2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
提供:株式会社リクルートライフスタイル
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林信行氏(以下、林):今日は(メインのお客さんが)飲食関係の方だから、川鍋さんがなにをやっていらっしゃるのかをくわしく知らない方も多いと思いので、もう少しだけご説明をすると……。
川鍋一朗氏(以下、川鍋):一応、タクシー会社をやっております。
林:こういうことをやって、すごくIT化を進めていらっしゃるので、「川鍋さんは、すごくITの人なのかな?」と思ったら、実はぜんぜん……。
川鍋:それはもう光栄です。もともとは祖父が創業した日本交通という、日本で一番売上規模の大きいタクシー会社の3代目です。ところが、一番大きいと言っても、全国シェアで見ると5パーセントぐらいしかないという業界で、やはり小さいんですね。
そうすると、今後、フランチャイズしていきたいとか、業界の再編をしていくという意味で、その時の武器はなにかというとブランドになるんですよね。当社のブランドをつけていただく。セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートとかをつけていただいてコンビニになる、みたいなものですね。
その時に、もちろんお客さまも大事ですけど、やはり商品開発力や、店員さん、アルバイトさんの教育を短期間で上げるノウハウとか、そういったものが非常に重要になります。
そのために、今ここ(スライド)に出てるようなタクシー会社が使いやすいシステムをいくつも開発しています。残念ながら、Airレジさんみたいにクールでスマートではないんですが(笑)。
どちらかというと、コテコテのBtoB製品です。ただし、車載製品ですので、耐熱・耐塵・耐震、ほこりとか熱とか、そういったことを非常にきちっとしなければいけない。最初は市販の製品を使っていたんですけれど、すぐ壊れてしまったりするので、今は専用品を開発しています。
もちろん専用の開発のメーカーさんもたくさんいらっしゃるんですが、例えば、ドライブレコーダー、無線配車システム、ヘッドレスト広告と、それぞれを別々の会社が開発すると、それを軸にそれぞれの会社が発展しようとする。なので、これにもSIMがついていて、これにもSIMがついていて、これにもSIMがついていてと、「3本SIMがあるぞ」みたいな状態になっちゃうんですよ。
その重なりをどうやって排除して、統合的なシステムにしていくのかということを、BtoBの目線で、自分たちで統合していきたいと思って、今、6割ぐらい終わっているところです。
林:こういったIT系のサービスばかりを出してくるのかなと思ったら、実はけっこう人間味があるサービスもいくつかやっていらっしゃいますよね。
川鍋:そうですね。たぶん過去5年で一番好評だったのは、陣痛タクシーですかね。
もともと妊婦さんの陣痛が始まって出産される時にタクシーを呼んでいただくケースがけっこうあったんですけれど、例えば、年末で雨が降ったりするとタクシーがなかなか捕まらない。妊婦さんも(普通のお客さまと)同じように捕まらなかったんですね。
これはなんとかしなければ、と思いまして、登録制度を設けようと。妊婦さんにコールセンターに登録いただく。登録いただいた方の出産予定日から前後1ヶ月だけは、一番プライオリティを高くして絶対に取る電話番号に指定するんです。
実際に登録された方の中で、このサービスを使う方は3人に1人ぐらいなんですけれど、すごい人数の方にご登録いただいています。都内の妊婦さんの約3割が当社にご登録いただいていて、とくに営業していないんですけど、それだけ安心感につながった。東京消防庁からも、救急車の適正な利用に貢献したと表彰していただきました。
でも、これも実は、まったくITじゃなくて、もともとあったコールセンターのCTIで優先順位を変えているだけです。
ある時、コールセンターに入っていて、急に目の前のオペレーターの女性が緊迫した表情で配車をして「ふ~」という感じで終わったんですよ。「今、なんだったの?」「いや、陣痛なんですよ」というところから実は始まっています。
やはりこれも先ほどの話のように、お客さまにとっても、すごく安心なんですけど、乗務員にとっても……。そのオペレーターと話した時に、「陣痛ってあるの?」「いや、あるんですよ」と。でも、「陣痛です」と乗務員に言うと、乗務員もびっくりしてドキドキしちゃって、いつもならわかる有名な病院の場所が、急にわからなくなったりして(笑)。
「だから本当は事前に、ある程度行き先を、○○病院とかって登録できればいいのにね」という話をして、「あ、それならいいんじゃない」と言って。
行き先も全部登録しておいて、乗務員に「陣痛です」と言うと、登録しておいた病院までビビビっとルート案内が出て、乗務員がカチンコチンになっても行ける。
どちらかというと、妊婦さんの場合、後ろの席で「う~」となって苦しいので、「大丈夫ですか? 今、最速で向かっていますから安心してください」とサポートしてあげられる。だから、そのコンビネーションでしょうね。
タクシー乗務員も当社全員、助産師さんの講習を受けて、こちら側も、それに対する備えもやるし。
大宮英紀氏(以下、大宮):そこまでやられてるんですね。
川鍋:そこまでやらないとやっぱり受ける乗務員も。正式なサービスとしてやるからには、ある程度はしっかりと。やはり4年やっていますので、車の中で産まれちゃったこともあるんですよ(笑)。
年に3回ぐらい。本当にあるんですよ。
林:そうなんですね。
川鍋:今まで全員無事です。そういった時に、すぐコールセンターから病院に電話を差し上げて、お医者さんに出てきてもらうんですよね。
もし赤ちゃんが出てきちゃっても、乗務員は絶対赤ちゃんに触っちゃいけないんですね。そのかわり、「お母さんの背中をポンポンと叩いてあげてください」「暖かく包んであげてください」とか。お母さんも動転しちゃいますから、ある程度、指示してあげる。
登録する時とか呼ぶ時のために、陣痛タクシーもこれからアプリにしていこうかな、と。リアルなオペレーションをある程度研ぎ澄ました後でアプリ化したほうが、やっぱり効率的ですので。
林:これまでずっと100年間進歩がなかった……進歩がなかったって失礼かな(笑)。
川鍋:いやいや(笑)。
林:タクシー業界が、この数年間で本当にここまでいろんな。
川鍋:そうなんですよ。本当はあまりやりようがなかったんですよね。乗務員がどういうサービスをしているかとか、どこを通ったかとか、10年前までは捕捉できなかったんですよね。
だから、タクシー会社のやることは、朝出て行く時に「いってらっしゃい!」と元気よく送り出す。帰ってきたら、お茶を出して「どうだ? 奥さん元気か?」と。
大宮:(笑)。
川鍋:いや、本当にこれをして「労務管理」と呼ぶんですけれど、これぐらいしかなかったんですね(笑)。10年前から全部それがいきなりわかるようになって。
今、これからさらに進歩しなければいけないのは、データはありまくるんですけれど、まったく使っていないと(笑)。もったいないですよね。どんどん捨てちゃっていますので、これを今後は使って、乗務員とお客さま、両側をサポートしていければと思っていますね。
林:テクノロジーのおかげで、より人間味のあるサービスができるというところは、本当にAirレジとの共通点を感じますね。
今日いらっしゃっているお客さんはみなさん、Airレジのサービスについて、午前の講演を見て知っていらっしゃると思いますが、そもそもどうやってAirレジのサービスが今の状態に発展していったのかを、簡単に。
大宮:先ほどお話ししたように、3年前にスタートしたんですけれど、iPhoneやiPadなど世の中にいろんなテクノロジーが出てきている中で、やはりお店の方々の業務は大変だな、と。本当に今、軽く「大変だな」と言ってしまったんですけど。
僕はもともと「じゃらん」をやったり、「ポンパレ」というサービスを立ち上げたりしたんですが、例えば「広告を出しましょう」「人にいっぱい来てもらいましょう」と言うんですけれど、とくにネット予約が増えると、人を増やすためには「登録してください」ってことを言わなきゃいけないんですね。
「登録してください」ということ自体がやはりお店の方にとっては負担なんですね。なので、できるだけお店の方々の業務を減らしながら、登録もできて、予約もできるように、どうしたらいい状態にできるか。
まずは、そういうことをきっかけとして、「iPadを使ってお店の中にそういった仕組みを入れればいいんじゃないか?」というのがスタートです。
林:なるほど。Airレジから始まって、今やこんなにたくさんのサービスになって、この「Airレジ カンファレンス」も3年目に。僕は、その前からおつきあいがあるので、見るたびに進化していて、顧客をより快適にできる、サーブする人も快適にできると進化していますよね。
実は今日、Airレジを実際に使ってみるとどういった体験ができるのかということを体験できるコーナーが、隣の部屋に用意されているんですよね。
川鍋:え、そうなんですか?(笑)。
林:そうなんですよ(笑)。それで、そこと今、中継が。
川鍋:中継ですか?
林:ええ。できるそうなので、呼んでみたいと思います。準備大丈夫ですか? では、爲澤さん、そちらの体験コーナーをご紹介していただいていいですか?
レポーター:はい。爲澤です。私は今、お隣の会場に開設されています、Airシリーズを体験できる、1日限定ストアに来ています。ここでどんな体験ができるのか。さっそく取材していきたいと思います。
まずは、お店の入り口にiPadがあります。ここで受付ができるということなので、試してみます。
はい。すぐに番号券が出てきました。これで行列に並ぶことなく、連絡が来てから入店すればいいので、待ち時間を有効活用することができるんです。
では、お店に入っていきたいと思います。
大宮:これが先ほどご紹介した、Airウェイトです。
レポーター:テーブルの上にメモ帳とタンブラーがあります。私は今回タンブラーにして、会計カウンターに進みたいと思います。
こんにちは。お願いします。
店員:いらっしゃいませ。こんにちは。お預かりいたします。本日はこちらのAirシリーズのサービスを使って、さまざまな決済体験をしていただくことができます。まず、こちらからお好きなお飲み物をお選びください。
レポーター:では、コーヒーをお願いします。
店員:はい。かしこまりました。商品はこちら(iPad)をタップしていただくと、このように注文を簡単に取ることができます。タンブラーもお預かりいたします。タンブラーについているバーコードもこのように読み込むと、注文を取ることができます。
本日はLINE Pay、Alipay、Pontaカード、クレジットカードとSuica、ご希望の決済をお選びいただくことができます。なにがよろしいでしょうか?
レポーター:こんなにたくさんの種類があるんですね。では、今回はよく使うSuicaにしたいと思います。
店員:かしこまりました。Suicaの場合は、電子マネーのところから入っていきます。それではカードをこちらの端末にピッと鳴るまでかざしてください。
レポーター:はい。ではお会計をします。
店員:こちらで決済完了です。どうもありがとうございました。
レポーター:カンタンにスマートに決済を行うことができました。みなさまもぜひ、このAirシリーズが体験できる1日限定ストアにいらしてください。
では林さん、メイン会場にお返しいたします。
林:ありがとうございました(手を振る)。
ということで、たぶんこっちから手を振っても向こうは見えてないですね(笑)。
(一同笑)
林:まさにスマートな決済ですね。そして、来年4月からはApple Payにも対応されると。
大宮:はい。
林:たまにお店に行くと、交通系ECカードも端末がありすぎて、「あれ、こっちだったかな? こっちだったかな?」と迷ってることがあるけど、1個でできちゃうんですよね。
大宮:そうですね。あの端末1個でクレジットカードも電子マネーも、この先、Apple Payも全部お支払いできるようになります。
川鍋:あの端末で。
大宮:はい。
川鍋:あれ、モバイル決済……。
大宮:これは「Airペイ」ですね。
川鍋:ああ、Airペイ端末。
大宮:はい。
林:Alipayにも対応しているので、中国のお客さんにも対応できるし。
川鍋:全部ね、Pontaも。
大宮:はい。
林:ポイントカードも。
川鍋:ポイントカードも。
大宮:そうですね。タクシーにも。
川鍋:あれをそのままタクシーに積みたい感じなんですけれど(笑)。
林:そうですね。僕、たまにタクシーの乗務員さんが慣れてなくて、「どうやったらSuicaで支払いできるんだろう?」と迷ってると、つい「F4押してください」とかって指示しちゃうことが。これで決済の部分の、統一フォーマットみたいなものができたら、1つの店からほかのお店に移っても同じようなサービスが……。
大宮:そうですね。今までは本当に端末も違って、決済手数料も違って、あとは操作ですね。スタッフの方がする操作もバラバラになってしまうと、なにを押せばいいのか、どうやって受け付けていいのかわからないと……。
お客さんが持っている支払方法は多様ですけれど、お店の方からすると、ボタン1個で毎回同じ操作をすればお支払いが簡単にできるということは、非常にメリットがあるなと思って、そういうふうに心がけてやってるんですね。
川鍋:社員教育が本当に大変なんですよね。若い方はまだいいんですけれど、我々タクシー業界というのはけっこう高年齢ですし。それで、どんどん変ってしまうとできなくて、結局「いやぁ、壊れてます」みたいな話になっちゃう(笑)。
(一同笑)
川鍋:すみません。そうならないように、がんばらないといけないんですけれど(笑)。
林:でも、そう言ったらたしかに店員さん、飲食店とかも、けっこう高齢な方がやってる場合もあると思うんですけれど、老若男女関係なくみなさん、AirペイやAirレジを使えているんですか?
大宮:そうですね。やはり最近はスマートフォンを使っていただいている方が多いので、けっこうよく言われるのが「スマートフォンさえいじっていれば、感覚的になんとなくわかる」と。
Appleさんとのパートナーシップのお話をさせていただきましたが、UIについては事前に両者で協議したり、いろいろとしたりしているので、やはり感覚的にわかるということはすごく大事にしています。
川鍋:あの……Appleさんなんですね。
大宮:はい(笑)。
川鍋:いや、リッチだなと思って(笑)。ああいうふうに、普通に端末でiPadを使えるって、もちろん飲食店のみなさまには無料なんでしょうけれど、運営側としては相当なコストがかかっていません?
大宮:iPadはお客さま自身に買っていただくんですね。
川鍋:あ、買っていただくんですね。
大宮:そうですね。
川鍋:すみません。失礼しました。
大宮:Androidも実は提供させていただいていたんですけれど、僕たちはAirレジ以外にもいろんなサービスを展開していきたいと思った時に、OSは統一されていたほうが、やはりサービスとしての深さがより生みやすいと考えていて。
川鍋:なるほど。
大宮:これ(Airのシリーズ)でいうと、あまねく1つの機能を多くの方に使っていただきたいというよりも、この業務も、この業務も、この業務も、全部一貫して、めんどくさいことが全部なくなればいいのにと考えているので、1つのOSでやってるという感じです。
川鍋:今まさに悩んでいるのが、タクシー乗務員さん向けアプリを作らなきゃといって、来年3月のローンチで開発してるんですね。これでようやくライドシェア型と同じようなことが。
今までは、タクシーにもうすでにある、いわゆるレガシーなシステムに接続していたんです。こっちのほうが実は早いんですね。もう全部、既存の車に積んであるのでつなげば、既存の大手メーカーの配車システムにつながる。
ところが、これって本当にシンプルな配車だけだといいんですけれど、一番困っているのは、乗務員とお客さまが話せるようにしたい、と。それは電話でもいいし、ショートメールでもいいし、LINEみたいなものでもいいんですけれど、そこでのコミュニケーションで、最後会えないという時にピタッとくる。
今のタクシー専用システムですと、コミュニケーションができないので、コールセンターを挟んでいて、お客さまから「ここにいるよ」と聞いて、乗務員に「ここらしいよ」と伝えてと、ものすごくロスが発生している。
例えば、そういったところで、もっと自由度を上げていくためには、乗務員側のアプリを開発しなきゃという時に、今の問題にぶち当たっていまして。
Androidなのか? iPhoneなのか? iOSのほうがたしかに深いんでしょうけれど。タクシー乗務員さんは両方買えないし、そんなお金ないし、みたいな話ですごく詰まっていて。今、すごく参考になりました。どちらかに絞ってやるというのは、やはり戦略としては大きな決断でしたね。
大宮:Airという名前をつけて、Airなんちゃら、Airなんちゃら、と広げているんですけれど。最初から別にPOSというのは1つのとっかかりなだけで、ありとあらゆることを解決したいと思っていて、機能を加える時に、新しい端末が必要とか新しいなにかが必要となると、結局継続してお使いいただけないですし、その度にコストがかかるということは本望じゃないと思っていたので。
最初からそれがコントロールタワーというかハブになって、より発展できるということを想像してやっています。単純にiPhoneとかiPadであれば、お互い、ということはあるんですけれど、それが今後価値を生み出すように考えてやっていますね。
川鍋:なるほど。うちもちょっとAppleさん……(笑)。
林:今日は、会場にいっぱい……(笑)。それはまた後で。
(一同笑)
林:やはりAirシリーズがすばらしいのは、Apple製品を最初に使ったということもあると思うんですけれど、デザインをよくすることによって操作のミスが減るとか。
ちょっと高いかもしれないけれど、それによって顧客体験も店員さんの体験も上がっていく。店員の体験がいいからこそ、顧客体験も上がるというふうに、本当いい循環を生んでるんじゃないかなと思うので、ぜひそこを。Apple製品を使わないまでも(笑)。
でも、「全国タクシー」アプリもやはり使い勝手がいいからこそ、グッドデザイン賞を。僕も審査員をやっているんですけれど。
川鍋:がんばんなきゃな。
林:僕、全国タクシーですごく感動したのが、徳島県のはじめて行ったところで、なにもない道端でタクシーを呼ぼうとして。そしたら「全国タクシー、まだ対応していません」と出てきて。
川鍋:(笑)。
林:「どうなるんだろう?」と思ったら、ちゃんと電話番号が出てくるんですよね。
川鍋:そういうことですね。
林:電話番号出てきて電話かけた時、さらに感動したのが、GPS使って現在位置の住所が文字で表示されるんですよ。その文字を読んで、ちゃんとその場に来てもらえると。やっぱりそのグッドデザインがあったからこそ、ここまで成功したと思うんです。
川鍋:一応、タクシー会社なので。タクシーを呼んでいただいてなんぼですので(笑)。
林:そうですね(笑)。
川鍋:でも、そういう意味では、実は今、全国タクシーアプリ、全国の2割のタクシーをネットワーク化できてるんですけれど、今の課題として、ピーク時につかまらないという状況が起き始めています。とてもありがたいんですけど、タクシー会社自体がやはりけっこう古いので、お客さまの数が上がるペースのほうが速いんですね。もともとタクシーも雨が降ったりするとピークなんですけど、そこにわっとかぶさってきちゃって。
そこでやはりやらなきゃいけないなと思っているのが、相乗りなんですよ。タクシー1台で同じ方向に行く人であれば、「ありません」と言うよりは「相乗りだったらありますが、いかがでしょうか?」というふうに提案させていただいて、「じゃあ、相乗りでもいいわ」と。
ところが、1台の車に複数人をお乗せする、知り合いじゃない方となると、これはバスになっちゃうんですね。定義で言うと。
大宮:なるほど。確かに。
川鍋:運送契約というものが1対多になります。そうすると、バスとタクシーの間をまたいじゃうので、今、国土交通省の自動車局の旅客課、タクシーとしてはずっと昔からお世話になっているところと、「なんとかしてもらえませんか」とずっと話していて。
ようやく来年、おそらくテスト運用できるようにして、うまくいけば、そういったピーク時のマネジメントみたいなものができるようになります。
ただ、これもタクシー業界は、我々がひたすら自分でやらないといけないので、大変なんですね。
ですけれど、これ(Airのシリーズ)って要するにタクシー業界で言えば、タクシーの営業所の運行管理システムとか、そういったものすべてやってくれるって話ですよね。
大宮:そうですね。
川鍋:ものすごくうらやましいなと思って。なにかタクシーでもやりませんか?(笑)。
(一同笑)
林:Airタクシー。
川鍋:Airタクシー。飛んでいっちゃう(笑)。
林:でも本当に、冒頭のスティーブ・ジョブズの言葉に戻りますけれど、こういった革命的な製品が出てきて、すべてを変えてしまう。
2020年に向けて、タクシーも相乗りができるようになったり、飲食店の行列も並ばないでOKになったり。本当に世の中の景色とか、これまでの常識が変わってきますよね。
今後どういう方向で、この進化を加速して、どんなおもてなしをしようとしているか? People Firstの最後のひと言を1人ずつ言っていただければと思うんですけれど、まず川鍋さんから。
川鍋:50分ぐらいかかりますよ(笑)。
林:あの……1〜2分で(笑)。
川鍋:1〜2分ですね(笑)。まずもちろんアプリも整備しているんですけど、やはり少なくとも東京のタクシーって95パーセントが流しなんですよ。その時、いっぱい走っているのに手を挙げて。
タクシーには今、タブレットを全車に積んでいます。そこでチェックインすると、全国タクシーアプリを登録していただいていれば、登録したカードで後から払える、降りる時に払わなくてよくて、アプリで呼んだ時と同じ体験ができる。そんな決済方法の導入を目指しています。
そのタブレット上で、外国人のインバウンドの方向けに、多言語で対応させていただいて、そこでWeChat Paymentもできるのが、オリンピックまで。
ちなみに来年10月に、トヨタのまったく新しいワゴン型タクシー専用車両が出ます。しかも、年明けには東京都内の初乗り運賃が約1kmで410円になる予定です。
来年早々、初乗りが410円になって、流しで拾ってもネット決済ができるようになって、多言語化するタブレットを積んで、そしてこのワゴン車が出ると。もう2020年ばっちり!
林:(笑)。
大宮:そうですね。
川鍋:もう某U、いらない(笑)、ということになります。
林:ありがとうございました。
大宮:あくまでも、これは僕の考えですけれど、世に言われるAIみたいなことも含めて、よく「人の仕事を奪う」とかって話もあるんですが、やはり「教育しなきゃいけない」ということ自体がけっこう大変だと思うんですね。
なので、さっき言った「直感で使える」ということは、そもそも「教育しなきゃいけない」という発想ではなく、「いかに教育しなくて済むようにするか」ってことのほうがすごく重要だと思っています。
直感的に使えるとか、Airサービスであれば、ボタンの配置や色が一緒とか、そういうふうに本当に感覚で使えることを目指しています。
さらに今後でいうと、「こんなことはどうですか?」「あんなことはどうですか?」ということをサジェストしていけるようにすると、極端な話、先ほどのデモでもお客さんが来て、自分でお客さんを探すという行為があったんですけれど、そんなことは必要なくて、お店の方々はお客さんが来たら、この人がどうでというふうにやりたいことに集中できる環境になるので。
そういった機能を増やすこともそうなんですけど、ちょっとした細やかな、今までの1つの操作だったり、1つのなにかを減らすことだったりを積み重ねていきたいなと思っています。
林:なるほど。リオのオリンピックも終わって、2020年、まもなく本当東京オリンピックがやってきて、東京への観光客も毎年のように増えてます。
「おもてなし」という言葉が使われましたけれど、おもてなしっていう言葉ってけっこう人によってイメージすることが違うので、ぜひみなさんもPeople First、みなさんのお店で、なにができるのかを考えて、本当に従業員も顧客もハッピーになれるような、そういった2020年の東京を思い描いて作っていっていただければということで、このセッションを終わらせていただきます。
川鍋:ということですね。ありがとうございました。
大宮:ありがとうございます。
林:では、ゲストの2人に、みなさん盛大な拍手をお願いします。
川鍋&大宮:どうもありがとうございました。
(会場拍手)
司会者:登壇者のみなさま、ありがとうございました。以上をもちまして、トークセッション「お店もタクシーも大切なことは『People First』〜ITと共に歩む、これからの『おもてなし』」を終了させていただきます。ご清聴、誠にありがとうございました。
株式会社リクルートライフスタイル
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