2024.10.01
自社の社内情報を未来の“ゴミ”にしないための備え 「情報量が多すぎる」時代がもたらす課題とは?
提供:株式会社リクルートキャリア
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倉科賢氏(以下、倉科):ワークスアプリケーションズの倉科と申します。「日本の未来を創るベンチャー」ということで、我々ワークスグループはベンチャーという言葉の認識からすると、人数規模という点ではけっこう大きくなってきた会社ではありますが、ちょっとお二方にご協力をいただいて、少しお話しができればと思っております。
簡単な自己紹介だけさせていただきます。私は1980年生まれで、地元は名古屋。新卒時の就職活動では、大きい声では言えないんですけれども、ブラック企業ランキングの上位3社を受けて、見事殿堂入りしている会社に入社を決めたという人間であります。
「ブラック」というと、みなさんも嫌なイメージがあるかもしれません。しかし、上がどんどん辞めていってくれて、下がどんどん入ってくる会社だったら、さっさとマネジメントをさせてもらえるだろうと考えて、僕の計算では5年在籍すれば会社の真ん中にいけるような会社だったので、入社を決めました。
その会社は最終的には潰れてしまいましたけれども、潰れることが決まったときにも、「潰れるまでいたほうが自分のキャリアにとって箔がつくだろう」と思って、最後の最後の日まで仕事をしてたら、すぐに転職が決まって、今はワークスアプリケーションズで採用をさせていただいております。
ワークスでは2008年から8年ほど働いて、今は優秀な人材を集めて会社を世界規模で大きくしていくのがメインミッションとなります。よろしくお願いいたします。
ワークスアプリケーションズがどういう会社なのかを例えば一言であらわすと、「日本を○○する」会社。
答えから言ってしまうと、「日本を週休3日にしてしまおうじゃないか」ということを考えています。週休3日だとして、もうひとつ何曜日が休みになるかはわかりませんけれども。
我々は、世界の働き方を変えることができる会社です。今みなさんがやっている仕事、世の中の仕事の8〜9割は、誰かの仕事の繰り返しだと言われています。その中でも、とくに入力や調整作業が圧倒的に多いわけですが、こういった無駄な繰り返し業務を減らしていくことによって、仕事のやり方が変わっていくだろうと。
無駄な作業を減らしていって、休みが増えるというのもいいかもしれません。
しかし、もっとやりたいのは、その空いた時間で、働き方そのものを変えていく。そのイメージが次のスライドです。
今のみなさんの仕事は、おそらく、基本的には(スライドのグレーの部分)繰り返しの調整作業になっているわけです。新製品の考案や企画ミーティングなど、みなさんの価値が出せる仕事は時々できていればいいほうかな……というのが現状です。
それを我々の技術力で、この繰り返し(の作業)を全部ITに置き換えることができれば、「空いた時間は?」というと、みなさんの仕事として(スライドの)この青い部分「想像力を必要とする、生み出す仕事」になるわけですね。
入力作業や調整作業というのは、結局手段であって、その先にはなにか「生み出していく」というプロセスがあるはずです。みなさんが行うのは繰り返しの仕事ではなくて、創造性のある仕事になるために、こういったコンセプトで仕事のあり方そのものを変えていく。そんな人工知能(AI)を搭載した新しいアプリケーション「HUE」を作っております。
個人的には、例えば、営業担当が自分のスケジューラーにお客さんとのアポイントを登録したとすると、(これまでの)いろいろなビジネスパーソンの知見をAIが学習していて、「何時間前に会社を出たほうがいいですよね」「お客様先までの経路はこの電車を使って行きますよね」などといったサジェストをしてくれる。
そして、実際に電車乗ってみたらトラブルで止まりましたと。電車が止まっちゃったら、タクシーに変えるじゃないですか? タクシーを降りて、領収書をさくっと写真にとって取り込んでおくだけで、あとは画像を読み込んで処理してくれている。営業先に行って戻ってきたら、「交通費精算書ができあがっていますが、最終確認されますか?」と。さらには、営業日報までつくってくれればすごいですよね。こういうことを目指しているの「HUE」なんです。
そうなれば、営業のみなさんが「売る」ということ以外に取られている作業が消えて、自分の本来の仕事に注力できるようになっていくはずなんですね。
そういった、一つひとつの仕事を変えるということを、全社をあげてやっているのがうちの会社です。
一言でいうならば、“働く”をもっとワクワクするものに変えていこうと。ということで、今日、この“働く”という既存概念をディスラプトするんだというお話をさせてもらおうと思っています。よろしくお願いいたします。
(会場拍手)
倉科:では、端羽さんから順番に自己紹介をお願いします。
端羽英子氏(以下、端羽):株式会社ビザスクの端羽です。よろしくお願いします。
簡単に自己紹介をしますと、2012年に起業するまではずっと金融畑でおりました。最初に、ゴールドマン・サックスのIBDにいて、IPOやM&Aを支援したり、アメリカの公認会計士の資格を取って、(日本)ロレアルでも予算を作ったり、予実管理をしたり。
それからMITのスローンでMBAを取得しまして、ユニゾン・キャピタルというファンドで5年間、例えば会社をまるっと買って、会社を良くして、まるっと売却するという。すごく悪く言うと、よく「ハゲタカ」と呼ばれがちなファンドの仕事をしておりました。
ずっと金系できたんですけれども、ある日突然、2012年に「これから先、私がマッチングしたいのはお金じゃないんだ」「お金がたくさんあっても、イノベーションってなかなか起きないじゃないか」「なにがマッチングされていないかって、一番マッチングされていないのは人の知識なんじゃないかな?」と思って、立ち上げた会社がビザスクになります。
ビザスクというのは何かといいますと、今、約15,000名ぐらいが登録している知見活用のプラットフォームです。
例えば、会社さんが新規事業だったり業務改善だったり、いろんなことに迷うときに、この15,000名の方々が1時間でコンサルティングを提供するというプラットフォームになっています。
ちょっとポイントがありまして、この15,000名のうちの7割ぐらいの方が、現職のサラリーマンや役員の方だったりして、そういった方々が、Webマッチングであれば、1時間ミニマム5,000円から。平均でいうと、1時間15,000円ぐらい。
大企業が好きなフルサポート型になると、1時間50,000円から。単価をチャージさせていただくのは実際にスポットコンサルティングを行うことが確定してからです。
こういった弁護士のタイムチャージに近いような価格で、普通のサラリーマンの方が隙間時間を使って、自身の知見を提供します。こういったマッチングのプラットフォームを提供しています。
私たちの会社の状況なんですけど、シリーズAを調達した直後のスタートアップという感じです。今はフルタイムのメンバーが18人、リモートメンバーも入れると約30名。リモートメンバーはタンザニアに1名、香港に1名、ヒューストンに1名、与論島に1名。そういった感じで、いろんなところで働いているメンバーも合わせると30名ぐらいのチームです。
私たちのビジョンなんですけど、「世界中の知見をつなぐ」こと。1、2割はすでに海外のクライアントでして、日本と海外を繋いだり、海外の人が日本の知見を聞きたかったりといったかたちなので、「最初から世界見ちゃおうぜ」と。そんな感じのスタートアップになってます。よろしくお願いします。
(会場拍手)
倉科:続いて平田さん、お願いします。
平田祐介氏(以下、平田):こんにちは。Reproの平田と申します。我々は、モバイルアプリの課題の発見から解決の方法までをワンストップで提供する、Reproというスマートフォンのモバイル向けの解析とマーケティングツールを提供している会社になります。
簡単に自己紹介なんですけれども、今35歳で、経営コンサルタントをやっていました。実は3回目の起業で、過去に2回失敗しております。3回目にようやくうまくいき始めて、先日シリーズBの調達も済みました。今年はアメリカに拠点を作って、「アメリカを攻めにいくぞ」というようなフェーズになってます。
うちはすごくダイバーシティを大事にしています。今、日本人だけじゃなくて、シンガポール人、フランス人、アメリカ人、日本人(男性)。日本人の女性だけいないので、そろそろいい方いらっしゃらないかなと本気で思っております。
サービスでどんなことをやってるかというと、大きな機能を3つ提供しております。ユーザーがアプリをどう使っているのかというのを定量的に分析できる機能や、ユーザーがアプリでどう迷ってるのかを動画で分析できる定性分析機能、マーケティング機能などを提供しています。
グローバルの競合……今、世界18ヶ国で1,600ぐらいのアプリを使っていただいているんですけれども、アメリカのマーケティングツールより優れているポイントが、(スライドの)矢印が出ているところです。
ユーザーの行動データから1クリックで、「こういう傾向にある人は、どういう使い方をしてるんだっけ?」といって左側(の定性分析)に流れたり。買い物しそうで買い物しなかった人だけをターゲティングしてプッシュ通知を送ったりとか。そういったところが非常に優れているポイントです。
具体的にどういうことかというと、これは定量的な画面の分析になってるんですけれども。(スライドをみて)例えば、ここの部分が「カートに物を入れて決済しなかった人」の層になるんですね。
Reproでなにができるかというと、ここの部分をクリックしていただくと、3つのボタンが出てきて、どういうボタンが出てくるかというと、「ここで離脱した人は、どういう離脱の仕方をしたんだっけ?」という動画の分析にすぐ入れたり。真ん中でいうと、その人たちだけをターゲティングしてクーポンを配布したり。
アプリ内メッセージというのは、リアルタイムにキャンペーンを生成できる機能があって、定量的な分析をしながら、CRM的な活動もできるし、改善にもすぐつなげられるというところが、世界でも評価されてるポイントになっています。そんなサービスを作っています。今日はよろしくお願いします。
(会場拍手)
倉科:今日のテーマに立ち戻りますと、ディスラプター(disrupter)。直訳すると、「破壊」というような意味合いの強い言葉ではあります。最近ちょっと流行り言葉的に使われるようにもなってきました。
既存の業界をぶち壊して、新たな価値観を打ち立てていく。過去の言い方だと、いわゆるイノベーター、イノベーション型の企業がこういう「ディスラプター」という呼ばれ方をしてきています。「創造的破壊者」もしくは「破壊的創造者」みたいに言ったりもしますね。
今日はこういった新しい価値観を作っていく人たちが目指す世界というのを、お話をしていければなと思っています。
では、さっそくディスカッションということで、1つ目のテーマがこちらです。
「事業を通じてどんな世界を実現していきたいと考えていますか? 何をぶち壊して(ディスラプト)していきたいと思っていますか?」というようなことが、今日の議題です。最初のテーマなので、僕から温めておきますので、続いていただければと思います。
さて、先ほどもお話したように、ワークスアプリケーションズは、今の仕事のあり方やつまらないものをぶち壊していこうと考えています。人々の仕事をもっと創造的な仕事に変えていくんだと。
これは、ビル・ゲイツ氏もそうですが、ITが進んでいけばいくほど、10年後、20年後には、繰り返しの仕事はどんどん機械に置き換わっていくだろうと言われています。
みなさん一人ひとりの「仕事がなくなっていく」と、マイナスに捉えてしまうとおもしろくないけれども、自分自身の価値が仕事になる時代に変わっていくんだ、というのを作りたいんですね。
個人的には、ゲームよりも仕事が楽しくなったら、こんなにいいことはないだろうなと思っています。ゲームは徹夜でできるんだけど、給料は上がらないじゃないですか。だけど、仕事を徹夜でやって、それがめちゃくちゃ楽しくて、給料も上がったりする。
「死ぬほど働け」ということじゃなくて、「死ぬほどおもしろい仕事になれば、こんなにいい世の中ないのにな」と思っているので、そういう価値観に変えていこうとしているのが、今ワークスがメッセージとして発信しているところです。お二方はいかかでしょうか?
端羽:私たちは、「今の仕事に役立つ副業の機会」ということを言っています。日本では副業がすごくタブー視されてるところがあると思うんですけれども。でも、18時に帰って、そのあとはなにをしてもいいじゃないかと。
今の仕事の強みを組織の外でも活かして、「あれ? 俺ってけっこうイケるじゃん」って気づいて、また明日の仕事が楽しくなるみたいな。そういう今の仕事に役立つ副業の機会だったり、退職したおじいちゃんが1時間とか2時間とか働いて、「俺まだまだイケてるじゃん」みたいなことを思ったり。
みんなが90歳までお金を稼げるような世界というのが、私の思ってる世界なんですけれども。そのときに、フルタイムだけだったら、やっぱりマッチングできないこともあるよねって。自分が言われた仕事だけをやってたら、できないこともあるよねって。なので、いつかみんなが90歳まで働ける社会になるために、今の仕事の力が増せるような副業の機会を作っていきたいなと思ってます。
平田:質問いいですか? 実際にご自身も副業をやられたりするんですか?
端羽:やってますね。やってますというか、私に依頼が来ることもあって。昨日、会社のオフィシャルイベントで、みんなで飲みに行ったんですけど。その直前に、私がビザスクでいくら稼いでいるかをうちのメンバーがチェックしていて。「そうか、しょうがないよね」と言って、「たまには私が出すよ」みたいな感じですね。
平田:今度僕もやらせていただきたいですけれども、それで怒られたりとかは?
端羽:ぜんぜん。「しょうがないよね〜。今、給料低いものね」と言って。
倉科:そういうのって、自分自身のキャリアを掲載するんですかね?
端羽:そうですね。「経験カード」って呼んでいるんですけれども、経験を登録していただいて、アピールが上手だったら依頼がくるみたいな感じですね(笑)。
倉科:それは各人に任せられてるんですね。
端羽:わりと。言っていただければ、コツを伝授します。
倉科:確かに組織の中で働いてると、自分が持ってるスキルが世の中でどれぐらい売れるのかというのもわからなかったりするので。そういう意味では、テストマーケティングとして、市場価値を確かめるというのはすごくいいですよね。
端羽:例えば、わかりやすいので言うと、うちのエンジニアたちに自分の経験を登録してもらうと、すごく難しいこと書くんですよね。そういうのに依頼は来なくて、単純に、「企業・ビジネスの立ち上げについて、エンジニアの立場から相談に乗ります」とやると依頼が来るわけですよ。
倉科:なるほど。
端羽:そういうものだと。他の人から見て、自分のスキルを売れるようになっていくと、今度は実際に本業に戻ったときに、非エンジニアの私がなにか不思議なことを言っても、「ああ、よくある話だ」と聞いて、またいろいろ建設的な話ができるので、今のシステムにも役立っているという感じです。
倉科:自分の経歴のどこが世の中に受けるところなのかという、自分の価値の再確認にはなりますね。
端羽:そうですね。自分の仕事を、同じ仕事じゃない人から見た価値の再確認になるかなと思います。
倉科:ありがとうございます。平田さんはいかがでしょうか?
平田:サービスを通じてなにかディスラプトしてるかというと、うちはそうでもなかったりするんですよね。
(もともと)Webの業界では解析やマーケティングツールがあって、それのちょっと視点を変えた切り口でアメリカのシェアを取っていけるんですけれども。これは虎視眈々と狙ってますし、数字も実際上がってきているのでたぶんできると。
じゃあこれを通して、「Reproとしてなにをやりたいか?」というレベルで言うと、日本人のマインドをディスラプトしたいなと思ってます。
Reproはこれまでに2つのインキュベーションプログラムに入らせていただいて、1個はKDDIの∞(無限)ラボというのと、もう1個はフランス系の【聞き取り不明】さんがグローバルでやってるOrange Fabというのがあるんですね。
とくに2つ目の話で、僕はすごく恥ずかしい思いをしました。何かというと、東京に東アジアのスタートアップが集まるんですよ。
彼らは日本のスタートアップをむちゃくちゃディスり始めるんですよ。「日本のスタートアップってダサいね」とか言って煽ってくるんですよ。「たいして新しいサービス、ディスラプトするようなサービスないんだけど、君たちの国大丈夫?」ということを言われるんですね。
それで「なめんな」と思って、「僕ら(のサービス)は海外でも使われてるし、お前のところでも使われてるよ、バーカ!」って話して(笑)。
なにが言いたいかというと、僕はけっこう日本人に対して危機感を持っていて。このままいくと、東京オリンピック以降、経済が右肩下がりで下がって、みんな不幸な思いをするんじゃないかなと本気で思っています。
誰かが日本人のマインドを変えるチャレンジをどんどん、我々も中心になってやっていかないといけないなと思っていて。
こんな口が悪い人間でも、毎日20時間ぐらい死ぬ気で働いたら、アメリカでもシェアを取って、アメリカでM&Aにイグジットできるということをちゃんと証明して、「あんな平田ができたんだったら、僕もやりたい」みたいな。そういう小学生が出てきたら、お金と知見で全力で支援しますので、強い日本人をどんどん作っていきたいなと思っています。
倉科:なるほど、そうですよね。既存の業界で戦うのもすごく壁の高いことで、大きな会社がすでにパワーを持って壁を作っているなかで、それをぶち壊していこうとするのは並大抵ではできないことでもあるので。それもディスラプトですよね。
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