2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
開会挨拶 〜 事例報告:未来のコミュニティ研究室の取り組み紹介(全1記事)
提供:楽天株式会社
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舩坂香菜子氏(以下、舩坂):こんにちは。未来のコミュニティ研究室の室長をしております、舩坂と申します。最初に今日のシンポジウムについてと、この研究室の成り立ちについて、私からお話しさせていただければと思います。
その前に自己紹介をさせていただきます。私自身は楽天株式会社から飛騨市役所に出向しております。出向前は楽天市場のECコンサルタントという仕事で、地域のお店や都市部のお店の売上を上げるための戦略を考えて伴走する仕事をしておりました。
2017年に飛騨に来まして、ちょっとご縁があり、飛騨市役所へ出向することになりました。2018年の9月ぐらいからこの研究室の取り組みを計画し始め、2019年の3月に「未来のコミュニティ研究室」というかたちで始まったプロジェクトになります。
このプロジェクトなんですけれども、ご覧の4つの組織で主に編成されています。この「関係人口」という言葉について、さまざまなメディアや地方創生の文脈で関係人口が語られるようになっているんですけれども。実際にその存在やプロセスは、まだまだ研究できるところがあるのかなということで、研究を始めました。
事務局のメンバーは、飛騨のメンバーと東京のメンバーが半々で構成されております。
研究をしながら実際に飛騨の地域課題に取り組むという、実証のプロジェクトもしております。この実証のプロジェクトの中では、先に出た4つの機関だけではなくて、ほかの組織にいる方々や、今まではそんなに関わりのなかった方々も有志でご参加いただいております。
これまでの研究室の取り組みなんですけれども、まず関係人口として飛騨に関わっていただいている方にインタビューに応えていただいたり、飛騨市ファンクラブという、この後でご紹介させていただくファンクラブの方々にアンケートを取らせていただいています。
それから、地域の課題に取り組むプロジェクトをしたり、ふるさと納税をご利用の方にアンケートを取ったりして、いま飛騨ではどんな関わり方が発生しているのかを、研究しながら実験をしているという状況です。
ここで、ちょっと私の話をさせていただきます。私自身、もともとはまったく飛騨に縁もゆかりもありませんでした。なぜ私がこのプロジェクトをやっているのかということなのですが、簡単に言うと、飛騨に来てすごく感動する体験をしたからです。
今まではだいたい人口数十万人規模の市町村に住んでいまして、そこでは毎日すごくたくさんの刺激があって、新しいお店もどんどんできて、「これが一番いい生活だ」と勝手に思っておりました。なので、田舎に出向することも、それほどポジティブには考えていなくて。どちらかというと、不便だし何もないというイメージがあって、ネガティブに考えながら飛騨に来ました。
実際飛騨に来てみると、たしかに不便なところですし、冬は雪もかなり降るので大変なこともあるんですけど、想像していた以上に魅力的なものがたくさんありました。温かい人もたくさんいましたし、新鮮でおいしい野菜がすぐに手に入り、あまり都会で触れることのないような尊敬できる生き方をされている方との数多くの出会いがありました。それで、なんだかすごくすてきなところだなと思ったんですね。
でも、人口減少という現実はありますし、その中で「これからこの地域はどうなっていくんだろう」と考えて、ちょっと不安になるようなこともありました。そこで「私は何ができるだろう?」と考え、そんなときに出会ったいろいろなメンバーの人たちと始めたのが、このプロジェクトです。
楽天という組織として、このプロジェクトに関わる意味は非常に大きく、まずは楽天から飛騨市に出向しているということ、それも、そもそもの人と人とのつながりがあってのことで、その流れで出会った東京大学の先生ですとか、FRA(国立研究開発法人水産研究・教育機構)の研究者の方とも、人と人とのつながりが広がって生まれています。こうしてこのプロジェクトに至ったというのが、一番大きなところかなと思っております。
今日のテーマはタイトルにもあるとおり「共創する」というところです。関係人口からいろんなヒントを得てこのシンポジウムを開催しているんですけれども、これから魅力的な地域だったり、豊かな人生みたいなところで、「そこに必要なのって何だろう?」とか「本当に大切なものをこれから残していくためにどうしたらいいんだろう?」ということを、みなさんと一緒に考える場にできればと思っております。
それでは、本日はよろしくお願いいたします。
(会場拍手)
上田昌子氏(以下、上田):みなさん、こんにちは。
会場:こんにちは!
(会場拍手)
上田:ありがとうございます(笑)。
私からは研究室の取り組みについてということで、お話をさせていただきたいと思います。私は飛騨市民なんですけれども、飛騨市生まれ飛騨市育ちで、超地元民でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
はじめに研究室の成り立ちの背景として、まずは研究の舞台であります飛騨市について紹介していきたいなと思います。みなさんの中で「飛騨市に行ったことがあるよ」という方はいらっしゃいますでしょうか?
(会場挙手)
けっこういらっしゃいますね! ありがとうございます。うれしいです。
飛騨市は、日本の真ん中、岐阜県の最北端にあります。面積の93パーセントが森林ということで、非常に自然豊かな地域です。
飛騨市にはたくさんの資源があります。例えば(スライドの)左上ですね。ユネスコ無形文化遺産に登録された伝統的なお祭りがあります。古川祭の「起し太鼓」といいます。その横は、日本の原風景が残る宮川町種蔵という地域があります。こちらも、すごくすてきなところです。
そのほか、ノーベル賞受賞者を輩出しましたスーパーカミオカンデという最先端の研究施設があったり、飛騨の匠である山中和紙といった飛騨ならではの技術もございます。もちろん、飛騨牛だとかお米だとか郷土料理といった、美味しいものもたくさんあります。
そんな、私が大好きな地域資源がある飛騨市ですけれども、大きな問題を抱えております。
飛騨市は中山間地で、ずいぶん前から人口減少が始まっており、1年に400人のペースで減少しています。高齢化率も日本の30年後の数値をすでに上回っております。
飛騨市は人口減少の課題先進地です。市内では、こういった人口減少を主な理由として、本当にさまざまな問題が生じています。日々の悩みや不安・課題に我々も取り組んでいるところでございます。
こういった人口減少が進んでいるなかで、どうやったら地域の活力を維持していけるのか、大切な資源を守っていけるのかと考えたときに、外部の方々との交流がポイントになると考えました。
そこで私たちは約2年前から、飛騨市に思いを寄せてくださる方々と直接コミュニケーションを取れる仕組み、そしてこういった人たちを見える化する仕組みとしまして、「飛騨市ファンクラブ」や「飛騨市ふるさと種蔵村」といった活動を始めました。
その後、「関係人口」というワードがいろんなところで聞かれるようになりまして、「私たちがやっているこのファンクラブで交流のある方々って、実は飛騨市の関係人口なのかも?」と気づきました。この気づきから、「飛騨市に心を寄せてくれる人、応援してくれる人と、もっと知りたい、もっとつながりたい」、そういった思いでこの研究室を設立しまして、活動を始めました。
ここで一度、総務省が定義している関係人口について見てみたいと思います。「移住した『定住人口』でもなく、観光に来た『交流人口』でもない、地域や地域の人々と多様に関わる方々」を指しているそうです。
では、いったい飛騨市の関係人口の方々にはどんな方々がいらっしゃるのだろうか、ということを考えてみました。
見える化するためのツールとしましては、先ほどお話ししました「飛騨市ファンクラブ」だとか、ふるさと納税寄付者の方々、あと観光に繰り返し来てくださる方々、あとはFacebookだとかInstagramのフォローしてくださる方々、こういったツールですね。こういったもので数を測定することは可能だと考えました。
でも、いったいそれが本当に地域への思いの質を表しているのかはわからないし、その質をどうやって見える化していけるのかな、どうやって見える化すればいいのだろうか。そういったことが重要なポイントだと気づきました。
そこで我々研究室は、実際に飛騨市に関わってくださっている方々にインタビューを始めました。これは、「飛騨市ファンクラブ」の仕組みを活用して、お名前や連絡先のわかる仕組みがすでにありましたので、簡単にですけど、インタビューさせていただく流れができました。
いろいろな方々にインタビューさせていただきますと、「なぜかわからないけど、惹かれる落ち着く地域だよ」という方もいれば、地域の人しか入れない青年団という組織に入って、地域の行事やお祭りを支えてくれる若い男性もいらっしゃることがわかりました。
その男性は、自分の地元も大切だから移住はしないけど、今後もその地域のことを考えたり、その地域のためだったらいつでも行くよ、といった熱い思いを聞かせていただけました。
また、関わりを深めるプロセスの多様性というものも、研究を進めるうちに見えてきました。
ある男性は、観光に来て、ある旅館でとても強烈なハプニングがありまして、それをきっかけに飛騨市にどっぷりハマったよとお話ししてくれました。それ以降、何度も飛騨市に足を運んでくれて、知り合いだとかお友だちも増えて、どんどん来るようになったよと。そして今ではいろんなイベントに必ず顔を出されて、私たちが運営する行事に運営側のスタッフとしてお手伝いをしてくださるようになりました。
国の関係人口の定義は、交流人口から関係人口に、そこから移住という流れでステップアップするのではないかとも見えますが、飛騨市ではこの例のように、突然深い関わりをつくる方もいらっしゃいまして、さまざまなパターンがあるのだなということがわかりました。
ここで一度、このことについて考えてみたいなと思うんですけれど。飛騨市はなぜ関係人口を増やしたいのか?
それは、たとえ人口が減ったとしても、私の大好きなお米やお祭りを守っていきたい。地域の活力をいつまでも維持していきたい。豊かな飛騨市を守っていきたいからです。これについてはどの地域にも共通の考え方で、誰もがそう思われるんじゃないかなと思っています。では、地域はどのようになれば豊かに持続できるのでしょうか?
これについてはまだ私たちもわかりません。今日は地域に関わる方が多いのかなと思うのですけれども、みなさまとこの2つのことについて一緒に考えてみたいなと思っております。
1つ目は、関係人口という定義はあるんですけれども、これについてはいろいろな解釈ができると思います。みなさんはどのように関係人口を捉えていらっしゃるでしょうか。このことについてみなさんと一緒に議論したいなと思っています。
2つ目ですね。関係人口だけにとらわれずに、地域の魅力を維持していくためには、人と地域の理想の関わり方とはどういったものでしょうか?
この2つのお題について、次のコンテンツでみなさんと議論していきたいなと思っておりますので、みなさんの積極的なご参加をお願いしまして、私からのお話を終わらせていただきます。ご清聴いただきまして、ありがとうございました。次のコンテンツ、どうぞよろしくお願いいたします。
(会場拍手)
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