2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
デジタライゼーションによる生産性向上(全1記事)
提供:シーメンスPLM
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ウォルフラム・ウェンティングマン氏:みなさま、ようこそお越しいただきました。ドイツのアンベルグから参りました、ウォルフラム・ウェンティングマンです。
これから30分のお時間をいただき、デジタライゼーションが私たちシーメンスの電子機器工場(EWA)の生産性にいかに重要な役割を果たしているかをご説明させていただきます。
それではまず、100年前に戻りたいと思います。1900年、パリで万国博覧会が催されました。その時の来場者に100年後の未来像を尋ねたそうですが、彼らの先見の明に驚きました。なぜならば、100年前に想像された内容が今、現実のものになっているからです。
それはドローンやインタラクティブ・ラーニングなどです。家庭で使われている掃除機などは、100年前に想像されていました。
では、みなさまは今から100年後の世界をどのようにお考えでしょうか。
ここでは2つの見方があるのではないかと思います。1つの見方は、悲観的な未来像です。そして、もう1つの見方は、楽観的な未来像です。
私たちシーメンスとしては、後者の楽観的な未来像を考えています。デジタルファクトリーの将来を創る立場として、私たちの事業を説明いたします。
こちらは私たちが生産している製品です。
私たちはこのプログラマブル・ロジック・コントローラ SIMATIC S7、分散型I/OシステムSIMATIC ET200、ヒューマン・マシン・インターフェース SIMATIC HMIの3つによって、工場のオートメーション、そしてデジタライゼーションのベースを提供しています。
こちらはシーメンスEWA工場のビジョンです。「究極をお客さまのために届ける」ということです。
このビジョンを達成するために、シーメンスはワールドクラスの製品を提供してまいります。包括的&戦略的なパートナーシップをサプライヤーやお客さまと結んでいきます。社員は社会的責任と当事者意識を培う企業文化を持ち、高品質かつ高効率なサービスを提供しを、グローバルな付加価値と競争優位性を持ち続けてまいります。
また当然ながら、デジタルエンタープライズのトレンドを取り込んでいきます。
それでは、これからデモ映像をお見せします。
(映像が流れる)
こちらは工場のイメージです。私たちはSMTのラインでPCBの生産をしていますが、デジタル・ツインですべて自動化し、毎年25パーセントほど、製造現場で生産最適化を行っています。また後ほど説明しますが、こちらで、ソーラーベースのプリンティングを実行しています。
40億の部品のピッキングをしています。
PCBができるとオーブンに入れて、その後「手直しが必要か、完成したのか」という検査を行います。
PCBが完成したら、組み立てを実行していきます。完全に自動化されたラインになっています。
そして、このラインにコンポーネントをフィードして、ボックスに梱包します。そのあと、ラベル付けをして、お客さまへの出荷準備が完了します。
私たちはこのような工場を運営しておりますので、参考までにご覧いただきました。
工場の中にも、将来の課題がいろいろとあります。
どのようなお客さまなのか、そして、会社のニーズにもよりますけど、「スピード」「柔軟性」「品質」「効率化」の4つを課題と捉えています。当然ながら、もう1つの課題として、「セキュリティ」もあります。
それぞれの課題に対して私たちの工場ではどのように取り組んでいるのかを見ていきましょう。
1つ目の課題は「スピード」です。
お客さまの要件はどんどん変わってきています。
開発期間を短縮し、短期間で新製品を市場投入できれば、競合優位性になります。
しかしながら、製品は複雑化しています。また消費者はいろいろな選択肢を求めています。
以前は大企業が中小企業を負かしていましたが、今はスピードが速い会社が勝っています。
私たちは年間最大5,000件の作業計画の変更があります。120以上のバリアントがある製品を製造しており、1秒あたり1個の製品を製造しています。
2つ目の課題は「柔軟性」です。お客さまの要求は厳しくなり、カスタマイズの要件もでてきています。
しかしながら、カスタマイゼーションへの対価は払いたくないため、量産の中でどのようにカスタマイズを可能にするのか考える必要があります。
私たちの工場では、1日あたり1,200種類の製品製造で最大350件の変更に対応しています。
このような環境でも24時間、工場からの出荷を99.5パーセント達成しています。
「品質」も重要な視点です。
例えば、レストランに行って食べ物がおいしくなかったらどうでしょうか。 友達に「おいしくなかった」と伝えると友達は「それだったら、行かない」となりますよね。ビジネスでも同じだと思っています。お客さまが満足しなければ買っていただけません。
デジタライゼーションの話の中で考えるべき点は、品質改善です。私たちの工場では、1日あたり最大5,000万件の工程および製品データを取得して、改善ポイントを明らかにしています。
現在、10 dpmなので、プロセス品質99.999パーセントを達成しています。しかし、ここまでくると、これ以上の改善は難しくなってきます。
次に、「生産性(効率化)」の話をしていきたいと思います。
「デジタライゼーションの世界で効率化は本当に実りがあるのかどうか」という問いかけがありますが、答えは「あります」です。効率化はとても大きな課題です。製造業に従事する以上、リソースを可能なかぎり最小限に抑えたいと考えます。
そして、エネルギー消費やいろいろな環境要素も考慮しなければいけません。
お客さまも環境にやさしいソリューションを求めています。
ですので、社員の意識もそうですが、機器類の的確な活用、そしてデジタライゼーションを進めることにより、リソースを最大限に有効活用することが可能となり、生産能力を高めることができます。
アンベルクでは、毎年60,000社以上のお客さまにサービスを提供しています。
こちらは私たちの工場の生産量の推移です。毎年、このように生産高が上がっています。
重要なポイントとして、床面積は拡充していません。社員数も増やしていません。1,000名強の社員が働いていますが、ホワイトカラー・ブルーカラーの比率も当初から変わっていません。
一定期間、工場からの売上をきちんと担保し、リソースの条件を変えることなく、生産高をさらに高めることができることが、デジタライゼーションの大きな強みです。
直近の2年間を見ていただくと顕著だと思いますが、このバーをさらに押し上げていきたいと考えています。
もう1点、非常に重要な「セキュリティ」の話題に移ります。
デジタライゼーションはいろいろな可能性、チャンスをもたらしてくれます。しかし同時に、工場が外からの攻撃にさらされる危険性も高まります。
そこで、私たちが導入したのは多層防御の仕組みです。
IECの規格も重要です。私たちの工場は、サイバーセキュリティ対応をしていることで認証を受け、非常に安全であるということを実証済みです。
デジタル・ツインの話に進みます。アンベルクでは、具体的にどのような仕組みを導入しているのかご覧いただきたいと思います。
デジタル・ツインの製品は、すべてPLMのソフトウェアを使って開発しています。
そして、製品のデータマスタにすべてが格納されています。このPDMは、「Single Source of Truth」(シングル・ソース・オブ・トゥルース)という位置付けになっており、1万2,000あまりのデジタルファクトリーのコミュニティユーザーが日々アクセスしています。
研究開発のほうでデジタル・ツインがリリースされると、BOM/BOPも自動的に生成されます。そして、Teamcenter Manufacturingから製造指示と作業内容が現場で実行されます。
すべてのコントロールはMESシステムで行われ、フィードバックループとしてデータを活用しながら、工場の合理化を継続的に測っています。
TeamcenterではCAMデータ・ジェネレータも活用しています。
SMTラインでは、自動的にマシンがデータを読み取ることができ、約15分間でオーダーを実行することができます。新しいPCB製品を導入する際でも、非常に迅速にオーダーを反映させることができます。
具体的な事例として、製造プロセスをご覧いただきたいと思います。
プロセス・シミュレーションの活用のみならず、Teamcenterの製品管理機能、通称PCM(Product Cost Management)も使っています。
それぞれのオペレーションのコストが自動的に生成できるので、製造前にコスト比較ができます。
また、エンジニア用のBOM(部品表)に関しても、Teamcenterの中で最適なリソースの割り振りを自動的に行っています。
アンベルクではまず、実際の製造に入る前に、物流のパフォーマンスも含めて、すべてシミュレーションを行っています。
例えば、プロセス・シミュレーションやマシン・コンセプトの検証を活用することにより、作業員のニーズに応じてラインを最適化するだけではなく、アウトプットの最適化も行うので、非効率性を排除することができます。
製造実行における、人と機械、ITシステムとの協調を見ていきたいと思います。
オペレーターのサポートのためにデジタルソリューションを導入していますが、ビジュアル検査システムなどがその1つです。
私たちのプロダクトクライアントはすべて、故障のタイプ・根本原因に応じて、それぞれのプロダクトステップと連動しています。
例えば、データは一元的に格納されているので、SIMATIC ITのMESシステムの中に入っているプロダクトクライアントを使いながら、作業員が必要とする関連性のあるデータをそれぞれ抽出することができます。
ケーブルの配線、位置決め、リペアプロセスのためのHMIなども活用しています。
また、プログラム可能なエレクトロニクススクリューなどにも活用しています。ここではスクリューのトルク、回転、rpmなどが設定されています。
それぞれのステータスはシステムの中で格納されているので、リコールがあった場合、ここに立ち返って、製造工程を確認することができます。
(スライド画像)左下は、人と協調するロボットですが、一切隔離がなく、安全面も考慮した対応となっています。こちらは工場で新たに導入したもので、今後どのような応用範囲があるのか、検討していきたいと思っています。
もう1点、拡張現実(AR)については、現在、スマートグラスの検討を進めています。
例えば、コンポーネントを入れ替える。SMTラインで作業員がスマートグラスを装着しながら、指示に従って梱包・パッケージングの段階で応用可能だと思っています。
完全なトレーサビリティも我々の強みです。
最善のソリューションを展開するためには、完全なるトレーサビリティが必要です。
私たちは固有のコーディングを使っています。これを活用することにより、アセンブリ、ワークオーダー、作業所、さらにはバリューチェーンを通じてすべてトレーシングができるようになっています。
当然、品質担保のためだけではなく、コンポーネントの識別の際にも重要です。このトレーサビリティは、すべてのステップにおいて何かしらの力を発揮しているということになります。
また、品質ということで、R&Dとのクロスループを踏襲しています。R&Dの人間は、製造工程において、これがいったいどのようなインパクトがあるのかを理解したうえで、ステップを最小限に抑えることが可能になり、結果的に製品化までの時間の短縮にもつながっています。
また、リアルタイム・レポーティングが可能になり、監視モニターが付いているので必要に応じてEメールで作業員に通知していきます。
社内外で統合されたインシデント管理を活用することにより、問題が勃発した際には、根本原因を掘り下げていくことができます。
私たちは今後の未来の工場をどのように見据えているのでしょうか。 100年先は非常に遠い未来かと思いますので、直近の10年先、15年先を当然考えなければいけません。
10年先、15年先を最適化していくデジタル・ツイン、データ解析を活用しながら、やがてはAIへと展開していくことになると思います。
そして、工場そのものは、市場の要求に応じて柔軟に組み替えていくことができるようになります。
我々のデジタライゼーションの5つのステップ、標準化のプロセス、将来投入していくことになるさまざまな制御機構を最適化することにより、サプライヤーやお客さまの個々の要求に対応することができます。
つまり、最大限に柔軟的な設定をするだけではなく、モジュール型の自律型のロボットなどを導入し、自制していくことが可能になっています。これこそが次世代の工場だと思っています。
みなさまは未来をどのように見据えているのでしょうか。 私たちは、ぜひともデジタライゼーションの道をともに歩んでいただければと思っています。
そして、道のりの中で、私たちシーメンスは、お客さまを支援させていただければと思っています。ご清聴ありがとうございました。
(会場拍手)
シーメンスPLM
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