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IoT、AI、VRの未来を語るディスカッション(全3記事)

2017.08.30

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IoT、AI、VRの未来はどう変わる? ソラコム玉川×ABEJA岡田×InstaVR芳賀が描くビジョン

提供:グーグル合同会社

Googleが“インターネットの次にくるもの”をテーマにしたイベント「INEVITABLE ja night」を開催。その中で行われた「IoT、AI、VRの未来を語るディスカッション」では、IoTやAI、VR を軸に新たなビジネスを切り開いているソラコム玉川憲氏、ABEJA岡田陽介氏、InstaVR芳賀洋行氏が登壇しました。モデレーターは及川卓也氏。今現在、お互いが関わっている領域をどう考えているのか。また、新領域に関わるであろう技術者たちが持つべきビジョンとは? 第2回開催の詳細はこちらからチェックできます。

ソラコムのビジョンは「世界中のヒトとモノをつなげ共鳴する社会へ」

及川卓也氏(以下、及川):では、PART3「IoT、AI、VRの未来を語るディスカッション」ということで、このお三方お招きしまして、お話をしたいと思います。

私の所属ですが、ちょっと紹介しにくいんですけれども(笑)。いろんなスタートアップに技術アドバイスとかプロダクト戦略などアドバイスしております、及川と申します。元Googleだったこともあり、今日この役目を依頼されたのかなと思っております。

時間もあれですので、さっそく進めていきたいと思います。まずはこのお3方に、5分という短い時間なんですけれども、みなさまの事業内容や自己紹介。お話しいただくようにお願いしております。

まずは玉川さんからお願いしたいと思います。

玉川憲氏(以下、玉川):みなさん、こんにちは。ソラコムの玉川と申します。ソラコムはIoT向けの通信プラットフォームを提供している会社です。ソラコムってご存じの方はどれぐらいいらっしゃいますか?

(会場挙手)

ああ、全員ですね。ありがとうございます(笑)。

(スライドを見て)こうやって会社概要を見ていただきますと、だいたい資本金が37億円あります。日本にしてはめずらしく、非常にテックスタートアップというんでしょうか。シリコンバレー型の資金調達をガーッとして、一気に成長させるやり方をとっております。

ビジョンとしては「世界中のヒトとモノをつなげ共鳴する社会へ」でやっております。

私自身はもともと研究者、エンジニアあがりです。ソラコムを立ち上げる前はAWSのエバンジェリストをやっておりました。

「ちょっとGoogleさんのイベントなので、AWSって出していいいんですか?」って聞いたところ、3回まではOKということで、AWSは3回まで……。あ、もう2回言ってしまいましたね(笑)。

趣味は技術書を書くことです。毎年こつこつと、趣味で書いております。

「エンジニアリングの力を主体とした会社を作りたい」と立ち上げた

我々はソラコム立ち上げる時に、日本発でグローバルに通用するようなプラットフォームビジネスをやりたいと言っていました。こういった強い思いを持っている。あとはイノベーションで、そしてエンジニアリングの力を主体とした会社を作りたいということで、ほぼエンジニアを集めて立ち上げた経緯があります。

我々はIoTをやっているわけですけれども。もともとの背景としては、クラウドにものすごくデータが集まってきている。そんななかで、モノ、自動車、自販機、家電、そういったところからクラウドにデータを送ろうとすると、「デバイスからクラウドへのセキュアなデータ通信がない」ことに気づいたんですね。

私自身がクラウドをやっていたので。クラウドが出てきたことによって、つまりコンピュータが民主化されてみなさんの手に渡ったことで、ものすごくイノベーティブなWebサービスが世界中で出てきました。

IoTになってそういったものを実現しようとすると「通信の民主化が必要だ」ということで、SORACOM Airというサービスを2015年9月30日に出しました。

これはSIMを提供してるんですけれども。ただのSIMではなくて、モノに挿すとモバイル通信でつながって、それがクラウドに直結している。そしてAWSでもAzureでもGoogleでも、もしくはオンプレでもインターネットでも接続できる。

つまり我々は、モノと処理基板の通信をセキュアに集中管理できるような仕組みを提供している会社です。こういったWebの上でコントロールできる。もちろんAPIでもコントロールできる。

おかげさまでたくさんアワードをいただきまして、今6,000以上のお客様にお使いいただいています。企業規模を問わず、スタートアップ、中小企業、大企業、さまざまな業界でお使いいただいています。

例えば十勝バスさん。北海道・帯広市のバス会社さんで、位置情報をクラウドにあげて、路線案内アプリを出されていたりしています。楽天Edyさんの決済端末。楽天Koboスタジアムのビールの売り子さんの決済端末で使われています。

JapanTaxiさん。最近、タクシーに乗ると後部座席にタブレットがあって、動画広告が流れると思うんですけれども。そういったもので4,000台のタクシーで使っていただいてたり。コマツさん。スマートコンストラクションの仕組みで使っていただいていたりします。

最近発表した事例としては、ダイドーさんの自販機ですね。15万台の自販機が今後IoT化されていくところで使っていただいています。それから、京成電鉄様の100以上の踏切の監視とかですね。

こういったところでSORACOMを使っていただくと、非常にスモールスタートできるということで、1枚につき月300円ぐらいから使えるんですね。

ソフトウェアで実現したバーチャルキャリア

我々がITベンチャーがどうやってモノ向け通信を提供してるかというところなんですけれども。

非常にざっくりと仕組みをいうと、携帯通信キャリアさんの基地局だけをお借りして、そこから専用線をクラウドに引く。そのクラウドの上でテレコムのコアネットワークという、パケットの交換とか、課金システム、そういったものを全部作っている。

つまりバーチャルキャリアなんですね。基地局とクラウドを組み合わせて、ソフトウェアで我々が実現したバーチャルキャリアがSORACOMの仕組みです。

大きなパラダイムシフトを提供することができたなと思ってるんですけれども。IoTって、Internet of Thingsなので、モノとインターネットをつなぐということなんです。でも、我々が思っているのは、クラウドにデータをあげることになるんだと。

これがInevitableなことでですね……。これまた噛んでしまいましたね。これ、言いにくいんですね、Inevitable。クラウドにデータをあげることは避けられないムーブメント。なので、我々はモノとクラウドを直結するパラダイムシフトを提供していることなのかなと思っています。

ソラコムのサービスは日本から始まったんですけれども。もともとグローバルなプラットフォーム事業を作りたいということで、昨年30億円の資金調達をしてグローバル展開を開始しまして。昨年10月にアメリカ、そして今年2月にヨーロッパで発売開始。この新しいSIMは120ヶ国で使われるようになっています。

ということで、クラウドが出てきてたくさんのWebサービスが生まれたように、我々も「SORACOMが出てきたから、IoTのソリューションサービスがいっぱい出てきた」とみなさんに言っていただけるように貢献していきたいと思っております。ご清聴ありがとうございました。

(会場拍手)

ディープラーニングのビジネスがイノベーションに直結する

及川:玉川さん、ありがとうございました。では、続きまして、岡田さんからお願いします。

岡田陽介氏(以下、岡田):はじめまして。株式会社ABEJAの岡田と申します。本日は貴重な機会をいただいて本当にありがとうございます。

まずABEJAという会社は、基本的にはAI。とくに……このAIってかなり一般的な言葉になってしまってるんですけど、AIという大きな枠組みの中にマシンラーニングというものがあります。そのマシンラーニングの中にディープラーニングがあるんですけれども。そのなかで我々はとくにディープラーニングに特化して事業を進めさせていただいているベンチャー企業でございます。

ちなみに、ちょっと玉川さんにやられたので私もやりたいんですけど、ABEJAを知ってたって方、ちょっと手を挙げていただけるとですね。

(会場挙手)

ああ、やっぱりソラコムさんよりは少ないですよね……。まあ、そんなかたちでございますと。

それで簡単に自己紹介なんですけど。私、ちょっと老けて見えるんですけど、実は28歳でございまして、しれーっと先ほど20代・30代・40代のところで、20代でサッと手を挙げさせていただいてたんですけれども。

もともと小学校5年生ぐらいからずっとプログラミングをやってまして、そのあとずっとコンピュータグラフィックスをやってました。そのコンピュータグラフィックスをやっている時に、GPUですね。だいたい今ディープラーニングとGPUってもう切り離せないようになってくるんですけれども。そういったものをずっと触っていました。

そのなかで実際に起業してみたり、東京のベンチャー企業に来てみたり。あと、シリコンバレーに行ったりしてるんですけれども。そのシリコンバレーに行ったのがちょうと2011〜2012年ぐらいなんですね。その時がちょうど、GoogleさんがいわゆるGoogle Brain Projectというのをシリコンバレーでやられていました。

これを見ることはできないんですけど、「こういうのやってるそうなんだ」みたいな。こういった情報を聞いて「これはすごいことが起きたな」と思って。シリコンバレーで遊んでいてはいけないと。なので、日本に戻って起業したというのが、この会社の目的でございます。

なので、我々は本当にずっとイノベーションと向き合ってるんですけれども。当時2011年〜2012年、私の中でのイノベーションは、本当にディープラーニングみたいなところ。ディープラーニングを使ってなにかビジネスを作っていくことが、イノベーションに直結するんだろうなって思っている。そういうのをやらせていただいたりしておりました。

東大の教授と共同研究なども実施

それで今、日本とシンガポールの2拠点でやらせていただいておりまして。けっこうめずらしいのは、弊社もう10ヶ国ぐらいにメンバーがいて、かなりグローバルでダイバーシティなオーガナイゼーションになってるというかたちですね。

あと弊社の特徴的なところですね。創業当初から日本トップレベルの先生方と共同研究させていただいているのがすごく大きな強みになっております。東大の國井(尚人)先生とか。東大に初めて情報科学を作りましたという先生と一緒に共同研究もさせていただいています。

あと、弊社のめずらしいところは、先ほどGPUという言葉が出ましたけれども。最近、謎のAI半導体メーカーでやたらとバズワードになってるいるNvidiaという会社からアジアで初めて出資をいただいております。これが非常に大きなポイントでございます。

アジア初、かつ日本初なので、基本的にフレームワークがなかったんですよね。なので、我々が第1事例にならざるをえなくて。そういうのをやらせていただいたりしていました。

ABEJA Platformでエコシステムを作る

そのなかで我々がなにをやっているかというと、基本的にはAIみたいなものをクラウド上に突っ込んで作っている会社です。

これですね、もうIoTみたいなかたちで、玉川さん、ソラコムさんがあるおかげで、いろんなセンサーデータからどんどんいろんなデータがクラウドにあがってまいります。それをどんどん吸わせていただいて、いろんなデータを複合してビッグデータを作って、人工知能を作っていきます。

これ、我々が人工知能をエッジ側にズドンと落とすことができるのが特徴的でございまして。クラウドだとGoogleさんとか、敵わない部分が出てくるんですけれども。これはエッジ側にもデプロイできるところが非常に大きいです。

我々、これをすべて司る仕組みとして「ABEJA Platform」を持たせていただいています。

そのなかで、このABEJA Platformをより多くの方に使っていただくためにプラットフォームのエコシステムを作っておりまして。ここに、実際にIoTのデバイスを作られている会社様やその中の通信。まあ、通信はソラコムさんに入っていただいたりですね。実際に我々の仕組みとインテグレーションしていただく会社さんなど。

あと「そもそもAIでなにしたいんでしたっけ?」をコンサルする会社さん、すでにAPIを持っている会社さんとも実際に連携をさせていただいています。実際にトレーニングコースもご提供していますね。

我々は、基本的にはプラットフォーム層を作っている会社のイメージになっていまして。基本的にGCPとか立ち上げてクラウドを作れる方は、クラウドを使って基本的にディープラーニングを使えるんだったらどうぞ……なんですけど。ほとんどの方はやっぱり使えないです。なので、そのプラットフォームと、実際にいろんなサービスみたいなものを持たせていただいています。

実際に小売業様とかに提供していますと、(スライドを見て)こういう映像データを送っていただければ、「こういうふうに人が来て、こういうところに滞在してました」「男性、29、28歳が来てますよ」とかが一発でわかる。そのような仕組みをご提供させていただいています。

これが実際にビジュアライゼーションされたり、アイコンで見れたり。お客様にそれを使っていただいてるというかたちになります。

最後、駆け足になりましたけれども、以上でございます。ありがとうございます。

(会場拍手)

専門家じゃない設計士がVRを作れる環境を提供

及川:どうもありがとうございます。では、最後、芳賀さんお願いいたします。

芳賀洋行氏(以下、芳賀):世界10,000社が選ぶVRアプリ制作ツールの「InstaVR」を提供しております、InstaVRの芳賀と申します。

InstaVRは、Webからの簡単な操作でインターネットのVR体験を、iOSやAndroid、Gear VR、Daydream、Oculus、Viveといった、ありとあらゆるVRプラットフォームに配信できるツールを提供しています。

(スライドを見て)例えばこちら、弊社のお客様のスミソニアン博物館様になるんですが。こんなかたちで博物館の中を歩き回ったり、そこに埋め込まれたデータを見るといった体験を、スミソニアンの方の1人が作ってるんですね。

作成したのをApp Storeに出したり、Google Playで配信したり、もしくは自社のWebサイトに埋め込んで幅広く配信するといったことができるツールを提供しております。VRを使うと、ここにいてもスミソニアンを体験できるように、いつでもどこでも体験できる価値があります。

VRは、2025年には9.6兆円の巨大市場に成長します。そしてその約70パーセントがゲーム以外の用途に使われるんですね。

ただこれ、けっこう困ってることがありまして。ものすごくお金がかかっちゃってるんですね。これを解決するには、なぜこんなことが起こっているかというと、コンピュータグラフィックスとか習得な困難な技術を持った技術者たちが時間をかけて作っちゃってるんですね。

これをInstaVRが解決して、1分間で習得して、誰でも分単位でVRアプリを制作できるツールを提供します。

例えば、事例を出してみましょう。日建ハウジングシステム様。こちら以前からVRプレゼンを導入されていました。

こちらでは、VR制作コスト99.2パーセントという劇的な削減に成功しています。今まで2〜3日かかっていたり数週間かかっていたものを分オーダーで作れる。さらに専門家じゃない設計士がVRを作れる環境を提供します。

ほかにも、弊社のお客様である国連さんから「圧倒的な習得のしやすさ」。さらには「数百時間の開発時間を節約することができます」というお声をいただいております。

誰でもVR体験ができる……このメリットは?

InstaVRを使うと、誰でも今すぐに、体験をありとあらゆる人へ、いつでもどこでも提供できる。

「これ、なにがうれしいんですか?」というのはあるんですが、例えば海外の旅行代理店にテーマパークを売り込みたい場合。これは体験しないとわからないじゃないですか。(InstaVRだと)体験できるんですね。

(スライドを見て)例えば、弊社のお客様のサンリオエンターテイメント様ですと、このようなかたちで実際のテーマパークの体験を、ヘッドセットに詰め込んで持っていくんですね。そうすると、「なんだ、こんな感じか。これならいけるよね」を体験できたりします。こんなふうに時間と空間を超えられる。

今度は未来に行ってみましょう。例えばこれは弊社のお客様のジェットを開発されているEMBRAERという企業なんですが。こちらですと、注文前に内装などを確認して、セールスツールに使えると。弊社ではさまざまなお客様が、VRをセールス活動に活用されていたりします。

さらに人材採用もしくは訓練に関してもVRは有効です。弊社様のお客様としてはUSDA、アメリカの農林水産省では人材採用と訓練。海軍様だと空母の訓練にInstaVRを使って作ったVRアプリを活用されていたり、そういったことにも使われます。

こちらは若干暗いんですけど、メディア体験として、シリア難民というのを実際に体験して、本当に難民問題を突き詰めて考えるものですね。こちらはCNN様を擁するTurner様などがご採用をいただいております。

(スライドを見て)そしてVR、親和性の高そうな、このような旅行ですね。Expedia様をはじめ、ドバイ空港やカタール空港などに、InstaVRを使ったアプリというのが導入されていたりします。

もちろん教育も。教育に関しては、スタンフォード大学様やそれからPennsylvania Universityなど、さまざまな大学様が実際の大学教育、もしくは幼年教育というかたちでInstaVRを採用して、さまざまな用途に活用されております。

InstaVRの海外売上比率は90パーセント以上

ますます広がるInstaVRの利用シーンというところで、これまで1万社・140ヶ国にご採用いただいています。海外売上比率は90パーセントを超えております。売上高もマンスリーマンスリーで成長中でございまして。シリコンバレーのベンチャーキャピタルを含む複数投資家より、シリーズAの資金調達を昨年完了させてきたところでございます。

改めまして、私、芳賀と申します。最後に自己紹介です。10歳からプログラミングをしてまして、90年代からVRに関わっておりました。

アメリカの3DCG最大手のAutodeskにてソフトウェアエンジニア、GREEにてプロダクトマネージャーをしたあとに、個人でVRを作っていたら150万ダウンロードいっちゃいまして。こちらをもとに作ったのが、InstaVRのツールです。

会津大学でコンピュータサイエンス、あとはグロービスでMBAをとっております。本日はよろしくお願いします。

(会場拍手)

及川:ありがとうございます。みなさますばらしく時間管理ができていて、5分で終わりました。ありがとうございます。

Twitterを見てたら質問があって。「InstaVRだけ会場に知ってる人の知名度アンケートがなかったけど」っていうのが。聞いてもいいですか?

芳賀:あ、お願いします。

及川:はい、InstaVR、ご存じの方?

(会場挙手)

芳賀:あ、けっこう知ってる。

及川:おっ、すごいですね。

芳賀:ありがとうございます。

及川:すばらしい。ということで、3社のアンケート取れましたので、さっそく進めたいと思います。

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