神経回路が変わることが仮説として証明されているものもあれば、いやそうではないというものもあります。やっぱり研究の中なので、賛否両論あるんですけれども。神経回路が変わるというところが前提としてあります。
その行く先としては、例えば時速160キロのボールを投げられるような体の構造は持っていても実際には投げられない人がほとんどじゃないですか。そういった人が投げられるような、脳の中だけでは解決できなかった問題を解決していくところが僕らの目指している最後の世界です。体で動かすことができるような短期的な記憶の移転のようなことがやりたいと思っております。
廣澤:なるほど。ありがとうございます。
都志:ありがとうございます。
司会者:たくさんの質疑応答をいただきまして、ありがとうございます。それではGhoonutsの発表はこちらまでとさせていただきます。都志さんありがとうございました。
都志:どうもありがとうございました。失礼いたします。
司会者:続きまして、BioLab-cotoの発表に移りたいと思います。西井さん、それではよろしくお願いいたします。
西井成樹氏(以下、西井):それでは始めさせていただきます。miyako起業部チームBioLab-cotoの西井と申します。本日は微生物スクリーニングシステムの「microbio scopy」をご紹介させていただきます。私は、3分野の微生物検査ビジネスをマネジメントした臨床検査技師です。検査員としての当時の顧客ニーズや課題を解消するために起業を決意しました。
今回のパンデミックでは検査数が増えないことが問題視されて、その中で「PCR検査は臨床検査技師であってもできない」という事実が報道されました。微生物検査はかなりの職人技で、実は教育にとても時間を要します。「microbio scopy」は微生物検査員の職人技を排除して、顕微鏡検査を自動化、人材不足を解消します。
医療部門の細菌検査は、3つのステップからなっています。2番目と3番目は治療に重要な結果が得られますが、数時間を要することが課題です。一方、顕微鏡検査のほうは15分と迅速ですが、通常はこれら3つの結果が揃ってから報告されるために、迅速性の利点が相殺されて、顕微鏡検査はあまり活用されていません。しかしながら、実は強力なパフォーマンスを持つ検査です。
私は年間15万枚の標本を見てきました。1人の患者様の検体に1分くらいしか時間が取れず、正直丁寧な検査ができませんでした。効率化優先のためにこのような辛いイメージの作業になっていました。
西井:それらをなんとか自動でできないものだろうかと考えました。
例えばこんな診療経験をお持ちではないでしょうか? 風邪のような症状が長引いて診療を受けたとします。医師は「ただの風邪でしょう。お薬を出して様子を見ましょう」と。その結果、「風邪と診断されたけど肺炎で死にかけた」などとTwitterで投稿されています。症状だけでは病気の原因を特定できないことがあるためです。コロナウイルスも然りですね。
これは顕微鏡像の一例です。医師へはスライドの記号のような検査報告がなされています。これだけでは医師は診断もできません。しかし熟練技師にはこのように見えています。「これは肺炎球菌による細菌感染症であって、ペニシリン系の抗生剤が有効である」というふうに推測をしているんです。
でも、そのほとんどが報告されていません。これは熟練が必要で標準化が困難なこと。私のように時間が取れなかったり、あくまでも推測事項なので結果に責任が取れないというのが主な理由です。
さらに染色法を変える。特殊な金ナノ粒子で染色することにより、3つの病原体を同時に検出することが可能になる。これは今言われているPCR検査より早くて安くて簡単です。そして、抗原検査や抗体検査より高精度な検出系が実現できます。そしてこの技術は他分野、例えば食品分野へも応用が可能です。
熟練技師の情報をすべての医師に届けることができたなら、名医が増えて無駄な薬や通院回数が減り、医療費が削減される。迅速で高精度な検査がすべての医療機関、ひいては空港検疫で可能となれば、パンデミックの制御に貢献します。ユーザー側はコスト削減や人材教育が不要となるメリットが得られます。
ビジネスモデルです。「microbio scopy」はAIによるクラウド型検査システムです。ユーザー側で、標本の画像をクラウド上の「microbio scopy」へアップロードいただきます。良質なデータと熟練技師により教育されたAIが、検査結果を報告します。この判定料をSaaSモデルでマネタイズします。本プロダクト導入により、10年間で約数千万円のコストが削減可能です。
マーケットサイズは3兆円規模。アジアの経済成長および今後のパンデミック対策の強化によって対象市場は拡大します。本ビジネスでは10年間で約20億円、営業利益40パーセントという高収益事業を計画しています。
起業準備チームです。まだ登記はしておりませんが、アカデミアの先生方との技術連携を開始しました。現在は機器メーカーのパートナー様を探しています。以上、「microbio scopy」のご紹介でした。ありがとうございました。
司会者:ありがとうございました。それでは質疑応答に移らせていただきたいと思います。次は廣澤様からお願いしてもよろしいでしょうか。
廣澤:ありがとうございました。2つ質問させてください。1つは今のフェーズで、例えば実証実験を開始しているといった進捗があれば、今どういう段階にいるかを伺いたいです。
もう1つは、なにかしらの代替サービスなどが、今すでに存在しているのかどうかを聞きたいです。
西井:まず現在の状況。今回のこの「microbio scopy」では、2つご紹介したと思います。熟練技師の教育を受けたAIを使うものと、もう1つは金ナノ粒子を使ったターゲットの検出という2つ。
AIのほうに関しましては、今パートナーがおりまして、そこからのサンプル共有および熟練技師の協力は得ています。その前の段階の感染症の判定というよりは、実際に現場で行われている最小限の判定のところを、一部だけAIを使って判定をやっているところで。まだまだ初期段階とご理解いただければよろしいかと思います。
これにはまだ起業はされてないですけど、2つほどのコンペティターが世の中に存在していると認識をしています。ほぼ大学関連ですね。
後者の金ナノ粒子のほうは、まだ今始まったばかりの流行りの光学系の技術です。こちらはseedsをお持ちの先生に対して、今共同でやっていく話がまとまったところです。
基礎的な実験データは論文などにもすでに出ていまして、一部で金ナノ粒子の試薬のようなものはもう世の中に出ております。ただ、これを使った高感度な検出系は今のところありません。
金ナノ粒子は昔から使われているので、今回テレビで言われたコロナウイルスの抗体検査、イムノクロマト法と言うんですけど、あれは実は金ナノ粒子を目視で判定しているのです。
今回、我々はあくまでも顕微鏡を使って画像解析していくことによって高感度になるということで。ここに関しては今のところ大学レベルで進んでいて、そのデータは基本的に光学系の大阪府立大学の椎木教授がお持ちです。
今、私の微生物のところで、基礎的な確認を行っているところです。ここは具体的に市場に投入するための仕様について議論を重ね、障害に対していろいろな変更をかけているという状況です。よろしいでしょうか?
廣澤:ありがとうございます。技術的な面に関しては、私では分からない点が多いので、ビジネス面で質問させていただくと、今は具体的な導入企業や、導入を前向きに検討してくれているところと一緒に進めているというお話はありますか?
西井:ございません。あともう1つご質問を忘れていましたね。代替の技術という点ですね。これはコロナウイルスを検出する系、例えば、今のPCRにまつわる競合大手他社がコロナ禍によって大きくそこへシフトしてきています。
それを踏まえて、今のPCRよりはもちろん高性能な検出ができるという話で進めてはいますが、今後たぶん大手メジャーからもう少しいろいろな情報が出てくる。例えば日本のメーカーでも、PCRの時間を1時間以内に抑えるような技術は出ているので、それは随時チェックはしています。
今のところは、金ナノ粒子を使ってあの系でPCRを超える高感度を持っている企業さんは、大手メジャーであっても出てきていないという情報ですが……ただまぁこれは、今後は保証できないとは思っています。
廣澤:なるほど。ざっくり分けるとこの事業をやっていくうえで、研究フェーズを自社でやる必要があって、その次の段階がサービスとしての実装フェーズがあって、そのあとに実際に導入、グロースというフェーズになっていく流れでしょうか?
西井:そうですね。おっしゃるとおりです。まだまだ若いステップというか、始まったばかりのステップではあるんですが。AIのほうはやはりみなさんが苦しまれるのは良質なサンプルの入手、そこに関してはルートを持っているということ。一部それに対して進めていっている。
金ナノ粒子のほうはプロダクトをどうするかっていうことと、市場の大きさ。これは先生側も私側もすべて進めていて、実は食品分野をターゲットとして投入していくということをすでに考えているので、若干前に進んでいます。
たぶん世の中に出すうえで、金ナノ粒子のほうは最低2年はかかると思っています。一応2年後の市場投入ということは先生方と目標にしているところでございます。
廣澤:なるほどです。ありがとうございます。
司会者:ありがとうございます。続きまして服部様、いかがでしょうか?
服部:ありがとうございました。いくつかありますけれども。販売していくうえで、安全性の確認のフェーズがけっこう段階を追ってあるのかなと。現時点でそれを申し上げるのは、これからのステップだと思うのでまだ早いかなとは思うんですけど。
一方で、技術力の優位性はおそらくおありなんだろうなと思うんですけど、これをどうやって医療機関とか、販売していく人たちに対して認知させていくかが大事かなと思っていて。
その点でいくと、これから会社を立ち上げる段階かもしれませんけど、御社の中で販売ができる方はいらっしゃるのでしょうか。基本的には最初は直販がいいかなとは思っているんですけど。代理店の方とかパートナーはたぶん売り切れない部分もあると思うので、最初は直販になると思うんです。
要するに販売・セールスの部分で、「ちゃんと売ることができるのかな」というのは、たぶん課題の1つになってくると思います。よくある課題として、技術はあるけれども認知してもらえないとか、販売が弱いとか。スタートアップの経営というところでいくと、そのへんができる方がいらっしゃるのかどうかをちょっとお聞かせください。
西井:まず販売ルート、営業的な側面として、まだチームの中には加えていないんですが、営業の経験者の方に今「一緒にやりませんか?」とお声をかけているところです。旧知の仲なんですけれども。国内医療メーカーに非常に多くのルートをお持ちで、昔に某ベンチャーを立ち上げられた経験があるような方です。
食品のほうは、私の個人的な人脈およびルートとして、前職含めて現在いろいろな学会や研究会の理事などもやらせていただいているので、そのルートがございます。そこで私が本プロダクトを宣伝できるルートは、比較的自由に環境を持っているとお考えください。まず営業に関しては、この2点を考えています。
今の時点で1つ重要な点がありまして、これを販売ソースに乗せていくため、先ほど最後にご説明したように顕微鏡メーカーのパートナーを募集しています。実はいろいろなところで撮影装置を探していまして。このプロダクトを売っていく中で、撮影装置が非常に重要なキーになるということは、我々の中でいろいろ議論を重ねて出ている結果です。
そちらを今募集しているんですが、要は検査までに顕微鏡の焦点を合わせること自体がもう1つの職人技になるので、そこにオートフォーカスできる。最近はスマホにくっつけるような顕微鏡も弱拡大ではあるので、そのあたりをできるだけ安価で作る。
今は高価な機器はあります。先ほどの年間数千万円の削減は、数千万円もする高価な機械を使ったときの削減費用として計算をしています。ただ高価な機械はイニシャルコストがかかり、入り口が大変なので。今の時代はかなり技術が進んでいるので(安価に作れるものも出てきています)。
実は光学系の顕微鏡装置についても、大学さんのほかの教室にアプローチをかけて試作機を作っていただくお話を徐々に進めていっている段階です。まだこの教室と組みます、というところまではいけてないですけれども。
少なくとも顕微鏡装置の性能は、我々のプロダクトに大きく影響することになるので、実際にそれでハードができあがったとすると、相性のいい販路をお探ししていろいろお話を持っていくと考えております。以上です。
服部:おそらくいくつかフェーズがある中で、資金調達の部分でいくと時間がかかるビジネスかなとは思っているので、マイルストーンを引きながら計画されていくといいかなと思っています。
西井:ありがとうございます。
司会者:それではBioLab-cotoの発表は以上とさせていただきます。西井さんありがとうございました。
京都リサーチパーク株式会社
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