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シティプロモーションにおけるオープンデータ利活用について(全1記事)

2016.09.13

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オープンデータで自治体サービスは住民目線に変わる 官民協働で取り組む“宝”の利活用 

提供:株式会社リクルート住まいカンパニー

総務省が推奨するオープンデータの利活用。そのなかの事業として期待されているのが“街のイメージ向上”へのデータ活用です。地方公共団体が街の魅力を伝えるためにはどのようなデータを公開し、どのようなかたちでシティプロモーションに活用すればいいのか? リクルートと総務省が共催した街プロモーションをデータから考えるシンポジウム「Machi. Data. Matching.」に、総務省の今川拓郎氏が登壇し、オープンデータの意義と国におけるさまざまな取り組みについて紹介しました。

オープンデータの意義とは?

今川拓郎氏(以下、今川):みなさん、こんにちは。総務省の今川と申します。本日は10分間ですが、今回のプロジェクトに関連する総務省のいろいろな取り組みについてご説明させていただきたいと思います。

今日はこんなかたちで素晴らしい会場(ニコファーレ)で開催していただいて、やはり民間企業のみなさまの企画力、プロモーション力はすばらしいなと思います。我々にはとても真似できないことでありますが、ぜひこういったかたちで民間の活力を使わせていただいて、我々もいろんな施策のPRに取り組みたいと思います。

では、短い間ですけれど、ご紹介させていただきます。まず、オープンデータの意義について。みなさまよくご存知のとおりですので、この意義のところは少し割愛いたしますが、まさに「二次利用可能な利用ルールでデータを公開する」ということでございます。

3つの大きな意義があると思います。1つ目が、国民や企業の方に役に立つ情報が簡単に手に入るようになるということ。

2つ目は、いろいろな方がデータの加工や組み合わせ、よく「マッシュアップ」といいますけれど、そういうことを自由に行うことで新しい事業やサービスが生まれる。

3つ目は、官民協働で一緒に、今日は「共創」と言っていましたね。共創して住民重視の自治体サービスを実現する。このようなことがあると思います。

オープンデータにすることで、実際のサービスは変わると思います。今まで自治体は、市民の方へいろんなサービスを直接提供する局面が多かったと思いますが、オープンデータにすることで、データ公開までは自分たちでする。あとの市民との直接のやりとりの部分は「民」のみなさまのアイデアを活用する。こういったことで、サービスが少し変わってくるんじゃないかと思っております。

日本政府のオープンデータへの取り組み

このオープンデータ、どちらかというと、日本はやや後発のところがあるかもしれません。アメリカなどで先行していまして、日本の政府全体でも平成24年頃に取り組み始め、さまざまな政府の戦略に盛り込んで推進をしてきています。

「日本再興戦略」という戦略にも盛り込んでいますが、ここでもデータカタログサイトを作るんだということで、平成25年にはその試行版を立ち上げて、今、データカタログサイトの本格運用が始まっているところでございます。17,000件ぐらいのデータセットが公開されています。

これがデータカタログサイトですね(DATA.GO.JP)。

アクセスされたことがある人、手を挙げていただけますか?

(会場挙手)

少ないですね。まだあまりそれほど広まってないのかなと思います。実際に自分も使ってみると、今こうやってPRしてるんですけれど、まだまだ使い勝手が悪いし、とりあえず載せているみたいなデータが多いです。本当に使う人のことを考えたデータでは必ずしもないかもしれません。

でも、こういったものがひとつのきっかけになって広まるといいなということで、こんなキャラクター(スライド右側)まで作ってるんですね。このキャラクターは「缶(官)が開く」と、ちょっとシャレが入っていますけれど、官が開く、そういう気持ちでデータを出すと。

それから、行政のデータと民間のデータを組み合わせる。この色が違うのはそういう意味なんですね。2つの色が組み合わさって、データをうまくマッシュアップする。そういうことを祈っているキャラクターでございます。ぜひ、お見知りおきいただければと思います。

自治体によるオープンデータの現状と課題

そして、自治体によるオープンデータの現状ですけれど、200団体を超す自治体がオープンデータを推進されています。例えば、データポータルサイトを作るとか、いろんな取り組みをされております。

今日お集まりの自治体の方、(スライドに)名前がなかったらごめんなさい。千葉市や静岡市、鯖江市など、いろんな先進自治体が取り組みをされております。しかし、課題もあります。

1つ目は、公共施設の場所など、もともと無理なく公開できるもの。個人情報などがまったく関係なく、「もともと公開しているのでどうぞ」みたいなものを扱っているものが多いと思います。

やはりオープンデータの初期は、トイレマップ、AEDマップ、避難所マップ、そんなものがアプリになって「使いやすいですよね」ということで盛り上がったり、ゴミ収集アプリを作ったり。あるいは、もともと出していた統計データを載せて「オープンデータですよ」と言ってたわけです。

トイレ、AED、避難所……これはこれでいいのですが、必ずしも常日頃使うとは限らないし、「あまりお金のにおいがしませんよね」とか、いろんなことがあると思います。これはいい取り組みではありますが、もうちょっと進まないといけないよね、と。

せっかく自治体の方も汗かいて、データを出していただいているんですが、この程度で留まっていないで、もう2汗、3汗かくところまでいかないと、1回出して、そのあと継続しないということにもなりがちです。

2つ目は、イベント的には盛り上がった、と。ハッカソンをやったり、アイデアソンをやったり、アプリの表彰をしたり、ダッシュボードを作ったり。

FixMyStreet」は、「うちの近くの道路が陥没してますよ」とか、そういうものを投稿できる仕組みで、そんなものもやったんですけど、さっき言ったように、お金のにおいがしない、ビジネスにつながらない……。「地域のビジネスとうまくマッチして、こんなにいい事業としてつながったよ。しかも持続してるよ」という事例がとても少ないんじゃないかなと思います。

3つ目は、先進自治体は多いんですけれど、いろいろなやり方でやっていて、公開のデータの種類や項目がまちまちです。使う方からしてみれば、「なんで自治体ごとに違うんだろう?」「こっちの自治体ではこういうデータが出てるのに、こっちの自治体では出ていない」とか、いろんなことがあると思います。こういう部分が、オープンデータの第2期を迎えるまでの課題じゃないかなと思います。

2020年を見据える「オープンデータ2.0」

そして、「オープンデータ2.0」という戦略を「IT戦略本部」が決定しました。

2020年、たぶんこれからはすべてのプロジェクトが2020年をターゲットにやっていくんだと思いますけれど、2020年までを集中取組期間として「一億総活躍」……一億総活躍ってもうなんでもありですけれど、それと「東京オリンピック・パラリンピック」、これを強化分野に設定しています。

また、官のみならず、民間企業さんのオープンデータも一緒にやっていきましょうよ、ということですね。

とくに、これからは具体的なニーズが高いものをオープンデータ化していきたいですし、マイナンバー制度とも紐付けて、法人番号を付記したり、できるだけ使い勝手をよくしていくということです。

それから、防災のような地域をまたぐ共通的な取り組み。防災アプリも、東京だと23区ごとにバラバラに防災アプリを作っていたりして、区をちょっと出ると使えないみたいなケースもあるのですが、そうならないような広域的な取り組みも必要ですし、また地域特性に応じた自主的な取り組み、これもやっていくことになっております。

こういったことも踏まえて、標準化を推進するとか、アドバイスのために専門家を派遣するとか、そんなこともやってまいります。

好循環の創出を目指す2つの取り組み

そして、オープンデータの好循環。スライドに絵が描いてありますけれど、情報政策の担当部局の方がオープン化を依頼すると、原局・原課の方からは「ノウハウあるんですか?」「どういうメリットがあるんですか?」と、そんな質問をぶつけられることが多いと思います。ちょっと渋い顔をしてますよね。

こういった課題を好循環にもっていくために、総務省として微力ではあるんですけれど、2つ取り組みをしたいと思っています。

まずは、先進自治体の横連携を支援する。うまくやっているところのモデルやノウハウをできるだけ共有するということに取り組みたい。

それからもう1つは、先ほど言っていたビジネスにつながるような、明確なメリットのある持続モデルを推進する。自治体にもメリットがあるし、ビジネスにもなる、そういったものを推進したいと思っております。

まず1つ目の横連携支援といたしまして、例えば、営業許可データをオープン化している静岡や福井の取り組みがあります。例えば、こういったものを飲食店サイトに実装していく。ホットペッパーでも対応されているかもしれませんが、そういったものに実装していく。

こんなことが取り組みとして始まっています。専門のノウハウをできるだけほかの自治体にも見せていく。

いろんな方のコンセンサスを得て、標準化するのには時間がかかります。うまくいってるところ、先進自治体からデファクト化をどんどんやってしまおうということでございます。

総務省では、オープンデータの推進団体、これは「VLED」と言いますけれど、そのVLEDを通じて全国の取り組みを進めていくということもやっております。

こちらには自治体会員として60団体近くが参加されています。この参加されている先進自治体の横連携を支援していくことをまさに取り組みとして進めたいと思っております。

持続的なオープン化モデルを推進

それから2点目、ビジネス連携支援。先ほども申し上げましたが、自治体にとってメリットのあるデータを出していただいて、それをやはりビジネスにつなげていく。できるだけローカルビジネスにつなげていって、持続的にやっていくことが必要だと思っています。

その1つが、今日もここにございます、都市の魅力を向上するためのプロジェクト。SUUMOさんのような不動産サイトと連携して、自治体さんがデータをオープンにすれば、そこに載っかるよと。

そこに載って、いろんな方に実際に使っていただいて、その反応もある。そしてフィードバックを得て、またさらにオープンにしていく。そういうものをやっていきたいと思っています。

もう1つは、自治体の方の関心がとても高い、観光データ。こちらをクラウドで集約して、自動で自分だけのルートガイドを作る機能があるものを、総務省の開発成果として、今、横展開を始めております。

こういったものを既存サイトに実装することで、インバウンドの取り込みが非常にやりやすくなる。こんなものも進めていきたいと思っています。

とくにビジネス連携という意味では、この不動産サイト、それから観光データ。この2つを取り組みたいと思っております。

オープンデータでシティプロモーション

この都市の魅力向上ですけれど、ここにございます3つのプレイヤー、国と自治体と民間企業さん。今回はとくにリクルートさんのご協力をいただいてやっていきます。

まさにこの「企画力」が民間企業さんのお得意とするところです。企画編集力、場作り力、ビジネスセンス、こういったものが我々の不得手なところでございますので、プロのご協力をいただきつつ、自治体さんにはぜひデータを提供いただいて、都心に負けないような地域の暮らしの魅力をアピールしたいということです。

そこを我々、国ができるだけ方向性をお示ししたり、コーディネートしたりということで貢献しながら、オープンデータとシティプロモーションを掛けあわせたプロジェクトとして進めていきたいと思っています。

我々は「都市の魅力向上プロジェクト」と呼んでいたんですが、今日「Machi. Data. Matching.」とか「Growth Luck project」、そういったプロジェクト名でやっていただけるということなので、我々もその名前でバックアップをしていきたいと思っております。

三方一両得のプロジェクトとして、総務省も全面的に後押しさせていただきたいと思います。これがキックオフイベントということですので、来年3月に向けて強力な推進体制を心がけていきたいと思っております。

少し長くなってしまいましたが、以上でございます。ありがとうございました。

(会場拍手)

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