2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
提供:株式会社ゼロワンブースター
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濱地健史氏(以下、濱地):それでは時間になりましたので、「社内新規事業の罠 -目的の設計と課題- 社内新規事業プログラムの実際」と題しまして、パネルディスカッションを始めさせていただきたいと思います。
私、このセッションのモデレーターを務めさせていただきます、ゼロワンブースター・チーフディレクターの濱地と申します。みなさん、どうぞよろしくお願いいたします。
(会場拍手)
すでにみなさんの前に3人のパネラーの方にお座りいただいております。いずれも新規事業プログラム運営や新規事業のプレイヤーとして、最前線に立たれている方々でございます。改めましてお1人ずつ、自己紹介をしていただきたいと思います。それでは加嶋さんから、よろしくお願いいたします。
加嶋雄一郎氏(以下、加嶋):キッコーマン株式会社、経営企画部の加嶋と申します。私は中長期のビジョンや経営計画などの策定と、そのための組織や制度をつくったり、見直したりするという、いわゆる経営企画部門の仕事にプラスして、組織力の向上や社員の活性化に関するプロジェクトや研修などを実行しております。
昨年、キッコーマンのベンチャー制度「キッコーマンベンチャーインキュベーションプログラム」(以下、K-VIP)の第3回目を実施しまして、そこの新しい担当となりました。そこでゼロワンブースターの濱地さんに大変お世話になりました。その縁がありまして本日まいりました。どうぞよろしくお願いいたします。
(会場拍手)
本地史明氏(以下、本地):三菱地所の本地と申します。よろしくお願いいたします。私は入社以来、海外事業や分譲マンションの用地の取得・開発などの事業をやっていました。
当社では、今年からゼロワンさんとコーポレートアクセラレーターを始めることになりました。それに合わせて、新事業提案制度も、ゼロワンさんのサポートを受けてやっていくという、新しい取り組みが今年から始まって、私もその部署に異動しまして、事務局をやっております。
その他にも、ベンチャーキャピタルさんへの投資、ベンチャー企業さんとの協業・出資といった新事業関連の業務を取り扱っております。今日はどうぞよろしくお願いいたします。
(会場拍手)
渡邉裕大氏(以下、渡邉):みなさん、こんにちは。ハウス食品グループ本社、新規事業開発部の渡邉と申します。私は3年前に新規事業開発部に来まして、それまでは量販店のルート営業をしていました。
現在は、健康寿命延伸という課題に、散歩という文脈から新しい解決ができないかとスマートフォンアプリの開発を行っております。みなさまのお手元にもパンフレットがあるかなと思います。ぜひダウンロードいただけたらなと思います。
本日は、社内新規事業のプレイヤーの立場でお話させていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。
(会場拍手)
濱地:お三方ありがとうございます。
(会場笑)
濱地:こちらの3名の方々に自己紹介をしていただきましたが、この3名の方から会場の方々がわかりませんので、私から3つほど質問させていただきたいと思います。当てたりしませんので、どのぐらいいらっしゃるのか見たいだけですので、正直に手を上げていただきたいと思います。
まず1つ目が、今、なにがしかの組織にご所属、組織を運営なさっている方。自社、自組織内にいわゆるところの新規事業制度が、制度として存在しているという方。手を上げていただいてよろしいでしょうか?
(会場挙手)
濱地:半分はいらっしゃいますかね? 3分の1強ぐらいですかね? ありがとうございます。その3分の1強の方々に対するご質問ですが、社内新規事業の運営をされていらっしゃる、運営担当や運営するチームにいる方は、どのぐらいいらっしゃいますでしょうか?
(会場挙手)
濱地:その中のさらに半分強ぐらいですかね。ありがとうございます。では、社内新規事業制度がある・なしに関わらず、自組織にご所属の会社や組織で、新規事業の取り組みを積極化をしていくべきであるとお感じになってらっしゃる方、どのぐらいいらっしゃいますでしょうか?
(会場挙手)
濱地:さすがにほぼすべてというかたちですね。そもそも制度をお持ちでない組織の方は、制度設計など、他社はどのようにやっているのかにご興味があって、今日、この場に足をお運びいただいているのかなと思います。そのようなあたりを念頭に置きまして、お答え、ご整理をいただければと思います。
濱地:では、お話に入らせていただきたいと思います。自己紹介の中でも社内新規事業制度が変わったり、新しく動き始めたり、ということをお話しいただきました。既存の制度について、まず加嶋さまと本地さまにご質問させていただきます。
弊社と一緒にやらせていただく前の体制を中心といたしまして、既存の制度といったものは端的に言ってどのような制度だったのか。いつ頃から始まったものか。始めるにあたって、きっかけのようなものがあったのか。
この3点に絡めて、既存の制度がどのようなものだったのか、加嶋さま、本地さまにお話いただきたい。まずは加嶋さまから。
加嶋:そもそも弊社は事業開発部という、新規事業を立ち上げるミッションがある組織を前提としながらも、それとは別に広く社員に新規事業創造の場を与えるという目的で、1996年にベンチャービジネス公募制度を立ち上げております。実は、後になりますけど、もう1回変更があるんですが、最初はその制度が立ち上がりました。
これは当時の経営方針で「攻めの姿勢を忘れず挑戦する」ということが一番目にありまして、それを具現化するというか、象徴する施策だったと認識しております。
この制度においては、最終審査までいくつか残ったんですけれども、結局、事業化はしておりません。これは20年ほど前の話ですので、詳細な理由はわかりませんが、結局この制度は有名無実化してしまいます。
理由を考えた時に、この制度に関して、まず応募する人の年齢制限、社歴も制限があったということと、応募するには応募者が自分でも出資しないといけない、会社を立ち上げたら3年で独立しなさいなど条件が厳しかったことですね。そういうこともあり、有名無実化してしまいました。
時が過ぎて2009年10月に、弊社は持ち株会社制で分社化します。そこでチャレンジマインド醸成の機運がまた高まったということで、翌2010年に第1回のK-VIP、3年後の2013年に第2回のK-VIPを実施した、ということになります。
濱地:ありがとうございます。
濱地:では、本地さまはいかがですか?
本地:はい。弊社の新規事業制度ですけれども、実際にスタートしたのは約20年ぐらい前ということです。制度の内容や仕組みも、20年の中でけっこう変遷しています。
例えば社内ベンチャー制度と謳いまして、別会社をつくって新事業を立ち上げるのがありきの時もあれば、直近もそうなんですけど、新事業提案制度ということで、必ずしもベンチャー制度とは謳わずに、「新しいビジネスアイデアを募りますよ」という建て付けで、という時もございます。
結局、過去の担当に聞いて振り返ってみましても、やはり1つのやり方でやってバーッと人数が集まって、なんとなくシュリンクしていってしまう。そこで、「ちょっと制度を変えてみよう」ということの繰り返しをやりながら、20年が経過しています。
直近のところは先ほど申し上げましたように、新事業提案制度ということで比較的、「ビジネスアイデアを募ります」というようなスタンスで、ここ何年か続いておりました。
直近のところで言いますと、必ずしも件数がそんなには多くない、あるいは、応募する方がある程度決まってきているなど、そういった状況が続いていたと思います。
濱地:はい、ありがとうございます。制度が設計当時の思想のとおり立ち上がっていかないというのは、本当に「新規事業あるある」だというふうに思うんですけれども。それがどんな理由で、今どのような制度に変えていかれているのかを、この後に紐解いていきたいと思います。
濱地:その前に渡邉さん、先ほど自己紹介でも、「唯一、プレイヤーとしてここに来ている」と自己紹介をしていただきましたが、まさにここにプレイヤーが1人いるわけです。渡邉さんのところはそう見ると、社内新規事業制度のようなものがあったから、渡邉さんがプレイヤーになれたんですか?
渡邉:うちはそうではなくて、社内公募制度自体はないんですね。ただ、年に1回どこの部に行きたいかを書くところがあります。部を選んで、なぜ行きたいのかを書く制度がありますので、そういったところで私たちは新規事業をやりたいことをアピールする。言ってしまえば、そこしかないところもありますね。
濱地:そういった「自主的なアピールを受け付けるよ」といったような制度の、使いやすさとか、手の上げやすさみたいな、いろいろな要素があると思いますけど、それはけっこう手を上げやすい、使いやすい制度だったんですかね? 渡邉さんの場合。
渡邉:そうですね。自分でやりたいことをアピールするのは、見てもらうのはそこしかないので。本当にやりたい熱意がある人は、そこでやっているのかなと思います。
濱地:渡邉さんもそこで「やらせてくれ」と手を上げて?
渡邉:私は「新規事業に3年前に来た」と言ったんですけども、実はその3年前に新規事業ができたので、私が異動と言われた時には、まだその部ができることを私は知らずに。
「翌年から新規事業開発部ね」と言われた時に、「え、どこに行くんですか?」というかたちだったんで、少し違うのかなと思うんですけれども、今はそういったかたちにはなってますね。
濱地:フライング気味の第1号だった。
渡邉:そうですね。ただ、そういうマインドがあったというところを、会社は見ていただけたのかなと思ってます。
濱地:ありがとうございます。
先ほどトピックとして出してこられてましたように、やはり条件が厳しい、応募の時からかなり覚悟が伴わなければいけない、などがありました。数は集まるんだけど、だんだんシュリンクしていくという、キーワードとしてはいくつか散りばめていただいたかと思います。
まず総体として、既存の新規事業制度は時代ごとに合わせてうまく機能していた、と総括してもいいのか否かと、なかなか思い通りでない部分があったんだとすると、そこはどういった理由があったと今お考えになってらっしゃるかを、お聞かせいただきたいと思います。加嶋さまからお願いいたします。
加嶋:当初のベンチャー制度がうまくいかなかった理由は先ほど申したとおりなんですが、第1回、第2回のK-VIPにつきましても、結論を言うと、いいところまでいっているものはあるんですが、事業化になったものは、実際ないんですね。
K-VIPを始めた時に、最初のベンチャー制度を反省したところで、かなり敷居を下げました。それは「社員は誰でも応募していいよ」というところとか、会社をつくるにしても、別に出資までの義務は負わせないとか、独立する必要もないとか、そこらへんは細かく決めず、「とりあえず応募してください」というところで門戸を広げました。
第2回はさらに、「事業アイデアだけじゃなくて、商品アイデアでもいいですよ」というところまでしたんですね。そうしたら、第1回で100件くらい、第2回で300件と、かなり件数は増えました。ただし、先ほど言いましたとおり、事業化はできておりません。
原因が何かというのは、私見でありますけれども、とりあえずその事業や商品などが提案されたとして、それを最後までやり通す組織や人が担保されてないところが、たぶん大きなところなのかなと思います。
そういう意味で、提案した本人も会社も、やはり新規事業を起こす覚悟が少し足りなかったのかなと思います。たとえ、「これはいい事業だ」「これおもしろいから、この商品やってみよう」とトップが判断したとしても、やる人が決まっていなくて、結局グズグズになってしまったのが1つです。
もう1つ、では、その事業や商品を具現化できる事業会社がたとえあったとしても、その事業会社の人たちは自分が起案したわけではないので、結局やはり非協力的になってしまいます。
そういう意味で、キッコーマンという会社の中で、新規事業に対する本気度や一体感などが、少し足りなかったと推測します。
濱地:ありがとうございます。
濱地:本地さまはいかがですか?
本地:先ほど申し上げたように当社は20年ほど制度をやってますので、正直言うと大半のことは私はわからないんです(笑)。直近の数年間で、事務局よりは一社員として見ていたところで課題点があるとすれば、まず入口のところで案件数や応募数を増やすのが大事だと思いますが、あまり会社から積極的に応募を促すような仕組みではなかったように思います。
だから、制度があることは社員も、さすがに社員も知ってはいるんですけども、それを「どんどん出してね」というような働きかけがあったかというと、そうではなかったです。ある程度、もともと興味がある人たちを中心に応募がある状況だったと思います。
それから、応募の後ですよね。具体的に審査して、通過した後に事業化するというところで、事業化するための仕組みだとか受け皿というものが、あまりなかったと思います。
私がいる新事業創造部は、約3年前に、新規事業を専門にやる部署としてできたんですけれども、それまでは既存事業をやっている部署しかありませんでした。
また、いろいろな調整の中で、提案した人ではなく結局別のラインの人が事業の担当者になってしまうこともありました。そういった点も課題だったんじゃないかと思います。
濱地:はい、ありがとうございます。やはり新規事業の取り組みを受け渡していくこと、ないしは、「起案した人が最後まで駆け抜けるんですよ」「あなたが最後まで旗を振るんですよ」というマインドの醸成が課題ですね。所属している部門長、仲間がそれを支える空気や仕組みなどができるかどうかが会社全体としてなかなか高いハードルになることを、たくさん新規事業制度をお手伝いさせていただいていて、我々も感じるところではありますね。
渡邉さんに1つだけおうかがいしたいんですけれども、渡邉さんは先ほどのお話で、別に仕組みがない中でパッと手を上げて飛び込んだということだったんですが、今私が申し上げたような、チャレンジしたい人をやらせて、文字どおり「やってごらん」という空気は、会社や部門にもあったんですかね?
渡邉:ものすごいありますね。やはり危機感もありますし、食品のメーカーというものが、物ありきのものだと限界が来ているという中で、なにか新しいことをやっていかなければいけないというところは、上長含めてみんなにあった。そこの気概が非常に強いかなというふうに思います。
濱地:やはり危機感があると、会社としての方向はそろいやすいということですね。
渡邉:そうですね。
濱地:ありがとうございます。
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