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本屋で独立するのは難しい? 人気本屋さんに聞く本音トーク!(全2記事)

2018.03.30

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本が売れない時代になぜ人気? AmazonやTSUTAYAにはできない個人書店の戦い方

提供:BASE株式会社

2018年3月12日、BOOK LAB TOKYOにて、「本屋で独立するのは難しい? 人気本屋さんに聞く本音トーク! BASE MEETUP Vol.1」が開催されました。誰もが気軽にネットショップを始められるサービス「BASE」の出店数は、45万店舗に上ります。今回は書店業界にスポットを当て、人気書店の経営者ら3名がトークイベントに登場。BASEを使って小商いを成功させる方法や、各々のユニークな取り組みについて語りました。

これからの「小商い」に大切なこと

宮本順一氏(以下、宮本):こんばんは。本日はお集まりいただいて、ありがとうございます。これからイベントを開催させていただくんですが、「BASE」というサービスを知ってる方っていらっしゃいますか?

(会場挙手)

最近はTVCMもやっているので、知ってますね。今日はBASEの話というよりは、本屋さんの話をしたいなと思っているんですけど。本屋さんが好きって言うか、気になっている、よく行くという方ってどれくらいいらっしゃいますか? 100パーセントみたいで、めちゃくちゃ多いですね。

私はBASE株式会社の宮本と言うんですけれども、今日は私の話よりも、こちらにご登壇いただいているお三方にお話ししていただきたいなと思っています。

今日は「本屋で独立するのは難しい? 人気本屋さんに聞く本音トーク!」ということで、イベントを始めさせていただくんですけれども、まず最初に、どうしてこのイベントをBASEがやるのか、みたいなお話をしたいなと思っています。

実は今、BASEを使って何か物を売ろうとしてらっしゃる方が、この5年間で、45万店舗もあるんです。

一方で、売ってるものを買いたい人。BASEのショッピングアプリでは、さまざまな商品が買えるんですが、こちらのアプリが今400万ダウンロードあったり。小商いをやる人と、そういったクラフト商品を買いたいと思ってらっしゃる方が、両方とも伸びてきている背景があります。

私、実は本屋さんがすごく好きで、「いつか本屋さんをやりたいな」ぐらいに思っているんですけど、BASEを使ってくれている本屋さんをいくつか抜き出してみたんです。本屋好きな方だとわかると思うんですけど、わりと有名な本屋さんや出版社さんが、AmazonとかじゃなくてBASEで本を販売されています。

なので、今日はここに注目して、本屋をやる(上で必要な)のはたぶん、本を仕入れて売るとか、どれを売ろうかなとセレクトするとか、ファンになってもらって売っていくとか。あと圧倒的な競合、AmazonやTSUTAYAみたいな競合がいる中で、どうやって売っていくのかとか。

あとそもそも、本に詳しい方はわかると思うんですけど、値下げができない商品をどうやって売っていくのかみたいなことって、本屋に限らず小商いすべてに通じることなんじゃないのかなと思って、このイベントを企画しました。

私の話は終わって、ご登壇している3人にお話を振りたいんですけれど。みなさんに自己紹介をお願いしたいんですが、まず樽本さんからお願いします。

人気書店の経営者らが登壇

樽本樹廣氏(以下、樽本):吉祥寺で「百年」というお店をやっている、樽本樹廣と申します。よろしくお願いします。2006年にオープンしていて、今12年目かな? 昨年の8月に、百年から1分ぐらい歩いたところに「一日」というお店をオープンしました。これも本屋で、古本とギャラリー、イベントスペースです。

お2人(竹田氏と松井氏)は入ってないんですけど、うちは古本を主に販売していまして、東京都古書籍商業協同組合に加盟しています。今は私が組合の理事を務めて、がんばっております。

宮本:百年、行ったことある方いらっしゃいますか?

(会場挙手)

宮本:けっこういますね。

樽本:いや、思ったより少ないですね。

(会場笑)

宮本:じゃあ、次行きます。次は竹田さんでお願いします。

竹田信弥氏(以下、竹田):こんばんは、よろしくお願いします。「双子のライオン堂」の竹田と申します。

(会場拍手)

竹田:拍手ありがとうございます。私は、東京の赤坂で小さな本屋をやっている店主です。モニター読みながらだとよくわからないんですが、一応、文芸誌の本を出したり、本屋以外の活動もしつつ、あと今日の服装を見ていただいてわかるとおり、他の仕事をしながら本屋をやってまして、半分ぐらい背広でいます。

宮本:お店に行ったことある方、いらっしゃいます?

(会場挙手)

竹田:貴重です。ありがとうございます。

宮本:じゃあ次行きまして、松井さん、お願いします。

松井祐輔氏(以下、松井):自分の経歴はわかりづらいんですけど、「H.A.Bookstore」という本屋を蔵前でやっています、松井と言います。本屋をやりつつ、本の流通(取次)の仕事もしつつ、出版も自分でやっています。

ここに呼ばれている3人は、基本、BASEを使っている人なんですけど、僕がBASEを使っているのは、月曜から金曜まで働いている「NUMABOOKS」という本を軸に企画プロデュースを行う事務です。そこの事業の一つとして出版を行っていて、直販サイトとして利用しています。

月~金はそこで仕事して、土日や仕事が終わってからは自分の店の仕事をするスタイルでやっているので、今日はそのNUMABOOKSという出版社の営業担当みたいなポジションで、ここに座っております。ちょっと複雑な立ち位置です。

宮本:はい。お店に行ったことある方、いらっしゃいますか?

(会場挙手)

松井:ウチは土日祝のみの営業なので、だんだん手を上げる人の数が減ると思ったのに、意外といらっしゃいますね。ありがとうございます。

BASEは手間がかからず更新もラク

宮本:ありがとうございます。では、いくつか質問したいことを集めてるんですけど、それらを質問させていただいて、最後に質疑応答の時間も設けてますので、そこでまた何か気になることあったら、みなさんに質問していただければなと思います。

まず最初に、みなさんがやっていらっしゃる実店舗とBASEのネットショップってどういった違いがあるんだろうということ。あと、ネットでお店を立ち上げようとするときっていくつか選択肢があると思うんですけど、どうしてBASEを使ったのかな、みたいなお話を聞きたいです。すぐ答えられる方います?

竹田:僕がBASEを使ったのは、BASEさんがサービスを始めてすぐだったと思うんですけど。

宮本:5年くらい前ですよね。

竹田:5年前だと思うんですけど、そのときは競合みたいなのはあまりなくて。自分は、ネットショップを高校2年のときに始めていたんです。

それが古本屋さんで、今の屋号と同じ「双子のライオン堂」という名前でやっていたんです。ご存知じゃない方もいるかもしれないんですが、そのときはホームページビルダーとか、そういう名前のソフトを使って自分でホームページを作っていました。本のタイトルを手入力してみたいな感じで、すごいしょぼいホームページを作って本を売り始めるところからスタートしていて。

10年ぐらい経って、ちょうど社会人になって少し働いた頃ぐらいに、BASEさんのサービスが始まりました。その間にもいろいろネットショップサービスみたいなものがあったんですけど、どれも煩雑なんです。

いろんなものが決まってるんですけど、値段を入れたり、画像を入れたりというルールがけっこう煩雑になっているので、「めんどくさいな」と思ってついつい更新が止まる。そんなことが続いていたときに、BASEさんのサービスをやってみようかなと思ったら、簡単だなと。

とくに新刊を扱っている本屋の場合だと、先ほどちょっとお話しいただいたんですけど、利益率がぶっちゃけ2割ぐらいしかないので、手間とかかけられないんです。

あと古本も少し扱ってたりしたのもあったので、更新性が良くないと(使いづらい)。古本は1点ずつなので、情報を登録しても、その後にもうその本の情報を使うことってあまりなかったりします。そういう意味では更新がすごい楽とか、ショップに商品を登録するのが楽みたいなことで、これいいなと思ってすぐ使った感じです。

BASEは商品の魅力を伝えやすいサービス

宮本:樽本さん、どうですか?

樽本:僕も、たぶん5~6年前から始めているんだけれど、他社さんのSTORES.jpと比べたときに、たぶん何かBASEの方が使いやすかったんだと思うんだけど。

詳細は覚えてないんだけど、でもBASEを選んだということは、たぶん良かったということだと思うんだけど。僕はすごくアナログな人間で、ぜんぜんよくわからないんだけど、それでもBASEは使いやすかったから、これでいいかという(笑)。たぶん、それぐらいの理由で始めたんです。

今も普通にやってるんですけど、使いやすいし、気軽で良いかなと思います。

宮本:ありがとうございます。松井さんはどうですか?

松井:うちは、出版社という立場になるんですけど、わりとプレミアム会員にならなくても商品点数がけっこうたくさんアップできるから。がっつり手数料とかも比較したんですけど(笑)。そのへんのまとめはサイトとかに出てるので、そっちを見てもらうとして。

本って、出版社で考えてもどんどん出版点数が増えていくものなので、いずれ5点10点超えていくし、本屋さんでやっても、最初から50点ぐらいは登録したいところがあると思うので、それなりに無料でできる掲載アイテム数が多かったので、BASEさんがいいかなと思ったんです。

宮本:STORES.jpさんと比較したら、手数料が安いかなというのはあるんですけど。ただ、古本を売ることだけ考えたら、やっぱりAmazonさんで売った方がスピーディかつさばけるんじゃないのかなと、個人的に思ったんですけど。

そこをモール型じゃなくて、「BASE」だったり「STORES.jp」みたいな、自分のお店を持てるかたちで始めたのって、もとから実店舗を持ってたとか、そういうのが関係しているんですか?

樽本:そうですね。基本、うちは実店舗がメインになっていて、本当はネットの売上は実店舗との割合で言うと2割ぐらいしかないんです。あまりネットの売上は期待してないんですけど。うちはAmazonやってないんですけど、効率の良さよりかは、一つひとつの商品の魅力を伝えたくて。

写真もちゃんと簡単に載せられるし。テキストも簡単な文章で書けるしね。それでTwitterとかのSNSとリンクもできるし。一つひとつの商品の魅力を伝えられることがBASEの魅力であって、Amazonではやっぱり、商品の魅力よりかは売ることに注力しなきゃいけない。

例えばISBN(International Standard Book Number)が付いてれば、Amazonには並べられるだろうけど。うちの商品はとくに古本が、しかも100年以上前からの本とか、そういうのもあるんですけど、そういうのは別にISBNとか付いてないんです。そうすると、Amazonとかだと検索もしづらいし。

どうやったら一番商品の魅力を伝えられるのかなと考えたときに、持ち上げるわけじゃないけど(笑)、BASEがすごく良いかなという感じなんです。

ネットショップのアドバンテージとは

宮本:なるほど。実店舗とネットで圧倒的に違う部分って、何かあったりしますか? 例えば「BASE ライブ」だと、ライブコマースと言って、今ここで動画で自分を配信しながら物を売る、みたいなことまでできるんですけど。そこまでやったら、変な話、リアルな接客とあまり変わらないなと思っていて。

今の時代、リアルでお店やることとネットでやることって、コスト以上に何か圧倒的に、さっきストーリーを伝えやすいみたいなのがありましたけど、それぞれのアドバンテージってどこにあるのかな、というのが気になったんですけど。

竹田:やっぱり距離ですかね。一番大きいのはショップの大きさで。お店があるとどうしても、今、本が好きな方たちはすごい熱量で、お店にわざわざ来てくれたり、遠くから来てくれます。でも、ちょっとお店に興味あるけどなかなか行けないなとか、ちょっと支援したいんだみたいな方はBASEを使って、うちなんかはうちで出してる本があるので、そういうのを買ってくれて、一言コメントをいただいたりすることはあるので。

「沖縄なのであまり行けないんですけど」みたいな感じで買ってくれたり、というのはあるんですけど。たぶんBASEがなければ、その人がたまたま東京に仕事とか旅行で来たときに、しかもたまたま赤坂に近いときしか、たぶんうちには来れないと思うんです。

わざわざ本屋に来るために沖縄から来る人もいると思うんですけど、そんなにないと思うんです。ネットショップだからという意味では、そういうのがあるのかなという気がします。

宮本:樽本さんはさっきネットの売上2割というお話がありましたけど…。

樽本:もうちょっとあるかな。

(会場笑)

宮本:実店舗とネットショップを両方やったら、相対的にみなさん売上が伸びたという認識でいいんですよね?

樽本:伸びるんじゃないですか?

竹田:伸びてるとは思います。

樽本:やっぱり、登録点数はそこそこあってもそれが売れるわけじゃなくて、それを見たから来たとか、そういう点では広告効果というのはすごく大きいですよね。

宮本:ネットならではの。

樽本:ネットで見たからというのは、やっぱり実物を見ないとちょっと高いし、という方は多いです。

クレジットカード決済のニーズが増加

宮本:じゃあ、次の質問行きます。お金の話をしたいと思ってて、さっきも2割だという話があったと思うんですけど、お金っていくら儲けてるだけじゃなくて、ネットショップの場合は、圧倒的に使える決済の方法ってクレジットカードだったりするんです。これって、実店舗でも変わりないのかなというのがちょっと気になってて。

私の場合は、ネットだとまとめて買えるから、クレジットカードで物を買ったりするんですが、実際こういった本屋さんに来ると、1冊しか買わないことが多いので現金で払ったり。お客さんの払い方の違いって何かあったりしますか?

松井:うちは店頭で(クレジットカードを)使いたいと言われることは、最近すごく増えてきてます。例えばNUMABOOKSって、下北沢の本屋B&Bというお店も運営してて、僕も週2~3で店頭に立ってるんですけど、最初の3年ぐらいはクレジットカードを導入してなかったんです。

一回、すごいおばちゃんに怒られたことがあって。「何なの? それはいったいどういう主義主張で、クレジットカード決済ができないの?」と言われて、「いや、手数料取られるからなんだけどね」と思いながら(笑)。だから、そういう世の中になってるんだなと思っていて。

今は結局、外部のツールを入れて、クレジットカード決済ができるようにはしたんです。なので、何らかの方法で現金じゃない会計の手段がどこかにないといけないのかなというのは、前提として感じるところではあります。

竹田:新刊と古本だと違うんですか? 我々けっこう新刊が多いので。古本だとまだ、手数料がけっこうネックになるので。

宮本:それも聞きたくて、お店に置いてあるレジの端末の手数料とかって、どれぐらい取られるんですが?

竹田:3.ちょいパーセントぐらいかな。

樽本:楽天ペイが一番安いんじゃないの? 

(会場笑)

竹田:うちは「Square」というクレジット決済兼レジアプリを使っています。

安売り競争に巻き込まれないことが大事

樽本:さっき、新刊の売上や利益率が2割ぐらいだと。古本で言えばまったく逆で、下手したら8割ぐらい利益だったり、平均で言えば7割ぐらいが利益なんですけど。それぐらい持ってかないと、逆に経営が成り立たないかなという。やっぱり飲食とかでも、原価率は3割に抑えるとか言うし。

本屋でもそれぐらいに抑えていかないと、ちゃんとした人件費が払えないし、いいサービスも提供できないし。そこに持っていくための努力をしていかないといけないのかなと思っていて。ただ、クレジットの3パーセントぐらい引かれて、うちは一応1,500円以上から使ってくれと言ってるんだけど、うちは100円の本からあるから、100円で使われるとなんだかなと。

100円で使われると、お客さんが育っていかないと言うか。それだと業界自体が育っていかないので、結果、自分たちの首を絞めることになる。僕たちが長くやっていく、僕たちがいなくなった後も業界が続いていくような、パースペクティブと言うか将来性なども見ていかないと。

お客さんを育てることも実店舗の役割だと思っていて、それは将来性につながっていくと思うんです。例えば我慢が必要なところもあるんだけれど、そうしていかないと、結局自分たちがダメになっていくだけなので。安売りとかAmazonの話ですけどね。

安売り競争なんかしちゃダメだと思っている。「どうやったら安売り競争に巻き込まれないか」っていうことが大事で、そのためのBASEだと思うんです。さっきの話につなげると、商品の魅力を伝えることは、そこに巻き込まれないための手段でもあるので、すごく大事だと思うんです。

実店舗はお客さんのストーリーが見える場所

宮本:私いつも、BASEを使ってくれてる人に対してセミナーをやってるんです。こうやったら売上が伸びるんじゃないか、みたいな。いつもやってる質問があるんですけど、楽天とかAmazonとかで買い物したことあるよという方っていらっしゃいますか? 何でもかまわないんですけど。

(会場挙手)

宮本:と言うと、100パーセント手が挙がるじゃないですか。当たり前なんですけど。それで、楽天とかAmazonの中の、何というお店で買い物したことがあるかまで覚えてる方っていらっしゃいますか?

(会場挙手)

宮本:とやると、1人とか2人しか手が挙がらないんです。なんでなんだろうと考えたら、さっき樽本さんがおっしゃってましたけど、ポイント何倍とか送料無料とか、明日届く届かないという、買い手にだけ都合が良い条件で検索されて選ばれるんです。

だから、楽天とかAmazonで買ったという名前の記憶はあるんだけど、その中のどこで買ったかというのは、意外に記憶に残ってないと話していて、そこに対する差別化みたいな。カウンターカルチャーじゃないですけど、ストーリーを提案して、「百年」で買ったよとか、「双子のライオン堂」で買ったよとか、「NUMABOOKS」で買ったよみたいな。

ブランディングさえうまくやれば、それって結果的にリピーター獲得と言うか、変なことにコスト割かないで利益を上げていくやり方なんじゃないのかなと思っていて。さっき話して、まさにその通りだなと思ったんですけど。

樽本:やっぱり実店舗の良さ。ちょっと戻っちゃうんだけど、お客さんのストーリーも見えることが実店舗の良さかなと思っています。ネットだとお客さんのストーリーが見えづらくて。実店舗だと、とくに古本だと本を売ってもらう機会とかがあるので、お客さんのストーリーも見えやすい。

長く通っていると、10年前に来てくれて、少し期間が空いてまた来て、大人になったりとか。その人のライフスタイルが変わっても、そのうちに来てくれたりとか、売ってくれた本を見てその人がどういう人生を歩んできたかがわかる。それが、お店の商品にフィードバックできる。

こういう人たちがうちの店を好きでいてくれるんだ、とか。そういう気づきの結果をお店に出せる、商品に出せるのは、やっぱり実店舗の良さかなと思います。

竹田:そうですね。

ネットショップ開業のハードルは下がっている

宮本:ネットショップだと簡単に立ち上げられて、1人で運営しようと思ったらできますけど、リアルなお店をやろうとしたら、場所を借りてスタッフ雇ってとかって、いろいろやらなきゃいけないじゃないですか。そこって、みなさんいろんな葛藤があったかと思うんですけど、どのタイミングで実店舗を持とうと思われたんですか?

竹田:うちの場合は、さっきちょっとお話ししたんですけど、僕が高校2年のときに古本屋をネットで始めて、のらりくらり生活して社会人7年目に一応独立して、実店舗を持つことになって。行き当たりばったりに店舗を持ったので、戦略はないんです。

その前段階でBASEをちょっと使いつつ、その前は自分でサイトを構築したりしながらネットの古本屋さんをやったり。そこで最初は新刊も扱い始めたりはしてたんですけど、やっぱり本を売ること自体で言うと、人が作ったものを売ってるんです。古本もそうだと思うんですけど。

そう考えると、正直ネットの古本屋さんをやってるだけだったり、本をネットで売ってるだけだと、そこまでおもしろみって(ない)。自分が高校生のとき、なんで始めたかって、本が好きだから、これは自分が古本屋をやったらいいじゃんと思っただけなんです。

本が好きで、本屋が好きで、ちょうど5~6年前だと、本屋がなくなるとかって言説が少し目立つようになってたとき。タイミングが良かったのもあったんですけど、人と交流する、関わったりコミュニケーションする場所が欲しいと思って(実店舗を)始めたんです。正直言うと、ネットのショップとリアルショップが、僕の場合は重なってないというか、別のものという感じがあります。

ちょっと話がそれるかもしれないんですけど、BASEみたいなサービスがあることによって、一歩踏み出す力みたいな、すごくハードルが下がったということなんじゃないかなと。僕が高校のときにネットショップを始めたときって、やってるだけで変な奴だみたいな感じの反応で。でもけっこう、学校の先生が協力してくれて古本を売ってくれたりして。そんな交流をしてたんですけど。何の話だっけ。

(会場笑)

「時価の本」を販売する

竹田:当時、もしBASEみたいなのがあれば、高校のときにもっと活発なネット古本屋みたいなのができたかもしれないなとか、それ以外にもいろいろやれることはあった。今、そういう意味では実際にトライしていて。本屋なんですけど、本以外のものー本に関するサービスーを売り出してみたりもしているので、そういう意味では挑戦できる感じはあるかなと、僕は思っています。

松井:今、本屋の話で本を売るみたいな感じになってますけど、つまりBASEさんって、別に本屋が本以外をネットショップで売れるシステムじゃないですか。

あと「新刊は値引きができない」とさっきおっしゃってたんですけど、うちは出版社としてBASEを使っているので、今は時価の本を売っていて。つまり、販売を開始するときに値段を上げてるんです。

すごく原価をかけてる本で、普通に原価計算すると(1冊)1万3,500円ぐらいになる本がありまして。でも、かといってそれで普通に流通させて売るのも大変というか、ぜんぜんおもしろくないと思ったので、希少価値を価格に反映しようして「時価です」としたんです。

今、スタートは6,000円から始めて、限定数売って、売り切れたら一回ストアを閉じて、また値段を変えて翌日の正午から6,500円で売り出しますみたいなことをしていて。そういうチャレンジングなこともやりやすいのかな、と。

樽本:ちゃんと売れるんですか?

松井:今のところ7,500円まで来ていて、出してる部数もそんなに大きくないんですけど、一応まだ上げられそうな気配はしてます。

竹田:あれってエディション入ってるんですか?

松井:エディション入ってます。ナンバリングされて。

竹田:「俺は何円で買った」みたいな。

松井:値段は書いてないんですけど、数が少ないので、誰に何番を何円で売ったかというのは記録しています。

竹田:おもしろいのが、6,000円で最初に買った人が、6,000円って書いてあるのに、後々それがナンバー的には希少じゃないですか。そうすると、いつか将来、それが高くなってくるわけですよ。6,000円と書いてあるのが一番高い、という(笑)。

松井:出回り部数では、それが一番少ないんですもんね。それはおもしろかったな。最初に言ってよ。

商品の紹介文に込められた思い

宮本:そういったものが売れてるよというお話だったんで、売れ筋の傾向みたいな話も聞きたいんですけど。Amazonの話ばっかりしてアレなんですけど、この本を買ったらこれがおすすめですみたいな感じで、補正してくれるじゃないですか。でもBASEとかって、そういうことはなかったりするんです。

樽本:ないですよね。この間、探したんです。

宮本:すいません、ないんです。

樽本:あるんじゃないかなと思って。

竹田:アプリいろいろ出てますからね。

樽本:絶対あるかなと思ってたんですけど、ないんですね。なんで付けないの?

宮本:たぶん、とくに理由はないと思うんですけど。なので、いつというのは確約できませんけど、そういった声もいただいているので、いつかは付くかもしれないです。

樽本:手間はかかりそうですよね。

宮本:そういったこともできないですし、あとさっきの古本のお話で、1回アップしたら古本って1点とか2点しかないから、気合い入れておすすめの文章とか写真撮っても、売り切れちゃったらそのページ自体では、もう購入されないじゃないですか。

竹田:ブログみたいなもんですよね。

宮本:そうですね。

竹田:1件ずつ魂込めて。とくに百年さんのを見てると、けっこうがっつりと文章で書いてますね

宮本:例えば世の中で売れてる本と自分たちのお店との違いとか、なんか明確に、売れ筋の違いとかってあります?

樽本:それはやっぱり、並べてる商品もそうだし、登録している商品はやっぱり自分たちの考え方と直結しているので、そうでないものは基本的には載せていないんです。もちろん、在庫数は登録件数の何十倍とあるんですけど。それでも、BASEに載せる商品は選んで、セレクトして載せてるんですけど。

それは、その商品のテキストを見ていただくとわかるんですけど、自分たちがどんな商品を売っていて、どんなものをおもしろがっていて、どんな考え方をしているのかを伝える手段でもあるんです。例えば、BASEで売れちゃっても、削除しない限り残ってますよね。

宮本:はい。

樽本:それでも検索できるし、値段も残ってる。古本屋で言えば、値段がすごく大事で、値段によって自分たちの考え方が伝えられると思ってるので、例えば売れてしまっても、いくらで売れていたとかわかれば、それがまた買い取りとか仕入れにつながっていきます。それはすごくいいですよね。

売れている本の傾向からわかること

宮本:何が売れたかみたいなデータ分析というか、注文管理みたいなことはけっこうされてるんですか?

樽本:してないですかね。

宮本:なるほど。

樽本:感覚で。

松井:例えば、この本に興味があるお客さんがサイトを見て、このくらいで売ってくれてるお店だったら高く買ってくれるとか、良く扱ってくれるみたいな気持ちで選んでくれる。

樽本:そうですね。

竹田:けっこうBASEさんの場合って、上からスクロールするとき、最初の画面がある程度決まってて、下にスクロールすると無限に伸びていく。一時期まで、カテゴリーってなかったじゃないですか。

宮本:はい。よく知ってますね。

竹田:僕はぜんぶずっと見てきて開いてますから(笑)。

樽本:あれは便利。

竹田:上から売れるところもあれば、下のほうがたまに売れたり。そういう傾向は?

樽本:登録したばかりの上のほうが見られて。

竹田:上が売れますか。けっこう定期的に入れ替えたりします?

樽本:うん、入れるようにしてるはず。

竹田:そうなんですね。うちの場合は新刊がメインなので、僕はBASEにほとんど新刊とお店のオリジナルのグッズと、ちょっとしたサービスをいろいろ出してるんですけど。売れ筋は何かというとなかなか難しいんですが、自社の本が一番売れるのかなというところです。

ちょっと出版関係とか、本の本みたいなのを少し載せたり、日本文学全集とかを載せたりしてるんですけど、たまにおまけで買ってくれる人とか。さっき話したように、「地方にいるので、でも少しお店を応援したいのでこれ買います」みたいな方が多くて。本当に欲しくて買ってくのかなって不安になることがあります。欲しいとは思うんですけど。

自社で出した本を製造元から買うことによって、お店側の利益が上がるんだったら、と買う側も理解してくれてて。中抜きという言葉ではちょっと汚い面がありますけど、それで直接買ってくれるお客さんがいるのは実感できます。

樽本:支えてくれるというのは大事ですね。

竹田:それはすごいありますね。ここで買うといいんでしょ、みたいな。

安売りをしない代わりに工夫していること

宮本:けっこうみなさんのお店ってリピーターが多いんですか?

竹田:うちはわかんないです。連続して出してる本に関しては、前の号を買ってくれた人が買ってるというのは、記憶でなんとなく覚えてますけど。

樽本:自社の本は少し安くしてたりするんですか?

竹田:いや、してないです。他の本屋さんに申し訳ないなと思って。うちはどちらかと言うと、他の本屋さんでも買ってほしくて。言い訳じゃないですけど、それで本自体の値段もちょっと高いんです。

自社で、『しししし』と『草獅子』という文芸誌を出してるんです。1,800円でもっと安くできるだろうみたいな話があるんですが、それは自店で売るというのももちろんあるんですけど、全国のどの本屋さんでも買ってもらって、自店だけならある程度安くできるんですけど、安くしちゃうと売ってくださる本屋さんの利益自体がどんどん下がるじゃないですか。

なので、本屋全体で儲かればいいかなというか、置いていただく本屋さんのためにも値段を上げたりもしているので、うちで安くしちゃうと申し訳ないなと思ってしまって。

樽本:1,800円で納得してもらうための伝え方みたいなのって、何か工夫してます?

竹田:それは、ネットでということですか?

樽本:お客さん全体。

竹田:一応、そういうことを言うってことですよね。なんで1,800円かということをいろんなとこで。もちろん、プロの方に書いていただいている雑誌・文芸誌なので、たぶん決して高くないと思うんです。

一般的に言うと、雑誌が1,800円は高いなと、思われるとは思っているんですけど、それは思いを伝えたり、パッケージがよく見えるような装丁のデザインをするとか、そういうのはしてます。

ソーシャルが人と本の良縁になる

宮本:そうしたものって、自分の意図したとおりに売れてるな、みたいな感覚ってあったりするんですか? 例えば、この本は女性が買うだろうとか。さっきリピーターは見てないみたいな話もありましたけど、男女比とか。BASEの場合、年齢はわからないですけど。

松井:時価で出してる本は、本当にそんなに部数が多くないというのもあって、今誰がこの本を宣伝したかという瞬間と客層が、だいたい似通っている感じがあります。

竹田:取り上げてくれた方とか?。

松井:そうそう。取り上げてくれた方。例えば、もちろんお客さんの属性って、名前と住所でしかわからないのでざっくりですけど、ドミニク・チェンさんがこの本を「読みました、すごく良かったです」みたいなことをSNSで言ってくださったときには、それこそこの会場のあたり(渋谷区)とか、青山とかへの発送の注文が多くて。東京都内のテック系っぽい方がおそらく買ってくださったんです。

そこからまたちょっと経って、岩手県の遠野が小説の舞台なので、遠野のほうで著者の方が献本してくれて、現地の方から「すごく良かったです」みたいなのが出たときから、急に遠野からの注文が増えたりとかしてて。やっぱり同じ本でも、いつどこで何が良縁になっているかが、なんとなくわかりやすいところはありました。

樽本:うちはほとんど1点ものだからね。

宮本:そうですよね。プロモーション寄りになってきてるのかなと思うので、そのお話も聞きたいんですけど。本屋さんに限らず、BASEで売れてる店舗って、ソーシャルの使い方がうまいという傾向があって。

とくに最近だとInstagramで、自分のお店の商品を紹介して、ファンを集めて、BASEに誘導して買ってもらうみたいなことが流行っているというか、BASEで売れているショップの傾向としてはあるんですけど。

いろんなソーシャル(サービスが)あるかと思うんですけど、プロモーションをするにあたって、こういうの使ってるよとか、何かこだわっている部分ってありますか?

樽本:メインはTwitterかな。

竹田:そうですね、Twitter。Facebookにちょこちょこ出すとか。

書店業界とSNSのプロモーション

宮本:今回、このイベントの集客に協力してくださいと言ったら、みんなTwitterを使って。それは僕、個人的にすごいびっくりしたんですけど。BASEは、あまりTwitterを活用しているところは少ないかな、みたいな印象だったので。

竹田:本屋は、Twitter多いイメージです。イベントとかやってるんですけど、「どうやって来られましたか」と言うと、ほとんどTwitterで見ましたと。うちのではなく、お客さんのものとかで、リツイートとか引用してくれてつぶやくみたいなことをして、知ってくれる方が多くて。相性が良いのかもしれないですけど。

竹田:本屋の中でも、Instagramで話題になっている方がいらっしゃるっぽい噂を聞きます。いや、わからないです。僕はInstagramをやってないので(笑)。

宮本:やってないんですね。

松井:うまく使ってらっしゃる方もいますよ。長崎の「ひとやすみ書店」さんという個人でやってるお店があって。僕もそこに行ったことはないんですけど、行った人の話を聞くと、(お店は)2階にあってはいりづらい。でも1階の階段脇に看板があって、そこに必ず“今日の本”みたいなものと一緒にその本の一節を黒板に書くんです。

それをTwitterとInstagramで流してて、それはぜんぶ写真のみなんですが、引用の文字も黒板から読み取れる。それが今、Instagramでフォローというか、見てくれてる方がすごく多いみたいで。本当に長崎って東京から、あるいは九州圏内でも店に行くためには時間がかかるところなんですけど、けっこう人気で閲覧も多いみたいです。

宮本:実店舗に来て、写真だけ撮って帰っちゃう人とかっています? とりあえずInstagram用の写真を撮って帰っちゃう人とか。

樽本:それはいっぱいいるんじゃないですか?

竹田:うちはあんまり。わかんないです、こっそり撮られてるかもしれないですけど。寝ている間に(笑)。

樽本:商品(を撮られる)方多いですよね。

宮本:みなさん、自分のハッシュタグとか位置情報とかで、お客さんが来てくれてるんだなとか、この本買ってくれたんだなとかって、見たりしないんですか?

竹田:見ないですね(笑)。プロモーションが下手という。うち、扉が本の形してるんです。お店の中に入る前に、壁に本が貼りついているみたいになって、そこを開けるとお店に入れるんですよ。

松井:言葉だとぜんぜん伝わらない(笑)。

竹田:本を開くとお店に入れるみたいな。

松井:それもInstagramとかで……。

竹田:ちょっとインスタ映えみたいな感じだと思うので、ちょいちょい撮られてるっぽいです。「カシャ」って音がドア側から聞こえます。でも入ってこない。

(会場笑)

下手なSNSよりもリアルイベントのほうが集客につながる

宮本:百年さんとかだと、吉祥寺というとても良い立地にはあるので。

樽本:そうだね。FacebookとかInstagramもやってるんだけど、メインはTwitterかな。商品に対する年齢層とは合ってる気がします。

宮本:BASEでお店をやられてる方、Twitterで集客してますよという方っていらっしゃいますか? Facebookでやってますという方います? Instagramですという方は? あまりいなかったですね。

竹田:ここは課題かもしれないですね。(BASEさんで)そういうセミナーもやって欲しい。

松井:下手なSNSよりも、リアルで変なことをやるとかの方がよっぽど注目される気がします。だから、うちは店で言うと本も出していて、『HAB』と書いてハブと読むんですけど、それは店の名前でもあるんです。

本屋に入って、ふとその商品見て、「あれ? これ私持ってるんだけどお店の名前と一緒ですね。もしかして? 」みたいに話しかけられることがすごく多かったり。単純に店の集客がすごく増えたときは、ちょっと前に少し話題になったイベントを主催してたりとか、そういうことが多かったりします。そっちがよっぽど来客につながってる気はしてますね。

樽本:ホームページってあるんですか?

松井:うちはあります。

竹田:あります、店の。

樽本:ホームページとSNSの違いは?

竹田:違いは、どうなんでしょうね。あんまり解析とかしないでいい。そういう手間がないですね。本屋は暇がないので。

樽本:ホームページの立ち位置が今、難しいのかなと。

竹田:でもまだ、場所というかアクセスは、相当見てらっしゃる方がいるなとは感じます。

樽本:そこのページは。

竹田:よく怒られます。「御社のGoogleマップわかりづらいです」って、俺に言われてもわからないんだけど(笑)。

(会場笑)

Amazon、TSUTAYAと個人店舗はどう共存するか

宮本:時間も迫ってきてるので、次に行きますね。リアルだったらTSUTAYA、WebだったらAmazonかなと思うんですが、どうやって差別化というか、違いを出しているかが、一番気になります。

樽本:でも、TSUTAYAはやっぱりすばらしくて、僕にお金があったらあれをやりたい。もちろんできないと思うんだけど。あと、勝負しなくていいところ。勝負しないことが、差別化につながってくるんじゃないかなと思っていて。

真似しようと思うと、いくつか気に食わないところもあるんだけど、TSUTAYAは大筋素晴らしいと思っていて。でも、同じことをしたくてもできないし、したら負けるし。ということを考えていくと、やっぱり曖昧だけど、自分らしさかと。自分らしくやっていくことで共感を得ていくことは、やっぱり大事だろうなと思っています。結局そこが差別化になっていくわけで。

TSUTAYAと自分がどう違うかを考えていくことがすごく大事で、そう考えたときに、お客さんも見えてくるんです。置いてる商品と、何を置くべきかとか、置きたいとか。どんなお客さんに来て欲しいのかとか。

例えば、TSUTAYAに来ているお客さんがうちのお店に来て、買ってくれるかなとか思うと、たぶん合わないですよね。そういう人たちが来て自分が幸せかなと思うと、一概には言えないけど、そうじゃないだろうなと思いますよね。

そういうことを考えていくと、結局差別化されていって、TSUTAYAと売上を比べたってしょうがないんだから、どこにポイントを置くかということが大事だと思うんです。どうですか?

竹田:そう思います。

(会場笑)

嘘ですというか、そう思うんですけど。同じなんですけど、せっかくなんで違う切り口的に言うと、そもそも同じじゃないというか、そもそもが違うので。差別化を図るというのは、同じ対象だから差別化するわけじゃないですか。大手の大きい商店と小さい商店がどうやるかは、そもそもまったく別のものだと思っていて。

どちらかと言うと共存するべきぐらいの気持ちもあって。うちとか松井さんは、ぜんぜん違う本屋なんですけど、新刊を扱ってるんで一括りにさせてもらったときに、やっぱり置けない本って出てくるじゃないですか。書店として、棚とかも含めて見たときに。僕とか松井さん、B&Bさんもそこまで大きくはないですし。

じゃあ、自店にない本は売らなくていいのかと言うと、いろんな本がある中から選んでもらいたいという思いが、僕たちにはあるんです。僕は松井さんとよくしゃべるんですけど、「大きい書店は大きい書店であってくれて、その中で僕たちは何を目立たせて、より届けたいか」みたいなことだと思います。

オリジナリティを発揮することが差別化につながる

竹田:さっきBASEさんと打ち合わせを先にしたときに、大手はBASEさんを使っていない。小規模のショッピングだったら、本当に個人の方がBASEをやっているとなると、やっぱり1対お客さんという感覚がBASEは強いというか、あるんだろうなという気がしていて。

自分という個人をもっと発信していくのが、差別化というか、ユニーク化していくというか。そうすると、お客さんがいつも見に来てくれるみたいな感じがいいんじゃないかなと。それはリアルなお店も、これからの個人的なネットショップも、モール型じゃないものに関しては、そういうやり方をしていくのかなと思っていて。

うちの個人の話をすると、ちょっと変な商品を置くみたいな。うちは選書サービスみたいなのをやったり。今はちょっと一回おろしてるんですけど、ボタン1つで(本が届く)「本棚からの便り」というのをやってた時期があったり。

何年か前に、「本を売らないでお金をもらえる仕組みを作りなさい」と、お客さんに言われたんです。何をいっているんだろって思ったんですけど。「お金くださいボタン」みたいな話をされたときに、BASEに何かそういうのを作ればいいじゃんと言われて。僕は本屋をしている以上、お金くださいボタンは作りたくないと。じゃあ、お前は本屋として、そういうことができないか模索しろ、みたいな。

別の話ですけど、今はちょっと、投げ銭みたいな話も聞きますね。小売に対する投げ銭で、お店を維持して欲しい。今は欲しいものがないけど、いつかこの人がきっと良いものを作るかもしれないから、ということを支える仕組み。会員制とかゲンロンとかで、友の会があったりすると思うんですけど、そういうのの一環として何か本屋もできればいいよね、みたいな。

それで僕が、お客さんに「お前が本屋として許せる範囲で何かないの?」と言われたんです。そのときに、僕に5,000円払ったら、送料プラスアルファ、選書費として4,000円分の本を送るってどうだろうと。それでそういうサービスを考えて、「本棚からの便り」という名前を付けて売り出した。2年ぐらいで、過去100件ぐらい売れました。

3ヶ月に2冊ずつ送るとか、半年間に2冊ずつ送るとか、いろいろリニューアルしたりしてみたんですけど。そういう取り組みをすることによって差別化を図れて、それはライオン堂の店主とかがやってるとか、そういうことはあるのかなという気はしました。すいません、長くなりました。

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