2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
提供:Supershipホールディングス株式会社
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森岡康一氏:本日はお集まりいただきましてありがとうございます。スーパーシップホールディングス代表取締役社長CEOの森岡です。本日は少し長丁場になりますけれども、よろしくお願いします。
今日は、2つご説明したいなということで、お時間を取らせていただきました。1つ目はスーパーシップグループの概要です。実は、スーパーシップという会社およびスーパーシップホールディングスの前身であるシンドットホールディングスについては、ちゃんとご説明したことがありませんでした。この場を借りて、その経緯や立ち上げ、これまでの事業の説明をさせていただきます。
そののちに、スーパーシップの今の事業の戦略およびこれからということで、新しい発表も含めて、しっかりとお伝えさせていただきたいと思っております。
それではさっそく、「スーパーシップとは一体何者か?」というところから簡単に触れさせていただきたいと思います。まず、スーパーシップホールディングスという会社は、実は今までいろんな事業をしてきました。
まず数字から先にご説明させていただきます。スーパーシップ自体は、2015年にスタートアップ企業の合併によって発足した会社です。
そこからちょうど3年が経ちまして、このようなかたちで実績をあげることができました。2017年度の実績では274億円という売上高になり、3年間でだいたい35パーセントくらいのCAGR(年平均成長率)を誇る会社として今までやってまいりました。
なかなかご存知ない方もいらっしゃるかなと思っているんですが、我々自身はかたや大企業の子会社であるという見られ方もしていますし、かたやスタートアップ企業の集合体として見ていただくケースもございます。
どちらの要素も含んでいる会社ではありますが、どういった経緯があったかはなかなか表で言うこともございませんでしたので、少し歴史を振り返って簡単にご説明したいと思います。
まずは、森岡って何者だ? というところから、少しだけ話をさせていただきたいなと思います。私はけっこうインターネット歴が長くて、私とインターネット事業の触れ合いに関しましては、ヤフージャパンが最初でございます。
2002年にヤフージャパンに入社しまして、ヤフー求人の立ち上げや、ヤフーヘルスケアのプロデューサーというかたちでやってまいりましたが、私の岐路だったリクルートとヤフーとの合弁会社インディバルを立ち上げたことをきっかけに、本格的な事業の立ち上げに携わることになりました。
そのあとヤフーに帰任しまして、ヤフーの現会長であります宮坂(学)さんのもと、PS(パートナーソリューション)本部という部門を立ち上げました。何度か立ち上げ経験をさせていただいて、立ち上げ屋さんというかたちでの本社内での印象というか、立ち位置になりました。
その後、Facebookの立ち上げに携わることになりました。Facebookは最初、私が入った頃は原宿の1LDKのオフィスでして。当時mixiやTwitterが先にバーッと伸びていて、「絶対にFacebookは日本では流行らない」と言われている時代だったんですね。
「実名制のSNSなんて絶対無理だ」と言われていました。Facebookには、留学経験者か日本在住の外国人というところで、80万人くらいユーザーがいたんですけれども、私のミッションはこのユーザーを月間のアクティブで2,000万人にしようというものでございました。
3年半Facebook社に勤務しておりまして、その間、いい立ち上げの時期を経験させていただいたり、グローバルプラットフォーマーの考え方をしっかりと学ぶことができたんですが、3年経ちまして運良く2,000万人に到達できました。
私自身はミッション終了ということで、「じゃあ次どうしようかな」と考えていたときに、KDDIさんからもお声掛けいただきましたし、私も「次は絶対にキャリアで働きたいな」と思っておりましたので、すんなりとKDDI社に入社することができました。
KDDIに入って、革新担当部長としてオープンなインターネット領域を推進する担当になりました。当時の田中(孝司)社長、現社長の高橋(誠)さんから「とにかくこれからのインターネットキャリアは、どんどんオープンに開かれていくんだ」と。
「そこでオープンな接点を作ってほしい」というざっくりとしたオーダーをいただきまして、今に至ります。(それが)私がKDDIの中で飛び地のようにスーパーシップを作った経緯です。
インターネットサービスで本当に大きなことをしたいのであれば、キャリアのインターネットサービスではなく、「インターネット会社がインターネットサービスを作らなきゃいけない」と社内で力説させていただき、それに共感と理解をいただいて、会社を作り今に至るということでございます。
私の根本にある思想は、共創でございます。スーパーシップそのものも、共創をベースに作られた会社であります。
「共創とは何か?」というところで、事業と事業が合わさって一緒になにか大きなことを動かそうとか。人と人とが合わさって一緒になにかを動かそうとか。そういったことすべてが共創だと思いますし、アライアンスを組んでなにか大きなことをするのも共創であるかなと。
逆の言い方をすると、グローバル企業で働いた経験もありまして、winner-takes-allという状態はどうも……良いか悪いかはわからないですけれども、新しいイノベーションを生みにくいんじゃないかなぁと。自分自身は、“日本人的な共創”にすごくチャレンジしたいなということで、これをテーマにやってまいりました。
その最初は、2014年の「Syn.(シンドット)構想」というものでございました。大きな発表会もさせていただいたので、この名前をご存知の方もいらっしゃるかなと思います。これは日本で活躍している有名なインターネットサービスを一同に集めて1つにつなぎ、中心のないポータルを作ろうという考え方だったんですね。
自分でゼロから作って大きくしていくにはなかなか時間がない、人も集まらないということで。やっぱり時代に追いつかないといけないと考えましたので、ここは共創という思想をベースに、アメリカや中国と戦うにはEUを作ったらいいじゃないかという考えがありました。
インターネットの第3局を作るという発想で、みなさんにお集まりいただきまして、1つのポータルを作ろうと立ち上げました。
先ほど触れましたように、かたや欧米的なプラットフォームの考え方は、どうも独占するという考え方に近いのかなと感じていました。自分では「独占しないインターネットの世界って、どうなるんだろう」というところに1つの答えがあるんじゃないかと思い、チャレンジしました。
「おもしろい考え方だな」「これは転機があるぞ」ということで、みなさんに参加していただいたんですけれども、各社が集まると各社の利益というものがあったり、既存のビジネスを潰すわけにはいかないので仕様が統一できないといった、いろいろな問題が現れました。
構想自体は大きかったんですけれども、正直、売上やユーザーフェイスは期待通りにいかなかったということが事実としてありました。この点においては、構想ドリブンで進めすぎたなぁという反省も踏まえ、みなさんの理解をいただきながら、違うかたちにしていこうということで、今年Syn.のサービスは終了しました。
しかしながら、実はやってみてよかったなということがありました。やった結果、私たちは気づいたことがございます。ユーザーを循環させて利益を上げていくことと同時に、もっともっと根本的な、データがちゃんと循環すれば各社の利益が上がっていくのであると。Syn.をやってみて、試行錯誤して本当に苦しんで、現場のみんなもいろいろやっていく中での良い気づきでした。
新しいインターネットの世界でいくと、やはり最近は「データだ、データだ」と言われているんですけれども、「じゃあデータをどうやって使うんだ?」というところにおいては、我々が苦しみながらやっていった過程において、非常にたくさんのヒントがありました。
これをしっかり使うところに軸足を置き、チャレンジとチェンジということで我々はデータを中心に事業をしていこうじゃないかと。結果としては、失敗と言われても仕方がないなと私自身は思っているんですけれども、それで本当の宝物が得られた、いいチャレンジだったなと思っています。
そこで、我々スーパーシップホールディングス全体でデータを中心に事業をしていこうと舵を切りまして、ユーザーの目にあえてアピールするのではなくて、データを連携させてユーザーの利便性を上げていく。そして高度にしていくことにチャレンジしようと思ったのがスーパーシップでございます。
スーパーシップは、当時小さい会社だった3社と、そのあとジョインした2社の(計)5社が合併してできた会社です。そこにKDDIの人材も混じり、組織文化も得意なことも違う人たちが集まってできた会社です。
最初の頃は、衝突したり理解できないこともたくさんありました。それも本当にみんなの目指すべき1つの道に向かって進めていく中で共通理解が生まれ、大胆に行動できる素地ができて、今や1つとなって進んでいくことができております。
ここで、最初の「スタートアップなのか、大企業の子会社なのか」という話に立ち返りたいと思います。我々自身は、KDDIの資本を使って立ち上げました。なぜなら私にそんなお金がなかったですし(笑)。
自分のお金を使っているわけではなく、しかしながら世の中にしっかりと価値を提供しようという想いの中で、KDDIの大きなバックボーンを使いながら(会社を)作り、急速に伸ばしていくことができました。
一般的に言うと子会社なのかもしれませんけれども、1つ大きく違うところは、まず私自身が完全に外から来た人間であることです。ヤフーやFacebookでの仕事ぶりを評価いただき、「KDDIのインターネットビジネスを推進する」ということで入社させていただき、その想いやこれまでの経験を非常に買っていただいて、ここまでやってこれたのが1つかなと思ってます。
そして、Syn.構想を立ち上げる中でいろいろジョインしてくれたスタートアップの仲間が集まり、さらにKDDIの資本力、経営ノウハウを使って。例えばスタートアップだけで集まってしまうと、未来は描くことができても、しっかりとした会社の基盤づくりは非常に難しい。
そういう状況の中で、KDDIのみなさんに内部統制であるとか、大きな会社にしていくためのノウハウを授けていただきながらやってきた我々です。
自分たちが何者かということについて、言葉としてはなかなか見つからなくて。僕らがたどり着いた1つの答えとしては、これを「ハイブリッドスタートアップと呼ぼうじゃないか」と、立ち位置を自分たちで決めました。
大企業のリソースを使ってスタートアップを急成長させて、価値を創造する。これを1つのカテゴリーとしてやっていければおもしろいんじゃないかなと思っております。
このやり方自体が良いか悪いかは、これから結果が出てくると思っておりますので、どんどんチャレンジしていきたいと思います。しかしながら、世界に目を向けたときに1つの解になるんじゃないかなと思っています。
現状のトレンドとして、今、アメリカや中国のIT企業の躍進が非常に大きく取り沙汰されています。世界には、非上場で時価総額が1,000億を超えるユニコーン企業が220社あると言われています。そのうちの77パーセントが米国と中国で占められているのが実情です。
アメリカにおいては、エコシステムがシリコンバレーでできあがっていて、どんどん伸びる素地があります。また中国は政府の強力な後押しという実態があって、どんどんIT産業が伸びている背景がございます。
中国においては戦略的振興産業の創出政策をしまして、李克強首相が政策を打ち出し、大きなバックアップをしていて急激に伸びていると。
国策が出て、VCがどんどん増えていっていますし、投資資本額も上がっています。アメリカにおいては、先ほど申し上げたエコシステムがしっかりと働いていると。
そんな中で、日本のスタートアップもしくはインターネット企業がどうやってこういった企業に立ち向かうかと言うと、今はやはり大企業とスタートアップがしっかりと連携してそこに立ち向かっていくのが1つの解なんじゃないかなと考えております。
この表もご覧になった方が多いかと思うんですけれども、30年前は時価総額ランキングのトップはほとんど日本が占めていました。現状、右手のほうにありますが、2018年はほとんどがアメリカと中国の企業になってしまっています。
繰り返し述べておりますけれども、ここにおいて我々がどうしっかりと立ち向かうかの1つの解が、「ハイブリッドスタートアップ」になっていくんじゃないかなということです。我々がさらに新しい戦略を持って、大企業としっかり連携しながら世界に立ち向かっていきたいというのが背景でございます。
ここから先は、どういうところがメリットかをつらつらと書いておりますので、簡単に進めていきます。資本金の部分においても、我々は非常にメリットをいただきながら、3年間で約200億円の調達を実施してまいりました。
それから、アライアンスにおいても、大企業がいるからということだけではないですけれども、最初の取っ掛かりとしても非常に大きな成果を我々は上げることができました。
それがこの表です。私はもともとFacebook社におりましたけれども、世界初の広告パートナーというかたちでアライアンスを結び、そのあと電通様との協業の機会をいただきました。
その後、LINE、Amazon、そして最後は今中国の京東(ジンドン)集団社というところともアライアンスを結び、先々月に中国進出というかたちでも発表をさせていただくという運びができるようになりました。
これも3年間でできた成果であり、大企業のバックボーンを使いながら、我々がしっかりと成長してこられた証なのかなと考えています。
人材面におきましても、大きなメリットがあります。攻めの人材は非常に獲得しやすいんですけれども、守りの人材に関しましてはスタートアップ企業においてはなかなか感覚がわからないというか、先見性や経験がないものですから読めないです。
けれども、その点においてはこれまで大きな成長を遂げてこられた企業様の管理体制や人材を供給いただきまして、裏側もしっかりと作ることができました。おかげで信用、信頼が高まる企業になったのかなと感じております。
これは今の比較でございます。こういったメリットが非常に大きくて、最初に数字で示させていただきましたように、3年で140パーセント近い成長を遂げることができました。
振り返ってみれば、ここにKDDIの関係者にも大勢ご来場いただいておりますけれども、KDDIも京セラという会社から生まれたDDIというベンチャー企業だったんですね。トヨタさんにおいても織物の会社から生まれたビッグ企業です。セブンイレブンさんにおきましても、イトーヨーカドーさんから生まれたビッグカンパニーだと。
世界に名を轟かせるような急成長する企業には、なにか秘訣があるんじゃないかなと感じており、自らがやってみてそれを実感しています。これも1つの新しいかたちとして、なんとかスーパーシップも未来を切り拓いて成長していければなと考えております。
では、我々はこのハイブリッドスタートアップで何を提供するのか? というところで、長々と自己紹介と経緯を話してきましたけれども、ここからが本題でございます。
先ほどSyn.構想で気づいた部分がデータだとお話ししました。私は「データは石油である」と社内で言っております。これはいろんなところでも言われておりますし、「データを軸にやっていくぞ」と発表されている会社もいくつかあると思います。
しかし、我々は実は数年前からこの気づきを得て実行してまいりましたので、実態としてのデータ活用が非常にワークしている会社です。具体的な部分に関しましては、このあとの戦略発表で簡単に説明していきます。やっぱり、これからは「データを使った次世代のインターネットにチャレンジしていこう」と新たに考えております。
言わずもがなですけれども、石油は燃料だけじゃなくて、こういったいろんな製品を生み出したものなんですね。「データは石油になるぞ」とお話しさせていただいておりますけれども、データを使ってもまだ見ぬ未来がたくさんあるんじゃないかなと考えています。
(データを使うということは)今はDMPであったり、デジタル広告のターゲティングということになるのかなと思うんですけれども。データをもとに考えると、まだこれは想像を超えることはできませんが、今ある世の中のものすべてが大きくギャップアップしていく世界が作れるなと心から感じております。
我々の今までの成長はデジタル広告がメインでグッと伸びてきましたけれども、そうじゃない世界の分野にもしっかりと足掛かりを作って駆け上がっていきたいと考えております。
そういうことを踏まえまして、スーパーシップはハイブリッドスタートアップの会社でございますし、自分たちのドメインはデータテクノロジーカンパニーであると実は2年くらい前から社内では言ってきました。
今日は僕自身、これをしっかりとお伝えできることをすごくうれしく感じておりますし、こうやって発表するに至るまでの経緯は、これまでの社員のがんばりでもあります。ようやく自信を持って世の中に伝えることができて、本当にうれしく感じております。
今回、新しく体制変更がありまして、経営戦略本部長執行役員であります、チーフストラテジーオフィサーの八重樫(健)にバトンを譲りまして、事業戦略の詳細について触れていただきたいと考えております。
少しクドクドと同じようなことを繰り返しましたけれども、これまでの経緯をご理解いただきまして、今後ともスーパーシップをお願いしたいと思っております。よろしくお願いします。どうもありがとうございました。
(会場拍手)
Supershipホールディングス株式会社
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