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株式会社ドリームラボ​ 塩崎隆裕 氏​ (全1記事)

2019.06.25

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ベテラン営業マンの「頭の中」を見える化に成功 パティシエ専門の転職エージェントがkintone導入で得たもの

提供:サイボウズ株式会社

2019年5月23日、なんばHatchにて「kintone hive osaka vol.7」が開催されました。kintone hiveは、日々の業務でkintoneを活用しているユーザーが一堂に会し、業務改善プロジェクトの成功の秘訣を共有するリアルイベントです。本パートでは、株式会社ドリームラボ​の塩崎隆裕氏​が登壇。「定着率90%以上の“ガッチング”を目指して」をテーマとして、kintoneの活用事例を語りました。

「ガッチング」を標榜するドリームラボ

塩崎隆裕氏:​ 株式会社ドリームラボの塩崎と申します。今回発表させていただくのは、まずのっけからしてテーマが、「ガッチングって何やねん」と。

我々ドリームラボは人材紹介業をやっております。今テレビのCMでも、DODAやマイナビ転職が流れてると思います。一般的には転職エージェントと言われるお仕事なんですね。我々の特徴としては、飲食とかパティシエ専門の人材紹介業を提供しています。モットーは「ヒトとシゴトをココロでつなぐ」を掲げています。

スライドはちょっとカッコつけてる写真なんですが、私は一応Webプロデューサーということでこの会社に入社しました。でも実際は先ほども書いてたんですけど、中小企業なので実質何でも屋さんです。

私は昭和63年の生まれです。令和のコレ(元号を掲げるジェスチャー)がありましたけど、ちょうど平成のコレ(元号を掲げるジェスチャー)のときに生まれまして。今度Kintone hiveが開催される愛媛県・松山市の、さらに片田舎のほうで生まれました。

中学・高校とずっと音楽で食っていきたいという夢を持っていました。バンドでひとヤマ当てたくて大阪に出てきたんですね。高校も中退しました。夢ってすごく原動力になるんだなと、体感としては持っていました。

こちらは小学生がなりたい職業ランキングです。毎年発表されてますけど、男の子はずっと野球選手やサッカー選手が上位にきてるのかなと思います。女の子は、昔は僕らが小さいときはキャビンアテンダントさんなどが非常に多かったかなと思います。今、1位はパティシエール、つまりパティシエさんが多いです。

私たちはもともと飲食業界専門で人材紹介業をやっていたんですけれど、料理人も相談に来られるものの、パティシエの方が来られることが非常に多くて。体感として、非常に高い離職率になっていることがわかりました。これはなんでだろうということなんですけど。

パティシエのイメージは、映画やドラマなどで流れてるイメージが大きいのかなと思うんですが、非常にクリエイティブでアーティスティック、人を笑顔にするというようなところだったりします。実際、本場フランスでは大統領による表彰があって、日本でいう弁護士やお医者さんみたいな感じでステータスになるような職業なんですね。

ところが日本のパティシエの現実で言うと、朝から晩まで仕込んだりの力仕事と長時間労働。焼いたり、こねたり、混ぜたりというルーティンワークがゴリゴリの製造業でした。女子がケーキ屋さんになりたいという夢を見て入ってくる業界とは裏腹に、男の力仕事になっているところがあります。

パティシエを中心とした転職エージェント

我々ドリームラボは、先ほどご説明したとおり人材紹介業ということで、働きたい人と雇いたい人をつなぐ仕事をやっています。我々の場合はパティシエさんを、ケーキ屋さんやホテル、レストランに紹介しています。

みなさんの一般的な転職エージェントのイメージはこういう感じじゃないかなと思うんですけど、働きたい人の希望の条件、お給料や休日とかそういう条件をヒアリングしてマッチする企業に紹介をしていくというようなイメージかなと思っています。

洋菓子業界だと、とくに希望業態……個人店のパティスリーに就職したいとか、ホテルでシェフを目指したいことなどに加えて、将来独立したいとか、コンテストで賞を獲りたい、フランスに行きたいとか、お店の味が好きだからこのお店で働きたいみたいな。なかなか定量化しづらい希望を持っていることが多いので、ここがポイントになってきています。

なので、私たちは条件マッチングではなくて、「ヒトとシゴトをココロでつなぐ」というタイプマッチングを重視してマッチングをしております。

一般的な転職エージェントで、とくに大きな会社になればなるほど求職者側の「こんな条件がいい」という面談をする人と、「こんな人が欲しいんですよね」という面談をしたい会社側の営業さんは別の人がやっていて、情報でマッチングしてご紹介することが多いです。

我々はパティシエの方やオーナーさんと営業が会って、より深い話を聞いたうえで、マッチングをするようにしています。そのときに大事なのがやっぱり夢ですね。双方になりたい将来を想像してもらう。そのために双方からより詳しい情報を聞いて、そのギャップを埋めることがよりよいマッチングにつながるんだと。だから情報を扱うというところが我々人材紹介業の真髄になってます。

エクセルで求職者・取引先情報を管理していた

その一方、僕が入社したのが3年前なんですけど、弊社ドリームラボは第2創業期を迎えてました。

僕の入社時点では5人でした。中小企業によくある構成かなと思うんですけど、社長と営業2人と事務員だけで、そこに僕が入社しました。

すでに属人的な管理のうえ、情報が溢れかえっている状態でした。営業1人が抱える案件数は200件以上。求人票の募集要項には、職種やポジション、シェフがいいのか新人でもいいのか、採用人数やエリアなどを書きます。それに加えて情報量としては、オーナーさんの人柄だったり、社風だったり。お店を今後どう展開していきたいかが非常に大きいです。

一方で、求職者の方は月に約100名動いています(笑)。ここも履歴書だけではわからない、性格だったり、「家庭が大変なんだ」みたいなところだったり。最近よくあるのは「ワークライフバランスを充実させたい」といった情報が、たくさんヒアリングしていく中で出てきます。

以前は、これらの情報をたった2つのエクセルで管理していました。「求職者.xls」「取引先.xls」みたいな。xも付いてない古いエクセルで管理をしてました。これだとマッチングの過程がぜんぜん蓄積されなくて、最新のデータ管理などもぜんぜんうまくいきませんでした。

我々も一旦はSFAというか、営業支援ツールということでSalesforceを導入しました。そして、失敗しました。問題だったのは、非常に本格的すぎるSFAだったこと。我々はとくに商品ではなく人を扱っています。なので、そこに合わせてチューニングするとカスタマイズの工数がかなりかかって、費用も高額になってしまいます。まさに先ほどのお話に似ている部分もあるんですけど、そこで少しつまづいてしまいました。

当時、求職者さんから応募を受けて、実際にマッチングして採用に至るまでの流れで言うと、こんな感じになっています。応募をメールで受け取って、面談する日程はLINEで営業さんに連絡をする。面接が決まったら履歴書を紙で持って行って、採用が決まったらまたそれをエクセルに戻すことが行われています。

ある程度、それをSalesforceに集約することはできていました。ただ結局、最終的には売上はエクセルや、LINEで情報共有する中途半端な状態になっていました。

ベテラン営業マンの「頭の中」をkintoneで見える化

そんな中、新人が入ってきます。

上の写真のいかにもな人は、元寿司職人のベテランです。寿司とパティシエの業界ってけっこう近くて、職人の仕事で鉄拳制裁も辞さないみたいなところがあるので、オーナーの気持ちもよくわかるし、そこで苦しんでいる求職者ももちろんよくわかると。会社創業期からの叩き上げで随時求職者と会っているので、そこでもちろん経験がどんどんついていきます。

かたや新人に、飲食経験はほぼない。スタバでバイトしたことくらいしかない。20代前半なので、ボリュームゾーンの30代の女性の経験ではその苦労がわかりません。

というところで、元寿司職人の頭の中を見に行かないといけないんですけど、「そんなのわからないよ」と。せっかく今まで、いいマッチングがたくさん行われていて、その人がいたおかげで次の店が出せる情報があるにも関わらず、頭の中を見に行かなきゃいけない状態だったので、これを解消したいなと思いました。

こういう負のループに陥っていたんです。

ここで痛感したのが情報管理の蓄積と同時にLINEなどで個別に連絡するのではなくて、その情報をそもそも活用してコミュニケーションが取ることが大事だと思いました。大事なのは蓄積したい、探したい、共有したい。

情報の一元化のために使いやすい・カスタマイズしやすいツールを作るためにkintoneに行き着きました。

失敗を活かして、こういうふうにしっかりリレーションを設計しました。パッと見、アプリ数がめちゃくちゃ多いように見えるんです。あとから実際はこのくらいのアプリ数というか、情報を目的にきちんと配置してやらないと活用できないとわかりました。

取引先に関してはリード時代、見込み客のときからどういう人が欲しいのかは、テレアポをしたときに聞いていたので、その情報も活動履歴として取引先と共通化させて持つようにしました。

求職者は自社サイトから応募があった場合、そのままデータが入るようにしました。取引先と求職者から、どういう案件にどの求職者を紹介したのかが、仮にそれが採用にならなかったとしても、地道に全部紐付けていきました。

kintoneアプリで内勤・外勤がしっかり連携

アプリ数が多い点をどうやって解消していったかと言うと、先ほどの話とちょっと似ている部分もあるんです。リレーションを組むときに、わざわざ次の別のアプリにいくことを意識させると、すごくそこが大変なので、アクションボタンにこだわりました。

求職者のアプリからそのままボタン1つで選考状況を登録できるという部分。対応の依頼が飛ばせたりします。活動履歴、この求職者にいつ電話かが記録することにこだわりました。もう1つは、関連レコードをどのアプリにも表示することを徹底しまして。この人はどこの選考がどれくらい進んでいるのか、「3社受けてます」「4社受けてます」みたいなところを登録できるようにしています。

コメント機能は内勤側がけっこう積極的に使うようにしました。営業サイドとこういうふうにやりとりをしてるんです。今までやっぱり営業サイドは外に出てるということもあって、良くも悪くも内勤と外勤がそれぞれのプロになってしまうことが発生していました。

内勤は内勤で、電話を受けているときの情報にはとても詳しいけど、それを営業サイドに伝えるのはLINEです。ある程度情報を絞って、コメント欄で伝えないといけないので、応募日などを希望しているのかなどと合わせて確認できるので、求職者の情報と合わせて連絡を取れるメリットが出ました。

選考状況アプリに関しても、同じように関連レコードとルックアップを組み合わせて求職者側のデータと連携できるようにしました。のちほど説明するんですが、更新されたら通知をして社内で情報共有できるようにしました。この通知は自動で飛びます。

その際にちょっと工夫したことがありまして、よく使ってらっしゃる方だったら、この困りごとはよくわかるかなと思います。アプリ間のルックアップをするときに一義の値、1つしかない値じゃないと入れられない。名前だと同姓同名があるから、その項目を指定できないんです。

ここはカスタマイズして、IDと電話番号と名前をくっつけちゃう。こうすることによって文字列は一義なので、この金頓太郎さんという名前を入れて取得を押すと、これで検索して紐付けられるような工夫をしました。

検索機能を独自にカスタマイズ

「蓄積したい」の次の「探したい」です。これは一覧にソートのボタンがあるんですけど、営業サイドで活用するのがなかなか難しいので、検索窓を出しちゃった方がいいと思いました。Customineというサードパーティのアプリケーションを使って、ここに検索窓を出しています。

「あの会社、名前の一部しか覚えない」というようなことがあります。とくにパティスリーだと、フランス語の難しいお店の名前があるので、それをここに入力すると出てくる。絞り込めるというようなことを実装しました。

通知にもけっこうこだわってまして。これはLINEで共有してたことを、そもそも自動で送っちゃおうと。LINEを見に行くんじゃなくて、kintoneだけで済ませるような風土を作ろうと思いまして。まず応募の段階から、応募が来たら「未対応の求職者さんがいますよ」というのが内勤に飛びます。

面談日が決まりましたら「この求職者さんの情報が更新されましたよ」と飛びます。面接に行ったら「面接はどんな雰囲気だったよ」という通知が来ます。最後、採用になったら「採用になりました。おめでとう!」というかたちで社員全員に共有されるので、営業サイドだけではなくて、内勤も自分が応募対応をした人がどんなマッチングになったんだろうということが一目でわかるかたちになっています。

アプリ数が増えてくると活用がすごく大変なので、ここはすごく工数がかかってしまったんですけど、マニュアルはこだわって作りました。ここは内勤チームのみで作ったので、こういうコメントとかも9まで進んでいるみたいな。

議論も活発に行われてリアルタイムで更新ができるようkintoneの強みが活かせたと思っているので、マニュアル作りはkintone活用においては重要な1つではないかなと思ってます。

これだけの機能を実現するために、先ほどのルックアップの入力をしてデータにたどり着くのを楽にするところだったり、基本仕様だけではやはり難しい部分があって。基幹アプリ、マッチングに関わる、リレーションの表で出ていた求職者さんや取引先などの基本的な部分に関しては、「Customine」というアールスリーインスティテュートさんが出しているアプリケーションを使って構築しました。

開発期間は驚異の約1.5ヶ月

僕も実はもともとプログラマーなので、プログラミングできないこともないんですけど、社内に定着させるにあたって、プログラミングなしで調整できることはすごく強みになる思います。子ども向けのプログラミング学習アプリみたいなかたちで組み合わせて、「これが起こったらこれをする」みたいな組み合わせができるので、開発工数がかなり減らせました。

開発も基幹の部分だけはお願いしまして、これだけの機能を約1ヶ月半で実装が完了しまして。無事Salesforceから乗り替えられたかたちになっています。

ちなみにSalesforce時代は、常時使ってるのがだいたい3人くらいだったんですけど、今は社員全員15名が頻繁に使っている状況を作れています。結果としては面談できる人も増えましたし、マッチングできる人も増えました。テレアポ数は記録すら残ってないのが記録できるようになりました(笑)。ここまで来ました。

社内の空気感としては情報共有が非常に容易になりました。東京に進出することができたんですけど、やはりこれはkintoneに情報が蓄積されている状況で、仮にそれがないまま遠隔になってしまったという状況だと、おそらくポシャってたかなと思うんですけど。晴れて東京でも2人目の営業が入りまして、しっかり2拠点を固めることができました。

工数が削減できたところは今ご説明してきた部分なんですけど、営業から内勤への依頼の手間だったり、データの集計やまとめがボタン1つでグラフで出てくるようなかたちになっていますので工数は削減できました。

私たちは人材紹介業ということで、ともすれば人をご紹介することで成功報酬というかたちで料金を頂戴しているので、そこに対して「売上、売上!」という風潮と矛盾してくる部分があるんですけれど。大事なことは働き手と企業の双方の夢が合致するマッチング。これを弊社では「ガッチング」と呼んでます。

より多く、より良いガッチングを目指していくにあたって、やはり情報の共有、蓄積というところが不可欠になってくるかと思います。kintoneの中では、関連レコードだったり、アプリ間の連携が、それほどプログラミングの知識がなくても簡単にできるところが導入の成功につながったと思っています。

今回は基本的な機能だけで作れるところのお話を中心にさせていただいたんですが、このあとの発表や、ここに来られている方でより詳しいカスタマイズをしている方がおられるかなと思います。

僕も今そこに関しては勉強している最中なので、ぜひ高度なカスタマイズの話で盛り上がりたいなと思いますので。このあともしよろしければ、お話させていただけたらと思います。

拙いプレゼンではございますが、本日はありがとうございました。

(会場拍手)

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