2024.10.10
将来は卵1パックの価格が2倍に? 多くの日本人が知らない世界の新潮流、「動物福祉」とは
提供:岡山県
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丸尾宜史氏(以下、丸尾):では、他に会社をやられている方、どんな感じのことをやられているかということをお聞きできればと思うんですけれども、先ほど手を挙げられた経営者の方で、情報共有していただける方とかっていらっしゃいますか?
(会場挙手なし)
……この聞き方、失敗しましたね。
(会場笑)
なるほどですね。ちょっと中原さん、聞いてもいいですか? 会社化されたのはいつ頃ですか?
中原寛法氏(以下、中原):今、8期です。
丸尾:8年前なんですね。当時、会社はどういう感じで作られたんですか? フリーランスから会社になるっていうことですね?
中原:そうですね。お金を借りて……。スタートから今まで、っていうわけではないですね。
丸尾:なるほど、なるほど。最初は資本金とかを用意して、っていう感じですか?
中原:そうですね。資本金っていうほどおおげさじゃないのですが。僕もよくわからなくて、税理士さんに聞いたら「とりあえず300万、資本金の額が入った通帳をコピーだけ取ればOKだから」って言ってたんで、いろいろこう……(笑)。
(会場笑)
それがちょっと法的にどうなのかはわかんないですけど、そういうかたちで一度、資金を集めて。その時は一般的なのが300万円と聞いていたので、なんとかその額を集めて。そしてようやく仕事が軌道に乗ってきたので。
丸尾:そうなんですね。自己資金というかたちでやられてきたんですね。
中原:自己資金です。
丸尾:なるほど、わかりました。
うちの会社もですね、最初は300万の自己資金を用意して会社を作ったんです。会社の作り方ってわかります? 本局に行って登録したら、誰でも会社を作れるんですよね。
会社を作って資本金を用意するんですけど、昔は1,000万ぐらいないとダメだったとかっていう。今は1円でも作れたりするんですよね。でも、「格好つかないから300万円ぐらいだろう」と、白石と出し合って会社を作ったわけですよ。
資本金の意味がわかんなかったんですよね。会社を作って、顧客ゼロからスタートしたために、半年間売上ゼロだった。「地方に同級生を帰すぞ」と会社を作ったんで、なにを売るかが決まってなかったっていうことに気付いたんですね。
半年間、売上がゼロでなにが起こったのか。普通に給料をとったら、半年後ぐらいにゼロになるんですよね(笑)。そこで初めて、「あ、資本金とは運転資金なんだ」と気付いたりとか。
その後、銀行さんにお世話になって融資してもらいました。そこから売上が出て、どうやって上回っていくかっていうところを勝負して。起業当初は白髪になったりしたんです。資金繰りの悩みで。やっぱりそういう資金繰りの悩みって、けっこうきついですよね?
中原:そうですね。そういう意味で言うと、僕の場合はフリーランスで5年間ぐらいやってから会社にしたので、お客さんはもうある程度はいらっしゃいました。
あと、僕の場合はずっとリモートだっていうのもあって、オフィスもない。ほぼ交通費とパソコンとか、プラスそのぐらいの金額しかかからなかったっていうところもあったんです。いわゆる、回していくためのお金が、そんなにいらなかった。そして、仕事がすごくきてたっていうのもあったんですね。
フリーランスの最初の頃は、ごはんにもやしをかけて食べようとか、そういう感じの生活でした。
丸尾:そうですか(笑)。ありがとうございます。じゃあ、人の問題とかっていうのもけっこうな問題だと思うんですけれども。
サイボウズさんは人材の問題とかって実際はどうなんですか? よく経営者が「人が育たない」「いい人がいない」と言われたりするんですけど。サイボウズさんは魅力的な会社ので、そういったことはあまりないという感じなんですか?
松森知里氏(以下、松森):そうですね、人の問題……。育成とかは、他の会社さんと同じように研修があったりします。
サイボウズがユニークなのは、けっこう制度がたくさんあって、その人の自立をうながすような仕組み、風土を作ろうとしているところです。さっきの「育自分休暇制度」も、要は「外に出ていっていいよ」「でも、帰れるような道筋も残してあげるよ」って言っているんです。
特徴的なエピソードだと……新人の入社式だったかな。副社長が新人の前で「早くサイボウズを卒業できるようになってくださいね」と言ったようなんです。入社したばっかりなのに「卒業がんばってね」みたいなことを話したり(笑)。
そもそも「100人100通りの働き方」と言っているので、自分で自分を律して、自立した働き方をしていかないといけない。それを社長自ら、号令を出して促している。
また、社内に建設的な議論をするためのフレームワークとして「問題解決メソッド」というものもあって、なにか課題があった時に、「どう切り分けていくか?」を考えるための共通のメソッドにしています。そして、社員にそのフレームワークを学ばせる研修もしていますね。
丸尾:さっきの「育自分休暇」がすごく耳についてるんですけど。実際にそれを活用されていたりするんですか?
松森:そうですね。何人ぐらい活用したか、ちょっと正確な人数はわからない……。
丸尾:でも、やっぱりいるわけですね。
松森:そうですね。いらっしゃいます。第1号は、確か私の元上司なので(笑)。退社して1年も経たずに戻ってきたらしいんですけど(笑)。
丸尾:(笑)。
松森:「超ブラックなところに行ってしまった」って戻ってきて、「サイボウズ最高だ!」みたいな(笑)。
丸尾:それがわかったってことだね(笑)。
松森:そうそう(笑)。でも、すごくハードワークをして帰ってきてるので、そのせいかわからないですけど、非常に社内から厚い信頼を持たれていて。なにかトラブった時や炎上した時は、彼に絶対に聞く。他社を経験したことで頼れる存在になっている、そういうシンボル的な存在になっていると思います。
丸尾:私が最初に入った会社はタリーズコーヒージャパンで、入社式の時に経営者から言われた言葉があるのですが。僕、経営者にすごく会いたくて新卒で入社したんですね。そうしたら、経営者が出てきて、「新卒のみなさん、入社おめでとうございます。5年で辞めてください」って言われたんですね。
「『5年で辞めろ』ってすごいことを言うなあ」と思ったんですけど、「5年後、自分がどうなっていたいかを考えて過ごせ」ということだったんですね。
人の問題で言うと、会社を作って、今10人ちょっとぐらい雇用してるんですけれども。やっぱり会社を立ち上げてきた初期メンバーと、後から入ってきた層の意識の乖離というか。10人ぐらいの会社なのに、安定感が微妙に出てしまってたりする。なんか意識がぜんぜん違ってたりする、ハングリーさというか。
そういったところで、最近悩んでいたりとかするんです。創業して数年後の経営者は当たり前の悩み。サイボウズさんとかに比べると、まだ稚拙な悩みだと思うんですけれども。
山田さん、エーゼロってどんな感じなんですか? そういうところ。
山田邦明氏(以下、山田):そうですね。今ちょうどエーゼロっていう会社が、人数として30人ぐらいになったんですけど。昨年創業した時は1桁の人数で、そこから今年15人ぐらい一気に増える。なんか、混乱しますよね。
丸尾:けっこうな変動ですね。
山田:そうですね(笑)。
どういう軸で話すかですけど。1つ、アカツキという会社と比較してみるとおもしろいかなと思っています。アカツキは、僕は20人ぐらいの時に入っています。今のエーゼロは30人。「両方とも同じぐらいの規模になった時に、どういう違いがあるんだろう?」とちょっと考えたんです。
アカツキは、いわゆる東京のイケてるベンチャー。だから、いい人が採れるんですよね。本当に野心的で「自分はここで成り上がるんだ」みたいな、いろんな思いがあると思うんです。いわゆる基本的に能力の高い人を採用できる。採用に力を入れてたっていうのもあるんですけどね。
エーゼロって、岡山県の西粟倉っていう人口1,500人の村にあります。だから、採用がめちゃくちゃ難しいんですよね。普通に考えて、そこで雇おうと思ったら1,500人がマックス。だから、外から連れてくるか。移住を伴って採用するのって、ただの転職以上の勇気がいることだっていうのは絶対あるんで。採用が一番不利というか、難しいところだなと思っています。
うちの15人は本当にいろんな人がいます。東京にも出向いて一本釣りをするように1人ずつ口説いていって……みたいなことをちゃんとやった結果、いいメンバーでやれてると思ってるんです。そこがもしいいメンバーじゃなくて、妥協して「忙しいから人を雇おう」みたいな感じでやっちゃってたら、混乱はこんなもんじゃなかっただろうなっていうのがあります。
丸尾:でも、混乱している感じですか?
山田:そうですね(笑)。ネガティブな意味じゃなくて、いろんなことがちゃんと走り出したんで。
今、事業が4つ目になるんですけど、その連携も「じゃあ、誰がリーダーなの?」も決まってない段階で走っているんです。それはやり方の違いだったり、もともといた人と新しく入ってきた人との……やり方の違いだったり。意識の違いは当然ある。
まあ、会社のこの時期のこういう人たちとの関わりっていうのは、それが醍醐味でもありますので。自分的にもいろんな経験をさせてもらっているなと、こと人間に対して感じていますね。
丸尾:ありがとうございました。
では、時間の関係もあって、「マルチワーク」っていうところでお話ができればと思うんですけれども。リモートワークやマルチワークなんですけど、この中でマルチワークの申し子といえば松森さんですね(笑)。
松森:(笑)。
丸尾:どのような感じの働き方をされていらっしゃいますか?
松森:はい、ええと……、申し子というかまだ数ヶ月なんで(笑)。今はサイボウズの一社員として100パーセントで働いています。
「時間はフルコミットしたい」と会社に申し出ています。そして月に1回、レプタイルに出社するような働き方をしています。
レプタイルでなにをしてるかというと、子ども向けのプログラミングスクール、もしくはそのイベント企画に携わっているんです。それに対して、サイボウズでは有給や休暇などの、休みの時に仕事をする。あとは、サイボウズの仕事が終わった後にやるとか、っていうのをやっています。
丸尾:ありがとうございます。
マルチワークといえば、今、後ろに座っているサイボウズの中村龍太さん。たぶん日本で一番有名なマルチワーカーだと思うんですけれども。よくメディアにも取り上げられて。
中村龍太氏(以下、龍太):そうですね。成り行きでそうなったんです。
丸尾:その成り行きを、ちょっとシェアしていただいてもよろしいですか?(笑)。
龍太:サイボウズの中村龍太でございます。はじめまして。最初は大きい会社にいました。NECっていう会社に10年いて。その後、Microsoftに16年いました。サイボウズに出会ったのはその後で、今4年目になろうとしています。
Microsoftの給料って、めちゃくちゃいいんですよね。サイボウズに行きたいけれど、嫁に給料が下がることの説明責任が果たせない自分がいまして。「どうしようか?」って言ったら、サイボウズかから「副業をしたら」って言われまして。「じゃあ、副業どうしよう?」と思った時に、少し風土が近い、ダンクソフトに入らせていただいたんです。そこでなんとか嫁に説明責任を果たせる金額になったので転職をしました。
嫁にOKもらえないと、どうにもならないので、どうですか? みなさん(笑)。
(会場笑)
僕のマルチワークは、こんなきっかけで始まったんです。
サイボウズに入ってから、お客さんとしてNKアグリという農業の会社の社長に会うことになりました。実はうちの嫁がいわゆる千葉の自宅で農業をやっていて、僕はマスオさんです。目の前に農場があって「なんとかならないかな」と「おもしろいことができないかな」と思っていたんです。実は、僕のルーツは玉島。
丸尾:玉島、はい。
龍太:岡山県玉島の道口っていうところに先祖のお墓があります。小学校の時に、よくそこに親と戻ってたんですよ。そこの裏には山があって、目の前が非常に緑、青々とした田んぼがある。そのイメージがあったんで、農業にもすごく興味がありました。
ある時、「リコピンにんじんっていうのを作るんだ」という話をNKアグリから言われたんです。「なんですか? それ」「かたちと大きさにとらわれないにんじんなんです」「え、じゃあ、リコピンだけにコミットするの?」「そうそう」っていう話になって。おもしろいんで、「そのにんじんを作らせてもらえませんか?」となり、農業をしっかりやるようになりました。
僕のサイボウズの役割は、さっき言ったクラウドサービスのkintoneの用途開発です。いろんなところで使ってもらうことを開発する。
つまり、営業が行かないようなところで、「なんかおもしろい使い方できないか?」みたいな事例を創る仕事です。
自分事としては「IoTで勘と経験じゃなくてデータでできる農業みたいなのをやれるとおもしろいな」って思っていて。サイボウズのシステムを入れて、センサーを使ってリコピンにんじんの収穫時期を予測する。それもやることになったんです。
現在では、NKアグリとサイボウズとコラボワーク(個人事業)の3社に所属しています。「なんでこんな仕事の仕方をしているのかな」と思った時、今の小学生や中学生には「大人になりたくない」という人が多いようです。それって、ちょっとさみしいですよね。
今日、この前の時間には米子のデジハリ(デジタルハリウッド)さんが来ていました。この話をしてたら「私が子どもに戻りたい」と(笑)。彼女は今大人ですが、実は子どもに戻りたい。そんな世の中、あまりよろしくないですよね。
なにか自分事で楽しく生きて、働いて。子どもや、これから生まれる子どもから見ても「大人っていいな」と言われる世界ができるといいなと思っていて。その「いいな」を今、一生懸命に、さぐっている状態かなと思っています。
みなさんはいかがですか。これから生まれてくる子どものために「どう生きていけばいいんだろう」と模索するのもいいと思います。その結果として、今の働き方が、僕のマルチワークやテレワークです。
……そんな話で大丈夫でした?
丸尾:はい、ありがとうございました。
(会場拍手)
(会場に向かって)テレワークされてるって、先ほど手を挙げられたのを覚えてたので、ちょっとどんな感じの働き方をされていますか?
猪股氏(以下、猪股):こんにちは、猪股といいます。今、たぶん世の中的には大企業と呼ばれる会社で、住宅の研究員をしています。自分でも地域づくりの会社をしています。
うちの会社は基本的に「週1回会社に来れば、あとは会社に来なくていい」というルールなので。そうですね、朝の7時から17時半までは会社の仕事を自宅なり、あとは都内にたぶん30ヶ所ぐらいシェアオフィスを借り上げているので、そこで働いています。その後に自分のオフィスに行って、自分の会社の仕事をするような生活をしています。
丸尾:なるほど。けっこう多様な働き方ですね。
猪股:そうですね(笑)。
丸尾:でも、そんなに借り上げてって、すごい会社ですね。
猪股:そうですね。たぶん日本一を目指してるんだと思います
丸尾:すばらしい。ありがとうございました。
ちなみに、松森さんにお聞きしたいんですけど、たぶんマルチワークって、両方で働いてるじゃないですか。月並みな質問なんですけど、よく「体持つの?」「しんどい?」「どれぐらい働いてるの?」などありますが、どんな感じなんですか?
松森:そうですね。さっきもあったみたいに、サイボウズでは基本的に100パーセントで働くことになっているので、普通の方が9時〜17時、9時〜18時とかで働かれているよりは、コミットしてる時間は長いです。休みの日に、レプタイルのことをやっていたりとかします。なので、普通に(働く時間は)長いと思うんです。
なんでしょうね、とくに副業って頭につけなくっても、それはおそらく私がやりたかったことだったりするんですよ。もしかしたら職業じゃなくても、土曜日にどこかへ行って、なにかアクティビティをしていたかもしれない。それがたまたま副業になっているんですね。
とくに職業じゃなくても、仕事の後に勉強会に行かれたり。今日とかですよね。みなさん、(仕事の後でも)来られているじゃないですか。超プライベートで、しかも遊びにきているわけじゃない。なにか意思があって来ている。その延長線上で、私は副業ができている。幸せなことかもしれないですけど、個人的にはそんなに負担には感じていないです。
丸尾:そんなに仕事というか、いわゆる勤めみたいな感じじゃない?
松森:そうですね。自分がやりたいと思ったことをやっているのが、ポイントなのかもしれないですね。
丸尾:なるほど、ありがとうございます。
山田さん、いくつかの会社で働かれてる感じになってるんですけど、そのへんはどうですか?
山田:そうですね。今の感覚、僕もけっこう近くて。
人間って、単純だと思っていて。向こうからボールが来て、(バットを振る動きをして)こうやって打つっていうだけで楽しめるじゃないですか。
仕事って、めちゃめちゃエンターテインメント性高い。これやっている時間が苦しい時間になっちゃったら、「やめりゃいいや」と単純に思うんで(笑)。僕はけっこう、やりたいことしかやってないですね。
先ほどその話で、「仕事じゃない」って言った時に「責任がないのか?」みたいなことを聞かれるんです。でも、それはまたちょっと違う。責任あるってことまで含めて、楽しいことだと思うんです。「俺がやったんだ」も含めて……なんかおもしろいなと思ってやってますね、僕は。
丸尾:なるほど、ありがとうございます。先ほど言われてたように、課外活動的な感じもありつつということなんですけど。
(会場に向かって)田中さん、すいません、いきなり聞いて(笑)。普通の仕事をしながら、岡山で「Startup Weekend」という、創業のイベントをされていましたよね。あの活動の比率、仕事との兼ね合いはどういう感じなんですか?
田中圭氏(以下、田中):田中といいます。ふだんは製薬会社で本業として働いていて、ボランティアで「Startup Weekend」という起業体験のイベントを開催しています。世の中に起業に興味持つ人を増やしたくてこの活動をしていますそう。
仕事は9時~18時。それ以外の時間を趣味としてイベントの開催や準備に捧げている感じです。
丸尾:なるほど、ありがとうございます。深さとか目的があって活動されてるんですけれども、必ずしもお金をもらいながらする仕事と並行ではなくて、いろいろな活動として並行されている方がいらっしゃるということですね。
私はマルチワークとして、松森さんなどに関わっていただく側として考えるとですね。大企業のサイボウズで働いていて、組織の中の仕組みとかいろんな考え方や価値観を持たれている方が、津山市のレプタイルに月1に来てくれる。そして、社内の改善とかも相談に乗ってくれたりとか、話ができたりするんですね。
それも、フルコミットで雇うような給料ではなくて、スポットみたいな感じの支払いでやらせていただいてるんです。
それは僕たちから見ると、松森さんという人物が、普通であればサイボウズで働いていれば1なんですけど。1でありながらも2つの企業で価値を提供しているのは、とってもありがたいです。また、社会にとってもすばらしいことだなと思うんですね。
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