2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
提供:クラウディアン株式会社
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――太田社長自身のキャリアを伺いたいのですが、クラウディアン設立以前に印象的な経験はありますか?
太田洋氏(以下、太田):やはり携帯事業者での経験がものすごく大きかったですね。けっこう立ち上げ的なところに携わってきたという感じです。
本橋信也氏(以下、本橋):彼は昔、Jフォンの開発責任者で、非常に有名人でした。携帯に初めてカメラを乗せた人間なんだよね。「写メール」という。
――「写メール」使ってました!! 懐かしいですね。
太田:懐かしいでしょう! 僕が作ってたんですよ(笑)。ボーダフォンがJフォンを買収したのが2001年なんですけど、そのときに今のクラウディアンの前身のジェミナイ・モバイル・テクノロジーズという会社を立ち上げました。
そして、ドイツでボーダフォンのグローバル展開のコンサルティングから始めていました。
しばらくしたら日本のボーダフォンの具合が悪くなってきて、当時の社長のビル・モローが「戻って来てちょっと助けてくれ」と言うので戻ったんですけど、1年後にソフトバンクモバイルになって、孫(正義)さんの下でも開発責任者をしていました……。24色の「PANTONE携帯」とか知ってますか?
――よく覚えてます。当時あれだけカラフルな携帯は珍しかったですよね。
太田:PANTONE、もう超〜〜大変だった!!
――(笑)。具体的にどんな苦労があったんですか?
太田:いや、色が出ないんですよ! 孫さんはすごくディテールにこだわるので「この色が違う」とか言ってメーカーと調整したり。それからYahoo!携帯とかディズニーモバイルもやりました。
本橋:そのときに付き合いがあった人からクラウディアンは投資をいただいたりもしてるんです。
――すごいつながってるんですね。
太田:そのあと「自分の会社に戻らなきゃいけないので」と言って、ジェミナイ・モバイルに戻ったという流れですね。ガラケーはひと通り全部やったので、ガラケーで知らないことはたぶんないと思います(笑)。
本橋:今まさにAIでも同じことをやっているわけだよね。携帯のときの経験を活かして、AIにもビデオカメラを付ける装置を作っちゃったと。携帯を作っていた経験もあるので、「AI BOX」を自ら台湾の工場で作れるという。
太田:携帯というのは端末を提供して、アプリケーションやサービスは第三者が提供する仕組みになってるじゃないですか。今の「AI BOX」もそういう考え方なんですよね。モデルはAIの会社がどんどん提供してくれればいいですと。
我々はインフラなり、プラットフォームにフォーカスして徹底的に良いものにする、みんながこの上でプレーできるようになればいいねという考え方なんですよ。それも携帯事業者時代に学んだことですね。
――孫さんと一緒に働いていて、一番学んだことは何ですか?
太田:まあやっぱり、トップダウンだからスピードが速いのと、「何が儲かって何が儲からないか」という嗅覚。
――やっぱりその嗅覚は天性のものなんですかね。
太田:そうだと思う。だから実は撤退した案件も多かった。
――そうなんですか?
太田:本当に学ばなきゃいけないなと思ったことは、人って自分で企画をして計画をして「うまくいかないな」と思っても続けるんですよ。
撤退できないし、今まで言ってきたことや、今までやっている想いがあるから、「こうやればうまくいく!」と思って、あの手この手で少し持ち直したりもするんだけど、まあ結果ダメだったということがすごく多いんだよね。
ソフトバンクモバイルになった当初は事業再建モードだったので、「ダメだ」と判断したものは次々と撤退した。その決断力が一番すごいと思った。
でもやっぱり、ちょっとは犠牲が出るよね。それを一生懸命提案してきた人とかやっていた社員とか。それでも犠牲が出るけどやめる。そのあと、ちゃんと軌道修正しながら経営をしていくというのはものすごいと思ったね。
本橋:クラウディアンでも経験しましたよね。
太田:そう、やめるんだったら、引っ張らないで早いほうがいいんだよね。
本橋:まあそうだね。太田さんを見てると、むしろ情に厚くて、なんとかしようとするほうだよね(笑)。だから、自分はできないけどすごいと思ったという感じだよね。
太田:ただ、スピード感は完全に学んだね。例えば、孫さんなんかはスティーブ・ジョブズの家にバッと行ってさ、iPhoneがないときに「iPhoneを作れ」みたいな話をする。そういう行動するスピードはやっぱり受け継いだかなと。
本橋:情に厚いスピード感をこの会社で目指しましょうよ(笑)。
(一同笑)
――今回、社内のエンジニアに「AI BOX」の資料を見せてきたんですけど、「なんでこんなにスペックの高いものを今作ったんだろう」とびっくりしてました。
本橋:(笑)。やっぱりディープラーニングをリアルタイムで動かすには、それくらいのスペックが必要になるっていうことなんです。
最初はCPUでちょこちょこやっていたんだけど、「やっぱりGPUのほうがぜんぜんいいね」という話になっちゃったと。屋内用は30万円くらいで、屋外用は50万円くらいだから、GPUのサーバをしっかり購入することを考えたらかなり安いと思うんだよね。
本橋:先ほど見せた、電通さんとおこなったデジタルサイネージの広告を世の中に見せたのは2年前。
――今、聞いてもびっくりする人がいると思います。
本橋:そうでしょ? つい最近の講演で紹介してもみんなびっくりしてたんだけど。あのデモを見せたら、駐車場やショッピングモール、あとは車のカーディーラーの前で使いたいという話がいっぱいきたんだよね。
いっぱいきたんだけど、「じゃあそこにGPUのサーバを置くのか?」という話になって。駐車場は環境が悪いし、インターネットの回線も引けないし、そんなところに高いGPUのサーバを置けないでしょということで、ビジネスが成り立ちませんねということで話はそこで終わっちゃったんだけど。そこから「やっぱり結局、こういうのがないとダメだよね」ということで「AI BOX」ができたんです。
――みんなが当たり前のようにほしいと思っていたけど、それができると思っていなかったと。
本橋:そうそう。今、みんなR&Dでいろんなものを開発していて、いざ現場に出たときに、「絶対こういうものが必要だ」と気がつき始めるタイミングなんだよね。
我々はそれを2年前から絶対に必要だということでやっていたから、太田がさっき言ったように、2018年はもうR&Dから実証フェーズに移る年なので、「AI BOX」のようなものがどんどん必要になると思います。
――「AI BOX」をより普及させていくための課題はありますか?
本橋:課題はどうですか? 値段ですか?(笑)。
太田:課題はやっぱり、こういうものはどんどん進化していくので、新しいものを次々に開発していくことですね。それから現場の声を柔軟に聞いてどんどんバージョンアップしていくことが重要だと思います。
今はうちだけがやっているような感じになっているけど、もう真似しようと思ったらできるので、そこはスピードの勝負ですね。うちのようなベンチャーで強いのはやっぱりスピードなんですよね。もう「これがいける!」と思ったらすぐ作っちゃって出しちゃうという。普通の大企業にはそれができないので。
本橋:それは確かに言えるかもしれない。
――確かに。
本橋:うちはいろいろな人から「すごいスピード速いですね」って言われるから世の中的に間違いない。一点集中できて意思決定が早いところがわれわれの強みだね。
太田:1年前にNVIDIAさんに相談したときに、「できましたよ」って見せたら、「ええっ!?」「そのスピード感かー!!」みたいな感じで驚いていたので(笑)。
本橋:もう社長自ら台湾に作りに行っちゃうからね。
(一同笑)
――今後は国内はもちろん、海外でも展開されていく予定ですか?
太田:そうですね。まずは日本をテストマーケットとして立ち上げて、そこから海外に展開することを考えています。ただ「もう海外に出そうよ」という話が来始めてしまっています。
本橋:そこに関していうと、うちはもともとは日本生まれの会社で、今、本社はシリコンバレーにしていますと。我々の今の主力製品の「HYPERSTORE」も日本で生まれて、最初は日本のお客さんに提供していました。そこで育ててから海外に行って、今はもう海外のほうがはるかに大きいというかたちなので、海外に日本発のイノベーションを出している会社なんです。
――日本と海外のマーケットの違いはどんなものですか?
太田:日本はとくに製品を鍛えるのに最適で、お客さんが徹底的に検証するんですよ(笑)。海外に比べてもうぜんぜん細かさが違う。海外は「よっしゃー!」って感じでやっちゃって、あとでなんとかするといったこともけっこうあるんですけど。だからやっぱり日本品質というのはすごく重要です。なので、そこを抜けると海外ではもう楽勝というところはありますよね。
本橋:たぶん「AI BOX」も日本ですごく良い品質になるから、もう一気に海外でいけるでしょという話だよね。
太田:そうするとまた海外の売上のほうがはるかに大きくなっちゃう(笑)。
本橋:それはそれでいいんじゃないかな(笑)。
(一同笑)
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