2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
300台突破を目標に奮闘する新車販売営業マンに密着(全1記事)
提供:株式会社BSジャパン
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ナレーション:東京都中央区晴海。高層マンションが立ち並び、多くの企業も集まるこの地域。運河沿いを颯爽と歩いて来たのは……。
石倉優樹氏(以下、石倉):おはようございます。今日はよろしくお願いします。
ナレーション:石倉優樹さん、25歳。彼の勤め先は東京トヨペット、新車が並ぶカーディーラーです。彼はこの店舗一押しの、イケメン若手営業マン。業務成績は全店舗の若手上位で、なんと去年1年だけで84台もの車を売り上げた。今や営業が天職とも言える石倉さんですが、この仕事に就くまでにはさまざまな思いがあった。
石倉:車が好きで車業界に携わりたくて、東京トヨペットに入社したわけではなくて。本当は小学校の先生になりたかったんです。
ナレーション:教師を目指して大学へ進学した石倉さん。ある日、夢を諦めなければならない、ある出来事が起きた。
石倉:いろいろ話し合いはありましたけれども、私自身は、すぐに大学を辞めて。夢なんかっていうよりも、現実に目を向けて働いて。
ナレーション:大学1年の夏。いったい何が起きたのか。夢を諦め、10代で働く決意をした石倉さん。アパレルメーカー、宅配業者を経て、今の自動車営業の仕事にたどり着いた。
石倉:19、20歳からよくここまで来たなと思いますけど(笑)。あの時辛かったのを乗り越えて、今ここにいるので。
ナレーション:特別好きではなかったというこの業界で、今や若手のホープにまで登り詰めた。彼をそこまで突き動かした原動力とは何か。そして、仕事に対する思いとは?
この番組は、「働くって“だから”おもしろい!」をテーマに、全世代に向け、転職や就活など、働き方と仕事のおもしろさと、魅力を伝える番組です。
友近氏(以下、友近):こんばんは、友近です。
原田修佑氏(以下、原田):テレビ東京アナウンサー、原田です。
そして、これまで企業や求職者のサポートを続けながら、就活や転職などをテーマに国内外で年間200回以上の講演を行ってきた仕事のエキスパート、佐藤裕さんです。
原田:さて今回は、自動車の若手営業マンの方ですけれども。お二人、車は興味ありますか?
友近:車は、ええ、乗るのは好きですよ。
原田:お持ちですか?
友近:持ってないです。実家にいたころは自分で乗ってましたけど、もう東京来てからまったく乗ってないですよ。
原田:車系のネタとかはないんですか?
友近:「西尾一男」というピザ屋のおじさんネタがあって。
あの人プライベートはもう、ずっとモデルチェンジしてマーク2に乗っていた、という設定です。
(一同笑)
原田:そこまでの設定があるんですね(笑)。
佐藤裕氏(以下、佐藤):細かいですね(笑)。
友近:どうですか? 車はふだん乗られてますか?
佐藤:大好きなので、もう今4台目で。長く乗るほうなんですけど、時間があれば乗りたいほうですね。
友近:いいですよね、行動範囲も広がってね。
原田:そうですね。車って、「家の次に高価な買い物」と言われていますけれども、営業というのはどの業種であれ必要なジャンルですよね。
佐藤:はい。私も営業の経験があるんですが、会社にとって非常に重要で、まず「利益を出す」という最前線の仕事であり、それから「会社とお客様の間に立って、商品またはサービスをつなぐ」という仕事がありますよね。
そして最後は、「会社の顔」になってしまうんですね。お客様からするとその営業マンが、その会社に見えてしまうので。ブランドというところを守るのも営業の仕事ということで、非常に重要な仕事ですね。
友近:ですね。でも車の営業の方って大変なイメージはありますよ。やっぱり家もそうですけど、車をね。若くして84台も売ってらっしゃる。
原田:すごい数ですよね。
友近:なにかがやっぱり違うんでしょうね。話術なのか、その人の人間性が出るのか。そういうところを、紐解いてみたいよね。
原田:そうですね。
ナレーション:東京トヨペットで、新車販売の営業を行っている、入社5年目の石倉さん。
朝9時。この日は朝からデスクワークです。まずは、午後の外回りに備え、さまざまな書類を用意します。
9時30分。開店に向け、店舗の準備です。
スタッフ:これは石倉さんのお仕事なんですか?
石倉:いや、営業スタッフ全員で。
ナレーション:5年目とはいえ、まだまだ若手。何事にも率先して取り掛かり、積極的な石倉さんですが、この会社の入社にはためらいがあったそうです。
――転職したキッカケ
石倉:本当は小学校の先生になりたかったんです。
ナレーション:学校の先生を目指し、大学へ進学した彼の身に、ある日人生の転機が訪れます。
石倉:夢もあり、それを叶えるために大学に……親に高い学費を払ってもらって入学して。高校生の時から付き合っていた当時の(彼女が)、夏を過ぎて、妊娠したことがわかったので。
ナレーション:予期せぬ彼女の妊娠。10代の石倉さんは、決断を迫られます。
石倉:いろいろ話し合いはありましたけれども、私自身はすぐに大学を辞めて、夢なんかっていうよりも現実に目を向けて、働いて。
ナレーション:周りの反対を押し切り、家族を持つ決意をした。高い学費を払ってくれた両親。けじめとして、援助は断った。大学を辞め、まずはアパレルメーカーで働き始めるも、2ヶ月で退職。次に選んだのは、宅配業でした。家族を支えるため、がむしゃらに働き、みるみる給料も上がりましたが、過酷な肉体労働の日々。将来のことを考えると、不安になったと言います。
そこで石倉さんは、東京トヨペットの門を叩きます。
石倉:営業職っていうのは、やればやっただけ、給料の水準を上げるのも自分次第、というところがやはり魅力で。
トヨタ自動車というと車業界だけでなく、日本の企業の中でビッグネームの大法人というところで、そこの分野に携われるっていうのもすごく魅力的だったと。
ナレーション:将来を見据え、転職を決意しますが、石倉さんにとってそこに最大の悩みが。
石倉:「この会社は給料、月2回出るのかな?」って思うぐらい、本当に(前職に比べて給与が)半分……。嫁さん・子どもがいて、という状況では、二つ返事で「よろしくお願いします」とはやっぱり言えなくて。内定をお断りしようと思って。
ナレーション:そんな彼の背中を押してくれたのは、やはり家族でした。
石倉:「一瞬落ちてもすぐ上がるよ」と。「あなたは大丈夫」というふうに。本当に、涙を流しながら言われて。だからトヨペットに行ってくれ、と。
ナレーション:石倉さんのがんばりを、妻はちゃんと見てくれていました。その涙に応えるべく、再び走り始めました。
友近:奥さんは一番の理解者ですよね。ずっと見てくれてるから。「この人はどこに行ってもやっていける」っていうのがあったんでしょうね。
佐藤:そうですね。後押しになってるみたいですね。
友近:やっぱり奥さんの理解って大事ですか?
佐藤:絶対、大事だと思いますね。いろいろお仕事されている方に聞くと、そこが一番大事で、やっぱり自分の思いだけでは叶えられないこともあるので。最後の一声があると助かるみたいですね。
友近:うん。そこでいいアドバイスができる奥さんになりたいですよね。
佐藤:そうですよね、そういう方がいいですね。
友近:そうなんですよ。自分がやりたいこと、そして「家族を守らなあかん」っていうその天秤って……結局私、自分がやりたいほうを選んでしまうタイプだと思うんですね。でも、男の人と女の人とでは、またそこは別ですもんね。そこが難しいか。
佐藤:難しいですね。
原田:さあ、そんななかで裕さん、今日のキーワードを教えてください。
佐藤:はい。今日は「仕事とライフデザイン」。仕事だけを見れば、趣味・興味の方向だったり、やりたいことのために進むこともあったりしていいと思うんですが、ここに結婚や出産などの仕事以外の生活が絡んでくると、自分だけでは判断ができないことがあります。じゃあそのあとに仕事のやりがいをどう見つけるんだ、と。このあたりのバランスが、今日は見どころなんじゃないかと思いました。
友近:そうですね。だから、目標が低すぎてもダメですし、高すぎてもダメとか。目標設定ってすごく難しいと思うんですけど。
佐藤:そうですね。
友近:でも、あんまり自分で「このライン」って決めないほうがいいような気もしますしね。
佐藤:そうですね。すぐクリアするものって、意外と小さい目標だったりするし。
友近:ですよね。どんどんそれも更新していきたいしね。
ナレーション:大学を辞め、10代で社会に出た石倉さん。東京トヨペットに入社して、5年が経ちました。転職後、半減した給料でしたが、懸命に働くことで盛り返しました。事務作業の合間には、ひたすら電話。
車検や点検が迫ったお客様に、検査を促します。新車の営業だけでなく、ほかには保険や携帯電話の加入も成績に反映されます。
実は新車販売で、目指している目標があると言います。
石倉:うちの会社では、節目ごとに表彰があるので。累計300台の表彰の時に、同じ年に入社したスタッフの誰よりも早くその表彰を受けたいなと。
ナレーション:累計販売300台一番乗り。その目標につながる1台が届きました。午後に納車予定の車です。隅々まで自分の手で磨き上げます。
石倉:やっぱり、自分が買った時の感覚は忘れられないので。それに置き換えて、手元に届く時はピカピカで渡したいなっていうのがあります。とくに今日のこの車は、僕のトヨペット人生の中でも本当にことあるごとに助けていただいてる法人の代表者様の車なので。人で買ってくれてるような部分をすごく感じる社長で。
ナレーション:人で買ってくれている。この言葉に、石倉さんの営業哲学がありました。
石倉:当然、看板を掲げて営業活動してますけれども、プリウスやアクアは、今はどこでも買える時代。そのどこでも買えるなかで、私から買ってもらう。トヨタで買っていると言うよりも、その人から買っていると言ってもらう。
ナレーション:営業は自分を売る仕事。買ってもらう仕事。午後からの外回りで、その言葉の片鱗が垣間見えた。
ナレーション:午後1時、自動車営業の石倉さんは、これからお得意様へ納車に向かいます。
待ちに待った納車の時。いつも気にかけていることがあるそうです。
石倉:納車の時に雨が降ると本当にがっかりしますよね。日頃の行いですかね(笑)。
ナレーション:なんとか雨も降らず、無事オーナーさんへの引き渡しです。
ナレーション:自分を売る、自分を買ってもらうという言葉。営業される側として、どのように思うのでしょうか。
客1:もうまさしくそのとおりで。毎回来るたびに、買う気はないんだけど、結局ねぇ。
石倉:(笑)。
客1:これで急に決めたの2台目なんですよ。通常は計画どおり買ってるんですけどね。だから本当、将来、末恐ろしいな、というふうに。
石倉:(笑)。これを裏切らないように、精一杯がんばりますので。これからもどうぞ、よろしくお願いします。
客1:ぜひ。がんばってください。
石倉:お願いします。
ナレーション:納車のあとは、企業を回り契約書類を集めます。
石倉:この時代に多いですよね、紙が……書類に埋もれちゃいそうですね。
ナレーション:こちらのお得意様とは、趣味の話で盛り上がっていました。
石倉:1番、2番、3番がボギー、ボギー、パー。ボギー。そのあと8ぐらいで、そのあとに9叩いたりとかでもう……最初は「これ調子いいな」と思ってたんですけど。
客2:最初がいいと力が入るんや。
石倉:ああー。「やるぞやるぞ」って。
客2:そうそう。
ナレーション:お弁当屋さんのご主人とは、コンビニで取れる印鑑証明の話。
客3:端末が置いてあるの。
石倉:あ、そうなんですか? それぜんぜん知らなくて、この前お客様に「よくそんなすぐ取れましたね」って言ったら「ああ、そこで取ったんだよ」って。「そこコンビニですよ?」って言ったら「いや、コンビニだよ」とか言われて「え!?」って。
客3:文字どおりコンビニエンスなんだよ。
石倉:「石倉くん遅れてるねー」なんて言われちゃったんですよ。
客3:ちょっと遅れてるな。
(一同笑)
ナレーション:相手に合わせて会話をする石倉さん。担当エリアには銀座も含まれており、法人のお客様も多い。
会話をする上で、若くして社会に出た経験が役に立っていると言う。
石倉:同級生が大学に行っていた期間に僕が得たものは、ほかと比べ物にならないくらい良いもの、濃いものだという自負があるので。誰にも負けたくないっていうのもありますし、あの時辛かったのを乗り越えて、今ここにいるので。
ナレーション:そのぶん、人に負けたくない気持ちが強くなった。
石倉:大学を出てない高卒で、結婚して子どもがいて東京トヨペットにいて、「学歴なんて関係ないでしょ」っていうのがやっぱり毎度思うことですけど、日本はそうじゃないので。どこまで成績を残せるかが、唯一自分を見せつけられるところなので、そういう意味で、自分をよく見せる方法として、やはり成績・数字にはこだわっていきたいんですよね。
ナレーション:営業マンである以上、数字と成績にこだわるのは当然のこと。しかし、人一倍強いその思いは彼自身の中にありました。
常に前を向き、上を目指す彼にも、後ろを振り返ることはあった。
――人生の“もしも”
石倉:あそこで結婚してなかったらどうだったかな、と思うことって当然あるんですけど、総じてどう複雑に考えても、「結婚してよかったな」って。あのままたぶん大学行ってても先生になれていないでしょうし、そういう意味では嫁さん・子どもに責任を背負わせてもらって、だからこそ今ここ、トヨペットで働けている。ちゃんとさせてくれたな、と思います。
友近:なるほど。責任を背負わせてもらったっていう意識なんですね。それで1歩また自分が強くなり、自信もついてきたっていうことですもんね。
佐藤:非常にポジティブに感じますけども。
友近:そうですよね。
原田:さあ本日は、その石倉さんが勤める東京トヨペットの人事、植草さんにお越しいただきました。よろしくお願いいたします。
植草賢治氏(以下、植草):よろしくお願いします。
友近:さて、本当に若くしてものすごい営業マンになられた感じがしますけども、採用のポイントはどこだったんでしょうかね。
植草:そうですね、見てもわかるとおり、やっぱり元気で明るく、それから人と接するのが好きっていうのが一番にあるかと思いますね。
友近:ものすごい笑顔でコミュニケーションとりながら。ここから見ててもリラックスした感じに見えましたからね。そこの対応能力ってすごいですよね。
佐藤:そうですよね。
友近:車がそれほど好きじゃなくても、こういう車の会社っていうのは……詳しくなくても入れるものなんですかね?
植草:そうですね。もちろん好きな方もいらっしゃるんですけれども、なかには車と言うよりは人が好きで来られる方もけっこういらっしゃるので。仕事をするなかで、車を売り込んでいくというところで自然と車を好きになっていく、という方がけっこういらっしゃいますね。
友近:やっぱり石倉さんは営業向きだったんですかね?
植草:人が集まるような雰囲気はありますので。本当に適職と言うか。合っているんではないかと思いますね。
原田:やっぱり契約の印を押してもらう時が一番達成感があるんですか?
植草:人それぞれ達成感を感じるタイミングは違うかと思いますが、やはり一番の醍醐味としては、契約をしていただく時が達成感あります。また同じお客様から次に繰り返し買っていただいた時は、本当に信頼関係ができあがって、人を買っていただいたという証明として2台目、というところがありますので。やはり常にリピートしていただくというのは、すごくやりがいにつながってくるかと思います。
友近:買うつもりがなかったのに買ってしまうというのは、やっぱり車というより彼の魅力に、っていうことなんですかね。
植草:そうですね。やっぱり石倉さんも言っていたように、車は今どこでも買えるような環境になってきていますので。やはり同じ高価な商品を買うにあたって、長く付き合うという意味ではやはり「この方から買ってあげたい」という気持ちにさせるようなスタッフをみなさん目指してやっているかと思います。
友近:なるほど。じゃあまさに「自分を売る」というところがしっくり来るところですよね。
植草:そうですね、はい。
友近:はぁーすごい。
ナレーション:それでは、佐藤裕による今回のジョブポイント。
佐藤:今回、営業にフォーカスをしていますが、すべての仕事に言えることで、やっぱり仕事というものは意義付けだと思うんですね。自分がなんのために働いているか、それがどこにつながっているのかを考えることが重要だと思います。
今回のように家庭や家族のようなところとつながると、好きじゃなかったことが天職に思えることもあるので。今もし仕事のやりがいに悩んでいる方がいれば、普段の生活や人生と接続してみると見え方が変わるんじゃないかなと思いましたね。
ナレーション:若くして夢を諦め、社会に飛び出した。働くなかで見つけたのは、肩書や看板で車を売るのではなく、人で売る、自分を買ってもらうということ。
――将来の夢
石倉:家族からもそうですし、やっぱり子どもから尊敬される父親になりたいです。男磨きをしてがんばりたいなと思います。
ナレーション:働くことの、本当の目的。夢を諦めなければならなかった現実。けれどそのおかげで、かけがえのないものを得ることができた。もしあの時、違う道を選んでいたなら……その自分は、きっと今より弱い自分だっただろう。
働く原動力は、いつも見てくれている家族。そして、家族のために働くことで見えてきた自分。自分を変えてくれた家族に、ありがとう。
そんな彼にとって、「仕事」とは。
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