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第一法規株式会社 杉浦沙織 氏(全1記事)

2019.08.08

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人事部と就活生の負担をkintoneで削減 創業115年の老舗出版社の採用活動を変えた“くもの糸”

提供:サイボウズ株式会社

2019年6月20日、豊洲PITにて「kintone hive tokyo vol.9」が開催されました。kintone hiveは、日々の業務でkintoneを活用しているユーザーが一堂に会し、業務改善プロジェクトの成功の秘訣を共有するリアルイベントです。本パートでは、第一法規株式会社の杉浦沙織氏が登壇。採用に関するデータ地獄・メール地獄で、学生に向き合えないと悩む人事部を救った手法を紹介しました。

創業115年の法律系出版社・第一法規株式会社の杉浦氏が登壇

杉浦沙織氏:みなさん、こんにちは。第一法規の杉浦と申します。本日はよろしくお願いいたします。

(会場拍手)

ありがとうございます。まずはじめに当社について説明をさせてください。第一法規株式会社と申します。創業115年になる法律系の出版社です。本社は外苑前のイチョウ並木の目の前にあります。その他全国10都市に拠点があります。

当社は出版社ですが、書籍だけでなくデータ商品や教育研修ツールなど、さまざまなかたちの商品で法情報を提供しています。

当社の主なお客様はご覧のとおりです。法律を扱うプロフェッショナルな方々に選ばれる商品を目指して、日々業務に取り組んでいます。

続きまして、少しだけ私の紹介をさせてください。改めまして、第一法規株式会社業務改善推進部の杉浦沙織と申します。今年の春で入社4年目になりました。好きな食べ物はご当地銘菓で、特に岩手県のかもめの玉子が大好きです。

趣味は御朱印集めと駅のスタンプ集め、あと顔出しパネルを見ると、つい顔を出して写真を撮ってしまいます。大学時代は文学部日本語日本文学科で学んでおりました。バリバリの文学部、かつスーパーアナログ人間だったので、システム関係の知識はゼロ、触れるツールと言えばMicrosoft OfficeのWordくらいでした。

私の所属している業務改善推進部という部署は、一般的に言う情報システム部門です。社内のパソコンやネットワークの管理、システム開発などを行っています。昔は電算室という名前でしたが、社内のシステムだけでなく会社全体の業務改善を推進するという役目を担って、現在の業務改善推進部という名前になりました。

「みればわかる。さわればつかえる。」を部署のモットーに、日々業務に取り組んでいます。

ちなみに、部署でのお昼休みはこんな感じです。写真だとちょっとわかりにくいかもしれませんが、Nintendo Switchをしています。現在は、『モンスターハンターダブルクロス』で一狩り行くのがブームです。

写真の奥の席がSwitch用の席になっていて、そこでプレイしているのが当部の部長なんですけれども、部長のハンターランクに忖度することなく、ガシガシ狩りに行ってチーム力を鍛えています。

データ地獄・メール地獄で、学生に向き合えない人事部

当社とkintoneとのお付き合いは2011年からです。kintoneが発売になって間もないころ、先見の明があった当部の部長が営業日報の管理のために導入を決めました。先日サイボウズのご担当者にお話をうかがったら、当社がkintoneを導入したころのkintoneの利用企業数は100社程度だったそうです。

スライドには1万社以上と書いてありますけれども、先ほど(のオープニングトークでサイボウズの)清田さんがおっしゃっていたとおり、現在は1万2,000社以上ということなので、当社とkintoneとの歴史の深さがわかります。

日々社内の業務改善に取り組んでいた当部署に、あるとき当社人事部からこんな悩み相談がありました。「事務作業が多くて、学生と向き合う時間が作れない」。

当社の採用活動は多くの企業と一緒ですが、学生がWebフォームからエントリーし、その情報をもとに人事部が説明会や面接の案内をメールで発信。そこから内定、入社と進んでいきます。

時代を遡れば2006年、トリノオリンピックで荒川静香さんが日本人初のフィギュアスケート金メダルを獲得したとき、また私が中学生になりたてだったとき、第一法規人事部員たちは手書きのエントリーシートの管理に音を上げ、エントリー情報をデータで管理し始めました。紙のエントリーシートの管理からデータでのエントリー情報の管理になったのは、画期的な変化のはずでした。

しかし、そこからの人事部の作業といえば、学生がエントリーしてきた情報をエクセルに貼り付けてエントリーシートを作成。面接案内や選考結果などは、Outlookを使用して1件1件連絡。データでの管理に移行したのに、なかなか学生と向き合う時間が作れない。まさにデータ地獄、メール地獄でもがく日々。

そこから苦節8年、この手作業がなくならない限り時間は作れないぞ。そう気付いた人事部から、当部へ相談がありました。「点在しているエントリー情報を一元管理できないか?」「学生たちへのメール配信をもっと簡単にできないか?」。

その当時、kintoneの汎用性に目覚めていた当部部長が一言、「kintone、どっちも管理できるんじゃない?」。そこから採用活動の改革が始まりました。

人事部と学生の負担を軽減し、エントリーの敷居を下げる

まずはデータ地獄からの脱却です。データの一元管理を実現するために、kintone上でエントリー情報を管理できるアプリを作成しました。

学生がWebフォームからエントリーしてきた情報を、そのままkintoneのアプリに流し込んでレコードを作成。kintoneは画像などのファイルを添付することもできるので、応募者の顔写真も一緒に流し込みを行います。そして、流し込み時のエントリー情報をもとに、出力用のエントリーシートをPDFで作成してレコードに添付。当社ではデータの流し込みを行う際、kintoneと相性のよいDataSpiderというデータ連携ソフトウェアを使用しています。

こちらが採用エントリーシートアプリの画面です。この画面ではエントリー内容と応募者の顔写真、出力用のエントリーシートを確認することができます。今までは、エクセルで作成したエントリーシートや応募者の顔写真の画像ファイルなどが複数に分かれて点在していましたが、このアプリのレコード上で、エントリー情報を一目で確認できるようになりました。

さらに、このアプリを作成したことでエントリー情報の閲覧が行えるようになっただけでなく、どこまで選考が進んでいるかの管理や、選考段階に合わせて抽出なども行えるようになりました。

それだけでなく、こんなことまでできるようになりました。今までは学生がエントリーする際には、志望動機や学生時代にがんばったこと、自己PRなどなど、エントリー情報のすべてをきちんと記述してエントリーしなければなりませんでした。最初に全部書いてもらわないと、あとあとこちらが管理する際に、データを修正したり値を追加したりするのは難しいからです。

エントリー時点で何百文字も書かなければならないのは、多忙な就活生にとって負担でしかないとはわかっているものの、どうしようもありませんでした。しかし、このアプリを作成したことでデータの管理が簡単になり、エントリーの時点ですべての項目を記述しておく必要がなくなりました。

まず学生がエントリーする際には、必要最低限の項目を記入してエントリーしてもらいます。そして、その情報をアプリに流し込んでレコードを作成。選考が進み、当社に対する志望度が上がってきたところで志望動機などの項目を記入して提出してもらいます。

提出してもらった志望動機は人事部で受け取り、レコードの編集で追記して保存。これにより、エントリー情報の更新が行えます。エントリー情報の更新が完了したら、アプリ内に設置してあるエントリーシート更新再出力ボタンを押下することで、出力用のエントリーシートの内容も更新して再出力することができます。

「あとから聞く」が簡単に行えるようになったことで、応募者の負担を減らすだけでなく、エントリーに対する敷居を下げることができました。

kintoneの一斉メール配信で、履歴の共有や人的ミスを防止

続きまして、メール地獄からの脱却です。今まではエントリー情報からメールアドレスを抽出して、それをエクセルにコピーして一覧としてまとめ、さらにそこからアドレスを1件1件Outlookにコピーしてメールを送信していました。面接案内や選考結果など、多岐にわたるメールを送らなければならないのに加え、メールの送信先を間違えることは許されないため、想像以上に神経を使う作業でした。

そこで、kintoneからメールが一斉に配信できるアプリを作成しました。

こちらが採用メール送信アプリの画面です。操作はいたって簡単です。まず、メールタイトルやメール本文に送りたい内容を編集します。そして、メールの送信先の情報をエクセルに書き込んでレコードに添付。最後にアプリに設置してあるメール送信依頼のボタンをクリックするだけです。

こちらがレコードに添付する送信先の情報を書き込むエクセルです。ここに記載したメールアドレスをDataSpiderで読み込んで、1件1件メールが送信される仕組みになっています。メールアドレス以外にも、ここに記載した氏名や日付などは変数として使用することができます。

このスライドのエクセルの例からいきますと、1件目のメールは「大野智様 こんにちは。第一法規株式会社総務人事部採用担当です。面接日時2019年6月17日(月)10時30分」というような内容でメールが送信されます。2通目以降も同様に、それぞれの行の値を読み込んでメールが送信されます。

メールの一斉送信を行ったあとにレコードを確認すると、このようにメールの送信結果が一覧となって更新されています。ここを見ることでどの宛先にメールが送信できて、どの宛先にはできなかったのかを確認することができ、メールの送信漏れを防ぐことができます。

kintoneから一斉にメール配信が行えるようになったことで、一気にメール送信の手間が減りました。また、レコード上でどんな文面で送信したのか、どの宛先に送信したのか、送信はできたのか、できなかったのかについても確認することができ、送信者だけでなく人事部内で履歴を共有できるようになりました。

点在するエントリー情報や学生へのメール配信の対応に困っていた人事部の悩みを、kintoneに一元化することで一気に解決することができました。これにより人事部で手作業での管理が多かったときに比べ、一気に人的ミスも減り、人事部内でも担当者だけでなく誰でも対応が可能になりました。また、事務作業に費やす時間が半減したと喜んでもらっています。まさに当部が掲げている「みればわかる。さわればつかえる。」を、kintoneで実現できたことになります。

「みればわかる。さわればつかえる。」をkintoneで実現

ここで改めて当社の発表タイトルを振り返らせてください。『データ地獄メール地獄に一筋のくもの糸』ということで、このくもがkintoneの雲とDataSpiderの蜘蛛の糸を掛けていたタイトルでした。シャレたタイトルですねぇ。

(会場笑)

(会場拍手)

あ、ありがとうございます(笑)。今回お話しした採用活動については一部改善できたものの、まだまだ課題が多いのが当社のkintone。

今後の展望としては、90を超える数のアプリを整理したいです。現在、当社では採用活動に使用するアプリ以外に、営業管理に使用するアプリを含めて90以上のアプリが稼働しておりますが、例えば営業の市場ごとにスペースを作成したりして、よりユーザーが使いやすいkintoneを目指していきます。

また、現在はアプリの作成・運用・管理はすべて当部署でのみ行なっておりますが、今後はユーザーである他部署社員が作成から運用までを行える体制にしていきたいです。そのために社内のkintoneマスターを増やすべく、kintoneアプリ作成ノウハウ講座を企画予定です。

また、今回お話しした採用活動についても、例えばLINEなどのチャットツールを使って、学生が会話をするようにエントリーできる仕組みを作ってみたいなとも思います。

課題たくさん、夢もたくさん、今日もたくさん勉強して帰ります。

以上、ご清聴いただきありがとうございました。

(会場拍手)

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