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アカツキ塩田元規氏・横浜国立大学講演(全2記事)

2017.01.13

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「できるわけない」という“常識”を否定せよ--アカツキ塩田氏が振り返る、ゼロからのベンチャー起業

提供:株式会社アカツキ

2016年12月13日、株式会社アカツキ代表・塩田元規氏が、母校の横浜国立大学で講演を行いました。塩田氏は、「ーゼロからの起業家のリアルな旅ーワクワクで世界を変えていく」をテーマに、大学卒業からMBA、ベンチャー企業への就職を経てアカツキの起業にいたるまでの物語を紹介しました。

アカツキ代表・塩田氏から母校の学生たちへ

塩田元規氏(以下、塩田):みなさん、こんにちは。アカツキの代表の塩田です。僕は今から10年前に横浜国立大学を卒業していまして、この授業も10年前からありました。

この授業でいろいろな経営者の方々にお会いさせていただいたことにも大きな影響をうけ、自分自身も「起業して世界を変える会社を作ろう」と思い会社をスタートしました。

今日は「ゼロからの起業」という内容でお話をするのですが、起業や経営の話は、人生をどう生きていくかという話とも強く関連すると思います。みなさんのためになるように、この時間を一生懸命使わせていただきたいと思います。

僕は今33歳なんですけど、もともと島根の出身で、横浜国立大学では、電子情報工学科にいました。そのあと、一橋大学大学院のMBAという経営学の修士のコースに行きました。その後DeNAに入社し、2年半後にアカツキという会社を創業しています。

今日のテーマは「物語」ということで、10年前はみなさんと同じようにそちら側の席に座っていた僕が起業を決めるまでと、起業を決めてからの物語についてお話ししたいと思います。

「できるわけない」という“常識”を否定する

まず最初に「この人誰?」「アカツキってどんな会社?」と思ってる方もいるかと思いますが、アカツキという会社を知っている方はどれぐらいいらっしゃいますか?

(会場挙手)

塩田:少しいらっしゃいますね。うれしいです。では、まず、アカツキのことをご紹介させていただきたいと思います。

アカツキというと、みんなだいたい『NARUTO』の暁を思いつくんですけど(笑)、ちょっと意味は違っていて、「夜明け」という意味からとっています。

僕たちはベンチャーなので、基本的には「世界を新しくしたい」「世界を変えたい」というところからスタートしています。

夜明け前というのは、世の中は真っ暗だと思いますが、夜が明けたら、世界はカラフルにキラキラ輝く場所に変わっていくと思います。

僕たちアカツキは、そんな”夜明け”のような変化を世界に起こしたいと思っています。「Change the World.」ということです。

「そもそもベンチャーとは何か?」について簡単にご紹介したいと思います。

ベンチャーの語源はアドベンチャー。つまり「冒険する」ということなんです。ワクワクしながら、1人では成し遂げられない夢をみんなで追っていくチームです。

僕が大学生の頃、満員電車に乗ったとき「社会人になると、テンションが低いおじさんたちがたくさんいるな」と正直思っていました。

ですが、ベンチャーはアドベンチャーなので、実際に働いてみると毎日冒険しているような感覚です。今まで見たことのない景色や、見たことのないものを見るために、日々努力をしています。

世の中の「当たり前」「それって常識」「そんなのできるわけない」という言葉を全部否定しにかかる会社です。「常識? なにそれ?」という感じで、「できるわけない」という言葉が大好物です(笑)。「じゃあ、どうやったらできるか考えよう」というのが、ベンチャーの本質的な要素だと思います。

大企業とベンチャーの仕組みの違い

今後就活される方も多いと思うので、大企業とベンチャーの違いについて簡単にご紹介しておくと、大企業は基本的には海軍だと思っています。

みなさん『ONE PIECE』を観ていると思いますが、基本的に『ONE PIECE』を観ていればベンチャーのことが8割ぐらい描かれているので、だいたい理解できると思います(笑)。海軍の大企業に対し、ベンチャーは海賊です。

大企業というのは、だいたい5万人、10万人が会社にいるので、基本的には「機能や仕組みでどうやって勝っていくか」ということが重要になります。

例えば、僕がどこかの大企業に入って、5万人の中の1人になったら、僕が明日死んでも絶対倒産しない仕組みを作ります。自分がいなくなってもいいように、機能と仕組みを担保するということです。

ベンチャーは逆です。もし明日、うちの新卒が2人ぐらい会社に来なくなったとしたら、アカツキはヤバいです。

新卒2年目で30人規模のチームを2チーム平行してマネジメントしているメンバーもいて、それぐらい新卒にも信頼して仕事を任せています。仕組みがない分、カオスですが、人が担保している部分が多い分、働く人にとっては成長や挑戦する機会は多いと思います。

また、大企業ではルールが決まっていて、「ルールの中でどうやるか」ということを考えるわけですね。ベンチャーというのは、世界を変えたい会社なので、「ルールをどうやったら変えられるのか」ということを考えます。

大企業のキーワードは、「しっかりちゃんとやろう」。ベンチャーのキーワードは、「スピード」と「やんちゃ」です。

あとは、ちょっとわかりにくいと思いますが、大企業の中では、その会社で働く時にしか活きないスキルがたくさん求められます。

つまり、その会社内でスキルを最適化することが重要になります。一方ベンチャーでは、”環境に依存しない力”が重要で、この会社が明日倒産しても、自分で活きていける力をつけることが求められます。

もちろん、大企業とベンチャーどっちが良い悪いではないです。それぞれに必要な役割がありますし、しっかりちゃんとっていう文化が活きる事業もあれば、スピードややんちゃが活きる事業もある。

守る組織が社会にあるからベンチャーのような攻める組織が存在し得る。ただ、違いは明確にあると思うので、どちらが自分としていいと思うかというのはしっかり考えて選択することが重要だと思います。

アカツキを知るヒントは『ONE PIECE』にあり

ではベンチャーの中で、アカツキはどういう会社で、何をやっている会社かについてご紹介したいと思います。

先ほども言いましたが、基本的にポイントは『ONE PIECE』で、これはすごく重要なことです。

まず『ONE PIECE』はラフテルという最後の島を目指すわけですね。これを知らない人にはまったく伝わらない話ですが、知っている前提でしゃべります(笑)。

最後の島というのは、会社でいうとビジョンやミッションになります。ビジョンを成し遂げるために、日々本気で毎日を生きている。

そして、ポイントは、『ONE PIECE』にはいろいろなキャラクターがいて、自分自身の夢を持っています。

例えば、サンジだったら「オールブルーを見つけたい」とか、ゾロだったら「世界一の剣豪になりたい」という自分の夢を持っています。各々夢を持っている中で、向かう先が同じだから一緒に冒険する、ということなんですね。

そして、チームそれぞれがそれぞれのキャラクターを持っている。得意なものもバラバラ。でも、それぞれの得意を活かしながらチームとして成立している。お互いに自立した上で、助け合うパートナーの関係が存在してる。そういう自立した上で、お互いを助け合えるカラフルなチームが存在していることがアカツキが目指しているチームと似ていると思います。

アカツキは僕と香田(哲朗)が2010年に作った会社です。スタートしたときは、僕が27歳で彼が25歳でした。

今期は、80〜90億円の売上、20〜30億円の利益を見込んでます。時価総額でいうと、だいたい約400億円規模の会社になっています。

昨年は、4年間の企業成長率が日本でトップとして表彰いただいていて、4年間で2106パーセント成長しています。

よくわからない数字だと思いますけど(笑)、4年で20倍ぐらいの成長をしているということです。一応、アジア全体でも成長率3位に入らせていただきました。

会社の柱となる2つの事業

事業ドメインですが、現在は大きく2つ存在してます。創業事業としてモバイルゲームをやっていて、最近は、「ライブエクスペリエンス」という、新しい事業ドメインをスタートさせています。

ゲームは創業以来いろんなものを作っています。オリジナルのタイトルとIPという有名なキャラクターなどを活用したタイトルなど、各種さまざまなタイトルを作っています。

海外でも約40ヶ国にサービスを展開しており、海外タイトルは台湾の子会社「Akatsuki Taiwan Inc.」で運用しています。当社が開発・運営しているIPタイトルが、世界7ヶ国でiOSセールスランキング1位を取っています。

最近では「ライブエクスペリエンス」という新しい事業をスタートしています。ちなみに「そとあそび」というサービスを知っている人はいますか?

(会場挙手)

塩田:ありがとうございます。少しいらっしゃいますね。高品質のアウトドアのレジャー体験をオンライン上で予約できるプラットフォームサービスを展開している会社です。

最近この会社を買収して、一緒に「リアルの世界もワクワクできるような場所に変えていこう」というビジョンのもとサービスを作っています。

アカツキの強みは「チーム」と「組織」

アカツキは、日本でここ数年でトップクラスの成長をしていますが、何が強みかというと、「チームが素敵」ということです。

これは僕が創業当初に手書きで描いたアーティスティックな絵なんですが(笑)、右側に描いてあるのが、「アカツクサービス」と書いてあるんですが、アカツキが作る世界をワクワクさせるいけてるサービスという意味です。

だいたいユーザーさんはサービスを見て「すごい」って言うんですけど、実は本当にすごいのは左側のチームと組織であると。そうユーザーさんにも言われる会社であろうと。

アカツキという会社とアカツキで働いている人々が最高であることが、一番すごいことだと思っていて、僕たちはそこに投資をし続けています。

例えば、オフィスの入口はこういう感じです。

会社の中にカフェスペースとライブラリーがあったり、

こんなカラフルな感じの場所があったり(笑)。

これは朝の風景です。毎朝出社したら、みんなで輪になって、24時間以内にあったいいことや新しいことをボールを投げながらシェアしています。まあ、まるで遊びですね(笑)。

ごはんも体にいい食事が提供されていて、みんなで和気あいあいと食べています。

組織の投資はさまざまなことをしていましすが、結果「働きがいのある会社」というランキングでは、3年連続でベストカンパニーに選出されています。

3ヶ月に1回はみんなで合宿に行っていて、今年の1月はお台場で合宿してクルージングをしようと思っています。あと、1年に1回はみんなで沖縄に旅行に行っています。

基本的に、仕事と遊びを分けないという哲学の会社で、遊びは新しいクリエイティブな価値を生むという考え方でやっています。

今年(2016年)の3月には上場させていただいて、我々もパブリックな会社としてもっと世界に価値を出せるようになりたいと思っています。

最近では投資事業もスタートしていて、ペットのベンチャーやVRでスポーツを体験できるベンチャーなど、いろいろなところにお金を入れています。もし起業される方がいたら、ぜひお声がけいただければと思います。

「何をやっているか」ではなく「なぜやるか」

ここまでは会社の表に見えてる部分のご紹介でしたが、一番大事なことは「何をやっているか」ではなく、「なぜやるのか」ということなんです。

みなさんの勉強もそうだと思いますが、「何を勉強しているか?」ということより、「なぜ勉強しているのか?」ということが一番大切だと思っています。つまり、ビジョン=ラフテルが大切だということですね。

我々のビジョンは、「感情を報酬に発展する社会を作る」です。これは何かというと、一人ひとりが自分の心のワクワクとか、「自分は何をやりたいんだっけ?」ということに向き合いながら活動をすると、それ自体が幸せだと思うし、その活動がほかの人の幸せにもつながるという世界です。

僕はもし給料が0でも絶対にアカツキをやるので、そういう人が増えるといいなと思っていて、世界がワクワクしたり、つながりがあふれるカラフルな場所に変えていきたいと思っています。

今まではゲームというデジタルの世界でワクワクを届ける事業をやっていましたが、リアルの世界でもワクワクが届けられるように、新しい事業をスタートしたというのがポイントです。

僕たちは心という切り口で、世界を照らしたいと思っていますが、恐らく会社の紹介より僕のストーリーを聞いていただいたほうがおもしろいと思うので、そろそろ前半の会社紹介は終わりにして物語の紹介に入りたいと思います。

アカツキ創業へとつながる2つの物語

6年前にはアカツキという会社はまだなくて、僕も普通に会社で働いていました。では、なぜ起業したのかということをご紹介したいと思います。

起業も「なぜ起業するのか?」というのが一番大切で、「何を起業するか」ではないんですよね。それはなぜかというと、「Why」があると覚悟が入るからなんです。覚悟とはあきらめない理由ですね。僕には会社を作るエピソードが2つ存在しています。

1つ目は、父親が死んだということです。みなさん当たり前のように、人生が明日もあると思っていると思いますが、僕の親父は37歳のときに肝臓がんで死んでいます。僕が中学1年生のときだったんですけど、「人って死ぬんだな」ということを目の前で理解するんですよね。

僕は今33歳なので、あと4年で親父が死んだ年齢になります。それをきっかけに、人生というのは有限である。当たり前なんですけど、僕もみなさんも明日死ぬかもしれないということを理解します。

僕が今日ここに来て、みなさんにおしゃべりしているのも、自分の命の時間を燃やして使ってるわけなので、すごく重要なものを使ってお話しています。

人生が有限だと理解すると、「じゃあどういう生き方をすればいいのか?」「自分の命を何のために使うんだ?」ということを考え始めるわけです。「俺はどういう終わり方をしたいのかな?」と。終わりをしっかり描くことをやるわけです。

もう1つのきっかけは、みなさんと同い年のときに、「ハッピーカンパニープロジェクト」というものを立ち上げました。

大学を卒業したら働かなければいけないですよね? 世の中には会社がたくさんありすぎて、どの会社が良くて、どの会社が悪いのかぜんぜんわかりません。

でも先ほど言ったように、満員電車に揺られてテンションの低い大人もいれば、むちゃくちゃキラキラしていて、楽しそうで、本気でワクワクしている経営者の方々もいます。

なので、良い会社と悪い会社、幸せな会社と幸せじゃない会社の何が違うのかを分析しようと思い、幸せそうな会社の経営者を自分で探して、直接電話して、「横浜国立大学の○年生の塩田元規と申します。申し訳ないんですけど、とりあえず社長を出してくれ」と言うんですね。

大概「お前は何を言ってるんだ?」となるんですけど、そのあと熱意を持ってFAXを送ったり手紙を書いたりすると、5割ぐらいの社長が会ってくれるんです。

これはみなさん、卒業したらもう二度と会ってもらえないので、大学のときにやることをおすすめします。

起業の覚悟を決めた経営者の教え

僕は「命って何ですか?」「人生って何ですか?」「幸せって何ですか?」と聞いて回りました。いろんなメッセージをいただいたんですけど、そもそも「会社って何ですか」ということを聞きました。

Wikipediaで「会社」の定義を引くと、「営利目的に作られた、利益を追求するための社団」と出てくるんですね。

そうなんですけど、経営者に聞くと、「いやいや塩田くん、違うんだ」「会社の意味というのは、価値を生むことなんだ」と言うわけです。

「働くって何ですか?」と聞くと、「傍(はた)を楽にさせることなんだ」と。傍は横という意味なんですけど。「傍を幸せにして、周りを幸せにして、世の中の人を笑顔にすることが、会社の存在理由で価値なんだ」と。「その対価として、お客さんはお金を払ってくれて、それが売上なんだ」という話をされました。

もしかしたら当たり前のことかもしれませんが、当時20歳ぐらいの僕はわかってなさすぎて、「なるほど、会社というのはお金を稼ぐ以外の目的があるんだな」ということを知りました。

最後に「じゃあ、人生って何ですか?」と聞いたら、「人生というのは、意識の成長なんだ」と。

この話はすごく難しいと思うんですけど、「ゴールがあって、そのゴールを成し遂げたら人生が終わりなんじゃない」と。「ゴールに向かって毎日一生懸命走ってると、人として器が広がったり、素晴らしくなってくる」と。

「意識が成長するということは、いろんなことに感謝できて、いろんなことを吸収できるようになるんだ」「よりよい人生を、よりよい人間を目指せ」と言われました。

それで当時の僕は、「そうなんだ、会社ってすばらしいな」と。「こんなすばらしいことがあって、やらない手はないだろう」と本当に思いました。

僕もそういう経営者の方々がおっしゃっている世界を見たいと思ったし、自分の人生を本当に生きたいと思ったので、世界で最高に偉大な会社を作って世の中を幸せするということを20歳のときに決断して、覚悟を持ったわけです。

MBA時代に培った習慣と運命の出会い

僕は「元規(げんき)」という名前で、「元規という名前にもきっと意味がある」と思っています。これはやっぱりいい意味で勘違いするというのが起業家には大切なんですね(笑)。

「僕は元規という名前だから、きっと世界中を元気にできる男なんだ」と思って、「元規の元気で世界を元気に」と横浜国立大学のメールアカウントの署名に全部入れて、それを自分の名札にしてスタートしました。

ちなみに、僕はこんな見た目なんですけど、当時一応勉強もがんばっていて、飛び級で大学院にも受かってましたが、キャンセルさせていただき、「僕は経営をやる」「最高の会社を作る」と言って、MBAに行きました。

MBAは「Master of Business Administration」の略で、経営者を育てるための学校のようなイメージです。

それで僕は一橋のMBAに行って、もう人生の覚悟が決まっていますので、1分1秒を無駄にせず努力することを課しました。大した才能もないので努力するしかなくて、とにかく死ぬ気で週7日間、基本3時間睡眠をぶっ通しで勉強するということをやりました。

いろんな経営学の手法を勉強して、今覚えている手法自体はほとんどないんですけど(笑)、誰よりも考え続けたということだけは自分の中に残っているんですね。

経営という答えがない問いに対して考えて、考えて、考えて……もう1回考えるということを習慣づけて、それがMBAの意義だと思います。

また、僕はMBA時代に、ワークスアプリケーションズという会社のインターンシップにも行きました。

ここで運命のパートナーになる(共同創業者の)香田君が右斜め前の席に座っていたんです。僕は当時大学院の23歳で、彼は21歳。僕が「俺は経営やるんだ」「世界を変えるんだぞ、ベンチャーおもしろいぞ」と力説していたら、彼も興味を持ってくれて、大学のときから一緒におままごとでベンチャーをやっていました。

例えば、一橋大学の生協の中で、ガラケーでタッチすると就活サイトが立ち上がり、それに登録すると生協でごはんがタダで食べられる「タダ飯」という仕組みを作ったり、自分たちなりにそういういろいろなチャレンジをやっていました。

新卒でDeNAに入った3つの理由

僕はそのあと、新卒でDeNAという会社に入社しました。DeNAは現在2,000人規模の大きな会社ですが、当時は200〜300人くらいの小さな会社でした。

ありがたいことに僕は複数内定をいただいてたので、「なぜDeNAという一番マイナーな会社に行くんだ?」と当時はよく聞かれましたが、当時は4つの軸で選びました。

1つ目は、「経営陣の目線の高さ」です。もし将来ベンチャー行きたいと思ったときには是非思い出してほしいのですが、経営者の目線が高くなかったら企業は成長しません。

知っている人もいると思いますけど、DeNA会長の南場(智子)さんも、当時(売上)数十億円規模のときに、「うちは売上1兆円いく」と言っていたんですね。傍から見ると、マジでクレイジーな経営者だったと思うんですけど、それが僕にはよかったわけです。僕からすると、いい意味で「この人、頭おかしくて、素敵だな」と(笑)。

2つ目は、「モバイルという最先端の場所」だったということです。これは重要です。例えば、産業革命の時代には鉄道とか鉄鋼業が一番最先端で、結局そこにいた人が、そのあともほかの会社の経営のトップをたくさんやっているんですね。

何が言いたいかというと、各時代のホットスポットの事業ドメインというものが存在していて、それがモバイルだと思ったということです。ホットスポットには優秀な人材や情報が集まり競争も激しいので、成長環境としてはばっちりだと思います。

3つ目は、同期が変で熱かったということですね。みんないわゆる優秀って言われる外資金融や外資コンサルに内定をもらっているけど、そんなのを蹴ってDeNAを選んでいる人たちだったと思います。

当時のDeNAの初任給は確か350〜360万円くらいで、僕らが別で内定をもらっていた会社は初任給500〜600万だったんですけど、断ってDeNAに行くという感じでした。相当クレイジーですよね。

そして、最後の選定基準は、「自分の力で、会社、組織を変えられる感」です。僕はDeNAで2年半働いていまして。最初は本当に泥臭い仕事もぜんぜんできなくて、先輩からダメだしされまくりました。

それでも逃げずに仕事に向き合い続けて、当時新卒では最速でマネージャーにしてもらい、2年半で事業部ディレクターというポジションをやりました。

その後2010年にアカツキという会社を作りました。 僕の起業までのストーリーはこういうかたちです。

ここまでの話でポイントはいろいろあると思いますが、僕はもともとすごい優秀だったわけではなく、この授業でいろんな経営者のすばらしい話を聞けたことや、いろいろな経営者や素晴らしい人々との出会いが、自分に刺さったわけです。そしてその出会いを無駄にせずに、勇気をもって人生を自分で選択したということです。

未来を決めるのは今の能力ではないので、1歩を踏み出すかどうかで人生はすべて変わります。僕はその一歩と人生の選択として起業という道を選び、それに向けてしっかりとただ愚直に行動したということだと思います。

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