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オプテックスにおけるkintone活用〜IoTビジネスを拡大するために(全1記事)

2018.02.27

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システムは変えずにIoTを導入、さあどうする? デバイスメーカーからの脱却を図る、オプテックスの挑戦

提供:サイボウズ株式会社

サイボウズ株式会社が主催する「Cybozu Days 2017 Osaka」のなかで、kintoneによる業務改善プロジェクト成功の秘訣や活用のノウハウを共有する「kintone hive」が行われました。プレゼンテーション「オプテックスにおけるkintone活用〜IoTビジネスを拡大するために」では、滋賀県に本拠地を置くオプテックス株式会社の中村明彦氏が登壇。ものづくり企業からIoTを活用したサービス企業へと脱皮するため、kintone選んだのはなぜか? 導入における苦労と、その効果を語りました。

ものづくり企業のIoT挑戦の記録

中村明彦氏(以下、中村):オプテックスの中村と申します。

私からはIoTについてお話させていただきます。ちなみに今日、IoTをやっている方はいますか?

(会場挙手)

意外にいますね(笑)。ちょっと安心しました。kintoneと言うと業務系のシステムですし、今もkintoneのいろいろな事例を「なるほどな」と聞かせていただきました。

今日は新しいビジネスを進めていくにあたって、IoTの技術的な側面よりも業務に対して課題を抱えていて、それをkintoneでどのように解決したかを紹介していきたいと思います。

まず最初に、オプテックスという会社を知っている人?

(会場挙手)

伊佐政隆氏(以下、伊佐):おぉー。

中村:けっこういますね!(笑)。実はみなさん、うちのセンサーに捉えられて、会場まで来ています。大阪駅からグランフロント(大阪)の通路にかけて、「人数カウントセンサー」と呼ばれていますが、けっこうな数が入ってるはずです。

各階のフロアにも入ってまして、どこに何人いるかを的確に捉えられるということをやっております。それ以外にも、出入りするところにだいたい付いてますので、もしよければ「ここに付いてるかな?」と見ていただければと思います。

我々の商品の代表事例は、実はこのセンサーになります。このグランフロントも、うちのセンサーが入っています。「自動ドアセンサー」というかたちで、みなさんよく使っていただけているかと思います。今、これの国内のシェアということでは、約6割になります。

最近の話題としては、「大門未知子」を知っている人?

(会場挙手)

おぉー……今、視聴率20パーセントと言われている『ドクターX』(注:テレビ朝日系ドラマ『Doctor-X 外科医・大門未知子』)で、主人公の大門未知子が手術室に入る瞬間。「プシューッ」て入りますよね。あそこのセンサーに、実はうちのセンサーが使われています。

伊佐:(笑)。けっこう細かい……(笑)。

中村:テレビ朝日さんのご厚意によって、よく見ていただくと「オプテックス」と書いてあります(笑)。

伊佐:(笑)。

中村:だいたい2回に1回は、ロゴがきちんと見えるということです(笑)。ぜひとも注意してみてください。今日は、グランフロントに人数カウントの付いてるセンサーがある、ということと、自動ドアセンサーがある、ということを覚えておいていただければと思います。

デバイスからICTの世界へ

中村:ということで、我々はあくまでデバイスだけを開発している、売っている会社です。ですが今、どんどんセンサーでデータを集めて、ビッグデータで解析することが、世の中で盛んに言われてます。

ただ、我々みたいなレガシーなデバイスの会社は、まだまだそういった世界に入り込んでいません。今日もkintoneの話をいろいろ聞いていて「うちの会社もまだまだやなぁ」と思っていました。しかし、そうは言っていられないので、我々も少しでもクラウドやICTの世界に、デバイスのほうから入っていきたいなと。

ということで、今年「オプテックスセンサコネクト」という概念を発表させていただきました。今日はこれを使った簡単な事例を紹介させていただきます。

本題に入る前に、これは2015年に発表させていただいたものです。今週も、大手損保さんが「テレマティクス保険」というかたちで、いわゆるドライバーの運転技量を計測して、そのスキルレベルによって保険料の料率を変えていく保険を発表しています。

これはソニー損保さんが最初にリリースした、「やさしい運転キャッシュバック型」という商品です。

こういったドライバーの運転スキルを測るセンサーを開発しています。これは保険商品のみの部分だったんですが、これを一般のユーザーの方々や、業務車両をたくさん持ってらっしゃる方々にも使っていただいて、事故を低減する。そういったコンセプトのもと、我々は「セーフメーター」という商品を作っております。

モノ自身も小さいもので、車にポンと置いていただければすぐ使えるものになります。これは2016年に、グッドデザイン賞をいただいています。

この商品の紹介を、1分間のビデオで見ていただきたいと思います。

(映像が流れる)

どうしてもこういったツールは減点法になるんですが、いい運転をしたことを評価する「スムーズカウント」を用意させていただいております。このあたりはゲーム感覚で使っていただけるということで、好評をいただいている製品であります。

(映像終了)

では、実際にセーフメーターを導入してどうなったか、というところです。(スライドを指して)ここで書いていますように、これを意識して運転することによって事故が半減し、その結果保険料が下がっていく。

実は安全運転と裏腹の部分が、いわゆる燃費です。燃費も8パーセントと書いてありますが、私の体感的にはだいたい13パーセントぐらい低減しています。

事故は減る、保険の料金も下がる、燃費もよくなる。ということで、非常にいい商品ですので、事故などで困っておられる方がいらっしゃいましたら、このあとで来ていただければと思います(笑)。

IoTを導入する上での3つの課題

中村:ここまでは製品の紹介でした。ここからは、いわゆるデバイスメーカーがIoTに取り組むにあたって何が問題だったか、というところです。やはりハードを作ることは得意でも、ICTに弱い。ICTを使って、機能の拡張や顧客要求の分析ということはほとんどできません(笑)。

また、今はデバイスとの紐付けが必要になってきています。データベースとしてはAmazonのサービスを使わせていただいていますが、そのデータを引っ張ってきて紐付けする作業や、管理することが非常に難しいと。

そして1番大変なのが、既存の業務ツールとの親和性です。これが大変で、改造するとなると情報システムとの闘いが始まります。今日、ここ(会場のパネル)に「壁を超える」とありますけども、正直、もう壁だらけですよね。

ということで、製品の出荷業務はどのようになされているか。1つずつの説明は避けさせていただきますけれども、工場があったり倉庫があったり、そこにぶら下がるかたちでさまざまな管理システムがあるのが現状です。

この辺はみなさんもいろいろやられてる方がいるかと思いますが、非常に困難なのではないかと思います。

そうすると誰が困るかというと、業務をやっている人間が1番困るわけです。この人はふだんでも大変なんですよね。そしてこれにIoT関連の商品を作ると、何が追加されるのかと。私もどちらかと言うと開発する側で、シリアルの管理や利用管理をしたい気持ちがあるのですが、「そんなのできるかいな」と思います。

というかたちで、「仕事は最小限にしてよ」と必ず文句を言われます。「このシステム、改造なんてできるのかなぁ」ということで、「新しいシステムを構築しないといけないの?」「情報システム的には変更したくない」ということを言われます。

つまり、ここにいろいろな課題があるんですが、これをどうやって解決しましょう? ということで「kintoneというのがあるぞ」と風の噂で聞きまして、ちょっと考えてみました。

作業しながらのコミュニケーションが可能に

中村:やはり我々のように、製品やIoTをやっている人間からすると、この絵はよくわかります。

センサーからデータを上げて、アプリケーションを作っていきましょう、というところまではわかるんですが、実はこの裏方はあんまり語られていません。ということで、先ほどからも出てきています、R3(アールスリーインスティテュート)さんの協力のもと、構築させていただきました。

既存のシステムとの連動をどうするかということで、間にkintoneを入れて業務を考えてみました。

kintoneを入れて何がよかったのかと言うと、先ほどからみなさん言われていますように、いわゆる要件定義していろいろ決めるというよりも、一度作ってみて、イヤだったらボタンの配置とか変えればいい。ということで、業務改善が早い・簡単であるということ。

そして1番いいのは、コミュニティのツールが揃っていることです。作業をしながら、パートナーなどとのコミュニケーションを並行してできること。頻繁にメールを開いたりしなくていいところが大きな特徴だと思います。

そして、これは技術的な要素ですが、いわゆるデバイスのIDの管理と、実際に出荷されたものとの紐付けが必要です。例えばAWSのほうで、あるIDの管理というものの同期をとる機能があったり、そのパートナーとの紐付けなんかも非常に容易にできるところが特徴です。

既存のシステムを改造して活用

そして、1番大変なのが既存の業務ツールとの親和性です。今日いろいろ発表があったようなAPIの接続というのもあるんですが、やはりレガシーなシステムを扱っている人間からすると、そんなに改造すると大変なので、できる限りそこを低減するために、Excelを活用することになりました。

従来のシステムはほとんど改造せずに、まずはExcelで共有して、それをkintoneに上げる。既存のバーコードのシステムなどにはほとんど触らないかたちで、Excelだけ触ってそれをkintoneに投げて、先ほどのようないろいろな紐付けをしていく。こういったところがポイントです。

実際のシステム構成としては、ほとんど生産管理や販売管理のシステムそのものには触らずに、すこし追加してあげることによって、今回の我々のIoTの仕組みを構築できました。

まだまだ途上ではありますが、まずは業務側の課題であります、管理形態を解決してきました。

まとめますと、基幹システムはなかなか簡単に変更できないということと、やはり扱うのは人だということ。そして、複雑なシステムにしても文句を言われるだけなので、スキルを要求しないかたちでシステムが構築できないか、といったところ。1つは、最小限で開始することです。多大なる投資をかけてもなかなか難しい部分もあると思いますので、kintoneを使ってまずスタート地点に立てたかな、と思っています。

私からは以上です。

(会場拍手)

ものづくり企業からサービス企業へ

伊佐:ありがとうございます。もともとオプテックスさんは、ものづくりのメーカーさんだったんですよね。

中村:そうです。

伊佐:それが新しい事業によって、作って売るだけじゃなく、作ったモノを管理して、それをお客さんがどう使ってくれているか、利用状況も管理していくという、サービス・メンテナンスも含めた業態に変わってきた、ということが今回の大きな変化なんでしょうか?

中村:そうですね。正直な話を言うと、まだそこまで変わり切れてないところはあります。途上ではあるんですが、こういったことを一つひとつクリアしていかないと、単にモノ売りのところから、もう少し踏み入れたサービスのところまではできないと改めて感じています。

伊佐:そうですね、業務フローを見ていて思ったのが、とにかくしっかり作るのも大事なんですよね。まずは必要な数をしっかり作るところには、システムがしっかり投資されていて、そこは管理もできています。でも、売った後のお客さんとの関係性については、あまり、システムがないんだなぁと感じました。

中村:そうですね、実際「できる限り売り切って終わりたい」というのがメーカーの論理なので(笑)。

伊佐:なるほど(笑)。

中村:ここに溝がまだまだあるかなと思います。

伊佐:まだ「売り切りたい」という気持ちが社内に強いということなんですね。お客さんに継続的にコンタクトをしながら、というモデルに変えようと思ったら、業務フローももちろん、社内のマインドも変えなければいけないと。

中村:はい。

kintoneで意思決定にスピード感を

伊佐:そして、業務フローのところですごく興味深かったのが、あんまり既存のツールを変えない、という点です。あれはいいアイデアですね。

中村:ここにシステムやられてる方がおられたらわかると思いますが、あれに1本触れたらウン千万コースが吹っ飛んでしまうので……(笑)。

伊佐:なるほど。バランスが難しいと思うのが、やはり新しいテクノロジーは使えたほうがいいじゃないですか。ただ、それを「いつ使うべきなのか」という判断。いつまでも昔のやり方に引っ張られていると大きな変化はできない、というジレンマはあると思ったんですが、そこはどう見極めていこうとお考えですか?

中村:本当におっしゃるとおりで、例えば業務システムに手を付けるとなると、とにかく社内の会議が多くなって、いつ商品がリリースできるんだと。

伊佐:なるほど。

中村:せっかくモノのシステムはできていて、売るのがスタンバイになっていても、業務が動かないからダメ、というかたちで……。それで平気で半年延びることもありえます。そうしている間に、IoTの世界がどんどん変わっています。

伊佐:事業部門とシステム開発の部門の足並みが揃っていない現状があるということですかね。

中村:そうですね。

伊佐:これは確かに大きな課題ですね。

中村:それをまずはkintoneで解決したと。

伊佐:あぁ、そうか。kintoneで吸収してしまって、とにかくスピードの部分は吸収できているから、今はOKということですね。

中村:はい。

伊佐:では、これからさらにkintoneの活用を広げつつ、ビジネスを展開しながら、会社のマインドが変われば大きな取り組みに移っていけるんじゃないかということで。

中村:はい。

伊佐:引き続き期待させていただきますので、よろしくお願いします。ありがとうございました。

中村:ありがとうございました。

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