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プレゼン発表 げんき(ひよこ)(全1記事)

2019.03.20

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ゲーム制作の心得は「意見を出し合える仲間を見つけること」 Scratchを駆使するN高生エンジニアのクリエイティブ論

提供:LITALICOワンダー

2019年2月9~10日、「みんなが主役」をテーマとした、IT×ものづくり発表会イベント『ワンダーメイクフェス5』が行われました。このイベントは、5歳〜高校生まで通うIT×ものづくり教室「LITALICOワンダー」が開催し、子どもたちが日頃のプログラミングやものづくりの成果を発表しました。その中でも会場の注目を集めた、3名の中学生・高校生クリエイターによる過去の制作歴や将来の進路や展望についてのプレゼン「そのひとりのストーリー」。本パートでは、げんき(ひよこ)氏がScratchを使ったRPG制作の醍醐味を語りました。

N高生ひよこのゲーム制作ストーリー

元木一喜氏(以下、元木):では、次のネクストプレゼンターのご紹介をしたいと思います。クリエイターネーム「げんき(ひよこ)」のプレゼンです。学校法人角川ドワンゴ学園のN高等学校に所属しておりまして、LITALICOワンダー 渋谷にも所属しているクリエイターの方に、プレゼンをしていただきたいと思います。

げんき(ひよこ)氏(以下、ひよこ):「ボクのストーリー」のプレゼンを始めたいと思います。

(会場拍手)

はじめに、僕がどういう人間なのかということで、僕のデータです。高校1年生で、N高の週5通学コースに通っています。また、中学3年生からLITALICOワンダーに通っていて、プログラミング歴は1年半ぐらいです。

では次に、僕が何をしている人なのかを、少し紹介します。1つ目は、ScratchでRPGを作れるゲームを作っています。その次に、同時進行でシナリオやイラスト、音楽やコードなど、全部自分のRPGを作っています。それと、Scratchでゲームを作っているみんなの手助けをしています。

次に、僕がN高でどういう生活をしているのかを、少し説明します。これが僕の時間割です。普通の学校と違って、偏りが酷い(笑)。みんなが気になるのは、たぶん1時間目・2時間目……全部「プロジェクトN」という授業で埋まっていますけど、それがどういう授業なのかを説明します。

プロジェクトNは、動画編集などの役立つスキルがいろいろ習得できる授業で、いろんな企業とコラボしてたりします。これまでのプロジェクトNでは、ドラマ作成や脱出ゲーム制作、雑誌制作など、いろんなことをやってきました。その中でちょっとおもしろかったものを、1つ紹介します。

初めての授業が画像加工の授業で「唐揚げで街を爆破しよう」という内容でした。初めて画像加工ソフトを使ったときの画像ですが、この2つの画像を組み合わせると、こういうことができます。

(会場笑)

ビルになにかがあって、爆発したような画像を、唐揚げの色とかを変えただけで再現することができます。

次に、キャンパスはこんなところで、とってもきれいです。本館や別館などのいろんなところがあって、いろんな機材があって、おもしろいところです。

次に、N高のメリットです。いろんな分野の人が集まっているから、自分がわからないことをいろいろと教えてもらえます。動画編集、画像加工、またこういう外部でプレゼンをしている人たちに「プレゼンのもっと上手なやり方を教えてほしい」など、けっこう(いろいろなことを)教えてくれます。

また、Adobe(関連のアプリケーション)が使い放題です。さっきの唐揚げを爆発させる画像を作ったり、動画を作ったり、スライドの端っこに映ってる、Scratchの制作画面に似せたプレゼンテーション画面も、PhotoshopというAdobeのアプリを使って加工しました。

これまでつくった珠玉のゲームたち

次に、僕がScratchでこれまでやってきたことを、動画にしてまとめました。体験授業から最新の作品まで、一気に紹介していきたいと思います。

(動画が流れる)

これが、僕が体験授業に来たときに、初めてScratchを触って作った作品です。「音が邪魔かな」と思って音を抜いちゃったのですが、いま後悔しています。

(会場笑)

これが初めての作品です。

ちょっとScratchがおもしろすぎて、家に帰ってからも家のパソコンでいじっていたら、次の体験授業までに、上から落ちてくるコーヒーをシューティングしていくゲームを作ってしまいました。

その次に作ったのがこれで、初めての大会で賞を獲った時の作品です。このときから、僕の「全キャラ手描き」が始まりました。しっかり音を切り替えたりもできます。

今回は1Pプレイで、コンピューターとのEASYモードで戦ってみます。これのすごいところは、自分がとった行動を、コンピューターが全部リストにまとめていて、それどおりに攻撃してくるところです。例えばジャンプすると、相手のいるところに向かって撃ってきたり、相手が弾を撃ったという反応があれば、ジャンプしてよけたりします。

これはEASYモードなので、自分が行動した0.3秒後に動くといった感じです。HARDモードになればそれが0.1秒になり、最後は同時になるレベルでかなり速いので、難しくなっていきます。

僕が自分で一番おもしろいかなと思っているゲームです。このいいところは、プレイした人たちがコメントをすると、そのコメントに書かれた必殺技を僕がどんどん作っていくところです。全方位から出てくる敵に向かって、弾を当てて消していくというゲームです。

さっきのものが味方を召喚するもので、いまは自分と弾が巨大化するもの。これがトラップで、あの上で引っかかってる敵がいるように、当たった敵を止めることができます。

こういうかたちで、最初はなにもない状態から、プレイした人たちからの「こういう必殺技を追加してほしい」というリクエストを、自分がこうして作ってみています。また、リミックスでいろんな人たちが、「俺が作っちゃうぜ」と言って無敵時間を追加するゲームを作っている人もいます。

手描きキャラがゲーム内を躍動

次に、これが、「クリエイティブマッチ」で賞を獲った作品です。この一番のこだわりポイントと言うか……原始人が飛んだところですが、原始人がやられたら、その飛んだ先で爆発が起こるようになっています。

次に、いま制作中のRPGを、少しだけ見せたいと思います。まだ完成していないです。全キャラ手描きで、超軽量化のRPGです。背景が動くので、マップがとっても広いです。それと、もう1つの課題ポイントがそろそろ出てきます。マップの端っこが来ると、プレイヤーが動く仕様に切り替わります。元の場所に行くと、また背景が動くようになっています。ここを作るのが、一番難しかったです。

マップがとにかく広いんですけど、これのいいところは、制作画面モードに入ると、自分が移動した場所を壁にするモードがあるところです。ということは、他の人たちがその中身を開いて制作画面モードに切り替えるだけで、誰でもこういうマップが作れるようになるんです。

これが一番のポイントです。このゲームの目標は、誰でもこのRPGを簡単にリミックスしてRPGを完成させられるというところなので、とにかく他の人が作りやすいようにということを意識して作っています。

次に、戦闘シーンはこういう感じです。移動した先のところまでログが残っていて、残像のほうが移動してくるというプログラムになっています。いまから攻撃が出るんですけど、この攻撃範囲もプレイヤーの人が自由に変えることができます。

そして、(スライド下を指して)いまの文章のところなんですけど、これはパソコンのメモ帳機能に書いた文章を、そのままプログラムの中に入れるだけで、ここに表示する文章に変えてくれるので、作る人はとっても簡単です。

自分の打ちたい文章を打って、あとは入れるだけで簡単にできます。このすごいところが、文章だけではなく、コマンドが使えるところ。矢印で選択するところにも、アットマークを入れたり、アンダーバーを入れたり、大きい「1、2、3、4、5、6」や、マルに囲まれた「1、2、3、4、5、6」を使うことで、いろんなコマンドができます。文字の一部の色を変えたり、次の選択肢に進むプログラムなども、簡単に作ることができます。

この世界の住人たちが、こんな感じです。全部のキャラクターを僕が手描きで描いています。

このゲームのコンセプト・目標は、僕が作るゲームではなくて、プレイヤーが完成させるゲームというところです。僕は最後まで完成させないつもりなので、あとはプレイする側の人ががんばって作ってください。

(会場笑)

自分が楽しいと思えることをやること、意見をくれる仲間を見つけること

僕のこのゲームを作ってみたい、仕組みが知りたい人は、2月10日の第2部ブースに僕がいるので、ちょっと来てください。中身のこと、なんでも説明してあげます。

では、作品作りのコツや、僕が重要視していることを1、2個紹介します。1つ目は、自分が楽しいと思えることをやるということです。どうして楽しいのが重要なのかというと、大きな作品を作るには、やっぱり長い時間をかけたほうがいいものができます。そこで、楽しくないことを長い時間やるのは、やっぱり苦痛なんです。だから、自分が一番楽しいことを重要視したほうが、おもしろい作品ができると思います。

もう1つ、意見を出し合う仲間を見つけることが大切だと思います。なぜ意見を出し合う仲間が重要なのかというと、自分の考えだけではうまくまとまらないことがあるので、他の人に見てもらって、作品を改良していくのが重要だと思うからです。

さっき、自分が楽しいと思っているかが重要と言ったんですけど、(楽しいと思っているのが「自分だけ」だとしたら)それだけだと自己満足の作品で終わっちゃうので、他の人からのコメントを意識して作っていくと、もっといい作品ができると思います。

僕がこれから先、やりたいことは、RPGを作るゲームの完成と、Scratchを広めるための動画の作成です。なんでやりたいのかというと、Scratchから、プログラミングやモノを作る楽しさを知ってほしいからです。

(僕のプレゼンは)これで終わります。ScratchプロフィールやTwitterなどで、作品やLITALICOワンダーの質問など、なんでも答えます。フェス中も声かけてくれると喜びます。作品が作れなくて困っているところなども手伝うので、ぜんぜん(気軽に)お願いします。

元木:はい、ありがとうございます。

(会場拍手)

RPGツクール的なゲーム制作は「しんどそう」

元木:それでは、観客フィードバックに移りたいと思います。それではみなさん、どれがよかったか、4つの中から選んでください。

よろしいですかね? それでは、観客フィードバック、いきますよ。せーの、ドン! お! どうですか?

ひよこ:すごく散らばってて、ええと……。

元木:「ユーモア」多いけど、誰よりもバランスが一番多い気がしますね。「テクニック」「デザイン」「ストーリー」とも、全体的に評価がすごく高いかなと思います。みなさん、ありがとうございました。

(会場拍手)

元木:もんりぃ先生、ぜひ質問、講評をお願いいたします。

:発表ありがとうございました。

ひよこ:ありがとうございます。

:ちょっといま(Twitterを)フォローしますね。では、フォローしている間に、最後の(お話にあった)楽しいこと、仲間を見つけるということについてです。たぶん、大人になっても……むしろ大人になってからのほうが、より重要なことだと思います。ぜひその気持ちを持ったまま、伸ばしていってほしいなと思います。

とくにRPGツクール的なものをScratchで作るのは、僕の感覚としては「だいぶしんどそうだな」と思うんですけど、実際はどうですか?

ひよこ:やっぱり難しいですね。でも、Scratchでやるメリットとしては、中身が気になった人が「こうなってるんだ」とわかるところがScratchのいいところだと思うんですよ。プログラムの中身をすぐに見ることができるというのがScratchのメリットなので、プログラミングを広める活動としては、やっぱりこれが一番いいんじゃないのかなと思っています。

自分が作ったゲームの中身を見て、「あ、こうなってるんだ」という気付きから、プログラミングを楽しんでもらえる(ような世界を作る)のが僕の目標なので、「難しいけど、完成したらいいものになるんじゃないかな」と思ってやっています。

:いや、本当にすごいなと思います。とても感動してます。あと、個人的にはイラストがかわいくて、すごく好きです。もしよければ、Unityでもやってみてもらえるとうれしいなと思います。

元木:げんき(ひよこ)のプレゼンテーション、ありがとうございました。

(会場拍手)

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