2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
提供:Genuine Startups株式会社
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伊藤健吾氏(以下、伊藤):奥田さんはもともと本業はイベントなどをやる会社をやっていらっしゃるんですよね?
奥田浩美氏(以下、奥田):じゃあ、もうこのまま自己紹介しちゃっていいんですよね。5分ぐらいということで、私、しゃべると1時間でもしゃべれちゃうので、タイマー5分かけました。
伊藤:はい、短めにお願いします(笑)。
奥田:はい(笑)。まさに今、この表紙にあるように、内閣府のプレゼンの時に作ったんですけれど、「Entrepreneurship aimed at solving social challenges」ということで、まさに「社会課題がビジネスの中心になっていく」ということを中心にやっています。
例えば、田舎のほうにロボットを持っていって、暮らしのなかでどういうロボットが必要になるかという検証とか、あるいは高齢者の見守りにどういうITの機器が必要かとか、そういうことを次々とプロジェクトとして立ち上げています。
自己紹介なんですけれど、私、実は30ほどの役目、役割、肩書を持っています。30ぐらいあるのを別に自慢したいのではなくて。5年前ぐらいから、私は自分の時間を3つに分けました。すぐにお金になること3分の1、5年ぐらいしたらお金になりそうなこと3分の1、残りの3分の1が、人間誰がやってもお金にならないけれども、誰かがやらなきゃいけないこと。
それを分けたら、うちの会社は2001年創業なんですが、一気に3倍ぐらいに業績が上がってきました。小さい会社なので大したことないんですけれども、非常に業績が上がってきました。
それはなぜだろうと考えたら、今の時代って、みなさん「儲かってる会社に任せたい」という価値観ではなくて、「社会にいいことをしていこうというビジョンを持っている会社と一緒に仕事をしたい」とか、「この人と一緒に仕事をしたい」「こういう会社と一緒に仕事をしたい」という価値観が増えてきている。
そういう意味では、いやらしい言い方をすると、そういう目的のためにも社会課題にちゃんと向き合っておくことは必要だと。これは結果論なんですけれども。
また(スライドのほうに)戻っていきます。
私は、例えば来週から神戸で500 Startupsの神戸版をやるんですけれども、こちらの運営統括をしております。この運営統括自体が1つの仕事なんですけれども、これがなぜ社会課題と結びつくかというと、そもそもシリコンバレーでたくさんの企業を創出して見つけてきたような会社500 Startupsが、なぜアジアに来たか、なぜ神戸に来たか、ということと関係があります。
もともとシリコンバレーで探されていたビジネスが、非常に男性寄りだったり、高学歴の人たちが必要とするようなことだったんですが、ビジネスはもうそれだけでは足りなくなってきた。という時に、やはりこれからは一次産業や、アジアやアフリカが面しているようなビジネス、あとは人々の生活に根付いたビジネスをちゃんと取り上げていく必要があります。
VC自体がもはやシリコンバレーではなく、他のところに向かっている。そして、日本に向かってきた時に、それは東京ではない。東京はシリコンバレーとわりと属性が似ているので、やはり一次産業もすごく身近にあって、ダイバーシティもある地域を目的にしてきたということが、1つの背景にあります。
私の仕事は、先ほど紹介がありましたように、最先端のイベントをやったり、コミュニティを作ったり、ということをやっているんですけれども、もう1つの課題。これが最先端なんですけれども、こちらは鹿児島県の肝付町。先ほどロボットの動画があったと思うんですけれども、私たちの舞台としてそこで新しい製品作りをしています。
本当はこれ以上たくさんお話したいんですが(笑)、こういうことをずっとやってきて、今は高齢者や女性となにか物を作るというようなことを中心に、活動を続けています。
とくに今年は女性の分野で、家庭とか、そういうところにビジネスの種がいっぱいあるだろうということで、「女性×IT」を強めていきたいと思っています。以上です。よろしくお願いします。
(会場拍手)
伊藤:ありがとうございます。では、続いて藤本さんお願いします。藤本さんはストリートアカデミーという学びの事業をやっていらっしゃいます。ということで、手短に。
藤本崇氏(以下、藤本):私も話が長くなる傾向がありますので(笑)。
私は、自己紹介というよりは、運営しているサービスが今関西でまさに鋭意拡大モードなので、そのご案内も含めて。
弊社は本当にスタートアップで、私個人でWebサイトを作ったところから始まって、今5年が経とうとしています。実はGenuine Startupsさんにも、本当に創業というか、プロダクトを作る前からイトケンさん(伊藤健吾氏)にお世話になっている関係で、株主さんでもあります。やっているサービスは、この「ストアカ」ほぼ1本です。法人向けにはいくつか他のサービスもやっていますけども。
社会課題という言い方をすると、言葉として教育なのかキャリア教育なのか、何が適切なのかがいつもちょっと悩むんですけれども、自分がいつも気にしていたのは「やりたいことに従事している人がどれぐらいいるか」ということがずっと気になっていました。「なにかがやりたい。だけどそれは今やっていることじゃない」という人がすごく多いです。そういう人にとって、それは新しいことに踏み出すってことなんです。
そういう大人にとって学びの選択肢が少ないんじゃないか。世間には社会人教育市場と呼ばれるものがあるんですけれど、(スライドを指して)こういったブランドはみなさん目にしたことがあると思います。でも例えば費用が高すぎて、あと専門的すぎて、あるいはコミットメントが強すぎて、実際行ったことはないという方がすごく多い。既存の専門学校スクール市場は「ちょっと学んでみたい」「まずやってみたい」ということに対するソリューションではないんじゃないかな、と。
昨今、SNSなどで、いろいろな人がどんなキャリア、バックグラウンド、スキルを持っているかが可視化されていて、なかには教えたがり屋が出てくるので、「そういう人が教えたら、その周りに人が集まったら、スクールとか専門学校って要らないんじゃない?」ということで、ストリートアカデミーというサービスを始めました。今年に入って、正式に「ストアカ」という短縮名に、ユーザーがもうそのように呼称しているので、変えたところです。
5年経って今、登録ベースでユーザーが13万人ぐらいで、月間訪問者数220万人ぐらいです。まだまだサービスの規模としてはひよっこなんですけれども、そういうかたちに育ってきました。
単純に言うと、機能としては「Peatix(ピーティックス)」なんかと近くて、イベントマッチング型ですね。教えたい人が「いくらで、何人に対して、いつ、私はこんなこと教えます。この指とまれ」とオファーをすると、学びたいものや時間、値段などをベースに、学びたい人が参加してくれる。
学びの選択肢を自由にしたいということで、ハードルを下げたいと思っていますので、いわゆるスクールによくある入会金や月謝は取れないようにしていて、メルカリみたいにアプリ上での決済を完結できるよう、単発か短期コースでの売り切りを前提としています。
あと、大きなポイントとしては、オンラインで教育を提供するのではないということ。サイト上ではマッチングだけを行って、学び自体は寺子屋みたいに、まさにこういう場で集まるかたちを主軸としています。その裏には私の原体験もあるんですけど、仮説として、大人の社会人の方が求めてるのは、刺激や気付きであって情報ではない、ということ。情報はググればあるので。
だとすると、人と交流することのほうが重要なので、動画ではなくワークショップでとか、やはりこんなにYouTubeが普及しても動画をずっと眺めていて、自分を変えられましたという人が少ないという現実を踏まえて、リアル型にしています。
(スライドを指して)こんな感じでマーケットプレイス、教える人と学ぶ人と、あとは場所を提供する人もマッチングしています。「どんなものがあるか」とよく聞かれるんですが、「お寺でヨガ」「公園でフォトレッスン」とか、カフェで会計を教える人もいれば、コワーキングスペースでプログラミングを教える人もいる。
数で言うと、実は50パーセント以上がスキル系なんですね。いわゆるビジネススキルやWeb系ですね。起業・副業のキャリアとか、起業に必要なものもけっこう学べます。あとは女性が多いのですが、自分磨きという、仕事でも趣味でもないが、自己向上心に基づくようなもの。メイクやウォーキング、ヨガ、瞑想が多い。
ユーザーは、出会い、刺激、気付きということを評価していて、なんでも単発で学べるので、いろいろ学んで、その結果、なかには転職した人、独立した人、副業を始めた人も出てきています。
逆に教える人には、食べログみたいに自分のブランディングで口コミを溜めようということをやっています。ちなみに、業界としても口コミ自体がまだない業界なんです。教育業界って口コミが貯まるプラットフォームを誰も提供していないので、うちが最初に提供しています。たくさん教えて、著書を発表した人も出てきています。
こういうことで何をやろうとしているかというと、個人がスキルをシェアする文化を広めて、自由に生きる人を増やす。間接的に人がたくさん教えると、学びの選択肢が増える、ということをやっております。
今日、お題目が大企業とのコラボなので、ご参考までに。我々も過去にけっこう幅広く、自治体から小売の大手さんまで、いろいろな企業さんとコラボしたことがあるので、そういうところであれば……。
伊藤:あれですよね。TSUTAYAさんのT-VENTURE PROGRAMで優勝。
藤本:そうです、TSUTAYAさんとは登壇後も本当に幅広くやらせていただいています。1つだけご紹介なんですけれども、TSUTAYAを運営しているCCCさんが、関大(関西大学)さんと共同で運営されているKANDAI Me RISE(かんだいみらいず)に入っている「スタートアップカフェ大阪」って、みなさんご存知ですかね?
そこに我々がコラボで、公式の「起業に役立つスタートアップスキルカレッジ」を提供しています。今、3クール目をやっていて、実は私も登壇するんですけど、講師は全員現役か元起業家で。
「起業に役立つスキルを」ということで、最初にアイディエーション、アイデア作りがあって、ビジネスモデルの作り方があって、今は3クール目でプロダクトを作ろうということで、初心者でもアプリをゼロから作れるように、HTMLもCSSもプログラミングも全部教えてくれるというクールが始まっています。
実は大阪に今けっこう起業ブームが来ているのではないかと思っています。そういう意味では、草の根的に教えてもらえる人から教えてもらうというかたちも、公式のプログラムに応募するとか、ビジネススクールに行くこととはまた違ったかたちでの新しい教育の在り方として提案しているので、ご案内させていいただきました。よろしくお願いします。
(会場拍手)
伊藤:はい、ありがとうございます。じゃあ、引き続いて田中さんにお願いしたいんですけども、田中さんは……。
田中邦裕氏(以下、田中):とくに資料はないです。資料なしで語っていけばいいと……作ったらよかったですね(笑)。
伊藤:人のものを見ると、自分も作っていればと(笑)。
田中:そうですね(笑)。
伊藤:一応、「やっていらっしゃることについて、なにか1つお題をください」ということでいただいたのが……社是なんですか?
田中:そうですね。当社のコーポレートキャッチに、「やりたいことをできるに変える」というものがありまして。
伊藤:流れ的にちょうどそういう話になっていましたが。
田中:そうですね。先ほど事前に打ち合わせをしていたら、偶然にもみなさん、そんな。
それで、私は実はスタートアップと言うには年数が経っていて、21年前に起業した人間です。当時、96年に学生ベンチャーで、今と同じサーバーのビジネスを立ち上げました。
当社は今でもサーバーインフラを提供するビジネスをしているんですけれども、96年というとWindows95が出て、インターネットがすごく伸びようとしていた時。ですので、私自身も起業家ですし、スタートアップさんとの関わりで言うと、当社のお客さんのほとんどがスタートアップだったということも特筆すべきかなと思っています。
自分自身もお客さまもスタートアップの環境でやってきた人間だということを、最初にお話しておきたいと思うんですけれども。
伊藤:もはや大企業側ですよね、どちらかというと(笑)。
田中:そうですね。だから、自分の会社が1部に上場するということは想像もしていなかったです。そういった意味で言うと、自分自身はスタートアップのつもりでやっていましたけど、ともすれば自己紹介が長くて、「老害なんじゃないか」とかですね(笑)。
(会場笑)
伊藤:大丈夫ですよ、まだぜんぜん(笑)。
田中:これ、ログミーに出ると言っているので、はてブ(はてなブックマーク)で何書かれるかと思って、ビクビクしながらしゃべってますけれども(笑)。そんなん気にせずにしゃべりますけどね。
それで、例えば昔だとミクシィさん、グリーさん、サイバーエージェントさんのアメブロさんとか、ああいうところが最初にお付き合いいただいたところです。途中で言うと、それこそ、はてなさんとかもそうでしたし。最近で言うとメルカリさんとかですね。あとマネーフォワードさんとか。流行りのお客さまは最初からつかみにいくというのが、我々の信条なんですけれども。
それで言うと、一番最初の原体験として……みなさん小笠原(治)さんってご存知ですかね? 六本木でawabarやっていて、DMM.makeをやったり、ABBALab、nomadで活躍されている方なんですけども。
実は、自慢じゃないんですけど、彼に一番最初に出資したのは私なんですね。私のほうが年下なんですけれども、ちょうど20歳の時、小笠原さんが27歳で、出会って2人とも「なんか新しいことしたいよね」と言っていて。結局、翌年に小笠原さんが独立したいということになって、私は出資して、その代わりに半年後に私がさくらインターネットを株式会社化する時に出資してもらうという、持ちつ持たれつの関係をしていた。
そういうスタートアップであり、スタートアップに出資をし、スタートアップがお客さまであるという、そういった立ち位置で私はお話させていただいてます。最近は、「やりたいことをできるに変える」というテーマに立ち、コミュニティ作りにすごく力を入れています。
例えば、FUKUOKA growth nextという、小学校を改造してスタートアップ施設をやっている……。
伊藤:昨日、ちょうどこのイベント(8月8日に行われたStartup Factory福岡)で。
田中:らしいですね。さっき聞きました。あそこはなにか縁があったんですか?
伊藤:そうですね、縁があったというか、運営側にいる人間が。
田中:あそこも実は我々さくらインターネットと福岡地所さんとアパマンさんが共同で、福岡市さんから受託をしてやっているんです。「そもそもの話、本社はどうなんだ?」という議論がありまして、この6月に堺筋本町からここに引っ越してきまして、年間200回ここでイベントをやるという目標を掲げました。一応8月に20回やるらしいんですね。
伊藤:すごい!
田中:このままいったら、年間250回近くやるんじゃないかなと。ですので、私は成功の条件ということをよく言っているんですけれども、決してビジネスプランや資金調達ではなくて、それはただ失敗しないための条件であって。
成功の条件って、1つはなにをつけてもやっぱり運だ、と。もう1つが、その人の熱量。そして、もう1つは人のつながり。人のつながりがあって、熱量があって、そして結果として運が伴えば成功するだろう、と。
そうすると、どういう場所がいいのかなというところで、やはり人をつなぐ場所。それで、インターネットは人をつないで、我々はその場所を提供することで、やりたいことをできるに変えるんですけれども、リアルの空間でも、そして東京以外でも、そういうつながりが持てる場所を作ろう、という活動をしています。
ということで、自分自身も、そして出資先も、そしてお客さまもスタートアップというなかで21年間やってきた人間です。どうぞよろしくお願いいたします。
(会場拍手)
伊藤:はい、ありがとうございました。お三方の自己紹介、けっこう共通する流れがあるかと思います。今日のディスカッションは、あまり型にはめることはないんですけど、一応スタートアップと大企業の協業プログラムということもあるので。
メリット・デメリットという言い方はよくないかもしれないですけど、みなさんに、小さな組織でやってきたからこそのやりやすさだとか、逆に小さくやっているからこそなかなかできないけれども、一緒に組んだほうが突破できるといった話をしていければと思っています。
今、奥田さんがやっている、先ほどのPepperの話というのもそのあたりで。
奥田:そもそも私は、自分の会社が持っているお金だけでなにかをやるのって、もったいないなと思っているので、できるだけたくさんのお金を動かしたいというのがうちの会社の根底にあります。
なので、動かすためにはなにが必要かというと、みんなが共通に抱えている課題というものを持ってくれば、大企業もいろいろな組織も加わってくるよねということで。あとは、新経済連盟みたいなところも、話を持っていけばそういうところに乗ってくるという意味では、たくさんプロジェクトをやっているんですけれども……今、具体的に事例を言ったほうがいいですか?
伊藤:そうですね。
奥田:それであれば、例えば、今一番新しいもので言うと、まさに今日昨日とやっていたのが、女性の暮らしの分野をビジネスにつなげるということで、今、9月28日から1週間ほど、日本の女性の起業家をシリコンバレーに連れて行って、鍛えあげて帰ってきます。
伊藤:何人ぐらい連れて行くんですか?
奥田:12人連れて行きます。これ、普通は補助金とかで連れて行くと思うじゃないですか。自分で4,500ドル出させます(笑)。4,500ドル、渡航費抜きですよ。5日間のプログラムにだけ4,500ドル出させて、渡航費は自分で持って行かせて。行く先は「Women's Startup Lab」っていう、堀江愛利がやっているアクセラレータープログラムなんですけれども。うまくすれば、そこで向こう側の投資が得られるし、あとはそこのつながりで新しい製品を生み出そう、と。
横のつながりを作って、先ほど少しだけ言いましたが、女性の活躍って私はもう女性のステータスの底上げは必要ないと思っているんです。そんなことは私がやることではなくて、私がやろうとしているのは、まだ見つけられていないビジネスの種を深掘りして、産業を起こす。あるいは……田中さんがさっきおっしゃっていた、「やりたいを叶える」っていう切り口でビジネスを立ち上げる、ここがすごくポイントだと思うんですけれども。
今まで家庭のなかで、例えば、「洗濯の仕組みを変えたい」と思っていても、産業に繋がる表で言わないから洗濯がずっと水で行われている。私はもう洗濯って水で行う時代は終わったんじゃないかなと思うんですけれども(笑)。
女性が「洗濯の仕組みを変えたい」と言った時に、日本だと、例えば「そうは言っても、あなたはテクノロジーの分野の人じゃないよね」「あなたは職業の経験がないよね」「あなたは……」と言われるじゃないですか。
でも、シリコンバレーで何があるかっていうと、「○○したい」があればそれを実現するチームが作れるし、その気持ちが強ければなにかのお金が回ってきて「あなたを中心にやりなさい」っていう機会が生まれる。
今そういうことをどんどんやっていて、すでにもう来年の1月の期もやるつもりで、もう募集をかけています。これはセミナービジネスではなく、女性の課題を世界に発信して物を作るという新しい分野で。実を言うと、これで大企業を巻き込もうとしています。
大企業をなぜ巻き込むかというと、大企業って今は縦割りで、例えば電気製品を作っているところが「ここは家電、ここは家、ここはなんとか」となっているのを、課題で横串にすれば、大企業自体が1つにまとまる。そういう意味でも、女性のニーズみたいなものの横串というものはすごく大切です。
「洗濯を変えたい」と言ったら、家も変えなきゃいけない、水道の仕組みも変えなきゃいけないという、相当なものが一気に動くかなというようなことを、今やっています。
伊藤:ありがとうございました。なんか、適宜インタラクティブにお2人にも入っていただければと思うんですけれども、藤本さんのほうから、今の話に絡めるか絡めないかは自由な感じで。
奥田:(笑)。
藤本:少人数でやるということに関してですか?
伊藤:そうです。
藤本:少人数で言うと、私は1人で始めました。プラットフォームなんだけど、最初は個人で作ったホームページ1つから始めました。今でも13万人ユーザーがいるんですが、社員数は13人です。少数精鋭でレバレッジを効かせたかたちで、大きくしていきたい。
最初はユーザー一人ひとりの顔と向き合って。でも、それじゃあレバレッジが効かないよねというので、今は知らないユーザー同士がちゃんとお金をやり取りして、ハッピーでいられることところまで実現して、どんどん大きくしていくほうに向かっています。
プラットフォームビジネスをやりたいと思ったのは、多くの人が、自分たちの力で物事を動かせるようになるから。我々が役務を提供しないと、それを購買してそれを受けてからでないと人が動かないというサービスは、僕はやりたくなかったので。
自分の中では個人へのエンパワーメントという概念が大きくあって、それをやるには、自分たちのサービスがイケてるから使ってもらえるではダメで、まったく色を消して、息をひそめて、「まさか誰も裏にはいないだろう」と思われて初めて、ユーザー同士が自由にスイスイとお互いと出会っていろいろなことができるようになる、という世界観を目指しています。
今、まだ完全にはそうなっていないんですけども。そういう意味では、スモールチームで動く際には、常にチームでもメンバーの「インパクト」を意識していますね。今でも13人いますけど、デザイナー1人、広報1人、CSが2人いて、エンジニアも2人。要するに、各ファンクション1人か2人しかいないので、「担当分野では各々1人で13万人をサポートしている、という意識でないとやれないよ」という話はしています。
伊藤:なるほど。今、「エンパワーメントで、レバレッジをかけて大きくしていきたい」と。プラットフォームビジネスってまさにそうだと思うんですけど、プラットフォームになっていけばなっていくほど、連携する、周りを巻き込むところが大きければ大きいほど、またさらに大きく巻き込める、ユーザーの数を増やしていけると思います。
先ほど事例に挙がっていたような大企業さんとの連携などで、レバレッジがものすごく効いているなということがあれば。
藤本:大企業さんとの取り組みは、簡単なようで難しい。打率は低いですね。
伊藤:それはどうしてですか?
藤本:やはり大企業さんには大企業さんのアジェンダがあって、それを解決してくれている方を求めていらっしゃるという、既成概念をぬぐいされないところがあって。
伊藤:大企業側が逆に壁を持っていて、自分たちの課題を解決してくれないと……。
藤本:自分たちが人数も多いし、「自分たちの抱えている問題を解決してほしい」と言うんですけど、私は私のプラットフォームを一般市民に対して提供しているわけで、大企業の問題を解決するためにプラットフォームを運営しているわけではないんです。
本当にたまたまWin-Winだったら、こっちもいいし向こうもいいんだったらいいんですけど。そこに、大企業だから迎合することにも慣れていない。でも、そこのマッチを見つけるのは、こちらの判断でやらないとなかなか振り回されてしまうところもあって、けっこう難しいですね。失礼にもなるので、あまり大っぴらにスルーすることもできないですし。そこの読みがスモールチームとしては難しいところではあります。
伊藤:それは、大企業側の態度に問題がありそうな感じ(笑)。
(会場笑)
藤本:いや、態度の話ではないと思っています。やはり組織が大きすぎて、担当者の方も社内で起こっている全てをわかっているわけではないですし、個人で動かせる社内の人間の数にも限りがあるので。
伊藤:大きな組織はそうですね。
藤本:そうですね。僕は、大企業でも働いたことあるんです。それで、いつも思うんですけど、政治というのは、個人のアジェンダではなくて、人数に比例してある種自然に発生してくるものだと思っています。個人に悪いことはないんですけど、規模が大きくなるにつれて、政治が全くないとか、物事が進むのが遅いという事象がまったくでてこないのは、相当レアなケースです。理想はそうありたいですけど、結局、大企業病は出てきてしまうので。
こちらはフットワーク軽く動くことに慣れているので、うまくヒットになりそうなところだけ話を作りにいくということができるという意味で、どうしても切り口を見つけるのがスタートアップ側の責任になってしまうのかな、というのはありますね。
Genuine Startups株式会社
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