2024.12.24
「経営陣が見たい数字」が見えない状況からの脱却法 経営課題を解決に導く、オファリングサービスの特長
提供:富士通クラウドテクノロジーズ株式会社
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金岡亮氏:それでは、独自調査をもう1つやってみたいと思います。ガラッとテーマが変わりまして、「他国の経済状況」を分析したいと思います。お察しのいい方はもうお気づきかと思いますが、こちらも衛星データを使っていきます。
先ほどは、「Starflake nightview」(人工衛星が撮影した都市の夜間光データ)で自然の様子を観察する事例をご紹介しました。もちろん、ビルの夜光や月齢データを見ることもできます。最大の特徴としては、そのエリアの経済的な価値を可視化するデータとして使用可能です。
弊社での検証なんですけれども、公示地価のデータと組み合わせて分析してみました。実は我々、公示地価のデータを販売しております。不動産業様や流通業様が「コストの安いエリアを見つけてそこに出店しよう」といった計画を立てる場面で使えるデータになっております。
ただ、公示地価のデータ自体は公的機関が出しており、弱点があります。人口10万人以上の市区町村のデータしかないのです。なので、人口が少ない郊外地域の地価を比較することはできません。また、更新頻度も年次ですので、例えば再開発が活発なエリアの地価の推移を分析するのは難しいです。
今はとくにオリンピックイヤーですので、再開発が非常に活発です。地価の動きもすごく大きくなっています。出店計画や不動産買い付けといった場面では、なかなかそれに代替するデータがないので、一工夫しないと困るのかなと思います。
「Starflake nightview」を使った我々の検証によると、都市の夜間光は実は公示地価と強く相関します。これは1都3県のデータなんですけれども、とくに顕著で、相関係数0.84とほぼ正比例の関係にあります。夜間光は先ほどご説明した通り、全世界250メートルメッシュで取れますので、当然日本全国のデータが取れます。
ご覧いただくと、公示地価が歯抜けになっているエリアでも、取れているんですね。郊外地域も、地価を同じ基準で比較できる代理変数として、このデータをお使いいただけるんじゃないかなと思っております。
この夜間光と人口データを組み合わせて、例えば人口密度が高いけれど夜間光が暗いところ、つまりコストパフォーマンスのよさそうなエリアを抽出する。それを飲食店などの出店計画に使っていただくなんてことも、実際の分析事例として出てきております。
エリアの経済的パワーを示すデータなんだということを、覚えていただければと思います。後のデモにちょっと関わってきます。
それでは、各エリアの夜間光を見ていきたいと思います。こちらは東京駅の夜間光、だいたい140ぐらいです。東京駅と同じぐらい光っているところはどこなのか、ぱっとわからないですよね。
例えば新宿御苑や浅草などが、実は東京駅と同じぐらいの光り具合をしております。うーん。「言われてみればなんとなくそんな気もする」という感じですよね。
そこでDNB(DAY NIGHT BAND)を抽出してみますと、こんな感じです。100エリアはこんな感じ。東新宿のほうに近づいています。
「都内で一番夜間光が強いエリアってどこなんだっけ」と見てみますと、新宿です。これは非常にわかりやすいかなと思いますね。新宿の歌舞伎町エリア、非常に夜間光が強いエリアです。
見ていただくと、380なんていう数値が出る日もあります。だいたい東京駅周辺の2~3倍のDNB値を持っております。ちょっと遡ってみましょうか。東京は140で、380ですね。
この結果には、OOHと呼ばれるような屋外型広告だとか、人のトラフィックだとか、車通りだとか、いろんな要因が重なっています。要は非常に栄えているのが新宿西口とか、歌舞伎町エリア。こんな感じで、エリアのパワーを比較することができます。
使いどころとしては、鉄道沿線を抽出することもできます。例えば、とある沿線の各駅停車駅がいくつかあって、人口も地価も同じぐらいである場合、どの各駅停車駅にお店を建てたらいいのか。
乗り入れなどいろんな条件があったりして、比較が難しいですよね。その中の変数の1つとして、夜間光が使えるんじゃないかというものがございました。
ここに載せていない例で言うと、阿佐ヶ谷と武蔵境は実は夜間光の量が同じぐらいで、そこが拮抗している。阿佐ヶ谷・高円寺とかは観光地で有名ですけれども、武蔵境も実は同等だったというのが、夜間光を見るとわかってきます。
先ほどはあえて暗いエリアを抽出しましたが、例えば鎌倉みたいな、お寺とかがいっぱいあるような閑静なエリアですと、確かに夜間光が全体的に低くなっています。暖色が夜間光が高いところで、寒色が夜間光が低いエリアです。
こんな感じですね。実は皇居とだいたい同じぐらいの光量というのが、鎌倉周辺の特徴でございます。
地形と比較するとこんな感じです。森林エリアは当然夜間光が低くなってきています。緑地・住宅地が多いことがわかるかなと思います。
これがなんだという話なんですけれども、例えば統計データが存在しない新興国でも、同じような分析ができます。
最近よくあるのが、ASEAN地域、インドネシアなどに小売事業者様が展開していくシーン。人口とか公示地価というデータがないと、どこに店舗や倉庫を建設したらいいかわからないケースがあります。
鎌倉みたいにこんな感じで見ていただいて、少し光っているエリアがある。そこは再開発が行われていて、盛り上がってきているエリアだということがわかったりします。
現地に行かなくても、ある程度「ここに出したらいいんじゃないの」という意思決定ができるのが非常に強みとなっております。
工場の話もしたいと思います。工場夜景のスポットでもある京浜工業地帯を見ると、実際にプラントがあるエリアは非常に光っております。だいたい東京駅周辺かそれ以上に光っていることがわかります。
例えば3交代制の工場ですと、夜間もずっと稼働し続けるんですけれども、実はCO2量や稼働量と夜間光が相関しているのではないかと言われております。
工場の夜間光を追跡して、「生産量が落ち込んでいるのか、増えているのか」と分析する使い方も、実はできるんじゃないかと言われています。
こんな感じですね。抽出するとだいたい160以下ぐらいです。
目安をつけてみました。新宿みたいな超繁華街だと350です。渋谷でも局所的に到達するところがあります。東京駅は140以下ぐらいに収まります。大工場、あとは交通要所なんかもこんな感じの光り方をします。
あとは50以下に落ち着いてくるかなという感じですね。郊外ですと、緑地的な光り方をしていても人口は多いという場所も出てきます。
例えば出店計画をする場合は、「緑地で人口密度の高いエリアを狙う」ようなやり方ができるんじゃないかなと思います。
さて、本セッションの冒頭で北海道観光の分析をしたときに、KDDI様の「KDDI Location Data」を見ると、より細かい人の動きがわかると申し上げました。
今回はさらに、380を記録している、非常に夜間光の強い新宿区エリアのデータを、実際にKDDI様のデータを用いて見てみたいと思います。ここのメッシュの人口データを抜いてまいりました。Tableauで可視化してみたのがこちらになります。
見ていただくと、平日の24時間の人口推移がわかってきます。新宿はおおむねばらつきがないんですけれども、休日の0時が増えたりですとか、平日日中は凹んで休日日中は増えたりとか。
「盛り場なので休日は遊びに来る人が多くなるんだね」ということが、視覚的に捉えられるようになっています。
また、こちらは年代別のパーセンテージで分けることができるようになります。時間帯別の年齢構成割合を可視化したのが下のグラフです。横軸が各年代で、縦軸が時間です。
横一行で見たときに色が濃ければ、その年代の人が多いことがわかるデータになっています。
「平日の夜中から明け方は30代の方が一番多い」なんてことがわかります。朝になると、おそらく通勤もあるかなと思いますが、60代以上の方が増えてくる。ちなみにこれは60代の方だけではなくて、60歳以上の方を含むデータとなっています。
あと、夜間は20代も増えるという平日の推移がわかります。駅によっては、ターミナル駅とかは通勤時間帯に顕著に人が増えることがわかります。「通勤時間帯はとくに何歳代の人が多い」という分析をして、駅の中の広告出稿の意思決定時に使うとか、そんな使い方もできるんじゃないかなと思います。
休日を見るとすごく顕著で、どの時間帯も20代が一番多いかなというのがわかります。休日は若い方がいっぱい遊びにきているんだなということがわかったりします。
夜間光のデータで、とくに栄えているエリアが抽出できるのですが、さらに細かい粒度でどんな方々が来ているのかというところまで見られるのが、これらのデータを組み合わせるメリットかなと思います。
例えば、東京駅と浅草と新宿御苑の夜間光が同じぐらいの光り方というのは先ほどお話ししました。それぞれの「KDDI Location Data」で見た人口階層の割合を見てみると、「この街はこんな街なんだ」という戦略を時間帯別に立てることができます。
例えば流通や不動産などあらゆるサービス業で、そこの時間帯、その人に合った戦略・プロモーションが立てられるのではないかと思っております。
ここまでは、前段のお話でした。それでは、さっそく他国経済の分析という話で最後にお話ししたいなと思います。先ほど、工場の夜間光の強さが実は生産量と一致しているんじゃないかとお話しさせていただきました。
実は鉱工業生産指数というマクロ経済を示す指数がございまして、こちらとおおむね追随して、正の相関を持っていることが論文となって、人工知能学会論文誌に載っておりました。
こんなかたちで、夜間光をよく見ると、鉱工業指数開示の前に鉱工業指数をある程度把握することができるんじゃないかということが可能性としてはございます。
ちょっと引いてみていただきますと、京浜工業地帯も顕著だったんですけれども、太平洋ベルト工業地帯がくっきりと光っているのがおわかりいただけると思います。こちらの数値を取ってみると、「各工場の生産量」ということがわかります。
まだ弊社でも研究中のテーマではございますが、今日は先出しということでお話しさせていただきます。今回は中国、アメリカ、日本の工業地帯の2018年1年分の夜間光を取得しました。日本は太平洋ベルトを抽出しています。
これを分析し、マクロ経済のトレンドを示す指数として、金融商品の取り引きや新興国での出店・倉庫建設、不動産売買にこのデータを使えないかというのが、今回のテーマです。
実際に、株価や各国の鉱工業生産指数と並列して夜間光を見られるダッシュボードを作成しました。先ほどのこのエリアですね。アメリカ、中国、日本です。
並べてみると、この系列線は先ほどお話しした月齢なども影響してくるんですけれども、中国はわりと一貫して高いように見えてきます。1月だけ少し凹んでいるのは、おそらく春節の影響があるんじゃないのかと分析しています。ただ、実は日本が一番高かったり、アメリカがその次だったりします。
これは、抽出領域の面積によって絶対値が変わってきます。一律で比較できるような値に変換しないと単純比較はできないんですが、「こんなトレンドがあるよね」ということがわかります。
あとは、今回1年だけ出してみたんですけれども、例えば3年とか5年とか出してみて、その移動平均を取ってみて、アップトレンドなのかダウントレンドなのかを比較してみると、意外と経済のことがわかったりするかもしれません。
もう1つデモ的にやってみたのがこちらです。これは鉱工業生産指数をプロットしております。こちらと、先ほどの夜間光を一緒にプロットしてみました。まだまだ分析が浅いところもあるんですが、2019年の1Qと2Qを比較しています。
そうすると、追随しているのがわかるかなと思います。ただ、3Q・4Qから連動しなくなってくるのがわかります。大きなイベントや政策の影響ですとか、「急にトレンドから離れるような出来事が何か起きたんじゃないか」ということが考えられます。
より長期で見ると、追随していくところと離れてくるところに分かれます。離れてくるところは、ニュースのデータ等をスクレイピングしてみて比較すると、経済市場でどういうことが起きているのか、精緻にデータ化できる可能性がございます。
単純に、エリアの経済パワーを示す指数として使っていただくのはもちろんです。まだ我々も研究中ですが、マクロな経済トレンドを示す指数として、FXや投機といった場面でお使いいただくことも、可能性としてはあるんじゃないかと考えております。
ということで、弊社と一緒にいろんなビジネスを考えていただけるパートナー様を大募集中です!
今回のデモは以上となります。最後に我々データサービスが、いったいどんなビジネスをしているのかをお話ししたいと思います。
基本は、データそのものをライセンス販売しております。ご指定の期間・場所・情報をCSV形式でご提供できるようなかたちで、お客様のステータスに合わせてさまざまなプランを用意しています。
例えば今、データサイエンティストを自社で雇って、データ分析を内製化している企業様が多くいらっしゃるかなと思います。あと、Tableauを入れて自分たちでダッシュボードを作っている方々もいらっしゃいます。
我々は、インテグレーションを売りたいわけではございませんので、あくまでより高度な意思決定をしていただけるように、データそのものを販売するというアプローチを取っております。なので、まずはデータだけを購入していただいて、改めてお客様がしっかり分析をすることが可能となっております。
あとは、ツールとのセット販売もやっております。例えば先ほどのnightview可視化の際には、GoogleデータスタジオというGoogleの製品を使ってダッシュボード化しているんですけれども、こんなかたちで我々のデータを見やすく表現して、そのままご提供するといったことも可能です。
また、GIS(地理情報システム)のBIツールのパートナー様ですとか、日本データ取引所様みたいなマーケットプレイスのサービスを提供されている会社様とも、パートナーシップを結ばせていただいております。
弊社はデータを提供して、ツールはお客様に最適なものを選んでいただき、いろんな方々と広くビジネスをできればいいなと思っております。
また、我々はもともと受託で分析をやっていたチームです。今回のデモで天候や「KDDI Location Data」などいろんなデータが出てきたかと思います。加えてお客様も、自社のPOSデータとか、自社独自の来店客数とか、あとはテレビの放映ログとか、ここでキャンペーンを打ったというデータを持っていると思います。
これらを組み合わせて、最適なプランを考えたりとか、最適な経営戦略を描きたいみたいなとき、我々はレポーティングといったかたちでお手伝いすることが可能です。
また、AI開発。これも当然、ある意味本業ではありますので、承ることができます。最初にファーストフードの事例で、お客様のPOSのデータとオープンデータの気象のデータを組み合わせて分析したとお話しさせていただきました。あのようなかたちで、我々のデータを我々のモデル開発の際に使って、より高度なモデルを作るということも、ご協力できるポイントかなと思っております。
こんなかたちで、お客様のデータ活用のステージに応じて、データ販売ができるというのが我々の強みでございます。上島様のお話で、データのいろいろなステージというお話があったかと思いますけれども、そこに合わせて最適なかたちでデータをお使いいただければと思っております。
さらに、協業いただけるパートナー様を募集しております。例えばデータそのものをリセールいただくブローカーとして日本データ取引所様に入っていただいておりますが、そういったかたちで我々のデータを再販いただいて、自社ビジネスとしてコーディネートしていただく方々を広く募集しております。
また、SIer様でよくあるのが、アプリケーションを作ってその中の1つのコンテンツとしてデータも流し込みたいということで、データをご提供するケースもございます。そういった開発資材の1つとしてお使いいただくのでもOKです。
また、コンサルタント様やエージェンシー様で、いろんな分析レポートを自社で作らなきゃいけないという会社様もいらっしゃるかなと思います。そこに我々のデータをご提供して、使い方のアドバイスもしながら、我々のデータを使って広く分析をしていただくということもできるかなと。
さすがにAI開発は弊社でやるかという感じなんですけれども、実はわりと競合するようなAIベンダー様や開発会社様にデータを購入したいとお声がけいただくケースもありまして。
私もそれはいいかなと思っております。ある種、今まで手が組めなかった競合にあたる会社様に我々のデータを使っていただいて、より精緻なモデルを作っていただくのも非常にいいかなと思っております。データを中心にオープンなビジネスを一緒に作れたらなと思っております。
ちなみにデータサービスパートナープログラムなら、データをディスカウントでご提供できたり、一緒にセミナーをやったり、複数の特典がございます。
これを聞いていて、パートナーをやってもいいかなと思われた方はお声がけいただけると幸いです。
それでは、まとめに入りたいと思います。
地理空間情報は、企業のデータ活用高度化において極めて有効です。オープンデータも豊富です。しかし現状、外部データは扱うことがとても難しいです。既存データとの組み合わせも困難かなと思っております。
弊社のデータサービスをお使いいただくことによって、成形済みのデータ製品が手に入りますので、外部データの活用がすぐに可能となっております。
データサービス分を組み合わせ、今回は観光とか金融といった分野で分析事例をお話しいたしましたが、お客様の事業に合わせたかたちで分析して、より高度な意思決定ができるのではないかなと考えております。
ぜひ私どもにお気軽にご相談いただければと思っております。ご清聴ありがとうございました。
富士通クラウドテクノロジーズ株式会社
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