2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
提供:日本マイクロソフト株式会社
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西脇資哲氏(以下、西脇):そこで、みなさんに聞きたいのは、お二人ともクラウドの提案をしてきているわけですね。今まで、5、6年やってきたわけです。7、8年かな。
ここで、クラウドを提案しようと思って、一生懸命お客様にお話したのに、「うわ。これ、キツい。このことを言われたら」という、非常にキツかったひと言を教えてほしいんですね。
つまり、このひと言さえもらわなければ、この人を突破できるのに、とか。こんなことを言うなんて、この人は変わってないなあとか。そういうひと言。お客さんがおっしゃるのかなぁ。SIの方がおっしゃるのかなぁ。
砂金信一郎氏(以下、砂金):(小島氏の回答を見て)やっぱりそれ言われるんですね(笑)。
小島英揮氏(以下、小島):これ、言われるねぇ。
西脇:さぁ! これは、砂金さんからお願いします。
砂金:今日、身内の人が多いんので該当者がいたら、嫌なんですけど(笑)。お客さんじゃないんですね。敵は身内にあって。
西脇:そうなんだよ(笑)。商売構造が変わるから、危機感がそこに出てくるんだよね。
砂金:普通にスケールサーバと、ウインドウズサーバで提案をしていた大きめの案件があって。その商談が進んでいたはずなのに、「クラウドに興味あるから」っていうので、僕に言われて「こんな感じのアーキテクチャーでやったら、ぜんぜん初期コスト安くいけますよ」みたいな提案をして、お客さんは大喜びで、僕らもこれはいい事例ができるな、みたいに喜んでたんですけど。
でも、喜ばない人たちがいるんですね。そこが売上げ上(じょう)、このクオーターに売上げが立つことが決まっていて、マイクロソフトさんの営業とか、パートナーさんの営業から、一斉に斜め後ろから刺されました。
西脇:だいぶ血、流してましたもんね。
砂金:AWSと戦って、Googleと戦って、正面で潔い戦いは、「負けました。敵いませんでした」で、それはぜんぜんいいんだけど。
西脇:でも、結論はどうなったんですか? 俺の売上げは結局どうなったんですか?
砂金:どうにもならないですよ(笑)。補填できないですもん。
西脇:どうにもならなかったら、よくないじゃん。やっぱり、その人たちにとっては困るわけじゃん。
砂金:困る。困るから、結果、どうなるかと言うと、クラウドの初期の頃、とくにオンプレ大好きなみなさんは、「クラウド提案すると、売上げが下がる」「俺の数字いかねぇよ」みたいな。
西脇:実際にいかなかった人がいるからね。
小島:だけど、ストックビジネスとフロービジネスを履き違えてますよね。例えば、AWSって、年率60パーセントで成長してすごいとかって言うじゃないですか。でも、あれは、前の年の売上げがちゃんとあるからなんですよね。
西脇:そう。そこから描いてるからね。
小島:ある分岐点になると、ものすごく大きい売上げなのに、成長し続けることになるんですよね。
西脇:それを誰かが描いてあげるか、誰かがお手本を見せてあげるか、なんらかのかたちで答えなきゃいけないよね。
砂金:そうですね。
西脇:それって、やっぱり、メーカーの仕事だと思うし、ブームを作っている人の仕事だと思うんだよね。
砂金:たぶん、セールスフォースとAWSは、初期のころ、それをすごくうまくやっていたんだけど、マイクロソフトはその点において、若干、出遅れたね。
西脇:既存のビジネスがあるからね。
小島:イノベーションのジレンマ的なやつですよね。
砂金:それがありましたね。
西脇:小島さんはどんな感じですか? 教えてくださいよ。なんて言われるとキツかったんですか?
小島:キツいって、だいぶ慣れましたけど。
西脇:言ってください!
小島:よく言われるのはこれですね。「本屋のサーバに用はない」。
西脇・砂金:あははは(笑)。
西脇:用はねぇと(笑)。
小島:たしかにそうかもしれないけど、たぶんトラフィックもトランザクションも、扱ってるデータもぜんぜん違うと思うんですけど。
西脇:でも、当たってるもんね?
小島:当たってる。この言葉自体は否定できないんですよ(笑)。だけど、ものすごくテクノロジー的に低く見られるんですよね。これは、さっき、相手にわかってもらう努力がすごく大事だって話をしましたけど、1回耳が閉じた人を開けるのは、けっこう難しい。
西脇:大変なんですよね。
小島:どんなに説明しても、「でも本屋のサーバだよね」みたいな。
西脇:本も売ってねぇよとかって突っ込むしかないですよね。家電だって売ってるよみたいな。
小島:だから、後半の頃、僕がエンタープライズ向けのいろんなコンテンツを作る頃は、「なぜAmazonがこういうことをやっているのか」「どれくらいのトラフィックがあるのか」という、なぜから話をすることが多かったですね。そうしないと、結局、ここ(「本屋のサーバに用はない」)にいっちゃう。この本屋がすごいよってことになれば、本屋のサーバでもいいんですよ。
西脇:これを打破するための最高のひと言をくださいよ。
小島:最高のひと言? 難しいですね。でも、結局、なにが打破したかと言うと、日本のお客さんの事例なんですよね。
西脇:あ〜、やっぱりそうなんだ。
小島:「事例くれくれ」みたいな話は最近ありますけれど、あれは、半分正しくて、半分おかしいんですけど。
西脇:たしかに、Amazonさんは、初期に、いいお客様を捕まえて、捕まえてって言ったら怒られるけど、事例にしてましたよね。
小島:それを見えるようにしたのが、たぶん、すごく大事で。
西脇:あれすごいなと思いましたよ。
砂金:あれ、ただの事例じゃないんですよ。社外のエバンジェリストなんですよね。ドコモの栄藤(稔)さんなんて、ほぼAWS売って歩いてたじゃないですか。
小島:そうですね。
西脇:これは、今日いらっしゃっている人もそうなんですよ。マイクロソフトとも非常に関係が深いお客様がいらっしゃっているので、その方が、みなさんご自身が広めていく役割だと思うんですよ。そのために、やっぱり、今日ご参加されているわけですからね。そういう方が、事例になったら最後、味方になるって話なんですよね。
小島:そうだし、結局、耳をふさいでいる人って、僕がベンダーだからふさいでるんですよね。だけど、隣のいつも話をしている同業の人とか、リスペクトしてる人が「Amazonいいよ」「MSいいよ」って言えば、普通に聞くんですよ。
だから、「カスタマートーク to カスタマー」だったり、「デベロッパートーク to デベロッパー」みたいなものは、すごく聞くんですよね。そういう意味で、事例はピアーの人が話すという意味ですごく大事なんです。
西脇:なるほど。そういう言葉をもらいながら、非常に苦労しながら、7、8年やってきましたと。7、8年間やってきたなかで、どうしても聞きたいことがあるんです。
クラウドのビジネスばかり、2人は率いてたわけですね。そんななかで聞きたいなと思ったのは、「ぶっちゃけ、とは言っても、オンプレミスがよかったんじゃないかな。この案件」みたいなやつが、あったかどうか、これは○×で。
砂金:これ、たぶん、マイクロソフト的には答えやすい問題なんですよね。たぶん、僕も所属しちゃいますけど。
西脇:ぶっちゃけ、どうなんですか? 「せーの」で出してください。
やっぱりそうなんですね。これ、どういう案件がぶっちゃけオンプレミスがよかったんですか? でも、クラウド提案しちゃったんでしょ?(笑)。
小島:いやいや。クラウド、基本的にはいいんですよ。だけど、ちょこちょこ使うのは、あまり意味がなくて、本丸を本当は移動したほうがいいんですよね。
だけど、なんでもないサブシステムをクラウド移行して、移行したけどファイルサーバだけです、と。これ、サーバ遠くなっただけですよね。
西脇:そうなんですよね。ファイルサーバなんかとくに言われます。
小島:あと、処理系はクラウドに持っていったけど、データベースは社内になきゃいけないみたいな規定で。データベース、すごくレイテンシーが大きくなってますけど、と。
これは、オンプレがよかったというよりは、両方クラウドに持っていってもらうか。
西脇:昔よくレイテンシー言われましたよね。今は、ほとんど言われなくなったけどね。
砂金:僕がこれで後悔しているというか……、当時のお客さんには、いい実証実験ができたな、勉強代だなと思っていただければいいんですけど、やっぱり、レイテンシーとか、データベースの性能が求められるものに、クラウドを初期の頃、提案して。Aurora前だったので、やっぱりそこをどう工夫しても性能がでなかったんですね。
西脇:だから、オンプレに戻したほうがよかったんじゃねって話?
砂金:オンプレでFusion-ioをメッタ刺しにしたほうがぜんぜん性能出るし。ちゃんとお客さんのサーバが稼働して盛り上がっていれば、売上げが上がるから、別に、安いからクラウドとか、そういう話じゃなかったんですね。
西脇:そうすると、その会話だと、性能を出そうと思うと、オンプレも1つの提案の選択?
砂金:ぜんぜんありだと思います。
西脇:そんな話はありました?
小島:そこは少し異なっていて、全部クラウドに持っていけば、かなり解決するんですよ。
砂金:あ、全部、オールインでクラウド。
小島:そうそう。
砂金:あ〜、そっか。
小島:ぶった切る、分解点みたいなのを間違えると、誰も幸せにならないみたいな話はけっこうある。
西脇:現実はでも全部クラウドというのは、やっぱり非常に難しいと思うんです。
小島:粒度ですよね。このシステム、不可分なところがあるわけですよ。処理系とデータベースをなぜ違うところに置くのかとか、あるわけですよ。
そういったものを1箇所に置いたほうがよくて、Amazonにいるときによく、データグラビティとか、コンテンツグラビティって話をしてましたけど、どちらかと言うと、データのほうにアプリケーションが吸い寄せられるんですよね。引力を持つ。だから、Amazonだったら、S3とかAuroraみたいなデータベースで。
砂金:Snowballとか作ってましたもんね。
小島:そうです。だから、上げてしまえば、実は今、アプリケーションのほうが吸い寄せられる感じなので。言っていることは、今、実現しつつあるんじゃないかなと思います。
西脇:昔はサーバだけだったという、非常にベーシックなクラウドサービスだったのが、今は、インテリジェントになってきているので、いろんなものがクラウドに揃うようになったら、いよいよこれは、アーキテクチャーを並べる、上手に設計する時代になってきているという感じが。
砂金:でも、ヘッタクソなアーキテクチャーで、サーバレスとかをやると、
西脇:もう1回言って?
砂金:ヘッタクソなアーキテクチャーで。
西脇:(笑)。
砂金:サーバレスとかやると、ピタゴラ装置みたいなものができるじゃないですか(笑)。
西脇:わかる。
小島:あれはあれで、Hello worldみたいなもので、手順を学ぶときにはいいんですけどね。ただ、ウェルアーキテクテッド、ちゃんとアーキテクトすることは、すごく大事で。
西脇:以前よりも、設計は本当に重要になってきたと思います。だから、そういう要素技術で、我々マイクロソフトもやはり要素技術の製品をものすごくたくさんみなさんに学んでいただくために、こういうチャンスもあって、ご提供してるんですけど。
我々もピースをいくつかご紹介させていただいて、そのピースがどう動くかということを説明しているんですけど、みなさんご自身がそのピースをどうデザインするかということをやっぱり考えていただきたいんですね。
それをマイクロソフトとか、AWSでもいいですし、Googleとかいろんなクラウドベンダーにフィードバックしていただくと、もっともっと活性化していくんじゃないかなと思っているんですね。
クラウドを始めたこの7、8年くらいを振り返ってみると、要素技術をベンダーがどんどん出していって、「使ってください」って時代がちょっと長すぎたかなぁと、僕は思うんですよね。
小島:お願いしてるってことですか?
西脇:そうそう。もっとお客様が設計をして、「こんなふうに動かしたらいいじゃないか」ということが、やっぱりもっとほしかったなというのが、この7、8年を見ていると思うんですよね。今はだいぶ変わりましたけど。
砂金:だいぶ変わりましたよね。
小島:今日、ブログでも書いたんですけど、東京ってすごくクラウドフレンドリーで、クラウドファーストなところなんですよね。最近、Googleさんが東京リージョンの話をしていますけど。
西脇:その話はあまり言わなくてもいいです(笑)。
小島:そうですね(笑)。少なくとも、主要なクラウドは東京にある。レイテンシーがすごく低いところでも使えるようになっていて、MSさんもパートナーエコシステムがあるし、AWSもそうでしたけど、セルフサービスじゃなくても、けっこう使えるためのサポーターがすごくあるんですよ。日本語でググれば情報があって。こんな国、ほかにないんですね。
西脇:ないです。意外と恵まれてますよ?
砂金:エンジニアコストも安いしね。
小島:すっごく恵まれてる。やろうと思ったら、情報も、作る人も、データセンターも、そこにあるんですよ。あとは、やるだけなんですけど。意外と「いや、日本はまだまだ」みたいな、謎の表現があって。
西脇:極論から言うと、日本はアメリカより恵まれてると思いますよ。
小島:集積度では、とくに東京はそうだと思います。
西脇:そう思いますよ。しかも、東京と大阪と日本のなかでこんな設計ができるわけですよね。大陸の反対側じゃないわけなので、非常にいいと思いますけどね。
さて、そんなクラウドのビジネスをお2人は率いていらっしゃっていて、今、いろんなお話が出てまいりましたけれど、ここからキャリアのお話にいきたいと思うんですね。今日はキャリアの話もしなきゃいけないんです。
○×札を出してください。ぶっちゃけの質問をしますね。私も出しますよ。まずが下ろしておいていただいて。
ぶっちゃけ、お互いの会社の面接受けたことがある? ……なんで出さないの?(笑)。
小島:あ、出すんですか!?
西脇:せーの!
西脇:ははは(笑)。
砂金:あるんだ(笑)。
西脇:これはわかりやすい。
小島:補足すると、さっき僕、『The Big SWITCH(邦題:クラウド化する世界)』って本を読んで、「クラウド行かなきゃいけない!」って思ったって話をしたじゃないですか。それで、MSに行きたかったんですよね。
西話:お? まだ間に合いますよ、ぜんぜん。
小島:いやいや、そういう流れじゃない(笑)。
西脇:(会場に拍手促す)間に合いますよね? よかったぁ(笑)。
(会場拍手)
小島:そういう流れじゃないです(笑)。それで、MSに行きたいなと思って、あのソフトウェア会社は、こんなデータセンター通して、これはもうすげぇコミットだと。
西脇:誰かつぶやいて、「小島さんがMS行きたい」って(笑)。
小島:いやいや、それ、7年前の話ね。散々見たんですけど、ジョブがなかったんですよ。オープンポジションがなかったの。
西脇:今、用意できますよね。オッケーです。
小島:あはは(笑)。「そうか、MSないのか〜」と思ってたら、「Aという会社が人を探してまして」みたいな話があって、「Aってあの川のAですか?」みたいな、そんな感じで今日にいたるわけですけど。だから、本当にタイミングが。
砂金:その時、まだAzureの専任っていなかったと思います。
西脇:だって、シアトルの面接に一緒に行ってるくらいだもん。ほぼ同じ時期くらいだもん(笑)。
小島:そうですね(笑)。シアトルまで行きましたね。
西脇:砂金さんは、AWSの面接受けてた?
砂金:これ、みなさん、大手のSIerさんにお勤めかもしれないですけど、自分の価値は常にはかり続けたほうがいいですよ。自分が今、この仕事をしてたらこのくらいだし、競合に行ったらこのくらいだし、パートナーのところへ行ったらこのくらいだし、と。
西脇:そっか。ベンチマークになるってこと?
砂金:ベンチマークになる。あと、たまに相手の視点から物事を考えるという練習をすると、すごくいいです。
西脇:どういうこと?
砂金:ちょっと前までは、Azureのエバンジェリストとして、「こういうのがいいですよ。AWSと比べると、こんなところがもっといいですよ」って話しかしなかったんですけど、逆の立場で、もし自分がAWSのエバンジェリストだったら、こういう説明をするなと。
敵の兵器を使って、いい戦果を出すっていう、その方法がわかれば、敵を攻略できる。
長島:ちょっとガンダムっぽくなってませんか?
砂金:若干、大丈夫です(笑)。相手の視点から見るとか、いろんな視点から物事を見て、自分のキャリアがそこに固定されてるって思い込みに縛られない。
西脇:あ、いいツイートが(小島さん「実は(7年前は)MSに行きたかった」西脇さん「まだ間に合いますよ!」)。
小島:あははは(笑)。
西脇:あ、話、割っちゃってごめんなさい。
砂金:MS来ます? 今だったら。
西脇:ぜんぜん間に合うどころか、お世話になります。すみません、ぜひ、お願いします。
長島:なにもしゃべれなくなりますね(笑)。
西脇:まぁまぁ、これを大阪でやって、また仙台でやってってやれば、とりあえず年内は仕事がありますよ(笑)。
ただ思うのは、クラウドベンダーだけではなくて、IT業界って、すごく狭いと思うんですね。流動化もすごく激しいです。ということは、どういうことかと言うと、技術を持っていると、どこでも職があるなぁと思うんですね。
やっぱり設計できる人か、開発できる人か。こういう能力を持ち合わせていると、多少言語が変わっても、多少テクノロジーが変わっても、いいなぁと、それは感じますね。
小島:それは、本当にすごく大事です。僕自身は、エンジニアでもコーダーでもないんですけど。Adobeの前にいた会社、これはAdobeが買収して移ったんですよね。僕、前の会社にすごく好きな製品があって、買収の常で、買収されたあとに、その製品がディスコンになったんですよ。
西脇:よくありますよね。そうすると?
小島:それで、僕は悔しくて、たぶんそのとき、はじめて人前で泣いたと思うんですけど、飲み屋で泣いたんですよね。
砂金:なるほどね。
西脇:ちょっと誰かつぶやいて、「飲み屋で泣いた」!
小島:いやいや、そこはポイントじゃないんですよ(笑)。そのあとに、同僚が僕に言ってくれたんですけど、「小島、技術と心中するな」と。
西脇:僕も言われたことあります。
小島:「今はいいかもしれないけど、20年30年続かないから。もっと違う価値があるだろう」と。それは、すごく自分のなかで残ったフレーズなんですよね。
西脇:いいこと言いますね。
小島:だから、クラウドにしろ、なににしろ、考え方とかムーブメントはすごく大事なんですけど、特定の技術にスタックすると、長いキャリアで考えると、実はちょっとあれかもしれない。
砂金:タイミングとか、集中ってすごく大事で、お付き合いって技術とか製品とかと向き合ってるのって、刹那的ななにかなんですよね。
西脇:あるね。
砂金:そう思わないと、その瞬間を大事にできない。
西脇:さぁ、そんなキャリアのなかで、マイクロソフトも外資系で、AWSも外資系、Adobeも外資系、Oracleも外資系でした。(砂金氏が)Oracleにいましたけどね。そうなると、最近、私、お2人を見ていて思うんですよね。
「なんで海外行かないのかな、この2人」ってすごく思ったんです。たぶん、これ、聞かれると思うんですよね。
働くなら、海外のほうがいい。○か×か。せーの!
お! その理由を小島さん、教えてくださいよ。
小島:これ、個人的な話ですよ。
西脇:もちろん、個人でも全体でもいい(笑)。
小島:個人的なんですけど、僕のバリューって、たぶん日本のマーケットを知ってることなんですよね。自分のスペシャリティがそこにあると思っているので。
僕の仕事はマーケティングで、マーケティングって市場からスタートするんですよね。それだと海外でイチからいくよりは、会社はどこでもいいんですけど、日本というマーケットでやったほうが、自分はいいんじゃないかな、と。
ただ、テクノロジーの人はぜんぜん違う見方をするんじゃないかなと。
西脇:今日はテクノロジーの方も大変多いんですけれど、そうすると、海外という選択肢も?
小島:海外のほうが、絶対給与も高いし、そのあとのパスもすごく大きいので、本当は行ったほうがいいんですよね。
西脇:選択肢も多いしね。砂金さんは?
砂金:グローバルな環境で働きたいから、海外に行かなきゃいけないというのは、そもそも固定概念で、今、私がいるLINEという会社は、グローバルに製品を提供してサービスをやっているんですけど。
一応、ヘッドクオーターは韓国って話もあるんですけど、日本がヘッドクオーターなんですね。なので、私はグローバル企業で働いて、しかもヘッドクオーターで、いろんな意思決定をできる立場にいて、今までは本社様に常におうかがいを立てなきゃいけなかったところを、自分たちで全部決めて、本当にユーザーにとってなにがいいのかというのを考えられる。
こういう環境は、別に、ソフトウェア会社だから、どうしても西海岸に行かなきゃいけないとか、そういうことではないんですよね。日本で「自分たちが本社だ。自分たちでここからグローバルにサービスを届けたいんだ」って思いがあれば、メーカーさんと組むのが一番簡単ですけど、ぜんぜんやってやれないことはない。
小島:LINEはそうですよね。
砂金:そうそう。
西脇:キャリアアップ、私は日本でもアメリカでもあまり関係ないなと思ってるんですけど、どうせ海外に行くんだったら、おもしろいところへ行ったほうがいいから、イスラエルへ行くとか。
砂金:いいですね。イスラエルだったら行きたい。
西脇:だったら、ちょっとおもしろいかなと思うんですね。要は、チャレンジで。みんな、「アメリカからソフトウェアが来てるよね。じゃあ、アメリカに行こう。マイクロソフトもアメリカだし」みたいな、一般的なITの視点で海外を見るんじゃなくて、「これから」とか、「新しいもの」というと、そういうところを目指してもいいんじゃないかなとすごく思うんですよね。
小島:あとは、実際に働くかどうかは別にして、海外がどうなっているかを絶対に知っておいたほうがいいですね。
砂金:あぁ、それはそうですね。
小島:今の話、出て行かなくていいんだって話じゃないんですよ。外のものさしは絶対知ったほうがいいので、海外に出る、海外の人と話をする、できれば海外のお客さんとかベンダーとコミュニケーションする場は、絶対にあったほうがいいです。
西脇:逆に、今、一番、注目の国はどこですか?
砂金:中国です。
西脇:おぉ、そうなんだ。
砂金:LINEがどこを見てるかというと、WeChatしか見てないですからね。いろんなグローバルな規制があるなかで、中国だけはいろんなことが自由なんですよ。中国国内だけでね。
西脇:なるほど。逆に見ると、規制があってできないように思うけど、実は。
砂金:個人間送金とか、モバイルペイメントがとか、すごく進んでいて。たぶんみなさんも上海とか、あのあたりに行くと、WeChatのアプリがあれば、タクシーも乗れるし、すべての決済がカードで。
小島:基本的に遠慮がないので、いい意味で。
西脇:小島さんは、どこの国?
小島:中国いいですよね。それは、あれだけの人が、もっといい生活とか、もっといいものを求めていて、政府の規制が意外にゆるいんですよね。政治的なことはいろいろ難しいみたいですけど、民が喜ぶことは規制してもしょうがないみたいな。
日本のほうが逆に変で、みんなが喜んでるのに「いやいや、俺はこういうのは認めてない」みたいな。日本のほうがよっぽどダメですね。
西脇:なるほど、たしかにあるね。私も中国に注目はしてるんですけど、中国は西脇的な感覚で言うと、半周回った感があるんですよね。1周はしてないけど、半周は回ったかな。
最近、いろんな人とビジネスの話をしていると、おもしろいなと思うのは、フィリピンとインドネシア。あっちの方なんですよね。
小島:あー、アジアね。
砂金:インドネシアいいですね。
西脇:人口が、2つ合わせると中国に匹敵するくらいドーンとありますし、フィリピンは英語がしゃべれるというのがある。インドネシアは政治的にはちょっと不安ですけど、フィリピンはまだ政治的には安定しているので、すごく新しいことやる、流行らせるっていう意味ではいいかな。LINEだって、最近あっちのほうから。
砂金:そう。実は、インドネシアは、日本並みにシェアが高いので、インドネシアとタイと台湾は日本でLINEを使っているのと同じ感覚くらいで、みなさん普通に使ってる環境ができあがっているんですね。インドネシアは、ポテンシャルとしてはものすごくある国だと思いますね。
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