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コミュニティ先進企業から学ぶ! ファン コミュニティの“つくり方”と“活かし方”(全4記事)

2019.01.08

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熱狂的なファンと共に文化を作り出す 個人間カーシェア「Anyca」の“コミュニティ3段活用”

提供:株式会社トライバルメディアハウス

2018年11月5日、品川インターシティホールにて株式会社トライバルメディアハウス主催の「熱狂ブランドサミット」が開催されました。マーケターがどのように顧客を熱狂に導くかをテーマに、経営者やデザイナー、インフルエンサーといった、さまざまな立場の有識者がセッションを行いました。本セッションには、コミュニティ運営の先駆的な企業3社が登壇し、取り組みの好事例や苦労した部分について具体的に紹介。今回は、カーシェアアプリ「Anyca」のコミュニティ&PRマネージャー宮本氏が登壇しました。

コミュニティは「広義」と「狭義」の二通り

田中陸也氏(以下、田中):みなさん、こんにちは。トライバルメディアハウスの田中陸也と申します。「Ricky」というネーミングでいろいろやっています。

最初に僕の紹介を簡単にさせていただきます。ふだんはトライバルメディアハウスで、熱狂ブランドマーケティング(という)、ブランドにファンを作ったり、ファンを巻き込んでブランドをより成長させる支援をさせていただいています。

ブランドのファンづくりやコミュニティ作り、最近は、社内の熱狂社員をどうつくっていくかという、チームビルディングのようなところを専門にやっています。

個人的にはトークンエコノミーやスタートアップが好きで、その辺の支援もやらせていただいていたりします。もしなにかありましたら、Twitterのアカウントが「Ricky @RuuieTanaka」でやっていますので、相談があればDMください。

今日は「ブランドコミュニティの“つくり方”と“活かし方”」というかたちでテーマを設定しています。なぜかというと、今、マーケティングの手法や、事業開発の手法として、「コミュニティ」がすごく注目されているかと思います。

ただ、うまくコミュニティをつくっていったり、コミュニティを味方につけてブランドの成長に活かせている企業さんがかなり少なくて、どうしようと悩んでいるところがかなり多いかと思います。

今日は、まさにその分野に力を入れてらっしゃる3社をお呼びしているので、実際にみなさんが取り組んでいる話を含めて、コミュニティのつくり方と活かし方について、いろいろ聞いていきたいなと思っています。

最初に、コミュニティというのはすごく幅が広い定義になっているので、少しだけみなさんの目線を合わせるためにお話ししたいなと思います。「広義のコミュニティ」と「狭義のコミュニティ」と捉えているんですけど、広義のほうは、共通のなにかに共感した人たちの集まりのような感じです。わかりやすく言うと、宗教とか。キリスト教などはまさに広義のコミュニティかなと思います。

狭義のコミュニティ。これは、みなさんがイメージされることが多いと思うんですけど、「共感し合った人たちが集まった、双方向のコミュニケーションができる特定の場」を狭義のコミュニティと捉えています。

なんとなくイメージ的には、企業やブランドがあったら、広義のコミュニティがあって、その中では全員がつながってるんじゃなくて、一部の人がつながっている。そういうところにオンラインコミュニティやイベント、店舗やSNSなどの狭義のコミュニティがある、という感じで捉えています。

コミュニティ運営に長けた3社が登壇

田中:今日お三方にお話しいただくのは、狭義のコミュニティの話も当然入っているんですけれども、どちらかというと広義のコミュニティというところで、どうやってファンをコミュニティ化し、そのコミュニティをうまく味方につけてブランドの成長につなげていくかをお話しいただきたいなと思っています。

簡単に1人10秒ぐらいずつでひと言いただきたいなと思います。宮本さんからお願いします。

宮本昌尚氏(以下、宮本):ディー・エヌ・エーという会社で「Anyca」という個人間カーシェアアプリのコミュニティ&PRマネージャーをしております、宮本です。よろしくお願いします。

(会場拍手)

野村高文氏(以下、野村):みなさん、こんにちは。ソーシャル経済メディアNewsPicksで「NewsPicksアカデミア」というビジネスコミュニティのマネージャーをしています、野村と申します。本日はよろしくお願いします。

(会場拍手)

上田晃穂氏(以下、上田):みなさん、こんにちは。「mineo」の事業責任者をしています、上田と申します。(会社は)大阪に本社があるケイ・オプティコムなんですけれども、今日は家からこのmineoTシャツを着て新幹線に乗ってまいりました。よろしくお願いします。

(会場拍手)

マイカーの個人間シェアリングサービス「Anyca(エニカ)」

田中:では本編に入っていきたいと思います。今日は最初に、まずお三方がどういうサービスをやられていて、その中でどういうコミュニティを作っていっているのかという話を簡単に1人8分ぐらいで話していただき、そのあと共通のテーマでいろいろ話を聞きたいなと思っています。

さっき投影してたんですけれども、最後はSli.doで質問を受け付けて答えてもらう時間も取ろうと思っていますので、聞きながら質問がある場合はぜひSli.doにあげていただければと思います。まず宮本さん、Anycaの話からお願いします。

宮本:「個人間カーシェアアプリの『Anyca(エニカ)』のコミュニティブランド戦略」というかたちでお話をさせていただければと思います。Anycaをご存じの方って、どれぐらいいらっしゃいますか?

(会場挙手)

おっ、けっこう多いですね! 2割ぐらい。ありがとうございます。個人間カーシェア、マイカーをシェアリングするアプリなので、Airbnbの車版とも言われますけれども、駐車場に停まっている普通のマイカーをシェアリングして乗れるサービスになっています。

今からそのサービスの中でどういうふうにコミュニティを作っているかをご紹介するんですけど、たぶんアプリをダウンロードいただいたほうがわかりやすいかなと思ったので、ぜひダウンロードしてください。

Twitterの今日のハッシュタグにも、このアプリのURLと、講演資料の一部をすでにTwitterに流させてもらっています。そちらのハッシュタグを見ていただけると、どんな感じになっているかを一部見ていただけるかなと思います。

みなさん、スマホで出てませんね(笑)。ダウンロードしている間に僕の自己紹介をさせていただきます。

実は僕、前職トライバルメディアハウスでして、2年半前にディー・エヌ・エーに転職をしました。トライバルの時は、最初はSNSマーケティングでFacebookの戦略だったりとか。そういうところから、共創マーケティング事業部というところで、企業とユーザーと一緒に商品を作っていくコミュニティマーケティングというところをずっとやってまいりました。

ただ、なかなか……その2年前って本当に事例がなくて、「事例を作っていくには、代理店側ではなくて、事業会社側に出て行く必要があるんじゃないか」というところで転職をして、ディー・エヌ・エーに入りました。そういう意味で、僕の中で、今日ここでみなさんにお話しできるのは、2年半前の思いが叶った瞬間でもございます。

業界3位の「Anyca」の会員登録数は17万人以上

宮本:個人間カーシェアサービスのAnycaで、今はコミュニティを軸としたマーケティングのマーケティング責任者をしています。Anycaは会員登録数は17万人以上、車はすでに6,000台以上登録されています。カーシェアの会員登録数では、ほかのBtoCカーシェアを含めた業界の中で、だいたい3位ぐらいですかね。

車の登録台数としては、業界1位のところが2万台強あり、2位がうちという感じですね。ただ3位が3,000台ぐらいです。それぐらいの台数を誇っているサービスで、サービス開始から3年ぐらいです。

すでに累積のカーシェア日数も8万日以上なので、知る人ぞ知るサービスではあるんですけれども、知っている人の中ではけっこうご利用いただいているサービスになっています。

マイカーなので、700車種のいろいろな種類の車があります。テスラの「Model S」やスポーツカー、普通の車だったり。マイカーを使っていない時間(の車)をシェアするというところなので、レンタカーなどに比べると比較的安い値段で利用いただけるサービスになっております。すべて24時間の金額なので、けっこう安く感じていただけるかなと思います。

Anycaの中でコミュニティをつくっているんですけれども、サービスをやっていくなかで、シェアリングエコノミーサービスの課題があります。

オーナーが車をシェアする側で、ドライバーは利用者側なんですけれども。我々Anycaは、そのプラットフォームを作りまして、オーナーが車を使わない時間にドライバーにカーシェアをしています。

ただ、こういったサービスをやっていましても、「どんなサービスを提供すればいいのか」「どんな人なのか不安だ」など、やっぱり「トラブルのときに不安」というところは当然ございます。こういった「どんな人なのかわからない」、なにか使ったときに、例えば「変な人だったらちょっと不安だな」といったところの解決が必要になっています。

みなさんもたぶんアプリをダウンロードして感じていただけると思うんですけど、登録されている車はすべて他人の車なので、例えば「事故ったときどうしようかな?」とか、ちょっと不安になる部分は当然あるかと思っています。

カーシェアリングを通じた「出会い」が生まれている

宮本:そういう部分はあるんですけれども、例えば結婚式に車をシェアして、結婚式の入退場で使っていただけたり。あと、ドライバーさんとすごく仲良くなって、オーナーさんがドライバーさんの会社に転職をされたりというエピソードがあるんですね。なので、不安なところもあるけれども、「車を通じた出会い」があると。

ただ、僕はイベントに参加して運営とユーザーをお話ししているなかでそういうことが聞けたんですけれども。普通であれば、みなさんが(Anycaの)アプリをダウンロードして見ていただいても、車が並んでいるだけなので、車のシェアを通じた人と人とのつながりがあることは、実際にそういう体験をした方から聞かないとわからないといった課題がありました。

そこで、こういう方たちとの交流を活かして、「Anyca STORIES」というかたちで、それぞれの人のエピソードをまとめた記事を作っていきました。

こういった記事を作ってPRすると、やっぱりAnycaは新しいサービスなので、テレビなどで取り上げられるとすごく会員数が増えます。なので、「こういうサービスがあるんです」と紹介していた時に、全国放送のニュース番組でAnycaが取り上げられることになりました。

最初に取材の依頼があった時は「特集の中の3分間、Anycaを紹介します」というかたちだったんですけれども、このユーザーのエピソードをたくさん紹介することで、「これだったらAnyca1本でいけますね」ということで10分間紹介いただけることになりました。

その全国放送の番組で10分間放送されると、だいたい広告換算値で2億円分ぐらいの価値があって、実際に1日で1ヶ月分ぐらいのユーザー獲得ができたというところで、コミュニティで培ってきたユーザーとの関係性が非常にマーケティング効果につながった瞬間だったかなと思います。

それがAnycaの中で一番大きな事例にはなっているんですけれども、どういうかたちでマーケティングをしてきたのかをいくつかご紹介していきます。

Anycaユーザーと一緒にイベントを企画

宮本:まず「コミュニティ3段活用」ということで。最初にコミュニティを立ち上げるときに「マーケティング価値はなんなの?」とみなさん絶対聞かれると思うんですけれども、最初からそれを作ることは難しくて、最初にやった手触り感、「どういう盛り上がりがあるか?」が最初の成果指標になるかなと思います。

この段階でAnycaがやっていることなんですけれども、運営と会員が何度も会って、だいたい月に7回程度のイベントをやっています。参加者数は延べで7,000人ぐらいなんですけど。まずはサービス説明会ですね。「Anycaってこういうサービスですね」というところを月3回ぐらい説明しています。これは運営と会員の関係は1:Nです。

ここから関係性を築いていくタイミングになるんですけれども。車の撮影会ということで、実際にオーナーさんの車を川崎に来ていただいて無料で撮ってあげるイベントをやっています。その方のマイカーもあるので、そこで話をして、「その車すごくいい車ですね。いつもどういうかたちで使われているんですか?」という話をして仲良くなると。

「ぜひ交流会もやっているので来てください」ということで、交流会に来ていただきます。これ毎月開催をしていて、この交流会に来ていただくことで仲良くなる関係を作っています。ここは運営と会員がN:Nなので、会員同士の交流などもあります。

例えば、「車の登録をしたばかりでどういうふうにシェアを入れたらいいかわからない」という方が先輩オーナーに聞いたり、さっきのエピソードとして、ドライバーの会社に転職したという話を聞いて、「Anycaっていいね」というようなことを知ってもらう機会になっています。

ただイベントをやるだけではなくて、イベントはコミュニティリーダーと会員の方が一緒に企画して作っています。なので、中身のコンテンツは一緒に作っていますし、イベントに来ていただけるとわかるんですけど、受付にAnycaのスタッフのようにいる人が実は会員の方だったりということがあります。

そういうかたちで一緒にサービスを作っているので、こういったAnyca主催のイベントだけではなくて、会員の方が自ら企画をしたユーザー企画イベントもあります。集金なども全部会員の方がやってくださっている「Anycaカート部」のイベントなどもあります。

こういったAnyca会員同士の交流も勝手に企画してくれて、我々は告知をするだけで交流の機会を作れています。これが今のコミュニティの現状です。

コミュニティのゴールは、新たな文化やライフスタイルをつくること

宮本:こういうかたちでコミュニティを醸成していきまして、次がコミュニティをマーケティング成果に活かす段階の話です。さっきのコミュニティの話で、コミュニティリーダーをつくるイベントをやっているんですけれども、コミュニティだけで成果を出すことは本当に難しいです。

そこで、先ほどのWebメディアの「Anyca STORIES」というところでコミュニティのイメージを伝えるようなオウンドメディアを作り、それをPRやメディア取材に活かすことでマーケティング成果をあげています。

紫のコミュニティ単体のところでは成果をあげられないので、ほかのマーケティング施策とうまく組み合わせることで、先ほどの1日で1ヶ月分のユーザー獲得をするといったマーケティング効果を出しています。

次のページが、それを組織全体に活かしていくという概念になってきています。詳細はご説明できないんですけれども、今の話のPRをネタにしてPRに使っていくという話はお話ししました。

それ以外にも、「#エニカで乗ってみた」ということで、Anycaに乗った体験をSNS投稿してもらったり、友達紹介(してもらったり)、それからLTV(Life Time Value:顧客生涯価値)の向上などに活かしています。

このあたりはマーケティング部やPRだけなのですが、それだけではなくてアライアンスの事例で、例えば、「テスラカーシェアParty」などの交流会イベントをテスラさんと一緒に企画することでメディアに載ったり、テスラさんとのコラボに活かしたり。

あとは、開発するときにプロダクト開発の意見を一緒に聞いたり、なにかトラブルがあったときにどう対応したかを会員間でお互いに共有してもらっています。

人事的にも、採用や業務委託先のようなかたちで、(会員の方に)さっきの撮影会の協力をお願いしたり、業務委託で来てもらったりというかたちで、マーケティングだけではなくて、ほかの施策全体にコミュニティが利いてきている状態になっています。

最終的には、コミュニティのゴールは熱狂ファンチームとともに文化をつくることだなと思っています。Anycaは最初にお話ししたとおり、他人の車に乗るサービスです。当然、抵抗はあると思うんですよね。

そういった抵抗をなくすために、我々アプリを作っているスタッフが「他人の車に乗ってもすごく楽しいよね。新しいつながりができるよね」というだけだけではなくて、熱狂的なファンチームと一緒にそのライフスタイル・文化をつくっていくことが、Anycaとしてコミュニティを活用している価値かなと思います。

田中:ありがとうございます。

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