
2025.02.18
「売上をスケールする」AIの使い道とは アルペンが挑む、kintone×生成AIの接客データ活用法
提供:株式会社インテリジェンス
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藤野英人氏(以下、藤野):残り時間、みなさんからなにかお聞きしたいこととか、質問したいこととか、地方に関して、「僕はこうしたいんだけど」という相談もいいと思います。そういうものがあれば、3名それぞれ、もしくは誰かがお答えしますがどうでしょうか?
質問者1:藤堂さんのお話しの中で、リプレイスコストの話題が出ていましたが、M&Aをしたときに、どのような点を重視していますか?
藤堂:まずM&Aする時に、そこにいる顧客をいかに離さないかということが大事なので、65歳とか70歳になった社長さんも、引き続き残っていただくことをお願いしています。例えば、我々が土地・建物を借りた場合は大家さんになっていただきますし、顧問というかたちで残っていただくと。もともといるお客さまを大事にしていくということなんですけど。
やっぱり地域の商売というのは、社長の年齢±5歳ぐらいが社員の年齢だったり、顧客の年齢だったりしますから、どうしても若返りをしなきゃいけないということになる。
これはお客さまとの接点活動のなかで、世帯の情報を収集するとか、それまでは社長の頭の中で暗黙知になっていたものを見える化するということで、そういうWebの顧客管理システムを活用して、お客さまの世帯情報を入れていくと。
やっぱり若い子たちは親の付き合い先を嫌がるんですね。親が付き合っていても、「俺は別のところで買う」ということになるので。その世代に合った人材を供給していって、顧客の引き継ぎもやっていっています。
最初1、2件くらいのM&Aの時はこわごわやっていて、お客さんが離れるたびにドキドキしていたのですが、ある一定の歩留まりというのが、お客さんが100いたら、M&Aが順調にいけば7割ぐらいで食い留まるなとか、ある程度見えてくるので。
そうすると、逆に新しい顧客を増やすための投資がやりやすくなるというか、リスクが見えるので投資もできると考えています。
質問者2:丑田さんにうかがいたいのですが、地方で働く魅力を伝えることが難しいと感じているが、世界に目が向いている学生に対して、地方で働く魅力をどう伝えて行けばよいと思いますか?
丑田俊輔氏(以下、丑田):まず1つが、地方のローカルな世界を掘っていくと、意外と世界につながっていく価値、とがっていける部分があると感じています。
例えば、うちの町の福禄寿酒造というところが、「一白水成」というお酒を出しているのですが、そこのお酒はもう半径2キロ以内ぐらいの資源で製造されてるいるんです。地下水と酵母と、あとお米ですね。お米も町で酒米研究会を作ってやっています。
そういった非常にローカル性が強いプロダクトも、ちゃんとその価値が外に伝わっていくと。ANAの国際線ファーストクラスのお酒として一白水成が採用されたこともありました。
そういったかたちで海外に出ていったり、飲んだ方が町にポロポロと来て、「酒蔵を見学したい」といった外国人の方が町を歩いていることも最近ではけっこうあります。
この福禄寿酒造を含む秋田の5つの蔵元が集まって結成した「NEXT 5」というチームは、世界水準の取り組みを連続的に行っています。
現代美術家・村上隆さんとコラボした酒づくりや、リッチー・ホウティンさんというDJとコラボしたちょっとチャラいイベントをやってみたり。やっぱり田舎はチャラさが非常に大事でして(笑)、最近五城目で「チャライナカになろう」と地元の仲間と言ってるんですけどれども(笑)。
そういった地域で働いても、別に世界に出る必要もないビジネスもありますし、出たいと思えば、地球を貫通して世界に出せるようなプロダクトも生みうる期待感というのは1個あるかなと。
もう1つ、この間、とある地方の墓石を扱っている企業さんの話で、今までは大卒の右腕人材がほしかったけど、「墓石売ってます!」といくらプレゼンしても、誰も大学生が説明会に来てくれなかったとのことです。
けっこう利益率も高い会社だったにもかかわらず、なかなか見えていないというのは、情報をちゃんと相手に届けることができていなかったという話です。
墓石というと、人の死に関わるということで、高齢化が進んでいく中での終活、終わる活動のビジネスにも、やっぱりリソースを活用して新規に展開しうる可能性もあるし、そういった右腕人材がどんどん入社してほしいというビジョンをその方が発したら、バッと人が来ちゃったりもして。
あるリソースをそのまま見せるんじゃなくて、ちょっと編集して。それで若い人がパクっと食い付きたくなるようなテーマに編集し直してあげる作業がけっこう大事なのかなと感じます。
藤野:この問題に関して最近思っているのは、新卒一括採用がけっこうガンだなと思っています。なぜかというと、新卒の人たちというのは世間が狭いんですよ。しょうがないんですよね。
テレビコマーシャルをしている会社がいい会社とか、就職人気(ランキング)の高い大企業がいい会社だと、その狭い中のリクルーティングの人たちの価値観ができあがってしまうというところがあります。
ヤフーさんが「30歳までずっと採用しますよ」という新たな取り組みを出したんですけど、これは流行るんじゃないかなと。少なくとも、中堅中小企業に関しては、新卒一括採用するメリットがほとんどないんじゃないかなと思うんですね。
実際に当社の話で言うと、なにを間違ったか、当社も今年から「新卒一括採用をしよう」ということで、初年度やろうと思ったら、僕ら的に失敗したんです。
確かに一流大学と言われる人たちが募集してきたんだけれども、結局、別に僕らの会社に対して思い入れがあるわけでもない人たちが来たと。
僕らの選別で選んだので、そんなに甘くは採らなかったんですけど。1人だけ内定した人が、今度は僕らから見るとつまらない大手の運用会社に流れてしまったということがありました。
大いに反省したのは、「そりゃそうだよね」と。彼らの価値観の中では、そっちのほうが高いと見えるから。
ただ、僕らは中途(採用)という面で見ると、ものすごい人気があります。なぜかというと、1回就職して僕らの業界に入ってみれば、僕らの会社の強さやおもしろさがわかるから、結果的に、僕らの会社に中途から入る人材のレベルがめちゃくちゃ高いということがあります。
だから、わざわざそんなところで採用するよりも、ずっと通年採用でしたほうがいいんじゃないかなというところがあります。これは厚労省さんのイベントでもあるけれども、やっぱりここを壊していくことも大事かなと。
その中で、フリーターでもいいんだけれども、ある程度の社会経験を踏んだりしながら、本当に価値のあるものは何かというところで見ると、実は地方(の選択肢)が出てくるんじゃないかなと、今お話を聞いていてすごく思いました。
質問者3:2つあります。1つめは、藤野さんのお話の中で、投資先の70パーセントが内需型企業とありましたが、その背景はなぜでしょうか。2つ目は、経営するには時代を読むことが必要だと思いますが、これからの時代に対してもっている仮説がありましたら教えてください。
藤野:最初の質問は私がお答えします。内需が多いのは内需に成長企業が多いからなんですね。
これは意外かもしれませんが、実は日本は内需の国なんですね。内需の国だから、その中でいろんなサービスを凌いでやっていて、それで創意工夫して、その中でうまく新しい考え方をして、お客さまを確保している会社は伸びているし、そうでない会社は伸びていないということになります。
多くの人が思っている以上に、実は内需に可能性があり、内需に見落とされている良い会社があるということなんです。
もちろん外需の会社にもたくさん良い会社がありますから、今後はそれにも投資をしていきますが、内需と外需の会社で内需の会社が多い理由は、そのようなことです。2つ目の質問は、企業を運営するのに、それぞれの将来のビジョンがありますよね。仮説とかね。
そのことについて、「どのように見てますか?」ということなので。たまたまマイク持ってるので、丑田さんからいきましょうか。
丑田:これから時代が変化するだろうということですよね。予測がつかない時代にはなってくるなということがまず前提としてあると思います。
1つは、今まで高度成長期にできてきた大きなシステム……どちらかというとお金に比重が大きく、かつ都市で新しいものが生まれて、地方がそれをピラミッドの下側で受け取るみたいな。
その大きなピラミッドのシステムが、もうちょっとコンニャクみたいに緩くなって、もっと新しい道が増えてくるんじゃないかなと思っています。
例えば、具体的には、「半分はガチで稼ぐけど、半分は田畑作るよ」みたいな人も、最近田舎で増え始めてきたりとか。「田舎・都会の両方いいところがあるから、半々で2拠点に居住したい」という人もいる。
うちの町も、ニューヨークに住んでいるアメリカ人と五城目の奥さんが結婚して、「夏の時期だけは五城目で子供育てたい」と言って、夏だけ五城目にいて、あとはニューヨークにいるんですけど。
そういう生き方が、テクノロジーとか、LCCとかも普及して、コストがどんどん下がっていく中で増えていくんじゃないかなと。
生き方のグラデーションが無限に出てきて、お金をもっと稼いでいくという人ももちろんいるし、そうじゃない価値観で生きる人もいるし、ハイブリッドでやる人もいるしというかたちです。
それは他の学校教育のシステムもそうです。今までは小・中と義務教育に行って、なんとなく偏差値序列のシステムができあがっていたと思うんですけど、たぶんこれからは小学校に行かない子も出てくるんじゃないかなというかたちです。
今まで、この数十年でできてきたピラミッドの大きなシステムの、外側の領域が増えていくと思います。
それがもしかしたら、地方から新しい生き方をする人が、けっこう辺境から生まれてくるんじゃないかなという感覚があります。
藤堂:本当に何度も言ってるんですけど、我々の車業界以外にも、おいしい会社なのに後継者がいない会社が山ほどあります。だから本当に、これから10年間、20年間、どこでも食べたい放題かなと思います。
重要なのは、その会社を1個だけ継いで良くしても、東京でサラリーマンをやっているよりぜんぜん自由なんですよ。時間も使えるお金も自由だし、全部自分で判断できるから楽しいんです。もっと言うと、車屋さんや自動車整備工場ではなくて、工場を運営する会社を作ってしまえば、もう全国に広がっていくんですね。そういう業態を産業化するところに目をつけてまして、自動車整備業は9万事業所あると。
例えば、美容室がどれぐらいあるかご存知ですか? 20万軒以上あるらしいんですよ。それで、経営がなってないわけです。
職人上がりの人、なんとなく運営をやっていますという人、「俺が社長です」という人が多いから、産業化されていないし、そもそも経営もマネジメントもないんですよ。そういったところに導入していけば、あるマスを取っていくことができるんです。
大きなくくりでいくと、人口が減って、車の保有台数も減ると言われていますが、まだ20年、30年かかるんですよ。
だからそこに向けて、今、後ろ向きになっているところで、あんまり価値に見られていないものを安く拾えるチャンスなので、ガーッと拾っていけばやれるかなということで、まずは自動車産業でそれをやっています。
ですから、大卒の人に「自動車修理工場に入社しませんか?」とは言っていないんですよ。「自動車整備工場を多数運営する、投資と運営の専門会社に入りませんか?」「できれば大学でマーケティングや金融工学を学んでくれた人がベストです」というかたちになっていくように持っていこうかなと思っています。
そうするとどうなるかというと、車は車検制度というありがたいものがあって、2年に1回必ず顧客が来るんですよ。
「車検が延長するんじゃないか」と言われていますけど、国交省がみんなが払わされているその税金を手放すと考えられますかと。
首都高も老朽化する中で、これから道路ももっと作り変えなきゃいけない。「じゃあ、車検を延長して重量税を値下げします」ということは絶対やらないわけです。その結論を出したうえで、私そこに張っています。
顧客が回帰するシステムがあって、それを生かしきっている人がいないわけだから、それを活用するとまだまだ伸びると。
そこで今度は顧客情報を集めてきて、地域で必要な、住宅の悩みとか、生活の悩みを解決していくサービスを提供していこうと思っています。
1つはそういった、多拠点化をして産業化をする投資と運営の専門会社的要素と、もう1つは多角化と言いまして、車以外に住宅とか、飲食とか、美容とか、理容とか、生活全般に入り込んで地域を押さえていくような2つの軸を同時に追っかけています。
そうすると、たぶん大学生の方にも魅力が出るんじゃないかなと思っています。そのようなブランド作りを今しておりまして、私どものホームページも、車屋さんのホームページと思ってみたら、なんの設備も入っていないと思うんですね。あえてそのようにしております。
質問者4:地方で働くことをもう少し違う側面から見たいのですが、全員が経営者になりたいわけではなく、従業員として働きたい人もいると思うので、そういう人を増やすための方法についても考えていることを教えてください。
藤堂:2つあって、地域が好きで、そこに移り住みたいというのもあると思います。「四万十川が好き」という人もいていいと思います。
もう1つは、今、会社の中で学んだことを生かして、地域で活躍するということもあります。例えば、人事をやっている方でしたら、地方で人事だけをやってもいいと思います。
それで、1つの中小企業は、その1人を人事のためだけに抱えることができませんから、5社、10社でまとめてその1人を抱えるような動きができれば、それもプラットフォーム化だと思いますが、それができれば、その方にとってはすごく幸せかなと思います。
町の土建屋さんと工務店さんと車屋さんの共同求人をその1人が担って、採用募集、採用をするという。もしくは採用後の育成もありますよね。そういった合理化がもっとできると思います。
丑田:起業家寄りの切り口でいくと、今、うちの町のフェーズは、けっこうマッチョなやつが入ってきやすい状態で(笑)、まず「自分で仕事を作って、雇用も作っていくぞ」という挑戦者が入ってきて、それが集積するということが最初に起こっています。
たぶん次の3年間で、僕は「痩せマッチョ」と呼んでいるんですけれども、いきなり自分で起業はしないけど、Uターンして戻って、地方で豊かに暮らしたいし、それなりの給料もほしいし、やりがいのある仕事がしたいという層が、たぶんこれからUターンしてくるようになるんじゃないかなと思います。
まずはマッチョたちがその受け皿を作っていって、その痩せマッチョがマッチョな人たちとふれあってチャレンジをすることで、その人たちがマッチョ化する、自分で起業家精神を持って立ち上げていったりする。そういう連鎖が起きるといいなと感じています。
藤野:はい。ということで時間になりましたので、この会は終わりにしたいと思います。ありがとうございました。
(会場拍手)
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