2024.12.24
「経営陣が見たい数字」が見えない状況からの脱却法 経営課題を解決に導く、オファリングサービスの特長
提供:株式会社トーコンヒューマンリソース
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平田未緒氏(以下、平田):やはりみなさんが気になるのは労働時間のこと。先ほど、大手の話もちょっと出てきましたけれども、その労働時間も含めまして社員の方の働き方がどうか、休み方がどうかということをおうかがいしてまいりたいと思います。
では、はなまるの成瀨社長からお聞かせいただけますでしょうか。
成瀨哲也氏(以下、成瀨):ちなみにホワイトって言われるんですけど。自分たちはホワイトという言い方は基本的にしないです。けっこうWebとかではなまるはホワイトだとか、周りが言っているんで、一応僕はそれを容認はしますけど、社内では一切言わないですね。
だから基本的に説明会では、「絶対に入らない方がいい」と最初に言います。これはWebに出てくる通りです。
実態を言っておくとですね、ほとんどお店なんですが、直近5月の残業時間は一人あたり29.5時間が平均です。出店が多いんで月ごとに社員の残業の時間が変わるのですけれど。ちなみに昨年の5月は42時間です。
休みは平均どのくらい取れているかって言うと、昨年の5月、社員一人当たり平均6.2回。そして今年は7.2回。
でも不満足です。今年の春に僕が宣言したのは、とにかく社員は絶対8日間休みなさい、休みを取らせなかった上司は厳罰にすると400人の社員総会で宣言しました。
アルバイトさんも要望やスケジュールを聞いて休みにしてしまいます。「店長この日は休みたいんですけど」には「どうぞ」と。そして1つ休みたいって要望を聞くんだったら、そのかわり別のところに出勤させるってことでやってます。今年はそうしました。
なかなかできないことだけど、それをまじめに取り組んでやってます。面と向かって勝負した場合に、お店がそれでもだめな場合もあるかと思いますが、その時は「店閉めろ」って400人の前で言いました。
勝手に閉めていいからって。上司に必ず報告してからね。ただ運がいいのか悪いのか、今のところ閉まってないですね。でも休みの数だけは去年に比べて1日増えてます。これは事実です。数字はウソをつかないので。
ただ、地域で見たときには大きく違いはあるのですが、今年「8日間とにかく休みなさい」といったことに対してはまだまだ不満足だけども、一応響いてはいます。
この先なにをしたいかというと、無理やり「これを8日間取れ」と言って一日休みを多くするだけでも相当無理がかかってくると思います。
だからその悪い話を僕に伝えてくれってことで今やってます。でもなかなか悪い話って入ってこないですね。絶対に無理がかかっているはずです。
そこを解明して変えない限りは、「取れと言われたから取ってます」っていう休みは要らんと思ってる。という風に、長時間労働は、去年に比べると若干少なくなっている、休みは去年に比べて若干増えている。
ただ、自分で3ヶ月後の休みも取れる、はなまるにしていきたいというのが僕の2020年までの課題で、まずその一歩を今年から踏み出すということですね。
平田:ありがとうございます。ちょっと補足なんですが、先ほど、店長さんが休むためにパート・アルバイトの方に一回お休み取ったら、次もう一回出るようにということがありました。これは、みなさんが思ってらっしゃるようなブラックバイトではぜんぜんないです。
みなさんの休みたいってところと、働きたいってところがあったときに、出勤してもらうということです。社員の方ってみなさんに対していろんな遠慮があったりするんですね。
お休みの希望を聞いて、「じゃあここ入ってもらえたらうれしいな」と思うんだけどなかなか言い出せない。ブラックバイトって言われては困るから。
そういう時に、他に出られる可能性どうかなってことをちゃんと確認するコミュニケーションが取れていると、実はお店ってもっといろんな人の力を借りながらうまく運営できる。
社員の方にそういうスキルをつけていただいて、全体で良い運営をしていこうという方針ですね。事前に私がお伺いしたお話ですけれども、少し補足としてお話をさせていただきました。
一方、ハイデイ日高さんの方はいかがでしょうか?
高橋均氏(以下、高橋):先ほどもお話ししましたけれども、資格制度を作ってすでに5年経ち、それが大きく寄与しています。
結局、店長・社員が休みを取らずに出るっていうのは、料理を作る人がいないために出るわけなんですね。それが今度はフレンドさんも全部、そういう資格を取れるようなかたちで進んでますんで、結局店長のかわりに料理ができるわけですから、当然休めます。
一般社員もちゃんと休んでます。店長もたまに休みが1日くらい減るときもありますけれども、ほとんど休みはうまく取れてますね。残業ですけど月あたりで見ると20時間は割っていますかね。そういう状況です。
それともう1つですね、先ほども出ましたようにドミナント戦略をしています。例えば東京だと200店舗お店があります。
駅の周りにはたくさんお店がありますんで、電車でも歩いてもすぐお店に応援に行けるんですね。そして今はヘルプ制度で、ヘルプリーダーというものを作って3店舗、5店舗という地区を作り、すべて1ヶ月のスケジュールを作りまして「どの曜日にどの日に人が足りないんだ」という情報を流します。
そこでシフトリーダーの店長が「ではこのお店からこの時間にスタッフを送ろう」という。シフトをすべてチームでもって穴埋めをしていますんで、休みはうまく取れています。電車で30分、1時間とか車で行かなくちゃいけないという店舗も多少ありますけども、ほとんど行けます。フレンドさんも完全に動いてくれますので、うまくいっております。
平田:ありがとうございます。ドミナントという話がありましたが、はなまるさんが全国展開であるのに対し、日高屋さんは1都3県の集中なんですね。
これは企業戦略の違いで、ある一定の場所にお店が集中しているのでいろんなものを輸送しやすいということです。
今の両社長のお二人に私は実は共通点を感じていました。それは総力。みんなで会社をよくするんだということを社長が社員に伝えていくということです。
先ほどの成瀨社長のお話は、パート・アルバイトさんの協力をちゃんと取っていくというお話でした。
今の高橋社長のお話は、パート・アルバイトさんは簡単なお皿洗いとか、接客だけをしていると、一人しかいない場合にお店を空けられないんですよね。
パート・アルバイトさんでもちゃんと協力をして、そのぶんスキルアップをして、スキルアップすれば本人も成長の喜びが感じられるし、会社としてもそうやっていろんなことができるようになった人が支え合ってくれればすごくやりやすいということがあります。
さらに店舗間のスタッフが移動できる環境。みなさんが同じように教育をされているから、それもできるということをしくみと実現されている。
この両社の違いは、単なる「お前がんばれ!」という精神論ではなくて、そうではないところをきっちり作っていかれようとされているのが非常に大きな特徴だなあと思いながらうかがっておりました。
今日はみなさんに3つのテーマでお届けするということでお約束しておりました。1つは「女性が本当にいきいき働けるの?」。そして「将来長く続けられるの?」。さらには「本当に労働時間どうなんだろう?」。
アルバイトしている飲食店さんで、社員さんとか店長さんがあんまりつらい働き方をしているので、「飲食絶対嫌だ」って思っているという話を、私は学生さんからもよく耳にします。
でもそうではないということが、今日わかったことかと思います。
平田:ここでですね、もうちょっとお時間ありますので、せっかくですから会場のみなさんからご質問いかがでしょうか? なんでもいいですよ。
大企業2社の両社長が同じ空間にいるというこの機会、本当にないことです。別に入社後の昇進に影響があるかというと、そういうことはありませんので(笑)。
ぜひ質問など、どしどしおっしゃっていただければと思いますがいかがでしょうか。
質問者1:こんにちは。日高屋の高橋社長に聞きたいのですが、この会社で、外国人の社員とか店長っていますか?
高橋:はい、います。
質問者1:資格はなにか要りますか?
高橋:資格はありませんけれども、外国の方って必要だと思うんですよね。国が違っても。外国の方は店長も地区長までいます。
ちなみに今は8,500人のパート社員、フレンド社員がいますけど、そのうち3,000人が外国の方です。うち1,400人がベトナムの方です。
その他、いろんな国の方がうちの会社で働いてがんばっています。
質問者1:僕も10年くらい日高屋で働いてますけど、僕も社員になろうと一生懸命がんばろうと思います。
質問者2:お話ありがとうございました。はなまるの成瀨社長に聞きたいのですが、「女性の社員の方は新卒は取るけど、中途はあまり採らない」と言っていたと思うんですが、なぜ中途の方は採らないんですか?
成瀨:あ、そう聞こえました? なにを言いたかったかというと、新卒でしか女性が採れないんです。新卒じゃないと女性が入って来ないんです。
中途はなぜか男性ばかりしか入って来ないんです。その謎が解明されていないんです。だから今僕が言ったことは正しいので、「なんかはなまるってそういう風にしているらしいよ」というのだけは……言わないでね(笑)。
(会場笑)
質問者2:ありがとうございました。
平田:誤解が解けて良かったです(笑)。
質問者3:今回の小麦粉大戦争ということなんですけど、実際お互いの会社同士、仲良いんですか? これは聞いちゃって良いんでしょうか?
(会場笑)
平田:両社長から「聞いてもらって困ることはない!」と聞いてます(笑)。
成瀨:よく「丸亀(製麺)さんと仲悪いんですか」って言われるんです。
(会場笑)
でも業界が違うのでそんなことはないんですね。日高屋さんはものすごく有名な会社なので太刀打ちできないと思っていますが。
ただ、業態が「ラーメン屋さん」と「うどん屋さん」なので、小麦はつながっていますが、あまり意識はしていません。
かといって丸亀さんを意識しているわけではないので。飲食業界の中で、仲良くしてるかしてないかというのは、あまりないんじゃないですかね。
平田:高橋社長の方はいかがでしょうか?
高橋:まったくないですね。
(会場笑)
安部(修仁)会長(吉野家ホールディングス前会長)とも飲んだし、成瀨さんとも一回7、8年前飲んだみたいなんだけど、酔っぱらって忘れちゃったみたいで(笑)。
あといろいろな役員の方とも付き合ってます。情報交換して、いろいろなことを教えてもらってます。大企業の方も多いですからね。ですから、そういう戦争はございません!
(会場笑)
質問者3:いろいろとお互いの強みのお話をおうかがいいたしましたが、この際に聞いておきたいんですが、会社の弱みとか欠点があるなと思うときってあるんでしょうか?
成瀨:弱みというのは見当たりません。弱みがあるんだったら、弱みを強みに変えるように普段からしています。
だから弱みっていうのは正直、今は出てこないですね。こういうのを空元気と言うんですけども。
(会場笑)
高橋:400店舗の店長がいますけども、店長の名前も業績も、得意な分野も弱い部分も私は全部知っております。そういうようなやり方です。
これからみなさんは来年から社会人になりますけども、大事なことは、人物を磨くには、すぐれた人物に学べって言葉があるんですよ。「学ぶ」は「真似る」なんですよ。
私が店長経験でわかったのは、そういう立派な店長が店長研修で発表して、それをみんなが真似れば店全体が良くなるんですよ。
がんばった人には表彰状と賞をあげます。男性だったらネクタイとか、女性だったら食事券とか。お互いに良いところを真似て、それを自分のものにしようとする。
これまでみなさん学校を中心にやってきましたけども、これから社会人になるわけですから、多くの立派な人がたくさんいます。そこで自分を磨くには、立派な人を真似れば、学べばいいわけです。
ぜひそれをやってもらうとね、自分のために良いんじゃないですかね。
平田:最後は熱いメッセージをありがとうございました。よろしければ成瀨社長からも学生さんに対して、なにか今後の人生のために、あるいは就活のためにメッセージがあればおうかがいしたんですけれども。
成瀨:ここ3年間くらい久しく説明会というものをやっていなかったので、パッと言われると出てこないものですね。
何回も繰り返しますけど、外食産業、入るとき気を付けた方がいいよ。
(会場笑)
基本は入らない方がいいから。でもこれはよその産業も一緒だから。今日はお互いの会社は真実しか言ってないと思います。
かっこいいところは一言も言ってない。誇張した部分は1つも出してないと思います。今のこれが実態です。みんな良くしてこうと思ってます。
そういう外食業界にみなさんのような若い人たちが、この先活躍していける土台を作っていかないと。僕らも引退しないといけないわけですからね。
価値観がすごく違うというのもよくわかってます。最後にあるアンケートの話をしますけどいいでしょうか。
今の若い人たちにこれについて語れっていうと、どういう答えになるかっていうのを僕、リクルートさんから聞いたんですよ。
まず僕たちの世代、つまりバブルを経験した人ですね。新しいものが出るとなんでも買っちゃうんですよ、いまだに。携帯について語れっていうと、何GBで、iPhoneのどうのこうので、何番目に出たやつでって語ると思うんです。
今の20歳の人にこれを語らせると「友達と簡単につながれる便利で楽しい機械」って答えたらしいんですね。
もう1つ聞きます。自動車です。それこそエンジンが性能がなんだっていうのが僕らの世代です。今の若者に同じようにグループインタビューすると、「友達6人を海に運んでくれる便利なもの」って言うらしいですね。
これ、合ってます? それほど時代が変わったんですね。
なにが言いたいかというと、会社にはいろんな考えの人たちがたくさんいます。でもぜんぜん考え方が違うのを強制的に合わせるってのは大嫌いなんですよ。
だから、今入ってくる人の価値観を、パワーを大事にしたい。これからどの企業に行っても、世代で変化する状況は一緒だと思います。
でもそれを押し付けるような会社は、だいぶ少なくなったんじゃないかと思います。自分の心で自分を伝えるということを、とにかく若いうちからどんどんやってもらいたい。
そうすると自分のやってみたい、実現したいことは必ずいつか実現できます。その数が多ければ多いほど、時間は早く実現できると思っているので、ぜひチャレンジしてもらいたいなと思ってます。今日はありがとうございました。
(会場拍手)
平田:両社長とも大変、社員思いの社長と思っていまして、お話の中にもいろいろとありましたけれども。
成瀨社長は飲んだ後に終電がなくなった社員を自宅に泊めてくれるという、本当に社員思いで。私も聞いたことがありませんね、こんな社長。
そして高橋社長もですね、全店舗の店長のタイムカードを毎月チェックされているということで、長時間労働になっていないかを本当に神経をとがらせて気にしてくださっている、大変社員思いの両社長でございました。
それではこれを持ちまして、小麦粉大戦争1部を終了させていただきたいと思います。
みなさま、どうもありがとうございました。
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