2024.12.24
「経営陣が見たい数字」が見えない状況からの脱却法 経営課題を解決に導く、オファリングサービスの特長
提供:ダッソー・システムズ株式会社
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野崎省二氏(以下、野崎):次、ものづくりのお話ですね。少し加速していきたいと思います。ものづくりに3Dのテクノロジーをどのように活用されているかということを簡単にご説明をさせていただきたいと思います。
まず、最近本当に製造の領域はITの業界ですごく注目されています。ものづくりというのは、もちろん企業にとってCAPEXやOPEXの非常に大きな部分を占めていますし、よくあるのが、やはり人が介在して物事をやっていくということです。
グローバルの製造の時代が来て、非常に複雑なサプライチェーンの中で、ものを調達して、ラインでものを作って、さらにそれを物流に乗せてお客様のところに届けていくというコンプレックスな物流網を含めた世界のなか、変革がすごく難しい領域だとよく言われています。
ただ、やはり一番最後にお客様との接点になる部分でもありますので、最近マスカスタマイゼーションみたいな話もよくありますが、うまく変革することができると顧客満足での向上にもつながるということで、いま製造の分野は非常に大きく注目されていると思っています。
こういったグローバル製造の時代において、大きく3つのチャレンジがあるとよく言われています。
1つは先ほどからのエンジニアリング。先ほどまで説明していたコトづくりの世界ですね。そのエンジニアリングの世界からモノづくりの世界、それから物流の世界までつなげたかたちで、デジタルに統合できないかという話が1点。
(スライドの)真ん中は、今度はビジネスの状況が非常に速いサイクルで変わっていくなかで、その生産のラインも柔軟に組み替え可能なものにしていかないといけない。ビジネスの状況が変わるとすぐ生産ラインも変えて新しいものづくりをしていくといった要求。
それから、その需要に合わせて生産ライン変えるだけではダメなんです。その製造拠点間の連携やサプライチェーン全体をどのように計画していくのか、もしくは最適化していくのか、というところがよく言われる話です。平たく言うと、グローバルで柔軟に組み替え可能な生産システムというところを、今どのものづくり企業も模索されています。
そこで、デジタルのデータでエンジニアリングのデータから一気通貫でいわゆる工程設計とシミュレーションをしていく「PLAN」。
それから真ん中が「EXECUTE」。製造の現場、工場で実際行われている情報。これらを、IoTの技術なども使いながら集めてきた情報をベースに性能のオペレーション管理をしていく。
一番右が「OPTIMIZE」ですね。これをサプライチェーン全体にわたってそのオペレーションの計画をやっていく、もしくはそれを最適化していくという流れですね。
こういったところが今非常に注目されてる部分になっています。時間もありませんので、それぞれは細かく説明はしませんが。
これらを組み合わせると、ここに書いてある、顧客ニーズに対応する柔軟な製造システムを構築できるのではないか、というかたちで我々も提案させていただいています。いわゆるアジャイル・マニュファクチャリングと呼ばれているものですね。
ビデオでデモをご覧いただきたいと思います。建機のメーカーのデモです。建設現場でこの建機のユーザーさんが、今回、この油圧ショベルの採掘機だけじゃなくて、オプションとして破砕機を使いたい。そうするとこの破砕機になることによってキャビン側のほうもいくつか設計の変更がある。
IoTの時代ですので、タブレットからこの建機メーカーにネットで注文をしていくことができると思います。
この建機のメーカーではリアルな工場はもちろんあるんですけれども、先ほどあったデジタル・ツイン、もしくはエクスペリエンス・ツインのような技術を使って、バーチャルの工場でも日々どんなことが行われているのかということをオペレーション管理をしているかたちになります。
これはその計画部分です。このダッシュボードの中で、工場で製造される製品のスケジュールが全部見られたり、もしくはグローバルの拠点の一覧があったときに、どこで今どんなものがラインに乗っかって、どういう注文が来ているかということを確認していただくことができます。
先ほどもお客さんから2機注文がありました。その2機を設計変更してほしいということなんですが、計画を見てみると、実はもう1機はすでにラインの途中に乗っかっていて、今ラインの途中にある。1機まだ製造待ち、ラインに入る前だということがわかってきました。
まず、すでにラインに入っている1機目の建機を、どのようにお客さんの注文に合わせて組み替え可能かということをリアルの世界でやるのは、やはりラインが動いているので大変ですから、バーチャルな世界でやってしまおうということになります。
このバーチャルの3次元の工場の中でこういったステーションを。これはある一部を見てもらっていますけれども、今やっている工程の山積み・山崩しをしていきながら、工程の組み替えをしていきます。ステーション3番目のところで、今回お客さんからあった仕様の変更に対する要求を吸収できる、ということはもうデジタルの世界でプランできるんですね。
それに合わせて、今組み付けたものを一度取り外してもう1回組み付けるという指示書もデジタルなものですぐに作って製造現場、オペレーション管理に流していただけるということができるのではないかと思います。
これで1つはいいんですけど、もう1つの2機目のほうですね。この2機のほうはまだラインに乗っかってないので、これからやっていこうと思うんですけれども、実は、今回要求されたものを調達しようとすると、在庫がないということが確認できました。
新しい部品をサプライヤーから取り寄せるには5日間かかってしまって、お客さんの要求に納期として答えられない。ですが、代替部品が実はこの中にある。これは3Dプリンタで作れる部品があります。この3Dプリンタだったら5日の代わりに4時間で納入できるんですけれども、コストだけは倍ほどかかるという。
こういうものがあるときに、これを使えばお客さんの納期要求に答えられますので、お客さんに「ちょっと高くなるんですけれども、これでどうですか?」」ということを、タブレットを使ってお客さんとコミュニケーションしていく。
お客さんのほうも納期優先ということで「コストが少々かかっても構わない」ということでオーダーをいただければ、実際に2機目も工場のラインに投入して、右上にあるような3Dプリンターでその部品も作ってしまって、その部品も自動搬送機でラインに流していきながら、オペレーションの管理をしていくという流れですね。
このようなかたちで、マスカスタマイゼーションという話もよくあるんですけれども、それよりももっと究極に、すでにラインに乗っかっているものを、その途中でお客さんから仕様変更が来てもアジャイルできる。いわゆる柔軟に要求に応えていってあげることができる。こういったかたちでお客さんの満足も向上していこうということを目指されている企業もたくさんあります。
これもしつこいようで申し訳ないんですけれども、実はこういったエンジニアリングから製造まつわる情報、それから製造オペレーションにまつわる情報も、3DEXPERIENCE・プラットフォームの中で一元的に管理をしていくことができます。
今のようなバーチャルのプラン、工程設計やシミュレーションの世界と、実際の製造現場での製造実行を同期させながらやっていただいてる例として、Alstom Transportさんですね。いわゆる電車の製造をやっていただいている会社なんですけれども、ご活用いただいています。非常に大きな生産性効率に役立っているということで喜んでいただいています。
残り10分ぐらいになりましたけれども、最後に、都市。今まではどちらかというとものづくりのところでお話をさせていただきましたが、実はこの3次元の活用はものづくりだけにとどまらず、今、都市に発展をしてきています。こちらのお話を少しさせていただきたいと思います。
都市化の問題というのをよく聞きますよね。世界人口の半数以上は陸地面積にすると3パーセントにすぎない都市に集中しています。たくさんのゴミを出していたり、たくさんの資源を使っていたり、たくさんCO2を出していたりするわけですね。
これではサステナビリティな社会を築けないということで、将来の都市をちゃんと見通した上で適切に発展させるためにはいろいろなことを考えていかないといけません。こういうことを考えていくのに今、世界の自治体さんはバーチャルな世界、3次元の世界を活用していこうとされています。
実はこれは世界だけではなくて、日本でも国土の3次元化は今すごく関心が高まってきています。経団連さん、内閣府さん、国土交通省さんなども独自にいろいろな活動を始めておられます。
例えば経団連さんが今年の2月に発表されました「Society 5.0の実現による日本再興」のなかで「国土全体に広がる3次元のデータベース『バーチャル・ジャパン』を」という提言をされています。
このバーチャルジャパンの話をしていくときに、(スライドの)下のほうに出ていますが、実はシンガポールでは、2018年を目指して「バーチャル・シンガポール」と言われる国土全体を3次元化する取組みがすでに始まっている、という参考情報も載っています。
実は、このバーチャル・シンガポールをバーチャル上で3次元化するソフトウェアとして、弊社の3DEXPERIENCEのソフトウェアが選ばれています。
このシンガポールをベースに少しお話しさせていただきたいと思うんですが、このバーチャル・シンガポールというプロジェクトは2014年から始まっています。来年2018年夏頃にシンガポールで「World Cities Summit」という大きな世界都市サミットが開催されるんですけれども、ここで正式にオフィシャルにお披露目される予定になっています。シンガポール政府の首相府直轄の国立研究財団というチームが主導してやっています。ちなみにプロジェクトのリーダーはシンガポールの首相です。
日本でいうと、例えば総務省さんや国交省さんといった国土の情報を持ってる省庁と協力をしていきながらデータを集めて、弊社のソフトウェア上でシンガポールを本当に全土を3次元化してしまっています。
ビデオをご覧いただきたいと思います。シンガポールに行った方はたくさんいらっしゃると思いますけれども、今から見ていただくビデオを中身はすべてバーチャルです。リアルの画像は一切ございません。弊社のソフトウェアの中で作ったバーチャル・シンガポールがここで出てきます。
(動画を見ながら)有名な「Marina Bay Sands」というホテルですね。「よくこんな建築作ったな」というような建築ですが。道路や、車はこれ白無垢で作っていますのでバーチャルだというのはわかると思いますけれども、こういったかたちでシンガポール全土を作り込んでいるんですね。
単に3次元にしているだけでは意味がないんです。シンガポール政府は別に3次元のジオラマをバーチャルで作りたいわけじゃなくて、この3次元の都市を使って、今都市にある情報をIoTの技術を使っていろいろ集めて、このバーチャルのモデルに紐付けながら、将来の見通し予測であるとか。もしくは3次元なので、先ほど紹介させていただいたリアリスティックなシミュレーションをたくさんできるんですね。
そういったシミュレーションをしながら、「未来の都市がどう変わっていくんだろう」「こう変えていったらどうなるんだろう」という、what-if scenarioと言われるものをいろいろと検証していきながら、30年後、50年後のシンガポールをどう発展させていくべきかということを政府がこれを使って考えていく、ということで使っていただいています。
これは今お話ししました。例えば衛生管理、感染症を起こしにくいような空気の流れ方を作るにはどうすればいいのかとか、こういった汚染拡散ですね。それから洪水のような災害。交通渋滞の問題。シンガポールも国土が非常に狭い中で多くの人が集まっているということで、交通渋滞の問題は非常に大きいんですけれども、こういった問題や、ヒートアイランド現象をどう避けていくべきかみたいなことをやっていく。
そういった政策を実際にやっていく前にバーチャルでいろいろ検証して、意思決定を最終的に政策として行っていくためのプラットフォームとして使っていただいています。
これらを行うのに1つ重要なポイントが、各省庁が協力することです。シンガポールはどちらかというとトップダウンのイメージがすごく強い国だと思います。私も何度かシンガポールに行って、この国立研究財団の高官の方ともよくお話しさせていただくんですけど、「いやいや、シンガポールも日本と一緒で基本的には縦割りだよ」と。「各省庁が各省庁ごとにシステムを導入し、情報をディスクローズすることなく、各省庁ごとに取り組む政策を決めてやっているというようなものだよ」とおっしゃっていました。
ですが、このバーチャル・シンガポールでは、各省庁と話し合って、今使っているシステムにある情報は引き出させていただく。「今使っているシステムはそのまま使ってください」ということですね。日々のオペレーションはそれでやっていただきますが、そこにたまっている情報を引き出させていただいて、それをバーチャル上で展開をしていくことによって将来の政策を決めていこうということをやっている。
これもプラットフォームなので、今申し上げたように、計画段階で複数の部局が利害関係を調整しながらよりよい計画をしている。もちろんバーチャルなので何度でもその計画をやり直ししていくことができるということですね。
これによってよりよい都市計画を作って、市民の満足向上やコスト削減、それから新しいビジネスの創出につなげていこうということをされています。
技術的にいうと、この「3DEXPERIENCity」というこのソフトウェアの特徴は3次元だとかオブジェクト指向だとかあるんですけれども、それは飛ばして、実際どんなことをシンガポールでやっているかということをご覧いただきたいと思います。
これは右側に出ているように、シンガポールの地域のマンションの価格がどのように変遷していっているかということを、マンションの3次元の情報に不動産会社が持ってるデータベースから引き出してきた情報をぶつけて管理してあります。
さらにそのマンション1棟の話だけではなくて、階層ごとに当然マンションの価格は変わってきますので、高層階と中層階と低層階ではどんな価格の変動があるのかということをここの中で見ていくかたちになります。実はこのマンションの価格と騒音は非常に大きな関係があります。
この中でバーチャルな車をいっぱい走らせています。この交通の情報をベースにして騒音をシミュレーションしていくなかで、この赤、黄色、緑のところが騒音のうるささを表しているんですけれども、騒音のうるさい中階層は実はやはり不動産価格は少し安い、というところが見えているんですね。「じゃあその対策どうしようか?」と。
また、なぜ低層階のほうが騒音があまりないのかというと、実はシンガポールは道路沿いにずっとたくさんの植樹をされていて、植樹も1本1本政府が管理されてるんですね。こういった植樹を活用していくことによって、不動産価格を少しでも上昇させていこうという取り組みもされています。
もう1つの例です。これは縦割り組織の中で、道路交通局と公園の整備局が同じ時期に似通ったところで歩道橋の架け替えと公園のリノベーションするんですが、実はバラバラにやっていたことでいろいろな問題が起こります。
例えば、新しい歩道橋と新しい公園の出入り口がぜんぜん違う方向を向いていてアクセスが悪いということがあるときに、歩道橋の途中にスロープと出入り口を設けてよりアクセスしやすいようなかたちにしていくといったことをやっておられます。
このように、ウォークスルーで実際に市民の目線に立ってエクスペリエンスをしていくということですね。このスロープから公園の中に入ってコミュニティセンターにどうやっていけるかみたいなところもこれでご覧いただけます。
これが最後になります。AKKA Technologiesという企業が、この「City」の情報を使いながらどんなことをやっているかご紹介させていただきます。
これはレンヌという都市のモデルなんですけれども、自律運転タクシーを開発したものを、レンヌ市のなかでどのようなかたちで運用サービスができるかということをやった事例です。
ある人が今ホテルにいるんですけれども、12時にレストランに着きたいということで、この自動運転タクシーをスマホから予約するんですね。そうすると自動運転タクシーは自分がいるところからホテルまでこの人を迎えに行って、送り届けるというものですね。
もちろん送り届けるときも、現在の渋滞情報などを都市のデータからもらって最適なルートを設定したり、これはコネクテッド・ビークルになっていますので、乗客はここの中でインターネットにつないでいろいろな仕事をしたりすることもできます。
いろいろな都市の情報と連携しながら、例えばこれは電気自動車ですから、送り届けたあとは自動的に充電施設のあるパーキングスポットに行って充電をしようということで「じゃあ一番近くにある充電スポットはどこかな?」と。「その充電スポットは今空いてるのかな。空いてるんだったら予約しておこうかな」というかたちで自動運転タクシーが自分で勝手に動いていくというかたちですね。
「自律運転タクシーを開発しつつ、都市の中でどう運用、もしくはサービスを提供していくことができるか?」というところもすでにバーチャルの実証フィールドとして進んでいるという事例をご紹介させていただきました。
お手元に残り資料がいくつかついておりますが、日本でこういった「City」を活用していくには「こんなんどうですか?」ということもいくつか入れていますので、またご覧いただければと思います。
私の講演はこれで終わりになりますが、弊社の関連の講演がこのあと上の304(会場名)で、今お話しした都市に関するものだけを1時間たっぷりやるものがありますので、ご興味のある方はお願いします。明日の午前中も同じセッションをいたしますし、明日の午後には今度もう1つ、前半にあった、ものづくり企業向けのお話だけを1時間やるセッションもありますので、こちらももしよろしければ足をお運びいただければと思います。
もしこのお話を聞いてご興味を持たれた方は、弊社のブログでやTwitter、Facebookでもいろいろ情報発信しています。
少し時間がオーバーしてしまいました。申し訳ございません。最後までご清聴ありがとうございました。
(会場拍手)
ダッソー・システムズ株式会社
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