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グローバル&リアルタイムの図面・技術資料共有 ペーパーレスによる情報活用の新しい仕組み作り(全1記事)

2018.02.07

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グローバルで技術情報共有--大幅に業務フローを短縮した老舗企業の取り組み

提供:ウイングアーク1st株式会社

最新テクノロジーやデータを活用する企業が一堂に会し、先進的な取り組みを共有するカンファレンス「ウイングアークフォーラム 2017」。10月20日に開催されたウイングアークフォーラム名古屋では、「グローバル&リアルタイムの図面・技術資料共有 ペーパーレスによる情報活用の新しい仕組み作り」というテーマで松井製作所の森口知洋氏が登壇。電子活用ソリューションSPAを活用した製造業の事例を紹介しました。

プラスチック成形工場の資源生産性4倍を目指す松井製作所

森口知洋氏(以下、森口):みなさん、こんにちは。株式会社松井製作所グローバル事業推進カンパニー情報システム部、森口知洋と申します。よろしくお願いいたします。

会社に入って今年で21年目になります。普段勤務している場所は大阪府枚方市の大阪事業所で働いています。主な業務といたしましては、基幹システムIBM i、旧AS/400ですけれども、自社で社内一貫システムを開発しており、そのシステム開発やメンテナンス、プログラムの修正などを行っています。

今回はSPAの話になりまして、情報共有の仕組みを新たに構築いたしましたのでご紹介したいと思います。

まず株式会社松井製作所なんですけれども。本社は大阪府大阪市中央区で、創業1912年から100年以上続いている企業です。事業内容としましては、プラスチック成形用の設備・システムの製造・販売などを主にやっています。

松井は今「factor4」ということを使命として行っています。factor4とは成形工場の豊かさ2倍、資源消費を半分にすることで、資源生産性4倍を実現するというものです。豊かさとは付加価値になりまして、資源消費は水・資源・エネルギーの無駄を省くようにしまして4倍を実現しようとしています。2÷1/2で4倍ということになります。

松井の国内拠点なんですけれども、北は東北から西は福岡まで国内で15拠点ございます。海外での展開なんですけれども、2017年現在、日本を含めまして世界で15ヶ国、松井拠点と代理店を合わせますと50拠点あります。

主な地域といたしましてはご覧の通りなんですけれども、中国、東南アジア、ヨーロッパ、アメリカ等にありまして、生産は日本、中国、タイが中心となって行っています。

松井の製品の紹介になります。今、力を入れている機種といたしまして、金型温度調節器MC5-G1/G3シリーズになります。G1シリーズと言いますのはコストパフォーマンスを追求したモデルになっていまして、G3とは高付加価値モデル、次世代素材や新加工法に対応するようなモデルになっています。

ここで金型温度調節器とは何かを少し説明したいと思います。プラスチック成形を行う際には金型の温度を調節する必要がありまして、それをコントロールする機械です。成形品の品質を安定させるためには必要不可欠な機械です。これと別になりますけれども、関連してプラスチック材料の輸送機や乾燥機、配合機、粉砕機なども製作・販売をしております。

検討から製品決定までの流れと課題

次に、検討から製品決定までの流れになります。今までの運用のやり方なんですけれども、まず技術担当者が技術資料を作成いたします。次に技術管理部門がその資料を国内外に発送します。拠点の人はもらった資料をファイルにファイリング作業をしまして、それを技術担当や営業担当が閲覧するという流れになっています。

この仕組みでいきますと、例えば技術担当者がファイルがないといった場合には、直接技術担当者に電話やメールをしたりと問い合わせが必要になっていました。その中でよくある問題は、ファイリングされている資料を誰かが持ち出してどこにいったかわからないとか、すぐ見れないということでした。

ここで課題のポイントです。

まず印刷作業、配布や発送作業、発送費用。タイムラグ。これは時間がかかるということです。次に改訂時の差し替え、これは差し替えるのが面倒くさいとか、なかなか終わらないといったところ。

次に、現場の混乱。混乱というのは、ファイルが古いままでまったく更新されていないとか、差し変わっていないということです。あとは、問い合わせのレスポンス。先ほども申しましたけれども、電話をかけても誰もいないとか、海外から問い合わせをするのであれば時差を考慮しなければなりません。

実際に起こった問題としては、ファイルの資料の差し替えが行われておらず、古い図面のままで製品が作製されてしまったこともありました。紙でやっていることが問題ではないかということで、紙での運用はいろいろな課題が出てきます。

あるべき姿としては、ペーパーレスで情報共有ということがあります。海外拠点・国内拠点のどこからでも利用ができる。これは利便性が良いということになります。修正・変更がリアルタイムで反映され、現場を混乱させない。常に最新版が見られます。

それから、セキュアーに一元管理ができる情報ガバナンス体制の実現。これは本社でコントロールができる。これが理想の姿だと考えました。

必要な機能としては、海外を含む全社での利用ができる。PDF形式のファイルが管理できる。PDFというのは、みなさんご存知の通りの標準的なファイルで、これでやりたいというのがありました。

次に、複数ブラウザ(Chrome、Internet Explorer)に対応ということで、弊社は共通のブラウザをChromeに決めていますので、できればChromeが使えたら、と思っていました。次に、グローバルで利用するために表示言語の切り替えができる。もしできなければここは英語で統一しなければならないかな、と考えていました。

次に、通信環境が悪くても実用的な閲覧速度。グローバルで使いますし、しかも遅ければ使ってもらえないので、これも考慮します。

最後に、ログインユーザーごとのアクセス権や操作コントロール。アクセス権のコントロールが細かくできると使用用途が増えてきますので、これも欲しい機能かなと思いました。

製品の選定におけるポイントとしては、まず比較表を作成しました。項目としましては、閲覧をスムーズに行うことができる。クライアントごとに費用がかからない。海外向けに表示言語の切り替えが可能。管理者にてセキュリティの一元管理が可能。クラウドで利用ができる。という項目で比較をしました。

ここで一番重要になってきたのが、「クライアントごとに費用がかからない」ということです。考えていた構想としては、徐々にユーザー数を増やしていくことを考えていまして、これが例えば「1ユーザーあたりいくら」となるとユーザーを増やしていくのが困難になってきますので、できればサーバ単位でライセンスが買えたらいいなということで考えてきました。

これらを比較しましてSPAがすべて一応条件を満たしていました。ということで費用的にも実現可能な費用で構築できるということで、SPAに決定をいたしました。

全世界で誰でもが使えるシステムにするために

次に、構築から運用開始までの流れになります。導入におけるテーマといたしましては、全世界で誰でもが使えるシステムにするというもの。システム構築をしても使ってもらえなければ意味がない。いかにわかりやすく作るかを考えていました。

次に、システム構成をどうするかということで、今の時代考えられるのが、オンプレミスかクラウドか。クラウドと言いましても、実際のクラウドのほかにデータセンターなどもあるんですけど、社内か社外かという選択になるかと思います。

次に、方法が2つ書いてあるんですけれども、従来から弊社が行っている方法としては、まずオンプレミスのサーバということで松井の社内にサーバーを構築して外部からの接続はSSL・VPNで接続するかたちが今までのやり方でした。

このやり方でいきますと、まずVPN接続をするのにクライアントごとにソフトをインストールしてVPNの設定をして、ということが起こってきます。さらにVPN接続をすることによって、速度がけっこう落ちます。

逆に今度はクラウドにしますと、VPNを使わないかたちでやりますので、速度の低下はないだろうということと、VPNを使わないのでソフトのインストールや設定作業が不要になってくる。グローバルで使用するのであればクラウドのほうが向いているのではないかということで、クラウドという方法になりました。

実際に構築した構成図になります。クラウドはIBMのBluemix、旧SoftLayerになるんですけれども、そちらに構築をいたしました。なぜBluemixかと言いますとシステム構成が柔軟に対応できるところと、あとは弊社に合っていたのでこちらに決めました。

さらに、外部からの接続に関しては、セキュリティを確保するためにまず接続元のIPアドレスのチェックを行っています。これは海外・日本の各拠点から通信する分に関しては許可、ということをしています。

さらに、ソフトウェアベースやそのほかの拠点からの接続に関してはパソコンにクライント証明書を入れまして、そのチェックによって許可する/しないということを行いまして、二重のチェックでセキュリティを保っています。

クラウドにすることによって利点もあります。弊社は1年に1回、停電が必ずありまして、その停電のときにもクラウドにサーバーがあれば電源を落とさず情報システムの負荷を軽減できました。

構築のポイントとしましては、全世界で利用するためにフォルダ名は英語表記。フォルダ名もそうなんですけど、ファイル名も英語にしました。次に、直感的にファイルが探せるフォルダ構成。プロジェクトでやっていまして、このプロジェクト内で何回も話し合って工夫をしました。

次に、1機種=1ファイルということで図面ファイルを機種ごとに統合して見やすくしました。次に、図面ファイルはログインユーザーのセキュリティレベルに応じて必要ページのみを公開ということで、図面に関して技術部門と営業部門が見て「いい」「悪い」という制限がありまして、そういうものが必要だということを考慮して考えました。

それから、「ユーザーのセキュリティレベルに応じて利用機能を制限」ということで、帳票の印刷の可/不可をコントロールしています。

SPAの機能なんですけれども、閲覧するときには閲覧ページのみを取り込みますのでサムネイルからすぐに表示できています。

中身をイメージできるフォルダ構成

フォルダの構成の部分なんですけれども、先ほども申しましたようにフォルダ名は英語。説明は日本語でわかりやすく書いてあるんですけども、フォルダ名は英語にしています。中身をある程度イメージできるようにフォルダの構成を決めました。

フォルダの階層といたしましては、まず機種のシリーズのフォルダを取りまして、その中に機種名、その次の階層に技術連絡書であったり、技術データであったり、取説というフォルダを作りました。実際の図面は型式ごとに異なりますので、技術データの中に型式というフォルダを作りまして、その中に図面とかそれに関連する材料の手配のリストなども入れています。

なぜこのような少し変わった構成になったかと言いますと、機種で共通しているようなデータがけっこうあるため、型式の中に取説などを含むのではなくて、機種で取説や技術連絡書などを作るようにしました。

少し小さいんですけれども、先ほどの実際のフォルダの構成です。①となっているところがまず01のドライバ。これは機種シリーズになりまして、②のDNZ2というのが機種になります。その下に各フォルダが並んでいるというかたちにしています。フォルダの順番を決めた順番に並べたかったために、前に数字も付けました。

次は図面のファイルの管理のやり方なんですけど、図面は型式ごとに1型式で1つのファイルというふうに結合しました。やり方は、まずファイルの中にはユニットごとにABCとかユニットの構成がありまして、それを構成する部品がその下に並べているような感じになります。これを結合して1ファイル化、という感じでやっております。

ここで先ほども申しました通り、図面によって権限が異なりまして、それをコントロールするやり方が右側に書いてあります。まず原本ファイルは普通にありまして、これは技術の方は全員が見られるかたちにしています。

ここからマルチリンクの機能を使いまして、仮想ファイルをもう1つ作ります。営業マンは原本ファイルを見るのではなく、仮想のファイルを見るようにしました。これによって見られるページを抜き出してコントロールすると、技術の人は1ページから4ページまで見られて、営業の人は3ページ目4ページ目だけが見られるようにしました。

これをコントロールするために原本ファイルと仮想ファイルは別々のフォルダに入れまして、そのフォルダのアクセス権を変えています。ちなみに技術の方は仮想ファイルも見られるようにしています。これは営業と技術でお互いに話が合わないということにならないように、両方見られるようにしています。

それから、フォルダの名前の付け方としましては、原本ファイルは全部見られるので名前の後ろには「all」と付けまして、仮想のほうは後ろにセレクトという意味で「s」を付けました。

次に印刷の制御のやり方になります。右側の操作権限なんですけれども、全員ダウンロード不可、印刷可という設定をしました。ユーザーは各グループを作りまして、それのどこかに所属するかたちにしています。

右側のアクセス権限。これはフォルダなんですけれども、取出し可/取出し不可というのをユーザーグループごとに決めまして、操作権限とアクセス権限で印刷可/不可というのをコントロールするようにしました。

次に透かしの部分の有無をフォルダごとに設定をしました。例えば取説は社外でも公開しているデータなので、印刷しても透かしは出ないようにしました。逆に図面などは社外秘となりますので、透かしを印刷するようにしました。

次にSPAを実際に導入したスケジュールになります。まず調査を2016年の10月から始めまして、検討を行いまして、2017年1月にはSPAでいこうと製品を決定いたしました。

決定して1月に申請を行いまして、すぐに承認を得ることができましたので、その後発注という流れになりまして、2月にサーバーの構築をいたしました。

そこから、先ほど説明したようなフォルダを構成しまして、その中にデータを登録していきました。フォルダの作りなどはこれでいいかどうか半信半疑でしたので、まずは試しに1機種作ってみようということで、1機種を完成させるかたちで登録を始めました。

3月、運用準備としましては、そういうデータを登録しながら、海外からもこのサーバーに接続できるかというテストも同時に行いました。だいたいできたところで、4月からユーザーのテストに入りました。ユーザーのテストとなっていますけれども、日本のほぼ全員がアクセスできるかたちにして全員に使ってもらいました。

とくに大きな問題はありませんでしたので、5月末から国内はこれで運用を開始して、同時に海外のほうもここから少しずつテストを始めて、6月21日からは一部の海外のユーザーでは本番運用としてスタートいたしました。現在登録している機種は12機種登録していまして、今後も増やしていく予定になっています。

導入の効果と今後の展望

導入の効果と今後の展望といたしまして、今までは技術担当者が作成して、管理部門が資料を発送して、受け取った人がファイリングをして利用をするという流れになっていました。運用開始後は、間の作業がなくなりまして、データを登録すれば利用者がすぐ見られるようになり大幅なフローの短縮に成功いたしました。

SPAの導入効果としましては、まずコストというところで印刷費用発送費用が0円となりました。次にタイムラグ、データの差し替えや問い合わせにかかる時間が0時間になりました。

次に場所、保管場所、移動範囲になりますけれども、実際のところは保管場所というのは記録文書もまだ少し残っていまして、まだ置いてあるんですけれども、将来的にはなくなる方向になりますので、ここも0になる予定です。あとはセキュリティに関しては、閲覧の制限ができたり持ち出しができなくなりますのでかなり上昇できるかなと思います。

今後の展望です。グローバルの情報共有プラットフォームというのが一応かたちができましたので、現状は標準製品のみを登録しているんですけれども、ローカルの製品を登録したり、資料に関しても技術に関する図面やほかの部門でも使っているような文書。さらに利用者も技術営業から全部門、とくに事務部門などにも展開できるかなと考えています。

さらに使いやすいシステムに育てるために、まずはログイン画面をカスタマイズしたい。弊社は自社で作っているほかのシステムもありまして、そういうものに関しては松井という文字が入っていたりマークが入っていたりするものがあるので、フォームを改造してみたいという意見がありました。

次に、ログインの表示のフォルダを任意にしたい。先ほども説明しましたフォルダ階層でいきますと、けっこう深くにデータがある場合があるので、そこを最初から出したいという要望もあります。

次に、これは使っておられる方はこういう要望があるのではないかと思うんですけれども、印刷したときに印刷者のログインIDや名前を入れて誰が印刷したかという管理がすぐできるようになるといいかなと思います。

それから、「セッション切れの再ログインの前回表示画面を表示してほしい」というのは、今60分と設定しているんですけれども、途中で電話がかかってきたりなにかしていると切れてしまうことも多々あるので、できればもう少し長くできればと思います。セキュリティの関係もあるので、ここは相反するところもあるんですけど。これが現場から出てきた要望です。

あとは、情報システム部としては、私個人の意見になるんですけれども、CSVによるアクセスの登録を簡単にできたらいいかなということがあります。現状は、CSVでアクセス権限のデータを作成しまして、これをサーバー側に流し込むという作業をやっているんですけれども、フォルダを作りすぎて大変になっているという状況で(笑)。なんとかしたいなというのがあります。

あとプレビュー画面なんですけれども、できればさらに早く出てくるようなことができればいいかなと思います。ウイングアークの開発のみなさん、ご検討よろしくお願いいたします。

以上で発表を終わります。ご清聴ありがとうございました。

(会場拍手)

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