2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
提供:グーグル合同会社
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小島英揮氏(以下、小島):みなさん、こんばんは。今日は「INEVITABLE ja night」のイベントにお越しいただき、ようこそ。
今日はこの3人で、この「不可避な未来とNEXT 5 BILLION」というテーマでお話をしていきたいと思います。後ほど2人にも自己紹介していただきます。まず、ちょっと座っていただいて、進めていきたいと思います。
今日は「INEVITABLE」というこのキーワードをずっと使っているんですけれども。日本語でいうと「不可避な流れ」という文脈で使っています。
どんな流れが不可避なのかを共有します。そして最後にスタートアップを起業されたみなさんのパネルがあるんですけれども、どうやったら彼らのようなことがみなさんもできるのか、そういった道筋をぜひこの対談を通じて得ていただければと思います。
それでは、私のほうから今回の「INEVITABLE ja night」を開催するに至った流れをお話しして、お2人と、この不可避な流れについて議論を深めていこうかなと思っております。
簡単に私の自己紹介なんですけれども、小島と申します。25年ぐらいこのIT業界でマーケティングをやっていまして。直近はクラウドのビジネスに7年ほど携わっていました。
今年から、1社というよりはこの不可避な流れにたくさんなるべく張っておきたいということで、VRとか決済とか、そういったところのいくつか会社のマーケティングのお手伝いをしている者でございます。
今日のInevitableな流れというところで、イントロダクションというところなんですけれども。世代が合う方がどれぐらいいるかわかりませんが、僕的には今日お話しするVRとかAIとかIoTって、最近実写版もありましたけれども『GHOST IN THE SHELL』『攻殻機動隊』の世界観がすごくリアルになってきている流れなんじゃないかなと思います。
あの中では、VRのゴーグルやAI、マイクロマシン、センサーみたいなものがごくごく普通に生活の中に入ってきている。いろんなネットワークは非常に進化してるんだけれども、まだ国や民族という器は残っている。非常に今と似たような状況なんじゃないかなと思っています。
「これはアニメの話じゃないか」と思うかもしれませんが、非常に今ここに近い流れが来ているんじゃないかなと思っていまして。
それでちょっとご説明したいのは、こちらの図です。
スライドを指して一番左にあるのはクラウドコンピューティング。ここから端を発して、たぶん今ビッグデータ、モバイルという流れが来ていると思います。今日、この先に、AIやVR・ARといった仮想体験、そして人だけじゃなくて物もデータを出してくるIoTの世界が来るという話なんですが。これを技術の流れじゃなくて、エコシステムの流れで捉えていただきたいと思っているんですよね。
「エコシステムってなにか」という話なんですけれども。たぶんみなさんはお手元にスマホをお持ちだと思います。このスマホには2つの要素があると思っています。
1つはスペックというんですかね、ハードウェアの性能みたいなところ。これも「テクノロジー」と表現できると思うんですけれども。
いかにスペックが高くても、おそらくみなさん、その中にあるたくさんのエコシステム、……みなさんの中ではいろんなアイコンが見えると思うんですけれども。これがなかったら、このテクノロジー(スマホ)は使わなかったと思います。10万円もする電話機を、みなさんは買わないと思うんですよね。
なんでみなさんこれを買っているかというと、このテクノロジーの中で使えるエコシステムがどんどん広がっているからです。
これはGoogleさんのデータなんですけれども、昨年1年、Google Playだけでダウンロードされているアプリケーションの数は年間で820億回。ちょっと天文学的な数字ですよね。
これだけみなさんが使えるものが増えている。そして、これだけ多くの人の生活に関係あるビジネスがスマホを起点に大きくなっているということになると思います。
クラウドがもたらした「簡単にシステムが作れる」「ストレージがすごく安く使える」が、このモバイル、それから大量のデータを吸い上げるというビッグデータの流れを作ってきたと思うんですけれども。
今日お話しするAIやVR、IoTは、この流れの延長にあるんですよね。
これだけ大量のデータが流れるようになった。それを処理するのにいちいち人がやっていたら大変だろうということで、このAIの流れがあるわけですし。「今のようにテキストとか情報だけじゃなく、体験も伝えられるようなインフラができているよね」ということで、VRやAR(=Augmented Reality:拡張現実)も来ている。
そして、データを吸い上げる対象は人だけじゃなくて、センサーからもどんどん吸い上げたい。ビッグデータへどんどん取り込みたいということで、IoTが来ている。
クラウドから始まったエコシステムの積み重ねで、このAI・VR・IoTが来ている。だから、単なるバズワードじゃなくて、確実にクラウドのエコシステムの延長として来てるということですね。
今日、何度かこの黄色い本、『〈インターネット〉の次に来るもの〜』をフィーチャーしますけど、ここに書かれているのは、この不可避な流れというところです。
今日触れておきたいのはテクノロジーだけじゃなくて、日本におけるもう1つの不可避な流れ。これは人口減少社会というところです。ちなみにこれ、内閣府のデータを使って私が昨日グラフにしてみたものなんですけれども。2010年から始まって右肩下がりに人がどんどん減っていく。
ポイントは、購買層がどんどん減っていくんですよね。これがなにかというと、ファクトとしては労働人口・消費人口がどんどん減っていく。このままだと日本のGDPは絶対にシュリンクしていく。これをなんとかしなきゃいけない。
ちなみに今日、会場にいらっしゃっている方の年齢を確認しておきたいんですが。40代以上の方、どれぐらいいらっしゃいますか?
(会場挙手)
30代。
(会場挙手)
20代。ここ一番多くいてほしいんですけど。
(会場挙手)
意外に少ない。10代。
(会場挙手)
10代も少しいらっしゃる。
僕はちょっと逃げ切れないんですけれども(笑)。20代・30代の方は、この不可避な流れ、テクノロジーのエコシステムと、日本のマーケットがシュリンクしていく流れにどう対応するか、すごい大事なことじゃないかなって思います。
「じゃあインバウンドで対応すればいいの」「それとも世界に出ていけばいいの」って話になると思うんですけども。今日注目したい1つのトレンドは「NEXT 5 BILLION」ですね。
さっきまでご紹介していたスマホのエコシステムに、まだ取り込まれない人がざっくりいうと50億人ぐらい残っている。このマーケットをどう飛び込んでいくか。これが実は大きなテーマになるんじゃないかなと思います。テクノロジーの不可避な流れと、この「NEXT 5 BILLION」をテーマにお話ができればと思います。
というところで、前フリがだいぶ長くなってしまいましたけれども。このあと服部さん、北浦さんのお2人にそれぞれ、インターネットの次に来るもの、このトレンドのNEXT 5 BILLIONのビジネスを実際やっていらっしゃる立場からお話を聞いていきたいと思います。
それでは、お2人の簡単な自己紹介ということで、まず服部さんのほうから略歴と「こんなことやってきたよ」をおうかがいしたいと思うんですけれども。まずは、朝日新聞入社なんですよね。
服部桂氏(以下、服部):一応(笑)。
小島:一応、はい。
服部:最初のプレゼンにはどういうわけか「朝日新聞に入りました」って書いてました。
小島:理工学部から朝日新聞。文系みたいな感じですけど。結局、ITの世界にずっと関わっていらっしゃって。この『人工現実感の世界』はVRのことですよね。
服部:そうですね。最初のVRブームの頃は「ヴァーチャル」って言ってもわからなかったので「人工現実感」って表現していました。
小島:表現も、この頃はまだこなれてない感じがありますよね。あと新聞初のインターネット連載。旧来のメディアとインターネットの融合をずっとテーマにして、かなり早い時期からやっていらっしゃったんですよね。
これ、いくつか写真をお借りしてきたんですけれども。この右側にあるのは「ウエアラブル・シンポジウム2010」って書いてますけど、やったのは1998年。たぶん2010年を見越してというやつだと思います。
服部:そうですね。
小島:この女性がかぶってるのが、いかにも昔のウェアラブルな感じがして。
服部:ちょっとレトロな。
小島:レトロですよね。Google Glassとかから見ると、だいぶレトロな感じで(笑)。
服部:でも早かったんですよね。98年。
小島:そうですね。あと、左にある『人工現実感の世界』は、さっき言ったVR的な世界ということになると思います。
今日みなさんにお伝えしたいのは、服部さんは1990年代からこうやって、その時々のテクノロジーの変遷を、その時点から先を見通すというのをやっていらっしゃっていて。そんな服部さんの目から見ても最近一番ビビッときたものが、この『The Inevitable』というこの本じゃないかなと思うんです。このケビン・ケリーの本は見た時にゾクッときた感じですか?
服部:ケビン・ケリーさんは、有名な『Wired』という雑誌の最初の編集長です。今から25年前ぐらい前ですかね。彼が書いた最近の本が『The Inevitable』。今日の不可避というタイトルですね。
彼はだいたい僕と同じぐらいの世代なんですけれども、「いったいなんなんだろう」と思って、その本を訳して。Inevitableじゃわからないので、一応『〈インターネット〉の次に来るもの』という日本語の題をつけて。「違うんじゃないか」とか言われましたけど、一応みなさん最近わかっていただいて。
今日もInevitableというイベントなんで、この本の販促会じゃないかなと僕は思って、間違って来ちゃいました(笑)。
小島:Amazonでサーチするとすぐ買えますので、みなさんぜひ。
服部:よろしくお願いします。
小島:この本がおもしろいのは、今まで過去に描かれていた未来予想図って、さっきのウェアラブルみたいな、その時に考えうるテクノロジーで未来の世界を考えてるんですけど。この本って、あまり特定のテクノロジーに触れていないんですよね。「こういうふうになるよ」という流れの話をしてるのがすごく特徴的だなと思ったんです。
服部:今のビジネス書は、「次はなにが当たる」「Googleの次はなんだ」「クラウドサービスってなに」って書いてありますけど。結局はみんな当たらないわけですよね。なにが来るか。
ただ、ケビン・ケリーさんも私もずっとここ何十年かやってみて。なんか「インターネットなんかビジネスに使えないよね」といったらやっぱり使えたり、「もう全部情報が流れちゃってパッケージがダメだよね」という話はあっという間に現実になってしまって。
一つひとつのものじゃなくて。要するにデジタル社会は常に変化して、流れて、アクセスしていくような、こういう力学で動いていることは間違いないんですよね。
小島:その力学という文脈でいくと、これはその12の大きな力学という感じですか?
服部:そうですね。みなさんも英語になってますけど。ネットのITとかこういう感じっていうのは、わかっていただけると思いますけどね。
小島:この力学でいくと、この本の中に書いてある内容で興味深いところがあって。これ、ピックアップしているんですけど。ケビン・ケリーさんが2002年に、たぶんラリー・ペイジさんに会った時のエピソードですよね。
服部:これは、Googleさんが創業したのが98年だと思うので、4年目ぐらいでまだ広告もやっていないんですよね。だから、最初のしょぼい検索サービスで。
小島:しょぼい(笑)。
服部:すみません。ケビン・ケリーさんも「まあいろいろYahoo!とかLycosとかいっぱいあるけど、Googleって出たけど、大丈夫かね」みたいな感じで言ったらしいんですね。そうしたら、創業者のペイジさんが出てきて、「いや、大丈夫なの」「いや、別に僕らはAIやってるからいいんだよ」と言ったのでびっくりしたって。
今日、AIファーストっていう話ですけど。もうこの時からケビン・ケリーさんには「俺たち、AIをやってる」って言われたわけで。AIファーストって言っているというのが、この本に書かれてましたね。
小島:これ、今だったら読んで腹落ちするけど。たぶん僕、2002年にこれ聞いてもなにを言ってるかわからなかったですよね。
服部:そうですよね(笑)。
小島:はい。だけど、今だとわかりますよね。検索という仕組みでデータを取り込んで、それを学習させることでAIを進化させる。そう思えばすごくわかりやすいんですけど。AIのための検索というは、その時ちょっとピンとこなかったですよね。
服部:そうですよね。検索サービスだと思ってるので。
小島:「AIという大きな流れが来る」と彼は流れを見通していたから、こういう検索の使い方になったという。
服部:まあ、お2人とも、もともとAIの研究者なので。
小島:あ、ラリー・ペイジさん。
服部:「AIを使ってるかな」という感じで。検索を良くするためにAIでバックアップしてるのかなと思ってたら、逆だったってことですね。
小島:そうですよね。なので今日、会場にいらっしゃっている方が、これから数十年後に偉くなった時に。こんな話がですね、大きな波が見えるような。今日は、そのきっかけになればと思っています。ありがとうございます。
服部:ありがとうございます。
小島:続きまして。NEXT 5 BILLIONで、もう現場に飛び込んでやっていらっしゃる北浦さんです。ちょっと自己紹介をしていただいてもよろしいでしょうか。
北浦健伍氏(以下、北浦):よろしくお願いします。ふだんカンボジアに住んでまして。カンボジアでおもに小規模農家を束ねて、オンライン農協のようなものを作ろうという感じで日々やっています。
小島:AGRIBUDDYという。
北浦:そうですね。AGRIBUDDYですね。たぶん、ここに来た中で一番遠くから来ているはずです。
小島:今朝、羽田に着いたということで。お疲れさまです。
ここでカンボジアを拠点に見てるマーケットというのは、このNEXT 5 BILLIONですよね。
北浦:新興国の小規模農家は約25億人いると言われているんですけれども。この人たちは間違いなくNEXT 5 BILLIONの中の半数を占めている人たちなんです。しかし、やっぱりこの人たちは未だにインターネットにつながっていない人たちなので。
小島:さっきのスマホのエコシステムに組み込まれてない人たちっていうことですね。
北浦:そうです。なので、Googleがなにかを知らない人ですし。Googleから見ても……。
小島:リーチされていない人たち。
北浦:リーチされていない人たち。そこが地球最後のデータ・フロンティアだと思っているので。そこをなんとか僕たちの手で握ってしまいたいなと考えて、今やっています。
小島:なるほど。小規模農家の話が出てますけど。ここも少しお話しいただいていいですか
北浦:新興国の小規模の農家に、我々の胃袋は実はほとんど支えられています。現在で75パーセントぐらい。
ここから日本の人口は、先ほどの不可避な流れで減っていくとなっているですけれども、世界人口は増えていくようになっています。増える分のほとんどは、新興国の農業でサポートしていく流れになっています。
にも関わらず、彼らはみんな貧しい。なので、ここを解決し、彼らとビジネスしていくことができればなと考えてるのが、僕たちのアイデアですね。
小島:「貧しくなるスパイラル」と書いてますけど。
北浦:簡単なイメージだと思うんですけれども。新興国の農家は、みなさんがイメージされるとおり、非常に貧しいです。
農業で食えないから、みんなどんどんと都市に出ていって。要するに出稼ぎですね。そして残ってるのがおじいちゃんおばあちゃんとか、働けない人たちばかりになっている。そういう人たちだとうまく作業ができないので、よりお金が作られない。
しかもその人たち、さっきも言ったように、データに接続されていないので。第三者からその人たちがどういう人たちなのか、まったくわからない。
小島:データで見てる人からすると、いないことになっているような。
北浦:そうなんですよね。なので、いないことになっている人たちはプレイヤーではないという認定をされている。プレイヤーが普通にできるアイテム、例えばお金であるとか、ファイナンスや、今の情報から完全に外にいる。ここで僕たちが彼らのデータを集めることによって、実際にどこでなにが行われているのかをしっかりとやっていきたいなと思っているんです。
確かに一人ひとりの個別の農家は経験とか勘とはあるんですけれども。その蓄積だけなので、その人の中にしかないものになっている。それを外部から観測することができないので、第三者がまったく分析したりできない。僕たちがそれをデータ収集することによって、第三者から見て、彼らのことがよく見えるように可視化していくと考えています。
とくに先ほど言ってるように、経済の世界は、基本的には信用の塊で成り立っているという。
小島:データがないと信用もされないってことですね。
北浦:信用もされないですね。過去のこともわからないし。過去のことがわからないから未来の予測もできない。であれば、その人を信用するに足るものがなにもないという状態なので、そこを僕たちが作っていきたい。
小島:個々の人というより、まるっとその人たちが全体で今信用されていない。外されているという
北浦:そうですね。
小島:そのために、その人たちにデータを紐付けるようなことを今やっていらっしゃるんですよね。
北浦:はい。
小島:ありがとうございます。たぶんそのデータを紐付けるところが、今後の潮流に実はうまくつながってくるんじゃないかなと思っています。
このお2人にいろいろ今日聞いていきたいもの。大きく3つの質問として用意しています。
まず1つ目なんですけど。今回、モバイル、ビッグデータ、エコシステムのあとに、AI、VR、IoTってけっこう来るんじゃないかっていうのが、まあこのイベントの大きなテーマなんですけれども。
例えばじゃあ、今までのデジタル経済圏から外れさているマーケットでやっていらっしゃる北浦さん。いきなりこれがやってくるような世界になると、このなかだと一番注目株ってなにかありますか?
北浦:やっぱりVR。
小島:VR
北浦:はい。僕の中ではAIとかIoTは、仕事を便利にするとは思うんですけど。僕は今、やはり途上国の人々とやっていて一番戸惑っているのは感覚の共有なんですね。
小島:感覚。つまり知識じゃなくて体験とか。
北浦:はい。例えば、カンボジアってご存じのとおり常夏の国で、年がら年中暑いんです。でも、あの人たちにとって寒いと感じるのは、だいたい18度以下なんですよね。18度以下になると「寒い」とか言い出したりするんです。あの人たちにいくら日本の「しびれるような寒さ」とかいっても通じないんですよ。
あとは「きれい」ですよね。カンボジアの人たちは整頓されているものを見たことがないですし、いわゆる美術的な美しさを見たことがない。そんな人たちに「美しい」「きれい」は伝わらない。
小島:カンボジアには「美しい」に相当する言葉は1つしかないって聞いたんですけど。
北浦:そうなんですよ。「saat」って言葉なんですけど。これで「かわいい」「きれい」「清潔」「整頓されている」をすべてまかなっているんですね。
小島:じゃあきれいもそれだし、整頓されている部屋もそれだしみたいな?
北浦:そうなんです。なので、「床が可愛い」とか言ってしまったりするんですけど、彼らにとっては「かわいい」「清潔」の違いがなにかわからない。
ここはやはり実際にきれいな様子を見せるとか一緒に体験するとか。そうすることで初めてお互いに共有できるものが完成する。今までのようにテキストベースの知識を得るところではできないんです。
小島:じゃあ、Webが今までテキストというか知識を共有するものだとしたら、VRは体験とかコンテキストを共有するようなものだという。
北浦:だと、僕は思う。
小島:それに、その方を経済圏に取り込もうと思うと、それがないとちょっと会話にならない
北浦:ならないですね。
小島:なるほど。ありがとうございます。
これは服部さんのほうから実はスライドをいただいてきたんですけれども。AI・VR・IoTが1つ渾然一体になってるような絵になっているものです。これ、ちょっと解説していただいてもいいですか。
これちなみに真ん中にあるのはクラウドってことですよね。クラウドをまたいでAIと、それからVR。
服部:なんか、出の音楽があまりに若かったので。みなさんの年齢も40代以降って言われたんだけど、僕、60代以降なので。まあこれからは高齢化社会になるということも含めてちょっとお話ししたいと思っています。
小島:(笑)。
服部:今日、クラウドのお話なので、私がケビン・ケリーさんの本なんかを見て、ちょっと問題を整理しようと思って描いたものなんですけれども。
上のほうからシンギュラリティ、AI、マシンラーニングとかプラットフォームとか書いてありますけれども。なにを言いたいかというと、AIの論議の中で最近言われているのは「昔からAIはありました」「だけど、それが最近ものすごく高速になって、1ヶ月かかっていた計算が1日でできるようになりました」です。
昔は、データがほとんどなかったんですよね。でも今、Googleさんの中には山ほどデータがあります。
この中でも例えられていますが、昔は……ロケットに例えると、最初はペンシルロケットみたいなやつだったんです。でも今はICBMになっちゃった。
そのICBMみたいな大きなオペレーションをやるには、すごく大きな燃料タンクが必要です。まさにビッグデータですね。それもすごく頭がよくて、機敏に動ける。この両方が必要です。
上の方に、どちらかというとAIとマシンラーニングなど、アルゴリズムで動いている部分があり、プラットフォーム以下はGoogleさんが言っているTensor Processingとか、いわゆるFog Computingがある。
とにかく、下の方からどれだけ大量のデータを自然にたくさん収集できるか。変に考えないで日々の生活そのものをいっぱい入れることで、より大きなデータをより高速に回す。これが、今のトレンドで起きている。
小島:なるほど。私が知る限りAIは今「第3次AIブーム」って日本では言われていて。過去何回か技術的なブレークスルーが来ると思いながら結局フライしなかったのは、燃料足りなかったからなんですよね。データという燃料ってことですかね。
服部:そうですね。だからより大きな……ちょっと例えは悪いですけどね、おもちゃのロケットからICBMみたいな感じになっていて。ロケットであることには変わりないんですけど、ものすごく大規模になるとできることが変わります。
小島:その燃料が、VRやIoTという体験、センサーから来るような情報がどんどんクラウドで吸い上げられて、今までにない種類の燃料になるような。
服部:ええ。昔は手で打ち込むとかね、いちいちデータを入れるのが大変だったんだけど。VRだと、体験とかいちいち説明しないで動作とか360度で出ちゃう。
小島:これで「寒い」が伝わるし、農作業の仕方も伝わるような。
北浦:結局、この10年ぐらいで、約17億人がスマホを使うようになったんですよね。でも、あとまだ50億人が取り込めていない。なので、データが集まってるとはいえ、やはり17億人ぐらいですから、まだ偏ってはいるんですよね。
とくにその17億人というのは、教育をされていて先進国に住んでいる人たちがメインなので。そうではない人たちのデータが集まってきたときに、今までちょっと違うあっと驚くようなデータというのが、偏ったものがまだあるんです。
小島:まだ見つけられていないタイプのデータってことですよね。
北浦:あると思いますね。
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