2024.10.10
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農=⽣産ではない、農の多⾯的価値を考える(全1記事)
提供:amidus株式会社
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タカハシケンジ(以下、タカハシ):では、よろしくお願いします。恵⽐寿新聞のタカハシです。
さてさて、今回は最後のトークセッションです。「農=⽣産ではない、農の多⾯的価値を考える」というこのテーマ、難しいですね。どういうことなんでしょうね。
「⽣産」だけではなく、エンターテインメントだったり、いろんなところにいわゆる併⽤価値が「農」にはあるんじゃないのか。そのあたりを今回はスペシャルなゲストと、モデレーターの私でお話を繰り広げたいなと思います。
まず私の⾃⼰紹介ですが、恵⽐寿新聞は「農」のことを、ちょっとやっているんです。⼭梨県の河⼝湖の耕作牧地を借りて、都会の⼈たちと野菜を作ったりとか、恵⽐寿ガーデンプレイスで畑を作ったり。いろいろなことをやらせていただいております。よろしくお願いいたします。
ということで、スピーカーの松本さんからご紹介をよろしくお願いいたします。
松本純⼦(以下、松本):みなさんこんばんは〜! 私は農林⽔産省に勤めております、松本純⼦と申します。職場でも松純(まつじゅん)と呼ばれているので、みなさんそう呼んでください。
今の私の仕事は、農林水産省の報道業務をしています。例えば、テレビなどで大臣が記者会見をしていたりする様子が映ったりしますが、それに関わる仕事や、農林水産省が後援するイベントの手続き業務など、対外的にも重要な仕事と思ってやっています。
タカハシ:農という⾯ではどういう担当をされていらっしゃるんですか?
松本:そうですね、「農⽔省って堅い!」といったイメージだと思うんですけれど。本当にまったくその通りで、堅いので。その反動で、仕事以外の楽しみとして⼤好きな料理を通じで野菜ソムリエの資格やフードアナリストの資格を持っています。
そのため、休⽇は全国の畑を訪れてその様⼦を⾃分の料理と共にレシピ化して、ブログで情報発信をするといったようなことをしています。
タカハシ:おもしろそうですね。後ほどお話をうかがいたいと思います。お隣にいらっしゃるのが、先ほど杯を交わした野呂さんでございます。
野呂さんは放送作家さんというご紹介でもよろしいでしょうか。みなさん、ダッシュ村ってご存知ですか? ダッシュ村を知っている⽅!
野呂エイシロウ(以下、野呂):もう僕は辞めちゃったんですけど、「ザ!鉄腕!DASH!!」という番組を⽴ち上げからやっていました。今日はそのあたりのお話も含めて、できたらなと思ってます。
タカハシ:じゃあ、そのあたりの話も後ほどうかがっていきたいと思います。
では、左隣へ。僕も今⽇から使わせていただいている「LOVEGREEN」というアプリ、そのほかフリーペーパーも出していらっしゃる⽯塚さんです。
⽯塚秀彦(以下、⽯塚):こんばんは。LOVEGREENはウェブで展開していまして、月間だとユニークで200〜250 万人くらいの方に見てもらっています。
⽉刊のフリーペーパーって、なかなかないと思うんですが。LOVEGREENはウェブでかなりの情報を出していますので、逆にそれをぎゅっと凝縮したのがフリーペーパー「Botapii[ボタピー]」です。今年の2月に創刊して、全国47都道府県のショップ・施設、主にはホームセンター園芸店生花店など約800箇所に置かれるようになりました。
タカハシ:さてさて、こんな4⼈が集まって、テーマが「農=⽣産ではない、農の多⾯的価値を考える」。
みなさん、いろいろな得意技をお持ちだとは思うんですが。まず、松純さんから聞いてみたいと思います。お仕事はお仕事として「農」をやっていますけれども、お休みのとき=週末ですよね。週末はどんな活動をされているんですか?
松本:休⽇は全国の畑を回っています。
この⽇曜⽇はもうまもなく消滅すると言われている、⽇本で⼀番⾼齢化が進んでいる村にいって、そこの農業と村の⽣活を⾒ていきました。
ほかにも、猟銃で撃つではなく罠で⿅とか猪とかを狩る。そしてさばく技術がトップレベルな素敵な罠師の⽅に会いに⾏ったり。世界で⼀番⾼いと言われる1本10万円のニンジンジュースを作る⽣産者さんに会いに⾏ったりもしました。
タカハシ:1本10万円のニンジンジュース……。え、どういうことなんですか?
松本:私が飲んだものは、1本600円のものなんですけど、これはもう信じられないくらいおいしくて。例えば朝まで働いても、そのニンジンジュースを飲んで⽣き返るみたいな。それほどの価値があるものですね。
タカハシ:野呂さん、絶対に常備してそうですね。
野呂:いいですね、1本! 銀座で呑むことに⽐べたら安いですね。ただ、ボトルキープできないのが残念です。ニンジンジュースはすぐ飲まないといけないから。傷んじゃいますからね。
タカハシ:それは実際に飲まれた……?
松本:世界⼀⾼いものはまだ飲んでないんですけど、今度、感想をお知らせします。
その他の取り組みだと、LINEのオフィシャルブログ「⾷と農の妄想レシピ」を書いています。趣味が妄想なので、⾷と農に思いをはせる妄想家としてブログをやっています。
そもそも、「⼀⽣働きたいな」と思い、学校の先⽣になろうとしたのですが。先⽣は無理だと思って、公務員になったんです。昔から、みんなが折り紙で鶴を折っている時に私はおにぎりとか⾷べ物を折ったりするような⼦どもで。⾷材図鑑ばっかり⾒て、中2くらいからレシピを作っていたような⼦どもでした。
⾷べ物にすごく思い⼊れがあって、⾷のことを考えていきたいなと思って農⽔省に⼊りました。
タカハシ:天職だなと思えるお仕事の環境ってどうですか?
松本:やっぱり、⽣活の根幹って⾷なので。それに携わって、政策から作れるのはやっぱりありがたい。誇らしいことだなあと思います。
ただプレッシャーとかもあります。机上の論理じゃないですけど、現場のことを考えずに机の上で⽇本の農業を考えることはできないので。だからこそ、いろいろ畑を回ったりと、最近は週末農業を始めたり、そういったことをやっています。
タカハシ:次は野呂さんにお話をうかがいたいと思います。野呂さんは、農業の⽅はどうですか?
野呂:僕もこれから農業を始めようと思っています。天王洲のとある場所で、無農薬、有機栽培など、細長い農業をやる予定です。
ビックリだったのは、天王洲で「はちみつ」を採れること。都会の印象が強い天王洲でも採れるようになったんですよ。牧場で「はちみつ」を育てて循環農業をしたり、⾯⽩い畑を作りたいなと思ってます。
タカハシ:ありがとうございます。僕も近いことをやっているので、ぜひ⾒に来てください。さて、みなさんが野呂さんに聞きたいのは、いわゆる、テレビで農業をとりあげる「ザ!鉄腕!DASH!!」のDASH村ですよね?
野呂:始まった時から、いろんなことをやっていましたね。例えば、サボテンから酒を造るとか、ゼロからいろんなことをやるっていうのは相当⼤変にも関わらず、いろんなことをバラバラにやっていましたね。
「村」を始める前は、稲とかはちょっとやっていたんです。それでも実際にやってみると、ちゃんとやらないと難しいなって実感しましたね。これがきっかけで、「ゼロからやったらエンターテインメントになるんじゃないの?」と。年中うまいものを採れるわけじゃないから、酪農もやらなきゃとか、ちょっと味噌を作ろうとか。やり始めると、いろんなことができるようになったんです。
タカハシ:でも、テレビの世界だから、視聴率の存在だったり、企画を考えるうえで「農」って注⽬されやすかったり。そのあたりはどうなのかっていうと、僕的な考え⽅だと「取り上げづらいよね、キャッチーじゃないよね」な印象があるのですが、いかがでしょう?
野呂:そういう問題は確かにあって。でも、「出演者のみんながリアクションをして、それが⾯⽩かったらいいんじゃないの」って思ってました。あとはできたものを⾷べたら「うまい!」となる。それでいいじゃん。そういうことができるのがいいんじゃないの、って。
楽しければいいじゃない。やっぱり嘘は伝わるので。みんなが本当に苦労するとか、芽が出ないだとか、枯れちゃうとか、飼っているものが死んじゃうとか、動物に荒らされるとか。それも含めていいんじゃないかな。アメリカでリアリティテレビが多いのは、そういうことだと思います。がちんこ的なものが、みんな本当は⼤好きなんですよ。
タカハシ:まさにDASH村は、番組を⾒た⼦たちが「ちょっと週末農園やってみよう」だとか「家庭菜園をやってみよう」っていう気持ちになるきっかけを作ったんですね、野呂さん、ありがとうございます。
次に、⽯塚さんのLOVEGREEN。僕も朝から使わせて頂いているんですけれども、これもすごい。くわしく教えてください。
⽯塚:アプリは基本的にはインスタグラムが近いものになるんですけど。⾃分が栽培しているものを記録して、共有するものができたらわかりやすいのかなと思ったので作りました。LOVEGREENでアプリを検索するとダウンロードできます。
タカハシ:僕が投稿したやつ、もう「いいね」がたくさんついています。みんな⾒てくれるもんなんですね、ありがとうございます。
あとはもう1つ、⾃⼰紹介で触れなかったことで話すと、Facebookもいいね数が12万くらいありまして。けっこう頑張ってやっています。
どんな趣味でもそうだと思うんですれども、⾃分がハマってくると⼈にみせたくなったり、共感してみたくなったり。そういったコミュニケーションの取り⽅があるかなっていう。なので、そういったアプリも挑戦してみよう、という経緯でやっております。
ルミネ池袋さんからコラボ企画のお話をいただきまして、イベントを実施したのですが、若い女性からも植物に対しての興味関心が増えていると感じています。
野呂:ちょっとわからないんですけど、ルミネさんって⼥の⼦が洋服を買うところじゃないですか。野菜に興味があるんですか。
⽯塚:実は、野菜じゃなくて園芸の⽅なんです。今、ファッションのトレンドがまずボタニカル。それから蓮柄のワンピースとかスカートとか増えているんですよね。運営のところでファッションだったりインテリアだったりがあって、最近「農」をいろいろなカタチで取り⼊れられているんです。100円ショップさんなどでは、簡単に育てられるハーブや植物、種とかも販売されています。
ルミネ池袋さんの中でも、実際に植物を販売している雑貨屋さんがありました。なので、今はトレンドに終わらせないのがものすごく重要なことなんじゃないかなって思ってます。やっぱり「流⾏っているからやる」というと、すたれていってしまうというか。トレンドじゃなくて、カルチャーにしていく必要があるのかなぁと思っています。
タカハシ:その、なんていうんでしょうね。テーマは違うんですけれども、トレンドで終わらせない。カルチャーとして残すために、⾃分にできることがあるのかなと。というところをお⼀⼈ずつ、うかがいたいと思います。
松本:トレンドで終わらせないっていうのは、国も同じ考えです。
例えば、米の消費量を上げたいといって「ライスミルク」が流⾏ったときも「流⾏りすぎるとだめ」が重要で。流⾏りすぎると飽きちゃうんです。だから、どれだけ地道に継続していくかが⼤事なんですよね。
だからもっと根底になにかがないと、⼈ってすぐに飽きちゃうので。もっと⾰新的なものをつめていかなきゃいけないなぁと思っています。
⾷って、伝え⽅が⼤事なので。私もブログとかでは必ず⾒せるような写真と、誰にでもわかる⾔葉で伝えるように⼼掛けています。というのも、やっぱり⾷はライフスタイルのすべてだと思っているんです。ファッションとか、⾳楽とか、デザインとか。⾷は全部と関わっていることなので。興味がなかったり、すぐに飽きちゃったりするのはだめなんです。
⾃分のライフスタイルとかけ離れていると感じたら、離れてしまう。だから伝え⽅はすごく⼤事で、私もブログなどでストーリーとともに伝えていくように⼼がけています。
タカハシ:では、野呂さん、お願いします。
野呂:「飽きない」の例で⾔うと、「納⾖」は21世紀になったらなくなるのかなって思ってたんですよ。
いわゆる、昔からある古い⾷品ってことなんですけどね。⽇本酒とか、⾖腐とか。みんな飲むようになったサプリとか。21世紀になったら、なくなるのかなって思ったけど、なくならなかったじゃないですか。
なにが⼤事かというと、「ずっと⽬に⾒える」が⼤事なんじゃないかなと。ちょっと家で作ってみるとか、家に農園を作ってみるとか。これは半分シャレで⾔ってたんですけど、街中にみんなでゲリラ的に種を植えようとか。
もっと⾝近に「農」が⼊ってくると、もうちょっとおいしいものを⾷べようだとか、さらにもっと変わったものがあるんじゃないかとか、そういう発想が⽣まれると思います。たぶん⾷欲ってずっとなくならないと思うから。⾝近に⾒える機会が増えるといいなって思います。
タカハシ:ありがとうございます。では、最後に⽯塚さん。
⽯塚:情報発信としては潮流で、それを「トレンド」として終わらせないっていうことですかね。
僕⾃⾝がもともとはインターネット広告の会社にいたんです。だからか、⼤量にテレビを使って「こういう⾵なライフスタイルがいいんだよ」と伝えるのはとっくに終わっていると思うことが多くて。
影響はもちろんあるんですけれども、インプットされた後に、それを「仲間との出会いの場」に取り⼊れたり、組織づくり・動線づくりが僕らは重要だと考えていて。それで⽣まれたのが、弊社のサービスです。
ウェブで検索されて、着地するのがLOVEGREEN。その⼀⽅で、フリーペーパーは「グリーンが好きな⽅だったら週に⼀回以上お店に⾏く」というデータがあります。そこに無料で置いちゃえばいいじゃんっていう発想です。
エデュケーションできる場としての体験イベントも行なっています。やっぱり今、体験型がすごく重要視されている。他にもインスタジェニックな写真をアーカイブ残しておくこともそうですね。
導線づくりと順番を間違えずに、そのプロダクトとかファクトに合わせてやっていくのが、僕は重要なんじゃないかなって思います。
タカハシ:なるほど。やっぱり関わる⼈を増やすためのことですよね。なるほどなぁ。みなさん、「農」に関わる⼈を増やすために、多⾯的な農の取り組みをしている。それが⾮常によくわかりました。ありがとうございました。
amidus株式会社
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