2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
伝わるkintone~To impress business~(全1記事)
提供:サイボウズ株式会社
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伊藤和美氏(以下、伊藤):はじめまして、GEクリエイティブの伊藤と申します。今日はよろしくお願いいたします。
(会場拍手)
今日は、弊社で10日間かかっていた請求業務が3日以内に終わったというお話をさせていただきたいと思います。
弊社はGEクリエイティブと申します。システム開発会社でございまして、創業から20年経つ会社です。主たる実績は、生産管理システムやトレーサビリティのシステム、自動車などの組み込み系の開発などをやっております。
ちょっと前の話なんですけど、名古屋ですと、愛知万博の企業パビリオンの遊戯機器の開発を手がけたことがございます。最近ですと、スマートフォンのアプリの開発であったりとか、AIを使ってリスク判定のシステムをつくったり、お客さまの「困った」をシステムを通じて解決をさせていただき、笑顔をいただいている会社でございます。
現在はエムジーホールディングスの一員でありまして、東京と神戸に事業所があり、本社が名古屋にある会社でございます。
私事なんですけども、現在は営業部を管轄してるんですけども、前は開発部にいました。けっこう開発をやってた人間でして、わりとかわいいものが好きでして、前回kintone hiveのfukuokaに行った時に『クマのたっきゅうびん』という絵本を見て、速攻で買ってしまった人間でございます。
(会場笑)
今日もなにか売ってるみたいですので、もし気になったら、見ていただければと思います。営業部の方針なんですけども、便利な世の中を当たり前にすることに対して、システムを通じて社会貢献することが私たちのモットーだと考えております。
ただ、当たり前のことがどんどん進んでいけば、それが自然なことになっていきます。自然なことになるということは、私たちの仕事があまり日の目を見なくなる、というふうに考えております。ただ、その中でも、私たちは笑顔と感動をいただけるような仕事をしようと、常に考えて行動をしております。
私が約2年ほど前に営業部に就任した時に、請求業務に関してヒアリングをした時のお話をしたいと思っております。
各事業所で請求処理をしてると思ってたんですけども、実際はそうではなくて、事業所と本社の間でやりとりをしていて、本社で一括して請求書を発行する業務をしておりました。弊社では掲示板を使って、本社と事業所をつなぐコミュニケーションを取っていました。
掲示板は非常にわかりやすくて、各事業所のコメントも一覧で見ることができまして、進捗もスレッドになって流れていきます。非常にわかりやすいなと思っていたんですけども、1つ問題が起きると、その問題に対する書き込みがいっぱいになってしまいまして。
その書き込みが増えていく中で、他の書き込みが入ってしまいますと、それも合わせて深くなっていってしまうがために、請求業務を担当してたスタッフは、常にどこまで処理をしていたのかがわからなくなってしまい、トラブルのもとになっているという状態でありました。実はこんな問題が毎月のように発生していまして、私は「なぜこんな問題が毎回毎回発生するんだろう?」と思って、調べました。
そしたら、案件の管理ができていないということがわかりました。案件の管理ができてないということは、請求する時にその案件自体を忘れている。なので、お客さまから指摘を受けて、慌てて請求書を発行したりですとか、タスクの管理ができていないということで、誰がどの業務を今担当していたのかもわからない状態が続いていました。
また、弊社は請求金額を出すうえで、細かい計算をすることがあるんですけども、すべて手で計算をしていました。その結果、当たり前なんですけども、計算ミスが当然のように発生しておりました。
また、文書の管理においても、弊社には問題がございました。文書に関しましては、「各事業所に届いた文書はExcelに記載し、それを一元管理しよう」というルールになっていました。
ところが、このExcelの中に「どこの会社から、どんな書類が来たのか」を書くところがあるんですけども、ここが各事業所のメンバーの裁量によって任されていました。その結果、他のスタッフが見た時にどんな書類なのかがよくわからない、ということが起きていました。
実際にあった話なんですけども、Excelの中の文書名を見たら、「レターパック一式」と書かれていて、実際それでは何のことだかわかりませんというのが、実際にありました。
「こんな状況はよくないな」と私は思いまして、みんなを集めてミーティングをしたんですけども、この時に「伝えている」とか「伝わっていない」とか、「結果的に解決してればそれでいいんじゃないか」というような言葉が出てきました。
事業所と本社が離れてることもありまして、感覚的な違いはあるかもしれないんですけども、事業所都合の発言が多かったのかなと思っております。
そんな時に、事は起きてしまいました。弊社の一番大変だった請求業務を担当していたスタッフが不在になってしまいました。いつしか私たちの会社は、人に優しくないプロセスになっていたのかもしれないと、今は考えております。
そんな時に、私はkintoneと出会うことになりました。kintoneは非常に便利だなと思いまして、ぜひともkintoneを導入したいと考えました。しかし、現実はそんなに簡単ではなかったんです。
そこで私は違うことを考えました。それでつくったのが、もともと私たちの会社にあったグループウェアであるサイボウズ Officeがありました。この中にカスタムアプリという機能がありまして、これを使って案件管理ができないかなと考えました。
カスタムアプリはkintoneのライト版に近いものになるんですけども、kintoneみたいにカスタマイズができるわけではないですね。なので、「どうやってやろうか?」といろいろ考えて試行錯誤したんですけども、弊社は四則演算をうまいこと使いまして、自動的に請求金額が出るような仕組みをつくりました。
また、タスクや案件の管理とかもカスタムアプリの中で実現して、運用にこぎつけた次第です。ここに出ている数式は、カスタムアプリの中で、ある一定個数の販売数になったら単価が変わる計算式になっていまして、うちの中のカスタムアプリでけっこう使ってる数式になっています。
そんなことが会社の中で認められまして、kintoneの導入が認められました。そこで初めてようやく、私が考えていた「伝えるから伝わるkintone」の開発がスタートいたしました。
最初につくった仕組みが、このようなイメージになっています。kintoneをコミュニケーション領域と位置づけまして、弊社で問題になっていた文書管理に関して、まずすべての書類を電子化することにしました。
電子化した文書は、すべてkintoneの文書管理というアプリに一元管理いたしました。そして、郵便物管理というアプリと連動させまして、「どの文書がいつ、どこに入ってきて、今どこにあるのか」を一元管理して見える化する仕組みをつくりました。
また、kintoneは1レコード単位に対して、コメントを入力できるようになっていましたので、非常に便利でして。ワークフローを流してる間もコメントが見られるので、非常にコミュニケーションがやりやすくなったな、と思っております。
ただ、これだけで業務が3日に短くなったわけではございません。私たちはPDCAサイクルを徹底的にやりました。ただ、PDCAサイクルを回す時に一番大事にしたのは、「人のせいにしない」ということです。
「人のせいではなくプロセスに問題がある」と常に言い続けて、「そのプロセスをどう改善したらいいのか?」と「どういうふうに業務を変えていったら良くなるのか?」ということを、徹底的に議論しました。
この時にkintoneは非常に便利でして、「プロセスを直そう」「じゃあ、仕組みを変えよう」「じゃあ、アプリを変えよう」。その時にすぐ変えられる、すぐ試せる。これがkintoneにとってすごい便利だなと思いました。
そのような取り組みが少しずつ実を結んできまして、「今日は(請求業務が)1日早くなりました」、次のタイミングで「3時間早くできるようになりました」。また次のタイミングで業務を見直したら、「1日早くできるようになりました」。そんなことが続きまして、10日以上かかっていた請求業務が3日以内に終わるようになりました。
kintoneを導入する前に、私たちは各システムをつくっていたんですけども、各システムをバラバラで運用するよりも、kintone上で一元管理したほうが非常にわかりやすく、コストメリットも高いということがわかりました。
そこで、私が会社に進言をいたしました。「このkintoneを弊社の共通プラットフォームとして使ったらどうだ?」というお話をさせていただきました。これが認められまして、私たちの会社の共通プラットフォームとして今動いています。
共通プラットフォームができてから、いくつかアプリがたくさんできていて運用されています。その中のアプリを、いくつかご紹介したいと思っております。
まず、弊社が取引をする時は、最初に与信調査や企業調査をいたします。企業調査をする時には、うちのスタッフが企業調査サイトにアクセスしまして、この企業の与信だったり、企業を調べたりしまして、追加の調べをしなければいけない時は、ここのサイトに課金をして結果を出すということをやっていました。
その結果表はExcelやPDFで保管をして申請をする、というような業務の流れになっております。この時に、ExcelとPDFのファイル名のつけ方が決まっていなくて、いろいろ探したりとか調べたりすると、結果的に過去に報告済みだったこともありました。
こんなことがあって、「kintoneを使ってうまく解決できないかな」と考えてつくったのが、取引先調査アプリです。このアプリは、kintoneとRPA(Robotic Process Automation)というロボットをうまく使い合わせて実現しております。
取引先調査アプリの中に、取引先名とその取引先の代表者名を入れるだけで、あとはロボットが自動的に調査をして、その結果をkintoneに返す仕組みができました。
また、さらにその機能を発展させまして、今では取引先の申請からワークフロー、そして、承認が下りた後のマスタの登録まで、すべて自動化して一元管理する仕組みができています。
続いて、弊社はビジネスマッチングサービスというサービスに登録をしております。こちらに登録をしていますと、お客さまから困った内容の引合情報がメールとして届きます。この引合情報の中を見ますと、地域であったりとか、業種であったりとか、困った内容が書かれています。
この内容を弊社の営業スタッフ全員に配ってしまいますと、地域も違うメールが来てしまいますので、当然混乱してしまいます。そこで、弊社は専任のスタッフを置きまして、メールを1通1通開けて、必要に応じて営業スタッフに配信するということをやっておりました。
ただメールを配信するだけですので、状況が完全にわかることではなく、見える化もできてなかったので、これをkintoneを使って見える化しようということをやりました。
これがビジネスマッチアプリといいまして、お客さまから来た引合情報は、AIとWebhookの機能をうまく使い合わせまして、引合情報の中身のメールを解析して、「どの営業スタッフに配信したら的確なのか?」を考えて配信する仕組みをつくりました。
また、引合情報はkintoneのほうにすべて管理されまして、営業が日報報告をする時に、併せて関連づけして報告ができる仕組みをつくりました。
このような業務改善をずっと進めていった結果、「作業コストが3分の1になった」とか「こんな機能がほしかったんです」といった言葉が出てくるようになりました。
ただ私は、それで満足してたわけじゃないんですけども、それ以外に、弊社の営業スタッフは、全体を通じて「他の事業所が忙しいから、こういうふうに業務プロセスを直したらいいんじゃないか?」と言っていただけるようになりました。これは先ほどのPDCAサイクルを徹底した時のkintoneを使う仕組みなどがうまく反映されたんじゃないかなと思っています。
また、この前、監査法人の監査がありまして、監査役のほうから、このシステムを全部見ていただきました。そしたら、「すごいよくできてる」「非常にすばらしい」というお言葉をいただきました。その結果、今では「グループ会社全体で共通プラットフォームとして使うことができないか?」ということで、お話が進んでいる状態です。
最後に、うちのスタッフがこんなことを言っていました。「今度はお客さまに感動を!」と。私、この言葉にすごく感動しました。今日はありがとうございました。
(会場拍手)
伊佐政隆氏(以下、伊佐):伊藤さん、ありがとうございました。
伊藤:ありがとうございます。
伊佐:すごくいい取り組みですね。
伊藤:いえいえ、ありがとうございます(笑)。
伊佐:「人のせいにしない、プロセスのせいにする」というのはいいですよね。やっぱり文句を言いたくなっちゃいますもんね、「誰かが悪いんじゃないか」みたいな。
伊藤:そうですね。
伊佐:悪者探ししたいわけじゃないというのを、みんなで確認しながらPDCAを回すところにあったんですね。
こういう話を聞くと、私なんか単純なんですぐ思っちゃうんですよね。「この方法、他のお客さんにも提供したらそのまんま使えるんじゃないか」と思っちゃうんですけど、そんな魔法みたいなことはなくて、やっぱりみなさんごとにそれは考え出したほうがいい、という考え方ですか?
伊藤:そうですね。kintoneはやっぱりその場でつくって、試して、修正がすぐできる。これがすごい魅力だと思うんですよ。その時に「ツールを入れたから終わり」ではなくて、「ツールを入れたらスタートだ」と私たちは思っています。
伊佐:スタート。そこからがスタート。
伊藤:そうですね。そこからいろいろやっていって、問題が出た時に、この問題が人のせいではなくて「プロセスがまずいんじゃない?」「じゃあ、直そうよ」「直すためにはどうしたらいいか?」。その時にkintoneはすぐに直せるというのが非常にいいことだったなと思っています。
伊佐:なるほど、なるほど。他のお客さんの中でも、「人のせいにもしない」と。だけど、「プロセスのせいだ」と言っても、やっぱりシステムとしてできることというか、ツールとしてできることが限界があったりすると、「そこがいけないんじゃないか?」という考え方もあるじゃないですか。
伊藤:そうですね。
伊佐:そういう壁にはぶち当たったりされなかったですか?
伊藤:まあ、しょっちゅうですね。
伊佐:しょっちゅうですか。その時はどんな考え方で、みなさんは整理されたんですか?
伊藤:インプットとアウトプットは決まってますので、「その間にどういう人がミスをするのか?」を徹底的に考えました。それを運用で直すのか、ツールで直すのかをちゃんと考えて、運用でできるところは運用でカバーして、ツールでできるところはツールでカバーすることを重要視して仕組みをつくっていきました。
伊佐:なるほど。けっこう広く広く。今、ホールディングスの中で広げていただいてるじゃないですか。その「共通基盤で使いましょう」って、勇気のいることだと思うんですよ。やっぱりできないことがあって、運用に回さないといけない話もあるじゃないですか。
伊藤:そうですね。
伊佐:えらい人から、「いやいやいや、もう俺は絶対こうしたいんだ」と言われると、なんかちょっとつらい立場になったりとか。「広げる」って、言うほど簡単じゃないというか、勇気がいるなと思うんですけど。そこについては、伊藤さんはどういうふうに考えて進めてらっしゃるんですか?
伊藤:そうですね。勇気はすごい必要だと思います。ただ、プロセスをやっぱり直すこと、ツールを使ってうまく活用させること。お客さまやユーザーは、ツールに過剰な期待を持たれることが多いんですけども、この期待感をまず取ること。
伊佐:おー。社内の人だったら、どうやってやるんですか?
伊藤:まずは、できることとできないことをはっきりさせます。
伊佐:なるほど。
伊藤:そして、運用でやることをはっきりさせます。何が原因なのかも全部ちゃんと洗い出したうえで。
伊佐:「自分たちは何をしたいんだ?」というのを、まずしっかりみんなで認識合わせをするわけですよね?
伊藤:そうですね。
伊佐:僕も最初に言いましたけど、別に「すごいものをつくりたいわけじゃないでしょ」と。「そもそも解決したい問題はこれであって、それに最低限必要なことは、そのできることとできないことの中から整理していこうよ」という。しっかりとフォーカスをそろえるというか、目線をそろえることが大事なんですかね?
伊藤:そうですね。やっぱり小さくつくって、少しずつ大きくしていくことがすごく重要だなといつも考えています。
伊佐:なるほど。まさにkintoneのコンセプトそのまま体現していただいているような事例ですばらしかったです。ありがとうございました。
伊藤:ありがとうございます。
伊佐:伊藤さん、またよろしくお願いします。ありがとうございます。
伊藤:ありがとうございました。
(会場拍手)
サイボウズ株式会社
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