2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
提供:公益社団法人京都市観光協会
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宗田好史氏(以下、宗田):仁和寺、それから下鴨神社ともに、昔はなによりもまず信心信仰があってお参りをする。四国八十八ヶ所とか、お遍路さんの旅もそうなんですが、仁和寺に行って、自分の宗旨宗派は違っても亡くした父母あるいは先祖を想うという気持ちが根本にあったわけです。
仁和寺さんでは、高校生以下の拝観料を取らないというお取り組みもされているとうかがっているのですが、どうやって受け入れておられますか?
吉田正裕氏(以下、吉田):仁和寺は弘法大師様が開かれました真言宗のお寺でございます。先ほど下鴨神社様も言われておりましたけど、お寺や神社は信仰の場ですので、祈りを通して教えをずっと伝えてきたわけです。
昨今の家庭の中において、やはり信仰というものがうまく継承されていない。そういった中で若い方にお寺に来ていただいて、若い感性でなにかを感じ取っていただきたい。そういう思いでやっています。もう数十年前ですけど、私も修学旅行で京都に来たときに、寺の前までは来るんですけど、拝観料が高くてなかなか全部は見ることができなかった。
通常の御殿の拝観料などはいただいておりますけど、今年で言いますと、観音堂の内拝といった特別な拝観は、大人の方には1人1,000円いただいておりましたが、高校生以下の方には無料で見ていただいて、そしてなにかを感じ取っていただきたいなと。
そういう想いで、昨年の金堂の五大明王という壁画も特別公開させていただきました。そのときも、大人の方には少し高めの料金をいただいて高校生以下の方には無料で見ていただく。次世代につなげていきたいという思いで、無料とさせていただいております。
宗田:その未来の世代に、お寺に拝観に来てもらえるようにすることがとても大切。確かに、それぞれのお家で仏壇を持つことは難しいかもしれない。仏壇に毎朝お膳を供える習慣もだんだんなくなってきた。
それでも京都に来たらお寺に行く。些細かもしれませんが、お寺に行って先祖を思い出す、お参りをするということを忘れないでいることは、とても大事かもしれないですよね。むしろ社会というか家庭が変わっていくだけに、そういうことが必要になるかもしれない。
吉田:今はやはり核家族化になって、家にも仏壇のない家庭がほとんどになってまいりました。本来仏壇は信仰している仏様を祀るので、新しく亡くなられて仏壇を購(もと)めるのではなく、信仰する対象として仏壇を置いてほしいわけですけど。そうは言っても、みなさん「うちの家にはまだ亡くなった方がいないから仏壇がないんですよ」と言われますので。
そこはなかなか難しいので、その代わりにできるのがお寺ではないかなと思っております。お寺に来ていただいて手を合わす。またご先祖様、いろんなお願い、祈りの場所であることを感じ取っていただければなと思っております。
宗田:実は日本全国では仏壇の数が急速に減っている。それからお寺も無住寺が増える。その根底にあるのは、一人暮らし世帯が急増していることですよね。どなたかを亡くされても仏壇はとんでもない、お位牌を納めるところがない。逆に言うと一人暮らしになってしまったら仏壇を継承することもできないので、お寺に頼んでお焚き上げをしてもらうような時代になってますね。
そういう中でお寺と神社を継承していくことの難しさ、世界遺産として17の社寺を持っている京都の難しさがひしひしと伝わってくる取り組みですね。ありがとうございます。じゃあ神社のほうもぜひ一言。
京條寛樹氏(以下、京條):先ほど市長もおっしゃられたような文化の担い手の育成という観点から、子どもたちをどう神社やお寺とつなげていくかという試みについてはですね。下鴨神社では、もう数十年に渡って、糺(ただす)の森でボーイスカウトの活動をしていただいております。
加えて毎年春に植樹祭と言いまして、木を植える活動も子どもたちと一緒にやったりですね。さらには、蛍を見に来ていただいてお茶を飲んでいただく蛍火の茶会も、子どもたちと一緒にやったり。そういった取り組みをしています。
またお祭りという意味で言うと、ここ10年くらいの試みなんですけれども、有名な葵祭の3日前に御蔭祭というお祭りがあるんですね。ちょうど下鴨神社と八瀬の手前に御蔭山(みかげやま)という山があって、その山から賀茂祭の御神霊をお迎えするという神事なんですが。
昔は本当に小さい子どもがたくさん参加しておったようなんですが、最近は……それは5月の12日なんですが、昔は平日であろうと、下鴨地域の小学校が休みになったそうなんですね。
ただ現在は当然休みにもならないので、地域の下鴨小学校や葵小学校、洛北中学校や洛北高校、下鴨中学、高野川水系の上高野小学校といったいろいろなところにお声がけして、小学生・中学生・高校生にお祭りに出てもらうようにやっているんですね。
子どもたちのおじいさん、おばあさんは小さいころに参加してるんですね。ですので地域の理解も得やすい。お祭りに出るということで、その子たちだけ学校に行かなくていいよ、と。
全員というわけにはいかないので、数十人単位での参加にはなるんですけれども、そういった地域の伝承されたお祭りに参加していただくことで、次のお祭りや神社を担っていただく人たちを育成するというか。そういったことをやっています。
宗田:ありがとうございます。うちの子どもも葵小学校に通っていたものですが、足つけの神事ですね、みたらし祭りが非常に好きで、大人になっても行ってますけど(笑)。あれはとてもいい、下鴨神社らしいお祭りですよね。
京條:そうですね。みたらし祭りは江戸時代の初めごろから始まったと言われているんですが、もともとは京都の町中の方々が、今だったら貴船の川床に行って涼むような感じで糺の森に徒歩で来て、そこに貴船に今あるような川床がたくさん出てたと思うんですね。そこで足を水につけて納涼したと。
糺の納涼(すずみ)と言われるんですが、そういったものが根底にあって。そこでみたらし池に足を浸けてお参りをするというのが暑気払いの御神事になったんですけれども。冷たい水に足を浸けますので、体験として気持ちいいですよね。
そういうダイレクトな気持ちよさと、糺の森の中も夏場はだいたい周囲よりも2度くらい気温が低いんですね。ですので、森に入っていただくとちょっとすーっと涼しいような気がするんですね。まあ40度が38度になってもあまり変わらないかもしれませんけど。そんな感覚を呼び覚ますということで、大変多くの方においでいただくかたちになっています。
宗田:ありがとうございます。今年は蛍火の茶会にも寄せていただいたんですが、確かに涼しい。すばらしい体験をありがとうございます。成瀬さん、そういういろんな体験もできる京都の街なんですが、今度ともぜひいろんな展開をしていただきたいと思うのですが。
成瀬勇輝氏(以下、成瀬):そうですね。今日は観光というのが1つのテーマだと思うので、僕は観光にとっての課題に一人当たりの単価の低さがあると思っています。これは京都だけじゃなくて日本の観光の課題。僕たちはよく文化財さんとお仕事をしているので、いろいろご相談されることも多くて。これは京都だけじゃなくて、拝観者や入館者を増やしたいというお話をよくいただきます。人を増やすにはどうしたらいいかということがけっこうあるんですね。
それはなぜかというふうにお話を聞いていくと、例えば去年とか台風でいろいろと被害を受けたところもたくさんあったり。やっぱり保全したりずっと長く続けていくためには、そういったところの設備投資がかかると。
つまり「観光客の方々も増えることで、売上につながり、それによって維持管理ができないか」という相談というか、今そういった問題が起きているという話をいただくんですが。
一方で、言い方はあれですけれども、「観光客の数×1人あたりの単価」が売上になるわけなんですが、日本の観光を考えると観光客数のことばかりが先行していて、1人あたりの単価まであまり考えがない。実際に1人あたりの単価をどうしようということがあんまり話にならないことが多くてですね。
わかりやすい例で言いますと、スペインのバルセロナにあるサグラダファミリアは、入館するだけで3,000円くらいかかるんですね。オーディオガイドとセットで4,000円とかかかるわけなんですが、日本各地の文化財はそれと比べると安い。400円とか500円というところもあると。
一方で東南アジアのお寺とかですと、地元の人たちは50円、観光客の人は1,000円とか。そういったダブルプライスを設けながら維持しているところもあったりします。
要は、一つひとつの場所の観光客の方々にどういう体験や付加価値を提供するかを考えながら、しっかり体験や付加価値を考えたうえで1人あたりの入館料や拝観料を値上げするという取り組み自体も、僕はもう少し起きてきてもいいかなぁとは思っていまして。
体験や付加価値をどう作っていくかということが、まさにこれから考えていくことなのかなぁとは思っています。
宗田:世界的に観光客が増えているのは、冒頭で申し上げたように今14億人が18億人に、それがやがて30億人にという時代なんですが。そうなると世界中でオーバーツーリズム、観光客が来すぎてしまうんですね。
だから、ピサの斜塔もベネチアのサンマルコ寺院も、バルセロナのサグラダファミリアも、拝観料を上げていくことで「本当に見たい人だけ来てくださいね。でも地元の人は地元のお寺であり神社、教会であるわけだから当然安く、あるいはタダで来てください」という。その上手な使い分けを考える必要がある時代になってきたなということがわかってきましたね。
二条城の料金の件に関しましても、市民のみなさんからさまざまな意見がありますし。仁和寺さんの先ほどの意見もそうなんですが。観光協会としては、そのあたりは今後どうお考えでしょうか?
番匠宏明氏(以下、番匠):観光協会自体はいろんな施設様、観光事業者様との連携の中で京都の情報を発信しているという部分が非常に多くございます。先ほど僕が申し上げました特別公開も、一般的にみなさまのイメージの中にあるのは期間限定でいくらかで特別ななにかが見られるということだと思うんですが。
そもそもそれができるお寺さんや神社さんもそうですけれど、一定のお客様、参拝の方、拝観の方を迎え入れられる規模や周辺の状況など、ある種、どこか対象を選ばざるを得ない中で積み上げてきた部分があるのかな、と少し感じるところがございまして。
まさに今日のみなさまのお話もそうですし、国際会議のお話も受けて、やはり地域と観光の方がその施設および地域にどういうメリットをもたらしてくれるのかを考えると、必ずしもたくさんの方を迎え入れる施設だけじゃなくて、いろんな手法を用いることによって、規模は小さいし(入れる人数も)50人100人だけれども、来てもらいたい。
来ていただいた方には、規模が小さいからこそ体験できる価値があると。そういったことを現状のいわゆる京都観光の中に組み入れていく、付け足していく必要があるのかなと考えています。
宗田:ありがとうございます。小さい規模にふさわしい数のお客様を受け入れることも1つの可能性ですし、今日テーマになったような分散化の話ですね。決して有名寺院だけではなくて、お客さんが少なくてもっと活用してほしいと思っている小さな寺院もたくさんあるわけだから、そういうところにもお客さんに行ってもらえるよう、上手に管理できるといいかなと思います。
宗田:もうちょっと時間がありますので、もう一言ずつパネラーのみなさんに伺いたいと思います。今後どんなお取り組みをされていきたいと思いますか?
まだまだ観光客のみなさんは増えてくる、外国のお客様も増えてくる。その中で世界文化遺産としてのお寺・神社、それから旅のかたちを世界の人に提案していかなきゃいけないわけですが。常に新しいことにチャレンジされる仁和寺さんからまず伺いたいと思います。
吉田:やはり保存していくという中で、(徳川)家光さんのように24万両という高額なお金を出していただく方が今はたぶんいないと思います。仁和寺としては「令和の家光さんを募集しています」と言っているんですが、なかなか手を上げてくださる方がいないので。それを多くの方からご協力いただきながら文化財を守っていきたい。
その中でやはり国宝、重要文化財等の文化財を利活用させていただいて、保存・修理をしながら守っていきたいなと思っております。観音堂の修理をしたときに、素屋根をかけるんですけど、京都では丸太を使って素屋根を作る。これは私もびっくりいたしまして。
時間も手間もかかるんですけど、その技術を伝えていくためにあえて丸太で素屋根を作る。お寺を修復する中で、そういう文化技術が継承されているんだなと感じましたので、今後ともそういうことに協力をしていきたいなと思っております。
宗田:ありがとうございます。先ほど門川市長から、日本人の伝統的食文化「和食」が2003年にユネスコの無形文化遺産に登録された話がありましたが、次は日本の伝統的木造建築が無形文化遺産に登録される。
そういった意味では、素屋根の話もそうですが、仁和寺の今の丸太の足場の話もそうです。神社も大変な木造建築の成果でありまして、式年遷宮が無事終わっておめでとうございますということなんですが、大変な努力をされて大変な資金も集められてご苦労があったとうかがっております。
京條:お伊勢さんをはじめとして、当神社ですと式年遷宮と言いまして、定期的にお社を造り替えていたんですね。それは江戸時代の末までやっておったんですが、明治時代に入って御殿が国宝や重要文化財に指定されましたので、それができなくなったんですね。ただ、お祭りということでは同じようにやっております。
建て替えの代わりに御殿を修理すると。当神社では21年に一度、必ず修理修繕をしております。下鴨神社の御殿ですと檜皮葺きと言いまして、檜の皮で屋根を葺いているんですね。ああいった植物材料ですので、保っても30年。文化庁は30年経ったら補助金を出してあげるよ、と言ってくれるんですが。
ただ、神社は21年に1回やらなきゃいけないということで、だいたい1回ごとにどこかはできなくてどこかはできるというかたちになることが多いんです。今で言ったら、文化財を守っていく方法が神社にはお祭りとして伝わっているんだと。
20年くらいにしておかないと前回やった大工さんや職人さんがいなくなっちゃうんですね。ですので、21年ごとにやっておかないと前回やった技術が失われてしまう。そういったこともあって上手にできた仕組みというか、制度なんだなぁと思います。
平成27年に式年遷宮が終わったと言いますか、まだできてないところもあるんですけれども。一応お務めすることができたんですが、次は17年後になります。
当然、重要文化財、国宝が50棟以上ありますので、1年度でできる修理工事じゃないんですね。ですので、だいたい10ヶ年くらいの計画でやっております。あと5年6年もすれば、また同じことをやらなきゃいけないのかなぁ、なんていうところではありますけれども(笑)。
当神社も実は国宝重要文化財のほとんどが家光さんの時代、寛永の6年に建てられた御殿です。そのときのスポンサーは、まさに徳川家だったり当時の東福門院さん、徳川和子さんですね。徳川家から入内された方で家光さんの妹です。徳川家と御所がスポンサーでしたので、まさに令和の時代の家光さんを当神社も募集しておりますので、またどうぞよろしくお願いいたします(笑)。
宗田:ありがとうございます。まず市民のみなさんが令和の家光の候補ではあるんですが、観光でいらしたお客様にいただいたお金が、この京都の文化遺産を継続していくものとして使われていくのが本来の姿かもしれないですし、実は観光を活用することで文化遺産を守っていくことが京都のスタンスなんですね。
文化遺産を活用して観光を振興するのとは逆に、観光を活用して文化遺産を守っていく。まさにそういう道を探っていくのが今日のテーマだったわけですね。
京條:そうですね。そういった考え方からすると、民俗学者の柳田國男の定義に「祭り」と「祭礼」というのがあるんですね。お祭りというのは今申し上げたような式年遷宮。我々神社や神社の担い手、その集落がやっておったお祭りのことを「祭り」と言うんですが。
「祭礼」というと、その担い手だけじゃなくて現在でいう観光客の方も一緒に参加できるようなもの。イメージ的には祇園祭や葵祭のように市民参加で、担い手じゃない人もみんな一緒に楽しんで、そして華やかで美しいと。そういったものが都市部の祭礼でした。
お祭りをやることで、お祭りに参加する人たちがその文化財の担い手になっていくという考え方でありますので。ここ数年当神社で取り組んでいるのは、夏のライトアップでチームラボがやっている光の祭というのをやっています。
そういったことをやることで、今まで神社に来なかった若い世代の方が本当にたくさんおいでになっています。そういった方が将来の担い手になってくれればいいなと思って、日々取り組んでおるところでございます。
宗田:エンジョイ、そしてリスペクトですから、ぜひご奉仕もお忘れなくということでお帰りいただきたいと思います(笑)。じゃあ成瀬さん、一言。
成瀬:先ほどサグラダファミリアの入館料が高いという話もしたんですが。僕は非常にいい取り組みだなぁと思っているのが、例えば来た人たちにしっかりと「サグラダファミリアがなぜできたか」ということを伝えたうえで、高いといってもその金額がまさに設備投資につながっていると。
先ほどみなさんから「令和の家光を」という話がありましたが、そういった令和の家光はなかなか出てこないので。しっかり物語を伝えることで、観光客の人たち自身も、それが実際に歴史文化を担っているんだと伝えていく。僕は、知ることは尊敬をすることにつながっていくと思っているので。
その場その場で物語自体をしっかりと伝えていく取り組みが非常に大事だなぁと思っています。その上で、今の人たちにどう伝えていくかが一番のポイントだと思いますし、それがこれからの課題というか、ある意味でチャンスだなと思っています。
成瀬:これからの1つの取り組みとして、「SOUND TRIP」というものがあります。まずは京都で取り組みをスタートするんですが。お寺・神社さんごとに、それぞれの場所の物語をちゃんと伝えたうえで、世界中で活躍しているようなアーティストを一つひとつお寺・神社と組み合わせます。
例えば、貴船神社だとコムアイさん(水曜日のカンパネラ)というアーティストだったり、壬生寺だとKYOKAさん、三千院だとYOSHI HORIKAWAさんという非常に有名なアーティストさん。彼らと一緒に、貴船神社さんだと水をテーマに、来た人たちに水の物語をちゃんと伝えられるようなものを作っていこうとしています。
実際にその場所にある音をアーティストと一緒に録って、水というものを音で体験してもらおうと。なので貴船神社にある音だけを使った音楽、しかも貴船神社でしか聴けないものを作っていまして。
そういったものを実は京都の中でも10社寺くらいと提携しながら作っていこうと思っていますし。「どうやって伝えていくか」ということ自体を考えていくことが、僕たちが今まさにやっていることだなぁと思います。
宗田:京都では2017年に二条城を中心に東アジア文化都市のプロジェクトがあって、とくに二条城では蔡國強の盆栽の船というのが……。
成瀬:はい、ありましたね。やっていました。
宗田:ああいうことが、これから日常的に起こるようになってくる。これが京都の文化遺産のアートのクリエイティブな活用のいい事例かもしれません。いろいろ賛否両論はあるとは思うんですが、ぜひそういう新しい挑戦を受け入れる街であってほしいと思います。ありがとうございます。
成瀬:そうですね。伝統は前衛の積み重ねであるというような話をお寺や神社の方とすることがあるのですが、我々としては非常に心強いなと思いますし。今の人たちに合った取り組みと、変えるものと変えちゃいけないものをしっかりと見極めながら作っていく。伝えることで尊敬を集めることが非常に大事なテーマだなと思っています。
宗田:ありがとうございます。では番匠さんも一言お願いします。
番匠:今後できること、やっていきたいことという意味で、京都市観光協会は京都市のDMO(Destination Management/Marketing Organizationの略:官民の幅広い連携によって観光地域づくりを推進する法人)として今まさにいろいろ研鑽している部分でございます。
会議の中でもあったんですが、DMOがなにを担っていくかというときに、もちろん地域の方のお声も聞くべきですし、今日もいろいろお話を聞きながら知らないこともたくさんあったんですが、いろんなお寺・神社さん・文化施設さんのお声を聞いていくことが本当に重要なんだなぁと。
それを聞いたうえで、今どういうかたちのアウトプットが求められているのかに少し意識を置いていく。それをきちんと地域のこと、京都のことを理解していただける方にお伝えしていく流れを作っていきたいなぁと思っております。
最初のスライドでもご紹介させていただきましたけれども、Webを使ったいろんな京都の観光コンテンツの受け入れをさせていただいているのですが、これは必ずしもオペレーションの効率化だけを狙っているわけではなくてですね。
一度そういったものにご興味を持っていただいた方に、また来ていただけるような環境づくりを狙うと、やはりアナログな部分だけじゃなくて、デジタルの活用も必要になってくると思います。
例えば規模の小さいお寺さん・施設さんに100人のお客さんだけをご案内したいというときに、どういう手法がいいのかなと考えると、もしかしたら、昨今よく聞くクラウドファンディングというプラットフォームも有効かもしれないですし。
どちらかと言うと京都に限らず、日本の観光協会や地域の旗振り役は、広くマスに訴えるような事業が多かったのかもしれないですが。やはりきめ細かな観光施策を実施していくという意味でも、これから京都市観光協会かDMO京都としての役割をもう一度見直したいなと思っております。
宗田:ありがとうございます。次から次へと新しい取り組みが進んでいくのが、京都の世界遺産・文化遺産を活用したコンテンツを活かした街づくりだと思います。まず京都市民の人に喜んでいただいて、古い街、京都でこんな新しいことが起こっていることを楽しんでいただきながら、そのことを世界中から訪れる方たちと一緒に楽しむ。それが京都の文化に対する世界の尊敬を集める大きな柱になるのではないかと思います。
その意味で話はつきませんが、京都の観光はこれから永遠に続いていく。発展していく。京都に来られるお客様もますます増えていく。そんな中で、市民のみなさんと新しい出会いが次々と起こってくる。そういう文化創造都市でありたいと思っております。
これからも仁和寺さん、下鴨神社さん、成瀬さん、観光協会さん、ぜひご活躍いただくようにお祈りしております。どうも今日はありがとうございました。会場のみなさんもありがとうございました。
(会場拍手)
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