2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
提供:株式会社MJE
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冨田阿里氏(以下、冨田):では次の質問に移りましょう。「関西のスタートアップって盛り上がってるイメージありますか?」。
廣澤太紀氏(以下、廣澤):来週も関西に行くんですよ、大阪に。
冨田:お、盛り上がってるイメージはあるということ?
廣澤:2014年、2015年とかと比べたらすごく盛り上がっている気がしています。僕も全部知ってるわけじゃないんですけど、東京のスタートアップと呼ばれる若い企業が増えていったタイミングって、アクセラレータープログラムが東京にできたとか、あとは投資する人が増えたとか、イベントの数が増えたりしたからだと思うんですよね。
そういう兆しみたいなものが、大阪でもあるんじゃないかなと思っていて。それの何がいいかというと、こういうのに興味がある人が同じ場所に集まれる機会が、以前だったら年に1、2回しかなかった。それが月に1回くらいの頻度になっているので。なんというか、セレンディピティみたいなものが発生する可能性が高くなってるんじゃないかなと思います。
スタートアップに接する機会は確実に増えていっている気がします。今日とかも、関西で起業した人たちが東京まで来たりして、それくらいの気持ちで「やっていくぞ!」という気合いのある人が増えてきてるという意味でも、かなり盛り上がってきてるんじゃないかなとは思いますね。
坪田拓也氏(以下、坪田):今ファンドのLP(リミテッド・パートナー)さんに大阪の企業もいらっしゃるので、実は僕も毎月大阪に行っていて。
あと、今全国に投資活動を広げようとしていて、地方出張にも行っています。ぜひ大阪でイベントなどをしたい方がいれば、呼んでいただければと思います。一旦宣伝と(笑)。
冨田:盛り上がってるってことですね。
廣澤:けっこうお世話になってるところだと、仲の良いファンドでマネックスさんのCVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)のマネックスベンチャーズの代表の方とかも、ほぼ毎月くらいのペースで大阪に行っていて。実際そっちでも投資したりしていて、さらに社数を増やすとも言っていたので、投資家が関西に行く機会もかなり増えてるんだろうなという気がします。
坪田:語弊を恐れずに言うと、僕は関西出身で今は東京で働いているんですが、ざっくり言うと東京って課題が少ないなと思うんですよ。けっこう便利ですし、いろんなサービスがあるじゃないですか。本当にいろんな解決手段がある中で関西に帰ったりすると、まだまだそういうものがぜんぜん進んでないんです。最近やっと両親がケータイもスマホになって、Uber Eatsとか(タクシー配車アプリの)DiDiを使い始めていて(笑)。
特徴として、東京は例えば「AIとかブロックチェーンがきてるから、これでどういった事業領域に入ろうか」みたいにHowから事業アイデアを考えるような方が、わりといると思います。
でも関西ってそもそも課題が多いので、「ずっとこの課題を解決したいと思ってました」とか、「この領域にいてこれを成し遂げたい」と思っていたところにちょうど解決に繋がるテクノロジーが出てきたから、掛け合わせでこんなことやるんです、みたいに課題やニーズに基づいて起業されている方がすごく多いなという印象ですね。そういった意味ではすごくおもしろいなと思ってます。
冨田:ありがとうございます。私も大学が神戸でしたが、今度すごく久しぶりに、「神戸大学卒業生スタートアップ飲み会」というのをやります。
坪田:そんなのがあるんですね!
冨田:そう! 「そんなのがあるんですね」と言われる(笑)。
廣澤:神戸大学って、意外とスタートアップが多いですもんね。
冨田:そうなんです。関西でくくる飲み会はあったけど、神戸大学でくくっても人が集まるようになってきて。盛り上がってきてる感があります。
冨田:次は……あ、いい質問。「今日のようなピッチコンテストで勝つポイントを2人から聞きたいです」。こういうピッチコンテストで勝つための実践的なノウハウですね。
廣澤:SmartHRの宮田(昇始)さんの、過去のピッチ動画を見まくる。
冨田:いいピッチを見まくるということですね。
廣澤:一時期のB Dash Campのピッチとか、IVS(Infinity Ventures Summit )のピッチコンテストをみていると、ほぼ宮田さんのフォーマットじゃないかなというくらい似ていることがあって。でも、やっぱりめちゃくちゃわかりやすいんですよ。投資家に対して何がウケるのかを含めて、すごく伝わりやすいものになっているので。
準備という意味では、それが一番いい方法なんじゃないかなと思います。昔、宮田さんにそれを聞いたブログ記事を書いたので、よかったら見てください。宮田さんのお話を文字起こししただけなんですけど、凄く参考になります
冨田:いいですね。
坪田:一番の勝つポイントは、ぶっちゃけ「いい事業を作る」だと思います(笑)!
廣澤:いや、そうですね。おっしゃるとおりです(笑)。
坪田:いやいや(笑)。そのうえで、それをいかにさらに良く見せるかという観点で(廣澤氏の)おっしゃるとおりですよね。うまくいっている人の過去のピッチをひたすらインプットして、あとは練習ですね。ひたすらアウトプットを繰り返すことで完成度を上げていくのが一番だなと思います。
たぶんピッチって、資金調達を前提にVCに対して個別に行うものだったり、アクセラレーターでのDEMO DAYのものだったり、IVSのような大規模なピッチイベントだったりで、それぞれ目的と視聴者が違うと思います。
それに合わせて、もちろん見せるポイントというか、押すポイントも変わってくると思っていて。そこをしっかり理解したうえで作り込むのがいいのかなと思います。
冨田:お2人の答えに頷くばかりです。ありがとうございます。私もこの間、ICCのオフサイトセッションで「「プレゼンテーション講座」」という勉強会に参加しました。
まず、みんながわかりやすい基本の型を作って準備する。でも、本番では相手の顔を見て、「今日は聞いてくれる人に何を伝えるんだっけ?」という話をしていて。
そのときはエアロネクストの田路(圭輔)さんが話してくださったのですが、宮田さんのピッチとは真逆でした。それも動画が上がっているので検索ください。ぜんぜん型にはまってないんですよ。最初に課題から入らなかったり、すぐにドローンの動画で魅せる。動画で興味を惹きつけて、スライドの説明じゃ伝わりにくいことを伝える。
ドローンを使った知財ビジネスを一番わかりやすく、ドローンに詳しくないオーディエンスに理解してもらったからこそ、1年間ピッチコンテストの一位を総ナメできたという話をされていて。
お二人が言ったとおり「いい型をまずやる、そしてオーディエンスを見極める」ようにして、あとは事業さえよければピッチは勝てるんじゃないかって(笑)。
坪田:あと今日ちょっと気づいたのが、ひたすらピッチの練習をしたり、事業の解像度を上げていく中で、どんどん感覚ってマヒしてくると思うんですよ。事業理解というか、「これぐらいはみんなわかるもんだろう」というところ。
なので、例えば同じ創業メンバーに対して練習しても、たぶん話って通じちゃうんです。でも、初めてその事業を知る人にとっては別で、どういった事業なのかが理解されなかったりする。それはもったいないので、初めてその事業や業界を知る人を想定したパターンも練習しておいたほうがいいですね。
冨田:本当にそうですね。スマートピッチをやるときに、応募があった人のピッチを全部見てフィードバックもさせていただいたのですが、ピッチする起業家のほうが、そのビジネスに詳しいから、初めて聞いた私が「えっ、それ何ですか?」と思うことがあって。
「それって何だろう?」と思うと、もう次の言葉が頭に入ってこなくなっちゃって。やっぱり初見の人に1回聞いてもらうのがいいと思うし、スマートピッチに応募してもらえたら私が必ず聞きますので(笑)。
廣澤:直接フィードバックをいただけるんですね。
冨田:はい、必ずフィードバックします。そして、SmartHRさんや、エアロネクストさんの動画も、検索して見てみてください。
冨田:では次の質問に。「M&Aエグジットの可能性を捨てないために、やらないほうがいいことはありますか?」。
廣澤:実態から大きく乖離したファイナンスをする。
冨田:そうですね、価格を上げすぎない。
廣澤:実態からかけ離れすぎているような資金調達をするんであれば、ものすごい将来の成長に対して期待して出資してもらうことになると思うので。M&Aをする側に回ったことはないですけれども、やっぱり担当者の方とお話をしていると「ベンチャーキャピタリストが投資するときの視点」と「M&Aする側の視点」は、かなり乖離があるので。
例えばM&Aで10億のバリュエーションがつく会社がVCからファイナンスを受けたら、本当にその数倍とか、下手したら10倍以上になることもあるので。そもそもロジックが違うというところを把握して、そのうえでどういう選択を取るか「決め」を持つことなんだろうなと思います。
一番よくある、難しくなるパターンは、あまりに期待値を上げすぎてファイナンスをして、結局「M&Aしたいです」となると、前回のラウンドの投資家が「割に合わない」ということでブロックされたりとか。そういうケースもぜんぜんあると思うので。
こういうものもいろいろ聞いてみると、起業家の方同士で情報をシェアできるのが1番だと思うので、起業家の友達が何人かいるとよいんだろうなと思います。
冨田:ありがとうございます。
坪田:あと「やらないこと」じゃないですけど、あまり大きくない金額のM&Aだったら、そもそも創業者があまり得しないパターンもあります(笑)。そういった意味では、M&Aを視野に入れるんだったら、ファイナンスの仕方もあるのかなっていう。IPOだけ目指すんであれば、取りにいく手段もちょっと変わってくるのかなと。
廣澤:VC側の視点を置いとくと、M&AとかIPOとか、どっちでもいいと思うんですよ。創業者なりメンバーなりがどこまで納得感を持ってやれているかという、意思決定の積み重ねは絶対に必要だなと思っています。
良くないケースは、投資家には、IPOって言っておいたら評価額が上がるから「IPO!」って言い続けて。でも社内のコミュニケーション的には「IPOはちょっと時間かかるし、今のままじゃまったく見えないから、2年後までにこれぐらいの売上作ってとりあえずM&Aするわ」というような話を継続させていくと、その齟齬はどんどん広がっていく。
組織崩壊なのか、投資家から見捨てられるのか、何かは発生すると思うので。基本的には納得感を持って誠実に向き合うことだと思います。
坪田:そうですね。これを言うと元も子もないんですけど、事業が伸びていればどっちの選択肢も選べるじゃないですか(笑)。
廣澤:それは本当にそうですね(笑)。
冨田:(笑)。
坪田:逆に伸びていないと選べないので、その2つを「どっちにしよう」と考える時間は、たぶん事業を伸ばすことに費やしたほうがいいのかなというのは正直ありますね。元も子もないのですが。
冨田:いやでも、おっしゃるとおりですよね。このセッションのタイトルが「資本政策」になってるから、もしかしたらこういう質問をみんながくれているだけかな、ともちょっと思ったんですけど、一番は事業なので。二人に聞きたいことがあったら、別にこのテーマから逸れても大丈夫です。
坪田:そうですね、まさにそうだなと思っています。今回のテーマの「失敗例」に戻ると、エクイティによる調達って、本当にもう仲間になるじゃないですか。5年、10年と、ずっと続くパートナーになる。なのに合わない人や信頼できない人を選んでしまうのが失敗例なのかなと思っています。
そこはやっぱり信頼できる人を入れることが大事だなと思います。あとは、例えば自分がかなりビジョナリーな人で行動力があるなら、VCだったり投資家で戦略の壁打ち相手になってくれるような人、つまり自分に足りないものを補ってくれる人を入れたりとか。
事業会社さんであれば、そういったアセットを活用することで、自分の事業も伸ばせるような人に入ってもらうことも考えられる。そういった「事業にとって正しいパートナーを選ぶ」というのがけっこう大事なのかなと思っています。
冨田:ありがとうございます。
廣澤:「投資家」と言うと、なんというか相対する人間として見ないような表現というか。個別でちゃんとミーティングするときなどは、目の前の一人の人として接するとは思うんですけど。でも「投資家」とくくっちゃったときに、政策・戦略の中の一つにどう組み込むかが主流になったりしやすいと思うので。
でも、どこまでいっても結局は人間関係だと思うので。基本、未上場においてはほぼ相対の取引になってきますから。
冨田:そうですよね。
廣澤:信頼を積み重ねるようなラウンドが進められたのであれば、その資本政策自体はそんなに悪いものではないんじゃないかなとは思います。
冨田:確かに、これまでお金を手に入れるといったら、だいたいは銀行で、ATMか窓口だったから。その感覚で「金融機関の人」と思って投資家と会うと、まったく別物ですよね。お父さんにお金を借りるか、お母さんにお金を借りるか、みたいな話ですもんね。
坪田:その例え話はちょっとわかんない(笑)。
冨田:(笑)。すみません、「どっちとの相性がいいか」によって、借り分ける。これからの関係を続けてく人、という意味で選ばないと大変ですよね。
冨田:この質問に続いて、「プレシードの時価総額はどうやって決めるんですか?」という質問がありますが、どうでしょうか。
坪田:たぶんVCさんによって算定の仕方が違うと思うんですけど。僕らは基本的に、事業進捗がどこまでいっているかで判断してるんです。
要は仮説検証がどれぐらい進んでいるかというところで、例えば「本当にプロダクトが出てユーザーがいて、これぐらいのリテンションが出ています」というのは、定量的にしっかり証明できていることになるので評価が高くなります。
プレシードの場合って、基本的にはそういうことがないじゃないですか。まだサービスが出ていないことも多いので。そういった場合は、サービスができてない中でも、既存のサービスを組みわせた疑似体験でニーズが検証できているとか。どれくらいターゲットがいるかとか、ターゲットが求める提供価値などを具体化できていて、どういうものを出せばそのニーズを満たせるのかというところが、事前の検証でどれぐらい出ているか。それによって決めているようなところですかね。
冨田:ありがとうございます。廣澤さんはどうでしょう?
廣澤:僕はもう本当に、ただただ言い値なので。
冨田:へぇー。
坪田:スタートアップのですか?
廣澤:僕側から提案することが多いです。今はファンドのサイズも小さいので、完全に自分都合になる話に偏っている可能性もあると思っています。なので、他の投資家に会えば倍の条件をもらえるケースもぜんぜんあると思うから、他を回りながら決めてもらっていいという話もしています。
「それでも僕がやらせてもらうんであれば、この条件で」と提案した上で出資していますね、今は。
冨田:でもいいですね、評価パスと言い値が一個あるの。
坪田:その言い値って、一定ルールがあるんですか? それとも本当に都度都度?
廣澤:まぁでも一応なんとなく、結果的には同じぐらいになってきていますね。同じぐらいというか、ほぼ同じになってきているような感じではあります。
坪田:いろんなVCやエンジェル、事業会社さんを回っていると、本当にプレシード段階でも、下手したら億とか数千万レベルで差が出ると思うんですよね。なので、本当は1社だけに聞くんじゃなくて、いくつか回ってみて聞くのがいいのかなと思います。
冨田:確かにそうですね。
冨田:じゃあ次の質問で、「エンジェル・VC・事業会社から調達するメリットとデメリットを教えてください」。横並びで比較しない質問かもしれないけど。
坪田:これはアレですかね、シード期やプレシード期という前提なんでしょうか? ステージによっても変わってきますよね。
冨田:そうですよね。ステージによってそもそもエンジェルから調達しないだろうというところもありますよね。その解説も含めて、エンジェルとVCと事業会社の違いみたいなところを。
廣澤:調達する側の立場に立てば……どんな覚悟かわからないですけれど、これから5年、10年と会社をやっていく前提に立つと、次に何かしようとしたときに自由度を失わないような資金調達であるかは、重要なのかなと思っていて。
例えば会社を作って、明確に「1年後には一定のキャッシュフローができる」みたいなものであれば、そもそもエクイティでファイナンスしないほうがいいと思ってますし。
そうじゃなくて、一時的に赤字になるけど、検証できた結果、すごく大きくなる事業を作れるとして。最後に、「M&AするのかIPOするのかは、正直決まってない」みたいなタイミングなんであれば、それに対して合意してくれるエンジェルなのかVCなのかを選んでいくような。事業会社でもいいと思うんですよ。
基本的にはエンジェルのほうが、ファンドと違って自由度が高いですし、事業会社と違って細かくPLを把握する必要もたぶんないと思うので。そういう意味で、結局エンジェル投資家から受けたほうが、自由度は高く残るなとは思っています。
坪田:僕らが出資するときの投資判断として、5つの価値と言っているんですが、その事業が今の代替品に対して、「安さ」「早さ」「簡単さ」「選択肢の多さ」「質の高さ」という5つの価値の中のどこをどういうふうに今よりも伸ばせているかで判断してるんです。
そういった意味でいくと、「安さ」では「条件がいいかどうか」というようなものがあると思うんですね。あと「早さ」では「出資までの期間」とか。「簡単さ」は「煩雑な作業や処理が必要かどうか」、「選択肢」は「今後の取りうる手段」、「質の高さ」は「どんな支援してくれるのか」が、投資家に置き換えたときに重要なことだと思っていて。
基本的に、やっぱりエンジェルさんや、あと廣澤さんもそうかもしれないですけど、決めるのがけっこう早いですよね。例えば大きいVCや事業会社だと、出会ってから投資まで時間がかかることもあるので。
冨田:うん、そうですね。
坪田:僕らもそんなにすぐには出せないので。今日会って明日、とかはできない。そういった意味では、そこでは戦わないようにしています。逆に言うと「質の高さ」の部分ですね。具体的に支援の内容を僕ら自体がハンズオンするのもそうですし、さっき言ったようにオープンイノベーションで、事業会社のアセットも使えるような。そこ(質の高さ)で勝負しようとしているので。
なので出資を受ける際にどこを選ぶかによって、そこが大きく変わってくるのかなと思います。事業会社だったら、たぶん具体的な支援が得られると思います。
冨田:そのあたりも起業家の先輩に聞くのがいいですよね。エンジェルから出資を受けている先輩にはエンジェルの話を聞くと言うように。
廣澤:事業計画を作るのであれば、とりあえず2年分引いてみる、というのをおすすめしています。事業計画は作っても、資本政策って、この会社の3年後、5年後を想定して何パターンか作ったりする人があまりいなくて。
仮にファイナンスしていくのであれば、スムーズに事業が成長した時の資金調達はどうすすめるか。超ネガティブなケースで、何個やってもまったく音沙汰もない、みたいな。もうどうしようもないとなったときの、ブリッジラウンドのファイナンスとか。
良い時、まあ普通な進捗のときと、悪い時を事業計画に合わせてスプレッドシートを3シートに分けてやるだけでもいいと思います。それをやるだけでもイメージがすごく具体的になるんだろうなと思います。
坪田:そうですね、事業計画も含めてシミュレーションして、資本政策と照らし合わせるシミュレーションをしておくだけでも、ぜんぜん変わりますよね。そうじゃないと、いわゆる「生きるためのファイナンス」しかできなくなっちゃう。「攻めのファイナンス」ができなくなってしまうので、そこはやったほうがいいなと僕も思いますね。
冨田:もう時間が来ちゃったので、最後にお二人からメッセージをお願いします。起業家に向けて、ひと言ずついただいて終わりにしたいと思います。
坪田:そんなに決まってないんですけど(笑)。さっきの「投資家を使う」じゃないですけど、僕たちもそれが仕事なので本当にそれでいいと思っています。さっきのセッションの話じゃないですが、「会いに行ったらいい」とさくらインターネットの田中さんもおっしゃっていました。
VCや各事業会社さんに問い合わせたり、実際に僕らの知っている起業家でも、TwitterのDMでエンジェルに連絡したところから本当に株主になっていただいた、というようなパターンもあります。失敗を恐れずにひたすらアクションしていただけると、新しい何かが見えるんじゃないかなと思います。
VCを回っているといろんなフィードバックを受けたりすることがあると思うんですけど、そういうのは気にしすぎずに、どんどん信じてアクションして突き進んでください。ありがとうございました。
(会場拍手)
冨田:ありがとうございます。じゃあ、続いて。
廣澤:VC側の視点に立ってみるケースはたぶんないと思うので、僕自身がこの1年ぐらいやってみて思ったところでいきます。この1年で500社~600社ぐらい連絡をいただいていて……もうちょっとあるかもしれないですね。それで、会ってきました。
これは僕だけじゃなくて、シード投資をしている友人と話をしていても、やっぱりそれぐらい来ていて。「Facebook Messengerに誰か知らん人からめっちゃメッセージ来てる」とか。僕たちはインフルエンサーとかじゃないのに、それくらいは来ていて。
でもそれだけ連絡をいただいて結局1年経っても、投資したのは10社とかなんですよ。もっと多いところもぜんぜんあると思うんですけど、でも肌感的に100社に1社あるかないかぐらいの感じで投資をしています。
起業家側からすると、そもそも100社に1社しか投資してないぐらいの感じなので、ミーティングして仮に断られても「コイツ見る目なかったな」というので、ぜんぜん気にしなくて良いと思います。投資家に断られたり、返信が来なくても事業がダメという話では、絶対にないと思うので。気にせずどんどん次にいっていいんじゃないかな。僕はそう思っています。
ファイナンスをすると、これから断られるケースのほうが多いと思うので、断られても「まぁそんなもんか」「自分のことをわかってくれる人はたぶん世の中にいるだろう」と、しっかりリストを作って上から当たっていってください。
スタートアップの従業員の方々は、社長はだいたいオフィスに来なかったり、なんだかタラタラしてるように見えると思うんですよ(笑)。でも、社長達はファイナンスのときに「実はもう3ヶ月したらお金がなくなって、メンバーの給料を払えない」という状況の中で、「その事業、伸びるの?」というようなことを偉そうに投資家からすごく言われているわけなので。
スタートアップに関わるのであれば、「コイツもがんばってるんだな」と思いながら関わっていただけたらいいんじゃないかな、と思います。
冨田:さっき「どんどんメールしていいんですか?」という質問があったけど、ここに来ているみんなに関しては確実に、どんどん連絡してください。では盛大な拍手をお送りして終わりたいと思います。ありがとうございました!
(会場拍手)
司会:登壇者の皆様、お話しいただいた企業の方々、そしてモデレーターの冨田さん、どうも有り難うございました。
それではこの後は、「U-25 kansai pitch contest in TOKYO」の結果発表と表彰式に移ってまいります!
株式会社MJE
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