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Deep Dive::健康・医療データに基づいたドラッグストアによる新たなヘルスケア産業の創出(全2記事)

2019.04.09

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予防から終末医療まで、すべてに接点を持つ薬局へ 少子高齢化大国・日本で戦うためのヘルスケア戦略

提供:メドピア株式会社

2018年12月4日〜5日、メドピア株式会社主催によるイベント「Health 2.0 Asia - Japan 2018」が開催されました。「Health 2.0」は、2007年に米国カリフォルニアではじまり、医療・ヘルスケアにおける最新テクノロジー(ヘルステック)とそれを活用した先進事例を紹介する世界規模のカンファレンスです。本パートでは、スギ薬局の代表取締役社長 杉浦克典氏によるセッション「Deep Dive: 健康・医療データに基づいたドラッグストアによる新たなヘルスケア産業の創出」前半の模様をお送りします。

専門家による差別的優位性が強み

杉浦克典氏:リアル拠点を持つという強みが、これからのデジタルの融合で、どうシナジーに繋がるかということを感じていただきながら、お話を聞いていただきたいなと思っています。

本日はリアル拠点を持つという当社の店舗の特徴について、10分間くらいお話をさせていただこうと思っています。そのあとで我々が考える今からの戦略。トータルヘルスケア戦略というものがどんな構造なのかというお話へ移っていきたいと思います。

その中で協業や共同のありかた、今までの進捗や構想といったものを、みなさんにぜひお伝えしたいと思います。では1つめ、簡単に10分くらい、少し早口になるかもしれませんが、リアルな拠点を持つ我々のグループの特徴ということでお話を進めさせていただきます。

先ほど申し上げましたように、創業が1976年、今年で42周年を迎える会社です。現状、店舗数、9月末で1159店舗。これが関東、中部、関西エリアに限定してこの店舗数を持っている会社です。

特徴としては創業の頃から調剤併設ということで、言ってみれば医療とかヘルスケアの方に強み、特徴を持つようなかたちで進めてきています。2000年に東証一部の上場、このあたりから在宅医療というものを開始しております。

その他ドラッグのM&Aであったり、スギメディカルという会社を2008年に設立。治験事業ということを1回始めましたが、それに関しましては2011年に売却しております。いずれにせよ、医療とかヘルスケアに強み、特徴を持つようなドラッグストアの運営を行っている会社です。

我々がその中でも強みとしてお伝えさせていただきたいと思いますのが、店舗数がということよりも、人が差別的優位性であると。こういったところを特徴として、店舗運営を行っております。専門家による差別的優位性ということで、管理栄養士、それから薬剤師、看護師。管理栄養士がいま350名ほどお店に所属しております。薬剤師が2600名。看護師が75名ということですけど、こういったそれぞれの人が持つ特徴が、今からのヘルスケア戦略の中で、どのようにデジタルと融合されていくのかなということを見据えながら、紹介をさせていただきたいと思っています。

ドラッグストアにおける管理栄養士の役割

当社の管理栄養士の特徴としては、ドラックストアの店舗で商品を販売しているだけではありません。理想的には、実際に少しずつかたちにしてきていますが、測定をさせていただいたり、相談をさせていただいて、それで商品をご紹介をさせていただく。このようなことを回していきたいなという思いで、管理栄養士が現在お店で活躍しております。

(スライドを指して)左上にありますのが各種の測定機器ですね。その下に、例えばヘモグロビンの量が測れたり、体組成が測れたりと、このようなかたちです。右の写真になりますと、実際に管理栄養士が測っているところの写真ですね。

1,150店舗という店舗数をあげておりますけれど、こういうかたちで実現しているのはまだ30店舗くらいです。10店舗に1店舗くらいはこのような設備とスペースを作って、という事を考えております。そういった測定、相談というのを兼ね備えた上で商品展開、商品紹介をしていきたいというのが、少し特徴的なところではあります。血糖が気になる方にということで品ぞろえを行ったり、たんぱくの調整食。あとは高齢の方が増えてきますので、噛む力が弱くなった場合に必要となってくるものなど、今からを見据えての商品開発を進めてきております。

続きましては薬剤師ですね。2,600名の薬剤師が所属しておりますが、少し特徴的なところを紹介させていただきたいなと思っております。(スライドを指して)4つ写真が出ておりますが、1番左上が実は1号店の写真で、もうすでにないわけですけれど、創業の頃からこういった思いでやっている会社です。

(スライドを指して)右上にいきまして、クリーンルームの中で無菌調剤を行っているところ、左下が相談しているところで、右下がお客様と向き合っていますが、看護師と一緒に患者様宅を訪れているところの写真です。訪問調剤、それから看護師ですね。それらが自宅を訪ねてということで、共同の事業という写真です。

地域に根ざす看護ステーションの実現

この調剤というものに関しまして、今まで店舗に持ってこられた処方箋調剤のみに限ったものではあるわけですけど、売上もおかげさまで2ケタ成長をずっと続けてきております。

おそらく今年度で調剤事業に関しましては、900億円に近いような数字。来期になりますといよいよ1,000億円の大台が見えてくるかなという、処方箋調剤という事業の展開になります。

専門性についてもう少しお話しさせていただきますと、調剤実施店舗803店舗のうち、訪問調剤を行っている店舗が425ということで、一部非効率なところはどうしても出てくるわけです。そこに想いを持って、結果的に約1万名の在宅患者様宅を訪れるということを、当社の薬剤師は事業としてやっております。

先ほどクリーンルームの話をさせていただきましたが、現状38拠点の設置があります。医療ニーズもあって、医療レベルの高いお店では調製も進めております。

最後に看護師ですね。こちら弊社グループの中には75名が9事業拠点で活躍をしております。2008年に事業を開始しております。先ほどの億円というものに比べますと単位としては少し小さいわけですが、先を見据えまして、地域に根差した看護ステーションを20〜30店舗、配置していけたらなという想いを持ちながら、この辺の事業を進めていっているということになります。ここまではリアル拠点における当社グループの特徴ということになります。

人がどのような健康状態でも、接点を見つけて支援していく

お伝えしたいのがこれからお話するところです。このようなリアル拠点で進めてきたドラッグストアの我々が、これからどんな構想を思い描いているか。みなさまとの協業の可能性や、どういった事業をしていくことができるのかをお伝えをさせていただきたいと思います。まずは今この日本という国において、どんなことがニーズとして、あるいは要望として望まれているのかというのを簡単に5つお話しします。

今日のお話の中でもありましたが、日本という国において、65歳以上の方、また75歳以上の方が、この先何年にはどうなるかは人口統計的に明らかになっています。

それに対して、1つ目は医療データやデジタル技術の利活用による、個人に最適化されたセルフケアサービスを行います。個人ごとに最適化されたセルフケアサービスというのが望まれる時代です。2つ目に、医師、医療機関では対応しきれない疾病、重症化予防サービスについての期待。3つ目に、いつでもどこでも質の高い医療を受けることができる、オンライン医療による期待。4つ目に、地域医療連携、多職種連携による質の高い医療提携への期待。そして最後に、保険、介護保険サービスに加え、保険外サービスへの期待ということです。

このようなことが、日本社会のヘルスケア領域において期待されていることの総括になります。以上を踏まえ、当社は商品の販売と処方箋調剤の機能を持つ薬局やドラッグストアの拠点数をやみくもに増やしていくことを戦略として取るのか。たしかに出店戦略は今後も強化していくのですが、領域を徐々に広げていく必要があるだろうなということを示しているのが、こちらスライドになります。

真ん中に人がおり、健康や医療をキーワードに、その人がどういった体の状態であっても、なんとか接点を見つけてご支援させていただく。このようなことを、当社グループが中核となっていろんな領域の会社さんと協業しながら仕組みを作っていくというのが、今後のヘルスケア戦略で当社が考えているところになります。

データに基づく最適化されたプログラムの提供

(スライドを指して)左の方から予防医療、検診、診断、治療、慢性期管理、介護、終末期ということで、少しライトなものからヘビーなほうへと言葉を並べさせていただいています。こういうキーワードの一つひとつに対して接点を持たせていただきたい、支援をさせていただきたいと。

こんなようなことを、今から弊社が独自でということにはまったくこだわらず、いろんな方との協業の上でこういう世界を作っていきたいという想いを持っています。それには、データというものがやはり今まで以上に価値を持っています。

ヘルスケア医療に関するデータというものが分散されている状態が、おそらく年月をかけながらいろんなかたちで最適化されて統合されていくだろう。こんなことを見据えながら、データを活用して、そのデータに基づいて最適化されたプログラムの提供ということを進めていきたいと思っています。

我々も5,000億円規模の会社になってきましたので、調達力であったり市や行政における影響力だったりに、結果としていろんな方面での力もつけているところであります。

そんな我々だからこそ、企業様に対して、自治体に対して、あるいはある特定の業種の方に対して、こういうかたちでデータというのを一緒に使っていきませんかと。このようなお声かけをさせていただいております。

お声かけさせていただいたのち、共有して使えるデータが集まってくるというのであるならば、それをもとにスクリーミングやアセスメントなどリスクに応じた階層に、集まったデータをもとにして、例えばそれぞれのリスクに応じて、こんな感じの区分作りましょうかと提案します。

こういった区分のそれぞれに対して、我々がいろんな方との協業の上で今から作っていくプログラム。このプログラムをそれぞれの階層の方に適用させていただいて、結果として健康状態の維持や改善の評価をしましょうと。こういったことがwin-winで望まれているならば、そこから得られる成果はお互い適切に配分しましょうと。このようなことをいろんなところで営業させていただきたいなと思っています。

メドピア、エムエイドとの協業

このような構想をみなさんに対してお話をさせていただき始めて、実はまだ1年少しです。ちょうど去年にお話しさせていただき、そこからいろんな方々ともお話しさせていただく中で、取り組みをご一緒させていただく事になったのがメドピアさんになるわけです。

リアル店舗でずっとアナログでやってきた我々が、メドピアさんの12万人の医師会員基盤、医療、ITに関する知見、そして医療相談サービスと組み合わせられると、どんな新たな事業が、あるいはより高い品質のサービスが出てくるかを考え、いろいろと共同事業で動かさせていただいてます。

メドピアさんとの共同事業の中で、3月の業務資本提携でスピード感を持って進めさせていただき、もうすでにかたちになって表れているものも一部あります。みなさまに配布させていただいてる冊子の中にも、こういった情報の一部を載せておりますけれど。今までの当社のスピード感ではまったくないようなスピード感で進捗しておりますし、これからもより速いスピードで進捗していくだろうなということは思っています。

その他、エムエイドさんという会社には名古屋辺りを中心に、8万人の方が健康診断を受けられるクリニックがあるわけですが、その会社と「事業を一緒に作っていきましょう」という話を3月に話させていただきました。今、いろんなことが進みつつあります。検診クリニックということで、健診データをお持ちなのですが、ウェアラブル端末、アプリ、専門家の相談などを組み合わせながら、企業の健康経営なんかを支援するプログラムを開発しようということで、いま一緒になってやっております。

また、エムエイドさんは検診バスをお持ちで、当社はリアル拠点として店舗を持っているわけです。駐車場がある程度広くて集客もけっこうあるところですと、来店時にそのままバスに来ていただいて、健康診断をやっていただけると。更にいいますと、店内では一部必要な方に関して、特定保健指導も同時にやらせていただこうかと。

こういうことを一緒にやっていきながら、自治体などともお話しさせていただく。そういったことを愛知県を中心に進めさせていただいている状況です。

以上、今後のデータ活用について、そしてメドピアさん、エムエイドさんとの協業の話をさせていただきました。

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