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テクノロジー×地域の未来 パネルディスカッション(全3記事)

2019.06.14

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楽天が地域と目指す、テクノロジーを活かした未来の地域づくり 「楽天地方創生サミット」 トークセッション

提供:楽天株式会社

2019年5月16・17日、楽天の地域創生事業が主催で「楽天地方創生サミット ~テクノロジーを活用した未来の地域づくりを考える~」が開催されました。全国の自治体職員が集い、テクノロジーを活用した地域の課題解決について考える本イベントの初日には、バリ島からの遠隔中継にて参加している尾原和啓氏が「『Society5.0』で日本の未来はどう変わるか」をテーマに基調講演で登壇。今回お届けするのは、それを受けて行われたパネルセッションの模様です。初回となる本記事では、登壇者の自己紹介パートを中心にお送りします。

「Society5.0」で日本の未来はどう変わるか?

司会者:みなさまが壇上に上がられました。

尾原和啓氏(以下、尾原):じゃあみなさんに合わせて、僕も頭の高さを合わせましょうかね。

(会場のロボットの頭位置が上がる)

(会場笑)

尾原:はい、どうぞ座ってください(笑)。ということで、前半の僕の講演では、テクノロジーを使うことでどうやってみなさんが豊かな暮らしができるようになるか。その中で、地方にどういう機会が生まれてくるかというようなお話をさせていただきました。

今回は、楽天で実際にそのテクノロジーというものを地方創生に活かしたり、テクノロジーと距離がある人たちにどのようにして活用しいただくかという取り組みをされている方々に来ていただいて、パネルセッションを進めていきたいと思います。

じゃあマイクも渡ったことですし、簡単にどういった活動をされていらっしゃるかを順番にお話しいただければと思います。じゃあ、楽天技術研究所の益子さんから、ぜひよろしくお願いします。

益子宗氏(以下、益子):みなさんこんにちは。楽天技術研究所の益子と申します。

楽天の技術研究所というところで研究活動をやっております。楽天は70以上あるサービスを提供しておりますので、そういう新しいサービスのネタというものを日々作っております。

主な研究領域としては、コンピュータービジョンとか画像を解析することだったり、HCIという新しいユーザインターフェイスを作るというような、研究活動をやっております。その延長で、最近はとくに大学だったり、「楽天市場」の店舗様と一緒に、新しいショッピング体験・買い物体験がどうなっていくのかというものも取り組んでおります。

このSociety5.0というようなオンラインとオフラインが高度に融合した社会で、お買い物の体験はどう変わっていくのか。そういったことをメインでやらせていただいております。よろしくお願いいたします。

会津若松市で取り組むファッションの課題解決

尾原:具体的に、どういうことをやっていらっしゃるかみたいなお話はできますか?簡単なエピソードとかでも。

益子:スライドはありますか? では自分もスライドを見ながらお話しします。

尾原:ははは、どうぞどうぞ動いてください。なんでしたら、僕もロボットでついてきましょうか?

(会場笑)

益子:たぶんステージの段差で落ちちゃうんで(笑)。ええと、昔は対面販売というものが一般的だったんですけど、インターネットが普及することによって、オンラインショップや「楽天市場」などでいつでも、どこにいてもショッピングができるようになりました。

今後、例えばIoTだったり、AIといった技術がどんどん進化していくと、Society5.0みたいな世界が出てくる。そういう時に、どういったことができるのかを考えております。

簡単な事例として、次のスライドにいっていただきたいんですけれども。たまたま、会津大学様と一緒に共同研究をやる機会がありまして、会津若松市の地域課題みたいなのを一緒に解決できないかと取り組んだ事例がこちらになります。

会津では、地域の商店街がシャッター街になっていって、若者が服を選ぶ機会がなくなってきているという課題があります。こういう地域課題があって、これに対して「楽天市場」の出店店舗様のズーティー様、具体的には「イーザッカマニアストアーズ」という店舗を実際やられているところと一緒に、遠隔接客体験プロジェクトというのをやらせていただきました。

デジタルサイネージを使った遠隔スタイリングサービス

益子:具体的には、首都圏にいるスタイリストが遠隔で仮想的に赴き、そちらの地域で接客をするというようなイメージです。いろんなバージョンを作ったんですけれども、はじめはデジタルサイネージをお店に置いて、そこのサイネージ上にスタッフが遠隔でログインして接客をするというものを行いました。

それだといろんなところにサイネージを動かすのが大変ということで、電気自動車にそのシステムを乗っけました。(スライドを指して)これですね、このイメージです。このようにいろんなところに走り回って、いろんなところで接客をするということをやらせていただきました。

わかりづらいので、次の動画を再生していただけたらと思います。

(動画が流れる)

益子:こんな感じで、普通の車の中でやります。

インターネット越しに、違う場所にいる店員さんがリモートで、車でこのようにして接客をしているということになります。こんな活動をしております。以上です。

(会場拍手)

佐々木:それでは、勝山さんの自己紹介に進んでしまいましょうか。勝山さんお願いします。

地方創生を任せられた理由は「趣味の城巡り」

勝山公雄氏(以下、勝山):はい、受け取りました。楽天グローバルデータ統括部に所属しております、勝山と申します。

私の自己紹介を簡単にさせていただきたいと思いますけれども、楽天にいる前は、「日本オラクル」という会社でデータベースの技術者から始まって、データベースの仕事をだいたい18年ぐらいやらせていただきました。

その後「PwC(プライスウォーターハウスクーパース)」というコンサル会社に3年所属した後、楽天に入社しました。担当としましては、データサイエンスというデータ分析を行うところですね。「データを何かに使ってやろう」みたいな。そういうことを、楽天グループの社内にある「楽天市場」や「楽天トラベル」、「楽天銀行」、「楽天証券」なんかでやっています。

ECだけでなく、金融とかモバイルも含めて、私のほうでデータを活用した、サービスの改善や提案などのコンサルティング的なお手伝いをさせていただくことをメインの仕事としております。今年から地方創生も担当させていただくことになりました。

なぜ地方創生を私が担当することになるのかみたいなところには、私の趣味が若干関係しているんですけれども。そこは時間に気をつけながらお話ししたいと思います(笑)。

(スライドを指して)趣味がゴルフ・野球と書いていて、これは普通に「ゴルフや野球をやるんだな」ぐらいなんですけれども、もう一つのおもしろい趣味として、城巡りというものがあります。きっかけは姫路城にお邪魔した時で、100名城スタンプラリーというものがあって、「なんかおもしろそうだからやってみよう」みたいなことで始めました。

それが2008年の頃で、100名城ってわざわざ全都道府県を網羅するように選択されていて、全都道府県回らないといけないんですね。逆にいうと、全都道府県を回ることができる趣味ということなんです。

それで5年かけて100名城制覇しまして「おお、やった!」と思っていたら、「続日本100名城やります」と、日本城郭協会というところから発表されまして。昨年の4月6日、つまり「城の日」から、この続スタンプラリーが始まっています。

こちらもまた最近始めておりまして、ゴールデンウィークもけっこう使って、50個スタンプを押したところで合計150ものスタンプを押したという(笑)。そういうことで、日本各地を城文脈で回っている人間とお見知りおきいただければと思います。

(スライドを指して)この写真にどうでもいいことを載せてますけれども。日本城郭検定という検定試験があります。私は2級という資格を持っています。1級じゃないところがまたへぼいんですけど(笑)。もしご興味があればみなさんもう受験していただければおもしろいかと思います。

(スライドを指して)まだ続くのかという感じですけれども。こういう話をすると、だいたい「どこの城がお好きなんですか」という話になるんです。「やっぱり天守閣があって、綺麗でかっこよくて…」といったことがよくあると思うんですが、どちらかというとストーリーとか、その土地にある歴史みたいなものをけっこう重視しています。

佐賀県に肥前名護屋城というのがございまして。ここは秀吉が朝鮮出兵するために建てた城ということで、そのストーリーと、そこに集まってきたスターたちですね。これに非常に感激しまして、私は今のところ、これを一番の城として選ばせていただきます。ここまでを、城の話とさせていただきますけれども(笑)。

3本立てのコンテンツでお送りする、地域のデータサイエンス

勝山:私がふだんどんなお仕事をしているのかと、この地域の関する仕事として何をしているかについては、次のスライドに用意させていただいております。

地域のデータサイエンスを始めていこうというところで、まだやってみる段階ではあるんですけれども、いくつか取り組みを始めさせていただいております。その中で3つほど、ここにあげているんです。

1つ目は、楽天グループ内にいるアイデアマンが考えた「都道府県別ファン指数」という数字です。「ファンという考え方を、都道府県に当てはめてみたらどうだろうか」というところから始まりました。楽天の会員さんの中で、地域に関するものを買っていたり、興味を持ってアクセスしたり、検索キーワードに何か(地域に関するもの)を入れたといったことから、この人は「◯◯県のファンである」と印を付けちゃおうと、こんなことを始めました。「これで都道府県ごとに集計してみると、何か見えないか?」といったことを始めております。

2つ目は、お客様の引っ越しや移住に伴い、楽天に登録いただいている配送先とか登録住所が変更されたのをトリガーにして、データを見つけてみようということも始めています。

3つ目なんですけれども、名産とか県産品といった、行政の方に、その土地にある良いものを「例えば100銘柄とか教えてください」などといって教えていただき、その100銘柄に関して、「楽天市場」でどれぐらい買われているのか、どれぐらい検索されているのかをお知らせすることができるサービスをやってみようとしています。

この3本立てで、地域のデータサイエンスをやってみようと考えています。次のスライドでは、もう少し詳しめにレビューしています。

鈴鹿市の名産品は、ほとんどが県外から買われているという事実

勝山:一例で、兵庫県さんとのお話の中でやってみた例なんですけれども。(スライドを指して)これは11年か12年くらいのグラフになっていますけれども、都道府県別に集計した「ゴルフ」と「ふるさと納税」と「宿泊」のデータです。これをキーにしてどういう推移をしているのかみたいなことを、福岡県を勝手に相手に見立てて戦ってみることをやっております。

中身についてはあまり申し上げるつもりはないんですけれども、「おしなべて、福岡県が勝っていますね」ということを兵庫県さんに申し上げています。その結果「どうやっていきます?」みたいなやりとりをしております。

こういう話をしていたところ、「兵庫県から若い女性が引っ越していなくなっちゃうんだよね」なんて話が出てきました。20代〜30代の女性に絞って、どれくらいの人が兵庫県から外に出ているか。例えば、兵庫県から福岡県、兵庫県から愛知県にどれくらいの人が行っているか、その人数で出してみたのがこちらの例になっています。(スライドを指して)「はい、負けてますね」みたいな感じですね。

(スライドを指して)これは1月に楽天が主催した新春カンファレンスというものがあったのですが、そこで鈴鹿市さんにご登壇いただきました。鈴鹿市さんの名産品、伊勢型紙と鈴鹿墨という2つの商品について、「楽天市場」でどれくらい売られているのかというのを調べました。

鈴鹿市は三重県ですね。「三重県以外で、これを買っている人はどのくらいいるのかな?」みたいなものを見たところ、ほとんどが県外から購入されていることがわかりました。つまり、この2つの商品を使って三重県の中にお金を落としてくれている方々は、三重県以外にたくさんいるということがわかったという、そんな気づきがあったのかなと思っております。長くなりましたが、以上が自己紹介です。

(会場拍手)

何も良いところのない田舎だと思っていた地元で

司会者:はい、ありがとうございました。では、次に……。

佐々木:はい、というわけで、なんかすごく賢そうな人たちがいっぱいいる中に、ポンと場違いな感じで放り込まれたんですけど。私は簡単に言ってしまえば、「楽天市場」にお店を出している会社の人です。担当者です。

もともと岩手県の出身で、大学では東京に出てきたんですけども、7年通った挙句に中退するという、まあまあパンチの効いた経歴を誇っておりまして。

いざ地元に帰って、さて困ったなと。学歴的にも良い学校ではないし、良い会社にも入れない。今日は岩手からいらっしゃった方もおられると思いますが、当時の僕は地元を「何もないクソ田舎だ」としか思ってなかったんです。そして、たいして好きでもない日本酒業界に入ったのも、たまたま敷地内にレストランがオープンするというので、オープニングのアルバイトに応募をしたのがきっかけで。

日本酒業界というのは、どこも右肩下がりですからね。そんなところに、インターネットで最近ものが売れるらしいということを、上司だった定年間近のおじいちゃんが聞き付けてきまして。「誰かやらないか」と社内で話した時に、誰もパソコンなんて触れないわけですよ。2000年代前半のことです。

4歳の子どもでも使えるタッチインターフェイス

益子:2000年代前半と比べると、パソコンとかの使いやすさみたいなところでは、例えばiPadとかiPhoneみたいなタッチインターフェースというのがかなり普及してきていて。僕のおじいちゃんとかお母さんとか、実は4歳の子どもでも使いこなせたりします。自分の4歳の子どもが使いこなしているんですね。「アンパンマンが見たい」とか言って、1人で。

なので、そういうUI的に使いやすくなってきてるというのはあると思います。実はその後ろに、かなり難しいテクノロジーがあって。みなさんはふだん何気なく、たくさんのいろんな技術を使っているんじゃないかなとは思います。

HTMLでタグが組めなくても商売はできる

佐々木:僕はどちらかと言うとみなさん側で……お前なんかと一緒にするなって言われてそうですけれども。「すごく基礎的なJavaScriptとかHTMLだから簡単だよ」みたいな話を、技術者の方とかがされるじゃないですか。みなさん、HTMLって作ったことあります? 

今から15年前に初めて楽天さんにお店を出すときには、例えばWordだったら文字をドラッグして「大きくする」ボタンを押せば、文字が大きくなるじゃないですか。フォントサイズを指定するとかで。強調したいときは「赤くする」とか「太くする」とかを押せばいいんですけども。

でもHTMLだと、それをするために“font color = 色番号”と記載して、最後にタグを閉じてってやっていかないと文字が赤くならないって知ったときの、あの絶望感!無理ですよって思ったんですけど。

あれから僕は、結局15年くらいネット通販で飯を食ってるんですけど、結論としては大丈夫です。いまだにタグが組めないのに商売できますので、テクノロジーに明るくなくても使うことはできるので。

「難しそうだからやめよう」という心理的障壁

佐々木:さっきのお話じゃないけど、UIっていうのはユーザーインターフェース、要は操作方法のことですね。簡単に言っちゃえば。昔、僕ね、自分の親がビデオの録画予約ができないのがまったく理解できなくて。「いや、新聞のテレビ欄を見て、チャンネルを指定して、時間はいつからいつまでってやればできんじゃん!」って思うんだけど。できない人はできないんですよね。というか覚えたくなくて敬遠する。

ところが今は、感覚的にできるようになってる。たぶんBlu-rayレコーダーなんかだと、逆に新聞のテレビ欄に録画予約のほうが寄せているから、お年寄りでもできるんですよ。見ただけで『なつぞら』を予約できるようになっているので。たぶんそういうふうになっていくので、リテラシーの高い低いというのは、初歩の段階ではあんまりハードルにならない気がするんですよね。

それよりも、使う側の「なんか難しそうだからやめとこう」という心理的障壁のほうがでかいと思うので。「わかんないことはわかんないままだけど、そこそこ使えれば不自由はない」みたいなことって、僕はけっこうあると思うんですよね。

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