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京都リサーチパーク 30周年記念シンポジウム「創発の瞬間」(全3記事)

2020.01.20

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人間の脳を大きくしたのは「共感力」 京大総長らが語る、創造性を発揮するために必要な力

提供:京都リサーチパーク株式会社

2019年10月29日、全国初の民間リサーチパークとして1989年に誕生した京都リサーチパークの開設30年を記念し、KRP地区開設30年記念行事が開催されました。今回は、記念シンポジウム「創発の瞬間」の模様をお届けいたします。経済や社会に価値を生み出し、革新をもたらす“創発”の瞬間とは、どのようなものなのか。ゴリラ研究の第一人者で京大総長の山極氏、新薬を2つも世に送り出した実業家の久能氏、世界最大級のデジタルコンテンツ企業の日本法人を率いる島本氏、日本最大の禅寺・妙心寺の副住職である松山氏が登壇。多様な業界の先駆者たちが集うパネルディスカッションを通して、その正体に迫ります。本パートでは、“創発”と人間が持つ共感力や直観、イマジネーションとの関わりについて意見を交わしました。

社会や自然の複雑さに対応することで、人の脳は3倍に

竹内薫氏(以下、竹内):こんにちは。それでは時間がもったいないので、さっそく本編に入りたいと思います。最初にパネラーのみなさまから、実際にご経験された「創発の瞬間」について具体的な例を交えてうかがって、それについて全員で討論していきたいと思います。それではさっそくですが、山極先生いかがでしょうか。

山極壽一氏(以下、山極):はい、山極です。人類の進化は、チンパンジーとの共通祖先から分かれてから、700万年経っています。その700万年の中で一番大きな「創造の爆発」と呼べるものは、認知革命。すなわち「言葉」の登場だと思います。言葉を喋り始めたことによって、我々はさまざまなことを創造できるようになった。

みなさんあまりご存知ないと思いますけれども、言葉の登場は、人間の脳を大きくした原因ではありません。それよりもずっと以前に、人間の脳は現代の脳の大きさになっているんです。

ゴリラの脳は人間の3分の1しかありません。200万年前まで、(人間の脳は)ゴリラの脳の大きさの500㏄以下だったんです。ところが200万年前から徐々に脳が大きくなり始めて、40万年前に現在の1400ccに到達しています。だから脳を大きくして、のちに言葉が出てきた。言葉は結果であって、原因じゃないんですね。

脳を大きくした原因は、「共感力」の高まりです。その共感力は何によって得られたかというと、人々との付き合いです。仲間の数を増やしたこと、その社会的な複雑さが高まったことによって、脳容量が増す必要があった。

おそらく人間は、そのときに仲間の心を読むだけではなくて、いろんな自然界の出来事を共感力によって、読み解くという能力を手に入れたんだと思います。実はそれを、言葉の登場によって一気に花開かせた。

言葉で表現できているのは、五感のうち2つに過ぎない

山極:例えば、芸術。4万年前に初めて洞窟壁画が登場しますけれども、これは手の型(で描かれた絵)ですね。そして、ラスコーやアルタミラの洞窟壁画が出てくるのは、2万年から先のことです。これは、言葉と視覚が結びついて絵になったんだろうと思います。楽器が登場するのも4万年前からです。動物の骨で作った笛が登場するんですが、それも言葉が出てきてからのことなんですね。

私は、人間の創造力は言葉によって表現されたけれども、それはまだまだ限界があると思っているんです。それ以前に、脳が大きくなる段階で広げた、人間の持っているさまざまな共感力というものを表現しきれていない。言葉は、人間の五感である視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚のうち、視覚と聴覚だけを拡大したものです。匂いや味覚や触覚は、まだ言葉ではなかなか表現することができていない。

これはおそらく島本さんの話に関係してくるんだと思うんだけど、潜在力はまだたくさんあるんですね。それはなぜかというと、人間が猿や類人猿、ゴリラ、チンパンジーと同じ能力を持って今に至っているわけで、魚や鳥のほうが豊かな世界を持っているとも言える。鳥は4色型色覚で魚はもっと多様なのに、人間は3色型ですから。

だから、人間が見ているものには限界があるわけです。鳥が見ているものや魚が見ているものよりも、見える範囲がずっと狭いわけですね。言葉を使いながら、それを拡大したのが、現代の科学のあり方。我々はまだそこに創発のチャンスをとどめているわけです。これからその感覚を拡大して、さらに猿の能力を脱して、他の動物の可能性を取り込んで創発の機会を増やさなくちゃならないと思っています。以上です。

仏教の世界の“創発”の先駆者たち

竹内:ありがとうございました。今、「共感力」といったお話がたくさん出てきて、非常に興味深かったんですが。まずはパネラーのみなさんから一度お話をうかがって、それからもう一度(討論に)戻りたいと思います。それでは、松山さんはいかがでしょうか。

松山大耕氏(以下、松山):仏教の世界でも、創発というのは昔からあるわけです。例えば空海さんとかですね。もちろん仏教・密教を極められたというのもあるんですけれども、日本人のデフォルトを作ったのが空海さんだったと思います。例えば温泉を掘るとか、土木工事をしてため池を作るとか、巡礼の道を作るとか。

そういう意味では、仏教を通していろいろな文化を作ってきたのが空海さんですし。我が臨済宗でも、白隠さん(注:臨済宗中興の祖と称される江戸中期の禅僧)という方は素晴らしい絵を遺されたり、文字で表現されたりしています。仏教を通していろいろなものを作ってきたというのが、一つの創発ではないかなと思うんですが。

私自身の退蔵院の例で考えてみても、例えば400年ぶりに、ふすまを新しく描くプロジェクトをやっていたり。それからまさに今ちょうどやろうとしているんですけど、お寺で訪問看護ステーションをやろうかなと思っているんですね。今までは、お寺でお墓をお守りし、おつとめをして、みなさんに安心を提供していたわけですけれども。

むしろ今は檀家回りに行ったりしていろんな話を聞いていると、この間もタクシーの運転手さんに、墓じまいの相談をされまして(笑)。むしろ私たちが今まで提供してきたものが、不安や負担のような状況になっていると。

私たちがやるべきことは、やはりそうではなくて「安心を与える」ことが一番大事です。やっぱり今の時代を考えてみて、そういった終末期に私たちが安心を提供できるのではないかと思っています。

もし自分がその立場だったらどうするか?

松山:冒頭のKRP小川社長の挨拶で、「必要は発明の母である」というお話がありました。ずっと周っていって、「必要だな」と思うことをやるのはもちろんなんですが、そのためには、さっき山極先生もおっしゃったように、共感力は本当に重要で。私たちの世界でいうと「慈悲・慈愛」という言葉だと思うんですけれども、「もし自分がその立場だったらどうするんだ?」と。常にそういう気持ちでいるのはすごく大事なことなんですね。

もう1つ、「偶然は発明の父である」というお話がありました。偶然というのは、なんて言うんでしょう……偶然じゃない、と思うんですよね。やっぱり、みんなに平等にチャンスが降ってきていると思うんですけれども、それを「それだ!」と認知する力はすごく重要だなと思っていて。

ちょっと話が変わりますが、先日ジム・ロジャーズさんという世界三大投資家の御一人と、堀場製作所の堀場厚会長と私と、3人で二条城で対談したんです。Q&Aのときに「あなたにとっての一番の先生は何でしたか」という質問があって、そのときにジムさんは、アラバマのすごく貧しいおうちにお生まれになって、「幼いころは常に貧困と恐怖におののいていた」と。

そののち、オックスフォードかどこかに行かれて、すごくいい教育を受けられるんですが、やっぱり「幼いころの貧困と恐怖が自分にとっての一番の先生だった」とおっしゃっていたんですね。

私はちょっと納得がいかなくて、(対談が)終わってから個人的に質問したんですね。「世界には貧困と恐怖におののいている人は山ほどいます」と。「でも、あなたはその中からこういう立場になられた。あなたと、ほかの貧困と恐怖におののいている人たちとの一番の違いは何だと思いますか」と聞いたんですね。

チャンスや良いものを「見抜く力」

松山:そうしたら、ジムさんは、「Perceptibility.」とおっしゃったんですね。perceptibilityは、日本語で言うと「直感」というか。「直感」と言うと偶然の要素が非常に強いんです。だから、perceptibilityとおっしゃったんだと思うんですが、「認知する力」というか。やっぱり、「これが本物や」「これが大事や」という力が、自分はずば抜けていたと。

これはすごく重要なことやな、と思っていまして。ちょうど私の妻と話していたとき、妻は料理屋の若女将をずっとやっていたんですが、「良いものを見抜く力」というのは……例えば、良い器をずっと見ていたら「あ、この器は良い器だ」とすぐわかるようになる。

でも、「これはチャンスだ」とか「この人はすごい人だ」というものを見抜く力は、果たしてそういう人たちをずっと見ていたら醸成されるのかな(笑)。それはどうかな、と思うんですけれども。しかし、やっぱりそういう「見抜く力」があるかどうかは、創発にとってもっとも重要なことだと思うんですね。

そのときにお寺や日本の昔の文化でいうと、「守破離」という言葉がすごく重要だと思っていて。「守」は、型を「守る」ということですね。自分自身の分野をちゃんと極めると。そして、創発の瞬間は「破」だと。「破る」ということですが、これには「ほかの分野の一流の人と出会う」ということが重要だと思うんですね。そこで刺激を受けて、そこから「離れて」いく。自分のinnovationを起こしていく。

ですから、ちゃんと自分自身の道を極めていく。そこがあって、出会いをちゃんと感じる、という。仏教の世界であっても、その部分が非常に重要なんじゃないかなと思いました。以上です。

ここから"10倍"が成立した社会を想像する力

竹内:ありがとうございました。なんだかちょっと、少し共通のキーワードが見えてきた気がするんですが。それでは続きまして久能様、いかがでしょうか。

久能祐子氏(以下、久能):はい、ありがとうございます。普段はアメリカ・ワシントンにおります、久能祐子と申します。よろしくお願いいたします。

私自身はいわゆるベーシック・リサーチ、サイエンスからスタートしたものですから、比較的創発、何か新しいものができるときを測定しやすい分野におりました。

いろんな実験を組んで「これは活性はないだろう」と思っているときに出てきたり、あるいは「これは20パーセントぐらい良くなるはずだ」と思うときに、3倍になったり4倍になったりする。それは基本的に、やはり創発の瞬間なんですね。ですから、非常にわかりやすいといえばわかりやすいといえます。

振り返ってみて、私はビジネスコースに行ったわけでもありませんし、インキュベーターに行ったわけでもありません。けれども、バイオテックの会社を2つ作ったり、新薬を2つ作ったりできたのは、やはり「10x(テンエックス:10倍の成果が出るように考える)」の世界をわりと早く見たということはあるかなと思います。

やはり実際に10xみたいなものを見てしまうとき、あるいは、それが最後までいったときにどういうインパクトやinnovationとして社会に受け入れられるかを、想像する力。イマジネーションが非常に大事です。

inventionとinnovationの違い

久能:私も最近ようやく、振り返っていろんなことを考えるようになりました。「invention(発明)」と「innovation(革新)」は違う、と考えています。inventionはいわゆるシーズで、1人が解ればいいということです。反対に言うと、1人しか解っていない状態。

私の行っていた京都大学では、要は「誰もやっていないことをやりましょう」というのが学校の風土としてありました。ですから、とにかく誰もやっていないことをやるんだ、1が1.2になるような話はしない、とか(笑)。だから、今から考えれば、何倍になるのを見るということが、比較的、自然のエコシステムとしてあったのかなと思っております。

innovationは基本的には、「社会がそれを受け入れたとき」と考えております。シーズが0から1のときは1人しかわからない。それが3人がわかり10人がわかり。1から10のところにもっとも重要な役割を果たす人たちのことをアントレプレナー、起業家と考えています。

このフェーズになりますと、人数的にも7~8人から10人になります。この会場には、起業された方もたくさんいらっしゃいますが、その会社が爆発的に大きくなるのは、だいたい7~8人が集まってきたときと言われています。

Proof of Concept、即ちアイデア、あるいは発見を次のステージに持っていくステージです。そして、もしもそれがうまくいったとしたら、もう一度スケールする。10から100になり、100から1,000ぐらいのところ、つまり10xが4回起こったぐらいのときにinnovationと言いまして、世の中に認められるという感じかなと思っています。

ですから、inventionとinnovationを分けて考えますと、よりわかりやすくなるかなと思っております。

創発の瞬間をキャッチする2つの感覚

久能:創発の瞬間ということで考えたときに、私自身は30歳ぐらいで大発見と思ったものに出会いました。自分がそう思っていただけですけど(笑)。そのときに、目の前に山が現れて、よく「山の頂上が見える感覚」と言っているんですけれども、怖くないわけです。見えているという感覚がものすごくあるので。

ですから、後年になって多くの方から……例えば新薬の開発(で成功する確率)は3万分の1と言われているし。お金も商品も出ていないのに100億円単位で(資金を)集めなくちゃいけないし、「なぜ怖くなかったんですか」と聞かれたんですが。

これが怖くないんですよね。「見えている感覚」というものがあって、自分はそれに向かって登っていっている、あるいはリープしていっている、ギャップを超えていっている、という感覚があります。

この感覚を大学院の先生たちにいろいろと聞いてみますと、それは「self-efficacy(自己効力感)」だと。「やっていないのにやれる感覚」というものがあるそうなんです。

ですから、私たちは、若い人たちに「この感覚が来たときを大事にしてください」と言っています。起業すること自体は、決してゴールではなく、ツールである。見えていないときに飛んでも、成功する確率はかなり低いわけです。ですから、そういう「見えている感覚」、self-efficacyというものを大事にしてほしい、とよく言っております。

それからもう1つ、お二人ともすでに「偶然」というお言葉をおっしゃっていますけれども。これは「serendipity(思わぬものを偶然に発見する才能)」といって、あとから考えると「あの偶然がなかったら今の自分はいないのかな」「今の結果はないな」という感じのことなんです。

私も、いろいろな方との出会いがあったり、あるいは日本からアメリカに移ったり、日本に帰ってきたり。その一つひとつの偶然は決してインテンショナルに、つまり意思を持ってやっているわけではないんですけれども、それが起こる。

そのときにたぶん、さっき「perceptibility(知覚できること)」とおっしゃったんですけれども、それを認知する力が、やはり創発の瞬間なのかなと考えております。私は長い人生、スタートアップだけをやってきて、7~8年前まではまったく(人生を)振り返ることもなく、目の前のことをやってきただけなんですが(笑)。もし振り返ってみたとしたら、ということです。

2つのキーワードとしては、先ほど言った「根拠のない自信」と申しますか、self-efficacyという「見えている感覚」と、もう1つはserendipity。serendipityを認知する感覚。その2つが創発の瞬間と言えるのではないかな、と思っています。

物語を作るのがうまい人ほど認知力がある?

竹内:ありがとうございました。本当に共通事項みたいな格好で、キーワードがいくつか出てきたんですが。島本様、ここまでの議論については、コメントいかがでしょう。

島本久美子氏(以下、島本):非常に興味深いお話が多くて、質問がいっぱい思い浮かぶんですけれども(笑)。1つは、何度が出てきています「認知力」。そういった認知力というものを、どうすれば身につけられるのか。もしそのあたりのことでヒントがあれば、ぜひおうかがいしたいと思います。

竹内:山極先生、いかがですか。

山極:私は、言葉は「知らないものを作り出す装置」だと思うんですね。言葉を喋らない時代は、たぶんそれを自分がわかっていない、あるいは「この中に何か知らないことがある」ということに気付けなかった。

でも、言葉を喋ることによって、世界を切り取って、分類して見るようになる。「これは知らなかったんだ」と整理して、わかるようになったということですね。

それから、人間は言葉によって物語を作ることで、現実と切り離して考えることができるようになったわけですね。それを作るのがうまい人ほど、たぶん認知力があるんだと私は思います。違うかな(笑)。

竹内:「物語」というのは非常におもしろいですね。作家は基本的に物語を作ったりしますし、映画監督の方も作りますよね。でも、実は創発の瞬間にも、やっぱりそういった物語性というのが大事、ということになりますか? 久能様、いかがでしょう。

すごい発見をする人たちの共通点は何か

久能:ナラティブと呼んでいますが、もちろんそういうストーリー性や物語性は、「見えている」感が来るときには非常に重要だろうと思っていますね。ただ私の経験からいうと、認知する力は、ずっと保たれているわけではなくて、「認知力が上がったり下がったりしているなぁ」と感じることはすごくあるんですよね。

私は認知力をわざと下げているときもけっこうあります。right thingはright time、right placeでないとworkしない、というふうによく言われるんですが、自分で「right timeでもなければright placeでもないな」と思うときもあるんです。そういうときはもう本当に、認知力を下げておいて、寝て待っているという。そういう状態は、私の人生の中では相当ありましたね(笑)。

竹内:松山様はいかがでしょうか。

松山:基本的に、山極先生がいつもおっしゃっている「オモロイことをしてやろう」という(笑)。その気持ちを常に持っているのは、すごく大事やと思うんですけど。

もう1つは……京都賞の授賞式に行ったときに、ある受賞された先生が「すごい発見をする人たちの共通点は何か」という話をされていて。「恐ろしく考える時間があるときが人生にはある」とおっしゃっていて。ずーっと、常に頭がいっぱいの状態でワーッとやっている人って、実はあんまりそうならないかもしれないですよね。

そういう人でも、ちゃんと自分で考えるというか、冷静になるというか。さっき先生がおっしゃったように、そういう状態であれば、perceptibilityは上がってくるんじゃないかなと。そもそも頭がスッキリしていることは必要だと思いますけどね。

「自分の頭が一番元気なときに考えろ」

竹内:「時間」というと非常に興味深いんですが、ニュートンもそうですね。『プリンキピア』を書いたときに、たまたま黒死病が流行って大学が閉鎖されて、故郷に帰って時間ができたので、じーっと考えていたら重力を発見した、ということがあって。

アインシュタインもそうですね。アインシュタインに至っては、大学に採用されなかった。それで親友のお父さんの口利きで、特許局に就職した。午前中に全部仕事が終わってしまうので、午後はずーっと相対性理論を考える時間があった。

さらには、ホーキングさんもそうですね。ホーキングさんも体が非常に悪くなって、体が動かなくなった。それによって、大学でのいわゆる雑務みたいなものからすべて解放されて、全部研究をする時間になった、ということをおっしゃってるんですね。

やっぱりそういうふうに、時間のマネジメントというものは、創発の場面では大きいんでしょうかね。

山極:2019年の1月に亡くなられた梅原猛先生は、以前、1日の過ごし方を「午前中は絶対、本を読んだらいかん」、道をどこか歩いていてもいいけど、「考えるんだ」と。「考えて考えて、考え抜くんだ」と。それで、ちょっと疲れてきたら午後は本を読んで過ごすんだ、とおっしゃっていました。

ですから、本当に考える時間が大事で、「自分の頭が一番元気なときに考えろ」と。「知識はとにかく、疲れてても頭に入るからいいんだ」と、そういうお考えでしたね(笑)。

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