2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
クロストーク(全1記事)
提供:株式会社デンソー
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きゅんくん氏(以下、きゅんくん):よろしくお願いします。きゅんくんといいます。
普段はウェアラブルロボットを開発しています。これはファッションとして着用するウェアラブルロボットなんですが、メカ設計もやっています。
この作品以外にも、メカエンジニアとしてスタートアップで働いていて、板金で設計したり、筐体樹脂での設計などをやっています。
先日、愛知県のデンソー本社に伺いました。そこでデンソーギャラリー(総合展示ホール)を見学し、過去の製品はじめ、いろいろなものが展示してあったのですが、実はデンソーは創業当時に電動自動車「デンソー号」を作っていたことも知りました。
本日のテーマも電動化と聞いていましたが、まさか創業時からやっていると思っていなかったので驚きました。
創業時に電動自動車を作っていたのですが、その後にガソリン規制が撤廃されて電気自動車を作らなくてよくなり、洗濯機を作ったらバカ売れしたというお話も、とてもおもしろかったです。
きゅんくん:では、本題に入りたいと思います。最初から重めのテーマを持ってきました。「本当に電動化で二酸化炭素が削減できるのか?」です。「電動化すると自動車の排出する二酸化炭素は減る。しかし、電気を作るのに二酸化炭素が出るじゃん?」と私は思ってしまったのですが、それについて聞きたくてこの質問にしました。
石田稔氏(以下、石田):電気自動車は走っているときはCO2を排出しないので、その点はクリーンだといわれています。
おっしゃるとおり「そもそも電気をどうやって作るんですか?」といったお話はあると思います。私の講演でも少し出ましたが、各メーカーさんも走っているときのCO2だけではなく、製造時に出るCO2は「Well to Wheel」とよく言われていますが、そういった単位で考えています。
したがって、純粋な内燃機関の車両と比較して、トータルとしてCO2削減を期待できることが、一般的な方向性だと思います。
きゅんくん:なるほど。トータルとして削減できるんですね。
石田:そうですね。もちろん発電の効率が著しく悪い地域であれば、逆転する可能性はゼロではありませんが。
きゅんくん:石炭で電気作ってます、みたいな?
石田:そうですね。
きゅんくん:なるほど、ありがとうございます。
きゅんくん:続いて「電気自動車の乗り心地ってどんな感じ?」。私、実は電気自動車に乗ったことがありません。なので、乗ったことある人に聞きたいです。
石田:私もそれほどたくさん乗ったことがあるわけではありませんが、最初に乗ったときは、作っている側からすると「正直気持ち悪いな」と思いました。
きゅんくん:どうしてですか?
石田:普通のクルマはアクセルを踏むとグッと走って、アクセルを離してあげるとスルスルっとなだらかに走ってくれると思います。ですが、電気自動車の場合、私が乗ったそのクルマはスポーツ仕様だったので、アクセルを離した瞬間にいきなり急減速がボコンッと入ります。
電動車なのでアクセルを離した瞬間に、減速エネルギーを回収する「回生」という動作に入るので、それによって不要な減速エネルギー、今まで熱で捨てていたものを回収できるうれしさがあります。ただ、そのことを念頭に置かずにいきなりアクセルを離したものですから、首がもげるほどの急減速で首が痛くなってしまったことがあります。
慣れてくるとアクセル1つで減速も加速もできるというのが、例えば日産さんのリーフですかね。ああいったところの機能で入ってくるので、そういったうれしさはあるかなと思います。しっかりものを知って動かせば、おもしろい車両かなと思います。
きゅんくん:ありがとうございます。乗るときは気をつけようと思います(笑)。
きゅんくん:電気自動車は音が静かだと言われていますが、電車はあまり静かなイメージがなくて。発車するときに音階のような音が鳴ったりしますよね。あれってインバーターが鳴っていると私は勝手に思い込んでいたので、その辺りはいかがでしょうか?
後藤誘紀郎氏(以下、後藤):インバーターと言われてしまったので、汚名返上するために。
(会場笑)
インバーターも確かに音が鳴ります。ただ、最近の新しい電車は分かりませんが、モーターには種類がいろいろありまして、おそらく電車のほうは誘導機という種類のモーターになっています。それが回転するときに、どうしてもウィーンという音が鳴ります。
ハイブリッド車でも確かにインバーターが鳴るのですが、若くて耳の良い方はとくに気になると思います。かなり高周波なモスキート音です。
周波数でいうと10キロヘルツぐらいの音がどうしても鳴ります。幸いなことに、40〜50歳ぐらいになれば可聴域として聞こえないので、安心して乗れるクルマになります。
また、これからどんどん技術革新が進んでいくと、とにかく損失を下げて効率的になったり小型化していくので、この周波数はどんどん上がっていく傾向にあります。おそらくもう何年かすれば、耳に聞こえるような音は鳴らないインバーターになってきますので、将来的に静かなものになります。ご安心ください。
きゅんくん:汚名返上(笑)。ありがとうございます。
きゅんくん:先ほど講演を聞いていて自分もエンジニアとしてすごく気になったのですが、機械と電気が両方ある製品が多いなと感じました。そこで、設計で工夫していることや、メカの人とエレキの人のやりとりなどで工夫していることはありますか?
菊地司氏(以下、菊地):そうですね、私の場合は電気屋さんとして設計経験があり、メカ屋さんとしても設計経験があります。その立場から言うと、双方のコミュニケーションかなと思っています。
メカ屋さんだからメカの設計だけをやるのではなく、電気のこともきっちり考慮してメカ設計に反映したり、逆もしかりです。そういったことがいい製品を作るときに必要なのではないかと思います。
きゅんくん:コミュニケーションですね。
石田:設計で工夫しているところでは、我々は1人で製品を作っているわけではないので、電気屋さん・機械屋さんのそれぞれの良いところを引き出してあげることが必要なのかなと思います。
なにゆえその仕様が必要なのかをしっかり出してあげて、結果として、両方が高め合ってどんな良いものができるのか、膝を突き合わせて取り組んでいます。これが我々が当たり前にやっていることですね。
たまに喧嘩モードになるときもありますが、結果的に良いものができていくので、そういったところがいいところかなと思います。
きゅんくん:ありがとうございます。
きゅんくん:新しく開発した技術って、最終的に製造まで持っていかないといけませんよね。「この技術、めっちゃ効率いい!」というものが開発できたとしても、製造しにくいことがあると思います。そういった苦労はありますか?
後藤:大いにありますね。私の資料にもあったように生産技術の方と相談してやっていくんですが、簡単なものを作れば簡単に作れるので、世の中で勝つためには、やはり難しいことをやらなければいけません。生産技術の方にもデンソーのプライドを持ってもらって、より難しいものに挑戦していく。そういったところにうまく焚きつけながらやっています。
そういった成果が、MGの巻線の技術であったり、インバーターであれば先ほどの両方から冷やす機構です。蛇腹のような構造をしていて、ぐちゅっと潰して両方から挟んで冷やすんですが、他社ではなかなかその部品を作ることもできませんし、それを組み上げることもできません。
一生懸命、設計の方ともお話をして、どうやって組めば実現できるのか、簡単なものを作るのではなく、難しいものに挑戦していく設計やモノづくりを、生産技術の方としっかりとやっています。
きゅんくん:ありがとうございます。
きゅんくん:「電動化に地域差があるらしい?」ということなんですが、私、けっこうアメリカのでっかい自動車が好きなんです。前に打ち合わせしたときに好きなクルマの話になって「私こういうクルマが好きで」という話をしたら「それは電動化しなさそうですね」と言われまして。「じゃあ、アメリカのでっかいクルマはあんまり電動化しないんだな」と思って、地域差があるのかもと思ったのですがいかがでしょうか?
石田:地域差はあると思います。先ほどの北米の例を見ますと、「でっかいトラック、電動化はないですか?」と。「極端にEVに振るのはあんまりないんじゃないか」というのが現地の人たちの声だと思います。
やはり現地ではピックアップトラックはガンガン走らせるものなので、先ほどの講演でも話しましたが、航続距離が短いことがネックになっているのかなと思います。したがって、内燃機をベースにしながらハイブリッドをうまく織り込んでいく場合が多いのかなと思います。
日本ではすでにハイブリッド車が広く普及していますが、中国・欧州はハイブリッド車よりも電気自動車のほうがニーズとしては多いのかなと思います。
電動化についても地域によって求められるものがそれぞれ違うのかなと思います。
きゅんくん:ヨーロッパはエコに関心が高いですよね。
石田:そうですね。先ほどの規制もそうですが、地域全体としてエコに振っているところはあると思います。
きゅんくん:自動車以外の電動モビリティ、セグウェイのようなものは今後増えていきますか?。
石田:そうですね。実際に小型のモビリティ、1人乗りのセグウェイのような電動モビリティに対応していくことを公表しているメーカーさんもあります。
先ほど菊地の講演でもありましたが、空を飛ぶモビリティであったり、乗用車だけにとどまらず広くモビリティとして捉えて電動化していくニーズがありますし、我々としてもしっかり取り組んでいこうと考えています。
きゅんくん:ありがとうございます。
きゅんくん:「電動化でどんなことが変わっていく? 社会にどのような貢献をする?」。会場のみなさんからの事前の質問を見ても、電動化でクルマがどう変わっていくのか、どんなふうに社会が変わっていくのかを聞きたがっている方が多くありました。
石田:電動化でどんなことが変わっていくかというと、今までエンジンで走っていたクルマというのは、エンジンの動力を使って、ベルトなどを介していろいろな機器を動かしてきました。そういった機器を動かすために、小型のモーターが第一陣で入ってきている。それが電動化の第一歩ですね。
それに対して、今まで捨てていたエネルギーを使ってCO2排出量、燃費を改善しようとしてきたのがハイブリッド車です。先ほどの回生もそうですし、モーターでアシストして今までエンジンが不得意だった領域や拾いきれなかったエネルギーをうまく回収して使ってあげることができれば、最終的にはCO2の削減としてそれが返ってくる。その結果、クリーンな世界を実現できるのではないかと考えています。
バッテリーEVになると、発電はエンジンからではなくて別のところ、発電所で一括になるので、そういった違いは出てくるかなと思います。あとは燃料の補給形態が変わったりですね。
きゅんくん:やっぱり回生があるのは大きいですか?
石田:そうですね。今までブレーキを踏んで熱として捨てていたエネルギーを回収してあげて、それをタダで使えるので、燃費向上のキーアイテムといってもいいかなと思います。
きゅんくん:ではここからは、みなさまから事前にいただいていた質問の中から答えていただこうと思います。
「電動化に向けて、ライバル他社との競争が激しい分野で勝ち抜くための御社の強みは何でしょうか?」「また、これまでの経営との違い(スピード、品質、コストなど……)があれば教えてください」。他社との競争が激しい分野、強みは何ですか?
後藤:まずインバーターから。他社との競争は激しいですが、デンソーの強みは、やはりいろいろなものを手掛けていることです。今回の話では、ラジエーターなどのいわゆる冷やす技術において、デンソーは非常に強みがあります。
インバーターにおいてネックだったのは、スイッチング処理で熱が発生することでした。なので、冷やす技術がデンソー内にあるということが強み。これは1つの例ですが、ありとあらゆる分野の技術と連携して、いろいろな強みをうまく組み合わせることができる、という強みがあります。
質問にある「スピード」「品質」「コスト」については、正直に言うと、これからデンソーががんばらなければならないところだと思います。デンソーは「安全」「品質」を非常に大事にしていて、かなりこだわりを持っています。
ですが、その分どうしても慎重にならざるを得ないところもあります。今の時代、技術の進化はとても早いので、これから出てくる競合のスピードに、デンソーは必死についていかなければなりません。品質を維持しながらスピード感を持ってやっていくことは、質問にもあるとおり非常に大変なところなので、まさに取り組み中ですね。
きゅんくん:具体的にどんな取り組みをしていますか?
後藤:具体的に言うと、今までは一度試作品を作って評価して、実際に要求したスペックが出ているのかを確認していました。
ですが、モノを作るためには時間がかかるので、CAEや解析技術を磨き上げて、考えていたものが性能を発揮できるかどうか、モノを作らずともポテンシャルが出せるかどうかを見極められるようにしています。
あとは、今までの蓄積した技術をしっかりと持った状態でどれだけ品質を担保できているか、ベースを持ってやっていく。うまく強みを活かしながらしっかりとモノの見極めをやっていくということに、今まさに取り組んでいます。
きゅんくん:シミュレータをたくさん作ったりしているのでしょうか?
後藤:そうですね。そういった部隊もいて、今後はモデルベースで仕事をしていくことも増えるので、そういったところでスピード感を上げていくということをしています。
きゅんくん:なるほど。ありがとうございます。
菊地:MGについては、私の講演でも話をさせていただきましたが、例えばライバルには、これまで自動車をやってこなかったような、家電や産業モーターのメーカーなども参入してきています。ですがデンソーは、長らく車載分野での経験がありますので、その中で培ってきた車載品質のつくり方については、そうしたメーカーには負けないと思います。
あとは、やはり生産技術です。設計者と製造部隊が膝を突き合わせてどうすればいいものができるのか、難しいチャレンジ目標を立てて、みんなで悩みながら解決に向かっていく。そんなチームワークの力がデンソーの強みだと考えています。
きゅんくん:チーム力を会社の中で醸成するのは難しそうな感じがしますが、「こういう取り組みがあるからチーム力が高まっている」という事例はありますか? 私は「道場」があると聞いたのですが。
菊地:パワエレ道場。経験をたくさん積んだ技術者が、若手技術者を対象に、デンソーの歴史や過去の製品設計を教える機会があります。
きゅんくん:名前がおもしろいですよね。いろいろな道場がそれぞれの工場にあると聞いたので、「私もエンジンの組み立てをやってみたいです」と言ったのですが、「道場に外部の人は入れない」と言われてしまいました。残念です(笑)。
(会場笑)
きゅんくん:では、次にいきます。「電動化が進むにあたって、新たに発生する課題について聞いてみたい」。新しいことには課題がついてまわったりするのでしょうか?
石田:そうですね。「課題がなけりゃやればいいんじゃない?」という話なので、できないなりの理由があります。極端な例ですと、クルマを持っている方で電気自動車に乗っている方はいらっしゃいますか?
(会場挙手少なめ)
このように、なかなか普及していないのが実態です。では、なぜなかなか普及しないのかというと、先ほどの菊地さんの講演でもありましたが、航続距離が短いことや、そもそも充電のインフラ設備も整っていないこと、クルマが高いことがあると思います。
大もとをたどると、バッテリーが高いんですよね。電動化はバッテリーとモータージェネレータとインバーターの3つの要素がありますが、バッテリーが高いということは、全部の電動車がなかなかに高いということになります。これが今直面している課題です。
なので、バッテリーにかかるお金をできるだけ抑えるためには、そもそもバッテリーの使用量を少なくすればいいので、モータージェネレーター屋さんとインバーター屋さんにがんばっていただいて、すごいものが作れたら、バッテリーを小さくすることができます。私としてはそうなることを切に願って、「よろしくお願いします」ということをやっていただいています。
きゅんくん:バッテリーは作ってないんですよね。
石田:バッテリー自体は我々は作っていません。ただ、バッテリーがどういったものなのかをしっかり把握をして、どんなバッテリーが来てもしっかり使いこなすところが我々の強みだと思います。
例えば各車両メーカーさんがどんなバッテリーセルを使いたいかはメーカーさんによってまちまちなので、そういったところに対してしっかりバッテリーを使いこなせる。どんな構成であればお客さんにとってうれしさを出せるのか、そういったところに貢献していけるのが私たちの強みですね。
いかにバッテリー効率を上げるかということについて、1つの観点では、高電圧化することで損失を減らしてあげるという観点があります。
あとはもう1つ、そもそもバッテリーの損失はバッテリーから持ち出される出力という観点になるので、この2人がしっかりやってくれると、バッテリーが小さくなって僕はうれしいなと。
きゅんくん:同じことを2回言いましたね(笑)。
石田:大切なことなので2回言っておいたほうがいいかなと思いました。
(会場笑)
きゅんくん:なんでしたっけ、バッテリーをコントロールする……出てこない(笑)。
石田:バッテリーマネジメントユニットなんかがありますね。
きゅんくん:そう、それです。バッテリーマネジメントユニット。
石田:電動車によく搭載されているリチウムイオンバッテリーというものは、電池のフル充電の状態からさらに充電をかけるという状態……過充電とか過電圧などの状態があるんですけど、そういった状態を避けなければいけません。
一方、過放電側。電池を使い切ってさらに使う方向も同じく避けなければいけないので、バッテリーの容量をSOCというかたちで表現するんですが、SOCの上下限をしっかりと使ってあげるところが、バッテリーとしての効率アップになります。
デンソーではバッテリーの容量を高精度に検出し、効率を上げるところで貢献しています。
きゅんくん:次もちょっとバッテリーじみた話ですね。「電源喪失・電池切れ時のバックアップ機能の考察や対策について」。
石田:電源喪失と電池切れをどう捉えるかなんですが、エンジン車でいうところのガス欠と同じだと捉えれば、それに即した容量を整えるのが1つの観点だと思います。
もう1つ、そうは言ってもなかなか充電機関がないじゃないですか。こういったときには、例えばレンジエクステンダーと呼ばれるような、エンジンを発電機として設けて、基本はバッテリーEVとして走る。
電池残量が少なくなってきた時には、エンジンからの発電によって距離を稼いで、ある程度充電で走るといったように、カーメーカーさんによって考え方はまちまちですが、電源喪失の考え方はそれぞれあります。
きゅんくん:エンジンを積むけどエンジンで走らないクルマというのがすごいですね。
石田:そうですね。その分だけエンジンが小さくなったりするわけですね。
きゅんくん:なるほど。エンジンが小さくなるんですね。
きゅんくん:「新興国(中国、東南アジア)への特別な取り組みがあれば、教えてください」。
石田:新興国、まず中国という目線で見ますと、北米などと同じようなかたちにはなるんですが、電動車やバッテリーEVやFCVなどを政府として入れる、NEV規制という法規が決まっているので、そういったところに力を入れています。
したがって、カーメーカーさんの取り組みは、そういったバッテリーEVをある程度入れていくという目線ですね。EVではバッテリーだけで車両に必要な性能を担保しなければいけないので、高出力なモーターやインバーターなどの取り組みが必要になると思います。
きゅんくん:先ほどバッテリーEVの資料のバッテリーのサイズを見て、けっこうびっくりしました。「バッテリーでかっ」みたいな。
石田:そうですね。よくある乗用車の床一面にぎっしりバッテリーを敷き詰めている車両もあるので、バッテリーの占める割合は大きいかなと思います。
きゅんくん:バッテリーは私の中で爆発するイメージなんですけど(笑)。
石田:極端なことをすると爆発はします。「爆発はしません」とはさすがに言えない。
きゅんくん:さすがに言えない(笑)。でも今後、事故のときのケガの仕方などがまったく変わりそうですね。
石田:そうですね。基本的に前方方向からの衝突などの時には安全性を担保する設計はしていると思うので、上から隕石が降ってきたり、意図的に爆発させるようにしたり、よほど特殊な使い方をしなければ基本は大丈夫だと思います。
きゅんくん:「クルマの電動化、インターネットとの接続によって、モビリティの世界がどのように変化していくのか?」。先ほどもお話しいただきましたが、先ほどの質問とちょっと違うのは、コネクティッドだと思います。インターネットに接続しているクルマはどんな感じになっていくのか気になります。
インバーターをコネクティッドしたら、どうなるんですか?
後藤:コネクティッドなので、インバーターが今どういう状態かを常にやりとりできるようになっていきます。インバーターが壊れてしまうとクルマは止まってしまうので、そういったところからいろんな情報をたくさん渡せるようになれば、いま自分のクルマのインバーターがどういう状態・調子なのかを把握して、早い段階で交換ができたりしますよね。
そうすると、全部壊れてから丸々取り替えるのではないため、交換単位が小さくなっていったりします。オイル交換せずにずっと乗り続けるとエンジンが大変なことになってしまい、とんでもない修理費になるところが、エンジンオイルを交換するだけで済むのと一緒、みたいなイメージですね。インバーターの壊れやすいところが分かって、そこを交換する。
そうしていけば、絶対壊れないすごく高いものを作らなくても、壊れることを前提に安く作って、その壊れる部分だけ交換する、そういった考え方ができるので、コネクティッドでいろんな情報のやりとりができれば、そういったところもできるのではないかと思います。
菊地:例えば電動化をベースにして自動運転やコネクティッドの部分であるとうれしいなと思うのは、インターネットでポチッとすると、タクシーが家の前まで自動的に迎えに来てくれてみたいな。今ではまったく起きていないような、マウスのクリックでクルマが来てくれるような世の中があったらいいなと個人的に思っています。
きゅんくん:コネクティッドはだいたいWi-Fiでつなげたりしますが、外ではWi-Fiはありませんよね。ということは、クルマにSIMを入れるんですかね? コネクティッドはどうなるんでしょうか?
石田:必ずしもSIMを入れなければいけないわけではないと思います。今のクルマでも緊急通報やディーラーとのやりとりに専用端末が入っているので、そういったものもあると思います。
あとは、街にはインフラとの通信もあると思うので、今後はそういったところがよりオープンになってくるのかなと思っています。
きゅんくん:分かりました。
というわけで、会場からの質問に答えていただきました。最後に、みなさまに伝えたいことをお話しいただければと思います。
石田:みなさん電気自動車を買ってください。
(会場笑)
思いのほか1人もいないのはちょっと意外だったので、ぜひ買っていただけたらなと。
後藤:インバーターを知ってもらえたということで、私も今日は来た甲斐があったかなと思います。ぜひみんなでインバーターとつぶやいてください。
(会場笑)
菊地:電気自動車にはまったくエンジンがないものですから、MGがなければクルマが前に進まない、MGは主役の製品になります。主役の製品に携われることを誇りに思って、これからも製品開発を進めていきたいなと思っています。
きゅんくん:ありがとうございました。
(会場拍手)
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