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DMM.com Groupが伝授! ROI最大化のためのデジタルマーケティングの勘所(全2記事)

2017.12.26

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マーケターが知っておくべき「CDP」とは何か? DMM高木氏が教える、未来を形作る2つのキーワード

提供:株式会社DMM.comラボ

2017年12月7日に開催された、マーケティング担当者が一堂に会するイベント「Marketing Special DAY 2017」。デジタルマーケティングに携わる企業が集結し、自社の最新事例や知見を共有しました。株式会社DMM.comラボの髙木一輝氏は「DMM.com Groupが伝授! ROI最大化のためのデジタルマーケティングの勘所」と題して講演を行いました。本パートでは、DMMグループを支えるデジタルマーケティング手法と、マーケターが知っておくべき今後のトレンドについて、余すことなく語りました。

Webマーケティングからデジタルマーケティングへ

髙木一輝氏(以下、髙木):ここからデジタルマーケティング領域へシフトしていきたいと思っています。

Webマーケティングがエントランスの最適構造のプランニングとして重要視している点はご理解いただいたと思いますが、今のWebマーケティングの構図はだいたいこんな感じになっています。

いろいろなサービスやコンテンツがあって、それに沿ったWebマーケティングのプランニングをしても、実際にはWebマーケティングが攻めている市場はけっこう一緒です。ほとんど同じであるケースが多いと思っています。

昨今だと、アドテクやアドプラットフォームも画一化されたり限定化が進んでいて、ユーザーの広告に対するモチベーション、これは悪い意味でかなり変化してきていると思っています。

この構図で今後Webマーケティングを続けていった場合、よいサービスであっても事業の成功やスケールが難しかったり、不要なコストを発生させてしまう恐れが出てきます。

弊害として、広告領域ではサービス単位でのその広告が持っている価値や評価、あとは出稿する定義が異なってしまうので、本来のパフォーマンスを享受できなかったり。あとデータ領域では同じユーザーをサービスやチャネルごとに分析してしまっているので、ターゲットとしているユーザー像がそれらごとに異なってしまうということが考えられます。

実績がある既存事業だったり、成熟市場で展開している事業については、先ほどのWebマーケティングをなんとかうまくアップデートしていけば経営リスクは低く、ある程度カバーできると思っています。

ただ、今後新しいコンテンツや事業だったり、新興市場への進出を考えると、適正な広告評価がそもそもされていなかったり、重複したユーザーへのリーチが発生したりといった過失が発生するので、経営的な機会損失や事業成功の機会損失を生む可能性が非常に高くなってしまいます。

結果的に、それは新興マーケットの拡大が阻害されることになるので、マーケット全体も成長しないという事態に陥る。結論として、この後者の課題を補っていくのがデジタルマーケティングの概念になると思っています。

循環構造をプランニングする

では、デジタルマーケティングは何の最適構造化をするのかという点なんですが、僕の今までの知見を含めて、一言で言うのであれば、「循環構造のプランニング」だと思っています。

何を循環させるのかということなんですが、サービスや事業上の収益や売上、あとはそこに関わるユーザー、これらの循環構造をプランニングしていく、作っていく。そういったものがデジタルマーケティングの一番大きなミッションだと思っています。

我々のマーケティング組織に関して、Webマーケティング領域において、先ほどの広告分野ではエントランス、クリエイティブ、データに加えて、直近ではSEO、メールマーケティング、広報、マーケティングPR、SNS、サイト内アドサーバなどなど、もう少しチームはあるんですけれども、こういったチームを作ったりくっつけたりして2年ほどで現在の体制を作っていきました。

OOH広告、CMとか看板とか雑誌などのいわゆるマス広告ですね。そういったOOH広告との効果指標の連動の模索も1年ほど前からやっていまして、そういったデジタルマーケティング寄りの組織構造になってきていると思っています。

そして現在のWebマーケティングに対して、このようなシフトが正しいかどうかは置いておいて、デジタルマーケティングにシフトしていくにあたってトピックがいくつかあると思っています。そのポイントを3つに絞らせていただきました。

まずリーチなんですが、今Webマーケティングの代名詞にもなっているターゲティング、これにさらに深度が深い「パーソナライズ」という要素を加えます。これは先ほどユーザーの像がサービスでバラバラになっているというところを、パーソナライズ要素を加えてちゃんと属性を特定しましょうと。

その属性を持ったユーザーに対して、必要なタイミングでリーチを作っていく、いわゆるリーチを使うのではなくて、そのユーザーに適切なリーチを自分たちで作っていく、こういった軸です。広告配信というよりデータドリブンの強化になります。

次に、既存の広告KPIによる運用に加えて経営指標を盛り込むことです。これは単純に縦軸のサービスのエントランスを最適化していくことは、先ほど申し上げたとおり、そろそろ終わりが見えてきています。もちろん明日明後日で終わるわけではないんですが、3年後、5年後を見たときに本当に今のままでいいのかな、と思っています。

なので、ある程度ビジネスの上流の事業戦略や事業計画。こういったものを常にミッションとして置くこと。広告効果をミッションとするのではなく、事業の経営指標をしっかりと目標におきましょう、という話になります。

3つ目が組織構造の話です。単一サービスに対して専門的な業務チームが縦割りで紐づいていると、デジタルマーケティングが本来攻められるマーケットを今後取り逃がしてしまいます。ですので、シンポジウムを集約して専門性を高く保ったまま、上流戦略に各チームがコミットしていく、こういった組織環境を作っていきたいという内容です。

縦割り組織からシンポジウム体制に

イメージなんですけれども、先ほどのWebマーケティングで事足りる構成図に、最終的に評価指標となる経営指標や事業のイグジットを追加して、計測ツールなどを含めデータ基盤・分析基盤、データ活用という軸を挿入していきます。

縦軸のWebマーケティングのターゲティング要素にユーザーデータをしっかりシンクをさせ、パーソナライズで横につなげていきます。これによって、外部露出において重複した過度なターゲティングをそもそも避けていこうという内容です。

得られた効果や定量値の結果に関しては次に使えるので、共通のデータ基盤にしっかりとフィードバックして管理する。データ基盤はサービスごとに持っている企業さんもいらっしゃると思いますが、基本的にこれは共通のデータ基盤を作る必要があると思っています。

次にプランニングの部分です。先ほどの運用のところになってくるんですが、プランニングに関しては、マーケットからどういうプランニングをしていくかではなく、経営指標、事業イグジットの成功イメージが現実的か否か、そうした軸で自社のユーザーデータとマーケット情報から算段をかけていく。そしてその成功イメージに必要となる各要素に対してトータル的にプランニングをしていく。こういった流れになります。

この必要となる各要素が、専門性ごとにチーム化したものであり、総合的にこれらのチームで全マーケティングを形成しているので、各チームの知見を深くして経営指標やイグジットに沿う上流戦略などをしっかり落とし込んで、各チーム間でシナジーを生む必要があると思っています。

これらの3つをしっかりと反映させていくという部分では、縦割りではなくて1つの組織、1つのマーケティング組織として各チームをシンポジウムで繋ぐ体制にしようと。これらのシンポジウムは単なるミーティングではなく、それぞれの専門性やいいところを、目標・経営指標に対してぶつけていくような環境をしっかり作ることです。

このシンポジウムを生むことと、これらを共有化していくことがすごく大事なので、これをしっかりと1つの組織の中に置くべきであると思っています。

シンポジウムの作り方

「そのシンポジウムをどうやって生むの?」というところですが、思いつきや主観といったアイデアベースではなく、検討土台になる前提条件が、共通のロジックとして必要であると思っています。

そこに関して重要視しているのが、いわゆるRFM分析、デシル分析といった分析手法です。これによって、ユーザーデータや購買構造、自分たちの持っているビジネスやサービスがこんな購買構造になるのかということをしっかりとデータ化、共通認識化、カルテ化すること。これが重要だと思っています。

そして、それらに必要なデータをレポートする処理機能であるとか、ダッシュボード構築、これはすでに各所で急務の事項になっています。集約したデータやダッシュボード化されたレポートから、今なにをすべきかを定性的に抽出をして、それを達成するために必要な手法を集めて定量目標化していく。この一連のフローをこの中で作っていきたいと思っています。

このシンポジウムの集合体を通じて、経営指標や事業イグジットにおけるプランニングができあがっていくんですが、ここまでいくと、マーケティングそのものが経営の要素を担うべきで、経営側はマーケティングの要素をより注視していかなければいけないなと思っています。

今後はこういった概念がサービスやコンテンツを成功させるものだと思っています。

Webマーケティングはどちらかというとインプレッション、データ、デザインといった入り口の最適化の手法や意識などを指しています。

ですがデジタルマーケティングには、対象とする事業経営のミッションにどのようなストーリーを作って、WebやOOHなど、これらを含めてどのような環境下で実現させていくか。そういったものを循環構造と言ったんですが、こうした循環構造をプランニングして、かつ、それを実行する。そういうものが含まれると思っています。

そして、それらが本当に正しいのかどうかのロジックは、経営者の主観でもマーケターの主観でもなく、システムやデータドリブンを強化して、あくまで客観的に、俯瞰的に正しいかどうかを判断していく仕組みをしっかり作ることがとても大事になります。

ということで、これらをかたちにする際の我々のマインドシフトや、今後実行しようとしていることについてお話をさせていただきました。

マーケターが知っておくべき2つのキーワード

次のテーマは、近い将来マーケターがなにを視野にアクションを起こしていくことが重要か、という話について、2つほどトピックスをあげさせていただきます。

キーワードは「CDP」と「インフルエンサー」です。2つのキーワードにとくに関連性はないんですが、私がこういったデジタルマーケティングのことを考えているとき、ちょうど先週、GMO NIKKOさんのアテンドでサンフランシスコに企業視察やセミナーを受けに行く機会がありました。

そこですごくマインドが合っているソリューションだと思ったので「CDP」という言葉を使わせていただいています。私も向こうに行くまでこの言葉は知りませんでした。

あとは、昨今ユーザーの消費行動に変革を起こしているインフルエンサーマーケティングについてお話ししたいと思っています。

CDP、これは書いてあるとおりなんですが、Customer Data Platformと言いまして、自社の顧客データのプラットフォームソリューションです。

自社データや外部のデータをそのソリューション内に集約して、分析をかけて配信の最適化も行うというものです。

今は配信、マーケティングオートメーション、DMPとすべて区分されていますが、それらの機能を自分たちのユーザーデータを軸にして一括でコントロールしていく仕組みになります。

これからマーケティング手法は、現在のリアルタイムマーケティングから、その人が必要としているタイミングで必要としているものを接触させる「ライトタイムマーケティング」に移り変わっていくと考えられています。

先ほどのパーソナライズ要素というのはまさにそれにあたるかなと思っているんですけれども、その実現に対するマーケティングプラットフォームのソリューションとして、数年前からトレジャーデータ社などが推奨してきたソリューションです。

簡単に概要を説明させていただくと、これがよくあるユーザーの購買行動のファネルです。

ブランディングから購買の落とし込み、あとはCRMの部分も書いているんですが、みなさんもご覧になったことあるかなと思っています。

今だと、広告配信といったリードを境に、パブリックDMPとプライベートDMPのデータをシンクさせて、内部のデータを外と突き合わせながら配信最適化を行っている企業も増えてきました。DMMでは、まだ全体的にここまでできていません。

大きくこのデータシンクの部分を補う役目が、CDPというソリューションになります。ただデータを統合するだけではなくて、自社のファーストパーティデータに対してサードパーディデータやアナリティクスデータ、あとは広告を配信しているデータを全部取り込んで集約させます。ここからCDP内で分析をかけて外部広告面の配信最適化も行っていく。こういったデータが循環するような仕組みになります。

これにより、自社のファーストパーティデータを活用して、認知からリアクティブまでを一貫して最適化できるようになります。

この分析にさらにAIが加わることで、予測マーケティングの自動化による、先ほど申し上げたライトタイムマーケティングの実現であったり、パーソナライゼーションを軸としたより高度なマーケティングオートメーションが完成することになります。

ソリューションの概念としては、先ほどのデジタルマーケティングの要素とほとんど変わりがないと思っていまして、今後耳にする機会も増えてくると思っています。

インフルエンサーマーケティングの影響力

次に、インフルエンサーマーケティングです。ステルスマーケティングとは異なり、ここ数年でライブ配信マーケットがインフルエンサーマーケティングを急成長させてきました。ライブ配信マーケットは3年ほど前から中国で大きく成長しまして、今、市場規模は50億ドル以上と言われています。アメリカではゲーム実況を中心とした「Twitch」というライブストリーミングプラットフォームが大きいですね。

インフルエンサーの定義も今ではこのように変化していて、単純にタレントや著名人、モデルを起用して、ただの認知力によるCM効果を持っていた手法は、今ではあまり採用されていません。

インフルエンサーの価値が、本人のPR能力や拡散性に移り変わっていて、知っている人は知っている、知らない人は知らないといった、より狭く深くセグメントされたPR手法になっています。

また、これが先ほど申し上げた「ユーザーの消費行動に変革起きています」という内容です。左側が今まであった消費行動です。AIDMAですね。

注意喚起から購買。こっち(右側)がインフルエンサーが介入したときの新しい購買行動と消費行動の図です。

消費者へのリーチは、今までは広告だったりWeb情報だったり口コミを軸に、注意喚起から購買までを促すモデルでした。ですが、インフルエンサーマーケティングが介入することによって、そもそも注意喚起と購買を促すものがインフルエンサーや個人SNSの情報になっています。

また購買欲求のところに注目なんですけれども、「それがほしい」「それを買いたい」という欲求よりも、競争欲求のほうが強く出ています。ゲームでもよくあると思うんですが、競争欲求が強く出ていまして、欲しい商品を買うという行動に加えて、インフルエンサーが紹介している商品や、インフルエンサーの周りに意図的に配置された商品・コンテンツを購買しています。

かつ、これはライブ配信マーケットの部分の特徴的なところなのですが、そのインフルエンサーを支援したり育成していくバーチャルギフトを購買するという特徴も持っています。

インフルエンサーが作る未来

これはライブ配信マーケットに限った話ではなく、あらゆるカテゴリでこの消費行動は広がっていくと想定されています。Webマーケティングというターゲティングや、マッチングデータに紐づいた運用はすでに始まっています。とくに中国ですね。

中国の企業で大きいところは、各視聴者に対して適正なコンテンツをサービス内で表示させていくために、コンテンツになる動画にAI分析をかけて、内部でカテゴライズ化しています。

これによってリアルタイムにそのユーザーがアプリを開いたりサービスを開いたときにその人を分析して、興味がありそうな動画を充てていく。そういった技術も進んでいます。

また、インフルエンサーはすでにいるものではなくて、独自に育てていく、いわゆるスタジオビジネスですね。こういった、自分たちで独自にインフルエンサーを育てて広告塔を立てていくというビジネスもスケールしています。

最終的には独自に作った消費行動そのものをパッケージ化してメディア化したり、ほかのプラットフォームにプロダクトとして売り出していく、そういったことも進んでいます。

今後はインフルエンサーマーケティングの重要さも再認識されて、単なるステマではなく、インフルエンサーとして認識されるインフルエンサーコンテンツの創造、これが成功のファクターになっていくと思いますし、新しいデジタルマーケティングの一端を担うのではと思っております。

我々も多岐にわたってマーケティングに向き合っているので、短い時間の中で多角的な話になってしまいましたが、今日遅い時間にご出席されているマーケターの方々の気づきや興味が、1つでも生まれればうれしいかなと思っています。

ありがとうございました。お疲れ様でした。

(会場拍手)

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