2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
IoT(Internet Of 豚舎)で切り開く、日本の食肉の未来を宮崎から marumitonの挑戦(全1記事)
提供:ウイングアーク1st株式会社
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日高義暢氏(以下、日高):こんにちは。宮崎県からやって来ました、有限会社協同ファームという養豚場を経営しています日高と申します。38歳です。
この写真(自身のプロフィール写真)は宮崎県の「日本のひなた宮崎県」というプロモーションのなかで、一般人枠の「ひなたの人」として撮っていただいた写真です。それを使わせていただきました。
我が社の銘柄は「まるみ豚」と申します。2009年に銘柄化をして、いわゆる6次産業化(注:第1次産業が食品加工や流通、販売まで包括して展開している経営業態)で今まで取り組んできました。先ほどの(映像のなかの)「幸せをねがい育てました」というキャッチコピーが、ようやく去年できあがったぐらいのまだ新しい銘柄です。
このキャッチコピーが、我が社の理念でもあります。やはり働くスタッフみんなが幸せを感じられる会社でありたいと願っております。
ふるさと納税などで自社販売分が、全生産量の1割くらい。あと2割が宮崎県内のスーパーさんの比率。まだ、その3割程度です。これからもっともっと、全国的に営業をしていこうと思っているところです。
6次産業化で一番最初に取り組んだことは、地元の朝市での豚100パーセントハンバーガーの販売でした。ホームページなどを立ち上げていったものの、(さらに)何かをしなきゃいけないと思って、商店街には「軽トラ市」という、人がたくさん集まる朝市があるので、そこでやってみようと決意しました。
そしたら、それが商店街の方々にものすごく喜ばれたんです。それくらい、農業者が自分で値段を付けて売るということが、とても稀なことでした。僕も実際、はじめて自分でハンバーガーを焼いて、人に売るっていうことをやったときに、ものすごくこわかったんです。
それくらい勇気のいることでした。養豚は産業としてはまだまだ50年くらいの歴史しかないんですが、農業は戦後すごく発展して、作ればすべて売れるという時代がありました。なので、「生産者は生産こそが仕事である」と、親の世代から強く教わってきたんです。
確かに、売ることではなくて生産をすることが仕事だと、それだけやればいいというのは、それはそれで効率的なのかもしれません。今、こうやって自分で(生産品を)売るということは、とても勇気のいることでした。
もしかすると、ある意味、閉ざされた世界を作り出したのは農家自身なのかもしれないと、そのようにも感じる経験でした。
日高:我が社の生産物がどういう豚肉かということを説明するんですが、まずは「愛がなければ育てられない」と、それが基本中の基本です。
そして、「水と餌と衛る(まもる)」と紹介しています。
水については、井戸水に高濃度酸素を取り入れて酸素濃度を上げ、細胞レベルで豚の体の活性化をはかります。
餌について、とくにこだわっていることは、余計なものを入れない。できるだけシンプルにしたい。トウモロコシがメインなんですが、そのトウモロコシに秘密があります。
トウモロコシを粉砕するところからはじめるんですが、自社で室(むろ)を構えて、プロバイオティクスと呼ばれるあらゆる腸内活性菌を培養して、それを餌に添加することで豚をお腹の中から元気にさせて、免疫力を高めます。
そうすることで、いいフンをさせて、いいフンがいい発酵を生み、それが場内の臭気対策にもなるという狙いもあります。
つまり、病気にさせない、それが大事なことなんですが、こういう目に見えない微生物の働きや、浄化槽などもコントロールしないといけないんです。そうした目に見えないものを相手にして、仕事をしております。
そして今、衛生管理基準等の取得に向けて動いております。美味しい、美味しいと評判はいただいてるんですけれども、そういったものも数値化していきたいと思っています。
働き方についても、農業者のあるあるなんですが、どうしても職人的になりがちなんです。「俺ならできるけど」という世界が起こりやすいです。そういったものをなくしていこうと、自分がやって見せて、それを(ほかの人に)やらせて、教えるということは大事なことなんです。
自分が持ち得るものをみんなで共有していかなければ意味がないんだと、そのように考えてやっています。
日高:私は約15、6年、この仕事をやってきたんですが、大人たちがよく、農業を取り巻く情勢は厳しいと述べる様子をずっと見てきました。農業は厳しいと言いますけれども、厳しいというのはどの業界も一緒だろうと思います。
とくに、製造業がいかにして国際的に戦ってきたかということを学ぶほど、農業だけが厳しいとばかり言ってはいかんだろうと感じました。だから決して弱音は吐かないぞと、そういう気持ちをもって、相場取引だけにぶら下がっていた自分の販路を、自分の力で作り出したいという気持ちで、いわゆる6次産業化にも取り組んできました。
そうしたときに、大きな事件がありました。2010年の口蹄疫です。宮崎県内で感染が広がり、うちの隣町から発生したんですけれども、すぐうちの街にもやってきました。この口蹄疫という病気は、10年以上前にイギリス全土で猛威をふるったんですね。
今ではアジア諸国がおもな感染国です。この病気は世界の第1級感染症で、もうとにかく大変だと。この病気を撲滅させるには、殺処分という手段しかないんです。
この写真は、自分がフォークリフトの運転席から撮った写真なんですけれども、カゴに子豚を乗せています。それを「これから殺処分するぞ」という、そのときに撮ったものです。
やはり最初に申し上げたように、愛がなければ決して育てられないんですね。僕たちは育てた豚を出荷して、死にはしますけど、お肉になってたくさんの人たちと出会って、その生きる力となる。美味しいという笑顔に変わることによって、命が再び生かされる、そういうことを感じるんです。
だから、ただただ殺さなくてはいけないという作業は、本当に悲しいことでした。しかし、この病気を宮崎県内だけで、僕らの地域だけで抑えたい、そしてこの命を次に繋げたいという気持ちでこの作業を乗り越えました。
日高:本当にたくさんの方々から助けをいただいて、乗り越えることができました。この命を絶対に無駄にしないぞと、そういう気持ちでいっぱいでした。豚がゼロになれば病気もゼロになるということは、その先にある仕事は日本一クリーンな生産体制でスタートすることができる。
これをチャンスと捉えるべきだと考え、そして、豚舎と技術があれば何回でもやり直すという思いで、6次産業化もそのクリーンな生産体制によって売り出していくぞという意気込みで、今までやってきました。
ただ、この豚舎がもう17、8年経っていて、いくらがんばろうとしても、豚舎の老朽化から逃れることはできません。
ずっと悩まされていることがあるんですが、豚舎のなかはこのようになっていまして、いろいろなトラブルが起きます。水道の塩ビ管が破裂したり、集糞する機械のワイヤーが、目に見えないところで動いているんですが、空回りしていてそれが摩耗してしまったり。
豚は大きい、親豚はとくに大きいので、そういった要因もあり、時間とともに(豚舎が)腐食していきます。なので「次に新しい豚舎を建てるときはこういうふうにしたいな」という夢をずっと見ていて、今やっと新しい豚舎の着工に入りました。
より衛生的にするために、ツーサイト方式と言って、先ほど建設現場をお見せした繁殖場と、こちらが今の農場なんですが、こちらをすべて肥育場に改造するという取り組みを、今はじめているところです。
日高:こちらが消毒ゲートです。どうせ豚舎を作るならいい豚舎にしたいと思うのですが、立派な消毒ゲートを立てれば病気が入らないと思っていたら大間違いで、立派な施設を構えていても、扱う人がしっかりと管理できないといけない。
例えば病気であれば、人がまず手を洗ったりしなければ意味がないと。だからこそ、作る施設をしっかりと管理できるようにしたいなと、いろいろなことを思い描いていました。
この口蹄疫という、僕にとっては大きなことだったのですが、私は決して口蹄疫ウイルスを恨んではいないんです。ただ、とても大切なことを教えてくれたものだと思っています。それは、ウイルスというのはいろいろな型があり、環境に合わせて自分の型を変えて生き延びていきます。
つまり、自分を進化させながら生きているんです。果たして僕たち農業者は進化してきたのか、そういったことを強く突き付けてくる存在でした。だから、これから僕たちは今までどおり品質は追及しながらも、徹底したコスト意識による生産体制を作っていきます。
そして、マーケティングまでやらなくてはいけないと思ったときに、もう自分の知恵を超えたものに頼っていかなくてはいけないと感じ、やはりそこにITの力があるんじゃないかということで、こういったご縁をいただいております。
(IoTによって)何をしたいかというと、先ほども言ったように豚舎内ではすごく元始的な機械が動いているんですが、それを豚舎に行かなくても見れるようにできるんじゃないか。もう今やみんな、LINEグループで会話をしていますよね。そういったことを繋げていきたいと思っています。
できることなら機械の方から、「こうやって動いているよ」ということをLINEグループで教えてくれないか、そういったことを探り探りやっています。
実際、見える化ということは今までも、マグネットを使って親豚の繁殖のスケジュールを作ったり、そのような努力は現場でやってきていました。
スマホの普及によって、人々のライフスタイルも変わってきたんだから、当然、仕事の仕方も変わってきたんです。それは田舎の農村においても同じです。ですので、スマホで管理をしようということに対するハードルは、そんなに高くないものだと思っています。
少し自慢になって恥ずかしいですけれども(笑)。我が社の豚というのは、宮崎県の豚肉の品評会で3度、こういった実績も持っております。こうしたJAPANクオリティで「これからは世界と戦う」と、そして東京オリンピックを目指していこうじゃないかと、我が社では取り組んでいます。
さまざまな認定を受けて、いろいろことをやっていかなくてはいけないということを夢見ています。
日高:なぜこういう私、養豚場の者が、IT業界の方々とご縁ができたかと言いますと、僕が「ITの力で何かできるんじゃないか」とずっと探していたら、いわゆるマーケティングオートメーションにまんまと引っかかりました。向こう側から、「こういったことにご興味がおありですね?」ということでアクセスをいただいて、「おおー!」と。
要するに、ネットで出会った人と付き合ってるわけなんです。ここで、紹介します! 実は私、宮崎県内でちょっとしたローカルのラジオ番組をやっていまして、そのオープニングで登場したいという方々がおりますのでご紹介します。
ウイングアーク1stの高橋さんと、システムフォレストの松永さんです。よろしくお願いします。
(会場拍手)
高橋弘一氏(以下、高橋):みなさん、こんにちは。ウイングアークの高橋です。松永さん、いよいよやってきましたね。福岡に続いて、2回目の出場で、ここからは「まるみ豚ブラザーズ」ということで、まるみ豚の公式Tシャツと、ウイングアークの公式パーカーを着て、3人でやっていきたいと思います。よろしくお願いいたします。
日高:よろしくお願いします。
高橋:それではさっそく話をしていきたいと思うんですけれども、松永さんはどちらの松永さんでしょうか?
松永:もちろん(スライドに)出ていますよね?(笑)。
高橋:はい。出てますけど……。
松永:私、システムフォレストの松永と申します。どうぞよろしくお願いいたします。我々は株式会社ウフルのグループ会社です。(スライドを指して)今こちらに出ていますけれども、クラウドのコンサルティング・インテグレーション事業、IoT事業、デジタルマーケティング事業、これらを行っております。
右側の図にございますけれども、我々はウイングアークの「MotionBoard Cloud」、そして「Salesforce」、またAmazonやSORACOMといったプラットフォーム等を使い、お客様にクラウドサービスを提供しております。
松永:この図を見ていただいても、我々が非常にクラウドに特化した会社だということが、みなさまにおわかりいただけるかと思います。では、高橋さん、カスタマーサクセス部のご紹介お願いいたします。
高橋:はい。私はカスタマーサクセス部という部署をやっております。ウイングアークは今、「データエンパワーメントカンパニー」ということで、「情報を使っていただいてなんぼ!」ということを考えております。そのなかで、カスタマーサクセス部は「MotionBoard」をはじめ、お買い上げいただいた当社の製品をお客様に使っていただくときに、みなさまを支援する部署になります。
初期の構築や定着化、あとは活用支援ということで、ますます使っていただくために、各種いろいろなサービスをご用意しながらご提供させていただいております。
協同ファーム様も、システムフォレスト様と一緒にご支援をさせていただいているということで、今日、ご縁をいただいて登壇させていただいております。よろしくお願いします。
高橋:一般的にIT業界では、IoTとは「Internet of Things」ということなんですが、今回はIoTの「T」が「Tonsha(豚舎)」なんですね。豚舎は、なかなか東京では馴染みのない言葉なんですが、今日はみなさん、豚舎に興味を持っていただいて、ぜひみなさんもはじめていただけたらなと思います。なので、ここの掘り下げをしていきたいと思います。
(松永氏に向かって)まず、どこからスタートしたということなんでしょうか?
松永:そうですね。今、日高さんからみなさまにいろいろとご説明があったかと思うんですけれども、豚というのは餌、水といったところが非常に大事になってまいります。あとは環境といった面で、先ほど習慣という点がありましたけれども、そういった部分ですとか。あと日高さん、けっこう豚って、温度に対してデリケートですよね?
日高:もちろん。そうです。
松永:そうですよね。そういったことをいろいろとヒアリングをさせていただいて「まずはこの4つからモニタリングしていこう」というところではじまりました。
日高:まずは水からですね。
松永:そうですね。
高橋:このプラットフォームについて、簡単に教えていただきたいです。
松永:はい。IoTの活用はもちろんなんですけれども、まずはIoTの前に、IoTのプラットフォームを考えましょうということで、我々は「1KDFプラットフォーム」という1つのプラットフォームを構想いたしました。KDFというのは協同ファームの略称です。
その上に、IoTのプラットフォームとして、MotionBoard Cloud、そしてSORACOM、さらに我々が得意とするSalesforce様のサービスであったり、あとはコミュニケーションのプラットフォームとして今回、LINE WORKSやEvernoteを使っております。
こういったサービスを活用して、協同ファーム様のまるみ豚を支援させていただくプラットフォームを作ろう、ということで今、動いております。
高橋:はい。では実際に、どんなことをやっているのかっていうのを、ちょっと画面で見ていただきたいと思います。
こちらが、今さっそく使っていただいている画面になります。日高さん、どうですかね。私が説明するよりも、やはり使っていただいた方の意見をお願いしたいと思います。
日高:(スライドを指して)これは水をモニターしていて、右上に表示されてグラフが10分おきの水の使用量です。
高橋:そうですね。
日高:次のグラフが1日の水の使用量です。
高橋:ここに赤い部分が出ているんですけど、この水の使用量になにか異常があるんじゃないかというアラートを示しています。下の方にいきますと、カレンダー表示だったり、こういったものを使っていただいています。
日高:養豚場は……いいですか? 僕が説明して。
高橋:どうぞ説明してください。
日高:先ほど写真も見せましたが、養豚場で水道管のトラブルなどがあると、本当に1日の仕事の段取りが狂ってしまうので、そういったことを見られないかなと思ったのが最初の目的でしたね。
松永:実際に使っていただいてみて、何かほかにわかることってあるんですか?
日高:あります。この赤いグラフのところが、豚が寝ているときなんですが、だいたい朝何時ぐらいから豚が起きだして、餌を食べたり、水を飲んだりという活動をはじめているかということが、これでわかるので、僕らにとってはすごく大きな気付きになります。
松永:なるほど。実際(グラフが)上がってきたところが豚が活動し出した時間帯ということですか?
日高:その、ぐんと上がっているところは僕らの作業ですね。作業で使った水の量が出ています。
高橋:松永さん、今、井戸のところにチェックマークが付いているんですけど、これは何ですか?
松永:そうですね。グラフを見ると、確かに今流れている流量などがわかるんですが、やはり現場の方はなかなか、すぐにそういった細かいところを見れないので、一目でわかるような、こういったアラート表示をしています。
今は緑になっていますので正常ですけど、異常になった場合はバッテンが付きまして、なにか異常があるんじゃないか、という表示ができるようにしています。
高橋:これ、なんか触ってみたら……。
松永:そうですね、いい質問があれば。ぜひ触っていただければと思います。
高橋:はい。日高さん、ここは?
日高:はい、こちらは井戸設備ですね。とくに夏だと水槽の水位が下がったりするときもあるので、それを見れたらいいなと思って。
松永:なにかに異常があったときに、現場の状況を確認しないといけないっていうことがあるので、こういったカメラの映像と一緒に合わせて見るっていったところでも、非常に便利になるという。
日高:そうですね。一応うちの農場はそれなりの広さがあって、なかなか現場に行くのに時間がかかったりしますので。
高橋:ほかにも見ている画面があるんですよね? ちょっと見ていただきましょうか。
またいろいろなグラフが出てきましたが、こちらは何を見ているものでしょうか?
松永:ここは私の方から説明します。左上が豚舎の温湿度グラフ。右側が、先ほどお見せした貯水槽の騒音のヒートマップです。豚が温度に対してデリケートということで、そういったところをしっかりと見えるようにしたものですし。
この貯水槽の騒音ヒートマップのなかに赤い表示がちょっと出ているかと思うんですけれども、日高さん、ここって……。
日高:これは作業をした日やポンプの異常などがあったときがわかる、ということですね。
松永:そうですね。そういった、誰かが作業しているかもしれないということや、機械の異変を音で感じる。それをヒートマップで実現しているというわけでございます。
日高:万が一、動いていなかったら音がしないということも認識したいと(笑)。
松永:そうですね。
高橋:ほかにも、モバイル端末上でも実際にいろいろな情報を見ていただいています。
日高:はい。
松永:先ほど日高さんもおっしゃっていましたけど、スマートフォン。やはりパソコンはなかなか使わないということで、スマートフォンでも見られるというのが、MotionBoard Cloudの1つの利点かと思います。
そのように、いつでもどこでも見られる環境が準備されているというかたちでございます。
高橋:(スライドを指して)これ、右側のLINE WORKSの方に、MotionBoardからアラートを飛ばしているという画面になります。こちら今日の基調講演でもありましたとおり、今後MotionBoardはこういったSNSとの連携を図っていこうとしています。
実はこれはまだ、アルファ版として今はご利用いただいている段階です。なのでこれから協同ファーム様に使っていただいた内容を、フィードバックしていただきながら、今後実装していきます。ぜひ参考までにということで、見ていただければうれしいなと思います。
高橋:それでは今度はもう少し深掘りして、テクノロジーのところをお話いただきたいと思います。
松永:はい。では、実際にどういうテクノロジーでできているのかというところを、簡単にご紹介したいと思います。
まるみ豚を支えるIoTプラットフォームということで、我々はデバイス、ネットワーク、クラウド、そして人が使う、といった4つのレイヤーを考えております。
デバイスにSIMをさしてデータをアップロードできるようにします。センサーを繋ぎます、そして、今回はSORACOM様のプラットフォーム、IoTに関する新サービスでSORACOMというサービスがありますけれども、そちらを活用して、MotionBoard Cloudにデータを上げております。
それを協同ファーム様が、先ほどありましたスマートフォンであったりPCであったり、そういったもので見るというかたちです。
IoTはとくに、データの量が非常に多くなりますので、MotionBoard Cloudから、Amazon様のAWSサービスに対してデータを投げるということも実現させております。先ほど高橋さんからご紹介がありましたが、今回初の試みとして、LINE WORKSでのアラート連携のシステムも作っています。
今は流量や温湿度といった情報ですが、日高さん、今後は、設備の稼働管理として自家配合や浄化槽と連携したいですよね。
日高:はい。あらゆる機械に導入していきたいと思っております。
高橋:続いて、なぜSORACOMを使われたのかというところも、少し触れていただければと思います。
松永:はい。我々が、IoTの案件やイベントをやらせていただいているなかで、けっこういろいろな課題が出てきたんです。そのなかでも、「SORACOM Funnel」によって解決できたものがありました。
今まではやはりデバイス、機械モノにインストールをして設定作業をするため、非常に時間がかかっておりました。また、IoTのデバイスは基本的には野外に置くことも非常に多いので、そこからIDやパスワードの情報、クラウドへのアクセス情報を盗まれてしまう恐れがありました。
そういったところで、開発の工数でいうセキュリティの部分、やはりここは常に不安がありました。そこでFunnelを使いますと、接続先を指定するだけのシンプルなプログラムのデバイスに書き込むだけで、簡単にデータをSORACOMに上げることができます。
また、IDやパスワードの情報というのは、SORACOM Funnel側が持ちますので、基本的にはデバイスにはそういった情報がない状態で、セキュリティ的にも非常に安心です。
こういったところが、採用したポイントになります。
高橋:なるほど。そうすると、とくに設備投資も必要なく、簡単に導入できるというところがSORACOMさんのいいところですね。
高橋:だんだんSORACOMさんのセミナーみたいになってきましたね。
松永:(笑)。会場にいるウイングアークさんの目が厳しくなってきたので、ウイングアークさんのいいところも、しっかりご紹介したいと思います。
先ほどのFunnelと、このウイングアーク様がご提供されているMotionBoard Cloudが、2017年度の5月から運用を開始されました。その時がちょうど我々が協同ファーム様にご提案を差し上げるタイミングだったので、「これだ!」ということで今回採用させていただきました。
高橋:なるほど。タイミングよく、活用していただいたということで。
松永:なぜMotionBoard Cloudなのか、といったところになりますが、日高さん、IoTをやるときにポイントがあったと思います。
日高:はい。
松永:我々に求めていたものについて少しだけお話いただければと思います。
日高:難しい言い方はわからないですが、僕らがやっていただきたいことはやはり、どういうコストがかかるのか、どうやってやればいいのか、とにかくいろいろことを投げかけて、決して逃げずに答えていただく、そういった状況でしょうかね(笑)。
松永:はい(笑)。そうですね、我々は日高さんの思いを聞いたときに、やっぱりどんどんと出てくるので、開発者としてはアジャイルでやろうと、どんどんブラッシュアップしていこうといった……。
日高:アジャイルってなんでしたっけ?
松永:アジャイルは、わかりやすく言うと「改善」です。
日高:すみません。
松永:いえいえ。こんな感じでいつもやっております(笑)。
松永:それで、時間とコストといったところを考えると、なかなか設備投資を一気にどんとやるのは難しい。じゃあやっぱり、ということで……せーの!
(3人がウイングアーク公式パーカーの背中の文字を見せる)
松永:はい、「オレ、クラウドしか、知らない!!」ということで。
日高:恥ずかしい(笑)。
松永:恥ずかしいですね(笑)。雰囲気が福岡とは違いますね(笑)。
ということで、クラウドを採用させていただいたというかたちです。加えて、先ほど4つのレイヤーがありましたが、組み合わせが非常に重要になってきます。そうした親和性が重要だというところで、先ほどFunnelの話もしましたが、やはりMotionBoard Cloudを使わない手はない、といった経緯で今回、使わせていただいております。
日高:コストについてなんですが、うちの農場の規模拡大をしようとしたときに、今の機械よりも倍以上の設備を入れることになります。そうすると今、年間で1千万円以上、修繕費などのコストがかかっている状態なんですが、設備を管理することが簡単にできれば、それぐらいのコストの改善もできると見込んでいます。
松永:我々はMotionBoard Cloudを導入するときに、ただ単にやるのではなく、初期のコンサルティングやポップ、検証ですね、検証の設計や実施といったところ、あとは実際の本番導入支援。それから運用、そしてまた、改善するためのコンサルティングといった一連のフェーズをやらせていただいております。
我々はこうしたことをウイングアーク様と一緒にMotionBoard Cloudで、協同ファーム様をご支援をさせていただいているといったかたちでございます。
高橋:ありがとうございます。
日高:まだ私たちはやりはじめたばかりで、手探りでやっているんですが、先ほどお見せしたように、いろいろな設備が見えないところでがんばっているんだなということがIoTによってわかります。水のモニターだけでも「ああ、この水道管、この時間帯にがんばっているんだな」とか、そういうことも感じられるんです。
まさに、モノの魂を感じられるようになったというか、それをLINEグループで通知されるようになったら、より一層、モノの魂を感じながら仕事ができる。そうするともっと、モノを大切にできる。それによって当然コストも抑えられるだろうと感じております。
日本の養豚、畜産をもっと魅力的に、そして「いいね!」と言われるものにしていきたい、そう夢見ています。
高橋:はい。ありがとうございます。ここまで、豚の話を聞いてくると、食べたくなってきませんか? みなさん、「ちょっとお腹すいてきたな」と思ったりしませんか? この「まるみ豚」、東京でもどこか食べられるところってないんでしょうか?
日高:はい、東京オーブンというお店がありまして、神田に2店舗、そして赤坂に1店舗ございます。本当にここは、うちのお肉をたくさん使っていただいていて、今日は社長も来ております。
高橋:こちらもあれですよね? もともと日高さんが売り込んだわけではなく……。
日高:見つけていただいたという感じです。
(高橋氏が東京オーブンを訪れた際の写真が表示される)
松永:ここに証拠写真が。
日高:食うとるやないですか!
(会場笑)
高橋:ほんまですね。食べていますね。
日高:食べてますよね。
高橋:はい。忘れておりました(笑)。
日高:ははは(笑)。我が社のネットショップもございます。(「まるみ豚」のWebページが表示される)あ、いいところが出てきました。只今、お歳暮の特集もやっております!
(会場笑)
日高:ぜひともご覧ください。
高橋:ということで、協同ファーム様の取り組みはまだはじまったばかりです。これから3年ぐらいかけて完全に、豚舎をIoT化していきます。また、ウイングアークとしても、これからもフォローをして、みなさんに続編をお届けしたいなと思っております。
ぜひ、これからも引き続き一緒にがんばりましょうということで、日高さん、最後にひと言お願いします。
日高:まるみ豚、よろしくお願いいたします。
(会場笑)
日高:ありがとうございました。
松永・高橋:ありがとうございました。
(会場拍手)
ウイングアーク1st株式会社
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