2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
株式会社オープンハウス導入事例 (全1記事)
提供:LINE WORKS
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田口慶二氏(以下、田口):オープンハウスは、2013年9月に東証第一部に上場した総合不動産企業です。2016年9月期の売上は2500億円弱。上場後3年間の売上のCAGRが30%超と、急激に企業が成長する中で、お客様の情報や社内の情報を活性化させ、きちんと支えるために不可欠なプラットフォームを構築・管理することが、情報システム部には求められます。
特に不動産というのは、お客様にとって非常に情報が見えづらい、分かりづらいもの。そのため、的確にお客様に情報を提示するということが、営業担当者の使命となります。情報システム部としては、営業担当者が持つお客様の情報を集約し、企業が持つ情報を営業担当者が適切にお客様にお届けできる、という点を大切にしながら業務を務めております。
また、今後の成長を見据えると、業務効率化を重ね労働集約型の仕事を脱却する必要があります。その中で必要なITの導入を企画し、精査し、実現することも我々に求められる重要な役割です。
田口:上場後1年を迎えた2014年9月のタイミングで、当社では「IT基盤構想」を策定しました。当時求められているスピードで企業成長を実現するためには、IT戦略が、現状の改善策にとどまってはならないことは明白でした。経営目標にコミットし、当時考えられる技術やマーケットの状況に鑑みて、ありとあらゆるブレイクスルーを想定した戦略を描かなければなりません。それが「IT基盤構想」です。
「AIなどのITを活用してお客様の属性や行動を的確に捉え、お客様に寄り添う形で営業ができるようなシステム基盤を作る」というコンセプトの実現を目指し、2020年までの6年を3つのフェーズに分け、各フェーズのゴールと戦略を設定しました。
第1フェーズとして、最初に取り組んだのは、システムによる業務環境の改善です。
社員全員にiPhoneを渡し、「G Suite Business」を導入したり、決裁の起案・承認を電子化したりすることで、社外でも社内と同じように仕事ができる環境を整えました。場所を選ばず、隙間時間を活用することを可能にし、業務効率化、意思決定のスピードアップを実現したのはもちろん、タイムリーに情報を発信しようとする社員の背中を押せたと考えています。
一方で、なかなか導入に踏み切れなかったのが、ソーシャル。コミュニケーションにおける時間の使い方が多様化する中で、オムニチャネル、O2O等の成功事例も増えました。メールや電話でのコミュニケーションのデメリットが浮き彫りになるケースも少なくありませんでした。営業現場でもSNSを活用した接客ツールが求められるのは、自然な流れと言えるでしょう。なにより、私自身がずっと導入すべきだと思っていました。
とはいえ、企業で導入するには、リスクがまだ測りきれないという状況。「IT基盤構想」のピースの一つとして、機が熟すのをずっと待っていたというところです。
そんな中、営業担当者からも、営業活動でLINEを活用したいという声はありました。ですが、CIOの立場で、セキュリティや情報漏えいのリスク、現場のITリテラシーを考えた時に、それを手放しで容認するということはできない状況でした。
しかし、2017年2月に待望のLINE WORKSのLINE連携機能がリリース。「これはできるだけ早く使うしかない」と判断し、すぐに導入を決定しました。2月2日のリリース後、導入・浸透も非常に早く進められたのも、助かりました。
導入にあたり、他のビジネスチャットとは比較していません。LINEを使いたいと考えており、LINE WORKSはLINEと接続できるビジネスコミュニケーションツールとして唯一無二なので、比較の必要がありませんでした。
村石直人氏(以下、村石):LINE WORKSの導入後すぐに、電話もつながらず、メールの返信もいただけていなかったお客様に「LINE WORKSを導入しました」とメールでご案内しました。すると、すぐにLINEで友だち登録をしてくださり、トークでのやり取りをスムーズに始めることができました。友人とLINEをしている感覚ですね。
「物件の見学にいらっしゃいませんか?」とお誘いしたところ、すぐにご返信があり、翌朝10時にご案内させていただくことができました。物件案内後にはご来店いただき、その日に一戸建てをご契約していただきました。
後日うかがったところ、そのお客様はお仕事がとてもお忙しい方で、メールも電話もきちんと確認できていなかったそうです。「LINEなら簡単に返せるのでよかった」ともおっしゃっていただきました。
村石:LINEであれば友人を誘う感覚で、「明日来ませんか?」とご提案できます。既読もつくので、本当に連絡がとりやすいですね。お客様との距離が縮まったと実感しています。
渡辺真太郎氏:「連絡がつきにくいお客様とのコンタクトツールになる」という点に、一番の効果を感じています。
私どもの営業活動では、まず電話やメールなどでご案内した後に、お客様にアポイントをいただけるまでには一定のリードタイムがあります。その間、営業担当者はお客様の都合を考えながら、ご連絡を重ねなければなりません。しかし、「お客様と継続的に連絡をとることが難しい」という声をよく聞きます。
お忙しい方も多く、連絡が滞ってしまったり、途切れてしまったりするケースも少なくありません。そうした際のアクションツールとして活用しているのがLINEです。
お客様から「気軽にやり取りをしやすい」という反響を実際に頂いていますが、アポイントまでのリードタイムにおいてお客様との接点が増えたことにより、アポイントにつなげやすくなったと感じています。実際に、LINEを登録いただいたお客様については、リードタイムが半分程度になったという印象です。
田口:まさか導入後3日目で、契約にまで至るとは思っていませんでした。 オープンハウスのターゲット顧客のほとんどの方がLINEを使っているというのも、効果が出た大きな要因でしょう。特に20代~30代の方々は、電話やメールよりも、LINEを使っている時間の方が圧倒的に長いです。マーケットの変化やデバイスの進化の流れに合わせて、お客様に寄り添ったコミュニケーションを選択することは非常に重要です。
一方で導入のメリットは、リードタイムが早くなったことだけとは考えていません。「これまでアプローチできていなかったお客様にリーチできる」という点において非常に可能性を感じています。電話やメールでは分からなかったお客様の状況が、LINEであれば、既読機能によりレスポンスを確認することが可能です。今までのやり方では全く機会がなかったであろうお客様に対して、販売機会が生まれることは非常に大きいと思っています。
LINEでのコミュニケーションは、電話のように相手と会話をするというインタラクティブ性を持ちつつ、相手の時間を拘束せずともメールと違い既読が分かるので、電話とメールの良いとこ取りだと思います。
営業担当者からすれば、これまでのアプローチ方法に加えて、根本的に業務スタイルを変えてお客様をお迎えすることができる武器が増えたという状況にあります。できるだけお客様にご迷惑にならない形で、お客様が求められるタイミングでお客様に対応するという、「IT基盤構想」において当初から考えていたことが形になってきました。
労働人口が減っていく日本の高齢化社会では、今後、作業と呼ばれるものはすべて機械に置き換える必要があります。当社でも、アウトバウンドコールのナレッジ化など、AIや蓄積されたデータを活用し、先進的な技術はすべて自分たちで使ってさらに進化させていきたいと考えています。
そのために、社内でプログラマーを多数抱え、3ヶ月単位で開発し、PDCAを回しながら新しいシステムや技術を実装していくというフレームワークを構築しました。LINE WORKSもその中のツールの一つとして、今後さらに活用の幅を広げていきたいと考えています。
※掲載している内容、所属、役職は2017年4月のものです。
LINE WORKS
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