2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
パネルディスカッション:これからのエンジニア採用。選ばれる企業、選ばれない企業(全1記事)
提供:株式会社レクター
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松岡剛志氏(以下、松岡):こんにちは。お仕事、楽しいですか?
(会場笑)
お仕事楽しいですかー! あっ、すごく暗い。
(会場笑)
エンジニア採用は大変ですよね。そういうリアクションになるのもわかります、みんな大変だと思います。
今日、どんな方がいらっしゃっているのか理解したくて、最初にいくつか質問させてください。人事の方はいらっしゃいますか?
(会場挙手)
半分くらい。多いですね。エンジニアの方は?
(会場挙手)
おぉ! エンジニアだけど、きっと採用に関わっていらっしゃる方ですよね。Web業界の方は?
(会場挙手)
なるほど。SIerの方は?
(会場挙手)
組み込み系は?
(会場笑)
いなかったですね(笑)。あとは、何か聞きたいことはありますか?
二井雄大氏(以下、二井):スタートアップは?
松岡:スタートアップの方ですね。自分はスタートアップだと思っていらっしゃる方は?
(会場挙手)
3分の1くらい。なるほど、ありがとうございます。
松岡:では、パネルディスカッションに移るにあたって、登壇者の方を順番に紹介したいなと思います。最初は山田さんですね。
山田裕一朗氏(以下、山田):ファインディの山田と申します、本日はよろしくお願いします。
簡単に経歴を説明させていただきます。
新卒で三菱重工業に入りまして、生産・技術まわりをやったり、ソフトウェアとはぜんぜん違う世界にいました。戦車や自動車部品を作っている事業部でした。
そのあとは、BCGというコンサルティング会社です。そして、レアジョブというオンライン英会話の会社にいたんですけれども、そこで採用やマーケティング周りを担当していました。そのためマーケティングの考え方を「採用に持ち込む」のが得意技だったりします。
ファインディの事業についてです。
エンジニアの採用、ダイレクト型のリクルーティングサービスのところと、最近はフリーランスや副業など、働き方が変わってきているので、それらの案件紹介もしています。あと、創業の事業としては、求人票採点サービスがあります。採用マーケティングの時代が来ると思って作っていたのに、当初全然売れなかったプロダクトです(笑)。その3つですね。よろしくお願いいたします。
(会場拍手)
松岡:では二井さん、お願いします。
二井:scoutyの取締役COOの二井といいます。
今28歳なんですが、最初は楽天でEコマースの営業やコンサルをやっていました。そのあと、スマートロックを作っているQrioという会社で、ECの立ち上げだったりクラウドファンディングを担当していました。
2016年9月にscoutyという会社を共同創業しまして、今に至ります。エンジニアリングや採用の領域は、2年半前からスタートしました。今日は「エンジニア採用がわからない」「エンジニアリングわからない」みたいな人事の方がいらっしゃったら、そのあたりをお話しできるかなと思っております。
scoutyはエンジニアの採用サービスです。特徴が2つありまして、1つがGitHub、Qiita、connpass、TwitterみたいなオープンなSNSの情報をクローリングして、名寄せをして非登録型データベースを作っているというサービスです。
そこに対して機械学習の技術を使って、その方がどういうスキルセットを持っているか、志向性みたいなものを解析するというサービスになります。本日はよろしくお願いします。
(会場拍手)
松岡:よろしくお願いします。広木さん、お願いします。
広木大地氏(以下、広木):広木です、よろしくお願いします。
僕はミクシィという会社に新卒で入りました。エンジニアなんですが、エンジニアとしていろいろやっていたら事業もやり、技術もやって、というかたちで様々な方と関わってきました。
その中で得たノウハウを活用して、松岡と一緒にレクターという会社を作りまして、CTOのノウハウをいろんな会社に還元してきました。もっとエンジニアにとっていい会社や、エンジニアおよびテクノロジーを活用できる会社を増やしていきたいなという思いで、レクターを作りました。そのノウハウの一部として『エンジニアリング組織論への招待』という本を書かせていただきました。読まれた方、いらっしゃいますか?
(会場挙手)
けっこういますね。ありがとうございます。
松岡:ありがとうございます。
(会場笑)
広木:僕ら、エンジニアとしての考え方・カルチャーとして、ノウハウはどんどん共有していくものだと思っています。共有すればするだけ増えるものを扱っていると思っています。ソフトウェアも同じで、コピーしたらどんどん増えていくものです。そうしてどんどん増やして、よりよい未来を作っていくというところにコミットしたくて、こういった会社、こういったイベントをやらせていただいています。今日はよろしくお願いします。
松岡:よろしくお願いします。
(会場拍手)
モデレーターは、松岡が務めさせていただきます。
同じくレクターという会社をやっております。僕のキャリアを簡単に、パパッとご紹介します。
2001年にヤフーに入りまして、いろんなことがありまして、2007年にミクシィに入りました。最後の2年は、朝倉(祐介)と一緒にターンアラウンドをがんばるということでやらせていただきました。その後、心に傷を負ったので、1年間ほどニートをしてました。
(会場笑)
その後、B2Bのスタートアップを経て、レクターを起業しました。
今日は、実際に採用する立場の方が多く集まっているのかなと思っています。それに対して、こうして壇上に並んでいらっしゃる方は、それぞれ採用に関するプロダクトをお作りになっていたり、あるいはレクターという会社でも、エンジニア採用のコンサルをしているなど、中間にいる存在だと思っています。
そこでしか見えない話をたくさんできるんじゃないかなと期待しており、そういうパネルディスカッションをしていきたいなと思います。どうぞよろしくお願いします。
(会場拍手)
パネルのテーマとしては、まずは何事も振り返りが大事なので、2018年を振り返りたいなと思っております。その次に、2019年のトレンドについて話を進めていきます。そして、これからのエンジニア採用で、企業は何に力を入れていくべきかということを、それぞれ話せればと思っております。
松岡:まず、2018年を振り返りましょう。けっこういろんな事案がありましたし、採用シーンにおいても、戦略を変えてきた方が多かったのかなと思います。いろんなプロダクトの数字を見ている中で、明らかに流れが変わったと思いますが、二井さんから見て、どんな変化がありましたか?
二井:我々のサービスはWebエンジニアとAIエンジニアが中心になるので、ちょっと偏った話になってしまいますが。この前リリースされた、メルペイ。こちらの採用とどう戦うか、おそらくこれが2018年のエンジニア採用のトレンドです。
採用をやられている方で、メルペイないしはメルカリと競合したという会社さんは、どれくらいいますか?
(会場挙手)
松岡:もっといるでしょう!(笑)。
(会場笑)
広木:そんな感じなんですね。うちのクライアントや、懇意にしている方からの情報では、候補者さんの半分くらいはメルカリ社とバッティングするという市場環境でした。メルカリの新プロダクトであるメルペイを作りたいエンジニアさんはそこに流れてしまっています。そことバッティングせずに、いかに採用をうまく進めるかを各社さんが考える。こうしたことが、とくに下半期を中心にあったのかなと感じましたね。
松岡:会場の中に、メルカリの方はいらっしゃいますか?
(会場笑)
いない。残念! 聞きたかった(笑)。メルカリは旋風と言うか、毎月10人は採用していましたね。もしかしたら、もっと採っているかもしれない、そんな2018年でした。山田さんのところのプロダクトは、メルカリさんは使ってくれていました?
山田:クライアントだったりしますね。
松岡:言えないことがいっぱいありますね(笑)。
(会場笑)
山田:我々のサービスは、企業側から「いいね」を押して、「いいかも」が返ってきてマッチングをすると、GitHubを見てスカウトを送れるというかたちになっています。やっぱり、メルカリさんはマッチ率が圧倒的に高い会社の1つですね。
それが意味することは何かと言うと、我々のようないわゆる一般的な人材サービスを使う上でも、日ごろからやっているブランディングは効く。つまり、効率的にプロダクトを使えるということが見て取れました。
松岡:メルカリが活躍する中で、すべてのスタートアップが同じことをやれるかと言ったら、できないじゃないですか。要素だけをピックアップして、2018年で「この技はメルカリの施策の中でもコスパがよかったな」みたいなところで、何か見えたりしました?
山田:求人票採点サービス「Findy Score」を満を持して出す手前で、1,500社の求人票を10万件読むということをやりました。ですので求人票は非常に詳しいんですけれども(笑)。
(会場笑)
データがなかったので、自分で教師データを作っていました。メルカリさんの求人票は、ものすごく細分化されているのが特徴的で、それが1つの強みなんです。
例えばフロントエンドでも、いわゆる現場の人とシニアとで分かれていたり。機械学習も、画像認識と自然言語処理で分かれていたり。エンジニアサイドの気持ちとしても、「両方できるけど、今はフロントエンドエンジニアに軸を起きたい」とか、そういう人たちの気持ちをちゃんと捉えているので、求人を分けて書くというところでは、どの会社でもできることかなという感じはしています。
広木:「フルスタックエンジニア幻想」みたいなものがかつてありました。一人でなんでもできるから、便利でお得という。でも、フルスタックエンジニアが欲しいという企業が増えすぎたせいで、「フルスタックエンジニア」と書いて求人するところはヤバイぞという空気が出て……。
松岡:2018年の振り返りの話ですね。
(会場笑)
広木:そうです(笑)。だから、ちょっと職域を細分化した方が、「(エンジニアのことを)わかってるよ」というメッセージにもなってきているところはありますね。
山田:まさにそこですね。二大悪としては……。
(会場笑)
「経験〇年以上」。これは、まぁみんな嫌いですよね。
松岡:はいはい。
山田:あとは、「フルスタック」がやっぱり……もっと厳しいのは、フルスタックを「フルスタック」と書かずに「Webエンジニア」と書いているけれど、実質フルスタックを求めている会社とかですね(笑)。
(会場笑)
全部作れますみたいな……フロントエンドからインフラ、モバイルまでできますみたいなところを「Webエンジニア」や「Webアプリケーションエンジニア」と書くとか、そういう世界なんですよね。
松岡:求人票に「〇年」と書いている方、挙手してください。うそー! 本当ですか? みなさん優秀でした。
山田:最近は減ってきたということかもしれないですね。
松岡:よかったです。では、「フルスタックエンジニア」と書いてる人は?
(会場挙手)
あぁ……当たらないですよ(笑)。
(会場笑)
なるほど。かなりよくなっていることはわかりましたね。フルスタックのほかにも、ちょっと前だと「CTOが欲しい」「VP of Engineeringが欲しい」などもそうですね。「銀の弾丸」的なワードというか、バズワードになってしまってる現状はあります。
そうしたトレンドを企業が理解しているかという点を、エンジニアさんはよく見ています。そうすると「ここは古いコンテクストの求人票を書いてるんだ」みたいなところがバレてしまうし、技術に対する会社の向き合い方も見えてしまう。そのあたりを大事にしてきたのが、メルカリの2018年だったと僕は思っていました。
松岡:2018年を振り返って、ほかにいかがでしょうか?
山田:ミクシィさんやグリーさん、ディー・エヌ・エーさんなどに新卒で入った世代が子育て世代に入ってきているところで、1つのトレンドがあったのかなと思ったりはします。
松岡:どういうことですか? 新卒ではないですが僕も今、子育てしていますけど(笑)。
(会場笑)
山田:まず、エンジニアには男性が多い。かつ、主観も含んでいますけど、子どもが生まれたときに、子育てにコミットする方が比較的多いのかなという感じがしています。その文脈の裏返しとして、フルリモートしたいわけじゃないんだけれども、保育園……ちなみに、僕は今日、途中で帰って子どもを病院に連れて行って、寝かせてきましたが、そういう緊急度が高いときのフレキシビリティみたいなものを、ちゃんと提供できている会社かどうかで、人気が上がってきたりします。
リモートや副業が当たり前になってきたりしていますけど、それは会社にコミットしたくないわけではなく、家族と仕事を両立していきたいという意図の中で、そういう会社が……クライアントでも、スタートアップの中で一番人気があるところは、自由度の高いところですね。
松岡:スタートアップで人気が高いのは、働き方の自由度が高いところですか。
山田:そうですね。うちのクライアントさんだと、Ubieさんという医療系のスタートアップさんなんですけど、AI×医療というプロダクトが面白い領域なのはもちろん、社風として自由度も担保されていたりもしていて、非常に優秀な人が集まっている印象はすごくあります。
松岡:でも、リモートを許可したら、ぜんぜん会社に来なくて、チームワークを考えない社員が増えちゃうんじゃないですか?
(会場笑)
山田:例えばベンチャーで、新卒も含めてリモートをOKにしちゃっている会社は、本業か副業かもわからなくなっている会社もあったりします。やっぱり、一定以上のスキルがあって、経験も豊富な人が集まっている組織だといいですし、逆に言うとそういう人は、そういう組織に集まっているところもあります。
要は、スキルが高い人が集まっていないのに、自由度だけはあるという会社は、けっこう苦しい状態です。
松岡:すごく絶妙なマネジメントが要求される話ですね。
山田:そうですね。
松岡:scoutyのデータを見ていても、リモートもきっと魅力なんだろうと思いますね。あとは、ほかに傾向は見えましたか?
二井:リモートワークに関して言うと、フルリモートはまだまだ少ないですが、部分的に許可をする会社さんは、かなり多いんじゃないかなと思っています。
例えば、scoutyでもリモートを一時的に活用しています。子どもを病院に連れていくとか、体調が悪い場合は許可しています。まだフェーズが浅くて、フェイストゥフェイスのコミュニケーションが大事なので、強制ではないですがコアタイムの11時~16時は基本的に会社にいてもらうようにしています。
フェーズにしたがってリモートの緩和をしていっている様子は、多くの会社さんで見られますね。
松岡:なるほど。リモートを許可している会社の方々は?
(会場挙手)
すごい。先進的ですね、素晴らしい。
山田:うちのエンジニア、花粉症なので今日は沖縄にいますね。
(会場笑)
松岡:「花粉症なので沖縄にいます」?(笑)。
二井:夢の待遇ですね(笑)。
山田:ここ2週間、花粉がすごいらしいんですよ。僕も今年から花粉症になったんですけど。だから「沖縄に行ってきます」と言われて、「あぁ、そうですか」と。
(会場笑)
松岡:いい話? ですね(笑)。どこまで許すのかというのが曖昧になりそうで、なんともいい話ですね。
二井:リモートとは別なんですけど、もう1つの特徴としてエンジニア出身の方や現場のエンジニアの方が、主務だったり兼務だったりで採用に責任を持つケースが、2018年に一気に増えたと思っています。
今までは「手伝う」みたいな方が多かったんですが、主務としてやられている方が急激に増えた印象がありますね。
松岡:確かに。グリーの藤本(真樹)さんなんかも、取締役で、人事の担当もしていたりします。2016年くらいからですかね、「人事ニア」という単語がちょっとずつ出てきて、2018年くらいに増えたなという印象は確かにありますね。
ちなみにミクシィは、2013年頃に人事部長がエンジニアだったので、ほめてください。
(会場笑)
広木:それ、松岡さんですよ。
松岡:あっ、そうですか。すいません(笑)。
(会場笑)
ありがとうございます。エンジニアは、そんなにリモートしたいですか?
広木:いやぁ、沖縄に行っているときは「仕事できるかな」と思ったんです。朝起きたらすごくいい日差しで、これは海に行くしかないと。
(会場笑)
花粉症除けだったら、やっぱり北海道とかのほうがいいんじゃないですかね。
山田:確かに(笑)。
松岡:なんの話だよ。
(会場笑)
広木:やっぱり、寒いと部屋にこもってコーディングしてたいという感じになると思う。そういうの大事かなと。
(会場笑)
山田:ちなみに、うちのエンジニアはまったく海沿いじゃないところにいます。沖縄市の真ん中のほうにいるんです。那覇市でもなく、沖縄市というところに。
広木:なるほど、ありがとうございます。いい話ですね。
松岡:他に2018年を振り返って、何かありますか?
広木:2つ、話があります。僕はエンジニアリングマネジメントみたいな話の中で、ある程度中心部にいたんですが、「エンジニアリングマネージャー」という言葉が市民権を得たなというのは、2018年の後半に感じていました。
そのちょっと前が「プロダクトマネージャー」という言葉。プロジェクトマネージャーではなくて、プロダクトマネージャーという言葉が市民権を得たなという印象があります。これはもともと、パッケージソフトウェア開発やSIの領域にあったスキルセットみたいなものを、少し「ウェブナイズ」したものです。経験してきた人が入ってきて生まれた領域かなと思っています。「この領域は足りないんだな」「必要なんだな」という認知がけっこう高まったのかなと思っています。
一方で「#駆け出しエンジニアとつながりたい」みたいに、若い人が自分のキャリアとしてスクールに通い、エンジニアとしてRailsが書けたり、Vue.jsでフロントが書けたりみたいな、そういった領域で人材がたくさん生まれ始めています。
ハッシュタグで「#駆け出しエンジニアとつながりたい」を付けて、人とつながろうとするタイプの人は、昔はあんまりいなかったなと思って(笑)。それが、こんなインスタみたいな文化圏の中でつながっていたり、切磋琢磨して勉強していたりという状況は、採用にまで至っているかは微妙なところなんですけど、ちょっとずつ市場に表れてきているのかなと感じましたね。
松岡:確かに、このトピックの前半にあった、「メルカリがいっぱい職種を分解してきた」という話にもつながってくるような軸の話かなと思います。
後半は、エンジニアの裾野がどんどん広がってきているというお話です。我々の世代の場合は、いつも日が陰ったところにいたんですけども、日なたに座っている方々がどんどんエンジニアになっているという、素晴らしい文化圏ができていればいいなと思います。
広木:けっこうな割合でエンジニアの方がいらっしゃいますよね。僕ら二人の日陰にいた話を一般化すると、みんな日なたにいたという話になっちゃうと思います。
(会場笑)
僕らが日陰者だったというだけで(笑)。
松岡:はい、大変失礼いたしました。申し訳ございません、反省しています。このあたりで、2019年の話をしましょうか! 昔の話をしても仕方ないですしね。
(会場笑)
松岡:2019年のトレンドについてです。2018年はメルカリ旋風があり、採用責任者兼エンジニアも増えてきましたと。いろいろあった中で、2019年になって、また変わってきた部分がいくつかあると思います。
山田さん、プロダクトを見ていて、どんな変化を捉えていますか? まさに最前線の話だと思います。
山田:僕もなんですが、うちでは去年200人くらいのエンジニア面談をやったんです。「直接話を聞く」ということを、すごく重視しています。そこの生の情報がすごく大事だと思っているんですが、そこから業界のトレンドがけっこう見えてきます。
業種というところでは、去年の前半で最も人気あったのは、FinTech業界です。ある程度資本力勝負になってくる中で、人気としてはちょっと落ちてきています。ピークになると落ちるということもありますよね。その前は広告やソーシャルゲームなどがそういったサイクルの中にあったと思います。
今、人気が出てきている部分で言うと、医療、物流、不動産など、いわゆる人手不足の分野です。あとは、もともとデータとしてそれほど整理されていないので、データを採るところから考えなければいけないという点で、いわゆる「産業×Web」であったり、「産業×UX」みたいなところで人気が出てきそうですね。
エンジニアの方もいろんなWebプロダクトに関わっていく中で、例えば物流であればトラックドライバーの横に乗って、どのようにモバイルを使っているかを見た上でプロダクト開発してみる、みたいなのがおもしろそうですね。
医療も、医者がどのように問診をやっているかを見ながらプロダクトを作るのもおもしろいよね、みたいなところがあります。産業の現場に入り込んでいるのは、1つのおもしろいトレンドだったりします。
松岡:なんでですかね? 現場に入っていくのは面倒くさくないですか?
山田:例えば、うちで働いている10年選手のサーバーサイドのエンジニアが、この間飲み会でポロッと言っていたのが、「Web作るの、ちょっと飽きた」と。
松岡:うん……すごくわかる。
(会場笑)
山田:「コードは、だいぶ書いた」ということで、それ以外の部分もやりたいと。
山田:もう1つのトレンドとして、さっき話題に出たエンジニアリングマネージャーやプロダクトマネージャーで、なぜそこを目指す人たちが増えているのかというと、そのほうが年収も上がるというところも、わりとクリアになってきています。
開発組織が大規模化していったり、プロダクトにエンジニアリングの知識が必要になってくるところにエンジニアも入り込んでいくと、単にプロダクトを作るところから、プロダクトの設計まで入っていけるということで、年収レンジとしても上がりやすいという部分もあると思います。
また、Webサービスは、デザイン案を作ってそこに向けて開発していくという文脈でしたが、最近はscoutyさんもそうだと思いますが、ある種のアルゴリズムセントリックというか……アルゴリズムやオペレーションを先に構築した上で、そのあとにWebサービスみたいな世界があって。
エンジニアリングのバックグラウンドがないと作れないプロダクトが増えてきている、そういったプロダクトに投資が集まってきているかなという感じはします。
松岡:なるほど。では、2019年のトレンドを話したあとに「じゃあどうすればいいの?」という流れにしたいと思います。ですので、今ここで「うちのサービスはRailsなんだけど」と、悲しい気持ちにならないでください。
(会場笑)
広木が、ちゃんといい答えを言いますから。
(会場笑)
松岡:二井さん、2019年のトレンドについてはどうですか?
二井:大きく2つあります。1つは肌感覚として、私は未だに営業やクライアントのサポート、カスタマーサービスもやるんですが、採用に対して「予算が足りない」「工数とか人手が足りない」という企業さんが一気に減ってきたなと思っています。
というのも、そもそも予算や工数が足りていても採用できるわけではないということに、みなさん気付き始めたんじゃないかなと思います。
(会場笑)
松岡:予算と工数が足りていても、採用はできない。なるほど!(笑)。
二井:これは個人的な解釈なんですが、みなさんがそこに気付き始めたんじゃないかなと。例えば最近だと、ミラティブの赤川(隼一)さんの採用候補者様への手紙が公開されたり、SmartHRさんが採用資料を公開したり。経営者の方が採用にコミットしている企業さんがどんどん増えてきています。
本質的にいい会社を作って、それを公開することによって、候補者の方というか、エンジニアの方が興味を持つということがけっこうあります。そういう流れが来ているからなのか、「予算がないんです」「工数が足りないんです」という声が少なくなってきたなというのが印象深いですね。
松岡:僕は勝手に「全裸戦略」と呼んでいますが、確かに、2018年にSmartHRさんが、なるべく何もかも公開していこうということをやった翌月に、エンジニア採用の数字が……言っていいのかわからないのでアレなんですけど、「ひと月で、そんなにスタートアップが採用できちゃうの?」というくらいの人数を採れていたりします。だから、有効な手段になってきたのかなというのはありましたよね。この流れは、たぶん2019年は増えそうだなと思います。
二井:そうですね。
松岡:また、経営者の発信は、確かにすごく増えましたよね。
二井:そうですね。
松岡:なんか、いい話ですね。今日、経営者の方は?
(会場挙手)
なるほど。じゃあ今の話は「うちの会社もやるかな」みたいな気持ちで受け止められた可能性がけっこうあります。
(会場笑)
松岡:広木さんから見て、2019年のトレンドは、何か変わりましたか?
広木:採れないことを前提に、さまざまなリソースの組み合わせをしなければいけないんだろうなということについて、いろんな方が苦心し始めるのかなと思います。フリーランスしかり、ほかのSES会社、あるいはSI会社しかりです。
実際に採れなくなってくると、リソースをミックスして、なんとかマネジメントしていこうというところに舵を切る方も、けっこう出てくるのかなという気はしています。あとは、大手はけっこうM&Aがあるのかなという予想はしています。
松岡:何かしら、開発会社を買っていこうみたいな?
広木:そうですね。お金があっても採用できなくて、でも早く立ち上がらなきゃいけないと。あとは教育みたいなことをしようという方がけっこう増えていて、いろんなアプローチが出てくるのかなという気がします。
山田:最近リリースを見ていて「あっ」と思ったのが、ベトナムに子会社を作るためにシリーズAでたくさん調達しましたみたいなものがありました。
松岡:そんなのあるんですか?
山田:あります、あります。
松岡:ちなみに、それでいくらくらい調達したんですか?
山田:一桁後半くらいです。
松岡:おぉー。じゃあ、子会社を作って、数十人雇ってみたいな。
山田:そうだと思います、たぶん。
松岡:シビれますね。もうそこまで来ましたか。
山田:ふつう、ヤフーさんとか大手が現地に開発子会社を持っているイメージがあったんですけど、シリーズAの調達の目的に入っているのに、ちょっとびっくりしましたね。
松岡:そこまで採れないですね、確かに。冒頭のスライドでも「求人倍率がちょっとおかしいことになってるよ」みたいなものがあったと思うんですけど。なんか……ツラいですね。がんばりましょう(笑)。
(会場笑)
松岡:トレンドをざっくりと理解したところで、「どうすればいい」の話にいきましょうか。「経営者の発信が必要だ」「お金を使って採用しよう」あるいは「あきらめてベトナムに作ろう」とか。
あるいは「SESさんとかフリーランスの方々とか、ニアショアの方とかを組み合わせてやろう。でも超マネジメントが大変だ」と。どれを選んでも、けっこうつらいじゃないですか。何か、必殺技ないですか?
(会場笑)
今日もみなさんに来ていただいていますから、何か……「これやったらいいんや!」みたいな気持ちになって、明日からやれるとハッピーじゃないですか。今、これなら「効くな!」というアドバイスはないですか?
二井:採用担当の方が半分くらいいらっしゃるというところで、人事部門や採用部門に閉じて採用をしないことが、すごく大事かなと思っています。今回はエンジニア採用というところですが、エンジニア採用に限らずに、「経営者を巻き込む」というところが大切です。もちろん、できる・できないはあると思いますけど、経営者がコミットしてくれると、時間もお金も全部くれるんですよ。
松岡:(笑)。
二井:人員もくれます。そこでコミットしてもらうのが、会社として採用に向き合うことにもなる。できるだけ巻き込めるようにがんばるのは、すごく大事だと思っています。
もう1つが現場というか、ジョブディスクリプションに記載するべき要件を出してくる方と、いかに一緒に採用ができるか。大企業などでは、現場でミッションに「採用」と入っている方がいないということがけっこう多いんです。今の時代、それだとうまくいかないことがもう見えてきている。関わってくれないと人が増えませんよというオペレーションをしっかりやっていくのが大事じゃないかなと思います。
松岡:エンジニアさんがジョブディスクリプションを作る際にあまり協力してくれないという現場もちょくちょく見かけるんですが、そういうところに対しては「お前、一生楽にならないぞ」みたいな、脅しのコミュニケーションをするべきであると。
(会場笑)
二井:ポジティブにコミュニケーションする方法はいくらでもあります(笑)。ちゃんと一緒に作らないと採れませんよという、共通課題を持つ姿勢が大事なのかなとは思いますね。
松岡:経営陣に対する巻き込みは、なにか裏技はあります?
二井:それこそ、広木さんを呼んできて話してもらうとかじゃないですか?(笑)。
山田:ちなみに僕は古巣がレアジョブなんですけど、広木さんに技術顧問になってもらって改革したというのがありますよね?
(会場笑)
松岡:何を言ったの!?(笑)。
広木:何を言ったんだろう(笑)。でも、その時点で比較的コミット感がありました。なんだろう……そういうことじゃないですか?
(会場笑)
松岡:ちょっとわからなかったですね。コンサルタントとしていまいち……。
(会場笑)
山田:僕がもともとレアジョブにいたときに、執行役員でマーケティング・新規事業担当だったんですね。新規事業はだいたい作って失敗していたので、マーケティングと採用で取り戻すのが僕のミッションだったんです。
そのときに、採用がうまくいっている・いっていないみたいなところや、エンジニアが採用に積極的じゃないとか、或いは開発担当の執行役員が技術組織づくりに悩んでいるとか。。そこをどう変えていくかという話を、社外役員をやっていたクックパッド出身の成松(淳)さんとお話ししたときに、広木さんをご紹介いただきました。
先ほどデベロッパーエクスペリエンスの話もありましたが、中の人の体験から変えていくと採用に強くなるので、まだ続けていただいているんですかね?
広木:はい。
山田:何年かかけて、ずっと開発のヘッドと1on1をやって、エンジニア組織の課題を1つずつ潰して、3年後のエンジニア組織をどう作っていくかということで……それを社内共通言語にすると、今度は採用の時にも語れるようになっていく。やっぱり経営陣かつエンジニア層も、外で壁打ちできる人が欲しいというところはあって。結局、ずっと続いているのは、たぶん、壁打ちし続けたいという人なんだと思います。
松岡:何か言うことは?
広木:ありがとうございます。
(会場笑)
「採用するぞ」という気持ちになって、自分の会社のことが本当に大好きで、自分より優秀な人に来てもらいたいと思っている経営者なり責任者がいたら、実際には採れるんだと思っています。「そのために真剣なんです」という気持ちがあったら、課題がいくらあっても、その意識は伝わると思うんですね。
そこを本気で思えて、それを表現できるているかは、みんなが目ざとく感じますしね。「この人は本気なんだ」と思ったら、やっぱり協力したいなと思いますよね。「助けてほしい」というメッセージに対して真摯に考えるのは、いいエンジニアの特徴かなと思います。
なので、そんなメッセージが伝わるような人になっていくと、意外と採用がうまくいく。そこが、二極化する本当の原因なんじゃないかという気もします。
山田:あとは、本当はやりたいけど、やりたいことが言語化できていなくて、壁打ちの中で言語化してもらうみたいなところもあるとは思います。
松岡:確かに。また、DX、つまりデベロッパーエクスペリエンスの話で言うと、それがリファラルに効いてくるのかなと思っています。この何年かで中途が10人入ってきましたという場合に、何人がリファラルだったのかは、人事としてはすごく大事なKPIです。
たぶん、10パーセント以下だったら相当低いなと思いますし、50パーセントもあったら「いや、立派なもんですね! とくに言うことないです!」となりますね。
(会場笑)
二井:リファラルの話で言うと、最初のほうのスライドであったと思うんですけど、採用予備群、タレントプールみたいな方々もいらっしゃると思うんですが……リファラルは、最終的に「もう、紹介できる友だちがいません」となっちゃったりすると思います。そういう時に、カジュアル面談やイベントで薄いつながりを持った人をタレントプールに入れて、半年とか1年がかりで仲よくなって、タイミングが近くなったら声をかけてもらえる関係性まで持ってくると。
これはリファラルと呼ぶか、タレントナーチャリングと呼ぶか、すごく難しいところなんですけど、そういう時代になっているかなと思います。
松岡:タレントナーチャリングでこういうのが効くぞというものに、どういうものがあるんですか?
二井:基本的には、営業やマーケの考え方にすごく近いかなと思います。ちゃんとKeep in touchというか、狙いたい候補者に対して定期的にコミュニケーションを取って、その人が動くときに、ちゃんと声をかけられる状態を作るのが、基本の基本です。
スプレッドシートやTrelloで管理して、「次は、いついつに、どうやって声をかけます」ということを決めてやるのが大事かなと思います。
松岡:Facebookメッセンジャーとか。
二井:Twitterでも、メールでも、何でもいい。
松岡:何か、技はないですか?
広木:「人が足りないんですよね、だから来てほしいんですよ」といったことを言われると、エンジニアはけっこうゲンナリするんですよ。「誰でもいいから来い」と言われている感じがして。「あなたに来てほしい」と言われたほうが、うれしいじゃないですか。
女性に対して「(だれでもいいから)女、紹介してくださいよ!」という人はちょっと嫌な感じだなと思うけど、「あなたが好きです!」と言われたら、「本気だな」と思うじゃないですか。
採用だと、「『誰でもいいから来てください』みたいなことを言ったら、心象悪くするな」みたいな想像力が欠如した方もけっこういます。そうすると「そんなこと言われても絶対行かないわ」みたいな気持ちになる。わざわざ30分も時間を取って「あぁ、この会社には絶対に行かないな」という気持ちになって帰るみたいなことがけっこうあります。
(会場笑)
そこに気付けるようになって改善できるようになったら、うまくいく気もしますね。
二井:クライアントではありませんが、「カジュアル面談をうまく終わらせるの、すごく難しくない?」と相談を受けることが多いです。カジュアル面談は、面接よりも企業側の難易度が高くて。カジュアルさを演出しながらコミュニケーションを取って、お互いの得たいゴールへたどり着かせるのは、面接よりも難しいなと思うところがあります。
そういう課題があると気付かなくて、なんとなくカジュアルにやってしまうケースは、企業さんの中でもけっこう多いんじゃないかなと思います。
松岡:ちなみに、カジュアル面談を上手にやるコツは?
二井:scoutyの記事に書いてあるので、あとでググってください。
(会場笑)
松岡:失礼しました(笑)。
二井:最初に「今日はどういう話がしたいですか」と相手に聞くのはすごく大事です。選考を考えているのか、まったく考えていないのかで、話すトーンは全部変わります。選考を考えていなくても、話をしたら「もう1人、会ってほしいです」となるケースもありますし。相手とちゃんとゴールを握って、それに対して情報を提供していくのがすごく大事なのかなと思います。
松岡:パネルディスカッションの前のプレゼンテーションのスライドに「お互い選び合う時代」というものがあったと思いますが、まさにそういうことですよね。お互いをちゃんと尊重して、お互いが何を求めているのかをすり合わせてから、この30分、60分を大事に使いましょうと。
二井:そうですね。
松岡:山田さん、ほかの技を1個聞かせてください。
山田:何を喋ろうかと思ったんですけど、2019年はしつこいですが「求人票をちゃんと書こう」と。
(会場笑)
松岡:それは商売の話ですね(笑)。
山田:いやいや、そっちは売れないので商売じゃなくなっちゃうんですけど。2017年は採用マーケテイングって言葉を使っても全然流行らなかったのですが、、2019年になっていよいよ採用はマーケティングだみたいになってきました。その中で求人票を書くというのは、マーケティングで言うペルソナを作るみたいな、一番最初にやることですが、それが抜けてしまっていて、市場把握や方法論に入りがちになっている部分があります。実はマーケティングの世界も、最初は方法論になって、ペルソナという言葉で定義付けのところに戻ってきたんですね。
採用の世界でも、これからは方法論にガーッと走っていくんですけど、そのマーケティングというところがトレンドになってくるので……「誰でもいいんですよ」じゃないですけど、「誰なの?」というところが定義できていないから、「誰でもいいんですよ」と言っちゃうところがある。だから、そこは取り組んだほうがいいかなと思います。
松岡:どうすれば上手なジョブディスクリプションが書けるんですか?
山田:「うちの……」と言いたいんですけど。
(会場笑)
実は、クックパッドさんやペパボさんは、伝統的にいい求人を書いています。「どうやって書いているんですか?」と聞いたら、めちゃめちゃおもしろい答えが返ってきました。「GitHub上で、人事とエンジニアが求人票の改善をやってます」と。それくらいやっていたのかと。
また、いい求人を書いているところは、グローバル企業のいい求人を見ています。例えばSlackなど、FacebookやGoogleに採用競争で勝たなければいけないような会社がグローバルにいる。その人たちの手の入れようも、本当にすごかったです。求人票を書くときに、ちゃんとやっているんですね。
松岡:エンジニアの広木から、ジョブディスクリプションで補足することはありますか?
広木:大文字・小文字が違うやつ……。
(会場笑)
松岡:今、笑った人、だいたいエンジニアですね(笑)。
広木:「違うじゃん」と思うと同時に、「クラウド=AWS」みたいなことが書いてあったりすると、何だそりゃ、と思います(笑)。
(会場笑)
松岡:「クラウド=AWS」って、どういう意味ですか?
広木:「OS=CentOS」「クラウド=AWS」みたいなことだけ書いてあって。
松岡:表記を大事にという話ですかね。
広木:そうですね、表記を大事にしてほしいです。「実際に現場でコードを書いている人が関わってるんだな」ということを感じられるのは非常にいい求人だし、気持ちよく読めます。
山田:ちなみに、エンジニアだけで書いている求人もよくないですし、人事だけで書いている求人もよくない。例えば、エンジニアだけで書いている求人にありがちなのは、必須要件が10個くらいあるんです。
(会場笑)
そこまでできる人、そんなにいなくないですか? みたいな(笑)。「こういう人が採用したくて」みたいに、自分ができることを書いちゃう人とか。
松岡:わかる。
山田:逆に、すごく正直に伝えることが多かったりするという意味で言うと、「もう少し、アトラクトしたほうがいいよね」というところがあります。逆に人事は、アトラクトしにいくところがうまかったりする。だから、現場と人事でキャッチボールしながら書いているところが、一番うまくいっていたりします。大文字・小文字の間違いもないですし。
広木:そうですね。面接とか面談の中で、素朴なエンジニアの人を「口下手だから喋らせないようにしよう」という感じで、エンジニアの方が出てこない会社さんもあります。口下手で素朴なんだけど、技術の話をしていたら盛り上がれる、みたいな人と面接・面談が組めたりすると、本当に素直なコミュニケーションができる。「あ、本当だな」という度合いが高まって、「いい会社だな」と感じられるので、それで採用につながることもけっこうあったりします。
そこで「すごく快活で、めっちゃ喋る人」みたいなのが出てきたからといって、アトラクトできるとは限らない。そこが温度感としては大事かなと思いますね。
松岡:少し時間が押していますが、質疑応答をしたいと思います。
エンジニアやエンジニアに関わる人たちは、聞かれたらだいたいなんでも答えます。びっくりするくらい素直でいいヤツが多いので、忌憚のない質問をいただけると大変うれしいです。どなたか、質問がある方はいらっしゃいますか?
(会場挙手)
速い! お願いします。
質問者1:パネルディスカッション、大変楽しかったです。今日の最初の導入の際のスライドで、採用に関わる時期がけっこう広くなっているというか、フェーズが広がっているという話があったと思います。一方で、今日あまり話に出ていないところで、採用は採ったら終わりではないと思っています。会社に入ったエンジニアをどうサポートしていくか、ケアしていくかというのが、2019年のトレンドにあるのかなと思っています。そういう観点で、もしトレンドがあれば聞きたいなと思います。
松岡:会社に入ったあとの支援で、2019年のトレンドは見えていますか?
広木:誰かが先にやるんじゃないかなと思ってるものが、「オンボーディング関係の資料全公開」です。どこが先にやるのかなと。
松岡:いきなり競争環境を……。
(会場笑)
確かにバズりますよ、そのオンボーディング全公開は。
二井:やろうかなぁ(笑)。
松岡:でも、scoutyさんは速いですからね、みなさん、急いでください!
山田:Twitterを見てみると、ミラティブの方もいる。
松岡:ミラティブも強そうですね。逆に、scoutyとミラティブに勝ったら、みなさん相当速いですよ。急に目立ちますよ、ぜひやり切ってください。
質問者1:じゃあ明日……。
(会場笑)
松岡:大丈夫です、今日でなければ間に合います(笑)。ありがとうございます。質問のある方がいらっしゃったら。
(会場挙手)
質問者2:この流れで言うしかないと思ったんですが、ミラティブのヒロタと申します。
(会場笑)
松岡:素晴らしい! 好き!
質問者2:ありがとうございます(笑)。二井さん、あとでお話ししましょう。
二井:(笑)。
質問者2:ということで質問なんですが、最近すごく悩んでいることがあります。今のお話ですと、エンジニアさんが採用の責任者になったり、コミットするようになったということで、それはそのとおりだと思っています。
そうなったときに、「採用担当って何をするんだろう」と思っているんですね。採用担当者としての役割、期待されていることとは果たして何なんだろうかと。いっそエンジニアさんが採用をやったほうがいいんじゃないかとさえ思って、今悩んでおります。採用担当者に求められてることや期待していることなど、ぜひお聞かせいただければと思っています。
松岡:採用チームも、人事の方とエンジニアの方で組むようになってきました。では、結局どこまでが人事の領分なのかというご質問ですよね。
山田:もともと人事もやっていたというところで、採用担当に求められるスキルが、コミュニケーションからマーケティングに変わってきている。それは、大きな流れとしてあるのかなと思っています。
別の言葉を使うと、ジャッジメントからアトラクトに変わってきている、という言い方のほうが正しいかもしれない。これまでは人口増の世界だったので、たくさん人がいる中で、人事は「この人がうちに合ってる」「合ってない」をジャッジして、各部門に「こんな候補者がいました」みたいなことをやっていくのが仕事でした。
今は、パラダイムとしては人口減に変わっているので、どうやって自社に魅力付けをしていくかが求められている。そこをどうやっていくのかというと、やっぱりマーケティングになってくるところがある。これから人事部門に入ってくる人は、Webマーケターとかがどんどん増えていくのかなとは思っています。
質問者2:ありがとうございます。
松岡:ありがとうございます。
(会場挙手)
質問者3:おもしろいお話をありがとうございました。「CTO採用の成功とは」みたいなところを、ぜひうかがいたいなと思います。
最初から組織のトップに人が入るところで、内部から見て批判が出たりするんじゃないかなというのを、薄々感じていて。じゃあ、内部の人間にやってもらったほうがいいのかみたいな……いろいろあると思うんですけど、CTO採用の成功パターンみたいなものをご存知でしたら、ぜひ教えていただきたいなと思います。
松岡:CTO採用で成功したパターンを知ってる人?
広木:最近だと、DMMの松本(勇気)さんは、相当衝撃的なCTO採用だったのかなと思います。現役のCTOが自らコミットしてより若いCTOを連れてくるというのは、新しいかたちという感じがしますね。
松岡:我々はDMMさんとも仕事をしているので、中のことは一切言えないんですけれども(笑)あいつ、ヤバいっス。
(会場笑)
ワークしていると思います。基本的には途中でCTOが入ってくると、反発はもちろんあると思います。じゃあ、反発を黙らせるくらい強い人を連れてくるんですか、という判断も必要でしょう。その場合その企業が、連れてくる人にとってどれだけ魅力的なのかをプレゼンできるかどうかがすごく大事だと思います。
あとは、企業の成長速度もあると思っています例えば10人のチームにCTOが入ってきて、採用のアクセルを踏んで事業も伸びまくっている。1年後には開発組織が30人になった。するとCTOが連れてきた人が20人とかになると、パワーバランス的にはグリップできますよね。
今いただいたご質問は、本当にケースバイケースの極みみたいな話だと思って、ひと言では答えづらいんですけれども、成功するケースはあると思います。
山田:そういえば、また広木さんを持ち上げるみたいなんですが……。
広木:ありがとうございます。
松岡:持ち上げてください!
(会場笑)
山田:ちなみにレアジョブも、新しくmediba出身の方がジョインして、僕の古巣でCTOをやっているんですけれども、実はその前段階で広木さんにコンサルティングに入ってもらっています。
もともとの開発部門のヘッドの人が、実は「CTOって名乗りたくない」と言っていて。というのも、どちらかというと事業側もやりたいという思いもあったりしたので、そういう話の中で、自分の立ち位置みたいなものはこっちであると定義してCTOを連れてくる……そうすると、中の人が連れて来ているので、スムーズにいくこともあったりします。彼自身もエンジニア出身で事業も見れる人として今も活躍しています。
その意味で言うと、現状の開発を見ている人がどんなキャリアを歩みたいのかちゃんと向き合った上で、その人が連れてくるのが一番早いのかなとは思いました。
広木:今のレアジョブのCTO、めちゃくちゃ優秀です。現場のアトラクトから、必要なフェーズに対して実際に手を動かすところまで、やっぱり力でちゃんとみんなを巻き込んでいく能力があったりすると、本当にスムーズにランディングしていく。
現場も、そういうことのために採用しているという意識があるので、けっこうすんなりいくのかなと。
松岡:時間をずいぶんオーバーしてしまいました。本当にエンジニア採用は大変じゃないですか。人事の方もミッションとして持っていて、なかなか数字が上がらずつらいなと思っていて、エンジニアの方からしたら「いや、コード書きたいんだけどな」と思いながらも、「採用しなきゃな」みたいな気持ちでコミットしている方も多いのかなと思います。
しかしながら序盤でもプレゼンさせていただいたように、採用にコミットする部門がオペレーションじゃなく戦略を担うようになってきたと思います。人口減の中で、どれだけいい人を集めて、コアコンピタンスなプロダクトを作れるのか。これが、これからの鍵になると思っています。
今回はこういう場でしたけれども、我々としても積極的にいろんな情報を公開していきたいと思います。みなさんの中でもいろんな交流を通じて情報交換していただいて、よりよい採用ができるようにがんばれたらなと思います。今日はありがとうございました。
広木:ありがとうございました。
(会場拍手)
株式会社レクター
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