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日本・FinTech大国化宣言(全3記事)

2016.08.18

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時計の針を進めるのは“泥臭い努力” 「FinTech大国」を目指すために必要なこと 

提供:新経済連盟

日本の未来について国内外のゲストを迎え語り合う「新経済サミット2016」にて開催されたセッション「日本・FinTech大国化宣言」。国内のFinTech関連事業のトップランナーたちが集結し、これからのお金の流れや決済はどう変わっていくのか? 熱いトークを展開しました。本パートでは、どんなタイミングで業界が変革するのかということや、FinTech業界で現在ボトルネックになっていることについて、意見が交わされました。

どんなタイミングで業界が動くのか

小澤博史氏(以下、小澤):辻さん、ありがとうございます。では、ここからはみなさんでディスカッション形式で進めていければと思います。はじめにいくつか私から、みなさんのサービスとかやっておられることについてご質問させていただきます。あとは、お互いのなかでも質問があると思うので、そんな感じでいければと思います。

今、みなさん、いろんなきっかけがあって、サービスを作ったというお話をそれぞれいただきました。その始めたタイミングに、何があったのかというところをお聞きできればと思うんです。

テクノロジーの進化があったのか。それともbehavior(態度・ふるまい)が変わってきたのか。そういうところのバックグラウンドを少しご説明いただきたいと思ってます。

というのは、FinTechがこれからどういう方向に向かうのかというところで、何が整ってくればどうなるのかについて少しディスカッションできればと思いまして。何があったから始めたという点で、コメントがあれば。では、小林さん、お願いします。

小林重信氏(以下、小林):スマートペイを始めたのって2012年ぐらいだったと思うんですけれど。なぜかというと、そのタイミングでスマートフォンを企業の方が持つことがすごく増えていて。

コンシューマーとしてゲームをしたり、メールを見たりというのは普及したんだけれど、今度は業務用として使う時代がようやく来るんじゃないかということ。スマートフォンの普及が1つ、突破したというのがキーですね。

小澤:ほかにどうですか? 北澤さん。

北澤直氏(以下、北澤):よく“FinTech”と呼ばれていますが、Financeの分野って非常に高度なテクノロジーを前から使っていたと思うんですね。なので、情報技術の進歩というのがどこなのかというと、今おっしゃったように、スマートフォンであったり、一般のユーザーの方々にどれだけ高度な技術を届けられるかという、その核心的なところが最近起きたのではないでしょうか。

弊社もファウンダーの谷家(衛)は7年前からロボアドバイザーというのをやりたいと思っていたんですけれど、当時はやっぱり一般の方々がまだスマホなどを持っていないかもしれない。情報端末として簡単に使うことができないかもしれないという状況だった。

あとは、例えばETFという金融商品も、これがないと、なかなか少額で資産運用ができなかったりもするんですけれど。そういうものがどんどん発達していったり。

また、一任運用という考え方自体も、アメリカでは年々20パーセントぐらい数が増えてるんですね。これってなぜかというと、やっぱりコストがどんどん下がってきている。それはどんどん新しいサービスが出てきていて、コストが適正化されている。

そういった環境下において、ようやく我々としても、日本でロボアドバイザーというものを展開できる土壌が整ったなと。それで、1、2年前から開始した。そんなタイミングになりますね。

freee佐々木氏の創業のきっかけ

小澤:佐々木さん、何かありましたか?

佐々木大輔氏(以下、佐々木):僕はあまり考えたというようなストーリーはないんですけれど。実は10年ぐらい前に僕はベンチャー企業のCFOをやってたことがあって。その時に自分のチームの給料担当の人間がひたすら入力をしているんですね。

なぜそうなるのかというと、例えば請求書を受け取ったタイミングで、それをいつ支払わなきゃいけないということをエクセルに書いて。支払ったらキャッシュの残高がいくらになるのかというシミュレーションをエクセルに書いて。会計ソフトに記録して。

オンラインバンキングに同じ情報を登録して、支払いをすると。それで、さらに支払った事実を記録する、うんぬんぬん……という、いろんな入力のステップがあって。これってすごくめんどくさいなと。

結局それの何がガンかというと、会計ソフトなんだということに、その時に気づいていたんですけれど、当時は自分で会計ソフトを作るなんていう発想にはならなくて。

そのあとGoogleに入って、中小企業向けのマーケティングをやるようになったんです。オンライン広告を中小企業に広めていくという仕事を日本とアジア・パシフィックの地域で僕はやっていたんですけれど。

やっているうちに、広告を中小企業に勧める前に、中小企業の経営の根幹がそもそもオンライン化してテクノロジー化されていかないと、まだ広告という次元に達してないんじゃないかということを思うようになったんです。

そこでふと立ち返って、「そういえば、会計ソフトって新しいのできたのかな」というのを調べてみた。たまたまそれを調べてみたのが4年前で。そうすると「まだこんなこともできてないのか」というところに、ある種怒りみたいなものを覚えて、思わずプログラミングを始めてしまった、というようなことが私たちの一番最初のストーリーになります。

現状に即したルールをどう作っていくのか

小澤:ありがとうございます。お二人は何かありますか? もしなければ、次にいきますが(笑)。

今、タイミング的にはそういうことだと思うんですけど。じゃあ、これから先にもっと普及させたり、成長させていくにあたって、今みなさんいろんな方法でやっておられると思います。

何かしら、今ボトルネックがあるとか、こういうところがもう少し変われば普及が進んでいくとか、環境ももっと変わるんじゃないかとか。そういう観点ではいかがでしょうか?

辻庸介氏(以下、辻):1つは、一番に僕たちみたいなサービスを提供する人の実力というか、本当にいいものを作れるかどうかというところがあると思うんですけれど。それは自分たちでやるとして。

もちろんよく言われるのが、シリコンバレーとかグローバルと比べて100倍ぐらい資金調達が違いますね、とか。あと外部環境が違いますね、とか。そういう声はいろいろあると思うんです。

ですが、基本的にはスマートフォン、クラウド化、人工知能みたいな、そういう流れで、データがどんどんクラウド化していくなかで、金融サービスが新たに変わっていくという流れは必ず起こると思っています。

そういう意味で、基本的に金融業界ってユーザーさんがいらっしゃって、縦割りで銀行とか証券とか保険とかがあると思うんですけど、基本的にインターネットのビジネスって横レイヤーになっていくので。

その横レイヤーになっていくところと今の業法をどういうふうに、セキュリティとかそういうのを担保しながら、業法を変えていくのかみたいなところ。法律はもちろん今の流れがない時に作られてるので、今の流れを理解したうえで、ユーザーのセキュリティとか、お金のことなのでミスは許されないので、そういうものを担保しながらどう作っていくのかということは、けっこう日本全体でちゃんとやっていかないといけないですよね。

後手後手になっちゃうと、またプラットフォーム取られるみたいなことになるので、そこはけっこう大事かなとは思います。

ボトルネックになっているのは法律や人々の感情

小澤:佐藤さん、お願いします。

佐藤航陽氏(以下、佐藤):私はこのFinTechの領域って通常のインターネットの領域とはちょっと違うと思っています。通常って、デバイスの普及とテクノロジーが追いつかない、それがボトルネックになってなかなか立ち上がらないということがあると思うんですね。

特にVRとかってそうで。まだデバイスが普及してない、と。なので、そこを待ってるという方々が多いと思うんですけれど。

FinTechの領域って、テクノロジーももう十分にあって、スマホも国民のほとんどが持っている。一方で、法律とか、あと人々の感情ですよね。そこが追いついてないという、けっこう不思議な領域だなとは思ってます。

スマートフォンで送金をするとか、資産運用するという、そのカルチャーそのもの。それを形成するのにけっこう時間がかかりそうだなというのと、やっぱり政府とか国との関係性というんですかね。そのなかで今の規制をどう緩めていくか。では、どこを外しちゃいけないのかという、そのビジネス以外の領域。そこのボトルネックというものがものすごく大きいなと思ってます。

小澤:佐々木さん、お願いします。

佐々木:ベースラインとして、私がすごく大きなボトルネックだなと思ってるところとして、スモールビジネスって中小企業という観点から見ますけれども、日本の中小企業でオンラインバンキングを利用している割合というのは実は23パーセントにすぎないんですね。

これはすごく驚くべきことだと思うんですけれど、ビジネス人の4人に3人は、銀行の支店に行って振り込みをするとか、そういうことを今でもやっているわけなんですよね。

これってやっぱりすごく大きな非効率で。中小企業の労働生産性が大企業の半分以下であるというのは、こういうところに象徴されるのかなと思っています。

では、何がそれを解くには大事かというと、例えば「中小企業のおじさん、おばさんだったら、オンラインバンキングなんか使えないよね」という決めつけの姿勢が一番いけないと思ってるんです。

例えば、先ほど紹介した北國銀行さんの事例でいうと、まず、振り込みに店舗に来た高齢の方にも「いや、もうこれパソコンでやってください」と。「パソコンぐらいあるでしょう?」ということを、銀行側から言っていったりして。さらに「わからないときはお手伝いします」と言って、設定のお手伝いまでしてたりするんですよね。

そうすると、実はできるようになって。銀行のサービスを利用するために、パソコン使うようになって、業務がすべてオンライン化していくという。

こういった流れを作ることは、実はできるんだけれども、「やっぱりあの人たちは難しいよね」と言って、取り組んできていない。こういったところが大きな問題じゃないかなと思ってます。

導入してもらうために必要な泥臭い努力

小林:今の佐々木さんの話で思い出したんですけど、私たちがサービスを始めた時、僕は「2年ぐらい早いかな」って正直思っていて。まず業務用にスマホを使うということ自体が想像できないというのと、そのなかでも特にコアになる決済とか会計とかにまつわる情報をそこに入れてしまうということが、またさらに1年ぐらい早いなかで。

我々、2年ぐらい時計の針を早めるために何をやったかというと、それこそお店にiPadを一緒に買いに行って、ヤマダ電機でiPad何枚も買いましたけど、AppleIDを一緒に設定して、実際できるようになるというところまでやったんです。

そういうお店の方にとってはやはりすごく敷居があるので、それを下げるためのわりと泥臭い努力というものが今、求められているような気がします。

1997年に楽天市場ができた時も、お店と一緒にPCを買いに行って、ソフマップで買ってきてセットップしたみたいな、そんな話も聞いています。やはり何かを新しく早めるためには、けっこう泥臭いサポートとかが、意外と重要なんじゃないかと思ってます。

北澤:私たちのサービスはいわゆる規制業種のど真ん中であるということと、あとはそもそもあった資産運用ビジネスというビジネスモデルを少し変えていこうというところなので、ちょっと特異な点があると思うので、その観点からコメントさせていただくと。

まず1点目は既存のビジネスモデルを少し変えなければならないという時に、これってやっぱりスタートアップとか、いわゆる利益相反とかがない独立的な考えで新しい価値観を打ち出すような、そういったプレイヤーがどんどん必要になってくるんじゃないかなと思っています。

大手の金融機関、素晴らしいサービスを提供しているんですけれども、まずステータスフロー。今あるアセットプラットフォームをちゃんと回していかなければいけないというところから始めなければいけないので。

「新しく何かやってみよう」といってもなかなか始めづらいという時に、やはり新規参入というのが1つ、このFinTechの成長にも重要なのかなと思っています。

そのなかでやはり規制業種であるということ。いわゆる規制業種だからこそ、参入障壁が高いなんていうことは、ダボス会議とかアメリカの金融機関のCEOなんかもコメントしているところですけれども、必ずしもそうであってはいけないんじゃないかなと思っています。

辻さんもおっしゃった業法のところ。これは、さはさりながら、日本では政治の方々や金融庁、経産省、そういった方々もこの問題意識を今、認識しているところですよね。

やはり日本全体の金融サービスの課題として、FinTechのようなものをどんどん成長させなければいけない。これはもう大国にしなければいけないというなかでは、やっぱりスタートアップ企業のみならず、既存の金融機関、あとは政治家、官僚、いろんなところで一体となってやらないといけないんじゃないかなと。

私が今、見る限りでは、この1年ぐらいで、そのあたりの動きはどんどん早く加速しているんじゃないかなと、すごくいい動きになってるんじゃないかなとは思っています。

セキュリティへの懸念はどう払拭するか

小澤:ありがとうございます。まさに今みなさんがおっしゃられたようなことが、FinTechの普及を後押ししていくということはあると思うんですけど。

一方で、いろんなものがテクノロジー化していくということになると、そこに対しての、先ほど辻さんから少し話がありましたけれど、セキュリティに対しての危機感というか。

いろんな情報が出ていったりというところで、セキュリティに対して、エンドユーザーのみなさんも含めて、カスタマーのみなさん、そういう懸念は少なからずあるんじゃないかなと思います。

みなさん、どういう対応をされてるとか、そのへんについてのお考えはいかがでしょうか? 当然もういろんなことやるということなんでしょうけど。取り組みとか、そういったところでコメントなどあれば。

小林:僕のやってるビジネスでいうと、クレジットカードを使うので、やはりインターネット越しに番号を送るというのが非常に危ないという話がある。やはりその敷居を下げるためにこういったかたちで、ピンを打つICカードに対応した、より偽造が難しい読み取りのデバイスを導入したり。

正直いうと、わりと新しいサービスなので、こういう手間が1ステップかかることは避けがちなんですけれど。そこはトレードオフと考えないで、いろんな技術を使えば、安全性を高めつつ、かつ、その利便性を高めることはできると思うので。そこは妥協しないで工夫してやってますね。

リスクコントロールをしながらテクノロジーを活かす

小澤:辻さんはまさにPFMをやってらっしゃるので、エンドユーザーのみなさんと対峙されてると思うんですけれど、いかがでしょうか?

:やはりエンドユーザーの方から、セキュリティの不安ということについて一番多く聞かれるのは事実です。

我々、もともと金融機関出身者が多いので、やるべきことをしっかりやるだけと言えば、そうなんですけど。セキュリティ部門について、経営資源を一番ちゃんと投下するというのがFinTechのビジネスでかなり大事なポイントだということ。

あとはいろんなFinTechのサービスが出てくるなかで、銀行だと銀行法ということでちゃんと金融庁からあるわけです。FinTech企業も、レベル感があるとは思うんですけれど、ある程度のセキュリティを「これ守りましょう」と、そういうルール作りは必要だと思います。

ただ基本的に、馬に乗ってた人が車に乗るようになって、車の事故が多いから車に乗らなくなるということはないので。いかにユーザーさんのリスクをきっちりコントロールしながら、新しいテクノロジーを活かしていくか。

ユーザーの生活とか、会社にお金を回すとか、まさに安倍さんがおっしゃってる第3の矢、経済成長をどうやって作っていくかということが、すごい大事なんじゃないかなとは思います。

スタートアップにチャンスな環境

小澤:佐々木さん。

佐々木:もちろん私どもも企業の財務データを預かるというところでは、セキュリティ専門のエンジニアを数名置いて事業を展開するということをやるんですけれども。

最近すごく、これが世の中にとってチャンスなんじゃないかなと思うのは、金融機関レベルのセキュリティを実現しようとした時に、例えばAmazonのサーバーとかを使うことによって、今までだったらデータセンターを使わないと堅牢なシステムなんか作れなかったよね、金融サービスを提供するのに耐えるシステムなんか作れなかったよねというところが、非常に低価格化してるんですよね。

ここにスタートアップのチャンスがあって。どんどん新しい人が挑戦できる環境になってきてるんじゃないかなというのが1つ。

もう1つは、オンライン化してクラウドでつないでいくということに対する、ベネフィットにも注目していくことがすごく重要で。

例えば、ヨーロッパなんかにいくと、今ではすべての銀行で、他社がAPIで振り込みサービスを開発して、銀行のネットワークを通って送金する仕組みができています。それを誰でも開発できるようになっているんですよね。

こういった社会にすることによって、社会全体のコストが下がるし、経済の活性化につながっていくということになるので。こういったものにぜひ、今後日本でも取り組んでいくといいのではないかなと思ってます。

既存の金融機関との関係性は

小澤:ありがとうございます。ここからはもう少し大きなテーマといいますか、FinTechの将来像というか日本の中でFinTechがどこに向かっていくのかについて、みなさんのお考えやご意見をおうかがいできればと思います。

まずはじめに、既存の金融機関、銀行のみなさんへの影響。どういうふうに付き合いをされていくのか。それこそ、佐々木さんのところとか、辻さんのところとか、いろいろご一緒にやられてると思うんですけれど。

そういう方々への影響・付き合い方、はたまたつながりみたいなものはどういうかたちで出て行くのか。おそらく今日オーディエンスのなかには、金融機関のみなさんもいらっしゃると思いますが、そういったところのお考えなどをお聞きできればと思います。辻さん、お願いします。

:我々、金融機関様とかなりいろんな新しいサービスを作らせてもらっているんですけれど。テクノロジーとかものづくりに関して、我々社員が160人ぐらいいますけれど、半分ぐらいがエンジニア、クリエイターなので、比較的物を作るのが得意です。

一方で、スタートアップで、バランスシートが大きいビジネスはなかなかできないので。バランスシートの大きいビジネスであるとか、そういうところはやはり金融機関様とご一緒に、新しい与信モデルとか、個人向けの貸付であるとか、資産運用であるとか、そういったものはご一緒に作れるんじゃないかなと思います。

だいたいFinTechってディスラプターとかそういうことを言われるんですけれど。たしかにディスラプトするモデルと協業するモデルと、いろんな重なりが出てくると思うので、最後は結局ユーザーさんが決められると思うんです。

例えば、地銀さんですと、店舗に行く人がすごく減ってきてます。それをどうサービスでカバーしていきましょうか、とか。そういうところはいろいろご一緒できるんじゃないかと思っています。

あとは金融機関、佐々木さんからAPIの話がありましたけど、やっぱりAPI化というのはけっこう大事じゃないかなと思っています。FacebookとかTwitterとか、自分のAPIを出すことによってプラットフォーム化してるので。金融機関さんがプラットフォーム化するチャンスでもあるんじゃないかなと。

そのうえでトランザクションが増えていく仕組みになっていけば、ユーザーは便利になっていくんじゃなかろうかとは思います。

金融機関と事業会社の線引きはなくなっていく

小澤:佐藤さん、お願いします。

佐藤:私は金融機関と事業会社の線引き・境界線というのは中長期的にはなくなっていくのかなと思ってます。

例えば、セブン銀行とか、あとはじぶん銀行みたいな、auですよね、ああいう事業会社が金融の領域、銀行の領域というのを取り込んでいくということは積極的に行われていくし。逆にちょっと規制緩和が行われれば、銀行が事業会社を下にぶら下げるということも可能になっていくと思うので。

言ってみれば、電気を使わない会社、今でいうとインターネットを使わない会社がほとんどなくなってきたのと同じように、FinTech・金融を自分たちのグループに入れないという選択肢が、10年、20年だとなくなっていくのではないかと。

つまり、誰もが取り込まなきゃいけなくなってくるというのが、ここ10年、20年で行われていくことなのかなとは思ってます。なので、金融機関という枠組みそのものも短期的なものであって。長期的には自分たちも金融の力というのを入れていくと。

一方で、おっしゃったように、バランスシートの大きいものというのはできなかったりするので、そこは既存の企業様にお任せしてというような役割分担を短期的にはしていく必要があるなとは思ってます。

小澤:北澤さん、お願いします。

北澤:佐藤さんがおっしゃるとおり、全体を取り巻く動きになってくると、我々も思っています。そういった意味では、やはり例えばロボアドバイザーなんかも、我々みたいに「Webサービスで完結にやる、以上」ではなくて、実はこれがいろんなレイヤーで活用できて。

だからこそ我々が作ったもの、これのいいとこ取りを、例えば既存の金融機関の方とか事業会社の方に活用いただいて、Win-Winの関係を作ろうみたいなことが、我々としても次の成長戦略の1つと考えています。

今までもネット証券であったり、あと辻さんのところであったり、あとは昨日発表させていただいたのは、だいこう証券ビジネス、いわゆる地方の金融機関とかのバックオフィスとか証券システムを提供するような会社と提携をしたりして。

そこに、我々のサービスを乗せて、お金を金融機関に使っていただく。そういったビジネス展開ということが、今後我々が考えているところなので。我々、独自でやっていく、それで世界を変えていく、というわけではなくて。

本当に業界とか、既存の金融機関とスタートアップとか、事業会社と金融機関という、そういった枠はどんどんなくなってきて。いいとこ取りをしながら、このFinTechというものを社会全体が取り込んでいくという流れが、次の世界なんじゃないかなと考えています。

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