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事業戦略発表(全2記事)

2018.10.15

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国内最大級のデータテクノロジー企業「Supership」が説く、5G・IoT時代の戦い方とは

提供:Supershipホールディングス株式会社

2018年10月11日、ベルサール御成門タワーにて、「Supershipホールディングス株式会社 事業戦略発表会」が開かれました。Supershipホールディングス株式会社は、デジタル広告・データコンサルティング・インターネットメディア等のデータとテクノロジーを活用した事業を展開する、さまざまなスタートアップのM&A・合併により誕生。インターネットの世界からリアルの領域まで、あらゆる分野での事業拡大・新規事業の創出を目指す上での方向性や成長戦略を明らかにしました。本パートでは、執行役員CSOの八重樫氏が、Supershipの強みの分析や今後の方向性について紹介しました。

アクセンチュアからKDDIへ

司会者:Supershipホールディングス株式会社執行役員CSOの八重樫健より、Supershipホールディングスの事業戦略および新規M&A、新規サービスをご説明いたします。八重樫さん、お願いいたします。

八重樫健氏:Supershipホールディングスの執行役員CSO、経営戦略本部長の八重樫と申します。よろしくお願いいたします。

多くの方が私のことをご存じないかと思いますので、簡単に自己紹介だけさせていただきます。私、前職はアクセンチュアで経営コンサルタントをやっておりました。

私の最後のクライアントさんがKDDIさんで、そのまた最後のプロジェクトが、このSupership、Syn.(シンドット)を立ち上げるというところでした。途中まで足を踏み入れてしまったといいますか、ご縁があってそのまま入社させていただきまして、今に至るというかたちです。

Supershipでは、これまで数多くのM&Aを実施してきましたが、そちらを主導させていただき、全体のグループ戦略を担当させていただいておりました。本日はこのような場をいただきまして、誠にありがとうございます。

それでは、さっそく事業戦略の説明をさせていただければと思います。まず、我々の会社は複雑な部分もあるため、ホールディングス全体のストラクチャーからご説明させていただければと思います。

我々Supershipホールディングスの株主は、KDDIさんと電通さんで、ただいま、KDDIの子会社であり、電通の関連会社でもあるという状況です。

そのなかで、事業を推進するスタートアップ5社が合併しまして、Supershipとして事業推進をしています。その上で、ママ向けメディアを展開しているコネヒト社、いま非常に話題になっている不正広告を防止するツールであるアドベリフィケーションを展開するMomentum社、そしてデジタル広告の運用のトレーディングデスクのシナリオ社というかたちでのグループストラクチャーです。

日米企業のデータ活用度の格差

これまでの経緯について、簡単に触れられればと思います。まず2014年に「Syn.」の構想がスタートし、2015年にSupershipが誕生、あわせて2社買収というかたちです。そののち、コネヒト社の買収、さらにAppVador社、Socket社が合併し、同時にMomentum社とシナリオ社もM&Aでジョインしました。

2018年、本日のタイミングで、今回発表させていただく新規にM&Aを行った会社を加えて、いま合計10社のスタートアップの共創体というかたちでございます。

先ほど森岡からも、我々は何者なのかというご紹介がありましたが、ひと言で申しますと「データテクノロジーカンパニー」です。あらためて、私たちがなぜこのデータを中枢に置いてやっていこうと考えているのか。先ほどのプレゼンの中で触れさせていただきましたが、この30年で大きく顔ぶれが変わってきています。

この(ランキングの)中で日本企業がなくなっているところに加えて、デジタル企業が圧倒的に伸びてきていると思っています。これは顧客体験価値にしっかりとデータを活用できている会社がいるということです。

例えばAmazonであれば、彼らの事業のコアである商品レコメンドのパーソナライズや、物流といったところに、いかにデータが使われているか。一方でFacebookに関しても、事業のコアであるコンテンツ、広告のパーソナライズにしっかりとデータを使っています。

こういった会社の事業のコアに、ちゃんとデータを使われている会社がしっかりと伸びてきているのが現状かなと思います。一方で、日本とアメリカで見たときに、このデータ活用がどこまで進んでいるのかを簡単に見ていきたいと思います。

左手が日本企業で、「ある程度データを活用できている」ところと「すでに積極的にデータを活用できている」ところを合わせても30パーセント程度に留まります。それに対し、米国企業においては70パーセント程度と、活用に大きな開きが出ています。

今後、5G・IoTという世界に突入するにあたって、どんどんデータ量が増えていきます。そこで、日米の差もどんどん広がっていってしまうのではないかと考えています。だからこそ、データ活用にもっともっと注力していく必要があると考えております。これを踏まえて、我々の戦略方針を簡単にご説明できればと思っています。

14兆円の巨大市場を視野に入れる

会社の戦略の中心にデータを据えることは再三ご説明しておりますが、大きくマトリクスとして、縦軸を「既存市場」と「新規/海外市場」に分けさせていただきました。また、「マーケティング領域」と「非マーケティング領域」でも分けさせていただいております。

これまで我々は、このマーケティング領域のなかで、いわゆるデジタル広告、デジタルマーケティングの領域において、いかにデータを使って伸ばしていけるのかと考えて進めてきました。ここに対しては、事業としても順調に伸びております。

ただ、今後もずっとこの領域だけをやっているのではなく、我々としては、このデータと、いわゆるデータ分析、データサイエンスを強みとしながら、マーケティング以外の領域にしっかりと出ていきます。非マーケティング領域の、いわゆるビッグデータアナリティクスという領域に打って出ていくというところが、我々の2つ目の大きな戦略の方向性です。

最後の3つ目に関して、我々がデジタルマーケティングで培ったデータと、配信プラットフォームをしっかりと海外に展開していく軸です。

もう1つは、今後5Gという世界観になったときに新しい接点が生まれてきます。そこに対しても我々は、しっかりと既存のプラットフォームとデータを横展開していくかたちで考えています。これらをあわせ、14兆円という巨大市場を捉えながら進めていきたいと考えております。

まず、デジタルマーケティング事業からご説明いたします。我々のデジタルマーケティング事業を大きく分けると、広告主様向けに提供しているサービスとメディア向けに提供しているサービスに分かれます。ただ、その中心にはデータを据えています。

1つ目が、メディア向けに提供しているもの。Supply Side Platformというかたちで、メディアのマネタイズを最大化するための広告配信プラットフォームです。

2つ目が、メディアが自社サイト内で検索(の仕組み)を持っている場合、サイト内検索およびサイト内検索の中での検索連動型広告を提供するというソリューションを提供しています。

3つ目が、広告主様に向けて、コンサルティングも含めて(サービスを)データを活用したマーケティングを提供していくのがデジタルマーケティング事業です。

Supershipが高い成長率を実現している理由

最後の4つ目は、DSP(Demand Side Platform)という、広告主に向けたアドテクノロジー、広告配信プラットフォームを提供しています。この中でアドベリフィケーション事業を営んでいる状況です。これまでデータを使いながら各事業を大きく伸ばすことができたと考えています。

各事業の成長を追っていければと思います。まず1つ目、DSP事業ですが、こちらが2014年からの売上の推移です。これに関しては、スケールアウト社にM&Aでジョインしていただきながら、データを活用して伸ばすことができました。これまで年平均成長率が49パーセントというかたちで、M&A以降急成長しています。

一方、SSP(Supply Side Platform)という、メディア向けに提供していくサービスですが、ここに関してもサービス開始以来、年平均成長率で78パーセントと、非常に高い成長率を保っています。

このSSP事業という領域においては、今、GoogleがグローバルでシェアNo.1という状況ですが、日本市場において、とくにアプリの領域においては我々がシェアNo.1と言えるかなと思っております。Android・iOS共に、50パーセント以上のシェアを獲得しています。

もう1つ、データを活用した事業として、2016年に開始した検索事業もサービス開始以来、急成長しています。

最後に、Momentum社が提供しているアドベリフィケーション事業でも、しっかりと伸ばしてくれており、2015年から468パーセントという高い成長率を実現できています。

この成長がなぜ実現できたのかというと、1つはデータをしっかり使ってこられたというところです。もう1点は、先ほど森岡のプレゼンにもありましたが、我々がグローバルプレイヤーと要所要所でしっかり組んで進めてこられたところが大きいと考えています。

ではなぜ、グローバルプレイヤーの方々と我々がアライアンスを組むことができたのかをご説明します。

まず我々としては、KDDIさんがいてくれたことが非常に大きいと思っています。KDDIさんが持つ信用力・ブランド力をしっかり活かしながら、グローバル企業のFacebookさんや電通さんとお話をし、アライアンスを組むことができました。

それらを締結する中で、我々としてもしっかりと自社のプレゼンスを高めることができました。提携実績・交渉ノウハウを社内に蓄積し、実際に我々主導で提携拡大ができるようになってまいりました。

実際に、2017年にLINEさん、2018年にAmazonさん、そして今回発表させていただきましたJD.comさん(の子会社である)、JD Cloudさんとの提携というかたちで、こちらの3社は我々主導でアライアンスを組むことができました。

こうして大企業の力をうまく活用し、アライアンスを組みながら、非連続的な成長を遂げられたと考えております。

ハイブリッド型DMP「Fortuna」を正式ローンチ

今までご説明してまいりました事業が、我々が提供しているデジタルマーケティング事業です。これまでは、中心にあるこのデータをいかに自社の事業に活かせるのかをメインに取り組んできました。

ただ、このデータをもっと多くのクライアントに使っていただきたいのです。我々としても、日本の課題感としてデータをもっと使っていくべきだと考えていますので、なんとかプロダクトを開発して世に打ち出せないかと考えておりました。

その1つが、本日発表させていただくハイブリッド型DMP(Data Management Platform)の「Fortuna」です。こちらが本日、10月11日に正式ローンチいたします。

具体的にFortunaは何ができるサービスなのかというところですが、大きく3つ機能がございます。

まず1つが、データ統合を拡充する機能。もう1つがデータ分析をする機能。最後に、データ分析した結果をもとに施策を実行していく、この3つの機能です。

とくにユニークなのが、1つ目の「データ統合・拡充」です。こちらは通常のプライベートDMPと言われる、自社のお客様の保有するデータ(1stパーティデータ)を格納する機能に加えて、パブリックDMPというかたちで、我々が独自で持っているデータや、我々がアライアンスを組んでいるデータパートナーの方々のデータもしっかりと使えるように、両者の機能を合わせて提供します。

こちらがハイブリッド型のDMPとして、我々が提供しているものでございます。プライベート・パブリック両面の機能をここまで持ちあわせているものは、ほかにはないかなと思っておりますので、今回ハイブリッド型DMPというかたちでご紹介いたしました。

次は我々が具体的にどういうデータを持っているのかについてです。大きくは、我々が展開している事業であるデジタルマーケティング事業で、DSP・SSP内から得ている国内最大級の(スマホの)Web行動データ、アプリデータです。そこに加えて、データホルダー企業で、我々が独自にアライアンスを組んでいる企業様がお持ちのデータです。

そして、ここが一番大きいところなのですが、正確なキャリアデータです。我々は、これらの3つとキャリアデータを合わせた統合的なDMPデータを、国内最大級のデータと自負しております。それらをもって我々は膨大かつ正確なデータをクライアント様にサービスを提供しています。

国内最大級のデータとAI・データサイエンティストが連携

正式ローンチは本日なのですが、4月から一部のお客様にはクローズドでお使いいただいており、資生堂様にもお使いいただいています。

資生堂様がお持ちの「ワタシプラス」という自社サイトのオウンドデータと、我々が持っている2ndパーティデータ、3rdパーティデータを掛け合わせて、我々が資生堂様のブランドコミュニケーション活動を包括的に支援するという取り組みをさせていただいております。

資生堂様としては、我々の「Fortuna」の正確なデータをもとに、「パーセプション」、つまり、消費者・生活者が「認知」のところにいるのか、それとも「興味・関心」のところにいるのか、それとも「購買をする直前」にいるのか、あとは「リピート」のところにいるのかを、正確なデータでしっかりと可視化していきます。

それらを可視化した上で、次のファネルに移すためにはどういうKPIを持って、どういうデータを使って、どういう媒体でコミュニケーションしていけばいいのかを、きっちり設計してやっていく。そうしたことを、これまで資生堂様とともにやってきており、実際に評価いただきました。その結果、さらに対象のブランドを広げていこうということで、今お話をしている最中です。

次は、我々が考えているグループ戦略方針の2つ目についてです。我々が持っているデータの部分とデータサイエンスをもって、非マーケティング領域まで出ていくというところをご説明したいと思います。

我々はこの領域に出るために、今回新たなM&Aを発表させていただきます。AI・データサイエンスのプロ集団である、DATUM STUDIOという会社にM&Aによってジョインいただきました。

DATUM STUDIO代表の酒巻さんと里さんは、データサイエンス業界の中でも屈指の実力とブランドをお持ちです。体制としても、現状のDATUM STUDIOにおいては、国内の独立系で最大級と言えると思いますが、60名程度のデータサイエンティストを抱える会社です。

今後、DATUM STUDIOさんとSupershipで具体的にどういうことを展開していくのかについてですが、我々が持っている国内最大級のデータと、DATUM STUDIOさんがお持ちの国内最大級のAI・データサイエンス(の知識)をしっかりかけ合わせることで、我々が提供していくDMPをより強化します。さらに、データマーケットプレイスやAIマーケットプレイスを、新しいサービスとしてどんどん世に出していきたいと考えています。

中国のEC2位の巨大企業と7兆円市場を狙う

もう1つの方向性は、我々が培ってきたデータ配信プラットフォームを海外・5Gの接点に展開していくというところです。

こちらに関しては、これまでどういうかたちでユーザー接点が移ろいできたか(を見る必要があります)。まず、ユーザー接点が、紙を中心とする時代からPCに変わってきました。それが3G/4Gという通信のなか、主戦場がスマートフォンに移っているのが現状です。我々は、この領域でしっかりとデータと広告配信プラットフォームを作ってきました。

ただ、2020年前後の5G通信で、今後、VR・AR、スマートデバイス、IoTデバイスなどの新しい接点が出てきます。そのため、我々はこの5G通信で生まれる新たな接点にもしっかりと対応していかねばならないと考えております。

この5Gに関しても、我々がスマートフォンの領域で培ったデータと広告配信プラットフォームを横展開していけると思っていますので、これを5G時代の接点に、また、海外に展開してまいります。

海外展開について、今回、中国ECシェアNo.2の会社であるJD.comさん(の子会社である)、JD Cloudさんと、日本企業初の戦略パートナーシップを結ぶことができました。

JD.comさんがどういう会社なのかというと、時価総額は4.5兆円、売上は6兆円、アクティブユーザーは3.1億人、ECでアリババに次ぐシェア2位、グループの従業員17万人という中国の巨大企業です。

この会社とともに、我々は日本企業の約5倍、7兆円の中国市場に打って出たいと考えています。JD.comが持つクラウドリソースとデータ、我々が持つ広告配信プラットフォームと運用ノウハウをかけ合わせることで、中国において新たにプロダクトを展開していくことを考えています。

5G時代を見据えてVR事業へ参入

もう1つ、5Gの時代に新たな接点を作っていくというところですが、新たにVR事業に参入していくことを決めました。

これは、7月にリリースしました「XRstadium」で、VRで球場の臨場感あふれる体験をすべての方に提供できるものです。こちらに関してもアライアンスをしっかり活かしながら、PLM(パシフィックリーグマーケティング社)さんと共同でサービスを提供してまいります。今年のプロ野球パ・リーグの30試合以上のライブ中継をVRプラットフォームで提供しています。

我々が提供するXRstadiumのポイント・特徴は大きく3つあります。1つ目が、ライブでVRのスポーツ観戦ができるプラットフォームであるところ。2つ目が、VRならではの独自のアングル視点で見られるところ。3つ目が、ユーザーがアバターを通して友人とコミュニケーションを取りながら試合を見られるコミュニケーション機能。これらがXRstadiumのポイントです。

これまで我々のグループ戦略方針というかたちでお話をさせていただきました。我々はデータを中心に据えて、このデジタルマーケティング・データマーケティングの領域をこれまで以上にしっかりと伸ばしていきます。

一方で、その領域にとどまらず、非マーケティング領域に対して、DATUM STUDIOさんと一緒に、ビッグデータアナリティクスの領域をしっかりと盛り上げていきます。さらに、今後の5G・IoTに対して、また海外に対して、我々が作ってきたものを展開していくという成長方向性を考えています。

最後になりましたが、我々はデータを中心に今後も事業を展開してまいります。日本発のデータテクノロジー企業として、さまざまなパートナーの方々と共創しながら、今後も新たな価値を生んでいければと考えています。ぜひ今後ともSupershipグループを何卒よろしくお願いします。

本日は、ご清聴のほど、ありがとうございました。

(会場拍手)

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