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ジヤトコ株式会社(全1記事)

2020.01.16

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現場主体のkintoneアプリ開発を成功させるには? CVTの世界シェアNo.1企業に学ぶ、3つのマスト要素

提供:サイボウズ株式会社

2019年11月7~8日、幕張メッセで「Cybozu Days 2019」が開催されました。7日には、全国のkintoneのユーザーのなかから選ばれたファイナリストたちが活用事例を発表する、「kintone hive tokyo vol.10/kintone AWARD」が行われました。日々の業務でkintoneを活用しているユーザーが一堂に会し、業務改善プロジェクトの成功の秘訣を共有するリアルイベントの模様をお届けします。本パートでは、無段変速機で世界シェアNo.1のジヤトコ株式会社の岩男智明氏が登壇。現場主体のアプリ開発で、kintoneを社内に展開していく手法を明かしました。

無段変速機で世界シェアNo.1のジヤトコ株式会社

岩男智明氏:どうも、よろしくお願いします。ジヤトコの岩男と申します。まず私の発表をする前に、弊社のプロモーションビデオをご覧ください。

“The mission is passion.” 弊社のスローガンになっております。私の大好きな言葉です。そんな弊社の事業内容をご紹介いたします。

弊社は自動車用自動変速機の開発・製造・販売を担っております。累計で売上4,400万台に達しておりまして、CVT(無段変速機)のグローバルシェアは35パーセント。世界シェアトップとなっております。従業員数は1万4,800人。国内に10拠点、海外に8ヶ国13拠点ございます。

そんな弊社における、kintoneの活用範囲をご紹介いたします。それは現場主体の業務アプリ開発基盤です。つまり情シスはアプリを作りません。作るのは現場です。

ここで私の自己紹介を少し挟ませてください。名前は岩男智明、42歳。経歴は2003年からR&Dの部門に入りまして、AT(自動変速機)のソフトウェア設計等々を行っておりました。社内SNSの企画や構築なども担当しておりました。

2011年からIS/IT部門に異動になりまして、B2Eやインフラ系のプロジェクトマネージャーを経験し、FY18(2018年度)からは新技術企画を担当させていただいております。ここで、私はkintoneに出会いました。

趣味は釣りとカヤックです。こちらは、私が駿河湾で息子とカヤックをしながら釣りをしている写真になります。

現場主体のアプリ開発に必要な3つの要素

さて、本題に入ります。本日のテーマは「本当の現場主体のアプリ開発とは」。こちらを伝えるために今回3つのキーワードを用意しました。

現場主体のアプリ開発に必要なもの。1つ目、簡単で柔軟な開発基盤。これはkintoneのことです。2つ目、安定運用、セキュリティ。3つ目、情熱。“The mission is passion.”です。

まずは1つ目の「簡単で柔軟な開発基盤」、こちらからお伝えいたします。活用事例のご紹介です。弊社調達部門、こちらでは企業調査票入力というプロセスがございます。改善前はエクセルを使って運用していました。

調査票を作成して、メールで回答依頼を送ります。サプライヤーさんは700社いらっしゃいます。700社に送ります。サプライヤーさんはそれを受け取り、調査票入力をしてメールで回答します。

窓口担当はそれをファイルサーバーに保管し、集約、回答するという一連の作業を手動で行っておりました。

ここをkintoneを使って改善しました。ご覧のようにプロセスが少なくなっています。

すべての業務をkintone上で実現しました。ポイントが2つございます。

1つ目、ユーザー自身がアプリ実装できる。このアプリ、ユーザーが自分で作りました。2つ目、機能不足分はプラグインで補える。弊社におきましてはフォームブリッジを使いました。

簡単な画面イメージをお伝えします。メールを受信して、URLをクリックするとフォームブリッジのフォームが開きます。

開いたフォームに入力して回答すると、自動的にセキュアなkintone環境上に保管されてマージされていく。こういう環境が作れます。

それによる効果です。1つ目はスピードアップ。回答入手のリードタイムが3週間短縮できました。2つ目は工数低減ができました。集約担当者の工数が0.9人月削減できました。

まとめです。簡単で柔軟な開発基盤、こちらに必要なのはユーザー自身が開発できること。足りない機能は補えること。

kintoneを使って、人任せではない自律的な業務改善を随時行う環境を作りましょう。これがまず1つ目のキーポイントになります。

「アプリが古くて仕事に合わない問題」の解決策

2つ目のキーワードにまいります。安定運用、セキュリティ。ここは導入側が考えることです。

よくあるトラブル事例をご紹介します。エクセルによるアプリ開発のトラブル事例です。「業務改善アプリならエクセルマクロで作っちゃえ!」と誰かが言います。エクセルマクロでアプリを作ります。

ほかの人が「お、これはいい! よさそう! うちでも使おう」。そういうふうになって、そのアプリをコピーして使い始めたりします。

でも、数年経つとアプリが古くなります。業務に合わなくなります。「古くて仕事に合わない。動かない! 誰に聞けばいいの? 助けて!」。こういうことが起こるわけですね。

これはエクセルだから起こるわけでしょうか? 私はそうは思いません。kintoneでも陥る状態だと思っています。何が問題で、どうすればいいのでしょう?

弊社におきましては、3つの問題があると考えました。1つ、アプリ本体の保守責任者の不在。2つ、機能拡張分の保守責任者の不在。3つ、運用ルールの不在。

これらを解決するために3つの施策を行いました。

1つ目はアプリ責任者の明確化、管理。トライアルアプリと本運用アプリという定義を行っています。のちほどご紹介いたします。

2つ目は、「プラグインによる機能拡張」の徹底を行いました。弊社におきましては、JavaScriptによる個別開発を禁止しております。代わりに機能拡張分はプラグイン化をすることによって、保守責任の明確化を行いました。

ちなみに弊社におきましてはフォームブリッジやkrewSheet(クルーシート)、条件付き入力プラグインとか、ほかにもさまざまなプラグインを採用させていただいております。

最後の運用ルールの不在のところは、運用ルールの整備、周知として、スペースやアプリ、モバイル利用の棚卸定義とかID運用とか、細かいところを決めております。

トライアルアプリで使えそうなものを本運用していく

トライアルアプリ、本運用アプリについて補足説明いたします。弊社におきましてはスペースの中に必ずアプリを作る運用としています。スペースにも管理者がいます。

まずトライアルアプリ、こちらですが、誰でも作れます。いつでも作れます。

責任者を設定する必要なく、保守担当も設定する必要ありません。その代わり、6ヶ月という期間を付けて自動的に棚卸しで削除いたします。

まずは試してくださいよ、と。試すのはいいんだけど、いつまでもトライアルのままだったら削除しますよ。こういう運用にしているわけですね。

その中で芽が出てきます。「これはいいね、使えそう、本運用できそう」ということになったら、本運用アプリにしてもらいます。

ポイントは、責任者は明確にします。保守担当も明確にします。もちろん棚卸しによる削除はしません。この本運用も、kintoneでアプリの本運用申請というもので行っております。

つまりポイントは、「いつでも誰でもアプリが作れる。でも、ちゃんと管理しよう」。そういうことです。最初から細かく仕様を決めるんじゃなくて、まずは作って使ってみましょうよと。そういうことですね。

もちろん、本運用アプリとして運用することでアプリの資産化を実現することができて、アプリ同士の統合、最適化などにも役立つと私は考えております。

次にセキュリティ維持についてご紹介いたします。セキュリティ維持において大事なのは、社の情報セキュリティポリシーに準拠することです。

情報セキュリティポリシーというのは、漏洩時のビジネス影響をもとにしたセキュリティレベルや、セキュリティレベルに応じたシステム・運用要件を定義したものです。

つまりは、どのセキュリティレベルの情報をkintoneで扱うのか? 扱うセキュリティレベルに応じた要件を機能や運用でどう満たすか? ここを考えるのが大事です。

例えば極秘の情報があった場合、「情報閲覧履歴の記録をしなさい」という要件がありましたら、アクセスログプラグインの導入を考えましょうとか。そういうことになります。

全社展開に至るまでのkintoneの開発経緯

まとめです。安定運用、セキュリティ。それはつまり、ユーザーが混乱せず、安心して使い続けられる体制を作る。つまりは利用拡大・定着に貢献するということだと私は考えております。

おすすめは、サービスに精通したサイボウズパートナー会社様とともに、運用ルールを整備するのがよいと私は考えます。

最後に情熱。“The mission is passion.” こちらをご紹介いたします。なぜ情熱が必要なのでしょうか? それは、情熱は人を動かす原動力だからです。

弊社におけるkintone開発経緯をもとに、ご紹介いたします。

2018年のはじめに、私は調達部よりkintoneを紹介いただきました。そこで私は、効果を実感いたします。情熱の火が灯ります。社内営業を開始します。「みんな使ってみようよ」「これ便利だよ!」。だんだん仲間が増えます。

みんな仲間の中にも情熱の炎が湧いてきます。そして仲間とともに経営会議に持って行って提案して、全社採用の承認をいただきます。結果、社内営業拡大、利用促進。さらなる情熱の炎が膨らんでいきます。

もちろんこの動きを作るにあたって、細かい体制やルールなんて最初はなにもありませんでした。穴だらけです。

でも情熱を持って取り組むことで、「ま、いっか!」「これでいこうよ」「がんばろうよ」「ちょっと変えようよ」と、支えてくれる仲間を増やすことができました。

結果、全社展開の状況としては、現在は459名がアクティブなユーザーとして利用しております。予実算管理ですとか、設備の輸出管理、サプライヤーからの情報収集とか、生産役員間のコミュニケーションツールとしても活用しています。

また気づきとしては、エクセルで行っている集約という業務、みなさんの中でもたくさんあると思います。

いろんな部門とかいろんな部署から、いろんな人から情報を集めてエクセルでマージする。そういう作業のシンプル化にも役立つと私は考えております。

情熱は活動を推進する原動力になる

情熱の効果のまとめです。情熱の効果とは、理解者を増やし、拡大の力を理解者にも与えてくれます。不備があっても進める力を与えてくれます。そして進みながら不備を埋め、向上し続ける力を与えてくれます。つまりは活動の推進に役立ちます。

まとめに入ります。現場主体のアプリ開発に必要なもの。1つ目、簡単で柔軟な開発基盤。これを使うことで人任せでない、自律的な業務改善を随時行う環境を作りましょう。

2つ目、安定運用、セキュリティ。これをしっかり定めて定着させることで、利用拡大、定着を進めていきましょう。

そして、情熱を持って活動を推進しましょう。

今お話ししたこの3つのキーワード、これは決して大きな会社だけで必要なものではないと私は考えます。全員、みなさんすべての会社にとって必要なキーワードだと考えております。

最後に1つだけ、私の登壇理由、ここ立った使命をお伝えさせていただきます。それは私たちが持つ現場力の価値の最大化です。最大化を少しでも進めるために、この場に情熱を持って臨みました。

みなさまの現場力の価値の最大化のために、少しでもお力になれれば幸いでございます。いつでも声をかけてください。どうもありがとうございました。

(会場拍手)

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