2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
提供:一般社団法人シェアリングエコノミー協会
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江藤誠晃氏(以下、江藤):進行を務めさせていただきます、江藤でございます。よろしくお願いいたします。
本日、最後のセッションになりますが、ちなみに今日朝から来られているという方はいらっしゃいますか?
(会場挙手)
江藤:5〜6割の方ですね。では、今回のテーマが「観光立国」ということで、観光業界に関わっていらっしゃる方は?
(会場挙手)
江藤:地域の行政に関わっていらっしゃる方?
(会場挙手)
江藤:多いですね。あるいは、それ以外の観光DMOや地域の方?
(会場挙手)
江藤:少ないですね。では、観光立国とシェアリングエコノミーに興味ありという方は?
(会場挙手)
江藤:興味なかったら来ないですよね。こんな高いお金払ってね(笑)。
(会場笑)
江藤:今日、僕も朝からいろんなセッションを聞いていたんですけれど、すごく刺激を受けました。いろんなテーマだったんですけれど、シェアリングエコノミーのなかで観光分野というものは非常に親和性が高い。ただ一方で、「シェアリングエコノミーで観光立国ってどうなんだろう?」というようなお話も当然出てくるんですね。
そこで今日は、この観光立国の、僕から申し上げると“観光立国オールスターズ”の方々を迎えているということなので、熱く語りながら、本日最後の締めとして、シェアリングエコノミーで日本の観光を盛り上げよう、そういったお話をしたいと思います。
それではさっそく、登壇者のみなさんのご紹介なんですけれど、僭越ながら、まず私からお話させていただきたいと思います。
シェアリングエコノミー協会は、今年の1月に立ち上がりまして、実は紀陸(武史)さんと東(祐太朗)さんは最初からのメンバーだったんですよね。協会が立ち上がったときには、たしか20社弱ぐらいで、僕も一応最初のメンバーとして末席で入らせていただきました。
今、130社を超えたと聞いています。どんどん盛り上がっているんですけれど、そのなかには観光に関わりあるメンバーが、おそらく3分の1ぐらいいるんじゃないかと思っています。いろんなサービスをやっています。
まずご紹介させていただきますと、僕自身は海外旅行のマッチアップのサービスやっています。「TRAVEL PLANET」というサービスをやっていまして、まずこちらのご紹介させていただきたいと思います。
旅行業界をどう変えていくかということで、実は海外旅行に行く日本人は減っていて、「2,000万人を目指そう」と言いながら今、減ってきています。
そこで海外旅行をスケールさせるために僕がやっているのは、海外のニッチな旅行先に対して、「1人で行きたいんだけど、ちょっと不安」という方々、その人たちをマッチアップして、相乗りをして海外旅行に行くというモデルのサイトをやっています。今、ロシアやキューバ、あとモンゴルとか、少し変わった旅行のスケールをさせています。
そこで僕が目をつけたのが、「PASSPORT 2.0」というようなビジネスです。海外渡航1人ひとりの方に、(スライドの)左側にあるんですけれど、「あなたはどういう志向のトラベラーですか」というデータと、「これまでにどこの国行きました」、それから「これからどこの国に行きたいですか」というデータを取っているんですね。
これを「PASSPORT 2.0」と呼んでいるんですけれど、1人ひとりのトラベラーや多様なニーズを持つ人に対して、1人ひとりのデータを取ることによってスケールさせることを考えてメディアをやっています。
今日は、おそらくインバウンドや地域活性をみなさんやっていらっしゃると思うんですけれど、新しくこのパスポートのデータを入れることによって、ユーザーデータを取ってるんですが、今度はこれを国内に転用しようということで、データを取って、それに対してメディアを作って海外旅行をシェアしませんか、というようなモデルを今やっています。
これに対して、今度は国内の観光だよねということで、次にトライしようとしているのが、シェアリングエコノミーを活用して観光立国作っていこう、日本人の観光客を徹底して増やしていこうということです。
現状の3つのマーケット、「海外旅行」「国内旅行」、それから「インバウンド」。このあたりを倍々にしていく計画を作ろうということです。そのために地方創生や、今日登壇される方々のサービスもそうですし、短期移民というかたちを作ることによって、日本の観光客を増やしていきたい。
つまり、1億総活躍時代に対して“1億総旅人化時代”のようなものを作ろう、と。いろんな方々が国内の旅行に行く世界を作ろうということで、「ふるさとをシェアしよう」というメディアを今、作っています。
具体的には、こういったイメージのサイトを作って、「旅する先に故郷あり」と。
今、ふるさとがない方が多いんですよね。だから、地方に憧れる方が多いので、そういった方々と一緒に「ふるさとを探しませんか?」ということを、まず日本人向けにやって。
さらに海外の人に対しても、「日本のfurusatoに来ませんか?」と。「karaoke」「bento」「shiatsu」「omotenashi」 、いろんな日本語が海外で通用するんですけど、「furusato」というものを世界に持っていけないかというサービスを次やろうと思っています。
ここに対しても、世界中のトラベラー、日本のトラベラーのデータを取って、その人にマッチしたサービスを作っていく。
そして、(スライドの)右下に書いてありますが、アッセンブルエージェントということで、これまでの旅行会社は、どちらかというと仕入れをベースにプロダクトを作っていたんですけれど、いろんなサービスをつなぎ合わせることによって、地域活性化のストーリーを作れないかということですね。そうやって新しい旅のアッセンブルエージェントを目指す活動をしているのが、今の私のサイトです。
「日本のお城が好き」「神社に行きたい」「お湯に浸かりたい」、こういったニーズを集めることによって、その方々と地域をマッチングするようなサービスを今、作ることを考えています。
私はこういったかたちで、1つのモデルを作っているんですが、ここからは実際に今、インバウンドあるいは国内の地域活性で活躍してらっしゃる方ということで、順番にみなさんのサービスを紹介いただければと思います。
観光オールスターズ、まず1番目は、紀陸さんから自己紹介を含めてサービスのご紹介をいただきたいと思います。
紀陸武史氏(以下、紀陸):はじめまして。株式会社Huber.の紀陸と申します。よろしくお願いいたします。
私どもは、訪日外国人向けのガイドマッチングサービスをやっております。今日は僕たちのサービスをご紹介させていただきながら、どういったことをやっているのかをまずお話しさせていただければと思っています。
株式会社Huber.の「TOMODACHI GUIDE」というサービスです。
観光資源があふれる日本です。しかし、やはり言葉の壁が大きく立ちはだかってしまっていて、訪日外国人の方が日本の魅力になかなかたどり着けてない現状があると、僕たちは思っています。言葉の壁、情報不足、画一体験。これでどんどん先細りになってしまって、体験にたどり着けていない。
これらの問題を解決するサービスを僕たちは提供しようとしています。「日本人総ガイド化計画」というかたちの、Huber.のTOMODACHI GUIDEです。国際交流したい日本人とガイドされたい外国人のマッチングサービスを提供しています。この両者をマッチングしていきます。
ビジネスモデルは非常に簡単です。国際交流したい日本人、主に大学生や留学生の方々が思い思いにふだんの遊びを我々のプラットフォームに登録します。価格も自分で決めます。
それを見た外客の方が「これ、おもしろいね」と申し込んでいただくと、その際に発生した決済の金額の30パーセントを取得するという、非常に簡潔なモデルです。右と左から15パーセントずつ。不動産仲介みたいなかたちでもらうというものですね。
かたちにしたいのは、一緒に楽しむ感動体験です。「私自慢のローカルツアー」や「自宅に招いてホームディナー」などといった、今までパックツアーになりきれなかったようなユニークな体験をたくさん作っていきたいと思っています。
サービスの特徴は、「ペアガイド」です。もともと有償で外国語を使って自分の知識で案内を行う場合には、「通訳案内士」の資格が必要でした。ただ、我々は役務をわけることでこの法律をクリアしたということです。
どういうことかといいますと、有償で通訳するだけであれば資格はいりません。有償で案内するだけでも資格はいりません。ですので、2人1組になって案内すれば法律は関係ないでしょうというところで、観光庁さんとお話をさせていただいて、それをクリアしました。
これをクリアした上で、おもしろいことに気がつきました。学生たちがずっとガイドをしているんですけれど、「ペアじゃないとできない」とみんな言います。やはりみんな素人なので、なかなか価格を決めたりということも難しいですし、当然案内をしていると、慣れない観光の英語で、たくさん話が寄ってしまうので、2人で分散するとちょうどいいんですね。ですので、「2人だったらできる」というかたちで、やっとその心理障壁を超えられたんじゃないかなと思っています。
また、旅前から旅終わりまで、日本の旅を完全にサポートします。旅前から、彼らの不安に無料で相談に乗ってあげることによって、信頼関係を築いています。なので、すごく体験がスムーズになりますし、仲良くなるんですね。
なので、ユーザーのオーガニックのレビュー記載率は非常に高く、満足度の高いサービスになっているかなと思います。外客から見ても、ツアーを探して相談して予約するだけという非常に簡単なものです。
イメージは、TOMODACHI GUIDEが全国各地でお出迎えをして、言葉の壁を越えて、さまざまな地域産業に、外客の方とかを送客していこうというものです。
これがサービスのサイトイメージになりますけれど、とにかくガイドの常識を覆して新しい価値を作っていきたい。動画がありますので、ぜひご覧になってください。
このPVはサイト上にもアップされていますが、我々の学生ガイドたちがAirbnbのホストさんたちから送っていただいた外客の方を案内しているところに帯同して撮った映像になります。今、現状1,200件ぐらいの物件と連携させていただいて、どんどん送っていただいております。
私たち、観光に関しては本当にもうずぶの素人の集まりでして、一番最初は鎌倉の駅前でアンケートを取るところから始めたんですね。
そうやって彼らと向き合っていくなかでわかってきたことが、みんな鎌倉に来ると、大仏を見に行って、鶴岡八幡宮に行って、そばを食べて帰っちゃいます。山とか海とか、もちろん文化的なものとか、たくさんいいものがあるのに、ぜんぜんそこに届いていない。
今度は、「じゃあ、実際に案内してみようか?」ということになって、駅前でナンパして「いいから案内させてくれ」って無料ガイドをし始めたんです。そうすると、彼らはあまり知識や経験を求めていないということがわかってきました。
ここにあるとおり、一緒に自転車に乗ったり、ろくろを回したり、料理を一緒に作ったり、そういう一緒に楽しむ体験みたいなものに、とにかく彼らは惹かれていて、そこにすごく彼らの満足がありました。
案内した大学生たちも、「これは本当にいいサービスだ」と夢中になってやっているという状況がわかってきたので、今のサービスを始めました。このようなサービスをやっています。ありがとうございます。
(会場拍手)
江藤:先ほどから、「1億総活躍」「1億総旅人化」「1億総ガイド」って言葉が出てきましたね。日本人1人ひとりがすべておもてなしのプレイヤーになるような、壮大な計画のTOMODACHI GUIDEということで、Huber.のご紹介でした。
続きましては、nottecoの東さんなんですけれど、これはいわゆるライドシェアですよね。ただ、これもちょっと違うぞということで、そのあたりをまずご紹介いただきたいと思います。
東祐太朗氏(以下、東):みなさん、こんにちは。今、日本で一番大きい相乗りのサービスをやっています。nottecoの東と申します。よろしくお願いします。
もともとガイアックスに新卒で入ったんですけれど、今年の5月からnottecoの代表をさせていただいております。
まず「nottecoとは?」なんですけれど、nottecoを聞いたことある方は、このなかにどれぐらいいらっしゃいますか?
(会場挙手)
けっこういらっしゃいますね。ありがとうございます。
「notteco」は、ここ(スライド)にあるとおり、中長距離のライドシェアのサービスと名乗っています。中長距離のライドシェアってなにかというと、例えば、高速道を利用するような、100キロ以上移動する、そういう距離で相乗り相手を探すサービスです。
例えば、東京から大阪に高速道路を使って行こうとすると、だいたい1万5,000円ぐらいかかってしまうんですけれど、空気を乗せて運ぶぐらいだったら4人ぐらい人を乗せて、それぞれから3,000円もらえれば、1万5,000円だったものが3,000円で済む。こういったサービスをやっています。
2007年からスタートしているんですけれど、サービス開始から去年の5月ぐらいまでで会員数が1万5,000人だったんですが、そこから今年までで15,000人増え、この1年でユーザーが倍増しています。
利用の流れをご説明します。まず、車を運転される方がドライブの予定をnotteco上に登録します。そして、乗せてほしい方が詳細の条件を見た上で、「ぜひ僕も乗せてください」と依頼します。あとは、細かい荷物とか降りる場所の調整をした上で、実際に相乗りしていく。こういった流れになっています。
そして、決算の手数料の何パーセントかをいただくというかたちで、今後マネタイズしていこうと考えております。
「相乗りのメリットはどういうところか?」なんですけれど、簡単に言うと、安く早く快適に移動できる、と。
こちらのドライブだと、東京から名古屋なんですけれど、350キロの移動距離です。23時出発で、夜行バスよりも早く到着する。到着場所もある程度は融通が利くので、例えば、「渋谷で集合」と書いてあったのに対して、「目黒まで迎えに来てほしい」と言えば、目黒まで迎えに来てくれる。これが今までのインフラとの大きな違いかと思っています。
例えば、ほかにも今、登録されているものだと、「三重県に行く」とか「1,800円です」とか、「茨城県に行きましょう」とか。ほかにも、「イベントに行きましょう」とか「温泉に行きましょう」とか。こういったいろんなドライブが登録されています。
今度は、乗る側じゃなくてドライバーにどういうメリットがあるかということですが、これは高速代がコストカットできる。例えば、(スライドの)この方は、単身赴任で横浜から大阪をしょっちゅう移動される方なんですけれど、1ヶ月で10万円ぐらいのコストカットになったと。こういったところが大きなメリットかと思っています。
ほかにも、音楽のフェスとかボランティアとか、そういうイベントごとがあったときにもよく使われています。
今回、地方創生という文脈ですので、どういう事例があるかといいますと、こちらは「FUJI ROCK FESTIVAL」という新潟で開催されたイベントなんですけど、こういうところ、やはりインフラが単発のイベントだとそんなに整っていないんですけど、相乗りで行くことで、そもそも移動が楽しい、と。初対面の人同士で相乗りをして、イベントに行って、着く頃には友達になっている。こういったところが新しい価値として、今、利用が増えています。
これは実際のユーザーの写真なんですけれど、全員初対面なのに、着く頃にはこんな感じで和気あいあいとしています。これがnottecoの価値かなと思っています。
例えば、これもお客さまの声ですけれど、「夜行バスにはなかった」「快適だった」とか、あと「少人数で快適だった」「ドライバーさんがやさしかった」、こういったところで新しい出会いが生まれているサービスになっています。
地方のイベントで、インフラでお困りの方だとか、そういうところと組みながら、この相乗りのムーブメントを起こしていきたいと思っているので、今日いらっしゃっているイベントの主催者の方や地方自治体の方は、ぜひお声がけいただければと思います。ありがとうございます。
(会場拍手)
江藤:ありがとうございます。ライドシェアというものの概念が、ちょっとみなさん変わったかと思うんですけれど、単なる便利な交通手段というだけじゃなくて、ワクワクするような観光の匂いがしませんか?
相乗りということで言いますと、僕も海外旅行の相乗りをやって、実際に人を連れて行ったりもしたんですけれど、一緒に旅をすると生涯の友ができるんですよね。
非日常空間を過ごす人とは、やっぱりすごく人間関係が深まるので、単に移動するだけじゃなく、そこをシェアするなかで人間関係が膨らんでいく。これが観光の魅力なのかなと思います。
それでは、今のお二人がこういったシェアのサービスをされているということで、ここからのお二方は、今度はそれを取り巻くというような方々です。
まずは、パソナの勝瀬さん、今回パソナさんが地方創生に大きく乗り出されて、今回この大きなイベントのスポンサーを務めていらっしゃるということで、どういったかたちでこの地方創生、シェアリングエコノミーにコミットされているのかをご紹介いただければと思います。
勝瀬博則氏(以下、勝瀬):こんにちは。パソナの勝瀬です。つい半年前までは世界最大旅行会社の「Booking.com」の日本代表をしておりましてBooking.comの勝瀬でした。半年前にパソナに移りました。
おそらくここにいらっしゃる方たちは、ほとんどが「え、パソナ? 観光? シェアリング?」と思われるかと思うんですけれど、3分ぐらいあとには「なるほど」と感じていただければと思っております。
パソナ、今年40周年を迎えました。40年間、「社会の中の問題を解決をする」、これを続けてきたと考えております。
どのような問題かというと、お仕事が正社員じゃないとない、一時的なお仕事はお給料も低くて、同じようにもらえない、そういった社会の不平等を解決することです。若い女性、お年寄り、なにかの理由でフルタイムで働くことができなかった方たちのために、働く場所を提供するという提案をしてきました。
これってまさしくシェアリングのプラットフォームがこれからやろうとしていることと同じです。パソナは40年前からシェアリングのビジネスをやっていたといってもいいかもしれません。今日のお話に安全・安心・信頼という言葉が何度も出てきましたけれど、それを40年間培ってきた会社がパソナです。そういった文脈でご理解いただければと思います。
また、パソナは観光にも非常に力を入れております。人材派遣だけではありません。今、こちらの写真にありますのは、淡路島にあります新しい観光の拠点でございます。
観光領域でパソナがなにをやってるのかを簡単にご説明します。地方創生事業をやっておりまして、「パソナ東北創生」「VISIT東北」「インバウンド機構」、道の駅「丹後王国」の経営、「ふるさとインキュベーション」など、いろいろな観光事業で、実際に観光オペレーターとして人を配置して、そこで事業を作るということを行っております。
そのほかにも、働き方改革での地方創生、中小企業の小規模事業者への経営支援、農援隊、農業のグローバル展開イノベーションをおこなっています。16ヶ国に拠点をもっている、グローバル企業でもございます。
また、今日お話しさせていただきます、シェアリングエコノミーを活用した新しい仕事の創生・働き方の改革を通じての地方創生を行っていこうと考えております。
実際になにをやっているかを簡単に説明しますと、廃校を使った「のじまスコーラ」という施設、こちらは今、1年に18万人入客しております。「miele(ミエレ)」というレストランを近くに作りました。こちらも5万人。「Craft Circus」、これを今年の7月にスタートしました。「丹後王国」、こちらは道の駅。今、75万人集客できております。また、新たに「道の駅くめなん」というものも今年からスタートしております。
ただ事業をするだけじゃなくて、事業を行なう人たちの育成にも力を入れております。「東北未来戦略ファンド」というファンドを作っておりまして、こちら「東北創生」「VISIT東北」という、新しいDMOを運営する機構、またこの機構に働く新しい人たちを我々で支援しております。
また、今年の11月には「観光立国ソリューション」というものを立ち上げました。こちらは、地域の観光事業社さん、地域密着型人材会社、グローバルカンパニー、ソーシャルイノベーションカンパニー、地域の問題を解決するという立場からコンサルティングサービスを展開しております。
このコンサルティングサービスで、なにをやってるかというと、6つの軸がございます。「広報」「デジタルマーケティング」「DMOのプロデュース」「人材支援」「観光人材育成」「観光事業者支援」という6つの軸で、とくに地方自治体のみなさま、それから地方にいらっしゃる観光商社のみなさま、観光でこれから食べていこうと思っているみなさまにサービスを提供しています。
いくつかの例を出しますと、小林市、丸森町、山県市、東京都、青森県で共同プロジェクトをスタートしております。
また、シェアリングエコノミーの活用による柔軟な働き方を推進するという立場から、シェアリングエコノミー協会さんと協定を結ばさせていただきました。
パソナは、今まで330の官公庁・自治体さま、また1,500の外郭団体とのビジネスの歴史がございます。このビジネスの歴史、信頼、信用を使いまして、シェアリングエコノミーを自治体に向けてご紹介。そして、プロジェクトマネジメントをしていこうと考えております。
「地方産業人材の誘致・育成・活用」「雇用の創造」「新しい働き方・暮らし方の創造」この3つの点からパソナは地方創生をやっていこうと思っております。シェアリングはこれらを結ぶということが、我々の理解です。
また、そういう理解から、今回プラチナスポンサーというかたちでパソナが応援させていただいております。ありがとうございます。
江藤:ありがとうございました。観光というのは総合産業なんですよね。単にお客さまを呼んで観光に来ていただくだけじゃなくて、地域の人材のこととか、今6つの項目が出ておりましたけれど、そういった総合的なものにアプローチする上でのソリューションとして、パソナとして培ってこられた企業のアセットと、シェアリングエコノミーを使って日本の観光を変えていくぞと、そういうような文脈ですかね。
今、DMOというようなお話も出たんですけども、DestinationをMarketingしていく組織(Organization)を作っていくと。このDMOということで、最後にご紹介させていただくのが、島原観光ビューローの塩野さまです。ユニークなのが、株式会社島原観光ビューローということで、このあたりの話も含めて自己紹介いただければと思います。
塩野進氏(以下、塩野):みなさん、こんにちは。株式会社島原観光ビューローの取締役、そして長崎県島原市役所の市長公室の理事・島原ふるさと創生本部長をしております、塩野と申します。
昨年の9月に、国土交通省から島原市役所に出向でまいりました。その前は建設業の仕事とか、さらにその前は観光庁で観光産業課というところにおりまして、旅行業・宿泊業の振興や、日本人の旅行中の事故の対策等にあたっておりました。
昨年9月、長崎県の島原市に赴任いたしました。地方創生の担当ということで、とくに「これをやってくれ」ということはなく、自分で仕事を作っていくということだったわけなんですが。
島原市に島原城という立派なお城があります。島原というと「島原の乱」という言葉を思いつく方がたくさんいらっしゃると思うんですが、島原半島全体で1637年に大きな一揆があって、それの鎮圧の拠点として島原城、そして天草四郎率いる一揆軍の抵抗の拠点としての原城、2つのお城が島原半島にあります。今、島原市にあるのはこの島原城という、(スライドの)左下に「島原城」という写真がありますが、天守閣5層のお城があります。
ここに行った時に、とある観光客の方とお話をしたら、「今日は長崎市から来ました。島原城を見て、この次は原城にも行きます」ということをおっしゃっていました。
その時に少し違和感を抱いたんです。島原において観光をどう定義するかという問題かとは思いますけれど、島原城で1時間過ごして、そのあと島原市外の原城に行ってしまいますと、結局、島原市内での観光消費としては、島原城の天守閣の入館料540円だけしか使っていないんだということを、最初に痛感しました。
結局、観光をなんのためにやるのかということに尽きるとは思うんですけれど、地元でいかに観光客、外の方にお金を使っていただくかということに定義をおいた場合、540円だけで次のところに行ってしまうのは少し違和感があるなということで、島原市内の観光ルートを確立をして、しっかりお金を使っていただくということが、まず必要なのかなと思いました。
ただ、私も任期2年で島原市役所に来ていますので、「こういう観光ルートはどうですか?」ということを作って、また戻っても、それは一時的な観光ルートを作ったということだけで、本質的な問題の解決にはならないだろう、と。なぜそういった観光、収入ルートが今できていないのかというところをもう少し本質的に調べる必要があるということで、いくつか数字などを見てみたところ、この(スライド)左側の状況にあったわけです。
今年の9月までの組織体制です。おそらくいろんな地域も同じかと思うんですが、島原温泉観光協会という観光協会の組織があり、そして島原温泉旅館組合、島原市観光土産品協会という観光事業者の団体があります。そして島原城という施設については、一般財団法人の島原城振興協会という財団法人が長らく市から一社単独の指定管理を受けて運営をしています。
(スライドに)いくつか写真を貼ってありますけれど、市内に複数の観光施設があるんですが、島原城は島原城振興協会が運営している。そのほかの施設については、市から観光協会に業務委託をして運営させている。さらに、市のほうで直営で運営をしている観光施設もあるということで、運営者が非常にバラバラで、島原城に来たお客さんをほかの観光施設に導くというインセンティブがそもそも働いていない。本質的な、構造的な課題があったということです。
さらに、このなかで稼ぎ頭は島原城で、天守閣の入館料6,000万円、駐車場の収入が1,500万円、売店で5,000万円ということで、年間1億3,000万円ほど売上が上がっているわけですけれども、儲かっても、指定管理の仕組みで、市のほうに返さなければいけないということで、島原城振興協会はその年の売上をほぼ使い切って、コストをある意味、調整しながら運営をしてきたということです。
一方で、市のほうで観光施設に毎年何千万も毎年お金を使っているのは、おかしいんじゃないかということで、市内のいろいろな観光関係者の方とも話し合いを進めまして、今年の10月から新しく株式会社島原観光ビューロを立ち上げ、4団体については9月末をもって解散しましょうということで、統合集約をしたということです。
その過程でさまざま、(スライド)左側にありますとおり、検討会議とか、従業員向けの説明会、それから市民の方向けの設立説明会ですね。こういったプロセスを踏んで、議会との関係でも、出資金の4,000万円、それから指定管理の議決もしました。
今回の観光ビューロのもう1つのポイントは、(スライド)右側のところですけれど、島原市が4,000万円出資すること以外に、残り2,000万円について、市内外の方に1口2万円で募集させていただきました。
先月募集が終わったんですが、もし2,000万円集まらなかったら正直どうしよう、「もう帰ろうかな」とも思ったんですが、最初の1週間で2,000万円はすぐに申込みが埋まってしまって、結局1ヶ月の募集期間中で約2,350口、4,500万円を超える申込みがありました。最終的には、今、この株式会社島原観光ビューロは、223人の株主と島原市が経営に関与している組織になったところです。
ここまでがシェアリングエコノミーの前段になるんですけれど、今、観光庁のほうで観光DMOを推進と言っているわけですが、「なぜ観光DMOなのか」ということをひと言で言うと、これまでは発地側のJTBさんをはじめとした大手エージェントが、地元の受け地側の観光事業者、旅館・ホテルとの間で契約して、基本的にはJTBがマーケティングをして、都市部から受け地側に送客をするというモデルだったわけです。
ですが、今、大手エージェントを使った旅行だけではなくなっているなかで、受け地側の独自のマーケティングが必要であるということ。エージェントに頼らない、受け地側でのマーケティング、主体的な街づくりというものが求められています。
そのためには、観光事業者だけではなくて、一次産業の従事者や商工業の関係者、こういった人たちも観光客向けにいろんなサービスを提供しなくてはいけない。ですから、これまでの観光協会みたいな単一の組織、従来の観光協会という組織ではなくて、もっと多様な関係者を巻き込んでいきましょうということになっているわけです。
その話とシェアリングエコノミーの話って非常に似てるなと思って、ピンと来ました。つまり、観光DMOというのは受け地側の人たちを多様に巻き込んで、そしてその人たち1人ひとりに対して少しずつ観光消費というかたちでお金が落ちて、交流人口を増やしていくということですけれど、それってシェアリングエコノミーの1人ひとりがホスト・ゲストになりサービスを回していくという経済と、実は大きな概念としては一緒なのではないかな、と。
新しく株式会社にいたしまして、島原観光ビューロとして売上もあげなければいけないということで、シェアリングエコノミーの2社、スペースマーケットさんと、ガイアックスのTABICAさんと連携して、観光施設の集客の強化をしています。
例えば、「島原城を時間外に貸し出して、これまでの1日あたり20万円の入館料収入以外のところで何10万円といった第三者からの料金を取ったらどうか?」とか、市民が最適に自分たちでツアーを作るということで、市民にもお金が入って、観光ビューロでマージンを取るかたちで、体験型旅行のコンテンツを充実していこうと。
そういったことを今、実はまだリリースはしていないんですが、年内にもリリースをしようということで、準備させていただいているところです。長くなりましたけれど、私からは以上でございます。
(会場拍手)
江藤:ありがとうございます。昨日の発表、それから今日のお昼のセッションにもありましたけど、「シェアリングシティ宣言」ということで、5つの市町村でされたなかの1つ、古川(隆三郎)市長が発表された島原ということですね。
今日は、アムステルダム、ソウルのプレゼンテーションもご覧いただいたと思うんですけれど、やはり日本のシェアリングシティって日本ならではのかたちにカスタマイズする必要があるかなと思っています。
一般社団法人シェアリングエコノミー協会
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