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第74回 アグリホールディングス株式会社(全1記事)

2018.11.12

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世界には100億人のマーケットが広がっている 「日本食」で世界に切り込む、アグリホールディングスの展望

提供:アサゲ・ニホンバシ

2018年10月19日、WIRED CAFE NEWSにて、第74回アサゲ・ニホンバシが開催されました。今回は、フルーツパーラーやビストロを営む株式会社いまのの代表・今野州彦氏と、農業にまつわる諸問題の解決事業を行うアグリホールディングス株式会社の岩崎亘氏が登壇。老舗企業(マエヒャク)と新興企業(アトヒャク)の2人が、それぞれの仕事や日本橋への想いについて語ります。本記事では、アトヒャクとして登壇した岩崎氏が、「世界を股にかけた食の事業をなぜ日本橋で行うのか」について語ったパートの模様をお送りします。

地域活性の伝道師・アグリホールディングスの岩崎氏が登壇

司会者:それではアトヒャクさんのご登壇にいきたいと思います。アトヒャクスピーカー、アグリホールディングス株式会社 取締役 COO 岩崎亘さんのご紹介をさせていただきます。

1983年に静岡県のみかん専業農家の長男として生まれ、農業の諸問題を痛感しながら育ったそうです。2006年に早稲田大学を卒業後、株式会社リクルート、コンサルティング会社、農業法人を経て、2015年4月にコールドプレスジュース事業を行う会社、イージェイを設立し、代表取締役にご就任。イージェイが掲げるテーマは「規格外農産物の価値化」「手軽で楽しい健康食の提供」。2018年からはアグリホールディングスにも参画されています。

また、「内閣府認定 地域活性化伝道師」だとうかがっております。それでは、岩崎さんよろしく願いします。

(会場拍手)

岩崎亘氏(以下、岩崎):みなさん、おはようございます。

会場:おはようございます!

岩崎:朝からありがとうございます。先ほど私の紹介をしていただきましたが、(先ほど登壇された)今野さんとの共通点がけっこうありましてですね。

まず1つ、うちはみかん農家なんですね。しかも3人兄弟の長男なんですよ。なので、「おまえ、ここにいていいのかよ?」という話なんですけど(笑)。この話をするとすごく長くなるので端折りますが、いろいろあって。家の問題はあるんですけど、その問題もひっくるめて、いま解決しようということで、別の仕事をやっております。

もう1つ、私は静岡県生まれです。僕は沼津なんですが、今度下田に行きたいと思いますので、よろしくお願いします。

農業と食のグローバルバリューチェーンを作る

岩崎:さっそくですが、弊社の紹介をさせていただければと思います。アグリホールディングスと申しまして、すごくざっくり言うと、日本の食材を海外に輸出しています。それから、日本の食文化を海外に発信していく仕事をやっております。

(スライドが)やや見にくいので、口頭でご説明します。こういったいろんなことをやっていて、我々は「日本の農業と食のグローバルバリューチェーンを作ってる」と言わせていただいています。

まずは、「川上」の生産の部分ですね。我々は農業はやってないんですが、農家さんに対して販路の開拓や、まだまだですけど、ヒトや情報、機械といったリソースの支援みたいなこともやらせていただいております。

それから、「川中」の流通や輸出ですね。このあたりが我々の本業になります。いわゆる商社さんのように、実際にモノも流しますが、うまく流通させるためのITのツールをいろいろと自社で開発しています。

独自のポイントサービスと発注ツールの最適化

例えば「JAPAN POINT」というポイントアプリがあります。日本でいうと、Tポイントや楽天ポイントみたいなものですね。我々のメインの海外拠点は現在シンガポールで、そこでアプリ開発をやっております。

日本の食材をちゃんと使っている海外のお店に加盟いただいて、消費者がお金を落とすとポイントが貯まります。その貯まったポイントを日本の食材と交換できるようにしたポイントアプリがJAPAN POINTです。

それによって、我々は日本の食材や日本食のファンをたくさん増やしていく。そうすることで、輸出の需要をもっともっと増やしていく。そのためにポイントアプリを手がけています。

(スライドを指して)その下に「Marketplace」と書いてあります。我々はいま、シンガポールと香港をメインに輸出させていただいており、ターゲットとなるのは飲食店さんです。

日本もそうだと思いますが、いまだに電話やファックスなどで発注していることがけっこう多いんです。そうするとミスが起きたり、データが溜まらないといった問題が出てきます。

我々はそれをLINEのようなチャットベースで……海外でいうとWhatsAppなどですが、そこにこのMarketplaceのURLをペロッと載せて、そこから発注してもらうような受発注のツールを作っています。

飲食店さんからすれば、ピピッと入力して「発注完了」となれば、日本から最短で食材が届くという仕組みを作りました。

海外の人にウケる日本食の魅力

それから最後の「川下」ですね。川下の食文化でいうと、我々はまだ創業して4年で、当時一番最初に始めたのが、シンガポールでのおにぎり弁当屋です。

シンガポールでは初のおにぎり専門店を作りました。「SAMURICE(サムライス)」という名前で、「侍とライス」という、本当に普通の親父ギャグです(笑)。これが、けっこう海外の人にはウケます。

(会場笑)

それがいま、シンガポールで5店舗。ニューヨークでも1店舗。さらにニューヨークではもう1店舗、「Izakaya(イザカヤ)」という名前の居酒屋をやっております。

(会場笑)

ぜひニューヨークに行かれた際は……みなさんが行っても、あまりおもしろくないかもしれないですけど、ぜひお店に行ってみてください。海外の人に、いわゆる日本食というものが非常にウケております。

「世界の100億人」を見据えた、商いのバックアップ事業

では「なぜ輸出なのか?」についてです。

これも(スライドの)図がすごく小さくて申し訳ないんですが、端的に言うと、日本の人口は2004年のピークを境に減少しています。みなさんには「釈迦に説法」かと思いますが、2050年には人口が1億人を割ると言われていますね。

一方で、世界を見ると、2020年のオリンピックイヤーには77億人になると言われています。先ほど話した、日本は1億人を割るといった時期に、世界では人口が増えて100億人になると言われています。

つまり、これからは生産者さんも食品メーカーさんも、(日本の)1億人を見るんじゃなくて、(世界の)100億人を見て商売をしていこうということで、僕らがバックアップさせていただく。そういう会社にしていきたいと思っています。

(スライドを指して)こちらも少し小さい図ですみません。直近では、とくにアジアですごく食の市場規模が(広がっています)。アジアやインド、中国では人口が増えているのもあって伸びています。直近10年ぐらいでも、市場規模が約2倍に拡大しているという、とんでもない伸びをしているマーケットです。

僕らはそれを追い風に、どんどん日本食を売っていこうと思っています。みなさんはご存知かもしれませんが、いま海外では日本食がブームというか、1つの文化・スタイルになってきていて、それも追い風になっています。

インバウンドでも、日本にやってくる外国人に一番楽しみなのは何かと聞くと、「日本の食事だ」と。それから海外の人に、「自分の国以外の外国の料理で、一番好きな食事は何か?」と質問しても、1位は日本料理なんです。

「日本の食材を使った日本食」の価値

いま、日本食レストランの伸びはかなりすごくてですね。すみません、このスライドも見にくいんですけど、直近の2015年から2017年だけを見ても、25パーセントアップしています。とんでもない伸びですよね。

2015年に9万店だったのが、いま12万店になっている。アジアでいうと1.5倍に増えているということで、ものすごい伸びをしています。

ただ、この日本食レストランというのは、必ずしも「日本人が、日本の食材を使って運営している」というわけじゃないんですね。別の国の方が、ある意味「なんちゃって日本食」を作っている。それは別に悪いことではないんですが、僕ら日本人としては、日本の食材をちゃんと使ってもらいたいというところがあります。僕らはそこにマーケットチャンスがあるととらえて、輸出しようとしています。

実はいま農水省も……というか国として大きな目標を掲げています。来年中に、食材の輸出額を1兆円にすると掲げています。これはたぶん、達成できる見込みです。それぐらい、いま輸出はすごく伸びています。

そんななかで、我々は先ほど申し上げたシンガポールやニューヨークで、おにぎり弁当屋のSAMURICEをやらせていただいています。また、日本食材の輸出といったところで、メディアに取り上げられたりもしています。

まだ一部ですが、日本橋とのつながりでいうと、山本海苔さんの海苔や、にんべんさんのおだしなどを少しだけ使わせていただいています。やっぱり、お値段はそれなりにしますので。

(会場笑)

なるべく使いたいなとは……。(会場から「ありがとうございます」との声があがり)あ、ありがとうございます。後でごあいさつさせてください。

(会場笑)

日本橋に構えたオフィス兼レンタルスペースの思想

ここから日本橋とのつながりでお話しさせていただきます。我々は、この8月に日本橋に移りました超新参者でございます。日本橋の堀留町、小伝馬町と人形町の間ぐらいですね。そこに「AG&FOOD Center」という、オフィスに併設していろんな機能を構えたスペースを設けました。

コンセプトは「日本の農と食の未来を考えて世界に発信する場」です。ここから発信していくという場ですね。そして、日本の食材・食文化にバリューアップ、価値を付けて、世界に出していく。そういった場にしていきたいと考えています。

その1つの機能が「BENTO LABO」というものです。端的に言いますと、日本の伝統的な食文化である弁当というのは、ある意味で日本食の象徴みたいなものなんですね。日本の食文化・食材と、最先端のテクノロジーを掛け合わせて、新しい日本の食文化を作っていこうという研究開発、そして発信の拠点、そういった場所として作らせていただきました。

ここで、いろんな研究や開発を進めていきます。例えば機能性。もっと人の体調に合わせてカスタマイズしたお弁当作りや、ロボットをうまく使って生産性をアップさせたような食事の提供など、いろんなことを展開していきたいと思っています。

(スライドを指して)ここにいろいろ書いてありますが、まずはぜひお越しいただければと思っています。1階はキッチンで、イベントの開催や食事もできるスペースになっていまして、レンタルもできます。ぜひ、みなさんにも使っていただきたいなと思っています。

このキッチンもシェアできるようになっています。実は、我々のオフィスだけではなく、(別の)入居者さまもいらっしゃって。入居者さまは食に関わる人に限っていて、そういう人たちとコラボレーションしながら新しいものを生み出していく。そういう場所にしております。

2階はコワーキングスペースにしています。そこではいろんなイベントを開催していきたいと思っていますので、ぜひみなさんにも使っていただければなと思います。

都営浅草線こそが世界最強の路線である理由

さて、「なぜ日本橋に来たのか」ということについてですが、実は我々、前までは表参道におりました。表参道から日本橋に来たわけなんですけれども、いったいなぜ日本橋なのか(についてお話をさせていただきます)。

まず1つ目。やはり偉大な老舗の食関連の企業や、事業者の方々がたくさんいらっしゃるということです。私たちは、ここが日本における一番の食材の中心地ではないかと勝手に思っております。それで日本橋がいいんじゃないかということで、ぜひみなさまの商品を世界に出していきたいですし、こうしてみなさまとコラボレーションさせていただきたい。そういう思いが、1つ目の理由です。

2つ目、これはけっこう大事だと思っているんですが、私は都営浅草線こそが世界最強の路線だと思っています。

(会場笑)

なぜなら、羽田空港と成田空港に直通でいけるから。これ、どうしてわかんないんですかね、この価値が!

(会場笑)

超最高だと思っています。最高ですよね? だから僕らは絶対にこの線がいいなと。この沿線でいろいろ探して、「あ、日本橋ちょうどいいな」ということで。人形町から徒歩5分ぐらいです。

それから、あのバス……T-CATですね。それも近い。グローバルカンパニーには最適の地だということを、他のスタートアップやベンチャーに、声を大にして言いたいと思っています。これからたくさん(の企業を)連れてきたいと思っていますので、よろしくお願いします。

日本橋に集う人の健康を支える弁当屋を開店

「From Nihonbashi To The World」ということで、日本橋のみなさまとコラボしながら、この日本橋の良き文化を、ぜひ世界に発信していきたいと思っております。

すみません、(このイベントでは)「売り込みはなし」ということですが、最後に少しだけ売り込みをさせてください。今年の11月末に、満を持していよいよお弁当屋を展開します。11月末を予定しているんですが、ただのお弁当ではなく、先ほど言ったような機能性を高めたものに(する予定です)。

例えば、9マス弁当というものがあります。それぞれのマスに、それぞれの身体の臓器の悩みに効くような……例えば胃に効く、南瓜のそぼろ餡かけなどです。もちろん「なぜならこういう理由で」といったロジックがしっかりあります。そういった身体にいいお弁当を出していきたいと思っています。

2回前のアサゲ・ニホンバシで、「delifas!(デリファス)」さんがピッチされたと思います。実は入居していただいています。昔からすごく仲が良いんです。

その管理栄養士さん監修のもと、この弁当を作らせていただきます。日本橋のみなさんの健康を支えていきたいと思っております。それなりの量がまとまれば配達もいたしますので、ぜひみなさんにも注文していただければと思います。

我々は新参者でございますが、ぜひ仲良くさせてもらえればと思いますし、ここから新しい文化を発信していきたいと思っています。ぜひよろしくお願いいたします。

(会場拍手)

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