2024.12.19
システムの穴を運用でカバーしようとしてミス多発… バグが大量発生、決算が合わない状態から業務効率化を実現するまで
提供:株式会社リクルートライフスタイル
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――犬伏さんはどういった経緯でリクルートライフスタイルに入社されたんですか。
犬伏洋介氏(以下、犬伏):2002年に社会人になったんですけど、最初に入社したのはITコンサルとかSIを行う会社で、システム回りを担当していました。サービスの企画とか、ビジネスを育てる経験をしたかったので、リクルートに入ったという経緯なんですけど、もともとビジネスを事業会社でやってみたいという思いが大学の頃からあったんです。
僕が大学生のころ、1998年から2002年は、iモードが出て、インターネットにつながる頻度が劇的に増え始めてきたときで、それに伴ってインターネットを使ったサービスもどんどん出てき始めたんですよね。
で、実際にいろいろな会社に話を聞きに行ってたんですけど、ベンチャー企業のそんなに広くないオフィスのなかで、10人ぐらいの人とサーバとパソコンだけで、10万人とか20万人のユーザーに向けたサービスを展開してる会社があって、「こんなに少ない資産で、これだけのサービス展開できるってすごいな」って思いました。当時、ネットとかシステムに関する知識がまったくなかったんで、単純にすごいなと。
ネットの証券会社や広告代理店など、いろいろな話を聞いてくうちに、今後、ビジネスをやっていく上で、ITはもう必須だろう、知らないとまずいなと、なんとなくではありますが、そのとき感じました。何かを学びながら仕事できるようなところっていうことで、ITコンサルの会社に入りました。
そのなかで2~3年ぐらいは実際にプログラミングをしながら、サーバの設定とかもやりながら、どのようにしてシステムが動いてくのかを一通り理解していきました。そこからいろいろなシステム開発のマネジメントをしたり、ITコスト削減の提案などコンサル業務をやったりしていました。
それもそれで楽しかったんですけど、「ビジネスを事業会社でやってみたい」というもともとの思いもあってリクルートを受けました。なにか新しいことをやらせてくれそうだなっていう雰囲気があったので。
――リクルートで面接を受けられたタイミングでも「サービス企画をやりたいです」とアピールしていたんですか。
犬伏:そう言ってましたね。当時32歳だったと思うんですけど、その年齢で「開発をやってました」って言ったら、もう開発で採りたがるじゃないですか。「開発、そのままやってくれますよね」って。
なんですけど、なにか新しいことをやることに対しても「あ、いいんじゃない?」って言ってくれて、なにかやれる感じがあったので、リクルートにしましたね。
それでも最初は、やっぱり自分の培ってきたスキルを生かせるところで、開発のディレクションをやってたんです。「ホットペッパー グルメ」のなかの「ホットペッパーお食事券」っていうサービスを立ち上げるときに、決済回りの仕組みの開発ディレクションでまず入りました。
ただ、それだと前職でやっていたこととほぼ一緒。自分のなかでいろいろやりたいなっていう気持ちがあったので、たとえばUIのここを変えたら、もうちょっと購入が上がるかなとか、こういうチケットを仕入れられたら、もうちょっと売れるんじゃないかなとか。自分の役割を超えて、UIの変更をしたり、別の領域に染み出していったんですね。
この会社に入ってまず思ったのは、「いい意味で役割が制限されてない」ことです。言葉は悪いけど、いい加減なところもあって。別の仕事に染み出していったときに、「やりたい」って言ったら、別に「君はそこじゃないんだよ」とかって言われるわけではなくて、「やりたいんだったらやったら?」みたいな感じなので、いろいろできました。それで少しずつ、この会社のやり方を理解しながら、領域を広げてきた感覚です。
――その後、部署自体も異動されて、本格的にサービスの企画にコミットされるようになったんですね。
犬伏:そうですね。上司に「そろそろ企画をやりたいです」って言ったら、「ああ、いいんじゃない?」っていう(笑)。そうしたら、翌月ぐらいには異動が決まって、企画をやることになりました(笑)。
振り返ってみると、そうやって企画をやり始めたときが一番、この会社に来て自分が変わった瞬間だと思います。最初は「ホットペッパー グルメ」の企画でした。当時のホットペッパーグルメの会員組織は一部しかなかったんです。ほかの「じゃらん」とか「ホットペッパービューティー」は会員組織があったので、グルメにも会員組織を作るというプロジェクトを任されました。
でも、企画もなにもやったことがなかったので、「どうすりゃいいんだ?」と最初はなりました。しかもホットペッパー グルメのビジネスについてもわかってないですし、自分で考えてもダメ。周りの人のほうが知ってるから、その人たちの意見を集約して形作っていこうって考えたんですね。これが振り返ると甘いところでした(笑)。
人の意見をいろいろ聞いていると、言ってることがもう本当にばらばらなんですよね。言う人、言う人、どういう目的でやるのかっていうのもばらばらだし、しかも正解なんかないんですよね。それはもう当たり前で。
ビジネスを作るというのは、そもそも正解がないなかで、筋を見つけてやっていかなきゃいけないものなのに、僕はその答えを「どこかにあるんじゃないか」って求めていました。それであまり進まないまま、納期も差し迫ってきていて、「もうここまで来たら、自分のやりたいものを作って提案しよう」って開き直りました。
そうすると、自分のなかでこうしたほうがいいんじゃないか、ああしたほうがいいんじゃないかって考え始めて、いろいろな情報を集めて、最終的に「自分がこうしたいです。どうですか」と提案しました。そして、その企画を通してもらって、実際に会員化していく経験を積みました。
イメージ的にいうと、企画を通すときには「この筋と、この筋があって、メリットとデメリットはこんな感じで、どうしますか」って提案して、決裁をもらう感じではないんです。もちろんそれも大事なんですけど、最終的には「僕はこうしたいんですけど、これでいいですか」みたいなコミュニケーションをしないと難しい。
なぜならば、答えがないから。もちろん定量化できるところはなるべくするんですけど、わからないながらも、「やっぱり自分はこっちの方法だと思います」っていう道を指し示して、ある程度の筋の良し悪しを見てもらう。
そのリスクが許容できる範囲内だったら、「やりたいんだったらやってみれば?」って言ってもらえる。そんな文化があるんだなって思ったし、「企画という仕事はそういうことなんだ」って思いました。まわりの人の意見を集約して進めようと思っても全然うまくいかなかったので。
――よく多数決で決めても、全然うまくいかないっていいますよね。
犬伏:そうなんです。だから、1人の人間が真剣にコミットして考えていくことが重要ですし、リクルートには「お前が言ったんだから、じゃあやれよ」っていう文化もあるので、辛いときでも「最終的には自分が決めたことなんだから」って頑張れる。そういうことを踏まえての意思決定の仕方が大事なんだなって思いましたね。
会社の土壌として、「おまえ、やりたいんだったら、やってみろ。その代わり、やり切れよ」っていう文化があることを最初に体感しました。ある程度の方向性が決まったものをディレクションすることと、その方向性自体を決めなきゃいけないっていうビジネス企画はなにが違うのかを、すごく痛感したし、自分のドメインが広がった瞬間だったと思いますね。
――いまのお仕事は「じゃらんnet」プロデューサーという立場です。 プロデューサーってひとことで言っても、すごくいろいろな仕事があると思います。
犬伏:メインはじゃらんnetの中期計画を立てたり、どういう筋道でどういう目標を目指して成長していくのかという計画を立てたり、あるいはそれに向かってやること、開発の計画を立てたり、あと足元のKPI、事業指標を設定して、達成しているかどうかをモニタリングしていくこと。
なにかが起きたときになぜそうなのかを分析して、KPIマネジメントをして、打ち手を考えていく感じですね。プロデューサーは1人でやれることも限られてるので、あとはWebマーケティングを行うグループとか、CRMを行うグループとか、UXを見るグループとか各専門組織があるので、各所にどういう筋で、どういう数字に対してコミットしてやってくださいとお願いをして、全体のマネジメントをしていく。全体の司令塔っぽい動きをするのがプロデューサーですかね。
――プロデューサーは個別に企画を出して通す仕事と違って、方針や数字を決めて、みんなでどこに向かって行くかを整理するんですね。
犬伏:そうですね。個々の案件を企画するのはディレクターがやる部分もあったりするし、プロデューサーも個々の企画をもちろんやるときもありますけど、それよりも全体のマネジメントですね。
プロデューサーが1人でできることって限られちゃうので、どうやって周りの人たち、いろいろな機能組織の人たちを生かせるか、気持ち良く動いてもらったりとか、同じ方向に動いてもらったりできるかが、1つの肝になると思います。
すごく単純な例を言うと、何人かのチームで集まって、「じゃあ、売り上げを上げましょう」「おー!」って言って、「以上、がんばりましょう」で終わると、それぞれが売り上げのために何をするかを勝手に考え始めて、全然同じ方向に向かないから、あまりうまく進まないですよね。
なので、どこに注力をして、どのドライバーを上げることによって成長させていくのか、その力点を決めなきゃいけないです。それを「こんな方向性で、ここまで上げてくださいね」ってお願いします。
すごく単純な例を出しますと、旅行予約サイトで、ファミリー層が他の層に比べてマーケットシェアが取れてないとすると、そのシェアを何割上げましょうと決めます。じゃあ、上げるためにはどうしますかって考えたときに、ユーザー分析をしていくと、「画面の使い勝手が悪いです」っていう話と、あとは「予約できる品ぞろえが足りてないです」っていう話が出てきたとします。
そうすると、「予約の品ぞろえが現状これくらいなので、ここまで増やしてくださいね」っていう数字のKPIをAさんに渡して、「ここの画面の遷移率を上げてくださいね」っていう課題をBさんに追ってもらって、その数値をコミットしてもらうことによって、ドライバーが上がっていって、全体の売り上げが上がっていく。そういう分解をしています。
そのときに肝になる部分としては、「限定したお願い」をしないようにすること。考える余地をつくる必要があるんです。さっきの話でいうと、品ぞろえの部分を「いまこれくらいなので、このくらいにしてくださいね」っていう渡し方ではなくて、「クライアントが見る管理画面にこういう機能を追加してください」っていうお願いの仕方をしてしまうと、その人は1つの機能をつくるだけの担当者になるじゃないですか。
そうすると、その機能をつくったら、「以上、終了」になってしまう。もっと指標を上げるためにはいろいろなことができるはずだし、あるいはそれがうまくいかなかったら、次の施策を考えなければいけない。でも、そのときに「この機能を追加してください」って初めからお願いしてしまうと、全部、僕が自分で考えなきゃいけないんです。頭脳が1個しかない。
ですが、「そこの指標を上げてください」っていう自由度のある依頼をすると、それを上げるために施策をいろいろ考え始めて、そこでまた頭脳が出てくる状態になるので、いろいろな人の考えが生まれることになる。その状態をどうやって作り出すかが大事です。
もちろん逆にあまりふわふわしててもダメ。指標となるKPIを設定して、それぞれのメンバーがなるべく能動的に力を発揮できるようにしていくのがまず大事な要素です。わりと当たり前のことかもしれないですが。
――プロデューサーという仕事をやっていて、本当に楽しい、やりたいって思えるのはどういうところでしょうか。
犬伏:高い目標を掲げてチャレンジするとき、大抵最初はうまくいかないです。ただ、トライ&エラーを繰り返して、ビジネスの成長ドライバを見つけることができ、その結果、目標を達成したときの喜びはとても大きいです。特に、関わるメンバが成長ドライバを上げるために、力を発揮して気持ち良く仕事できている状態ができたとき、やってきてよかったなと思える瞬間です。
また、大きなサイトに携わっていると、ユーザーの反響も大きいです。「便利になった」とか「こういう体験ができた」とか、ユーザーの声を見るのもすごく嬉しいですね。
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