2024.10.21
お互い疑心暗鬼になりがちな、経営企画と事業部の壁 組織に「分断」が生まれる要因と打開策
提供:株式会社リクルートホールディングス
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司会:子育てをし、家庭を大事にしながら、仕事の仕方で気をつけている点や、ファザーリング・ジャパンの中のベストプラクティス、こんなふうにうまく両立させてる方がいますよというのは何かありますか?
西村創一朗氏(以下、西村):誰にでも当てはまるベストプラクティスって正直ないんですけど、一番大事なのは職場でシェアをしまくることだと思ってます。
具体的に言うと、自分は家族をとても大事にしているとかっていうことを、黙ってそそくさと帰っていくみたいになると、やっぱり自分もうしろめたくなってつらいし、「何であいつ帰るんだろう」ってみたいな状況になってくると思うんですけど。
「今日はお迎えがあるので帰ります」とか、ちゃんとシェアするとやっぱり伝わるので。お互いさまの世界で、そのかわり自分ができることはやるという形でシェアをすることがすごく大事かなと思ってます。
あともう1つは、終電から逆算して仕事をしちゃうことってリクルートに限らず起きてることだと思うんですけど。「ロスタイムで仕事をしない」っていう考え方かなと思っています。
90分っていう試合の中でどう決めるかじゃないですけれども、もう今日は19時に帰るって決めたら絶対帰るんだと。そこまでに試合決まらなかったら負けだと思って帰るっていうのをすでにやっているっていう先輩がいました。
ちょうど入社2年目のまさに悩んでいたときに、まずは週に1回は必ず19時に帰るっていうことを徹底し、それを週2、週3、週4っていう形で帰る時間を早くする。もうお尻を決めるみたいなことは意識するようにやってましたし、今もやってますね。僕のスケジュールを見ると、19時以降は予定を入れない。「ブロック」って書いてるので。
高橋ゆき氏(以下、高橋):質問。育休を取得しないと決めて、他の形で自分が夫婦としての幸せ度をきちんと構築されるという選択をされたということなんですけど、それはすばらしいなと思うんですが、特に変えたところとか意識して努力しているところはどういうところですか。7時以降のお話だけじゃなくて。
西村:もうそれこそ自分自身がイクメンだとはまったく思ってないんですけれども、本当に特にこれまでと変えたことって実はそんなに大きくはなくて。もちろん妻が妊婦なので、それこそ皿洗いとか、週末はご飯作るとか、朝はご飯作って送り迎えするとかは当然のこととしてやるんですけど。洗濯物干すにも大変なので。
できることはどんどん引き受けてやっていくのはできるかなと思っています。でも当然僕が仕事が忙しくて難しいこともあるので、そのときはやってもらったりするんですけど。一番大事なのは、本当に毎日、どんなに遅く帰っても1日30分か1時間ぐらいは話すことですね。
高橋:妻と。
西村:はい。
高橋:偉いですね。
西村:偉いというか、僕が話すのが好きっていうのもあるんですけど、だから妻が僕にやってほしいって思ったことは言ってくれるし、妻にも思ったことは言うし。会話の量がたぶん他の夫婦の方よりももしかしたら多いのかもしれないですね。
高橋:どうですか? 長尾さん。
長尾:会話の量はすごい大事なところだと思ってるんですけど、うちの場合は、家事とか家にまつわるいろいろなタスクがあると思うんですけど、育休を取ったことで得られたのって、そのタスクを完全に分業できる良さですね。
高橋:いいですね。
長尾:いまも奥さんは毎日働いていて、18時に保育園に迎えに行って、そのあと子どもにご飯食べさせて、風呂に入れて、着替えさせて、歯みがきして、寝かしつけして。だいたい僕が会社から帰るのはそのあとになるんです。
だから、「家事とかはできたらやってくれていいし、できなかったら全部残しといていいよ」って言ってるんです、洗いものとか洗濯ものとか掃除とか。そういうのは自由に片手間でいいって言っていて。
ただ、僕も深夜まで働いて帰ってそれをやるのはしんどいので、21時で仕事を切り上げるようにしてるので、帰って、家事があれば全部やるように、最近変えたというか、育休後にやっています。
高橋:でもちょっと戻っちゃうんですけど、長尾さんのとこでは3か月間お仕事しなかったわけですから、それは家でまったくしなかったんですか?
長尾:仕事ですか?
高橋:はい。
長尾:しなかったです。
高橋:すごいですね。もともと仕事はあんまり好きじゃないんですか?
長尾:仕事は全然好きじゃないです笑。
高橋:それは冗談だけど。どうしてもやっぱりメール開いちゃおうかなとか。職場の周りの方々も協力してくれたんですか?
長尾:はい。けっこう会社のほうから、育休を取ってる期間に、その取得者には絶対に業務上の連絡をしちゃいけないってきつく言われてたみたいです。なので1回もなかったですけど。
高橋:ということはもう24時間好きなだけ育児だとか子育ての方針とか家づくりとか、どうやって人生を歩んでいこうかとか、そんな話に必然的になるわけですよね。
長尾:ああ、そうですね。
高橋:すてきですね。
長尾:それは育休取る前にやりましたね。
高橋:取る前に。
長尾:どういう目的で取るかとか、話し合って決めました。
高橋:私はいま、西村君に3人目の子が生まれて、1歳の誕生日を迎える直前の3か月、育休を取らせてあげたいなと。
(会場笑)
西村:はい。
長尾:何のために取るかっていうビジョンを決めて、取れたら、それを取ったあと、死ぬまで35年ぐらいあると思いますけど、35年間に効いてくる。35年間の家族とか夫婦の関係を良くするために、すごい大事な3か月だったと思いました。だから取ったほうがいいと思うな。
(会場笑)
西村:うちの場合は経済的な理由だったんですよね。とは言っても入社5年目のまだ若手の収入の中でどうやってやってくかっていう中で、取らない方法でやっていこうって夫婦で決めたっていう感じでしたね。
司会:ありがとうございます。では最後に3つ目のテーマで、ゆきさんにお伺いできればと思うんですけれども。育児をしながら仕事を両立するにはどうしたらいいだろうと。
僕、ゆきさんの家事代行を日本に持ってこられたときの話がすごく好きで。もともと香港でお仕事と生活をされていらっしゃったんですけれども。そのときのご自身の経験から日本に帰ってこられて、家事代行を広められてというお話をお聞かせいただけないでしょうか。また、実際に利用されてる方が幸せに家庭と仕事を両立させてる例などもお話しいただければと思います。
高橋:はい、わかりました。ありがとうございます。あらためまして、高橋ゆきと申します。私は20年前に実は香港という場所にご縁があって、現地の会社、いわゆる現地法人に「うちで働かないか」と日本にいながら声をかけていただいて、なかなか決意が固まらなかったんですけど。
なんと当時ホテルマンをやっていた夫が「行こうよ」と背中を押してくれまして、「え?」ってすごいびっくりしたんですけど。「じゃ遠距離夫婦やるの? 海を挟んで」って言ったら、「いやいや僕もついていくよ」と言われて、「え? あなた会社は?」って言ったら、「もう辞めてきた」とか言って。「2週間前に辞表を出してきた」とか。「だからいま、お昼で帰ってきてるんだ」と。
(会場笑)
なんと夫は私に相談するとたぶん反対されるだろうということで、勝手に辞めてから行くぞということで、何と一緒に海を渡りました。そんな決断をしたケンジくん、君もすばらしい日本男性だということで、その香港人の社長が夫婦そろって同じ会社の別のディビジョンで採用してくださったんですね。
朝、2人で出勤をして。香港もちゃんとタイムカードっていうものもありまして、当時、20年前ですけれども。どちらかが走っていって2人分押す。残ったほうはパンを買っていくとかデイリーで仲良くやってたんですけども。
ワーキングビザが降りるか否かっていうときにうれしいハプニングが高橋家にありました。それが私の第1子妊娠です。20年前の東京のど真ん中でいわゆる仕事をオフィスレディとしてやっていた私は、たくさんの先輩たちが「結婚が決まった」と上司に言うと、「おめでとう」って言ってくれるんだけど。
「妊娠しました」って言うと、「ああ、おめでとう」って言われながらも裏で部長とかが「いや、もうきっとタナカ君は戻ってこないから後任どうする?」とか、「今、彼女に任せようと思ってたプロジェクト、ちょっと他の人がいいんじゃないか」とか、とんでもない発言をいたるところで耳にしていたので、これはまいったと。
まさか香港にまで呼んでもらってお世話になっている会社やチームに、何の貢献もできていないのに「妊娠しました」とか言えないなと、なんと妊娠6か月までずっと打ち明けずに、夫と2人だけの秘密プロジェクトでAラインのブラウスを着たりとかワンピースを着ていました。
でもそのうちお腹だけじゃなくて、二の腕とか顔とかも全部ふっくらしてきて、いよいよ社長に「ゆき、どうしたんだ?」って「生き生きして血色もいいぞ」って言われたので、ここで打ち明けなくてどこで打ち明けるっていうことでカミングアウトしたんです。
そしたらすごいびっくりしたのが、社長さんは私の手をがっと握って「おめでとう!」って本気で言ってくれただけじゃなくて、何とがばっと抱き寄せてくれてハグしてくれて。「これで君はもっとビューティフルワークができるね」と言ってくれて。その意味がもう年々わかるようになってきて奥が深いなって思うんだけれども。
社長が言っていることの理解ができず、自分の英語力が落ちてるのか、理解力が落ちてるのか、たぶん伝わってないんだろうと思って、何度も自分が妊娠したことを言ったら、笑いながら「わかってるよ」って言って。
「君は安心して産んで、みんなで育てて2倍以上働いて、4倍以上の成果を僕の会社を通じて社会に貢献できる大人であれ」みたいなことをおっしゃるんですね。もっと頭が混乱しちゃって、どうしたからそんなことができるんだか、「私の両親も兄妹も友達もみんな日本ですよ」と。生まれてくる子どもをもって、一生懸命、いま以上に2倍働けってすごいなと。
そしたら社長がおっしゃるのは「いや、この香港には僕たち香港人の暮らしの縁の下の力持ちをやってくれている人がいてね」と。「誰ですか?」って言ったら……この中に香港に行ったことある人はいますか? 旅行とかで。
(会場挙手)
土曜日、日曜日にやたらフィリピン人がいっぱい公園で集まってたりとか、教会の近くにぞろぞろ入っていったり、タッパーウェアを何個も並べて楽しそうにしてるのは、実は「フィリピンから来ている人たちが、僕たち香港人の暮らしの縁の下の力持ちで、メイドとして出稼ぎに来てるんだ」と。
「彼女たちはただの出稼ぎじゃないぞ」ってまた社長が言うんですね。「何ですか?」って言ったら、「彼女たちはすばらしい特性を持っている」と。そのとき生まれて初めて聞いた言葉が、いまの日本ではもう当たり前なんですけど、「ホスピタリティ」っていう言葉。その当時はホスピスでもないし、何だろうなと。
そしたら日本ではおもてなしの心とかいろいろ言われてますけれども、当時、社長から「誰かのために一生懸命にやって、そのことでその人が喜んでいるさまを見ることがうれしいと感じる心をホスピタリティというんだ」って私は教わったので、以来ゴルフのスィングと一緒で、初めて教えてくれた人が語源になって。
へえ、そんな国民性を持った人が縁の下の力持ちで香港人支えてるんだなと思ったら、ちょっと感激したんですけれども、ここが大事。お手伝いさんがいるような生活で育ってない私としては、他人が家に入るとか、ましてやその人が洗濯ものを触るとか、何か作ったものを家族が口にするとか、何か考えが及ばなくて大丈夫かなと思ったんです。
でも夫にそのことを相談したら、夫は「やってみようよ」と。「せっかくここに来たんだし、香港の風習にならってみよう」と。
香港に来て一番びっくりしたことは、企業の中間管理職以上に半分以上、女性がいるんですよ、取引先の会社を訪問すると。ハーバービュー沿いのオフィスとかでアポイントメントいただいてトントンってノックすると、背中まである黒い椅子が海のほう向いて座ってるわけ、誰かが。
当然振り返って立つのは男性だろうというのは私の恥ずかしい思い込みで、振り返ると本当に身長160センチもないぐらいの小柄な女性がすごいきびきびと、でもしなやかな笑顔で「初めまして」みたいな感じで名刺を持って近寄ってきて、よく見たら部長とかやってるんですね。
で、よく話を聞くとお子さんが2人いて、「いま教育で大変なの」とかって言われて、すごい衝撃的だったの。結局香港の人は、そのとき社長に言われたんですけど、「あのね、ゆき。君の母親としての体と生まれてくるお子さんが何にも問題がなかったら、妊娠、出産、育児で仕事を辞める人もキャリアをあきらめる人もいないんだよ」って言われたんですね。言い切られてびっくりしちゃって。
確かにその会社は全社員でだいたい、工場もあったんですが600人ぐらいの会社ですけれども、ほとんどの女性の妊婦さんはずっと直前まで働いていて、気がついたらいっぱいいたんですね。
それで高橋家もいよいよ1人のメイドさんを探すというアクションに移ったんですけど、スーザンという人と出会いました。その人は5歳年上だったんですけど。彼女はもうすでにお母さんで息子がいました。
そんな彼女が料理や洗濯や買いものとか全部やってくれるんだけど、その物理的なサポートよりも私が一番心強かったのは、子育てが初めての私の横でちょっと先を行くお母さん先輩として、なぜ子どもが泣き止まないんだろうとか、本当に親身になって一緒に考えてくれるのがすごくうれしかったんですね。
そういうようなことを思って3年半の月日が流れ、約4年香港にいましたけど、日本に帰ってきて海を渡ったら、体調の異変に気づいて。病気かと思って病院に行ったら「高橋さん、おめでとうございます。ご懐妊です」って言われて、どうやら第2子ができて。だけど焦らなかった。
この日本でもあのスーザンが必ずビジネスとして存在して、海外でいいものは必ず日本に取り入れる日本人だから絶対あるはずだと。しかも日本人ナイズされたサービスがあるに違いないと思って電話帳をバサッと開いた。
いまから20年前っていうのは携帯電話を1人1台持ってないですから、情報の収集が違ったんですね。電話帳開いたら、ハウスクリーニング屋さんとか家政婦さんしかない。そこでちょっとショートカットしますけど、私は何を思ったか。
これは産業としての家事代行サービスを日本にきちんとつくって、そして1人でも多くの女性だけでなくて、男性と女性が生き生きと暮らす社会の実現を、思想家とか理想家じゃなくて本当に実働部隊のところから変えていく。そんなことに自分が携わりたいなと思ってやってきました。現在は日本の暮らしの新しいインフラにしたいなっていう思いでやっています。以上です。
司会:ありがとうございます。実際に家事代行を使われている方や共働きで忙しい方もいらっしゃると思うんですけれども、どんな例が多かったりするんですか?
高橋:1位が夫婦げんかが減った。ちなみにご利用いただいているお客さまは現在、まだ年間30万件ぐらいです。共働きの世帯が半分ぐらい、残りの半分を3分の1に分けていただいて、1つ目のパイがだいたい専業主婦のご利用が年々20パーセントずつぐらい伸びています。真ん中のパイは1人暮らしの人のご利用で、残りはシニア世帯なんです。
今日の話題だと、この共働き層のご利用でも特に30代から40代のご家庭が多いです。それの利用感想のトップが、夫婦げんかが減ったということ。2つ目がお子さんからお母さんが優しくなったと言われる回数が増えた。3つ目が同性の友達や同僚から「あなた最近若返って見えるけど、何かクリーム変えたり、スポーツジムでも始めたの?」って言われると。
4つ目が時間生産性が上がったこと。いわゆる1時間いくらでアウトソーシングしてるんだから、自分の仕事も1時間どのぐらいの生産性を上げなきゃということの意識が進んだということです。5番目がワークライフバランスに役立つということで。
意外にも最近は夫からの発注が増えてきています。なのでたぶん長尾さんみたいな育休を取った人が、子どもがいざもうちょっと大きくなってきたときに奥さんも仕事を始めて、「じゃあもうこれベアーズさんに頼もうか」という流れを、旦那さんのほうが探してくるのが主流になりつつあると。
司会:いいですね。僕もぜひ子どもができたら使わせていただきたいなと思うんですけど、価格が心配なんですが、その場合はどうしていったらいいでしょうかね?
高橋:はい。それで私、自己紹介遅れちゃったんですけど、家事研究家というのを15年ぐらいやらせていただいていて、全国で家事の方法を、先生として一般の方々にお教えしております。実際にセミナーであったり、テレビとか雑誌とかで、重曹の使い方から効率のいい洗いものの進め方とか、そういったところまでやってるんですが。
「家事を代行する会社をつくっている高橋ゆきさんが家事の方法を教えちゃったらお客さん減っちゃうんじゃないの?」ってよく聞かれるんですけれども、実は違って。私の思いというのは、家事というものは、そのご家庭の生きざまであったりとか、そのご家族のよき習慣や文化というものを次の世代に伝えるために重要なことなんですね。
なので、できればご夫婦で楽しみながら家事ができる毎日に感謝しながら暮らしていってほしいという思いが実はあるんですね。でもこんな表面的なことばっかり言ってるから、例えば奥さんたちも、働く女性たちも、ちょっと弱音がはけないとか、さぼったらすごく自分を責めてしまう世の中であったりとかするんですね。
なので、やれる人はぜひ男女2人で夫婦で力を合わせて楽しみながら、家事を慈しみながらぜひやってもらいたいなって思うんです。でもやれないとき、やりたくないとき、やっぱり苦手なとき、それよりも優先しなきゃいけない家族の時間があるときには、ぜひ手を挙げて「助けて!」って言えば何でもやるベアーズがいることも、ご家庭のご家族、夫婦の心の保険にしてもらえたらいいんじゃないかなと思います。
司会:どうもありがとうございます。それでは質疑応答の時間に移りたいと思います。ぜひインストラクターに質問したいという方いらっしゃいますか?
高橋:そんな中で息子がおかげさまで今年はたちになりまして。娘は会社をつくった17年前に同じ年に産んでますので17歳に今月末をもってなります。一応私も自分のニュートラルポジションは家事研究家でも、専務でも、いち起業家でも、取締役でもなくて、「アイ・アム・マザー」っていうところに置いてることでバランスを見失わずに今日まで来れてるかなって思ってます。
司会:ありがとうございます。どなたかいらっしゃいますか?
質問者1:高橋さんに1つ聞きたいんですけど。家事の代行っていうのはお父さんたちのためではなくて働いてる女性たちのためっていう印象が強いんですけど、そういう家事の代行をすることと、お父さんたちが早く帰ることって直接的にあまり関係がわからないんですけど、そういう事例とかあったりするんですか?
高橋:あります、あります。私が会社をつくって産業化するぞって言って15〜16年走ってきたら、去年から日本がこの家事代行というものが本当に一般的に使われたらどうなるのかと検証をし始めたんですね。
1000組のサンプルでアンケートを経済産業省さんが取りましたら、使ってる人は2パーセントしかいなかった。でも2パーセントのために第2クールの協議会の予算は普通つかないじゃないですか。だけどついたんですね。なぜかというと、同じアンケートで非常に関心深い数字が出たのは、「使えるようにしてほしい」「使いたい」っていう答えが86パーセントもあったんですね。
86パーセントもあるっていうことは、もしかすると本当にそういう世の中になったら、もっと家庭の幸せ度数が上がるんじゃないかと、いま国も検証している最中。私もその協議会の一員でいろいろとやらせていただいてるんですけど。
一番のサンプルはいまのご質問なんですけど、また香港時代の我が家に戻るんですれども、なんと当時の高橋夫婦っていうのは残業ゼロでしたから、もう17時55分になると会社でみんな荷物をまとめて6時きっかりには退社するんですね。
そして一緒にシティスーパーとか、ヤオハタとかに当時買いものに行って、そしてもう7時ぐらいにはおうちに到着をしていて。そして何するかって、家に帰るとメイドがいるので靴もそろってるし、お味噌汁もできてて、ご飯もできて、洗濯も終わってて、次の日の買いものも全部終わってて、家中もきれいなので、子どもと3人でしっかりと過ごすことをやってきたんですね。
なので、彼の育児とか、彼が思っている家庭や家族のつくり方っていうのも十分に共有する時間があったんですね。日本は何かちょっとおかしいなと思うのは、家事代行が発達したらお父さんたちは家に早く帰らなくていいのかとか絶対そんなことはないし。
だから私は思うんだけど、長時間労働をやめて、お父さんたちは家事や育児に参画をして、そして家事代行が日本の暮らしの新しいインフラになってくれたら、本当に私のような人が増えるっていうことなんですね。
要はちょっと私のような人って、私が偉いとか、すごいだろうっていうことじゃなくて、いわゆる小さな子どもを持ちながらフルタイムでそれなりの社会的な責任だとか、ある意味重圧をもちながらも働き続けて、それでもこんなに前向きな考えと、人を妬んだりとか恨んだりしないで子どもとしっかり向き合えて、それでいて心健やかに今日迎えられている。絶対にそういう流れってすごい重要だと思うんですね。
もっと言うと、日本の子育てはつらくて、苦しくて、孤独だと聞くわけですよね。でも私が香港で経験した子育ては残業なし、夫も一緒に帰って、一緒に楽しい時間を過ごして、当然お休みの日も一緒にいて。で、主人も家事にやりたいだけ参画をして。キャリアもちゃんと積んで、私の育児は少なくとも明るくて楽しくて幸せだった。そういうことで2人目もたぶんできたんだと思うんですね。
なのでちょっと答えがずれてるかもしれませんけれども、決して何かをやったからお父さんたちが参画しなくていいとか、お父さんたち参画して早く帰ってきてるんだから家事代行が暮らしのインフラにならなくていいという時代ではないかなって思います。
質問者1:ありがとうございます。
司会:他に何かご質問がある方いらっしゃいますか?
質問者2:長尾さんにお伺いしたいんですけど。育児休暇って出産直後に取るのが、わりとメジャーで、新生児期みたいなイメージが強かったんですけど。1歳のタイミングだったからこそよかったこととか、収穫みたいなものはありますか。
長尾:結果的に、1歳のタイミングでよかったなと思ってます。もともとは、夏に取りたかったんです。子どもがだいたい6か月ぐらい、半年ぐらいです。楽しくどこか旅行でも行くかー、みたいなイメージだったんですけど、ちょっと仕事の都合で半年延びてしまって。
よかったのは、1歳ぐらいになるとできることが増えてくるので、初めて立った瞬間も見れましたし、これから色々な事を習得していくという時期に一緒にいれたのはすごくいいなと思いました。
質問者2:ありがとうございます。おっしゃるとおりですね。
(会場笑)
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