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株式会社ゆうぼく(全1記事)

2020.01.17

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退職者を50回見送り、悩みぬいてたどり着いた“チームワークの本質” kintoneで挑む6次産業の課題解決策

提供:サイボウズ株式会社

2019年11月7~8日、幕張メッセで「Cybozu Days 2019」が開催されました。7日には、全国のkintoneのユーザーのなかから選ばれたファイナリストたちが活用事例を発表する、「kintone hive tokyo vol.10/kintone AWARD」が行われました。日々の業務でkintoneを活用しているユーザーが一堂に会し、業務改善プロジェクトの成功の秘訣を共有するリアルイベントの模様をお届けします。本パートでは、株式会社ゆうぼくの代表取締役、岡崎晋也氏が登壇。牛や豚を育てながら加工・販売・飲食事業にも取り組む6次産業の会社が、新たなチームワークを形づくることに繋がったユニークなkintoneの活用法について紹介しました。

kintoneがある6次産業のカタチ

岡崎晋也氏:こんにちは。ゆうぼくの岡崎晋也です。私は「kintoneがある6次産業のカタチ」というテーマでお話しさせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

まず、6次産業についてです。ご存知でしょうか。「6次産業とは?」。1次産業、2次産業、そして3次産業。これらの事業を組み合わせたもの。つまり、1×2×3で6次産業と言われています。

今回、6次産業にkintoneを使うことで実現できたチームワークのカタチをご紹介していきたいと思います。

続きまして会社紹介ですが、ゆうぼくは6次産業の会社です。では、どのように6次産業を実現しているかと言いますと、まず牧場です。牧場で「はなが牛」と「はながポーク」、牛と豚を飼っています。豚は最近の取り組みなのでメインは牛です。

そして、それらを無添加で加工する加工事業。それらを販売する販売事業。そして、食べていただく飲食事業。こういった事業を展開しています。

場所は、愛媛県西予市と松山市にございます。

このログハウスの建物が私たちの本店で、私たちはここで事業を行っています。

退職者を50回見送り、悩みぬいてたどり着いた「チームワーク」

続きまして、この「50回」という数字、いったい何の数字でしょうか? 実はこれ、私が退職者を見送った回数なんです。そもそも私は、2013年までメーカーの技術者として働いていました。

そして、ゆうぼくにやってきたんですが、来た当時たくさんの改善点が見えたので、人の感情をとくに気にせず、合理的にありとあらゆるものを個人プレーで是正していったんです。

そしたら、1年後どうなったでしょうか。米騒動ならぬ、肉騒動未遂です。つまり、ストライキ寸前の状態になってしまったんです。

そして、そんな状態だったので事件が起きてしまいます。私の靴の中に退職願を置いて去ってしまう人が現れてしまいました。さすがにこのままじゃまずいと思い、次に取り組んだのが福利厚生です。

社員旅行であったり、誕生日祝い、そして社員表彰、いろいろ取り組みました。一見、チームワークがすごくよくなったように見えました。

ただ、会社でちょっと困った問題があったときに、社員のみんなで一緒に解決していこうと呼びかけたときがあったんです。

そのときに社員の1人に言われた一言が「次は何くれますか?」だったんです。すごく違和感を感じたんです。その違和感は、すぐにかたちとなって現れてきました。

一斉退職でレストランが休業に追い込まれ、まもなく内部不正による裏切りも起こりました。チームワークも自分自身もボロボロです。

そもそも、チームワークっていったい何なんだ? すごく悩みました。すごく考えました。そして私が出した答え、それは、やはり仕事そのものが楽しいことが一番大切で、まずは自分が自分らしく、そして一緒に楽しんでくれる仲間と仕事をすることがチームワークなんじゃないかなと考えたわけです。

そして、これを実現するために必要だったのが、kintoneだったんです。

6次産業ならではの問題点の正体

そもそも、ゆうぼくという6次産業ならではの問題があったんですね。「一つひとつの事業が異分野過ぎて、情報の互換性が低い」という問題がありました。考えてみてください。牧場の仕事とレストランの仕事、ぜんぜん違いますよね。ぜんぜん違うのでお互いの理解が難しい。

そして、情報の流れが遅くなる。その結果、経営管理が煩雑になる。こういった問題があったんです。こういった問題を解決するために、kintoneを導入していくわけですが、じゃあ、どのように導入していくか。

方針はシンプルに2つです。まずはkintoneをインフラ化して、日常の業務に馴染ませること。2つ目は、kintoneで付加価値を生み出すことです。この2つの方針に沿って、kintoneを導入していきました。

こちらがkintoneを導入する前の実際のレストランの日報です。細かく書かれていて、非常によい日報なんですが、どこで管理されていたかというと現場なんです。つまり、現場の人間しか見ることがなかったんです。

kintoneをインフラ化することで、社内に起こった化学変化

じゃあ、これをkintoneの日報にするとどうなるか。全現場からそれは牧場も含め、松山を含め距離に関係なく、毎日通知とともに私の元へ日報がやってきます。その日報の中には課題も書かれているので、課題把握もタイムリーに行える。

これまでは、こういった課題を把握するためには、現場に行ってヒアリングをして初めてわかっていたんです。そこから改善(策)が出ていたんですけれども、それがこのkintoneを導入することによって、毎日の日報とともにそれを把握することができるようになった。

つまり、経営者としての管理の質が明らかに良くなった。明らかに変わっていったんですね。こういったアプリを導入しているときの気付きがあったんです。最初はアプリに権限を設定して、各自が見られる情報を制限していたんですよ。

「じゃあ、そもそもなぜ権限を設定するんだろう」とちょっと考えたんです。

世間一般的には権限を設けることが常識だし、お互いの悪いところが見えると衝突が起こってしまう。会社の状況が筒抜けだと経営者として恥ずかしい。だから知らぬが仏。こんな潜在意識があったと思うんです。

でも、そもそも情報の流れが遅いことが問題だったはずなんです。なので、直感を信じてすべてを解放しました。するとどうなったでしょうか。次の日の朝、こんなにグラフがたくさんの画面になるんです。

そこには営業利益だったり、労働分配率、労働生産性、経営情報も含まれています。こういった情報を公開することで、何か変化が起こるのか。起こらないわけがないんです。化学反応が起こりました。

これは、スタッフが何気なく放ったひと言がすべてを物語っています。「○○店は客単価が羨ましいです。うちは客数では2倍勝っているのに」「○○の牛、けっこう数がいますね」「○○というお客様から意見あったみたいですね」。

こういった情報って、これまで私が伝えないと伝わらなかったんです。でも、知っているんです。何も言っていなくても。そう、部門をまたいで情報が往来している状況を築き上げることができたんです。これは情報をオープンにしたからです。

先ほど述べました、ゆうぼくが抱えていた問題。kintoneをインフラ化することで、明らかに改善されてきました。アプリは日々改良、追加を重ねていますので、これからもますます良くなっていくと考えています。

スマホのプッシュ通知で「牛の死亡」が知らされる

続きまして、牧場とkintone。あまり事例がないと思うんですけど、そもそも牧場でどういったデータを扱っているのかといいますと、「導入の記録」、「肥育の記録」、そして「販売の記録」、「死亡の記録」ですね。こういった情報を記録していました。

それはExcelであったり、手書きだったり、人の頭だったり、そういった感じで取っていたんですが、それをkintoneを使うとどのようになるか。

この1画面ですべてが記録されるようになりました。今回、この「死亡の記録」と「販売の記録」に焦点を当てて詳細を説明していきたいと思います。

こちらは、私のスマートフォンの画面です。非常に穏やかな画面ですが、ここにとある通知が来ます。「牛が死亡しました」「牛が死亡しました」「牛が死亡しました」。これ、嘘のような話ですが本当に起こった話です。

衝撃的で非常に辛い通知です。でもこれは、問題が起こった瞬間に、問題を把握できる仕組みなんです。これまでの牧場は、1ヶ月単位でしか死亡牛の情報って経営者に流れてこなかったんです。でも、プッシュ通知されるので気付けるんです。

そこで気付いて危機感が生まれるんです。危機感があるから改善が生まれるんです。だって、牛が死亡するって異常なことですよね。一大事ですよね。これを当たり前にしてはいけないんです。

一大事であること、異常であることを気付ける仕組み。それをkintoneで実現できたんです。

牛1頭1頭の命に向き合う仕組みをkintoneで実現

そして、収益管理。こちらも1ヶ月単位でしか管理できてなかったんですが、kintoneを導入することで、1頭1頭販売したタイミングで把握ができるようになった。1頭1頭の収益を管理するって非常に大切なことだと思うんですけど、じゃあ、そもそもなぜ大切か。

ストレスが少ない牛って、よいお肉になると言われているんです。つまり、高収益の牧場というのは、やはり牛へのストレスが配慮されているんです。

1頭1頭の収益を管理するということは、1頭1頭のストレス具合、もしくは幸福度、そういったパラメータの一種になるんじゃないかなと私は考えています。

私たちは牛の命を扱う事業を行っています。だからこそ、1頭1頭の命に向き合う仕組みが、すごく大切なんです。そして、そのすごく大切な仕組みをやはりkintoneで実現することができました。

これまで説明した死亡の損失、収益の管理。私が管理するのは当たり前です。でも、これをTOP画面で共有しているんです。つまり、全員が状況を知ることができるんです。

牧場でkintoneを使うことで実現できたこと。それは「牛1頭1頭のストーリーを知り、1頭1頭と向き合う仕組み」なんです。

こうやって1頭1頭と向き合う仕組みができたから、実現できたこともあります。

それは、「死亡牛が多い」という問題点がありました。そこに対して、kintoneで溜めたデータで分析をする。地域レベルの問題だということがわかったんです。そこで、地域の農家を集めて勉強会を開催しました。

また、「成績が悪く低収入」という問題点もありました。kintoneのデータを使うことで対策を打つんですね。対策を実施すると実際に成績が改善し、収益向上を実現することができました。

蓄積されたデータを研究や牛の幸せにつなげていく

こうやってデータがたくさん貯まるようになったので、いろんな分析ができるようになったんですよ。これまではデータが散らばっていたり、もしくはなかった。だからできなかったんです。でも、今はできるんです。

そう、牧場が研究の場になったんです。すべては牛のためであり、私たちのためであり、そして、お客様のためでもあるんですね。

そして、こういったデータを溜めることで思わぬ広がりもありました。

「思わぬ繋がり」というところでスマートフォンの画面がありますが、こちら、現場で簡単に牛のデータを検索できるソフトです。これ、実は愛媛大学の学生と共同開発しているんですよ。

データがあるから研究テーマになる。だから共同開発ができたんです。そして「思わぬ活用」というところでは、こちら、Instagramの画面です。使われている画像は、私が分析用に保管している写真なんです。これを広告として活用してきた。

kintoneを使うことで、こういう思わぬ広がりを実現することができたんです。

これまでいろんなkintoneを使った活用事例を紹介してきましたが、私たちにとってのkintoneとは、「考えを表現して伝える手段」であり、そして「さまざまな課題や情報を知る手段」。

つまり、6次産業の私たちにとって、新たなチームワークのカタチになりました。そして、これからkintoneで実現したいことは、「情報の流れを加速してチームワークをより強固にしていくこと」。「牧場を研究の職場」にして「牛が生きている間は幸せに感じられる牧場」にしていきたいなと思っています。

最後になりますが、kintoneは私たちにたくさんの繋がりのきっかけを与えてくれました。それは人や牛もです。そして、これからも人や牛が幸せでいられるチームワークを実現していきたいと思います。kintoneとともに。ご清聴ありがとうございました。

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